JP2013146762A - 異径管の製造方法並びに異径管の製造装置 - Google Patents

異径管の製造方法並びに異径管の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
端部に拡径部を有する異径管を、材料を無駄にすることなく少ない工程で効率よくUO連続曲げ加工により製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
材料となる鋼板の拡径部分を、UO連続曲げ加工を実施する前にあらかじめ延伸工程でUO連続曲げ加工後に周方向となる方向に成型後の周長に相当する長さに延伸しておき、その後のUO連続曲げ工程において延伸した拡管部位を所定の形状に成型するようにした。これにより拡管部位において隙間を発生することなく、効率よく拡管部を有する異径管を製作できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は端部に拡径部を有する異径管を、曲げ加工により製造する異径管の製造方法に関する。
エンジンの排気系、特に消音装置の内部に用いられる排気管は、消音性能と通気抵抗を両立させるため、管の内径、長さなどのパラメータに設計自由度が求められる。そのため既存の管材料を用いるのではなく、鋼板からUO曲げ加工、ロール曲げ加工など曲げ加工を利用して任意の仕様に対応した管の製造する方法がしばしば採用される。また消音性能を高めるため、配管表面に小径の穴をパンチング加工したパンチングパイプが用いられる場合があり、この場合は鋼板の状態でパンチング加工を行い、その後曲げ加工を行うことでパンチングパイプの製作が行われる。
消音装置の内部に用いられる排気管は、管の内外圧力差が少なく、ガス漏れしても外殻のシェルで外気への漏洩が遮断されるため、それほど気密性が要求されない。従って曲げ加工後突合せ部は生産性の面から必要最小限の点数のみ点溶接する場合が多い。しかし管の端部の一方の径が基本径に対し拡大している異径管を曲げ加工で製造する場合、拡管部分の突合せ部が十分接合されていないと、拡管成型時に材料が不足し突合せ部で隙間が発生するという問題がある。
この問題を避けるため、第1の方法として突合せ部をほぼ全長にわたって溶接した後、拡管加工を行うという方法がとられる。この場合全長にわたって溶接できるようにするため、図10に示すように終端部分にいわゆるタブと呼ばれる延長部分を設定しておき、溶接後切除するという方法がとられ材料と工程の無駄が生ずる。加えて曲げ加工による管成型の後、溶接を行い、拡管加工するため、プレス工程と溶接工程を行き来するという工程の無駄が発生する。
第2の方法としては、図11に示すように材料の鋼板の拡管部分に相当する部分に耳と呼ばれる余分の材料を設けておき、拡管加工をおこなっても拡管部分の突合せ部に隙間が発生しないようにする方法がとられる。
すなわち現状の技術によれば、いずれの方法によっても管の端部が拡大する異径管を曲げ加工で製造する場合、タブまたは耳と呼ばれる部位を付加した異形のブランク材を必要とし、材料の一部を材廃とせざるを得ず、材料歩留まり悪化と加工工数の増加を発生している。
特許文献に開示されている先行技術としては図8に示すようにテーパー状の異径管のUO曲げ加工についての技術開示は見られるが、本案のように端部のみ段差をもって拡管している管の曲げ加工による製造に関する先行技術は見られない。
特許第4263991号公報
本発明はこのような現状技術の課題解決のために行われたものであり、端部の一方に拡径部を有する異径管を、材料を無駄にすることなく少ない工程で効率よく曲げ加工により製造する方法を提供することを目的とする。
請求項1の発明では管の端部の一方に拡径部分を有する管を、鋼板を所定の寸法に切断するブランク工程と、当該ブランク材を曲げ加工により管状に成型する曲げ工程により製造するようにし、前記ブランク工程で、前記拡径部分となるべき部位を、周方向となるべき方向に予め延伸させる延伸工程を設定し、その後の曲げ工程において、前記延伸部分を所定の拡管形状に成型するようにした。これにより拡管部位において突合せ部を事前に接合しない場合、または点溶接で一部分のみ接合した場合であっても当該部分の材料が不足して隙間が発生するという問題が発生しない。
請求項2の発明では請求項1の要件に加えて、前記延伸工程を、延伸方向を含み鋼板に垂直な断面において、少なくとも両端部に近い領域を波型形状に成型するようにした。これにより簡単な金型構造で材料の延伸を行うことができると共に、曲げ工程完了後に製品に残存する延伸工程での成型の痕跡を、最小限にすることが出来る。
請求項3の発明では請求項1または請求項2の要件に加えて、前記曲げ工程を、UO連続曲げによる曲げ加工で実施するようにした。これにより比較的簡単な構造の単一の金型でかつ単一工程での曲げ加工が行えるため、金型費用の削減、加工時間の短縮が実現できる。
請求項4の発明は、本発明に係る技術で多数の細孔を表面に有するパンチングパイプを製造する技術に関する発明である。請求項2の要件に加えて、前記波型形状の成型ピッチをパンチング孔加工ピッチと同期させ、かつ前記波型形状の成型と当該パンチング加工を同時に行うようにした。本来別工程で行われるパンチング加工を延伸加工と同時にを行うことにより、新たな工程が発生せず金型費用の削減と、加工時間の短縮が実現できる。
請求項5の発明は、請求項1または請求項2に記載した管製造方法に用いる金型構造に係る発明である。前記曲げ工程が、UO連続曲げによる曲げ加工と拡管加工が同時に行うよう構成されたことを特徴とする金型構造である。これにより金型費用の削減と、加工時間の短縮が実現できる。
前記手段を用いることによる効果は以下のとおりである。
まずブランク工程で延伸加工を行うようにした効果は、突合せ部を全長にわたって溶接した後拡管加工を行うという方法をとる必要がなく、終端部分にいわゆるタブと呼ばれる延長部分を付加し溶接後切除するという方法をとる必要がない。これにより図10に示す材料の無駄が発生せず、また全長にわたり溶接する必要がないため、点溶接など様々な溶接が採用でき工程の効率化ができる。
また材料の鋼板の拡管部分に相当する部分に耳と呼ばれる余分の材料を設ける方法と比較しても図11に示すような材料の無駄が発生することがなく異形のブランク材を製作することによるコストアップも避けることが出来る。
次に延伸形状を波型にした効果としては、簡単な金型構造で材料の延伸を行うことができると共に、曲げ工程完了後に製品に残存する延伸工程での成型の痕跡を、最小限にすることが出来る。
またパンチング孔を有するパイプに適用した場合においては、波型形状の成型ピッチとパンチング孔加工ピッチを同期することで、波型形状の成型とパンチング加工を同時に行うことが出来、金型費用の削減と、加工時間の短縮が図れる。
また曲げ工程を、UO連続曲げで行うようにしたことにより、比較的簡単な構造の金型でかつ1工程で管の成型が実現され、金型費用の削減、加工時間の短縮が実現できる。
請求項1または請求項2の発明に係る工程を図示したものであり、(1a)は延伸工程後、(1b)は曲げ・拡管工程後、(1c)は溶接工程後の状態を示す。 請求項1または請求項2の発明に係る延伸工程後の状態を図示したものである。 請求項4の発明に係る工程を図示したものであり、(3a)は延伸工程後、(3b)は曲げ工程後、(3c)は溶接工程後の状態を示す。 請求項2または請求項4の発明に係る延伸・パンチング・ブランク工程の材料の変化を図示したものである。 請求項2に係る発明で、波型加工を両端部のみに実施し、パンチング加工を行った場合の延伸・パンチング・ブランク工程の材料の変化を図示したものである。 請求項4の発明に係るピッチ毎の延伸・パンチング工程の材料の変化を図示したものである。 本発明に係るUO連続曲げ加工装置についてブランク材(シート材)投入時の状態を図示したものである。 本発明に係るUO連続曲げ加工装置についてU曲げ加工後・O曲げ加工前の状態を図示したものである。 本発明に係るUO連続曲げ加工装置についてO曲げ加工後の状態を図示したものである。 従来における第1の異径管の製造方法の工程を図示したものである。 従来における第2の異径管の製造方法の工程を図示したものである。 特許第4263991号に係る先行技術を図示したものである。
1 ブランク材(シート材)
2 延伸部分
3 突合せ部
5 ブランク材(シート材)
6 パンチング部分
8 フープ材
10 UO連続曲げ加工装置
11 上型ホルダー
12 下型ホルダー
13 O曲げダイ
14 U曲げダイ
15 芯金
16 芯金ホルダー
17 材料位置決め
18 ガススプリング
19 スプリング
21 タブ
20 芯金拡径部
22 耳
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明をする。
図1は請求項1、請求項2の発明に係る異径管製造方法を図示した工程図である。
(1)ブランク材の準備工程
図1において1aは板材またはフープ材から延伸加工を行い、所定の形状のブランク材に成型した状態を示す。ブランク材の準備工程は例えば図4に示すように、順送プレスにより行うことが出来る。図4はパンチング工程を含んだ工程例だが、通常の異径管の場合はフープ材8に対し送り方向に沿って拡径部分を延伸する延伸工程と、所定の形状に切断するブランク工程を順次施工することにより、1aに示す所定のブランク材を成型する。これにより効率よくブランク材を製造することが出来る。
延伸工程は図1aに示すように、UO連続曲げ加工後に周方向となるべき方向に材料を延伸させる工程であり、望ましくは延伸する方向の断面で成型後波型となるように金型を設計する。延伸加工後の材料長さを拡径部の周長にあわせてあらかじめ延伸させることが目的であり、かつUO連続曲げ加工後に当該延伸加工による形状が残らないよう出来る限り凸凹が緩やかで規則正しい形状で延伸加工させることが要件となる。従って延伸方向の加工後の材料長さが、拡径部分の完成後の周長と略同一となるよう、また波型形状の凸凹のコーナー部分のRは出来るだけ大きくなるよう金型を設計することが望ましい。
また図5は拡径部分の両端部にのみ延伸加工を行った場合の工程である。曲げ加工後の延伸加工による痕跡を最小限にするため、波型加工は突合せ部に近い両端部のみとし、中央部分は省略することも可能である。中央部分については絞り成型効果により、曲げ加工と同時に伸延加工と同等の効果を得ることが可能だからである。この場合の延伸加工後のブランク材の状態は図2に示すように、管成型時に突合せ部分となる両端部のみを波型加工により予め材料を延ばした状態となる。
(2)U曲げ工程
次に図7に示すUO連続曲げ加工装置に当該ブランク材5(シート材)を投入する。当該加工装置はプレス装置(図示せず)のスライド(図示せず)に固定された上型ホルダー11と、ボルスター(図示せず)に固定された下型ホルダー12と、上型ホルダー11に固定されたO曲げダイ13と、下型ホルダー12に固定されたU曲げダイ14と、U曲げダイ14の両側に固定された材料位置決め17と、上型ホルダー11に固定された1対のガススプリング18と、下型ホルダー12に固定されたスプリング19により支持された芯金ホルダー16と、更に芯金ホルダー16により把持された芯金15とから構成される。
図7はUO連続曲げ加工装置に当該ブランク材を投入し当該プレス装置が上死点近くにある状態を示している。
次に図7に示すシート投入時から、図8に示すU曲げ完了時点までの作動を以下説明する。
U曲げ工程においてはガススプリング18が芯金15を介してブランク材5をU曲げダイ14に押し当てることでU型にプレス成型を行う。具体的には以下のような作動を行う。
プレス装置が上死点付近にあるときは、心金15が芯金ホルダー16に片持ち状態で把持されているため、U曲げダイ14の隙間からブランク材5がプレス装置に投入され、7bに示すように材料位置決め17の効果によりU曲げダイ14上の所定の位置に配置される。プレス装置が上死点から下降を始めると上型ホルダー11の下降と共に固定された1対のガススプリング18が下降し、芯金ホルダー16と芯金15の芯金ホルダー反対側端部に当接し、芯金15の圧下を開始する。その後芯金15がブランク材5をU曲げダイ14に押し当てる。芯金15、ブランク材5、U曲げダイ14の三者が密着するとU曲げ工程は完了するが、芯金15はガススプリング18により押圧されているため、更に上型ホルダー11が下降しても、芯金15はブランク材5を所定の圧力でU曲げダイ14に押し当て密着した状態を維持する。その状態を図8bに示す。
一方拡径部分は芯金拡径部分20と、対応した拡径形状のU曲げダイ14の間でブランク材5が所定の拡管形状に成型される。予め延伸加工により成型後の長さと同等の長さに伸ばされている効果で、加工はワレなど発生することなく円滑に行われる。また事前の波型加工は大きなRで成型されているので、U曲げ加工後の波型加工の痕跡は最小限にすることが出来る。
また両端部のみに延伸加工を施した場合は、U曲げ加工においては延伸加工していない部分を拡管加工することになる。この場合も適切な型の設計を行うことにより絞り加工の効果で、ワレなどを発生することなく所定の拡管形状に成型することが可能である。
(3)О曲げ工程
さらにプレス装置が下降動作を続けると、上型ホルダー11に固定されたО曲げダイ13下部がU形状に成型されたワークの上端を上方から押さえ込み、成型を始める。О曲げダイ13の下部は軸に垂直な断面で管の上半分の形状に対応する半円形状と、その両側がワークを挟み込むようなハの字形状で構成されている。これら効果により、U形状に成型されたワークの一対の上端部が互いに近接する方向に曲げられ、芯金15、ブランク材2、О曲げダイ13の三者が密着すると、О曲げダイ13の半円形状部分と芯金15との間でワークが畔円筒形状に成型され、ワーク両端縁が付き合わせられた状態となってО曲げ工程が完了する。
一方拡管部分は芯金拡径部分20と、対応した拡径形状のO曲げダイ13の間でワーク両端部が近接する方向に曲げられ、拡管の半円筒形状に成型される。通常ワーク端部においては絞り効果を得ることは出来ないためUO曲げを行うと拡径部分では突合せ部の材料が不足し隙間を生ずるが、本案では予め延伸加工により成型後の長さと同等の長さに材料が伸ばされているため、拡管加工後も突合せ部に隙間を生ずることがない。
(4)ワークの排出工程
その後プレス装置が下死点を過ぎて上昇動作を開始する。上型ホルダー11が上昇し上死点近くになると、芯金ホルダー16と芯金15の芯金ホルダー反対側端部に当接していたガススプリング18が隔離し、芯金15が芯金ホルダー16に片持ちされ、О曲げダイ13・U曲げダイ14の中間に支持された状態となる。両ダイと芯金15に巻きついた上体のワークの管には十分な間隔が確保されており、ワーク形状は芯金と反対方向に向かって径が縮小しているため、芯金と反対方向に人手または排出装置によってワークを排出することが出来る。
(5)突合せ部の溶接工程
この工程はО曲げ工程により付き合わせられたワークの付き合わせ部3を、ロウ付けや溶接により接合する工程である。延伸工程の効果により拡径部分もほぼ隙間なく密着しているため、レーザー溶接を含め種々の溶接が採用できる。気密性が要求されない管であれば点溶接・ロウ付により最小限の点数を溶接すれば良く、溶接に係る溶剤、エネルギー消費を抑えることが出来る。
具体的には治具に装着したワークの付き合わせ部3を、人手または溶接ロボットによりロウ付けや溶接することで接合を行う。
請求項4の発明に係るパンチング孔を有する異径管製造方法は、ブランク材を製造するまでの工程のみが前記方法と異なり、UO連続曲げ工程はほぼ同じなので、ブランク材の製造工程のみ説明する。
本案は例えばサイレンサー内部に配置し、排気音減衰に用いられる管の表面に細孔を多数開口したフィルターパイプの製造に用いられる。
本案では図6に示すように例えば波型加工1ピッチに対しパンチング孔8列を対応させ、配置を同期させることにより、1つの金型で波型加工とパンチング加工が同時に行えるようにし、かつ小さな金型で大きな面積の加工が出来るようにするものである。具体的にはフープ材を順送しながら前記1ピッチ分ずつずらして所定の回数加工することで、フィルターパイプの材料となるブランク材を効率よく加工できるようにするものである。
前記順送加工により所定の波型加工・パンチング加工を行い、図4に示すように所定の形状に成型するブランク加工を順次施工することにより、ブランク材5を成型する。
以下請求項1,2の実施例で説明したUO連続曲げ工程により異径管を製造する。図3にブランク加工後の状態3a、その後の曲げ加工後の状態3b、溶接後の状態3cを示す。
なお本工法に係る異径管製造方法は、排気管での適用に限定されることなく、各種気体、液体の配管への適用が可能である。

Claims (5)

  1. 管の端部の一方に拡径部分を有する管を、鋼板を所定の寸法に切断するブランク工程と、当該ブランク材を曲げ加工により管状に成型する曲げ工程により製造する管製造方法であって、
    前記ブランク工程は、前記拡径部分となるべき部位を、周方向となるべき方向に延伸させる延伸工程を有し、
    前記曲げ工程において、前記延伸部分を所定の拡管形状に成型することを特徴とする管製造方法。
  2. 前記延伸工程は、前記延伸方向を含み鋼板に垂直な断面において、少なくとも両端部に近い領域を波型形状に成型することを特徴とする請求項1に記載の管製造方法。
  3. 前記曲げ工程は、UO連続曲げによる曲げ加工であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管製造方法。
  4. 管表面に多数のパンチング孔と、管の端部の一方に拡径部分を有する管を製造する管製造方法であって、
    前記波型形状の成型ピッチは、パンチング孔加工ピッチと同期しており、前記波型形状の成型と当該パンチング加工が同時に行われることを特徴とする請求項2に記載の管製造方法。
  5. 請求項1または請求項2に記載した管製造方法に用いる金型構造であって、
    前記曲げ工程が、UO連続曲げによる曲げ加工を行い同時に拡管加工するよう構成されたことを特徴とする金型構造。




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