JP2013145399A - 撮像レンズ - Google Patents

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朋三 平尾
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Abstract

【課題】迷光による光学不良であるフレアやゴースト像の発生を抑え、小型で諸収差が充分抑えられた高性能な撮像レンズを提供する。
【解決手段】ガラスと樹脂を利用した接合型複合レンズ用いて、樹脂とガラスの屈折率とアッベ数の差を適正に制御することで、大きな入射角を持つ光線が入射した場合の界面反射を抑制し、フレアやゴースト像の発生を抑える。さらに、屈折率差とアッベ数差を適正に制御することで、球面収差や像面湾曲、色収差等の光学性能を劣化させる諸収差を補正する。
【選択図】図3

Description

本発明は、CCD型撮像素子やCMOS型撮像素子等の固体撮像素子を用いた、小型撮像装置の撮像レンズに関する。
従来、携帯電話等で使用される撮像レンズは、大量生産及びコストの面から、熱可塑性プラスチックを用いた射出成形法により製造されることが多い。一方で、近年では工程の簡素化やコストダウンに対応するため、レンズモジュールのリフロー工程対応が求められており、特に半田リフロー工程に耐えうる撮像レンズが要請されるようになってきている。この様な要請に対して、熱可塑性樹脂レンズでは半田リフロー工程温度に対応できないことから、様々な手法の耐熱撮像レンズが提案され始めている。
これらの高耐熱レンズの一例として、特許文献1に光学ガラスと耐熱性に優れたUV硬化や熱硬化型樹脂を組み合わせた、ハイブリッドレンズの1種である接合型複合レンズが開示されている。この接合型複合レンズは、耐熱性の課題以外にも、ガラスと樹脂材料の屈折率差を一定値以内に制御することで、接合型複合レンズで問題となる界面反射を解決している。
さらに、回折面を使用することなく、色収差低減を図るために、透明な平行平板の両面に形成されるレンズのアッベ数を所定の値に制御して接合型複合レンズを構成する手法が特許文献2に開示されている。
特許3926380 特許4293291
以上のように、接合型複合レンズは、耐熱性に優れたエネルギー硬化型樹脂とガラスを組み合わせることで、例えば半田リフロー対応のような、樹脂レンズでは適用が困難な場面で使用され始めている。
ガラスレンズは半田リフロー工程の温度では、形状変化や性能劣化を起こさない。しかし、諸収差を低減するために良く用いられる非球面レンズをガラス材料で作成すると非常に高コストとなることが知られている。ガラスの非球面レンズを作成する場合、大量生産が可能な手法として、非球面ガラスモールドという手法が広く行われている。低融点ガラスと金型を用いて非球面ガラスレンズを製造する手法であるが、従来の射出成形法で得られるプラスチックレンズや、ガラスと硬化型樹脂を使用する接合型複合レンズよりも、高コストな手法である。ガラスモールド法は、ガラスの屈伏点以上に加熱された金型上に、体積管理され、目的非球面形状に比較的近い形状を持つ精密プリフォームをセットし、もう一方の金型で押しつぶすことにより両面、あるいは片面に非球面を形成する手法である。体積管理された精密プリフォームが高価である上、高温にさらされる金型の寿命は短く、大量生産を行う場合は、多数の金型を準備する必要がある。このため低コストのレンズを供給することが困難である。
一方で、接合型複合レンズでは非球面部を硬化型樹脂で形成するため、形状の自由度が高く、金型温度はUV硬化型樹脂では室温程度、熱硬化型樹脂でも200℃程度と、ガラスモールド法の工程温度400℃以上と比べると、非常に低温の工程となるため、金型の寿命が長い。さらに、工程時間はUV硬化型樹脂では、数秒から2分程度、熱硬化型樹脂でも1分から10分程度と、ガラスモールド法に比べてタクトが短い。また、耐熱性の高いUV硬化型樹脂や熱硬化型樹脂は、一般的に高価なことが多いが、接合型複合レンズでは球面ガラスやガラス平行平板を使用するため、樹脂の使用体積が少なくて済む。従って、接合型複合レンズでは、半田リフロー温度に耐えうる耐熱レンズを安価に提供することが可能となる。
一方で、接合型複合レンズではガラスと樹脂の界面で、屈折率差に応じた反射が起きることが知られている。例えば屈折率1.4の樹脂と屈折率1.6のガラスを用いた接合型複合レンズでは、垂直に光線が入射した場合、0.44%の光線が界面で反射をする。この反射光線は設計上意図されてない光線のため、これらの光線が複数回反射をして撮像素子に入射した場合は、コントラスト低下の原因であるフレアや、明瞭な光点あるいは光の線のように確認されるゴースト像を形成するといった、不良要因となる。これらの界面反射を抑制するためには、ガラスと樹脂の屈折率差を0.1以内に制御することが効果的である。しかし、角度を持った光線が入射するとき、屈折率の高い媒質から低い媒質に入射する場合とその逆では、反射特性が異なる。光線が屈折率の高い媒質から低い媒質に臨界角以上の角度で入射した場合は、光線は屈折をせずに全反射する。一方で、屈折率が低い媒質から高い媒質へ入射した時は、臨界角は存在せず、従って全反射も発生しない。つまり、界面の反射を抑制するためには屈折率の差を0.1以内とする条件だけでは十分ではない。
さらに、接合型複合レンズで使用する樹脂のアッベ数差を大きくすると、色収差の補正が効果的に行える。しかし、一般的に樹脂の屈折率とアッベ数の関係は、線形関係があることが知られており、色収差を補正するためにアッベ数の差を大きくしようとすると、2つの樹脂間の屈折率の差も大きくなる。屈折率差が大きくなると、前述した通りガラスと樹脂の界面反射が増加し、フレアやゴースト像のような光学不良が発生する。従って色収差を補正するために、アッベ数のみに着目するのは光学性能を向上させる技術としては不十分である。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、界面反射を抑制でき、かつ諸収差が良く補正された撮像レンズを提供することにある。
以上の問題を解決するため本発明による撮像レンズは、光学ガラスで形成された平行平板ガラスの物体側面に物体側樹脂レンズ、像面側に像側樹脂レンズが接合された接合型複合レンズを1群とし、樹脂レンズはエネルギー硬化型樹脂で形成され、かつ以下の(1)から(8)の条件を満足するように構成される。
Figure 2013145399
ここで、
N1:前記物体側樹脂レンズの屈折率
N2:前記ガラス平行平板の屈折率
N3:前記像側樹脂レンズの屈折率
u1 :前記物体側樹脂レンズのアッベ数
u2 :前記ガラス平行平板のアッベ数
u3 :前記像側樹脂レンズのアッベ数
ここで、光線が高屈折率媒質から低屈折率媒質に進入したときの、入射角度による界面反射率の変化を図1に、低屈折率媒質から高屈折率媒質に侵入したときの入射角度による界面反射率の変化を図2に示す。図1、図2ともに低屈折率媒質として、屈折率1.5の材料、高屈折率媒質として屈折率1.6の材料を例に計算を行っている。図1と2を比較すると、どちらも屈折率差は0.1であるが、角度を持った光線が入射した場合、図1では入射角65°近傍で、反射率は10%に達し、70°付近で反射率が100%となる。対して、図2では70°近傍で反射率10%程度である。この様に、垂直入射では差が発生しないが、角度を持つ入射光線に対して、低屈折率媒質から高屈折率媒質へ進行する光線の方が、全ての角度で反射率は低くなる。ここで、図1と2中に示したS偏光は入射面に対して平行に振動する光である。またP偏光は入射面に対して垂直に振動する光である。
さらに、(2)式を満たすことで、像側樹脂レンズの屈折率を大きくすることが可能となる。屈折率を大きくすることができれば、レンズの屈折力が同じときは曲率半径の値を大きくすることができる。また、屈折率差を大きくすることで、本発明の接合型複合レンズを含む2群構成以上の撮像レンズユニットの場合は、球面収差や像面湾曲を効率良く補正することが可能となる。例えば(1)式と(2)式を満足し、正の屈折力を持つ物体側レンズと負の屈折力を持つ像側レンズとして接合型複合レンズを構成すれば、球面収差の補正に有利となり、負の屈折力を持つ物体側レンズと、正の屈折力を持つ像側レンズとして構成すれば、像面湾曲の補正に有利となる。
これらの式は全て隣り合う媒質同士で定義された関係である。ガラス平行平板を中間におき、物体側樹脂レンズと像側樹脂レンズは直接接触していないので、ガラス平行平板と両者の樹脂の屈折率を(1)から(6)式で制御すれば、像側樹脂レンズの屈折率は物体側樹脂レンズよりも0.2までは大きくすることが可能となり、高屈折率材料を使用して効率良く収差補正が行える。一方で屈折率差が0.05を下回ると、収差補正の効果が少なくなる。
便宜上、1群のレンズとして説明しているが、2枚以上の複数枚撮像レンズで、本発明の接合型複合レンズが最低1群以上含まれていれば、その効果を実現することが可能となるので、本発明はレンズ枚数に何ら拘束されるものではない。
ここで使用するエネルギー硬化型樹脂は、外部からエネルギーを受けることにより、架橋反応あるいは重合反応が進む材料のことを指す。外部エネルギーとしては、例えば、熱や紫外線、電子線などが挙げられる。この様なエネルギー硬化型樹脂としては、エネルギーのタイプによって、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型などが挙げられ、材料系のタイプとしては、シリコーン系、エポキシ系、アクリル系が一般的に知られている。この様に、エネルギー硬化型樹脂の種類は多岐に渡るが、光学的に充分透明であれば、本発明の樹脂レンズ材料として、使用可能である。ここでの透明との限定は、使用波長範囲で使用に耐えうる程度に、材料の光吸収及び散乱が少ないことを意味する。
色収差は、波長により集光点が異なることにより発生する収差であり、収差の程度は使用する材料の色分散に依存する。色分散が有限の値を持つ限りは、単一材料では色収差を取り除くことは原理的に不可能であるが、色分散の異なる材料を組み合わせ、かつ最適なレンズ曲面形状を取ることで、これらの色収差を効率良く補正することが可能である。色分散は材料固有の値であり、この逆数がアッベ数である。色収差の補正でよく行われるのが、アッベ数の大きい材料、つまり色分散の少ない材料で集光作用を持つレンズを作成し、アッベ数の小さい材料、つまり色分散の大きい材料で発散作用を持つレンズを作成し、発生する正負の色収差を打ち消すという手法である。
本発明では、ガラスと樹脂の接合部分は平面のため、物体側と像側それぞれに配置できるレンズは、平凸レンズか平凹レンズとなる。式(1)、(3)―(6)によって、それぞれの樹脂レンズとガラス平行平板の屈折率とアッベ数には界面反射を抑制するための制限が設けられているので、物体側から像側に向かって、屈折率が増加する配置となる。アッベ数と屈折率の間には線形関係が存在し、特に樹脂材料の場合は異常分散を示す材料が無いことから、屈折率が高いほどアッベ数が低くなる。従って本発明では(7)式を満たすためには、屈折率が低い材料、つまりアッベ数の高い材料を物体側レンズとし、屈折率が高い、つまりアッベ数が低い材料を像側レンズとして構成しなければならない。色消しの原理からアッベ数の高い材料に正の屈折力を持たせる必要があるので、物体側樹脂レンズは物体側に凸面を向けた平凸レンズとなる。同様に、アッベ数が低い材料に負の屈折力を持たせる必要があるため、像側樹脂レンズは像側に凹面を向けた平凹レンズとなる。この様に構成した接合型複合レンズは、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなり、2群以上の撮像レンズの最も先頭に位置するレンズに効果的に使うことができる。
アッベ数の差が(7)式の下限以上であれば、効率よく色収差を補正することが可能となる。一方で、アッベ数の差について、上限を設けてあるが、これはこの上限を超えた樹脂材料の組み合わせを選択すると、ガラスと樹脂の屈折率差が(2)式と(3)式の上限を超えるため、界面反射が増加し、本発明の最大の効果である界面反射の抑制が実行できなくなるためである。
また、(8)式は平行平板ガラスのアッベ数に対する条件となる。本発明の色収差の補正は、ガラス平行平板を挟んで配置された2種類の樹脂レンズによって実現される。ここで、ガラス平行平板は両面が平面であるため、屈折力を持たないが、各入射光線がガラス媒質内を通過する距離は、入射角ごとに異なるため、色分散の少ない材料、つまり(8)式を満たすアッベ数の高い材料とすると、色収差補正の効果が維持できる。この式の下限を下回った場合は、2種類の樹脂材料で色収差補正をしても、補正不足となり色収差が残存するため、光学性能が劣化する。
(2)式は、物体側樹脂レンズと像側樹脂レンズの屈折率差を制御する条件である。前述したように、本発明では屈折率差を大きくすることにより、像側樹脂レンズに屈折率の高い樹脂材料を使用することが可能である。特に、色収差補正のために像側樹脂レンズは負の屈折力を持つように設定している。前述したとおり、像側樹脂レンズはガラスと接する面が平面のため、負の屈折力を持たせるためには、空気と接する面の形状は凹面になる。同様に、物体側樹脂レンズの形状は凸面になる。この様な形状を持つレンズ群では、凸面と凹面の屈折率差を大きくとることで、効果的に球面収差を補正することが可能となる。一方で、ペッツバール和を効果的に減少させ、像面湾曲を低減させるための、レンズ形状組み合わせは、高屈折率材料の凸面と低屈折材料の凹面であり前記のようなレンズ形状組み合わせは不利となる。(2)式の条件内にある屈折率差の組み合わせであれば、球面収差補正と像面湾曲補正のバランスをとることが可能である。つまり、(2)式の下限以下では、球面収差を効果的に補正できなくなり、上限以上ではペッツバール和の増大により、像面湾曲を小さくすることが困難になるということである。
前記レンズ群に使用されるガラス平行平板が、樹脂レンズ形成前に個片に切り出されたガラスであると、薄いガラス板を使用して接合型複合レンズを製造することが可能となる。ウェハスケールレンズでは、数インチのガラスウェハに一括してレンズを形成するために、UV硬化あるいは熱硬化樹脂の硬化収縮によるガラスの破損やソリが発生する。一般的な熱硬化やUV硬化樹脂の硬化収縮率は2%から大きい場合は、10から15%にも達することが知られている。
個片のガラス片に1つのレンズを形成する場合、樹脂量が非常に少ないので、硬化収縮が要因のガラスへの応力は少ない。実験的に確かめた数値では、個片ガラスを用いた接合型複合レンズでは、厚みが0.1mmのガラス片でもレンズ群として構成が可能であった。一方で、ウェハスケールレンズの場合は、ガラス平行平板の厚みは0.3mm程度が限界といわれている。従って、個片ガラスを使用した方が、レンズの厚みを薄くすることが可能であり、フィルター部品等を挿入するのに十分なバックフォーカスを確保した状態で、撮像レンズを小型・低背化することが可能になる。
前記レンズ群の樹脂レンズ曲面を非球面として構成すると、少ないレンズ枚数で効率よく収差補正が行え、高性能な撮像レンズを提供することが可能となる。
本発明の撮像レンズでは、ガラス平行平板上に非球面を有する樹脂レンズを形成する際、非球面金型を用いることが出来る。非球面金型は高精度な非球面加工装置を使用し、加工することができる。射出成形法を用いたプラスチックレンズも、低融点ガラスを使用したガラスモールド法も、非球面を形成する場合は、非球面金型を使用している。本発明の接合型複合レンズも、同様に金型を用いることで、高精度な非球面レンズを形成することが可能である。
前記ガラス平行平板の少なくとも一方の面に、特定の波長を遮断することを目的とする蒸着膜を形成しても良い。
撮像レンズに使用されるCCDやCMOS型撮像素子は可視光領域以外にも感度を持つ。たとえば、赤外光線がそのまま撮像素子に入射すると、画質が劣化することが知られている。従って、不要な赤外光線をカットするために、レンズユニット内に赤外線カットフィルターが挿入される。本発明によると、接合型複合レンズに使用する平行平板ガラスのいずれか一方の面に、赤外光線をカットする膜を蒸着にて形成することが可能なので、別に赤外線カットフィルターを準備する必要は無い。従って、部品削減によるコストダウンが可能となる。さらに、フィルター部品を排除することにより、低背化が図れるようになる。
ここで、反射防止膜や赤外線カット膜などの光学薄膜は、干渉原理を利用して特定の波長あるいは波長粋を反射あるいは、反射防止するため、本発明のガラス平行平板とエネルギー硬化型樹脂の間に、これらの光学薄膜が存在しても使用上問題は無い。
本発明の撮像レンズによれば、ガラスと樹脂を利用した接合型複合レンズ用いて、樹脂とガラスの屈折率を適正に制御することで、大きな入射角を持つ光線が入射した場合の界面反射を抑えながら、光学性能を劣化させる諸収差を十分補正し、小型で高性能なレンズ系を実現することができる。
高屈折率材料から低屈折率材料に入射する、光線角度と反射率の関係である。 低屈折率材料から高屈折率材料に入射する、光線角度と反射率の関係である。 本発明の接合型複合レンズ構造断面図である。 実施例1の撮像レンズユニット光路図である。 実施例1の光学設計データである。 実施例1の光学設計データである。 実施例1の縦球面収差図である。 実施例1の非点収差図である。 実施例1の歪曲収差図である。 実施例2の撮像レンズユニット光路図である。 実施例2の光学設計データである。 実施例2の光学設計データである。 実施例2の縦球面収差図である。 実施例2の非点収差図である。 実施例2の歪曲収差図である。 実施例2の倍率色収差図である。 実施例3の撮像レンズユニット光路図である。 実施例3の光学設計データである。 実施例3の光学設計データである。 実施例3の縦球面収差図である。 実施例3の非点収差図である。 実施例3の歪曲収差図である。 実施例3の倍率色収差図である。 実施例1から3の条件式(2)から(8)の値である。
以下、図を参照して、本発明の実施の形態例について説明する。なお、各図
は、本発明に係る一構成例を図示するものであり、本発明が理解できる程度に各構成要素の断面形状や配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、本発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の条件等を用いることがあるが、これらの材料および条件は好適例の一つに過ぎず、従って、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
図3は本発明の撮像レンズ構成図である。平行平板ガラスの両面にエネルギー硬化型樹脂で形成された物体側樹脂レンズと像側樹脂レンズが接合されている。
ここで、以降の図面について、レンズユニットを挟んで光線入射側を物体側、結像側を像側とするとき、物体側から見て接合型複合レンズ群を構成する最初の物体側レンズを第1樹脂レンズL1とし、以降は平行平板ガラスに接合された樹脂レンズについて、順に数字を付すこととする。例えば、図3では、物体側レンズが第1樹脂レンズL1となり、像側レンズが第2樹脂レンズL2となる。また、ガラス平行平板についても同様に、物体側から見て最初の樹脂レンズが接合されている平行平板ガラスを第1ガラス平行平板G1,2つ目を第2ガラス平行平板G2と、英字の後ろに数字を付して表現する。よって、L5という表記は、物体側から平行平板に接合された5番目の樹脂レンズであり、G3は物体側から数えて3番目のガラス平行平板ということになる。さらに、平行平板ガラスとそれに接合される樹脂レンズで構成される接合型複合レンズ群については、物体側から見て最初の接合型複合レンズ群を第1接合型複合レンズ群HL1とし、その数に応じて物体側から順に数字を付して示す。つまり、物体側から見て2番目の接合型複合レンズ群であれば、第2接合型複合レンズ群HL2となる。さらに、単一材料で形成されるレンズについては、単一レンズとして、便宜上接合型複合レンズ群とは区別して扱う。これも物体側から順に第1単一レンズML1、第2単一レンズML2のように、数字を付して表現する。
また、図面内の各面を示す符号Siについては、物体側から見て最初の面を1番目としてS1と表記し、像側に向かうに従い1つずつ増加するように符号を付すこととする。ここで、樹脂レンズの平面と平行平板ガラスの接合面は別々の面として取り扱う。つまり、図3の場合、第1樹脂レンズL1の平面側の面がS2となり、第1ガラス平行平板G1の第1樹脂レンズL1と接する面がS3となる。以降の図について、全て上記の規則に準じて記号や符号を付する。
図4は、第1の実施例におけるレンズユニット構成図である。物体側から順に、入射瞳を決定する唯一の絞りである開口絞りSt、第1樹脂レンズL1、第1ガラス平行平板G1、第2樹脂レンズL2、余分な赤外光線を遮断する赤外線カットフィルターIRCF、撮像素子IMAの順に配置されている。ガラスと樹脂の接合面には界面密着力を強化するために、シランカップリング処理が施されている。シランカップリング剤は樹脂とガラス双方に結合可能な材料で、ハイブリッドレンズでのガラスと樹脂の界面密着力強化に広く利用されている。
また本実施例の設計データを図5A及び図5Bに示す。
このとき、焦点距離f=1.162mm、レンズ全長TL=1.659mm、F値F=3.0、
センサー対角長IH=1.4mm、対角画角FOV=60.3°となる。
なお、屈折率はd線波長の値を使用している。焦点距離fはd線基準の値を使用し、レンズ全長TLは第1樹脂レンズの物体側面から、撮像素子面までの光軸に沿って計算された距離、F値Fは撮像レンズの明るさを示す値で、センサー対角長IHは撮像素子の対角長さ、対角画角FOVは対角長IHの撮像素子を用いたときの、レンズユニットが撮像できる物体側の撮像角度である。また、平面については曲率∞として表記してある。
この発明で使用される非球面は、次の式で与えられる。
Figure 2013145399
図5A、図5B、図8A、図8B、図12A、図12B内で非球面係数を表す数値は指数表示であり、「E−1」は「10−1」を意味する。
本実施例では、L1に屈折率1.513でアッベ数53のUV硬化型樹脂、第2樹脂レンズに屈折率1.602でアッベ数28のUV硬化型樹脂、ガラス平行平板G1にショット社製の屈折率1.568でアッベ数55.98のN−BAK4を使用している。樹脂レンズとガラス平行平板は、物体側から順に屈折率が増加するように配置されており、(1)から(6)式、及び(8)式を満足している(図15参照)。
図6Aは実施例1の縦球面収差図、図6Bは実施例1の非点収差図、図6Cは実施例1の歪曲収差図である。球面収差は入射瞳内において、0.1mm以内であり非点収差も撮像画角内で0.2mm以内、歪曲収差も4%以内と、1群構成のレンズとしては、充分に収差が補正されていることがわかる。
図7は、第2の実施例におけるレンズユニット構成図である。物体側から開口絞りSt、第1樹脂レンズL1、第1ガラス平行平板G1、第2樹脂レンズL2で構成された第1接合型複合レンズ群HL1、第1単一レンズML1、赤外線カットフィルターIRCF、撮像素子IMAの順に配置されている。
本実施例の設計データを図8A及び図8Bに示す。
このとき、焦点距離f=1.542mm、レンズ全長TL=1.778mm、F値F=3.0
センサー対角長IH=1.8mm、対角画角FOV=60.4°となる。
撮像画角FOVが60°以上と広角でかつF値F=3と、固定焦点の小型撮像レンズとしては十分明るいレンズユニットになっている。さらに、センサーの対角長IHよりも、レンズ全長TLが短くなっており、非常に背の低いレンズユニットとなっている。また、バックフォーカスbfが充分確保できているので、背の低いユニットでありながら0.3mmの赤外線カットフィルターIRCFを撮像素子との間に挿入することが可能となっている。
本実施例では、第1樹脂レンズL1に屈折率1.513でアッベ数53のUV硬化型樹脂、第2樹脂レンズに屈折率1.602でアッベ数28のUV硬化型樹脂、第1ガラス平行平板G1にショット社製の屈折率1.568でアッベ数55.98のN−BAK4を使用している。樹脂レンズとガラス平行平板は、物体側から順に屈折率が増加するように配置されており、(1)式、及び(3)から(9)式を満足している(図15参照)。さらに、第1接合型複合レンズ群の後方には、熱硬化型樹脂で形成された第1単一レンズML1が配置されている。
図9Aは本実施例の縦球面収差図、図9Bは本実施例の非点収差図、図9Cは本実施例の歪曲収差図である。球面収差は入射瞳内において、0.02mm以内であり非点収差も撮像画角内で0.05mm以内、歪曲収差も4%以内と、2群構成のレンズとしては充分に収差が補正されていることがわかる。
また、図10は本実施例の倍率色収差図である。本実施例では、接合型複合レンズ群HL1内でアッベ数の差を利用した色収差補正が試みられている。それぞれの波長と色の関係は、赤が0.6563μm、緑が0.5876μm、青が0.4861μmとして図に記載されている。図は緑の波長を基準としたときの青と赤の波長による撮像画角に対する結像点のズレを示している。本実施例では撮像画角全域について、青と赤のズレは1μm以内であり、倍率色収差が良く補正されている。さらに、軸上の色収差も青と赤の波長による差が15μm以内となり、非常によく補正されている。従って撮像素子から得られる画像の色滲みは発生せず、コントラストの良い画像が得られる。
図11は、第3の実施例におけるレンズユニット構成図である。物体側から開口絞りSt、第1樹脂レンズL1、第1ガラス平行平板G1、第2樹脂レンズL2で構成された第1接合型複合レンズ群HL1、第1単一レンズML1、第3樹脂レンズL3,第2ガラス平行平板G2、第4樹脂レンズL4で構成された第2接合型複合レンズ群HL2、赤外線カットフィルターIRCF、撮像素子IMAの順に配置されている。
本実施例の設計データを図12A及び図12Bに示す。
このとき、焦点距離f=3.502mm、レンズ全長TL=4.101mm、F値F=2.8
センサー対角長IH=4.48mm、対角画角FOV=65.2°となる。
撮像画角FOVが65°以上と広角で、かつF値もf=2.8と、固定焦点の小型撮像レンズとしては十分明るいレンズユニットになっている。さらに、センサーの対角長IHよりも、レンズ全長TLが短くなっており、非常に背の低いレンズユニットとなっている。また、バックフォーカスが充分確保できているので、背の低いユニットでありながら0.3mmの赤外線カットフィルターIRCFを撮像素子との間に挿入することが可能となっている。また、第1ガラス平行平板G1は、0.15mmと非常に薄いガラス平行平板となっているが、個片のガラスであれば問題なく接合型複合レンズを形成できる。
本実施例で、第1接合型複合レンズ群HL1を構成する材料は、第1樹脂レンズL1が屈折率1.513でアッベ数53のUV硬化型樹脂、第2樹脂レンズが屈折率1.625でアッベ数23.5のUV硬化型樹脂、第1ガラス平行平板G1がショット社製の屈折率1.568でアッベ数55.98のN−BAK4である。また、第2接合型複合レンズ群HL2を構成する材料は、第3樹脂レンズL3が屈折率1.47でアッベ数が54.7のUV硬化型樹脂、第4樹脂レンズL4が、屈折率1.526でアッベ数が54のUV硬化型樹脂、第2ガラス平行平板が屈折率1.5168でアッベ数が64.16のショット社製N−BK7である。第1単一レンズML1は屈折率が1.602でアッベ数が28のUV硬化型樹脂を使用している。
第1接合型複合レンズ群HL1の樹脂レンズとガラス平行平板は、物体側から順に屈折率が増加するように配置されており、(1)から(8)式を満足している。さらに、第2接合型複合レンズ群HL2の樹脂レンズとガラス平行平板も、物体側から順に屈折率が増加するように配置されており、(1)から(6)式、及び(8)式を満足している(図15参照)。第1接合型複合レンズ群HL1と第2接合型複合レンズ群HL2の間には、UV硬化型樹脂で形成された第1単一レンズML1が配置されている。
図13Aは本実施例の縦球面収差図、図13Bは本実施例の非点収差図、図13Cは本実施例の歪曲収差図である。球面収差は入射瞳内において、0.05mm以内であり非点収差も撮像画角内で0.1mm以内、歪曲収差も1%以内と、3群構成のレンズとしては、充分に収差が補正されている。
また、図14は本実施例の倍率色収差図である。一般的な3群構成のレンズでは、2群目のレンズにアッベ数が低い材料を使用することで、色収差補正を行うが、本実施例では、第1接合型複合レンズ群HL1の中でも色収差補正を行っているので、一般的な3群構成レンズに比べて、全撮像画角の中で青と赤のズレが0.5μm以内と、非常に良好な色収差補正が実現されている。従って撮像素子から得られる画像の色滲みは発生せず、非常にコントラストの良い画像が得られる。
以上のように、本発明で提示した撮像レンズを用いると、角度の大きい光線が入射しても、フレアやゴースト像のような光学不良が発生しづらく、かつ光学特性を悪化させる諸収差が充分補正され、小型で高性能なレンズ系が実現できている。
L1 平行平板に接合された樹脂レンズのうち、物体側から数えて最初の樹脂レンズ
L2 平行平板に接合された樹脂レンズのうち、物体側から数えて2番目の樹脂レンズ
L3 平行平板に接合された樹脂レンズのうち、物体側から数えて3番目の樹脂レンズ
L4 平行平板に接合された樹脂レンズのうち、物体側から数えて4番目の樹脂レンズ
G1 物体側から数えて最初のガラス平行平板
G2 物体側から数えて2番目のガラス平行平板
HL1 物体側から数えて最初の接合型複合レンズ群
HL2 物体側から数えて2番目の接合型複合レンズ群
ML1 物体側から数えて最初の単一材料で形成されたレンズ
IRCF 赤外線カットフィルター
IMA 撮像素子
S1 物体側から数えて最初の面
S2 物体側から数えて2番目の面
S3 物体側から数えて3番目の面
S4 物体側から数えて4番目の面
S5 物体側から数えて5番目の面
S6 物体側から数えて6番目の面
S7 物体側から数えて7番目の面
S8 物体側から数えて8番目の面
S9 物体側から数えて9番目の面
S10 物体側から数えて10番目の面
S11 物体側から数えて11番目の面
S14 物体側から数えて12番目の面
本発明は、CCD型撮像素子やCMOS型撮像素子等の固体撮像素子を用いた、小型撮像装置の撮像レンズに関する。
従来、携帯電話等で使用される撮像レンズは、大量生産及びコストの面から、熱可塑性プラスチックを用いた射出成形法により製造されることが多い。一方で、近年では工程の簡素化やコストダウンに対応するため、レンズモジュールのリフロー工程対応が求められており、特に半田リフロー工程に耐えうる撮像レンズが要請されるようになってきている。この様な要請に対して、熱可塑性樹脂レンズでは半田リフロー工程温度に対応できないことから、様々な手法の耐熱撮像レンズが提案され始めている。
これらの高耐熱レンズの一例として、特許文献1に光学ガラスと耐熱性に優れたUV硬化や熱硬化型樹脂を組み合わせた、ハイブリッドレンズの1種である接合型複合レンズが開示されている。この接合型複合レンズは、耐熱性の課題以外にも、ガラスと樹脂材料の屈折率差を一定値以内に制御することで、接合型複合レンズで問題となる界面反射を解決している。
さらに、回折面を使用することなく、色収差低減を図るために、透明な平行平板の両面に形成されるレンズのアッベ数を所定の値に制御して接合型複合レンズを構成する手法が特許文献2に開示されている。
特許3926380 特許4293291
以上のように、接合型複合レンズは、耐熱性に優れたエネルギー硬化型樹脂とガラスを組み合わせることで、例えば半田リフロー対応のような、樹脂レンズでは適用が困難な場面で使用され始めている。
ガラスレンズは半田リフロー工程の温度では、形状変化や性能劣化を起こさない。しかし、諸収差を低減するために良く用いられる非球面レンズをガラス材料で作成すると非常に高コストとなることが知られている。ガラスの非球面レンズを作成する場合、大量生産が可能な手法として、非球面ガラスモールドという手法が広く行われている。低融点ガラスと金型を用いて非球面ガラスレンズを製造する手法であるが、従来の射出成形法で得られるプラスチックレンズや、ガラスと硬化型樹脂を使用する接合型複合レンズよりも、高コストな手法である。ガラスモールド法は、ガラスの屈伏点以上に加熱された金型上に、体積管理され、目的非球面形状に比較的近い形状を持つ精密プリフォームをセットし、もう一方の金型で押しつぶすことにより両面、あるいは片面に非球面を形成する手法である。体積管理された精密プリフォームが高価である上、高温にさらされる金型の寿命は短く、大量生産を行う場合は、多数の金型を準備する必要がある。このため低コストのレンズを供給することが困難である。
一方で、接合型複合レンズでは非球面部を硬化型樹脂で形成するため、形状の自由度が高く、金型温度はUV硬化型樹脂では室温程度、熱硬化型樹脂でも200℃程度と、ガラスモールド法の工程温度400℃以上と比べると、非常に低温の工程となるため、金型の寿命が長い。さらに、工程時間はUV硬化型樹脂では、数秒から2分程度、熱硬化型樹脂でも1分から10分程度と、ガラスモールド法に比べてタクトが短い。また、耐熱性の高いUV硬化型樹脂や熱硬化型樹脂は、一般的に高価なことが多いが、接合型複合レンズでは球面ガラスや平行平板ガラスを使用するため、樹脂の使用体積が少なくて済む。従って、接合型複合レンズでは、半田リフロー温度に耐えうる耐熱レンズを安価に提供することが可能となる。
一方で、接合型複合レンズではガラスと樹脂の界面で、屈折率差に応じた反射が起きることが知られている。例えば屈折率1.4の樹脂と屈折率1.6のガラスを用いた接合型複合レンズでは、垂直に光線が入射した場合、0.44%の光線が界面で反射をする。この反射光線は設計上意図されてない光線のため、これらの光線が複数回反射をして撮像素子に入射した場合は、コントラスト低下の原因であるフレアや、明瞭な光点あるいは光の線のように確認されるゴースト像を形成するといった、不良要因となる。これらの界面反射を抑制するためには、ガラスと樹脂の屈折率差を0.1以内に制御することが効果的である。しかし、角度を持った光線が入射するとき、屈折率の高い媒質から低い媒質に入射する場合とその逆では、反射特性が異なる。光線が屈折率の高い媒質から低い媒質に臨界角以上の角度で入射した場合は、光線は屈折をせずに全反射する。一方で、屈折率が低い媒質から高い媒質へ入射した時は、臨界角は存在せず、従って全反射も発生しない。つまり、界面の反射を抑制するためには屈折率の差を0.1以内とする条件だけでは十分ではない。
さらに、接合型複合レンズで使用する樹脂のアッベ数差を大きくすると、色収差の補正が効果的に行える。しかし、一般的に樹脂の屈折率とアッベ数の関係は、線形関係があることが知られており、色収差を補正するためにアッベ数の差を大きくしようとすると、2つの樹脂間の屈折率の差も大きくなる。屈折率差が大きくなると、前述した通りガラスと樹脂の界面反射が増加し、フレアやゴースト像のような光学不良が発生する。従って色収差を補正するために、アッベ数のみに着目するのは光学性能を向上させる技術としては不十分である。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、界面反射を抑制でき、かつ諸収差が良く補正された撮像レンズを提供することにある。
以上の問題を解決するため本発明による撮像レンズは、光学ガラスで形成された平行平板ガラスの物体側面に物体側樹脂レンズ、像面側に像側樹脂レンズが接合された接合型複合レンズを1群とし、樹脂レンズはエネルギー硬化型樹脂で形成され、かつ以下の(1)から(8)の条件を満足するように構成される。
Figure 2013145399
ここで、光線が高屈折率媒質から低屈折率媒質に進入したときの、入射角度による界面反射率の変化を図1に、低屈折率媒質から高屈折率媒質に侵入したときの入射角度による界面反射率の変化を図2に示す。図1、図2ともに低屈折率媒質として、屈折率1.5の材料、高屈折率媒質として屈折率1.6の材料を例に計算を行っている。図1と2を比較すると、どちらも屈折率差は0.1であるが、角度を持った光線が入射した場合、図1では入射角65°近傍で、反射率は10%に達し、70°付近で反射率が100%となる。対して、図2では70°近傍で反射率10%程度である。この様に、垂直入射では差が発生しないが、角度を持つ入射光線に対して、低屈折率媒質から高屈折率媒質へ進行する光線の方が、全ての角度で反射率は低くなる。ここで、図1と2中に示したS偏光は入射面に対して平行に振動する光である。またP偏光は入射面に対して垂直に振動する光である。
さらに、(2)式を満たすことで、像側樹脂レンズの屈折率を大きくすることが可能となる。屈折率を大きくすることができれば、レンズの屈折力が同じときは曲率半径の値を大きくすることができる。また、屈折率差を大きくすることで、本発明の接合型複合レンズを含む2群構成以上の撮像レンズユニットの場合は、球面収差や像面湾曲を効率良く補正することが可能となる。例えば(1)式と(2)式を満足し、正の屈折力を持つ物体側レンズと負の屈折力を持つ像側レンズとして接合型複合レンズを構成すれば、球面収差の補正に有利となり、負の屈折力を持つ物体側レンズと、正の屈折力を持つ像側レンズとして構成すれば、像面湾曲の補正に有利となる。
これらの式は全て隣り合う媒質同士で定義された関係である。平行平板ガラスを中間におき、物体側樹脂レンズと像側樹脂レンズは直接接触していないので、平行平板ガラスと両者の樹脂の屈折率を(1)から(6)式で制御すれば、像側樹脂レンズの屈折率は物体側樹脂レンズよりも0.2までは大きくすることが可能となり、高屈折率材料を使用して効率良く収差補正が行える。一方で屈折率差が0.05を下回ると、収差補正の効果が少なくなる。
便宜上、1群のレンズとして説明しているが、2枚以上の複数枚撮像レンズで、本発明の接合型複合レンズが最低1群以上含まれていれば、その効果を実現することが可能となるので、本発明はレンズ枚数に何ら拘束されるものではない。
ここで使用するエネルギー硬化型樹脂は、外部からエネルギーを受けることにより、架橋反応あるいは重合反応が進む材料のことを指す。外部エネルギーとしては、例えば、熱や紫外線、電子線などが挙げられる。この様なエネルギー硬化型樹脂としては、エネルギーのタイプによって、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型などが挙げられ、材料系のタイプとしては、シリコーン系、エポキシ系、アクリル系が一般的に知られている。この様に、エネルギー硬化型樹脂の種類は多岐に渡るが、光学的に充分透明であれば、本発明の樹脂レンズ材料として、使用可能である。ここでの透明との限定は、使用波長範囲で使用に耐えうる程度に、材料の光吸収及び散乱が少ないことを意味する。
色収差は、波長により集光点が異なることにより発生する収差であり、収差の程度は使用する材料の色分散に依存する。色分散が有限の値を持つ限りは、単一材料では色収差を取り除くことは原理的に不可能であるが、色分散の異なる材料を組み合わせ、かつ最適なレンズ曲面形状を取ることで、これらの色収差を効率良く補正することが可能である。色分散は材料固有の値であり、この逆数がアッベ数である。色収差の補正でよく行われるのが、アッベ数の大きい材料、つまり色分散の少ない材料で集光作用を持つレンズを作成し、アッベ数の小さい材料、つまり色分散の大きい材料で発散作用を持つレンズを作成し、発生する正負の色収差を打ち消すという手法である。
本発明では、ガラスと樹脂の接合部分は平面のため、物体側と像側それぞれに配置できるレンズは、平凸レンズか平凹レンズとなる。式(1)、(3)―(6)によって、それぞれの樹脂レンズと平行平板ガラスの屈折率とアッベ数には界面反射を抑制するための制限が設けられているので、物体側から像側に向かって、屈折率が増加する配置となる。アッベ数と屈折率の間には線形関係が存在し、特に樹脂材料の場合は異常分散を示す材料が無いことから、屈折率が高いほどアッベ数が低くなる。従って本発明では(7)式を満たすためには、屈折率が低い材料、つまりアッベ数の高い材料を物体側レンズとし、屈折率が高い、つまりアッベ数が低い材料を像側レンズとして構成しなければならない。色消しの原理からアッベ数の高い材料に正の屈折力を持たせる必要があるので、物体側樹脂レンズは物体側に凸面を向けた平凸レンズとなる。同様に、アッベ数が低い材料に負の屈折力を持たせる必要があるため、像側樹脂レンズは像側に凹面を向けた平凹レンズとなる。この様に構成した接合型複合レンズは、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなり、2群以上の撮像レンズの最も先頭に位置するレンズに効果的に使うことができる。
アッベ数の差が(7)式の下限以上であれば、効率よく色収差を補正することが可能となる。一方で、アッベ数の差について、上限を設けてあるが、これはこの上限を超えた樹脂材料の組み合わせを選択すると、ガラスと樹脂の屈折率差が(2)式と(3)式の上限を超えるため、界面反射が増加し、本発明の最大の効果である界面反射の抑制が実行できなくなるためである。
また、(8)式は平行平板ガラスのアッベ数に対する条件となる。本発明の色収差の補正は、平行平板ガラスを挟んで配置された2種類の樹脂レンズによって実現される。ここで、平行平板ガラスは両面が平面であるため、屈折力を持たないが、各入射光線がガラス媒質内を通過する距離は、入射角ごとに異なるため、色分散の少ない材料、つまり(8)式を満たすアッベ数の高い材料とすると、色収差補正の効果が維持できる。この式の下限を下回った場合は、2種類の樹脂材料で色収差補正をしても、補正不足となり色収差が残存するため、光学性能が劣化する。
(2)式は、物体側樹脂レンズと像側樹脂レンズの屈折率差を制御する条件である。前述したように、本発明では屈折率差を大きくすることにより、像側樹脂レンズに屈折率の高い樹脂材料を使用することが可能である。特に、色収差補正のために像側樹脂レンズは負の屈折力を持つように設定している。前述したとおり、像側樹脂レンズはガラスと接する面が平面のため、負の屈折力を持たせるためには、空気と接する面の形状は凹面になる。同様に、物体側樹脂レンズの形状は凸面になる。この様な形状を持つレンズ群では、凸面と凹面の屈折率差を大きくとることで、効果的に球面収差を補正することが可能となる。一方で、ペッツバール和を効果的に減少させ、像面湾曲を低減させるための、レンズ形状組み合わせは、高屈折率材料の凸面と低屈折材料の凹面であり前記のようなレンズ形状組み合わせは不利となる。(2)式の条件内にある屈折率差の組み合わせであれば、球面収差補正と像面湾曲補正のバランスをとることが可能である。つまり、(2)式の下限以下では、球面収差を効果的に補正できなくなり、上限以上ではペッツバール和の増大により、像面湾曲を小さくすることが困難になるということである。
前記レンズ群に使用される平行平板ガラスが、樹脂レンズ形成前に個片に切り出されたガラスであると、薄いガラス板を使用して接合型複合レンズを製造することが可能となる。ウェハスケールレンズでは、数インチのガラスウェハに一括してレンズを形成するために、UV硬化あるいは熱硬化樹脂の硬化収縮によるガラスの破損やソリが発生する。一般的な熱硬化やUV硬化樹脂の硬化収縮率は2%から大きい場合は、10から15%にも達することが知られている。
個片のガラス片に1つのレンズを形成する場合、樹脂量が非常に少ないので、硬化収縮が要因のガラスへの応力は少ない。実験的に確かめた数値では、個片ガラスを用いた接合型複合レンズでは、厚みが0.1mmのガラス片でもレンズ群として構成が可能であった。一方で、ウェハスケールレンズの場合は、平行平板ガラスの厚みは0.3mm程度が限界といわれている。従って、個片ガラスを使用した方が、レンズの厚みを薄くすることが可能であり、フィルター部品等を挿入するのに十分なバックフォーカスを確保した状態で、撮像レンズを小型・低背化することが可能になる。
前記レンズ群の樹脂レンズ曲面を非球面として構成すると、少ないレンズ枚数で効率よく収差補正が行え、高性能な撮像レンズを提供することが可能となる。
本発明の撮像レンズでは、平行平板ガラス上に非球面を有する樹脂レンズを形成する際、非球面金型を用いることが出来る。非球面金型は高精度な非球面加工装置を使用し、加工することができる。射出成形法を用いたプラスチックレンズも、低融点ガラスを使用したガラスモールド法も、非球面を形成する場合は、非球面金型を使用している。本発明の接合型複合レンズも、同様に金型を用いることで、高精度な非球面レンズを形成することが可能である。
前記平行平板ガラスの少なくとも一方の面に、特定の波長を遮断することを目的とする蒸着膜を形成しても良い。
撮像レンズに使用されるCCDやCMOS型撮像素子は可視光領域以外にも感度を持つ。たとえば、赤外光線がそのまま撮像素子に入射すると、画質が劣化することが知られている。従って、不要な赤外光線をカットするために、レンズユニット内に赤外線カットフィルターが挿入される。本発明によると、接合型複合レンズに使用する平行平板ガラスのいずれか一方の面に、赤外光線をカットする膜を蒸着にて形成することが可能なので、別に赤外線カットフィルターを準備する必要は無い。従って、部品削減によるコストダウンが可能となる。さらに、フィルター部品を排除することにより、低背化が図れるようになる。
ここで、反射防止膜や赤外線カット膜などの光学薄膜は、干渉原理を利用して特定の波長あるいは波長粋を反射あるいは、反射防止するため、本発明の平行平板ガラスとエネルギー硬化型樹脂の間に、これらの光学薄膜が存在しても使用上問題は無い。
本発明の撮像レンズによれば、ガラスと樹脂を利用した接合型複合レンズ用いて、樹脂とガラスの屈折率を適正に制御することで、大きな入射角を持つ光線が入射した場合の界面反射を抑えながら、光学性能を劣化させる諸収差を十分補正し、小型で高性能なレンズ系を実現することができる。
高屈折率材料から低屈折率材料に入射する、光線角度と反射率の関係である。 低屈折率材料から高屈折率材料に入射する、光線角度と反射率の関係である。 本発明の接合型複合レンズ構造断面図である。 参考例1の撮像レンズユニット光路図である。 参考例1の光学設計データである。 参考例1の光学設計データである。 参考例1の縦球面収差図である。 参考例1の非点収差図である。 参考例1の歪曲収差図である。 参考例2の撮像レンズユニット光路図である。 参考例2の光学設計データである。 参考例2の光学設計データである。 参考例2の縦球面収差図である。 参考例2の非点収差図である。 参考例2の歪曲収差図である。 参考例2の倍率色収差図である。 実施例1の撮像レンズユニット光路図である。 実施例1の光学設計データである。 実施例1の光学設計データである。 実施例1の縦球面収差図である。 実施例1の非点収差図である。 実施例1の歪曲収差図である。 実施例1の倍率色収差図である。 参考例1、2、及び実施例1の条件式(2)から(7)の値である。
以下、図を参照して、本発明の実施の形態例について説明する。なお、各図
は、本発明に係る一構成例を図示するものであり、本発明が理解できる程度に各構成要素の断面形状や配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、本発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の条件等を用いることがあるが、これらの材料および条件は好適例の一つに過ぎず、従って、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
図3は本発明の撮像レンズ構成図である。平行平板ガラスの両面にエネルギー硬化型樹脂で形成された物体側樹脂レンズと像側樹脂レンズが接合されている。
ここで、以降の図面について、レンズユニットを挟んで光線入射側を物体側、結像側を像側とするとき、物体側から見て接合型複合レンズ群を構成する最初の物体側レンズを第1樹脂レンズL1とし、以降は平行平板ガラスに接合された樹脂レンズについて、順に数字を付すこととする。例えば、図3では、物体側レンズが第1樹脂レンズL1となり、像側レンズが第2樹脂レンズL2となる。また、平行平板ガラスについても同様に、物体側から見て最初の樹脂レンズが接合されている平行平板ガラスを第1平行平板ガラスG1,2つ目を第2平行平板ガラスG2と、英字の後ろに数字を付して表現する。よって、L5という表記は、物体側から平行平板に接合された5番目の樹脂レンズであり、G3は物体側から数えて3番目の平行平板ガラスということになる。さらに、平行平板ガラスとそれに接合される樹脂レンズで構成される接合型複合レンズ群については、物体側から見て最初の接合型複合レンズ群を第1接合型複合レンズ群HL1とし、その数に応じて物体側から順に数字を付して示す。つまり、物体側から見て2番目の接合型複合レンズ群であれば、第2接合型複合レンズ群HL2となる。さらに、単一材料で形成されるレンズについては、単一レンズとして、便宜上接合型複合レンズ群とは区別して扱う。これも物体側から順に第1単一レンズML1、第2単一レンズML2のように、数字を付して表現する。
また、図面内の各面を示す符号Siについては、物体側から見て最初の面を1番目としてS1と表記し、像側に向かうに従い1つずつ増加するように符号を付すこととする。ここで、樹脂レンズの平面と平行平板ガラスの接合面は別々の面として取り扱う。つまり、図3の場合、第1樹脂レンズL1の平面側の面がS2となり、第1平行平板ガラスG1の第1樹脂レンズL1と接する面がS3となる。以降の図について、全て上記の規則に準じて記号や符号を付する。
図4は、第1の参考例におけるレンズユニット構成図である。物体側から順に、入射瞳を決定する唯一の絞りである開口絞りSt、第1樹脂レンズL1、第1平行平板ガラスG1、第2樹脂レンズL2、余分な赤外光線を遮断する赤外線カットフィルターIRCF、撮像素子IMAの順に配置されている。ガラスと樹脂の接合面には界面密着力を強化するために、シランカップリング処理が施されている。シランカップリング剤は樹脂とガラス双方に結合可能な材料で、ハイブリッドレンズでのガラスと樹脂の界面密着力強化に広く利用されている。
また本参考例1の設計データを図5A及び図5Bに示す。
このとき、焦点距離f=1.162mm、レンズ全長TL=1.659mm、F値F=3.0、
センサー対角長IH=1.4mm、対角画角FOV=60.3°となる。
なお、屈折率はd線波長の値を使用している。焦点距離fはd線基準の値を使用し、レンズ全長TLは第1樹脂レンズの物体側面から、撮像素子面までの光軸に沿って計算された距離、F値Fは撮像レンズの明るさを示す値で、センサー対角長IHは撮像素子の対角長さ、対角画角FOVは対角長IHの撮像素子を用いたときの、レンズユニットが撮像できる物体側の撮像角度である。また、平面については曲率∞として表記してある。
この発明で使用される非球面は、次の式で与えられる。
Figure 2013145399
図5A、図5B、図8A、図8B、図12A、図12B内で非球面係数を表す数値は指数表示であり、「E−1」は「10−1」を意味する。
参考例1では、L1に屈折率1.513でアッベ数53のUV硬化型樹脂、第2樹脂レンズに屈折率1.602でアッベ数28のUV硬化型樹脂、平行平板ガラスG1にショット社製の屈折率1.568でアッベ数55.98のN−BAK4を使用している。樹脂レンズと平行平板ガラスは、物体側から順に屈折率が増加するように配置されており、(1)から(6)式、及び(8)式を満足している(図15参照)。
図6Aは参考例1の縦球面収差図、図6Bは参考例1の非点収差図、図6Cは参考例1の歪曲収差図である。球面収差は入射瞳内において、0.1mm以内であり非点収差も撮像画角内で0.2mm以内、歪曲収差も4%以内と、1群構成のレンズとしては、充分に収差が補正されていることがわかる。
図7は、第2の参考例におけるレンズユニット構成図である。物体側から開口絞りSt、第1樹脂レンズL1、第1平行平板ガラスG1、第2樹脂レンズL2で構成された第1接合型複合レンズ群HL1、第1単一レンズML1、赤外線カットフィルターIRCF、撮像素子IMAの順に配置されている。
参考例2の設計データを図8A及び図8Bに示す。
このとき、焦点距離f=1.542mm、レンズ全長TL=1.778mm、F値F=3.0
センサー対角長IH=1.8mm、対角画角FOV=60.4°となる。
撮像画角FOVが60°以上と広角でかつF値F=3と、固定焦点の小型撮像レンズとしては十分明るいレンズユニットになっている。さらに、センサーの対角長IHよりも、レンズ全長TLが短くなっており、非常に背の低いレンズユニットとなっている。また、バックフォーカスbfが充分確保できているので、背の低いユニットでありながら0.3mmの赤外線カットフィルターIRCFを撮像素子との間に挿入することが可能となっている。
参考例2では、第1樹脂レンズL1に屈折率1.513でアッベ数53のUV硬化型樹脂、第2樹脂レンズに屈折率1.602でアッベ数28のUV硬化型樹脂、第1平行平板ガラスG1にショット社製の屈折率1.568でアッベ数55.98のN−BAK4を使用している。樹脂レンズと平行平板ガラスは、物体側から順に屈折率が増加するように配置されており、(1)〜(6)式、及び(8)式を満足している(図15参照)。さらに、第1接合型複合レンズ群の後方には、熱硬化型樹脂で形成された第1単一レンズML1が配置されている。
図9Aは本参考例2の縦球面収差図、図9Bは本参考例2の非点収差図、図9Cは本参考例2の歪曲収差図である。球面収差は入射瞳内において、0.02mm以内であり非点収差も撮像画角内で0.05mm以内、歪曲収差も4%以内と、2群構成のレンズとしては充分に収差が補正されていることがわかる。
また、図10は本参考例2の倍率色収差図である。本参考例2では、接合型複合レンズ群HL1内でアッベ数の差を利用した色収差補正が試みられている。それぞれの波長と色の関係は、赤が0.6563μm、緑が0.5876μm、青が0.4861μmとして図に記載されている。図は緑の波長を基準としたときの青と赤の波長による撮像画角に対する結像点のズレを示している。本参考例2では撮像画角全域について、青と赤のズレは1μm以内であり、倍率色収差が良く補正されている。さらに、軸上の色収差も青と赤の波長による差が15μm以内となり、非常によく補正されている。従って撮像素子から得られる画像の色滲みは発生せず、コントラストの良い画像が得られる。
図11は、本実施例1におけるレンズユニット構成図である。物体側から開口絞りSt、第1樹脂レンズL1、第1平行平板ガラスG1、第2樹脂レンズL2で構成された第1接合型複合レンズ群HL1、第1単一レンズML1、第3樹脂レンズL3,第2平行平板ガラスG2、第4樹脂レンズL4で構成された第2接合型複合レンズ群HL2、赤外線カットフィルターIRCF、撮像素子IMAの順に配置されている。
実施例1の設計データを図12A及び図12Bに示す。
このとき、焦点距離f=3.502mm、レンズ全長TL=4.101mm、F値F=2.8
センサー対角長IH=4.48mm、対角画角FOV=65.2°となる。
撮像画角FOVが65°以上と広角で、かつF値もf=2.8と、固定焦点の小型撮像レンズとしては十分明るいレンズユニットになっている。さらに、センサーの対角長IHよりも、レンズ全長TLが短くなっており、非常に背の低いレンズユニットとなっている。また、バックフォーカスが充分確保できているので、背の低いユニットでありながら0.3mmの赤外線カットフィルターIRCFを撮像素子との間に挿入することが可能となっている。また、第1平行平板ガラスG1は、0.15mmと非常に薄い平行平板ガラスとなっているが、個片のガラスであれば問題なく接合型複合レンズを形成できる。
実施例1で、第1接合型複合レンズ群HL1を構成する材料は、第1樹脂レンズL1が屈折率1.513でアッベ数53のUV硬化型樹脂、第2樹脂レンズが屈折率1.625でアッベ数23.5のUV硬化型樹脂、第1平行平板ガラスG1がショット社製の屈折率1.568でアッベ数55.98のN−BAK4である。また、第2接合型複合レンズ群HL2を構成する材料は、第3樹脂レンズL3が屈折率1.47でアッベ数が54.7のUV硬化型樹脂、第4樹脂レンズL4が、屈折率1.526でアッベ数が54のUV硬化型樹脂、第2平行平板ガラスが屈折率1.5168でアッベ数が64.16のショット社製N−BK7である。第1単一レンズML1は屈折率が1.602でアッベ数が28のUV硬化型樹脂を使用している。
第1接合型複合レンズ群HL1の樹脂レンズと平行平板ガラスは、物体側から順に屈折率が増加するように配置されており、(1)から(8)式を満足している。さらに、第2接合型複合レンズ群HL2の樹脂レンズと平行平板ガラスも、物体側から順に屈折率が増加するように配置されており、(1)から(6)式、及び(8)式を満足している(図15参照)。第1接合型複合レンズ群HL1と第2接合型複合レンズ群HL2の間には、UV硬化型樹脂で形成された第1単一レンズML1が配置されている。
図13Aは本実施例1の縦球面収差図、図13Bは本実施例1の非点収差図、図13Cは本実施例1の歪曲収差図である。球面収差は入射瞳内において、0.05mm以内であり非点収差も撮像画角内で0.1mm以内、歪曲収差も1%以内と、3群構成のレンズとしては、充分に収差が補正されている。
また、図14は本実施例1の倍率色収差図である。一般的な3群構成のレンズでは、2群目のレンズにアッベ数が低い材料を使用することで、色収差補正を行うが、本実施例1では、第1接合型複合レンズ群HL1の中でも色収差補正を行っているので、一般的な3群構成レンズに比べて、全撮像画角の中で青と赤のズレが0.5μm以内と、非常に良好な色収差補正が実現されている。従って撮像素子から得られる画像の色滲みは発生せず、非常にコントラストの良い画像が得られる。
以上のように、本発明で提示した撮像レンズを用いると、角度の大きい光線が入射しても、フレアやゴースト像のような光学不良が発生しづらく、かつ光学特性を悪化させる諸収差が充分補正され、小型で高性能なレンズ系が実現できている。
L1 平行平板に接合された樹脂レンズのうち、物体側から数えて最初の樹脂レンズ
L2 平行平板に接合された樹脂レンズのうち、物体側から数えて2番目の樹脂レンズ
L3 平行平板に接合された樹脂レンズのうち、物体側から数えて3番目の樹脂レンズ
L4 平行平板に接合された樹脂レンズのうち、物体側から数えて4番目の樹脂レンズ
G1 物体側から数えて最初の平行平板ガラス
G2 物体側から数えて2番目の平行平板ガラス
HL1 物体側から数えて最初の接合型複合レンズ群
HL2 物体側から数えて2番目の接合型複合レンズ群
ML1 物体側から数えて最初の単一材料で形成されたレンズ
IRCF 赤外線カットフィルター
IMA 撮像素子
S1 物体側から数えて最初の面
S2 物体側から数えて2番目の面
S3 物体側から数えて3番目の面
S4 物体側から数えて4番目の面
S5 物体側から数えて5番目の面
S6 物体側から数えて6番目の面
S7 物体側から数えて7番目の面
S8 物体側から数えて8番目の面
S9 物体側から数えて9番目の面
S10 物体側から数えて10番目の面
S11 物体側から数えて11番目の面
S14 物体側から数えて12番目の面

Claims (4)

  1. 光学ガラスで形成された平行平板ガラスの物体側面に物体側樹脂レンズ、像面側に像側樹脂レンズが接合された接合型複合レンズを1群とし、前記レンズ群を少なくとも1個以上含み、樹脂レンズはエネルギー硬化型樹脂で形成され、かつ以下の(1)から(8)式を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
    Figure 2013145399
    ここで、
    N1:前記物体側樹脂レンズの屈折率
    N2:前記ガラス平行平板の屈折率
    N3:前記像側樹脂レンズの屈折率
    u1 :前記物体側樹脂レンズのアッベ数
    u2 :前記ガラス平行平板のアッベ数
    u3 :前記像側樹脂レンズのアッベ数
  2. 前記レンズ群に使用されるガラス平行平板が、樹脂レンズ形成前に個片に切り出されたガラスであることを特徴とする、請求項1に記載の撮像レンズ。
  3. 前記レンズ群の樹脂レンズ曲面が非球面であることを特徴とする、請求項1に記載の撮像レンズ。
  4. 前記ガラス平行平板の少なくとも一方の面に、特定の波長を遮断することを目的とする蒸着膜が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の撮像レンズ。
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