JP2013145282A - 感光性樹脂組成物、感光性積層体、フレキシブル回路基板、及び永久パターン形成方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性積層体、フレキシブル回路基板、及び永久パターン形成方法 Download PDF

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泰明 松下
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Abstract

【課題】硬化膜の表面粗さと基板の反りとが共に抑えられ、かつ耐折性にも優れたソルダーレジストを形成するのに好適な感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂、(B)ラジカル重合性化合物、(C)熱架橋剤、(D)光重合開始剤、及び(E)消泡剤を含む感光性樹脂組成物であって、前記(A)ポリウレタン樹脂が、下記一般式(U1)で表される部分構造を有し、前記(E)消泡剤が、シリコーン骨格を有する消泡剤および/またはフッ素置換基を有するポリマーからなる消泡剤を含むことを特徴とする、感光性樹脂組成物。
Figure 2013145282

一般式(U1)において、LU1はエチレン性不飽和基およびカルボキシル基を含まない2価の連結基を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、フレキシブル基板用ソルダーレジスト材料として好適な感光性樹脂組成物、並びに、該感光性樹脂組成物を用いた感光性積層体、フレキシブル回路基板、及び永久パターン形成方法に関する。
従来より、ソルダーレジスト等の永久パターンを形成する方法としては、例えば、永久パターンが形成される銅張積層板等の基体上に、ロールコータ等を用いて感光性樹脂組成物を積層させて積層体を形成し、該積層体における感光層に対して露光を行い、該露光後、感光層を現像してパターンを形成させ、その後硬化処理等を行うことにより永久パターンを形成する方法等が知られている。より性能に優れた回路基板を得るためには、ソルダーレジストの表面粗さや基体の反りを抑えることが必要になる。
上記のような感光性樹脂組成物としては、(A)バインダーポリマーと、(B)有機フィラーと、(C)光重合性化合物と、(D)光重合開始剤と、を含有するものが提案されている(特許文献1)。
ソルダーレジストは、折り曲げた際に容易にクラックが発生してしまう性状では、フレキシブル基板用として用いることができない。すなわち、フレキシブル基板用ソルダーレジストには高度な耐折性が要求される。しかし、これまでフレキシブル基板用ソルダーレジストに用いられている感光性樹脂組成物では、十分な耐折性を有するソルダーレジストは得られていない。
ロールコータ、スクリーン印刷等を用いて感光性樹脂組成物を積層させて積層体を形成する際には、気泡の混入を防ぐために消泡剤が配合される。このような消泡剤としては、例えばシリコーン系消泡剤が知られている(例えば、特許文献2)。しかし、特定のバインダーと特定の消泡剤との組み合わせにより、硬化膜の表面性、耐折性、基板の反り等を改善できることは知られていない。
特開2010−169810号公報 特開2008−299293号公報
本発明は、硬化膜の表面粗さと基板の反りとが共に抑えられ、かつ耐折性にも優れたソルダーレジストを形成するのに好適な感光性樹脂組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、該感光性樹脂組成物を用いた感光性積層体、フレキシブル回路基板、及び永久パターン形成方法の提供を課題とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
<1>(A)酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂、(B)ラジカル重合性化合物、(C)熱架橋剤、(D)光重合開始剤、及び(E)消泡剤を含む感光性樹脂組成物であって、前記(A)ポリウレタン樹脂が、下記一般式(U1)で表される部分構造を有し、前記(E)消泡剤が、シリコーン骨格を有する消泡剤および/またはフッ素置換基を有するポリマーからなる消泡剤を含む、感光性樹脂組成物。
Figure 2013145282
一般式(U1)において、LU1はエチレン性不飽和基およびカルボキシル基を含まない2価の連結基を表す。
<2>前記(E)消泡剤が、シリコーン骨格を有する消泡剤を含むことを特徴とする、<1>に記載の感光性樹脂組成物。
<3>シリコーン骨格を有する消泡剤が、シリコーンオイルコンパウンド型消泡剤であることを特徴とする、<2>に記載の感光性樹脂組成物。
<4>前記一般式(U1)におけるLU1が、−(CHCHO)nU1CHCH−、−〔CHCH(CH)O〕nU1−CHCH(CH)−、−(CHCHCHCHO)nU1−CHCHCHCH−、下記一般式(LL1)で表される構造、下記一般式(LL2)で表される構造、下記一般式(LL3)で表されるポリブタジエンジオール残基、下記一般式(LL4)で表される構造、または下記一般式(LL5)で表される構造であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2013145282
ここで、nU1〜nU4、nおよびn’は各々独立に1以上の数を表す。RLL1、RLL2およびRは各々独立に2価の鎖状炭化水素基または2価の環状炭化水素基を表す。
<5>前記一般式(U1)におけるLU1の分子量が400〜8,000であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
<6>前記一般式(U1)におけるLU1の分子量が500〜5,000であることを特徴とする<5>に記載の感光性樹脂組成物。
<7>前記(A)ポリウレタン樹脂が、下記一般式(UE1)で表される部分構造を有することを特徴とする、<1>〜<6>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2013145282
一般式(UE1)において、LUEは主鎖の結合に−NHC(=O)O−もしくは−OC(=O)NH−を含まない2価の連結基であって、かつ側鎖にエチレン性不飽和基を1つ有する2価の連結基を表す。
<8>前記一般式(UE1)におけるLUEが、2つのウレタン結合の酸素原子と結合する主鎖が2価の脂肪族基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはこれらの組み合わせで構成されることを特徴とする<7>に記載の感光性樹脂組成物。
<9>前記一般式(UE1)が下記一般式(G1)で表されることを特徴とする<7>または<8>に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2013145282
一般式(G1)において、R〜Rは各々独立に水素原子または置換基を表し、Aは2価の有機基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子または−N(R12)−を表す。ここでR12は水素原子または置換基を表す。
<10>前記(A)ポリウレタン樹脂が、質量平均分子量が5,000〜60,000であり、固形分の酸価が10mgKOH/g〜120mgKOH/gであり、かつエチレン性不飽和基含有量が0.05mmol/g〜2.0mmol/gであることを特徴とする<1>〜<9>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
<11>前記(A)ポリウレタン樹脂が、当該樹脂中に、前記一般式(U1)で表される部分構造を、HO−LU1−OH(LU1はエチレン性不飽和基およびカルボキシル基を含まない2価の連結基を表す)換算での固形分質量比率で、10〜60%有することを特徴とする<1>〜<10>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
<12>前記(A)ポリウレタン樹脂が、少なくとも1種のジイソシアネート化合物、エチレン性不飽和基と2つの水酸基を有する少なくとも1種のジオール化合物、カルボキシル基と2つの水酸基を有する少なくとも1種のジオール化合物、エチレン性不飽和基とカルボキシル基のいずれも有さない少なくとも1種のジオール化合物とをそれぞれ反応させて得られる樹脂であることを特徴とする<1>〜<11>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
<13>前記ジイソシアネート化合物が、2,2−ジフェニルプロパン型、ジフェニルメタン型、ビフェニル型、ナフタレン型、フェナントレン型またはアントラセン型の骨格を有することを特徴とする<12>に記載の感光性樹脂組成物。
<14>基材上に、<1>〜<13>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を含む感光層を有することを特徴とする感光性積層体。
<15>基材上に、<1>〜<13>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を含む感光層を有し、該感光層を光硬化して得られるレジストパターンを有してなることを特徴とするフレキシブル回路基板。
<16>前記基材がポリイミドフィルムであることを特徴とする<15>に記載のフレキシブル回路基板。
<17><1>〜<13>のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を用いて形成した感光層に対して露光することを特徴とする永久パターン形成方法。
本発明の感光性樹脂組成物は、フレキシブル基板に要求される高度な耐折性を備えながら、表面性状にも優れ、かつ基板の反りをも抑制するソルダーレジストの形成に好適に用いることができる。
本発明の感光性積層体は、高度な耐折性を備えながら、表面性状にも優れ、かつ基板の反りをも抑制するソルダーレジストを形成することができる。
本発明のフレキシブル回路基板は、硬化膜の表面粗さと反りとがより抑えられており、かつ、高度な耐折性を備える。
本発明の永久パターン形成方法によれば、表面性状に優れ、かつ基板を反りを抑えることができ、しかも高度な耐折性を備えるソルダーレジストを形成することができる。
(感光性樹脂組成物)
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)特定の酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂(バインダー)と、(B)ラジカル重合性化合物と、(C)熱架橋剤と、(D)光重合開始剤と、(E)特定の消泡剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、難燃剤等、他の成分を含有する。
<バインダー>
前記バインダーである酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本発明においては、特に、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する酸変性ポリウレタン樹脂が好ましい。本発明において、側鎖とは、ポリウレタン樹脂の主鎖を構成する原子の鎖から分岐もしくは主鎖を構成する原子に置換して連結した鎖であり、側鎖にエチレン性不飽和基を有すとは、エチレン性不飽和基をこのような側鎖に含むか、主鎖を構成する原子にエチレン性不飽和基が直接置換している。例えば、HOCHCH=CHCHOHのジオールとOCN(CHNCOとの反応のみで得られるポリウレタン樹脂は主鎖にエチレン性不飽和基を含むものである。
また、エチレン性不飽和基とは、臭素価やヨウ素価の測定で消費されるエチレン結合を有する基であり、ベンゼンのような芳香族を示す基ではない。エチレン性不飽和基は置換基を有してもよいビニル基が好ましい。
酸変性樹脂とは、樹脂中に酸性基を有する樹脂である。酸性基としては、リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基、ホウ酸基、スルホンアミド基、フェノール性水酸基などが好ましく、カルボン酸がより好ましい。
本発明で使用する酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂の好ましい分子量、酸価およびエチレン性不飽和基含有量および感光性樹脂組成物の好ましい含有量を以下に説明する。
<<分子量>>
酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂の質量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5,000〜60,000が好ましく、5,000〜50,000がより好ましく、5,000〜40,000が特に好ましい。質量平均分子量が、5,000未満であると、本発明の感光性樹脂組成物を感光性ソルダーレジストに用いた場合には、硬化膜の高温時の十分な低弾性率が得られないことがあり、60,000を超えると、塗布適性及び現像性が悪化することがある。これに加えて、無機充填剤を使用した場合には、無機充填剤の分散性に優れ、クラック耐性と耐熱性にも優れ、アルカリ性現像液による非画像部の現像性に優れる。
ここで、前記質量平均分子量は、例えば、高速GPC装置(東洋曹達株式会社製、HLC−802A)を使用して、0.5質量%のTHF溶液を試料溶液とし、カラムはTSKgel HZM−M 1本を使用し、200μLの試料を注入し、前記THF溶液で溶離して、25℃で屈折率検出器又はUV検出器(検出波長254nm)により測定することができる。そして、標準ポリスチレンで較正した分子量分布曲線より質量平均分子量を求めた。
<<酸価>>
酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10mgKOH/g〜120mgKOH/gが好ましく、15mgKOH/g〜110mgKOH/gがより好ましく、20mgKOH/g〜90mgKOH/gが特に好ましい。酸価が、10mgKOH/g未満であると、現像性が不十分となることがあり、120mgKOH/gを超えると、現像速度が高すぎるため現像のコントロールが難しくなることがある。
ここで、酸価は、例えば、JIS K0070に準拠して測定することができる。なお、サンプルが溶解しない場合は、溶媒としてジオキサン又はテトラヒドロフランなどを使用する。なお、酸価は上記樹脂の固形分酸価である。
<<エチレン性不飽和基含有量>>
酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂のエチレン性不飽和基含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mmol/g〜2.0mmol/gが好ましく、0.3mmol/g〜1.9mmol/gがより好ましく、0.5mmol/g〜1.8mmol/gがさらに好ましく、0.7mmol/g〜1.8mmol/gがさらに好ましく、なかでも1.2mmol/g以下であることが特に好ましい。エチレン性不飽和基含有量が、0.05mmol/g未満であると、硬化膜の耐熱性が劣ることがあり、2.0mmol/gを超えると、耐折性が悪化することがある。
ここで、エチレン性不飽和基含有量は、例えば、臭素価を測定することにより求めることができる。前記臭素価は、例えば、JIS K2605に準拠して測定することができる。
なお、ここで、エチレン性不飽和当量は、代表的にはビニル基当量であり、上記臭素価で得られた測定する樹脂100gに対して付加した臭素(Br)のグラム数(gBr/100g)から、樹脂1g当たりの付加した臭素(Br)のモル数に変換した値である。
<<酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂の固形分濃度>>
本発明で使用するポリウレタン樹脂の溶液中の固形分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜75質量%がさらに好ましく、40〜75質量%がさらに好ましく、45〜75質量%がさらに好ましい。
前記固形分の含有量が、少なすぎると、感光性樹脂を調整した際の粘度が低下し、印刷性が付与できないことがあり、多すぎると、高粘度化し合成時及び感光性樹脂を調整した際に攪拌不良となり感光性樹脂が製造できないことがある。前記含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、良好な印刷適性と合成適性の両立の点で有利である。
以下に、本発明において好ましい側鎖にエチレン性不飽和結合を有する酸変性ウレタン樹脂を説明する。
側鎖にエチレン性不飽和結合を有する酸変性ウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その側鎖に、下記一般式(1)〜(3)で表される官能基のうち少なくとも1つを有するものが挙げられる。
Figure 2013145282
一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。ここで、1価の有機基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、ウレイド基、ウレタン基などが挙げられ、これらの基はさらにこれらの置換基で置換されていてもよい。なお、以降の各基や各一般式における1価の有機基もしくは置換基も同様の基が挙げられる。
1は、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基がより好ましい。また、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。R12は、置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。
ここで、上記の各基が有してもよい置換基(置換基を有してもよいアルキル基等における、有してもよい置換基)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記の1価の有機基で挙げた基が挙げられ、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基が好ましい。
Figure 2013145282
一般式(2)において、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。R〜Rとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ここで、1価の有機基としては、前記一般式(1)におけるR〜Rで挙げた基が挙げられる。R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
上記の各基が有してもよい置換基としては、前記一般式(1)と同様のものが挙げられる。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。R12は、前記一般式(1)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
Figure 2013145282
一般式(3)において、R〜R11は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表す。ここで、1価の有機基としては、前記一般式(1)におけるR〜Rで挙げた基が挙げられる。R9は、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基がより好ましい。R10及びR11は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
ここで、上記の各基が有してもよい置換基としては、一般式(1)と同様のものが挙げられる。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13は、水素原子、又は1価の有機基を表す。R13は、置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、ラジカル反応性が高い点で、メチル基、エチル基、イソプロピル基がより好ましい。
一般式(1)〜(3)で表される基のうち、一般式(1)で表される基が好ましく、架橋硬化膜形成性の点で、一般式(1)におけるRがメチル基でかつRとRが水素原子である基、一般式(1)におけるR〜Rがいずれも水素原子である基、一般式(3)におけるZがフェニレン基であるスチリル基が好ましく、一般式(1)におけるRがメチル基でかつRとRが水素原子である基、一般式(1)におけるR〜Rがいずれも水素原子である基がより好ましく、架橋硬化膜の形成性と生保存性との両立の点で、一般式(1)におけるRがメチル基でかつRとRが水素原子である基が特に好ましい。ここで、一般式(1)におけるXは酸素原子が好ましく、エチレン性不飽和基としては、メタクリロイルオキシ基またはアクリロイルオキシ基がなかでも好ましく、メタクリロイルオキシ基が最も好ましい。
側鎖にエチレン性不飽和基を導入するには、(i)エチレン性不飽和基をジイソシアネート化合物またはジオール化合物に有する化合物との重合反応で得る方法と、(ii)カルボキシル基含有ポリウレタンと、分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得る方法がある。
以後、(i)の方法で得られたポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(i)とも称し、(ii)の方法で得られたポリウレタン樹脂をポリウレタン樹脂(ii)とも称す。また、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂とはポリウレタン樹脂(i)と(ii)の両方を含むものである。
本発明においては、(i)の方法で得られたポリウレタン樹脂(i)が好ましい。
−ポリウレタン樹脂(i)−
ポリウレタン樹脂は、ジイソシアネート化合物とジオール化合物(少なくとも2つの水酸基を有する化合物)との反応で合成され、ポリウレタン樹脂(i)は、下記一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物の少なくとも1種と、下記一般式(5)で表されるジオール化合物の少なくとも1種と、の反応生成物で表される構造単位を基本骨格とするポリウレタン樹脂である。
OCN−X0−NCO ・・・ 一般式(4)
HO−Y0−OH ・・・・・ 一般式(5)
一般式(4)及び(5)において、X0及びY0は、それぞれ独立に2価の有機残基を表す。
前記一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物、又は、前記一般式(5)で表されるジオール化合物の少なくともどちらか一方が、前記一般式(1)〜(3)で表される基のうち少なくとも1つを有していれば、当該ジイソシアネート化合物と当該ジオール化合物との反応生成物として、側鎖に前記一般式(1)〜(3)で表される基が導入されたポリウレタン樹脂が生成される。かかる方法によれば、ポリウレタン樹脂の反応生成後に所望の側鎖を置換、導入するよりも、側鎖に前記一般式(1)〜(3)で表される基が導入されたポリウレタン樹脂を容易に製造することができる。
前記一般式(4)で表されるジイソシアネート化合物としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリイソシアネート化合物と、不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させて得られる生成物、などが挙げられる。
前記トリイソシアネート化合物としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0034〕〜〔0035〕に記載された化合物、などが挙げられる。
前記不飽和基を有する単官能のアルコール又は前記単官能のアミン化合物としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0037〕〜〔0040〕に記載された化合物、などが挙げられる。
側鎖に不飽和基を含有するジイソシアネート化合物を用いる方法におけるジイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、トリイソシアネート化合物と不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させることにより得ることできるジイソシアネート化合物であって、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0042〕〜〔0049〕に記載された側鎖に不飽和基を有する化合物、などが挙げられる。
ポリウレタン樹脂(i)は、重合性組成物中の他の成分との相溶性を向上させ、保存安定性を向上させるといった観点から、前記エチレン性不飽和基を含有するジイソシアネート化合物以外のジイソシアネート化合物を共重合させることもできる。
前記共重合させるジイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することでき、例えば、下記一般式(6)で表されるジイソシアネート化合物である。
OCN−L1−NCO ・・・ 一般式(6)
一般式(6)において、Lは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。必要に応じ、Lは、イソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基を有していてもよい。
前記一般式(6)で表されるジイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することでき、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物;などが挙げられる。
一般式(4)または(6)で表されるジイソシアネート化合物(特に一般式(6)で表されるジイソシアネート化合物)は異なる種類のものを組み合わせて用いてもよいが、耐折性を向上できる点で、少なくとも1種は芳香族のジイソシアネート化合物であることが好ましい。芳香族のジイソシアネート化合物としては、例えばビスフェノールA型(以下、2,2−ジフェニルプロパン型ともいう。)、ビスフェノールF型(以下、ジフェニルメタン型ともいう。)、ビフェニル型、ナフタレン型、フェナントレン型、又はアントラセン型の骨格を有するジイソシアネート化合物であることが好ましく、ビスフェノールA型又はビスフェノールF型の骨格を有するジイソシアネート化合物であることがより好ましい。
これらの各型の骨格は、下記一般式で表される。
Figure 2013145282
上記において、R、Rは各々独立に置換基を表し、置換基としては炭素数が2〜5のアルキル基が好ましい。lおよびlは各々独立に0〜4の整数を表す。lおよびlは0または1が好ましい。lは0〜6の整数を表す。lは0〜8の整数を表す。lは0〜2が好ましく、lは0または2が好ましい。l〜lが2以上の時、複数のR、Rは互いに同一でも異なってもよい。
前記ジイソシアネート化合物は芳香族のジイソシアネート化合物と脂肪族のジイソシアネート化合物を組み合わせることが、硬化後の反りを抑制し耐折性を向上する観点でより好ましい。芳香族のジイソシアネート化合物としては例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フェナントレン型、又はアントラセン型の骨格を有するジイソシアネート化合物であることが好ましく、ビスフェノールA型又はビスフェノールF型の骨格を有するジイソシアネート化合物であることがより好ましい。脂肪族のジイソシアネート化合物としては例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートがより好ましい。
前記一般式(5)で表されるジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物、などが挙げられる。
ここで、ポリウレタン樹脂の側鎖にエチレン性不飽和基を導入する方法としては、前述の方法の他に、ポリウレタン樹脂製造の原料として、側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物を用いる方法が好ましい。前記側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物は、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルのように市販されているものでもよいし、ハロゲン化ジオール化合物、トリオール化合物、アミノジオール化合物等の化合物と、不飽和基を含有する、カルボン酸、酸塩化物、イソシアネート、アルコール、アミン、チオール、ハロゲン化アルキル化合物等の化合物との反応により容易に製造される化合物であってもよい。
このようなエチレン性不飽和基を有するジオール化合物としては、下記一般式(UE)で表される化合物が好ましく、ポリウレタン樹脂中には、下記一般式(UE1)で表される部分構造を有することになる。
Figure 2013145282
一般式(UE)、(UE1)において、LUEは主鎖の結合に−NHC(=O)O−もしくは−OC(=O)NH−を含まない2価の連結基であって、かつ側鎖にエチレン性不飽和基を1つ有する2価の連結基を表す。
一般式(UE)で表される化合物は、下記一般式(UE−1)〜(UE−6)で表される化合物が好ましい。なお、下記一般式(UE−7)で表される化合物は、前記一般式(UE)で表される化合物以外に好ましい化合物である。
Figure 2013145282
一般式(UE−1)〜(UE−7)において、Eは単結合または2価の連結基(2価の有機残基)を表し、Eは単結合または−CH−以外の2価の連結基を表す。Aは2価の連結基を表す。Qは前記一般式(1)〜(3)のいずれかの基を表す。E、Eにおける2価の連結基としては、例えば、−O−、−S−、−OCH(CH−Q)CH−、−CO−CH−、−OCHC(CH−Q)CH−、−O−CONHCHCH−、−OC(=O)−、−CONHCHCH−、−CHC(CH−Q)CH−、−CH−、−NHCONHCHCH−、−NHCH(CH−Q)CH−、−NCH(CH−Q)CH−、−NHCHC(CH−Q)CH−、−NH−CH(CH−Q)CH−、−C(=O)−、−CO−CHCH−、−CO−CHCHCH−等が挙げられる。なお、ここで、Qは一般式(1)〜(3)のいずれかの基を表す。
これらの具体的な化合物は特開2005−250438号公報の段落「0057」〜「0060」に記載された化合物が挙げられる。
上記一般式(UE−1)〜(UE−7)で表される化合物のうち、前記一般式(UE−1)〜(UE−6)で表される化合物が好ましく、前記一般式(UE−6)で表される化合物がさらに好ましい。また、一般式(UE−6)で表される化合物のなかでも、下記一般式(G)で表される化合物が特に好ましい。なお、一般式(G)で表される化合物は、ポリウレタン樹脂中では、下記一般式(G1)で表される部分構造を有すことになる。
Figure 2013145282
一般式(G)、(G1)において、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Aは2価の有機残基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
なお、前記一般式(G)、(G1)におけるR〜R及びXは、前記一般式(1)におけるR1〜R3及びXと同義であり、好ましい態様もまた同様である。
一般式(G)で表される化合物は、特開2005−250438号公報の段落〔0064〕〜〔0066〕に記載された化合物が挙げられ、本発明に好ましい。
前記一般式(G)で表されるジオール化合物に由来するポリウレタン樹脂を用いることにより、立体障害の大きい2級アルコールに起因するポリマー主鎖の過剰な分子運動を抑制効果により、層の被膜強度の向上が達成できるものと考えられる。
本発明のポリウレタン樹脂(i)は酸変性であり、この酸変性における酸としてはカルボン酸、スルホン酸が挙げられるが、カルボン酸が特に好ましい。ポリウレタン樹脂(i)の合成には、カルボキシル基を有するジオール化合物を使用することで、酸変性することが好ましい。前記カルボキシル基を有するジオール化合物としては、例えば、以下の式(17)〜(19)に示すものが含まれる。
Figure 2013145282
式(17)〜(19)において、R15は、水素原子又は置換基(例えば、シアノ基、ニトロ基、−F、−Cl、−Br、−I等のハロゲン原子、−CONH、−COOR16、−OR16、−NHCONHR16、−NHCOOR16、−NHCOR16、−OCONHR16(ここで、R16は、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数7〜15のアラルキル基を表す。)などの各基が含まれる。)を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表すものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基が好ましい。前記式(17)〜(19)中、L、L10、L11は、それぞれ同一でもよいし、相違していてもよく、単結合、置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい。)を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表すものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基が好ましく、炭素数1〜8個のアルキレン基がより好ましい。また必要に応じ、前記L〜L11中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、エーテル基を有していてもよい。なお、前記R15、L、L10、L11のうちの2個又は3個で環を形成してもよい。
前記式(18)中、Arとしては、置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素基を表すものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数6〜15個の芳香族基が好ましい。
前記式(17)〜(19)で表されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カルボキシル基を有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2007−2030号公報の段落〔0047〕に記載された化合物、などが挙げられる。
このようなカルボキシル基の存在により、ポリウレタン樹脂に水素結合性とアルカリ可溶性といった特性を付与できるため好ましい。このようにカルボキシル基を導入することにより、酸価を、前述のような、本発明において好ましい範囲に調整することができる。
このようなカルボキシル基の存在により、ポリウレタン樹脂に水素結合性とアルカリ可溶性といった特性を付与できるため好ましい。このようにカルボキシル基を導入することにより、酸価を、前述のような、本発明において好ましい範囲に調整することができる。
また、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂の合成には、上述したジオール化合物の他に、テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させた化合物を併用することもできる。
前記テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させた化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0095〕〜〔0101〕に記載された化合物、などが挙げられる。
ポリウレタン樹脂(i)は、例えば、重合性組成物中の他の成分との相溶性を向上させ、保存安定性を向上させるといった観点から、前記側鎖にエチレン性不飽和基を含有するジオール化合物やカルボキシル基を含有するジオール化合物以外のジオール化合物を共重合させることができ、本発明においては、このようなジオール化合物を共重合させることが特に好ましい。
このようなジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子のジオール化合物やポリマージオール化合物であるポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物、m−ジヒドロキシベンゼンのポリカーボネート化合物などを挙げることできる。
このようなジオール化合物は、下記一般式(U)として表され、ポリウレタン樹脂として組み込まれると、下記一般式(U1)で表される部分構造で表される。
Figure 2013145282
一般式(U)及び(U1)において、LU1はエチレン性不飽和基およびカルボキシル基を含まない2価の連結基を表す。
U1は、例えば、アルキレン基、アリーレン基、2価のヘテロ環基が挙げられ、該アルキレン基は、アルキレン基の鎖中に−O−、−OCOO−、フェニレン基、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、−OCO−Z−COO−(Zはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を表す。)を含んでもよい。
一般式(U)で表されるジオール化合物のうち、低分子のジオール化合物としては、質量平均分子量が400未満のものが好ましく、例えば、特開2007−2030号公報の段落〔0048〕に記載された化合物、などが挙げられる。
本発明においては、ポリマージオール化合物が好ましく、以下に詳細に説明する。
−ポリマージオール化合物−
前記ポリマージオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック共重合体又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、テトラメチレングリコールとネオペンチルグリコールとのブロック共重合体又はランダム共重合体等のポリエーテルジオール類;多価アルコール又はポリエーテルジオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルジオール類;グリコール又はビスフェノールと炭酸エステルとの反応、あるいは、グリコール又はビスフェノールにアルカリの存在下でホスゲンを作用させる反応などで得られるポリカーボネートジオール類;カプロラクトン変性ポリテトラメチレンジオール等のカプロラクトン変性ポリマージオール、ポリオレフィン系ポリマージオール、水添ポリブタジエンジオール等のポリブタジエン系ポリマージオール、シリコーン系ポリマージオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明において好ましい化合物や部分構造は前記一般式(U)、(U1)におけるLU1が、−(CHCHO)nU1CHCH−、−〔CHCH(CH)O〕nU1−CHCH(CH)−、−(CHCHCHCHO)nU1−CHCHCHCH−、下記一般式(LL1)で表される構造、下記一般式(LL2)で表される構造または下記一般式(LL3)で表されるポリブタジエンジオール残基、下記一般式(LL4)で表される構造、または下記一般式(LL5)で表される構造である。
Figure 2013145282
ここで、RLL1、RLL2およびRは各々独立に2価の鎖状炭化水素基または2価の環状炭化水素基を表す。nU1〜nU4、nおよびn’は各々独立に1以上の数を表す。
2価の鎖状炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基又はアルキニレン基が好ましい。これらは分岐又は置換基を有していてもよい。より好ましい炭素数としては2〜8であり、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、2−メチル−テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2−ブテニレン基、2−ブチニレン基が好適な例として挙げられる。
2価の環状炭化水素基としては、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましく、6員環であることがさらに好ましい。単環でも縮合環でもよく、単環が好ましい。芳香族環、脂肪族環のいずれでもよい。このうち、芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい例として挙げられ、脂肪族環としては、シクロヘキサン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環が好ましい例として挙げられる。
また、一般式(U)で表される化合物は、後述の一般式(III−1)〜(III−5)で表されるジオール化合物も好ましい。
前記ポリエーテルジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0068〕〜〔0076〕に記載された化合物、などが挙げられる。
前記ポリエステルジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0077〕〜〔0079〕、段落〔0083〕〜〔0085〕におけるNo.1〜No.8及びNo.13〜No.18に記載された化合物、などが挙げられる。
前記ポリカーボネートジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0080〕〜〔0081〕及び段落〔0084〕におけるNo.9〜No.12で記載された化合物、などが挙げられる。
また、上述したジオール化合物の他に、イソシアネート基と反応しない置換基を有するジオール化合物を併用することもできる。
前記イソシアネート基と反応しない置換基を有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0087〕〜〔0088〕に記載された化合物、などが挙げられる。
このようなポリマージオール化合物の質量平均分子量は、400〜8,000であることが好ましく、500〜5,000であることがより好ましく、600〜3,000であることがさらに好ましく、800〜2,000であることが特に好ましい。質量平均分子量が、400未満であると、耐折性が十分に得られないことがあり、8,000を超えると、得られるポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)が低下しすぎるため、絶縁信頼性が低下してしまうことがある。
ここで、質量平均分子量は、例えば高速GPC装置(東洋曹達株式会社製、HLC−802A)を使用して、0.5質量%のTHF溶液を試料溶液とし、カラムはTSKgel HZM−M 1本を使用し、200μLの試料を注入し、前記THF溶液で溶離して、25℃で屈折率検出器あるいはUV検出器(検出波長254nm)により測定することができる。
酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂中における前記一般式(U1)で表される部分構造の質量比率は、10〜60%が好ましく、15〜60%であることがより好ましく、20〜55%であることがさらに好ましく、30〜50%であることがさらに好ましい。前記質量比率が10%未満であると硬化後の反り抑制が困難になることがあり、60%を超えると光硬化の感度が低下しすぎて解像性が悪化してしまうことがある。
また、本発明で使用する側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂としては、ポリマー末端、主鎖に不飽和基を有するものも好適に使用される。ポリマー末端、主鎖に不飽和基を有することにより、更に、感光性樹脂組成物と側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂との間、又は側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂間で架橋反応性が向上し、光硬化物強度が増す。ここで、不飽和基としては、架橋反応の起こり易さから、炭素−炭素二重結合を有することが特に好ましい。
ポリマー末端に不飽和基を導入する方法としては、以下に示す方法がある。即ち、上述した側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂の合成の工程での、ポリマー末端の残存イソシアネート基と、アルコール類又はアミン類等で処理する工程において、不飽和基を有するアルコール類又はアミン類等を用いればよい。このような化合物としては、具体的には、先に、不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物として挙げられた例示化合物と同様のものを挙げることができる。
なお、不飽和基は、導入量の制御が容易で導入量を増やすことができ、また、架橋反応効率が向上するといった観点から、ポリマー末端よりもポリマー側鎖に導入されることが好ましい。
導入されるエチレン性不飽和結合基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、架橋硬化膜形成性の点で、メタクリロイル基、アクリロイル基、スチリル基が好ましく、メタクリロイル基、アクリロイル基がより好ましく、架橋硬化膜の形成性と生保存性との両立の点で、メタクリロイル基が特に好ましい。
また、メタクリロイル基の導入量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エチレン性不飽和基含有量としては、0.05mmol/g〜2.0mmol/gが好ましく、0.3mmol/g〜1.90mmol/gがより好ましく、0.5mmol/g〜1.80mmol/gがさらに好ましく、0.7mmol/g〜1.8mmol/gが特に好ましい。
主鎖に不飽和基を導入する方法としては、主鎖方向に不飽和基を有するジオール化合物をポリウレタン樹脂の合成に用いる方法がある。前記主鎖方向に不飽和基を有するジオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばcis−2−ブテン−1,4−ジオール、trans−2−ブテン−1,4−ジオール、ポリブタジエンジオール、などが挙げられる。
本発明においては、本発明で使用する側鎖にエチレン性不飽和結合を有する酸変性ポリウレタン樹脂としては、ポリマー主鎖の末端に、少なくとも1つのカルボキシル基を有するものも、アルカリ性現像液による非画像部の現像性に優れる点で好適に用いられる。ポリマー主鎖の末端に、少なくとも1つのカルボキシル基を有し、2つ以上5つ以下のカルボキシル基を有することが好ましく、2つのカルボキシル基を有することが現像性に優れ、微細パターン形成性の点で特に好ましい。
なお、前記ポリウレタン樹脂における主鎖の末端は、2つあるが、片末端に少なくとも1つのカルボキシル基を有することが好ましく、両末端に少なくとも1つのカルボキシル基を有していてもよい。
前記ポリウレタン樹脂の主鎖の末端に、下記一般式(AD)で表される構造を有してもよい。
一般式(AD)
−L100−(COOH)
一般式(AD)において、L100は、(n+1)価の有機連結鎖を表し、nは1以上の整数を示し、1〜5が好ましく、2が特に好ましい。
100で表される有機連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される1以上の原子を含んで構成され、具体的には、L100で表される有機連結基の主骨格を構成する原子数は、1〜30が好ましく、1〜25がより好ましく、1〜20が更に好ましく、1〜10が特に好ましい。
なお、前記「有機連結基の主骨格」とは、前記ポリウレタン樹脂の主鎖と末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を意味し、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。
前記ポリウレタン樹脂の主鎖の末端に、少なくとも1つのカルボキシル基を導入する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリウレタン樹脂製造の原料として、少なくとも1つのカルボキシル基を有するカルボン酸化合物を用いる方法などが挙げられる。
前記カルボン酸化合物としては、カルボキシル基を1つ有するモノカルボン酸化合物、カルボキシル基を2つ有するジカルボン酸化合物、カルボキシル基を3つ有するトリカルボン酸化合物、カルボキシル基を4つ有するテトラカルボン酸化合物、カルボキシル基を5つ有するペンタカルボン酸化合物などが挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基を2つ有するジカルボン酸化合物が、現像性に優れ、微細パターン形成性の点で特に好ましい。
前記カルボン酸化合物としては、少なくとも1つのカルボキシル基を有すれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(ADH)で表される化合物が好適である。
一般式(ADH)
H−O−L200−Y100−L100−(COOH)n
一般式(ADH)において、L100及びnは、前記一般式(AD)と同じ意味を表す。Y100は2価以上の原子を表す。L200は単結合又は置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。
100における2価以上の原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、炭素原子、ケイ素原子、などが挙げられる。これらの中でも、窒素原子、炭素原子が特に好ましい。ここで、Y100で表される原子が2価以上であるとは、少なくともY100が、L100及びL200を介して末端−COOHが結合する2つの結合手を有することを意味するが、Y100は、更に水素原子、又は置換基を有していてもよい。
100に導入可能な置換基としては、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及びハロゲン原子から選択される原子を含んで構成される置換基が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1〜50の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1〜40の炭化水素基がより好ましく、炭素原子数1〜30の炭化水素基が特に好ましい。
200におけるアルキレン基としては、炭素原子数1〜20のアルキレン基が好ましく、炭素原子数2〜10のアルキレン基がより好ましい。前記アルキレン基に導入可能な置換基としては、例えばハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、置換基を有していてもよいアルキル基、などが挙げられる。
前記一般式(ADH)で表されるカルボン酸化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳酸、リンゴ酸、ヒドロキシへキサン酸、クエン酸、ジオール化合物と酸無水物の反応物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、リンゴ酸が特に好ましい。
本発明で使用するポリウレタン樹脂(i)の具体例としては、例えば、特開2005−250438号公報の段落〔0293〕〜〔0310〕に示されたP−1〜P−31のポリマー、などが挙げられる。これらの中でも、段落〔0308〕及び〔0309〕に示されたP−27及びP−28のポリマーが好ましい。
本発明で使用する側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂は、前記ジイソシアネート化合物及びジオール化合物を、非プロトン性溶媒中、それぞれの反応性に応じた活性の公知の触媒を添加し、加熱することにより合成される。合成に使用されるジイソシアネート及びジオール化合物のモル比(M:M)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1:1.2〜1.2:1が好ましく、アルコール類又はアミン類等で処理することにより、分子量あるいは粘度といった所望の物性の生成物が、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成される。
本発明で使用する側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂は、特に、前述のジイソシアネート化合物と、ジオール化合物として、分子内に2つの水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、分子内に2つの水酸基を有するカルボン酸および前述のポリマージオール化合物とを反応させて得ることが好ましく、これに加え、一般式(ADH)で表される、1つの水酸基とカルボキシル基を有する化合物を反応させて得ることが好ましい。
−ポリウレタン樹脂(ii)−
ポリウレタン樹脂(ii)は、カルボキシル基含有ポリウレタンと分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるポリウレタン樹脂である。
ポリウレタン樹脂(ii)は、ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジオールとを必須成分とするカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂と、分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるポリウレタン樹脂である。目的に応じて、ジオール成分として、質量平均分子量300以下の低分子ジオールや質量平均分子量500以上の低分子ジオールを共重合成分として加えてもよい。
ポリウレタン樹脂(ii)は、これを用いることにより、無機充填剤との安定した分散性や耐クラック性や耐衝撃性に優れることから、耐熱性、耐湿熱性、密着性、機械特性、電気特性が向上する。
また、前記ポリウレタン樹脂(ii)としては、置換基を有していてもよい2価の脂肪族及び芳香族炭化水素のジイソシアネートと、C原子及びN原子のいずれかを介してCOOH基と2つのOH基を有するカルボキシル基含有ジオールとを必須成分とした反応物であって、得られた反応物と、−COO−結合を介して分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるものであってもよい。
また、前記ポリウレタン樹脂(ii)としては、下記一般式(I)で示されるジイソシアネートと、前述のポリウレタン樹脂(i)において説明した式(17)〜(19)で表されるカルボキシル基含有ジオール化合物から選ばれた少なくとも1種とを必須成分とし、目的に応じて下記一般式(III−1)〜(III−5)もしくは前述の一般式(LL3)で示される質量平均分子量が800〜3,000の範囲にある高分子ジオールから選ばれた少なくとも1種との反応物であって、得られた反応物と、下記一般式(IV−1)〜(IV−16)で示される分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるものであってもよい。
OCN−R−NCO 一般式(I)
一般式(I)において、Rは、置換基(例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、及びハロゲン原子のいずれかが好ましい)を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素を表す。必要に応じて、Rは、イソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エステル基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基のいずれかを有していてもよい。
Figure 2013145282
一般式(III−1)〜(III−3)において、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ同一でもよいし、相異していてもよく、2価の脂肪族又は芳香族炭化水素を表す。R、R、R10及びR11は、それぞれ炭素数2個〜20個のアルキレン基又は炭素数6個〜15個のアリーレン基が好ましく、炭素数2個〜10個のアルキレン基又は炭素数6個〜10個のアリーレン基がより好ましい。Rは、炭素数1個〜20個のアルキレン基又は炭素数6個〜15個のアリーレン基を表し、炭素数1個〜10個のアルキレン基又は炭素数6個〜10個のアリーレン基がより好ましい。また、R、R、R、R10及びR11中には、イソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エーテル基、カルボニル基、エステル基、シアノ基、オレフィン基、ウレタン基、アミド基、ウレイド基、又はハロゲン原子などがあってもよい。
一般式(III−4)において、R12は、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。水素原子、炭素数1個〜10個のアルキル基、炭素数6個〜15個のアリール基、炭素数7個〜15個のアラルキル基、シアノ基又はハロゲン原子が好ましく、水素原子、炭素数1個〜6個のアルキル基及び炭素数6個〜10個のアリール基がより好ましい。また、R12中には、イソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、アルコキシ基、カルボニル基、オレフィン基、エステル基又はハロゲン原子などがあってもよい。
一般式(III−5)において、R13は、アリール基又はシアノ基を表し、炭素数6個〜10個のアリール基又はシアノ基が好ましい。mは、2〜4の整数を表す。
なお、前記一般式(III−1)〜(III−5)中、n、n、n、n及びnは、それぞれ2以上の整数を表し、2〜100の整数が好ましい。前記一般式(III−5)中、nは、0又は2以上の整数を示し、0又は2〜100の整数が好ましい。
Figure 2013145282
Figure 2013145282
一般式(IV−1)〜(IV−16)において、R14は、水素原子又はメチル基を表し、R15は、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、R16は、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。pは、0又は1〜10の整数を表す。
なお、カルボキシル基含有ポリウレタンと分子中にエポキシ基又はオキセタン基を有する化合物とを反応した場合、X、YまたはZがポリウレタン主鎖と連結する部分構造に、−CO−(β位またはγ位に水酸基もしくはアシルオキシ基が置換した脂肪族の基)−(*)を有する構造となる。ここで(*)側に一般式(1)〜(3)の部分構造が存在する。
また、前記ポリウレタン樹脂(ii)は、更に第5成分として、カルボキシル基非含有の低分子量ジオールを共重合させてもよく、該低分子量ジオール化合物としては、前記一般式(III−1)〜(III−5)もしくは前述の一般式(LL3)で表され、質量平均分子量が500以下のものである。該カルボキシル基非含有低分子量ジオールは、アルカリ溶解性が低下しない限り、また、硬化膜の弾性率が十分低く保つことができる範囲で添加することができる。
上記の低分子量ジオール化合物としては、例えば、特開2007−2030号公報の段落〔0048〕に記載された化合物、などが挙げられる。
前記ポリウレタン樹脂(ii)としては、特に、前記一般式(I)で示されるジイソシアネートと、前述の式(17)〜(19)で示されるカルボキシル基含有ジオールから選ばれた少なくとも1種とを必須成分とし、目的に応じて、一般式(III−1)〜(III−5)もしくは前述の一般式(LL3)で示される質量平均分子量が800〜3,000の範囲にある高分子ジオールから選ばれた少なくとも1種や、一般式(III−1)〜(III−5)もしくは前述の一般式(LL3)で示される質量平均分子量が500以下のカルボキシル基非含有の低分子量ジオールとの反応物に、更に一般式(IV−1)〜(IV−16)のいずれかで示される分子中に1個のエポキシ基と少なくとも1個の(メタ)アクリル基を有する化合物を反応して得られる、酸価が20mgKOH/g〜120mgKOH/gであるアルカリ可溶性光架橋性ポリウレタン樹脂が好適である。
なお、上記ポリウレタン樹脂(ii)においても、前記一般式(III−1)〜(III−5)もしくは前述の一般式(LL3)で表される化合物に替えて、または併用して、前述のポリウレタン樹脂(i)で説明した一般式(U)で表されるジオール化合物を使用することは好ましく、酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂中における前記一般式(U1)で表される部分構造の質量比率は、前述のポリウレタン樹脂(i)の場合と同様である。
これらの高分子化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ポリウレタン樹脂(ii)においても、ポリマー主鎖の末端に、少なくとも1つのカルボキシル基を有するものもが、ポリウレタン樹脂(i)と同様の効果を得るために好ましく、ポリウレタン樹脂(i)で説明したようなポリマー主鎖の末端封止方法や一般式(A)で表される基が好ましく、ポリウレタン樹脂(i)と好ましい範囲も同じである。
前記ポリウレタン樹脂(ii)としては、例えば、特開2007−2030号公報の段落〔0314〕〜〔0315〕に示されたU1〜U4、U6〜U11のポリマーにおけるエポキシ基及びビニル基含有化合物としてのグリシジルアクリレートを、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(商品名:サイクロマーA400、ダイセル化学株式会社製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(商品名:サイクロマーM400、ダイセル化学株式会社製)に代えたポリマー、などが挙げられる。
−カルボキシル基含有ポリウレタンと分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応して得られるポリウレタン樹脂(ii)の合成法−
前記ポリウレタン樹脂(ii)の合成方法としては、前記ジイソシアネート化合物及びジオール化合物を非プロトン性溶媒中、それぞれの反応性に応じた活性の公知な触媒を添加し、加熱することにより合成される。使用するジイソシアネート及びジオール化合物のモル比は、1:1.2〜1.2:1が好ましく、ポリマー末端にイソシアネート基が残存した場合、アルコール類又はアミン類等で処理することにより、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成される。
<<酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂の含有量>>
本発明で使用する酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂(i)、(ii)は、該特定ポリウレタン樹脂とは異なる構造を有するポリウレタン樹脂を含むアルカリ可溶性高分子を併用することも可能である。例えば、前記側鎖にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン樹脂は、は、主鎖及び/又は側鎖に芳香族基を含有したポリウレタン樹脂を併用することが可能である。
本発明で使用するポリウレタン樹脂の前記感光性樹脂組成物固形分(不揮発成分)中における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5〜80質量%が好ましく、10〜75質量%がより好ましく、10〜70質量%がさらに好ましく、10〜60質量%がさらに好ましく、10〜50質量%がさらに好ましく、20〜50質量%であることがさらに好ましく、30〜50質量%であることが特に好ましい。
前記含有量が、少なすぎると、耐折性が良好に保つことができないことがあり、多すぎると、耐熱性が破綻をきたすことがある。前記含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、良好な耐折性と耐熱性の両立の点で有利である。
<難燃剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、1種又は2種以上の難燃剤を含有することが好ましい。
難燃剤としては、リン系化合物や、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカンのような臭素化化合物、塩素化パラフィンのような塩素化化合物などが挙げられるが、リン含有難燃剤が好ましい。
<<リン含有難燃剤>>
リン含有難燃剤としては、例えば縮合リン酸化合物、ポリリン酸メラミン塩、フォスファゼン化合物、有機ホスフィン酸金属塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
縮合リン酸化合物としては、例えばレゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェートなどがあり、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えばCR−733S、CR−741、CR−747、PX−200(以上、大八化学株式会社製)、FP−600、FP−700(以上、アデカ社製)、レオフォスRDP、レオフォスBAPP(味の素ファインテクノ株式会社製)、などが挙げられる。
ポリリン酸メラミン塩としては、例えば下記一般式で表される化合物であり、nは1以上の数を表す。市販品を用いることができる。該市販品としては、例えばAP750、AP760、OP1312(以上、クラリアントジャパン社製)、FP−2100J、FP−2200(以上、アデカ社製)、ヒシガード 6ME(日本化学工業株式会社製)、FCP−770(鈴裕化学株式会社製)などが挙げられる。
Figure 2013145282
フォスファゼン化合物としては、例えば下記一般式で表される化合物が挙げられ、Rは水素原子、又は炭素数1〜8のアルキル基であり、市販品を用いることができる。該市販品としては、例えばSPS−100(大塚化学株式会社製)などが挙げられる。
Figure 2013145282
有機ホスフィン酸金属塩としては、例えば下記一般式で表されるものであり、AおよびBは各々独立に、アルキル基またはアリール基を表し、Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Ni、及びNaから選択される少なくとも1種であり、mは1〜4の整数を表す。ここで、Mは、Alが好ましい。また、AおよびBは炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。有機ホスフィン酸金属塩は、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えばOP−935(クラリアントジャパン社製)などが挙げられる。
Figure 2013145282
本発明においては、有機ホスフィン酸金属塩が特に好ましい。
上記難燃剤の前記感光性樹脂組成物固形分(不揮発成分)中の含有量は、5質量%〜33質量%が好ましく、10質量%〜25質量%がより好ましい。前記好ましい範囲内であれば、組成物の解像性に優れ、硬化膜の難燃性、耐折性、絶縁信頼性も良好に保つことができる。
<光重合開始剤>
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記光重合開始剤は、波長約300nm〜800nmの範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。前記波長は330nm〜500nmがより好ましい。
前記光重合開始剤としては、中性の光重合開始剤が好ましい。また、必要に応じてその他の光重合開始剤を含んでいてもよい。
前記中性の光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも芳香族基を有する化合物であることが好ましく、(ビス)アシルホスフィンオキシド又はそのエステル類、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物であることがより好ましい。前記中性の光重合開始剤は、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、例えば、(ビス)アシルホスフィンオキシド又はそのエステル類、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物などが挙げられる。これらの中でも、感光層の感度、保存性、及び感光層とプリント配線板形成用基板との密着性等の観点から、オキシム誘導体、(ビス)アシルホスフィンオキシド又はそのエステル類、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物が好ましい。
前記(ビス)アシルホスフィンオキシド、前記アセトフェノン系化合物、前記ベンゾフェノン系化合物、前記ベンゾインエーテル系化合物、前記ケタール誘導体化合物、前記チオキサントン化合物としては、例えば、特開2010−256399号公報の段落〔0042〕に記載された(ビス)アシルホスフィンオキシド、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物などが挙げられる。
前記オキシム誘導体としては、例えば、特開2010−256399号公報の段落〔0043〕〜〔0059〕に記載されたオキシム誘導体などが挙げられる。
前記光重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤の前記感光性樹脂組成物固形分中の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜30質量%が好ましく、0.5質量%〜20質量%がより好ましく、0.5質量%〜15質量%が特に好ましい。
<熱架橋剤>
本発明に用いる熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、感光層の硬化後の膜強度を改良するために、現像性等に悪影響を与えない範囲で、例えば、エポキシ化合物を含む化合物、(例えば、1分子内に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物)、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン化合物を用いることができ、特開2007−47729号公報に記載されているようなオキシラン基を有するエポキシ化合物、β位にアルキル基を有するエポキシ化合物、オキセタニル基を有するオキセタン化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート又はその誘導体のイソシアネート基にブロック剤を反応させて得られる化合物などが挙げられる。
また、前記熱架橋剤として、メラミン誘導体を用いることができる。該メラミン誘導体としては、例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン(メチロール基を、メチル、エチル、ブチル等でエーテル化した化合物)等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性が良好で、感光層の表面硬度あるいは硬化膜の膜強度自体の向上に有効である点で、アルキル化メチロールメラミンが好ましく、ヘキサメチル化メチロールメラミンが特に好ましい。
前記熱架橋剤の前記感光性樹脂組成物固形分中の含有量は、1質量%〜50質量%が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%以上であれば、硬化膜の膜強度が向上され、50質量%以下であれば、現像性、露光感度が良好となる。
前記エポキシ化合物としては、例えば、1分子中に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物、β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも1分子中に2つ含むエポキシ化合物などが挙げられる。
前記1分子中に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポトートYDF−170、東都化成株式会社製)、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂(「YX4000、ジャパンエポキシレジン社製」等)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格等を有する複素環式エポキシ樹脂(「TEPIC、日産化学工業株式会社製」、「アラルダイトPT810、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂(例えば低臭素化エポキシ樹脂、高ハロゲン化エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂など)、アリル基含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジフェニルジメタノール型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(「HP−7200、HP−7200H;大日本インキ化学工業株式会社製」等)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、トリグリシジルアミノフェノール等)、グリジジルエステル型エポキシ樹脂(フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等)ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジエポキシド、「GT−300、GT−400、ZEHPE3150;ダイセル化学工業株式会社製」等、)、イミド型脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、グリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂(ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、市販品としては「ESN−190,ESN−360;新日鉄化学株式会社製」、「HP−4032,EXA−4750,EXA−4700;大日本インキ化学工業株式会社製」等)、フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応によって得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酢酸等でエポキシ化したもの、線状含リン構造を有するエポキシ樹
脂、環状含リン構造を有するエポキシ樹脂、α−メチルスチルベン型液晶エポキシ樹脂、ジベンゾイルオキシベンゼン型液晶エポキシ樹脂、アゾフェニル型液晶エポキシ樹脂、アゾメチンフェニル型液晶エポキシ樹脂、ビナフチル型液晶エポキシ樹脂、アジン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂(「CP−50S,CP−50M;日本油脂株式会社製」等)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、1分子中に少なくとも2つのオキシラン基を有する前記エポキシ化合物以外に、β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも1分子中に2つ含むエポキシ化合物を用いることができ、β位がアルキル基で置換されたエポキシ基(より具体的には、β−アルキル置換グリシジル基など)を含む化合物が特に好ましい。
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも含むエポキシ化合物は、1分子中に含まれる2個以上のエポキシ基のすべてがβ−アルキル置換グリシジル基であってもよく、少なくとも1個のエポキシ基がβ−アルキル置換グリシジル基であってもよい。
前記オキセタン化合物としては、例えば、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン化合物が挙げられる。
具体的には、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート又はこれらのオリゴマーあるいは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタン基を有する化合物と、ノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、シルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂など、とのエーテル化合物が挙げられ、この他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
また、前記ポリイソシアネート化合物としては、特開平5−9407号公報に記載のポリイソシアネート化合物を用いることができ、該ポリイソシアネート化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を含む脂肪族、環式脂肪族又は芳香族基置換脂肪族化合物から誘導されていてもよい。具体的には、2官能イソシアネート(例えば、1,3−フェニレンジイソシアネートと1,4−フェニレンジイソシアネートとの混合物、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−及び1,4−キシリレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネート−フェニル)メタン、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、該2官能イソシアネートと、トリメチロールプロパン、ペンタリスルトール、グリセリン等との多官能アルコール;該多官能アルコールのアルキレンオキサイド付加体と、前記2官能イソシアネートとの付加体;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート又はその誘導体等の環式三量体;などが挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物にブロック剤を反応させて得られる化合物、即ちポリイソシアネート及びその誘導体のイソシアネート基にブロック剤を反応させて得られる化合物における、イソシアネート基ブロック剤としては、アルコール類(例えば、イソプロパノール、tert−ブタノール等)、ラクタム類(例えば、ε−カプロラクタム等)、フ
ェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−sec−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等)、複素環式ヒドロキシル化合物(例えば、3−ヒドロキシピリジン、8−ヒドロキシキノリン等)、活性メチレン化合物(例えば、ジアルキルマロネート、メチルエチルケトキシム、アセチルアセトン、アルキルアセトアセテートオキシム、アセトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等)などが挙げられる。これらの他、特開平6−295060号公報記載の分子内に少なくとも1つの重合可能な二重結合及び少なくとも1つのブロックイソシアネート基のいずれかを有する化合物などを用いることができる。
前記メラミン誘導体としては、例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン(メチロール基を、メチル、エチル、ブチルなどでエーテル化した化合物)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性が良好で、感光層の表面硬度あるいは硬化膜の膜強度自体の向上に有効である点で、アルキル化メチロールメラミンが好ましく、ヘキサメチル化メチロールメラミンが特に好ましい。
<熱硬化触媒>
本発明の感光性樹脂組成物は、熱硬化触媒を含有してもよい。当該熱硬化触媒として、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0093〕に記載されたものを用いることができる。
<ラジカル重合性化合物>
本発明に用いるラジカル重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エチレン性不飽和基を有する官能基を1つ以上有する化合物が好ましい。
前記エチレン性不飽和基を有する官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルフェニル基、ビニルエステル基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基などが挙げられる。
前記エチレン性不飽和基を有する官能基を1つ以上有する化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(メタ)アクリル基を有するモノマーから選択される少なくとも1種が好ましい。
前記(メタ)アクリロイル基を有するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン、グリセリン、ビスフェノール等の多官能アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加反応した後で(メタ)アクリレート化したもの;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートがより好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を2個以上有するものやエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートが特に好ましい。
前記ラジカル重合性化合物の前記感光性樹脂組成物固形分中の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましい。前記含有量が、5質量%以上であれば、現像性、露光感度が良好となり、50質量%以下であれば、感光層の粘着性が強くなりすぎることを防止できる。
<消泡剤>
本発明に用いる消泡剤は、シリコーン骨格を含む消泡剤、および/またはフッ素置換基を有するポリマーからなる消泡剤を含む。本発明に用いる消泡剤には、シリコーン骨格を有する消泡剤やフッ素置換基を有するポリマーからなる消泡剤以外の消泡剤が含有されていてもよいが、シリコーン骨格を含む消泡剤、および/またはフッ素置換基を有するポリマーからなる消泡剤からなることが好ましい。
本発明に用いるシリコーン骨格を有する消泡剤には、シリコーンオイルコンパウンド型消泡剤が含まれることが好ましい。より好ましくは、本発明の感光性樹脂組成物は、シリコーン骨格を有するがシリコーンオイルコンパウンド型ではない消泡剤と、シリコーンオイルコンパウンド型消泡剤とを含む。当該シリコーンオイルコンパウンド型消泡剤とは、シリコーンオイルにシリカ粉や分散剤成分を加えたもので、オイル単体に比べ強い消泡性を示す。以下に、本発明に用いうるシリコーン骨格を有する消泡剤、シリコーンオイルコンパウンド型消泡剤及びフッ素置換基を有するポリマーからなる消泡剤を例示する。
<<シリコーン骨格を有する消泡剤>>
シリコーン骨格を有するが、シリコーンオイルコンパウンド型ではない消泡剤としては、BYK−060N、BYK−067A、BYK−077、BYK−080A、BYK−088、BYK−141、BYK−323(いずれもBYKケミー社製)、TEGO Airex 916、Airex 940、Airex 945、Airex 950、Airex 962、Airex 980、Airex 986、Foamex 840、Foamex K8、Twin 4000(いずれもEvonik社製)、DEE FO PI−40、(MUNZING CHEMIE社製)、フローレンAC−901HF(共栄社化学社製)、KF−96、KS−602A、KS−603、KS−702(いずれも信越シリコーン社製)、SH200−100、SH200−350、SH200−1000CS(いずれも東レダウシリコーン社製)
<<シリコーンオイルコンパウンド型消泡剤>>
TEGO Airex 900、Foamex N、Foamex 840、Foamex 842、Foamex 843、Foamex 860、Foamex 883、Foamex 3062、Foamex 8050(いずれもEvonik社製)、AGITAN A203E、350(いずれもMUNZING CHEMIE社製)、フローレンAO−5(共栄社化学社製)、KS−496A、KS−540、KS−66、KS−69(いずれも信越シリコーン社製)、DK Q1−049、SH5500 COMPOUND、SH5540 COMPOUND、8590 ADDITIVE(いずれも東レダウシリコーン社製)
<<フッ素官能基を有するポリマーからなる消泡剤>>
BYK−065、BYK−066N(いずれもBYKケミー社製)、TEGO Airex 931(Evonik社製)、フローレンAC−950、AC−970MS、AO−82、AO−98、AO−106、AO−108(いずれも共栄社化学社製)、FA−600、FA−630(いずれも信越シリコーン社製)、FS1265−300、FS1265−1000、FS1265−10000CS(いずれも東レダウシリコーン社製)
本発明の感光性樹脂組成物固形分中の消泡剤の含有量は、0.1〜2質量%であることが好ましく、0.2〜1.5質量%であることがより好ましく、0.3〜1質量%であることがさらに好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、表面調整剤を含有してもよい。以下、本発明に用いうる表面調整剤を例示する。
<表面調整剤(レベリング剤)>
BYK−060N、BYK−067A、BYK−077、BYK−080A、BYK−088、BYK−141、BYK−322、BYK−323、BYK−352、BYK−354、BYK−392、BYK−333、BYK−337、BYK−378、BYK−UV3510(いずれもBYKケミー社製)、TEGO Airex 916、Airex 940、Airex 945、Airex 950、Airex 962、Airex 980、Airex 986、Foamex 840、Foamex K8、Twin 4000、Flow 300、Flow 370、Flow ZFS 460、Glide 130、Glide 406、Glide 411、Glide 415、Glide 420、Glide 432、Glide 435、Glide A 115、Glide B 1484、Glide ZG 400(いずれもEvonik社製)、フローレンAC−901HF、ポリフローNo.50EHF、No.54N、No.75、No.77、No.85HF、No.90、No.95、No.99C、No.KL−400HF、No.KL−401、No.KL−402、No.KL−403、No.KL−404、No.KL−700、LE−604(いずれも共栄社化学社製)、KS−496A、KS−540、KS−66、KS−69、KP−323、KP−326、KP−341、KP−112、KP−330(いずれも信越シリコーン社製)、KF−96、KS−602A、KS−603、KS−702、FZ−2110(いずれも信越シリコーン社製)、936レベリング剤、937レベリング剤(いずれもミノグループ社製)、JA−200、JAR−13、JAR−14、JAR−21、JAR−33(いずれも十条ケミカル社製)。
本発明において、表面調整剤は消泡剤としての機能を兼ね備える場合がある。
本発明の感光性樹脂組成物固形分中の表面調整剤の含有量は、0.1〜2質量%であることが好ましく、0.2〜1.5質量%であることがより好ましく、0.3〜1質量%であることがさらに好ましい。
<無機フィラー>
本発明の感光性樹脂組成物は無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーを含有させることで組成物のタック性を良好に保ちながら塗布時の液だれを防止することができる。
当該無機フィラーとしては、例えば、カオリン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカなどが挙げられる。前記硫酸バリウムの市販品としては、例えば、B−30(堺化学工業社製)などが挙げられる。
これらの中でも、シリカ等のケイ素原子を有する化合物(構成原子にケイ素を含む化合物、例えば、シリカ、タルク)、硫酸バリウム、水酸化アルミニウムが好ましく、ケイ素原子を有する化合物がより好ましく、シリカが特に好ましい。
無機フィラーの平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下が好ましい。前記平均粒径が5μm以上であると、光錯乱により解像度が劣化することがある。
本発明の感光性樹脂組成物固形分中の無機フィラーの含有量は、3〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィラー、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(着色顔料あるいは染料)などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする感光性樹脂組成物の安定性、膜物性などの性質を調整することができる。
前記可塑剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0103〕〜〔0104〕などが挙げられる。
前記着色剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0105〕〜〔0106〕などが挙げられる。
前記密着促進剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0107〕〜〔0109〕などが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、通常には有機溶剤を含む。当該溶剤に特に制限はなく、目的に応じて適宜に選択することができる。
(感光性積層体)
本発明の感光性積層体は、少なくとも基材と、前記基材上に感光層とを有してなり、更に必要に応じて、その他の層を積層してなる。
前記感光層は、本発明の前記感光性樹脂組成物由来の層を含む層である。
前記感光層は、例えば、本発明の前記感光性樹脂組成物をスピンコーター、スリットスピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター等を用いて、前記基材上に直接塗布し、乾燥させることで設けることができる。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60℃〜110℃の温度で30秒間〜60分間程度である。
前記感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜100μmが好ましく、2μm〜50μmがより好ましく、4μm〜30μmが特に好ましい。
<基材>
前記基材に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を持つものまで任意に選択できるが、板状の基材、いわゆる基板が好ましい。具体的には、公知のプリント配線板製造用の基板(プリント基板)、ガラス板(ソーダガラス板など)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられ、本発明においては、金属ないし金属配線が形成されたポリイミドフイルムが特に好ましい。
本発明の感光性積層体は、電子材料分野における高精細な永久パターンの形成用として広く用いることができ、プリント基板、特にフレキシブル配線基板の永久パターン形成用に好適に用いることができる。
(永久パターン形成方法)
本発明の永久パターン形成方法は、露光工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
<露光工程>
前記露光工程は、本発明の感光性樹脂組成物により形成された感光層に対して露光を行う工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記感光性積層体における感光層に対して露光を行う工程などが挙げられる。
前記露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、デジタル露光、アナログ露光などが挙げられる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材の表面処理工程、現像工程、硬化処理工程、ポスト露光工程などが挙げられる。
−現像工程−
前記現像工程は、前記感光層の未露光部分を除去する工程である。
前記露光部分の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2008−250074号公報の段落〔0171〕〜〔0173〕に記載の現像液などが挙げられる。
−硬化処理工程−
前記硬化処理工程は、前記現像工程が行われた後、形成されたパターンにおける感光層に対して硬化処理を行う工程である。
前記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
前記全面露光処理、及び前記全面加熱処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2008−250074号公報の段落〔0176〕〜〔0177〕に記載の方法などが挙げられる。
前記永久パターンの形成方法が、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかを形成する永久パターン形成方法である場合には、プリント基板上、特に本発明においてはフレキシブル配線基板上に前記永久パターン形成方法により、永久パターンを形成し、更に、以下のように半田付けを行うことができる。
即ち、前記現像により、前記永久パターンである硬化層が形成され、前記プリント基板の表面に金属層が露出される。該プリント配線板の表面に露出した金属層の部位に対して金メッキを行った後、半田付けを行う。そして、半田付けを行った部位に、半導体や部品などを実装する。このとき、前記硬化層による永久パターンが、保護膜あるいは絶縁膜(層間絶縁膜)、ソルダーレジスト、特にフレキシブルソルダーレジストとしての機能を発揮し、外部からの衝撃や隣同士の電極の導通が防止される。
(フレキシブル回路基板)
本発明のフレキシブル回路基板は、少なくとも基体と、前記永久パターン形成方法により形成された永久パターンとを有してなり、更に、必要に応じて適宜選択した、その他の部材を有する。
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材と前記永久パターン間に、更に絶縁層が設けられたビルドアップ基板などが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制限されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を表す。
なお、調製例における酸価、質量平均分子量、エチレン性不飽和基含有量は、以下の方法により測定した。
<酸価>
前記酸価は、JIS K0070に準拠して測定した。ただし、サンプルが溶解しない場合は、溶媒としてジオキサン又はテトラヒドロフランなどを使用した。
<質量平均分子量>
前記質量平均分子量は、高速GPC装置(東洋曹達社製HLC−802A)を使用して測定した。即ち、0.5質量%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液を試料溶液とし、カラムはTSKgelGMH62本を使用し、200μLの試料を注入し、前記THF溶液で溶離して、25℃で屈折率検出器により測定した。次に、標準ポリスチレンで較正した分子量分布曲線より質量平均分子量を求めた。
<エチレン性不飽和基含有量>
エチレン性不飽和基含有量は臭素価をJIS K2605に準拠して測定することにより求めた。
<調製例>
下記の示す酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂A及びBを以下のように調製した。
Figure 2013145282
調製例1 酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂Aの合成
コンデンサー、及び撹拌機を備えた3Lの3つ口丸底フラスコに、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DMPA)125g、ポリプロピレングリコール(分子量1000)(PPG1000)374g及びグリセロールモノメタクリレート(GLM)164g、をシクロヘキサノン550mLに溶解した。これに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)140g、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)297g、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル3.0g、及び触媒として、ネオスタンU−600(商品名、日東化成社製、無機ビスマス)3.0gをシクロヘキサノン330mLを添加し、70℃にて、5時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、シクロヘキサノンで濃度調整して、固形分濃度50質量%の酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂A溶液を得た。なお、得られた酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂Aの重量平均分子量は21,000、固形分酸価は48mgKOH/g、エチレン性不飽和基含有量は0.9mmol/gであった。
調製例2 酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂Bの合成
コンデンサー、及び撹拌機を備えた3Lの3つ口丸底フラスコに、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DMPA)43g、ポリプロピレングリコール(分子量1000)(PPG1000)503g、グリセロールモノメタクリレート(GLM)204g及びリンゴ酸24gをシクロヘキサノン625mLに溶解した。これに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)285g、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)191g、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル3.3g、及び触媒として、ネオスタンU−600(商品名、日東化成社製、無機ビスマス)3.2g、シクロヘキサノン375mLを添加し、70℃にて、7時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、シクロヘキサノンで濃度調整して、固形分濃度50質量%の酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂B溶液を得た。なお、得られた酸変性のエチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂Bの重量平均分子量は19,000、固形分酸価は31mgKOH/g、エチレン性不飽和基含有量は1.0mmol/gであった。
<実施例1〜5、比較例1〜2>
前記調製例で得られたポリウレタン樹脂A、Bの各溶液と、表1に示す配合組成(単位:質量%)で各成分とを混合し、3本ロールミルで混練分散し、感光性樹脂組成物(レジストインク)を得た。なお、表1中の配合量は固形分量である。
Figure 2013145282
−最短現像時間−
上記各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、銅箔基板上にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥し、室温まで放冷した後、30℃の1%NaCO水溶液をスプレー圧0.15MPaの条件で10秒〜60秒の間を5秒間隔で現像を行ない、乾燥塗膜の現像残りの有無を目視で確認した。完全に塗膜が消失した時間を各実施例、比較例における最短現像時間とした。
−表面状(硬化膜の表面粗さ)−
上記各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、銅箔基板上にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥し、室温まで放冷した後の表面状を目視で評価を行った。評価観点は、a:泡の発生、b:ハジキの発生、c:レベリング(ムラ:ピッチ0.5mm以上)の3点で行い、下記A〜Eの評価点を付した。実用上、B以上の評価が必要である。
A:a、b、c全てにおいて問題なく、表面に光沢がある状態。
B:a、b、c全てにおいて問題なく、表面がマット状である状態。
C:a、b、cの内、1種において問題がある状態。
D:a、b、cの内、2種において問題がある状態。
E:a、b、cの内、3種において問題がある状態。
−基板反り(硬化膜の表面粗さ)−
上記各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、5cm×5cmの25μm厚のポリイミド基板上にスクリーン印刷法で全面塗布し、熱風循環式乾燥炉を用いて、80℃で30分乾燥させた。これを室温まで冷却した後、露光量300mJ/cmの条件で露光し、30℃の1%NaCO水溶液をスプレー圧0.15MPaの条件で、前記最短現像時間の1.5倍の時間で現像を行ない、熱風循環式乾燥炉を用いて160℃で60分間熱硬化を行ない、その後室温まで冷却した試験基板において、最も反り上がっている角の高さ(h)を測定したし、下記A〜Eの評価点を付した。実用上、B以上の評価が必要である。
A:最も反り上がっている角の高さ(h)が5mm以下。
B:hが5mmより大きく、10mm以下。
C:hが10mmより大きく、20mm以下。
上記各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、銅箔基板上にスクリーン印刷法で全面塗布し、熱風循環式乾燥炉を用いて、80℃で30分乾燥させた。これを室温まで冷却した後、露光量300mJ/cmの条件で露光し、30℃の1%NaCO水溶液をスプレー圧0.15MPaの条件で、前記最短現像時間の1.5倍の時間で現像を行ない、熱風循環式乾燥炉を用いて160℃で60分間熱硬化を行ない、その後室温まで冷却しL/S=100/100μmのパターンが形成された試験板を作製した。
得られた試験板からを用いて、耐折性の評価を行った。
−耐折性−
上記試験板を幅0.5cm、長さ10cmに裁断し、塗膜面を外側に180℃折り曲げを行い、200gの錘をのせ、元に戻して再度200gの錘を3秒間のせた。この操作を2回及び5回行った後、各折り曲げ回数について、クラックの発生状態を光学顕微鏡にて観察し、下記評価基準により評価した。結果を上記表1に示す。尚、実用上5回の折り曲げでC以上の評価が必要である。
〔評価基準〕
A:試験板上の樹脂にクラック、折ジワが全く観察されない。
B:試験板上の樹脂にクラックは観察されないが、部分的に折ジワが観察される。
C:試験板上の樹脂にクラックは観察されないが、全体的に折ジワが観察される。
D:試験板上の樹脂に小さなクラックが観察される。
E:試験板上の樹脂全体的にクラックが観察される。
上記表1に示すように、本発明で規定するポリウレタン樹脂と、シリコーン系消泡剤又はフッ素系消泡剤を含む感光性樹脂組成物(実施例1〜5)を用いることで、硬化膜の表面粗さがより良好な結果となり、基板の反りも抑制できることがわかった。また、実施例1〜5の感光性樹脂組成物を用いることで耐折性も大幅に改善された。なかでもシリコーンオイルコンパウンド型の消泡剤を配合した感光性樹脂組成物を用いると、表面状と耐折性の改善効果がより高まる結果となった。
実施例2〜5では難燃剤が配合されているにもかかわらず、良好な表面状、基板反り及び耐折性を示している。つまり、本発明の感光性樹脂組成物を用いれば、表面状、基板反り及び耐折性を向上させながら、必要に応じて難燃性をも付与できることがわかった。
さらに、実施例1〜5の感光性樹脂組成物を用いて形成した硬化膜は、HHBT特性も良好であり、アルコールやアルカリ性溶液にさらしても膜の剥離、変形、変色のいずれもすることがなく、耐薬品性にも優れていた。

Claims (17)

  1. (A)酸変性エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂、(B)ラジカル重合性化合物、(C)熱架橋剤、(D)光重合開始剤、及び(E)消泡剤を含む感光性樹脂組成物であって、前記(A)ポリウレタン樹脂が、下記一般式(U1)で表される部分構造を有し、前記(E)消泡剤が、シリコーン骨格を有する消泡剤および/またはフッ素置換基を有するポリマーからなる消泡剤を含むことを特徴とする、感光性樹脂組成物。
    Figure 2013145282
    一般式(U1)において、LU1はエチレン性不飽和基およびカルボキシル基を含まない2価の連結基を表す。
  2. 前記(E)消泡剤が、シリコーン骨格を有する消泡剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. シリコーン骨格を有する消泡剤が、シリコーンオイルコンパウンド型消泡剤であることを特徴とする、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記一般式(U1)におけるLU1が、−(CHCHO)nU1CHCH−、−〔CHCH(CH)O〕nU1−CHCH(CH)−、−(CHCHCHCHO)nU1−CHCHCHCH−、下記一般式(LL1)で表される構造、下記一般式(LL2)で表される構造、下記一般式(LL3)で表されるポリブタジエンジオール残基、下記一般式(LL4)で表される構造、または下記一般式(LL5)で表される構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2013145282
    ここで、nU1〜nU4、nおよびn’は各々独立に1以上の数を表す。RLL1、RLL2およびRは各々独立に2価の鎖状炭化水素基または2価の環状炭化水素基を表す。
  5. 前記一般式(U1)におけるLU1の分子量が400〜8,000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記一般式(U1)におけるLU1の分子量が500〜5,000であることを特徴とする請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記(A)ポリウレタン樹脂が、下記一般式(UE1)で表される部分構造を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2013145282
    一般式(UE1)において、LUEは主鎖の結合に−NHC(=O)O−もしくは−OC(=O)NH−を含まない2価の連結基であって、かつ側鎖にエチレン性不飽和基を1つ有する2価の連結基を表す。
  8. 前記一般式(UE1)におけるLUEが、2つのウレタン結合の酸素原子と結合する主鎖が2価の脂肪族基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはこれらの組み合わせで構成されることを特徴とする請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
  9. 前記一般式(UE1)が下記一般式(G1)で表されることを特徴とする請求項7または8に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2013145282
    一般式(G1)において、R〜Rは各々独立に水素原子または置換基を表し、Aは2価の有機基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子または−N(R12)−を表す。ここでR12は水素原子または置換基を表す。
  10. 前記(A)ポリウレタン樹脂が、質量平均分子量が5,000〜60,000であり、固形分の酸価が10mgKOH/g〜120mgKOH/gであり、かつエチレン性不飽和基含有量が0.05mmol/g〜2.0mmol/gであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  11. 前記(A)ポリウレタン樹脂が、当該樹脂中に、前記一般式(U1)で表される部分構造を、HO−LU1−OH(LU1はエチレン性不飽和基およびカルボキシル基を含まない2価の連結基を表す)換算での固形分質量比率で、10〜60%有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  12. 前記(A)ポリウレタン樹脂が、少なくとも1種のジイソシアネート化合物、エチレン性不飽和基と2つの水酸基を有する少なくとも1種のジオール化合物、カルボキシル基と2つの水酸基を有する少なくとも1種のジオール化合物、エチレン性不飽和基とカルボキシル基のいずれも有さない少なくとも1種のジオール化合物とをそれぞれ反応させて得られる樹脂であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  13. 前記ジイソシアネート化合物が、2,2−ジフェニルプロパン型、ジフェニルメタン型、ビフェニル型、ナフタレン型、フェナントレン型またはアントラセン型の骨格を有することを特徴とする請求項12に記載の感光性樹脂組成物。
  14. 基材上に、請求項1〜13のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を含む感光層を有することを特徴とする感光性積層体。
  15. 基材上に、請求項1〜13のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を含む感光層を有し、該感光層を光硬化して得られるレジストパターンを有してなることを特徴とするフレキシブル回路基板。
  16. 前記基材がポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項15に記載のフレキシブル回路基板。
  17. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成した感光層に対して露光することを特徴とする永久パターン形成方法。
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