また、高品質の画像を実現するために、インク組成物と共に、着色剤を含まないクリア組成物を記録媒体に付着させて記録を行うことが提案されている。例えば、特開2003−335058号公報(特許文献1)には、着色剤を含むインク組成物により画像を形成し、その画像上にクリアインク組成物を付着させることが提案されている。
ところで、近年、デジタルデータからの画像形成技術が普及したことに伴い、特に印刷分野では、デスクトップパブリッシング(DTP)が普及しつつある。DTPにより印刷を行う場合であっても、実際の印刷物との光沢感や色感を確認するために、事前に色校正用プルーフを作製することが行われている。このプルーフの出力に、インクジェット記録方式を適用することが行われており、DTPにおいては印刷物の色再現、安定性再現が求められることから、記録媒体として、通常、インクジェット記録用の専用紙が使用されている。
インクジェット記録用の専用紙は、印刷本紙に実際に印刷した出力物と光沢感や色感が同じになるように作製されている。このように、印刷本紙の種類に応じて専用紙の材質が適宜調整されているが、多種多様の印刷本紙に全て対応した専用紙を作製するのは製造コストの上昇を招く。そこで、色校正用途においては、専用紙よりも印刷本紙にインクジェット記録を行いたいとの要望がある。また専用紙を用いずに、直接印刷本紙にインクジェット記録を行ったものを最終校正見本とできれば、校正にかかるコストを大幅に低減できると考えられる。また、印刷分野で広く使用されている、ポリエチレン樹脂やポリエステル樹脂に無機フィラー等を混合してフィルム化した合成紙は、リサイクル性に優れ、環境に優しい材料として近年注目されている。
印刷本紙は、その表面に油性インクを受容するための塗工層が設けられた塗工紙であるが、塗工層のインク吸収能力が乏しいという特徴を有する。そのため、インクジェット記録に一般的に用いられている水性の顔料インクを使用すると、記録媒体(印刷本紙)へのインクの浸透性が低く、画像に滲みや凝集むらが生じる場合がある。
上記の問題に対し、例えば、特開2005−194500号公報(特許文献2)には、界面活性剤としてポリシロキサン化合物を用い、溶解助剤として1,2−ヘキサンジオール等のアルカンジオールを添加することにより、滲みが改善され、かつ専用紙に対する光沢性にも優れる顔料系インクが開示されている。また、特開2003−213179号公報(特許文献3)、特開2003−253167号公報(特許文献4)、および特開2006−249429号公報(特許文献5)には、グリセリンや1,3−ブタンジオール等のジオールやペンタントリオール等のトリオールアルコール溶剤をインク中に添加することにより、インクの記録媒体への浸透性を制御し、高品質な画像が得られることが提案されている。さらに、特開2009−209338号公報(特許文献6)には、吸水性の低い記録媒体において印刷斑のない高品質な記録物を得ることができる、着色剤と、水と、炭素数が7〜10のアルカンジオールと、水溶性の1,2−アルカンジオールと、ジアルキレングリコールと、界面活性剤とを含むインク組成物が提案されている。
また、特開2009−297924号公報(特許文献7)には、印刷本紙に対しても定着性に優れ、かつ印刷斑のない高品質な記録物を得ることができるクリアインク組成物として、炭素数が7〜10のアルカンジオールと、水溶性アルコールと、水と、ポリマー微粒子とを含み、かつ着色剤を含まないクリアインク組成物が提案されている。
ところで、特開2007−154133号公報(特許文献8)には、耐擦性に優れかつ光沢性にも優れる、自己分散型顔料とアクリル酸エステル系樹脂を含むカラーインク組成物が開示されており、このアクリル酸エステル系樹脂として、所定のアルキル(メタ)アクリレート単位に加え、シリコーン系マクロマー単位を含む共重合体を使用できることが記載されている。
上記したカラーインクは着色剤が含まれているため、インク膜強度が低く、かつ定着性を付与する樹脂含有量が少ないため、耐擦性が弱い。そのため、定着樹脂やシリコーン樹脂等の滑り剤を添加したクリアインクにより、印刷本紙上においても耐擦性向上を付与できる。しかしながら、カラーインクやクリアインクの定着性および滑り性では、記録物表面の擦れはほぼ目立たないものの、非印字面へ記録物表面のインクが転写してしまうという問題があった。
即ち、表面に画像が形成された記録物を何枚も積み重ねた場合、記録物同士が摩擦し合うことで、第1の記録物上のインク成分が、これと接触する第2の記録物に転写する場合がある。また、仮に上記の問題が起きない場合であっても、複数の記録物の裁断やパンチ穴を開ける場合には、複数の記録物に高い圧力がかかることにより、裁断面やパンチ穴面にインク成分が転写するという問題が新たに発生している。
上記の問題は、印刷後の記録物の表面に紫外線硬化型のニス等を塗布することより改善できるものの、印刷物にニス等を塗布すると印刷物の風合いを損ねたり、また、印刷後のニス塗布工程が別途必要となるため、製造コストの増加を招いていた。
本発明者らは、今般、印刷本紙等のようなインク浸透性の低い記録媒体にカラーインクによって印画した後に、特定のアルコール溶剤と特定のアクリル−シリコーン系樹脂とを含有したクリアインク組成物を記録媒体に付着させることにより、定着性や耐擦性に優れるとともに、印刷済みの記録媒体を積み重ねた場合の非印字面へのインクの転写性が改善できることがわかった。本発明はかかる知見に基づくものである。
したがって、本発明の目的は、各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙などのインク浸透性の低い記録媒体においても、定着性や耐擦性に優れるとともに、印刷済みの記録媒体を積み重ねた場合の非印字面へのインクの転写性が改善できるクリアインク組成物を提供することである。また、本発明の別の目的は、上記クリアインク組成物を用いたインクジェット記録方法を提供することである。
本発明によるクリアインク組成物は、炭素数が7〜10のアルカンジオールと、前記炭素数が7〜10のアルカンジオールを溶解させる溶解助剤としての水溶性アルコールと、水と、シリコーン系複合樹脂粒子とを含んでなり、かつ着色剤を含まないものである。
また、本発明の別の態様によるインクセットは、ブラックインク組成物と、イエローインク組成物と、マゼンタインク組成物と、シアンインク組成物と、上記クリアインク組成物と含んでなるものである。
さらに、本発明の別の態様によるインクジェット記録方法は、上記インクセットを用いたインクジェット記録方法であって、前記ブラックインク組成物、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、またはシアンインク組成物のいずれかの液滴を記録媒体に付着させた後、前記クリアインク組成物の液滴を記録媒体に付着させるものである。
本発明によれば、各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙などのインク浸透性の低い記録媒体においても、定着性や耐擦性に優れるとともに、印刷済みの記録媒体を積み重ねた場合の非印字面へのインクの転写性が改善できるクリアインク組成物を実現することができる。
発明の具体的説明
<定義>
本明細書において、アルカンジオールは、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよい。
また、水溶性とは、20℃での、水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、10.0g以上であることを意味し、難水溶性とは、水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、1.0g未満であることを意味する。
<クリアインク組成物>
本発明によるクリアインク組成物は、炭素数が7〜10のアルカンジオールと、前記炭素数が7〜10のアルカンジオールを溶解させる溶解助剤としての水溶性アルコールと、水と、シリコーン系複合樹脂粒子とを含んでなり、かつ着色剤を含まないものである。このように、特定のアルコール成分とシリコーン系複合樹脂粒子とを含むことにより、定着性や耐擦性に優れた印刷物が得られるとともに、印刷済みの記録媒体を積み重ねた場合の非印字面へ記録面のインクが転写されてしまうことを抑制できる。また、上記のようなクリアインク組成物を記録媒体に付着させることにより、記録媒体として、印刷本紙、とりわけインク吸収能力の比較的高い、アート紙、POD用途紙(例えば、リコー株式会社製のリコービジネスコートグロス100等)、レーザープリンタ専用紙(例えば、セイコーエプソン株式会社製、LPCCTA4等)を用いた場合であっても、インクの凝集が抑制され、かつ、低解像度にて印刷した場合であっても白筋やザラツキ間のない高品質な画像を形成することができる。
ここで、凝集とは、面として印刷した際(例えば6インチ四方に単色(インクの色数のことではない)で印刷した際)に発生する、局所的な同系色の濃度斑のことを意味し、記録媒体表面または着色インク膜表面がインクによって被覆されない部分が残存することを意味するものではない。また、白筋とは、面として印刷した際(例えば6インチ四方に単色で印刷した際)に、局所的な同系色の色濃度斑がなく、記録ヘッドの駆動方向に、記録媒体の表面または着色インク膜表面がインクで被覆されない部分が筋上に残る現象を意味する。また、ザラツキ感または埋まり不良とは、上記と同様に面として印刷した際に、局所的な同系色の色濃度斑がなく、かつ記録媒体の表面がインクで被覆されない部分が残存し、記録媒体の表面または着色インク膜表面がざらざらとした粒状感がある現象を意味する。
上記のように、特定のアルコール成分を含むことにより、白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現できる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
印刷本紙に記録する場合に発生するインクの凝集は、インクドットの表面張力が高く、印刷本紙表面とインク滴との接触角が高いために、印刷本紙がインクを弾いてしまうことが原因であると考えられる。低解像度記録した場合に白筋や埋まり不良が発生するような場合であっても、印刷本紙表面に付着したインクの表面張力を低減させると、インクの凝集は抑制される。
また、低解像度記録における白筋や埋まり不良は、印刷本紙表面に付着したインクドットが隣接するインクドットと接触して、互いに濡れ広がり、相互に未乾燥のインクが流動することが原因であると考えられる。この相互のインク流動は、隣接するインクドットどうしの付着時間差や付着時の液滴の大きさなどによって、インクドットの乾燥時間が異なることによるものと考えられる。したがって、インクの凝集が抑制され、低解像度にて印刷した場合でも、白筋やザラツキ感のない高品質な画像を実現するためには、表面張力が低く、かつ流動性の低いインクを、印刷本紙に付着させることが好ましいと考えられる。
ところが、インクの流動性を低減させるために浸透性湿潤剤を用いないと、印刷本紙表面に付着したインクドットの乾燥が速まり、また、インクの吸収も速まるため、付着したインクドット同士が濡れ広がる時間が失われ、その結果、低解像度記録において白筋や埋まり不良が発生するものと考えられる。
炭素数が7〜10のアルカンジオール
本発明によるクリアインク組成物には、炭素数が7〜10のアルカンジオールが含まれる。炭素数が7〜10のアルカンジオールとしては、片末端アルカンジオールが挙げられる。炭素数が7〜10のアルカンジオールとして片末端アルカンジオールを使用することにより、ビーディングをより効果的に抑制できる。片末端アルカンジオールのなかでも、1,2−アルカンジオールを好ましく使用でき、例えば、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、5−メチル−1,2−ヘキサンジオール、4−メチル−1,2−ヘキサンジオール、または4,4−ジメチル−1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。これらの中でも、1,2−オクタンジオールがより好ましい。
炭素数が7〜10のアルカンジオールは、インク組成物全体に対し、1.0〜4.0質量%含有されていてもよい。
水溶性アルコール
本発明によるクリアインク組成物には、特定の水溶性アルコールが含まれる。本発明による特定の水溶性アルコールは、上記した炭素数が7〜10のアルカンジオールを水に溶解させる溶解助剤として用いるものである。したがって、水溶性アルコールであっても、例えば、溶解助剤として作用しないグリセリンは該当しない。
本発明において使用される水溶性アルコールとしては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチル−1,5−ペンタントリオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、および4−メチル−1,2−ペンタンジオールからなる群から選択される一または二以上が挙げられる。
前記水溶性アルコールは、インク組成物全体に対し、4.0〜20.0質量%含有することができる。
シリコーン系複合樹脂粒子
本発明によるクリアインク組成物は、シリコーン系複合樹脂粒子を必須成分として含む。シリコーン系複合樹脂とは、シロキサン結合を骨格とするオルガノポリシロキサン結合を含む樹脂であって、例えば、シロキサン結合を含むシリコーン変性樹脂、もしくはシロキサン結合を骨格とするシリコーン樹脂、またはこれらの混合樹脂を意味する。これらシリコーン系複合樹脂としては、シリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性ポリエステル樹脂、シリコーン変性ポリカーボネート樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。シリコーン変性アクリル樹脂については、アクリル樹脂の主鎖をアルコキシシランで変性させたものや、アクリル樹脂にシリコーンをグラフト重合させたものを好適に使用することができる。また、シリコーン変性ウレタン樹脂については、ウレタン樹脂モノマーであるジイソシアネートとジオール成分とを反応させる際に、両末端カルビノール変性シロキサンや両末端ジオールシロキサンのシロキサンを添加することにより、シリコーン−ウレタンブロック共重合体やウレタン樹脂にシリコーンがグラフトされた樹脂を得ることができる。上記したシリコーン系複合樹脂のなかでもシリコーン変性アクリル樹脂が好ましく、具体的には、アクリルシリコーン、メタクリルシリコーン、フェニルシリコーンアクリレート、メタフェニルシリコーンアクリレート、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シリコーン系複合樹脂粒子の粒径は、特に限定されないが、耐擦性及び耐プレス性の観点から、50nm〜800nmとすることができる。なお、本明細書において「粒径」とは、体積基準における累積50%粒径を意味し、動的光散乱法で測定される。
シリコーン系複合樹脂粒子は、耐擦性及び耐プレス性の観点から、ガラス転移温度が30℃以上であることが好ましい。
上記したシリコーン系複合樹脂粒子は市販のものを使用してもよく、例えば、FE−230N、NS−651、NE−500、R−170EM(以上、日信化学工業株式会社)、KM−740T、Polon MF−14、Polon MF−14E、FZ−4658、FZ−4602、KM−9739、X−52−8164、Polon MWS、KM−9717、Polon MF−56、Polon MF−40(以上、信越化学工業株式会社);SM8706 EX、SM8709SR、SM8716,SM7001EX,SZ−1642,BY 22−736 EX、BY 22−826EX、FZ−4602、FZ4658(以上、東レ株式会社);プライマルPR−29(以上、ROHM AND HAAS);AQ 914、AQ Asi−91、AQ 4790(以上、ダイセルファインケム株式会社)等を好適に使用することができる。
その他の樹脂
また、本発明によるクリアインク組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で上記した樹脂粒子以外の樹脂粒子や、その他の添加剤が含まれていてもよい。
本発明によるクリアインク組成物には、フルオレン樹脂が含まれていてもよい。フルオレン樹脂を含有することにより、記録物の光沢感が向上するともに、クリアインク組成物の吐出安定性が改善される。フルオレン樹脂は、フルオレン骨格を有する樹脂であれば何ら限定されるものではなく、例えば、下記のモノマー単位を共重合することにより得ることができる。
5−イソシアネート−1−(イソシアネートメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(CAS No.4098−71−9)
2,2‘−[9H−フルオレン−9−イリデンビス(4,1−フェニレンオキシ)]ビスエタノール(CAS No.117344−32−8)
3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸(CAS No.4767−03−7)
N,N−ジエチル−エタンアミン(CAS No.121−44−8)
上記したフルオレン樹脂は、インク組成物全体に対し、固形分質量濃度で1.0〜10.0質量%含有されていることが好ましく、より好ましくは2.0〜10.0質量%であり、さらに好ましくは、2.0〜7.0質量%である。フルオレン樹脂の含有量が上記範囲にあることで、特に上限を上回らずあることにより、さらに目詰まり回復性に優れるインク組成物を得ることができる。また、フルオレン樹脂の含有量が上記範囲にあることで、特に下限を下回らずあることにより、さらに光沢感に優れるインク組成物を得ることができる。
本発明によるクリアインク組成物は、上記した樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。このような樹脂としては、水および又は水性媒体中に安定的に分散するものが好ましい。樹脂粒子表面には、分散安定性や保存安定性、吐出安定性の観点から、アニオン性、カチオン性、及び比イオン性親水性の基を有することが好ましいが、分散体がアニオン性基を有することから、アニオン性基、非イオン性親水基がより好ましい。
樹脂粒子は、ガラス転移温度を有していても有していなくてもよいが、有している場合は−20℃以上100℃以下が好ましい。最低生膜温度は、有していても有していなくてもよいが、有している場合は80℃以下である。樹脂の分子量は、特には限定されないが、通常、重量平均分子量が1000以上1000万以下である。
樹脂粒子の種類は、特に限定されないが、例えば、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、酢酸ビニル系、スチレン系、塩化ビニル系、塩化ビニリデン系、ポリエチレン系、エポキシ系、石油樹脂系、ロジンエステル系、アルキッド樹脂系、ポリブタジエン系、ポリブテン系、ブチルゴム系、ポリクロロプレン系、ポリイソプレン系、及び多硫化ゴム系樹脂、およびこれらを2種類以上複合化した複合樹脂が挙げられる。
これらの中で好ましいのは、ウレタン系樹脂、ウレタン系複合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステル系複合樹脂、アクリル系樹脂、エチレン/酢酸ビニル系複合樹脂である。これらの樹脂は、1種類だけ添加してもよく、2種類以上を併用してもよい。好ましい具体例としては、以下のものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
ウレタン系樹脂、ウレタン系複合樹脂としては、タケラックW−405,W−605,W−615,W−6010,W−6020,WS−5000,WS−5100,WS−4000(以上、三井化学ポリウレタン株式会社);WBR−016U,WBR−022U,WBR−601U,WBR−2018,WBR−2019,WBR−2101、WEM−031U、WEM−202U、WEM−321U、 WEM−290A、WEM−3008(以上、大成ファインケミカル株式会社);HUX−232、HUX−350 、HUX−550、HUX−380、HUX−420A、HUX−401、HUX−522、HUX−386(以上、株式会社ADEKA);レザミンD−1060、レザミンD−2020、レザミンD−4080、レザミンD−6031、レザミンD−6300(以上、大日精化工業株式会社);UW−1100−E、UW−1200−E、UW−1300−E、UW−2200−E、UW−2050−E、UW−3100−E、UW−3200−E、UW−3300−E、UW−4300−E、UW−5002、UW−3100、UW−3200、UW−3300(以上、宇部興産株式会社);AQ AU304(以上、ダイセルファインケム株式会社);SU−100、SU−U0501(以上、中央理化工業株式会社)、スーパフレックス110、スーパフレックス126、スーパフレックス130、スーパフレックス150、スーパフレックス170、スーパフレックス210、スーパフレックス300、スーパフレックス420、スーパフレックス470、スーパフレックス740、スーパフレックス830、スーパフレックスE−2000、(以上、第一工業製薬株式会社)、HYBRIDUR 540、HYBRIDUR 570、HYBRIDUR 580、HYBRIDUR 870、HYBRIDUR 878(以上、エアプロダクツジャパン株式会社)が挙げられる。
ポリエステル系樹脂、ポリエステル系複合樹脂としては、KT−9511、KT−8803、KT−8701、KT−9204,KT−8904,KT−0507(以上、ユニチカ株式会社)が挙げられる。
アクリル系の樹脂としては、プライマルSF−021、プライマルAC−261P、プライマルEC−1791、プライマルB−15B、プライマルP−376、プライマルR−225、プライマルJP−934HS、プライマルBinder 18、375CI、プライマル606APEF(以上、ROHM AND HASS社);AQ 4635、AQ AST499、AQ 4723(以上、ダイセルファインケム株式会社);FK−403、FK−462S、FK−4300、FK−6000DH、FK−68、ES−90(以上、中央理化工業株式会社);Joncryl 450、Joncryl 74J、Joncryl 352D、Joncryl 780、Joncryl PDX−7700(以上、BASF社)、SE−909E、SE−1645E(以上、大成ファインケミカル株式会社)が挙げられる。
エチレン/酢酸ビニル系複合樹脂としては、BE−814(中央理化工業株式会社)が挙げられる。
ポリオリフィン系の樹脂としては、ケミパールS−100、ケミパールS−111、ケミパールS−120、ケミパールS−650、ケミパールS−75N、ケミパールW4005(以上、三井化学株式会社);ザイクセンA、ザイクセンN、ザイクセンL(以上、住友精化株式会社);;AQUACER515(ビックケミージャパン株式会社)が挙げられる。
記録媒体への画像の定着性や耐擦過性を更に向上させる目的で使用するその他の添加剤として好ましいのは、非イオン性水溶性ポリマーまたはオリゴマーである。非イオン性水溶性ポリマーまたはオリゴマーとは、前記の非イオン性親水性基を含み、かつ水溶性のポリマーまたはオリゴマーである。
本発明によるクリアインク組成物は、少なくとも一種類以上のアセチレングリコール系界面活性剤および/またはポリオルガノシロキサン系界面活性剤を含むことが好ましい。これらの界面活性剤は、クリアインク組成物中の顔料の含有量に対して、0.01〜10重量%添加されることが好ましい。このような好適な構成とすることにより、クリアインク組成物の記録媒体へのぬれ性が改善され、速やかな定着性を得ることがきる。アセチレングリコール系界面活性剤としては、サーフィノール465、サーフィノール104(いずれもAir Products and Chemicals, Inc. 社)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(日信化学社株式会社)等が好適に挙げられる。ポリオルガノシロキサンには、側鎖や末端がメチル基であるまたは、側鎖の一部がフェニル基や水素基であるストレート系、側鎖や末端が有機基(アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基等)である変性系がある。例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、カルビノール変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
上記ポリオルガノシロキサン系界面活性剤は市販されているものを用いてもよく、例えば、オルフィンPD−501、オルフィンPD−502、オルフィンPD−570(いずれも、日信化学工業株式会社)等を用いることができる。
また、ポリオルガノシロキサン系界面活性剤として、下記式(I):
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは2〜11の整数を表し、mは2〜50の整数を表し、nは1〜5の整数を表す。)
で表される一種または二種以上の化合物を含んでなるか、または、上記式(I)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜13の整数であり、mは2〜50の整数であり、nは1〜5の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。また、上記式(I)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜13の整数であり、mは2〜50の整数であり、nは1〜8の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。あるいは、上記式(I)の化合物において、Rがメチル基であり、aが6〜18の整数、であり、mが0であり、nが1である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。このような特定のポリオルガノシロキサン系界面活性剤を使用することにより、記録媒体として印刷本紙に印刷した場合であっても、インクの凝集むらがより改善される。
上記式(I)の化合物においては、aが2〜5の整数であり、mが20〜40の整数であり、nが2〜4の整数である化合物、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物、または、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物を用いることがより好ましい。このような化合物を使用することによって、より一層インクの凝集むらが改善できる。
また、上記式(I)の化合物においては、Rが水素原子であり、aが2〜5の整数であり、mが20〜40の整数であり、nが2〜4の整数である化合物、または、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
また、上記式(I)の化合物においては、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物、または、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
さらに、上記式(I)の化合物においては、Rがメチル基であり、aが6〜12の整数、であり、mが0であり、nが1である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
また、上記式(I)の化合物においては、Rが水素原子であり、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物とを混合したものを用いることが最も好ましい。このような化合物を使用することにより、より一層、インクの凝集むらと滲みを改善することができる。
<水、その他の成分>
本発明によるクリアインク組成物は、上記した特定のアルコール溶剤、その他の各種添加剤を含有するとともに、溶媒として水を含有する。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
また、本発明によるクリアインク組成物は、上記成分に加えて、浸透溶剤を含んでなることが好ましい。
本明細書において、浸透溶剤とは、通常のインクジェット記録用インクに用いられている浸透溶剤を意味し、例えば、グリコールエーテル類が挙げられる。
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノールなどが挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物として用いることができる。
上記グリコールエーテル類の中でも、多価アルコールのアルキルエーテルが好ましく、特にエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルまたはトリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルが好ましい。より好ましくは、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルである。
上記浸透溶剤の添加量は適宜決定されてよいが、0.1〜30質量%程度が好ましく、より好ましくは1〜20質量%程度である。
また、本発明によるクリアインク組成物は、上記成分に加えて、記録媒体溶解剤を含んでいてもよい。
記録媒体溶解剤としては、N−メチル−2−ピロリドンなどの、ピロリドン類を好適に使用できる。上記記録媒体溶解剤の添加量は適宜決定されてよいが、0.1〜30質量%程度が好ましく、より好ましくは1〜20質量%程度である。
本発明によるクリアインク組成物は、さらにノズルの目詰まり防止剤、防腐剤、防かび剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを添加することができる。
防腐剤・防かび剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジンチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBND、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等を挙げることができる。
さらに、pH調整剤、溶解助剤、または酸化防止剤の例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩を挙げることができる。
また、本発明によるクリアインク組成物は、酸化防止剤および紫外線吸収剤を含んでいてもよく、その例としては、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のTinuvin 328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor 252 153、Irganox 1010、1076、1035、MD1024、ランタニドの酸化物等を挙げることができる。
インクセット
本発明によるインクセットは、上記したクリアインク組成物と、カラーインク組成物を含む。以下、本実施形態に係るカラーインク組成物に含まれる各成分について説明する。なお、カラーインク組成物は、クリアインクに含まれる成分として例示した成分を含有してもよく、クリアインクで説明した成分については、その説明を省略する。
上記のクリアインク組成物と共に用いることが可能なカラーインク組成物には、顔料が含まれる。顔料としては、無機顔料および有機顔料を使用することができ、それぞれ単独または複数種を混合して用いることができる。有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、その他に、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラック等が使用できる。
顔料の具体例は、得ようとするカラーインク組成物の種類(色)に応じて適宜挙げられる。例えば、イエローインク組成物用の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,12,14,16,17,73,74,75,83,93,95,97,98,109,110,114,128,129,138,139,147,150,151,154,155,180,185等が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントイエロー74,110,128、129および180からなる群から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。また、マゼンタインク組成物用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5,7,12,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,112,122,123,168,184,202,209;C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントレッド122,202,209、およびC.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選ばれる一種または二種以上を用いることが好ましく、これらの固溶体であってもよい。また、シアンインク組成物用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,2,3,15:2,15:3,15:4,15:34,16,22,60;C.I.バットブルー4,60等が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントブルー15:3および/または15:4を用いることが好ましく、とりわけ、C.I.ピグメントブルー15:3を用いることが好ましい。
また、ブラックインク組成物用の顔料としては、例えば、ランプブラック(C.I.ピグメントブラック6)、アセチレンブラック、ファーネスブラック(C.I.ピグメントブラック7)、チャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)等の炭素類、酸化鉄顔料等の無機顔料、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料等が挙げられるが、本発明においては、カーボンブラックが好ましく用いられる。カーボンブラックとして、具体的には、#2650、#2600、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#966、#960、#950、#900、#850、MCF-88、#55、#52、#47、#45、#45L、#44、#33、#32、#30、(以上、三菱化学株式会社)、SpecialBlaek4A、550、Printex95、90、85、80、75、45、40(以上、デグッサ社)、Regal660、RmogulL、monarch1400、1300、1100、800、900(以上、キャボット社)、Raven7000、5750、5250、3500、3500、2500ULTRA、2000、1500、1255、1200、1190ULTRA、1170、1100ULTRA、Raven5000UIII(以上、コロンビアン社)等が挙げられる。
また、白色インク組成物用の白色顔料としては、例えば金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。また、白色顔料には、中空構造を有する粒子を含み、中空構造を有する粒子としては、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。中空構造を有する粒子としては、例えば、米国特許第4,880,465号などの明細書に記載されている粒子を好ましく用いることができる。
本発明において好適に使用できるカラーインク組成物は、上記したクリアインクと同様のアルコール溶剤を含んでいてもよい。
カラーインク組成物は、顔料を分散させる分散剤を含んでいてもよい。分散剤としては、特に限定されず、例えば、構成モノマーとして疎水性モノマー及び親水性モノマーを含む共重合樹脂を好適に用いることができる。
共重合体樹脂における疎水性モノマーの具体例としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルアクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、iso−オクチルアクリレート、iso−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フエニルメタクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ノニルフェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシエチル化オルトフェニルフェノールアクリレートなどを挙げることができる。これらは、単独でまたは二種以上を混合して用いてもよい。
親水性モノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などを挙げることができる。
前記疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合樹脂は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、スチレン−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、またはスチレン−マレイン酸共重合樹脂、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、またはスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、ヒドロキシエチル化オルトフェニルフェノールアクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合樹脂の少なくともいずれかであることが好ましい。
また、分散剤として、オキシエチルアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、およびフルオレン骨格含有樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂を用いることも可能であり、前記分散剤は、顔料に吸着して分散性を向上させる。
また、カラーインク組成物に含まれていてもよい顔料分散剤として、ウレタン樹脂を用いることが好ましい。ウレタン樹脂が含まれることにより、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる。ウレタン樹脂とは、ジイソシアネート化合物と、ジオール化合物とを反応して得られる重合体を含む樹脂であるが、本発明においては、ウレタン結合および/またはアミド結合と、酸性基とを有する樹脂であることが好ましい。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2
,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合
物、トルイレンジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシ
アネート化合物、これらの変性物が挙げられる。
ジオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のポリエーテル系、ポリエチレンアジベート、ポリブチレンアジベート等のポリエス
テル系、ポリカーボネート系が挙げられる。
前記ウレタン樹脂は、カルボキシル基を有することが好ましい。
また、カラーインク組成物は水が少なくとも含まれる。また、カラーインク組成物は、上記した成分以外の任意成分が含まれていてもよい。これら水および任意成分は、上記したクリアインク組成物と同様のものを使用することができる。
インクジェット記録方法
本発明によるインクジェット記録方法は、インク組成物として、上記のクリアインク組成物と、イエローインク組成物と、マゼンタインク組成物と、シアンインク組成物とを少なくとも用い、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うことができる。
インク液滴の記録媒体への付着順序としては、ブラックインク組成物、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物、またはイエローインク組成物のいずれかの液滴を記録媒体に付着させた後、クリアインク組成物の液滴を記録媒体に付着させる。カラーインク組成物を付着させた後に、クリアインク組成物を付着させることにより、定着性や耐擦性に優れる印刷物が得られるとともに、印刷済みの記録媒体を積み重ねた場合の非印字面へのインクの転写性が改善できる。
また、本発明おいては、記録媒体のカラーインク組成物の液滴を付着させた面(印刷面)とは反対の面側に、クリアインク組成物の液滴を記録媒体に付着させてもよい。このように、記録媒体の両面にクリアインク組成物の液滴を付着させることにより、より一層、非印字面へのインクの転写性を改善することができる。
本発明による記録方法においては、記録媒体として合成紙や印刷本紙を用いることが好ましく、とりわけ、アート紙、POD(プリントオンデマンド)用途に用いられる高画質用紙およびレーザープリンタ用の専用紙において、低解像度にて印刷した場合でも、白筋やザラツキ感のない高品質な画像が実現できる。POD用途の高画質用紙としては、例えば、リコービジネスコートグロス100(リコー株式会社)等が挙げられる。また、レーザープリンタ用の専用紙としては、例えばLPCCTA4(セイコーエプソン株式会社)等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
<クリアインク組成物の調製>
下記表1の組成に従い各成分を混合し、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各クリアインクを調製した。下記表1中の数値はインク中の含有量(質量%)を表す。
表1中、シリコーン系複合樹脂微粒子であるFE−230(日信化学工業株式会社)は、シリコーンとアクリルとの構成単位比が5:5である、粒径が約200μmの樹脂微粒子(固形分濃度30%)であり、NE−500(日信化学工業株式会社)は、シリコーンとアクリルとの構成単位比が3:7である、粒径が約200μmの樹脂微粒子(固形分濃度60%)であり、R−170EM(日信化学工業株式会社)は、シリコーンとアクリルとの構成単位比が7:3である、粒径が約200μmの樹脂微粒子(固形分濃度45%)であり、NS−651((日信化学工業株式会社)は、シリコーンとアクリルとの構成単位比が3:7である、粒径が約200μmの樹脂微粒子(固形分濃度44%)である。
また、表1中、フルオレン系樹脂(フルオレン樹脂)とは、CAS No.117344−32−8で示されるフルオレン骨格を有するモノマーをモノマー構成比率略50質量%含有する、分子量3300の樹脂であり、また、AQUACER515(ビックケミージャパン株式会社)は、ポリエチレン系ワックス、粒径100〜200nm、融点130℃、固形分30%の樹脂であり、ケミパールW4005(三井化学社株式会社)は、粒径200nm〜800nm、環球法軟化点110℃、針入度法硬度3、固形分40%であるポリエチレン系ワックスである。
また、表中の界面活性剤Xは、オルガノポリシロキサン系界面活性剤であり、上記の式(I)において、Rが水素原子であり、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物からなる界面活性剤である。
また、界面活性剤Yは、オルガノポリシロキサン系界面活性剤であり、上記の式(I)において、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物からなる界面活性剤である。
また、界面活性剤Zは、オルガノポリシロキサン系界面活性剤であり、上記の式(I)において、Rがメチル基であり、aが6〜18の整数であり、mが0であり、nが1である化合物からなる界面活性剤である。
<カラーインク組成物の調製>
下記表2の組成に従い各成分を混合し、10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。なお、下記表2中の数値はインク中の含有量(質量%)を表す。
表2の組成成分は以下の通りである。
スチレン−アクリル系樹脂は、分子量1600、酸価150の共重合体である。
スルホン酸エステル樹脂は、以下に記載のとおり調製した。
界面活性剤X,YおよびZは、上記表1で用いたものと同じものである。
<スルホン酸エステル樹脂の調製>
下記の各成分を2リットルビーカーに仕込み、100rpmで10分間攪拌し、モノマー乳化液を得た。
エチレン性不飽和モノマー:メチルメタクリレート 348g(58部)
ブチルアクリレート 240g(40部)
アクリル酸 12g(2部)
反応性乳化剤:アクアロンKH−10の15%水溶液 30g
(第一工業製薬社製、硫酸エステル基およびポリオキシエチレン基を含有)
連鎖移動剤:2−エチルヘキシルチオグリコレート 6g
水: 450g
次に、水520gおよび上記と同様の反応性乳化剤15%水溶液90gを、2Lセパラブルフラスコに投入し、180rpmで攪拌しながら60℃に昇温し、過硫酸アンモニウム2gを仕込んで70℃へ昇温した。
この反応性乳化剤水溶液中に、重合温度75℃を維持したまま3時間かけて、上記で得られたモノマー乳化液を逐次添加して乳化重合を行った。その後、重合溶液を80℃に昇温して1時間熟成させた後、冷却した。次いで、重合溶液に10%アンモニア水溶液を添加して中和し、pHが7.3となるよう調整した。
得られたスルホン酸エステル樹脂の平均粒子径造膜温度、および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、平均粒子径が50nmであり、造膜温度は15℃であり、Mw=45,000であった。なお、平均粒子径はPhotal PAR−III(大塚電子社製)を用いて測定し、造膜温度は造膜温度試験器(理学工業社製)を用いて測定した。また、重量平均分子量は、標準ポリスチレンを検量線として、GPC装置(SC8010(GPC)、東ソー社製)を用いて測定した。測定条件は以下の通りとした。
・溶離液:テトラヒドロフラン
・カラム:G4000HXL(東ソー社製)
・流速 :1000μL/分
・カラム温度:40℃
<評価>
(1)インクの定着性(耐擦性)
インクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン社株式会社)の2つのインクカートリッジに表2に記載のブラックインクを充填し、プリンターの排紙側に向かって最も左の列(市販商品においてはイエローインクカートリッジ装着位置)と、その右隣の列(市販商品においてはマゼンタインクカートリッジ装着位置)に装着した。また、表2に記載のシアンインクを充填し、プリンターの排紙側に向かって左から3番目の列(市販商品においてはシアンインクカートリッジ装着位置)と、その右隣の列(市販商品においてはマットブラックインクカートリッジ装着位置)に装着した。さらに、上記で得られたクリアインクを、2つのインクカートリッジに充填し、プリンターの排紙側に向かって左から5番目の列と、その右隣の列に装着した。
印刷本紙であるOKトップコートプラス(王子製紙株式会社)にブラックインクおよびシアンインクを用いて、720×720dpiの解像度、1ドット7ngのドット重量で、3.6mg/inch2でベタ印刷を行い、1分以内に続いて、ブラックベタパターンおよびシアンベタパターン上に、クリアインクを、720×720dpiの解像度、1ドット3ngのドット重量で1.0mg/inch2でオーバーコートした後、常温で放置して乾燥させた。常温で放置乾燥させながら断続的に、学振型摩擦堅牢試験機(AB−301 COLOR FASTNESS RUBBING TESTER、TESTER SANGYO.,LTD)を用いて荷重500g×10回の試験を行なった。試験機の摩擦紙(NewNpi上質紙)についてスキャナーで画像を取り込み、Photoshop(登録商標)で画像を2値化し転写面積率を算出した。
また、実施例1及び比較例1については、クリアインクをオーバーコートし、常温で放置して乾燥させた後、記録面の裏面にも、クリアインクを、720×720dpiの解像度、1ドット3ngのドット重量で1.0mg/inch2で塗布した。
得られた転写面積率を用いて、下記の評価基準でインクの定着性を評価した。評価基準は以下の通りとした。
S:摩擦紙への転写面積率が30%未満である。
A:摩擦紙への転写面積率が30%以上50%未満である。
B:摩擦紙への転写面積率が50%以上80%未満である。
C:摩擦紙への転写面積率が80%以上95%未満である。
D:摩擦紙への転写面積率が95%以上である。
(2)インクの定着性(パンチ穴開け)
インクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン社株式会社)の2つのインクカートリッジに表2に記載のブラックインクを充填し、プリンターの排紙側に向かって最も左の列(市販商品においてはイエローインクカートリッジ装着位置)と、その右隣の列(市販商品においてはマゼンタインクカートリッジ装着位置)に装着した。また、表2に記載のシアンインクを充填し、プリンターの排紙側に向かって左から3番目の列(市販商品においてはシアンインクカートリッジ装着位置)と、その右隣の列(市販商品においてはマットブラックインクカートリッジ装着位置)に装着した。さらに、上記クリアインクを、2つのインクカートリッジに充填し、プリンターの排紙側に向かって左から5番目の列と、その右隣の列に装着した。
印刷本紙であるOKトップコートプラス(王子製紙株式会社)の片面に上記インクを用いて、720×720dpiの解像度、1ドット7ngのドット重量で、3.6mg/inch2でベタ印刷を行い、1分以内に続いて、ブラックベタパターンおよびシアンベタパターン上に、クリアインクを、720×720dpiの解像度、1ドット3ngのドット重量で1.0mg/inch2でオーバーコートした後、常温で2時間放置した。上記の操作を30回行い、30枚の記録物を作成し、各記録物の画像同士が接触しないように重ねたもの(記録画像がある面と記録画像がない面が接触するように重ねたもの)を評価サンプルとした。
また、実施例1及び比較例1については、クリアインクをオーバーコートし、常温で放置して乾燥させた後、記録面の裏面にも、クリアインクを、720×720dpiの解像度、1ドット3ngのドット重量で1.0mg/inch2で塗布し、常温で2時間放置した。上記の操作を30回行い、30枚の記録物を作成し、各記録物の画像同士が接触しないように重ねたもの(記録画像がある面と記録画像がない面が接触するように重ねたもの)を評価サンプルとした。
次いで、日本工業規格(JIS;Japanese Industrial Standards)JIS S 6041で規定されている事務用穴あけ器(2穴タイプ、とじ穴の寸法;直径5.5〜6.5mm)を用いて、上記評価サンプルのパンチ穴あけ試験を荷重15.0kgで行なった。試験後、16枚目の非印字面(記録画像がない面)への、15枚目の記録画像の転写面積率を評価した。転写面積率は、スキャナーで画像を取り込み、Photoshopで画像を2値化し算出した。
得られた転写面積率を用いて、下記の評価基準でインクの定着性を評価した。評価基準は以下の通りとした。
S:非印字面への転写面積率が30%未満である。
A:非印字面への転写面積率が30%以上50%未満である。
B:非印字面への転写面積率が50%以上80%未満である。
C:非印字面への転写面積率が80%以上95%未満である。
D:非印字面への転写面積率が95%以上である。