JP2013144496A - 車両 - Google Patents

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尚幸 柿原
Kenji Chiba
健二 千葉
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Abstract

【課題】乗員の安全性を確保しつつ、生産性及び車両性能の向上を実現可能な車両を提供する。
【解決手段】実施例1の車両は、一対のルーフサイドレール3と、ルーフリインフォースメント5と、ピラー7とを備えている。ピラー7はピラーインナパネル73を有している。ピラーインナパネル73には、屈曲可能部75と補強部77とが設けられている。この車両では、所定荷重Fがルーフサイドレール3とピラー7との接合部分に作用することで、この所定荷重Fが屈曲可能部75へ集中し、これにより屈曲可能部75が屈曲する。この際、屈曲可能部75は自己が屈曲することで上記の所定荷重Fの一部を吸収する。また、補強部77により、ピラーインナパネル73では、屈曲可能部75以外の部分が屈曲し難くなっている。これにより、この車両では上記のような所定荷重Fによるピラー7やルーフリインフォースメント5の変形を抑制することが可能となっている。
【選択図】図6

Description

本発明は、特に、ピラーに特徴を有する車両に関する。
車両には、車両幅方向の両端で車両前後方向に延びる一対のルーフサイドレールと、車両幅方向に延び、両ルーフサイドレールと接合されたルーフリインフォースメントと、各ルーフサイドレールと接合され、車両下方向に延びるピラーとが備えられ得る。このような車両では、乗員の安全確保のため、ルーフサイドレールとピラーとの接合部分に作用する荷重に対する一定以上の強度が要求される。
このため、特許文献1では、ピラーが第1補強手段と第2補強手段とを有している車両が開示されている。第1補強手段及び第2補強手段はピラーの上下方向に沿って延びており、第2補強手段は第1補強手段の下方に間隔を空けて設けられている。
この車両では、上記の荷重が作用した場合、ピラーが変形し、第1補強手段と第2補強手段とが当接する。これにより、その荷重がピラーの軸方向、すなわちピラーの下方へ向かって伝達され、ピラーが車室側に変形することが抑制される。このため、この車両において、乗員の安全が確保される。
特開2010−162973号公報
ところで、車両には、生産性の向上と、軽量化による燃費等の車両性能の向上とが求められる。この点、上記特許文献1の車両では、これらが懸念される。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、乗員の安全性を確保しつつ、生産性及び車両性能の向上を実現可能な車両を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の車両は、車両幅方向の両端で車両前後方向に延びる一対のルーフサイドレールと、
該車両幅方向に延び、両該ルーフサイドレールと接合されたルーフリインフォースメントと、
車外側に設けられるピラーアウタパネルと、該ピラーアウタパネルと接合され、車室側に設けられるピラーインナパネルとを有し、各該ルーフサイドレールと接合されて車両下方向に延びるピラーとを備えた車両において、
各前記ピラーインナパネルの上部には、前記ルーフサイドレールとの接合部分に作用する所定荷重によって該ルーフサイドレールに対して屈曲可能な屈曲可能部が設けられていることを特徴とする(請求項1)。
本発明の車両では、各ピラーインナパネルが屈曲可能部を有している。屈曲可能部は各ピラーインナパネルの上部に設けられていることから、この屈曲可能部はルーフサイドレールとピラーインナパネルとの接続部分の近傍に位置する。このため、この車両では、所定荷重がルーフサイドレールとの接合部分に作用することで、この所定荷重は屈曲可能部へ集中する。
通常、ピラーのように閉断面の筒状の鋼板に対して一部より力が加わった場合には、鋼板が拡張され、伸びるよりも、圧縮され、つぶれ易い。このため、ピラーインナパネルのルーフサイドレールとの接合部分の近傍に屈曲可能部を設けることで、この車両では、所定荷重がルーフサイドレールとピラーインナパネルとの接合部分に作用する場合、ピラーインナパネルの上部のみが車室側に変形する。この際、屈曲可能部は自己が屈曲することで上記の所定荷重の一部を吸収する。このため、ルーフサイドレール、ルーフリインフォースメント及びピラーには、屈曲可能部が屈曲する前よりも小さな荷重が作用する。
また、このように屈曲可能部が屈曲することにより、ピラーに対して作用する荷重の作用線がピラーの下端に近づくことになる。このため、ピラーには、屈曲可能部が屈曲する前とは異なる方向に荷重が作用する。また、荷重とピラーの長さとの積からなるモーメントも、屈曲可能部が屈曲する前より小さくなる。これらのため、ピラーでは、屈曲可能部以外の部分が屈曲し難くなる。これにより、この車両では上記のような所定荷重によるピラー全体の変形を抑制することが可能となり、屈曲可能部以外ではピラーが車室側に変形し難くなる。
このように、この車両では、ピラーが所定荷重によって車室側に倒れ込むことをより好適に抑制できる。
また、この車両では、ピラーインナパネルに屈曲可能部を設けておれば、他のルーフサイドレールやルーフリインフォースメントの板厚を大きくしたり、必要以上に強度が高い材質を採用したりして、補強を行うことが必ずしも必要ではない。このため、この車両では、生産性を向上させることが可能である。また、この車両では、その重量増加を回避することが可能であるため、良好な燃費性能や操作に対する応答性能の向上も実現可能である。
したがって、本発明の車両は、乗員の安全性を確保しつつ、生産性及び車両性能の向上を実現可能である。
屈曲可能部は、例えばピラーにおける当該箇所を他の部分よりも薄く成形することによって形成することができる。
ピラーインナパネルは、屈曲可能部の下方に補強部が設けられていることが好ましい(請求項2)。この場合、屈曲可能部で確実に屈曲させることができるとともに、ピラーインナパネルにおける屈曲可能部より下方部分、すなわち、ピラーの下方部分の強度を高くすることができる。このため、所定荷重によるピラー全体の変形をより抑制することが可能となり、屈曲可能部以外でピラーが車室側により変形し難くなる。なお、補強部は、例えばピラーに対して金属板等の補強部材を溶接することで形成することができる。
また、補強部は、屈曲可能部から下方に連続して延び、ピラーインナパネルに凸設されたリブであることが好ましい(請求項3)。この場合、ピラーインナパネルに対してプレス加工等を行うことで、容易にリブを形成することが可能となる。このため、車両の生産性をより向上させることが可能となる。
しかも、このようにリブを凸設することにより、屈曲可能部より下方のピラーインナパネルでは、面部分が減少し、角部分が増加することになる。この角部分により、補強部、すなわち、ピラーの下方部分の強度を十分に高くすることができる。
さらに、リブは複数本であることが好ましい(請求項4)。この場合、屈曲可能部より下方となるピラーインナパネルでは、面部分がより減少し、角部分がより増加することになる。このため、ピラーインナパネル、ひいてはピラーの下方の強度がより増加されることとなる。これにより、ピラーの変形をより好適に抑制することが可能となる。
屈曲可能部は、ピラーインナパネルに形成された平坦部を有していることが好ましい(請求項5)。この場合、平坦部によって、屈曲可能部には面部分が増加することとなり、屈曲可能部の強度を意図的に低下させることが可能となる。これにより、この車両では、所定荷重によって屈曲可能部が屈曲し易くなる。また、この車両では、屈曲可能部が屈曲する際における屈曲度合いの他、屈曲可能部において屈曲する位置を調節し易くなる。
本発明の車両において、屈曲可能部は、平坦部に貫設された貫通孔又は薄肉部を有し得る(請求項6)。この場合、貫通孔や薄肉部に荷重が集中することとなる。このため、この車両では、屈曲可能部がより屈曲し易くなる。また、屈曲可能部における貫通孔又は薄肉部の位置を調整することで、屈曲可能部が屈曲する位置を調整し易くなる。
本発明の車両において、屈曲可能部は、ピラーアウタパネルに近づくように平坦部に形成された突出部を有し得る(請求項7)。この場合、平坦部に形成された突出部は、ピラーインナパネル側からピラーアウタパネルに近づくように、すなわち、突出部は、車室側から車外側に向かって突出するように形成される。そして、この突出部によって平坦部の断面係数が小さくなることから、この車両では、屈曲可能部がより屈曲し易くなる。また、上記の貫通孔や薄肉部と同様、屈曲可能部における貫通孔又は薄肉部の位置を調整することで、屈曲可能部が屈曲する位置を調整し易くなる。
本発明の車両は、乗員の安全性を確保しつつ、生産性及び車両性能の向上を実現可能である。
実施例1の車両を示す斜視図である。 実施例1の車両に係り、ルーフサイドレールと、ルーフリインフォースメントとを示す部分上面図である。 実施例1の車両に係り、ルーフサイドレール、ルーフリインフォースメント及びピラーの接続部分を示す断面図である。 実施例1の車両に係り、図3におけるIV−IV’方向の断面図である。 実施例1の車両に係り、図3におけるV−V’方向の断面図である。 実施例1の車両に係り、ルーフサイドレールとピラーとの接続部分を示す部分斜視図である。 実施例1の車両に係り、所定負荷が作用した際におけるルーフサイドレール、ルーフリインフォースメント及びピラーの接続部分の変形状態を示す断面図である。 実施例2の車両に係り、ルーフサイドレールとピラーとの接続部分を示す部分斜視図である。 実施例3の車両に係り、ピラーインナパネルの一部を示す斜視図である。 実施例3の車両に係り、図9のX−X’方向におけるピラーを示す断面図である。
以下、本発明を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
実施例1の車両は、図1に示すように、ルーフサイドレール3と、ルーフリインフォースメント5と、ピラー7とを備えている。これらのルーフサイドレール3、ルーフリインフォースメント5及びピラー7は、いずれも一般的な車両(乗用自動車)に採用される鋼材によって形成されている。これらのルーフサイドレール3、ルーフリインフォースメント5及びピラー7等により、車両の骨格9が形成されている。この骨格9は、車両の外観を形成するボディ部材11、13等によって覆われている。
図2に示すように、ルーフサイドレール3は車両幅方向の両端、すなわち、車両の右端及び左端にそれぞれ設けられており、各ルーフサイドレール3は、車両の前後方向に延びている。これらのルーフサイドレール3の構成は同一である。
図3に示すように、ルーフサイドレール3は、車外側に設けられるレールアウタパネル31と、車室CR側に設けられるレールインナパネル33とを有している。レールアウタパネル31及びレールインナパネル33は、車両の形状に応じて、プレス加工等により所定の形状に形成されている。レールアウタパネル31及びレールインナパネル33は、上端側で互いに接合されている。また、レールアウタパネル31の上端及びレールインナパネル33の上端は、ボディ部材11、13とも接合されている。一方、レールアウタパネル31の下端及びレールインナパネル33の下端は、後述するピラーインナパネル73の上端を挟持しつつ、互いに接合されている。なお、これらの接合はスポット溶接によって行われている。
図2に示すように、ルーフリインフォースメント5は車両幅方向に延びており、両ルーフサイドレール3と接合されている。ルーフリインフォースメント5はプレス加工が施されており、凹凸面が形成されている。この凹凸面によりルーフリインフォースメント5は、垂直方向の断面が略M字形状となっている。
図3に示すように、ルーフリインフォースメント5の両端はブラケット15が接合されている(図3では、ルーフリインフォースメント5の左端のブラケット15のみを図示する。)。このブラケット15は、レールインナパネル33と接合されており、このブラケット15を介して、ルーフサイドレール3とルーフリインフォースメント5とが接合されている。
図1に示すように、ピラー7は車両の右端及び左端にそれぞれ設けられている。車両の右端に設けられたピラー7は、同じく車両の右端に設けられたルーフサイドレール3と接合されている。また、車両の左端に設けられたピラー7は、車両の左端に設けられたルーフサイドレール3と接合されている。これらの各ピラー7は車両の上方向から車両の下方向に延びている。なお、各ピラー7の構成は同一である。
図3に示すように、ピラー7は、車外側に設けられるピラーアウタパネル71と、車室CR側に設けられるピラーインナパネル73とを有している。ピラーアウタパネル71の上端は、レールアウタパネル31と接合されている。また、上記のように、ピラーインナパネル73の上端は、レールアウタパネル31及びレールインナパネル33に挟持されつつ、これらと接合されている。さらに、図4及び図5に示すように、ピラーアウタパネル71及びピラーインナパネル73は、前後方向の両端側で互いに接合されている。
図6に示すように、ピラーインナパネル73は屈曲可能部75と補強部77とが設けられている。ピラーインナパネル73において、屈曲可能部75は補強部77の上方に位置している。より具体的には、屈曲可能部75は、ピラーインナパネル73の上端側であって、レールアウタパネル31及びレールインナパネル33との接合部分、すなわち、ルーフサイドレール3とピラー7との接合部分との近傍に形成されている。
これらの屈曲可能部75及び補強部77は、それぞれピラーインナパネル73に対してプレス加工が施されることにより形成されている。このプレス加工により、屈曲可能部75は平坦部75aで構成されている。この平坦部75aは、ピラーインナパネル73の上部(骨格9における車両上方側)に位置している。また、補強部77は、平坦部75a(屈曲可能部75)から下方に連続して伸びる2本のリブ77a、77bによって構成されている。各リブ77a、77bは、車室CR側に向かって凸設されている。なお、図6では、ピラーアウタパネル71の図示を省略している。後述の図8も同様である。
上記の平坦部75aにより、屈曲可能部75は、図4に示すように、面部分のみで形成されている。また、屈曲可能部75より下方、すなわち、補強部77では、図5に示すように、屈曲可能部75と比較して、面部分の割合が減少する一方で、リブ77a、77bにより、角部分が多く形成されている。
この車両において、走行のために必要な駆動装置及び各種の操作装置等は、いずれも公用品が採用されている。このため、これらの構成に関する詳細な説明は省略する。
以上のように構成されたこの車両では、ルーフサイドレール3とピラー7との接合部分、すなわち、図1に示すボディ部材13の上方から荷重が作用した際、以下のように機能する。
図7に示すように、この車両では、所定荷重Fがルーフサイドレール3とピラー7との接合部分に作用することで、この所定荷重Fは屈曲可能部75へ集中する。上記のように、屈曲可能部75は平坦部75aで構成されていることから、面部分のみで形成され、屈曲可能部75自身の強度が低下している。これにより、集中した所定荷重Fにより、図7に示すように、屈曲可能部75(平坦部75a)が屈曲し、ピラー7における屈曲可能部75よりも上方となる部分が車室CR側へ屈曲する。この際、屈曲可能部75は自己が屈曲することで上記の所定荷重Fの一部を吸収する。このため、ルーフサイドレール3、ルーフリインフォースメント5及びピラー7には、屈曲可能部75が屈曲する前よりも小さな曲げ荷重が作用することとなる。
また、このように屈曲可能部75が屈曲することにより、ピラーインナパネル73に対して作用する荷重の作用線がピラーインナパネル73下端に近づくことになる。このため、ピラーインナパネル73には、屈曲可能部75が屈曲する前とは異なる方向に荷重が作用する(同図の一点鎖線矢印参照。なお、一点鎖線矢印近傍の破線矢印は、屈曲可能部75が屈曲する前においてピラーインナパネル73に対して作用する荷重の作用線の方向を示す。)。
さらに、屈曲可能部75が屈曲することにより、ピラーアウタパネル71及びピラーインナパネル73における各上下方向の長さが短くなるため、荷重とピラー7の長さとの積からなるモーメントも、屈曲可能部が屈曲する前より小さくなる。上記のように、ピラーインナパネル73に対して作用する荷重の作用線が一点鎖線矢印方向となるため、この荷重は、ピラー7の軸方向、すなわち、ピラーインナパネル73を下方へ圧縮する方向で作用することとなる。
そして、ピラーインナパネル73において、平坦部75a、つまり屈曲可能部75よりも下方には、2本のリブ77a、77bが凸設されている。これらの各リブ77a、77bを凸設することにより、屈曲可能部75より下方のピラーインナパネル73では、上記のように、角部分が増加している。この角部分により、ピラーインナパネル73における屈曲可能部75より下方部分の強度が十分に高くなっている。つまり、ピラーインナパネル73の下方はモーメントに対する耐性が高くなっている。これらのため、ピラーインナパネル73は、図7に示すように、屈曲可能部75以外の部分が屈曲し難くなる。これにより、この車両では上記のように、所定荷重Fによってピラー7全体が車室CR側に倒れこむように変形することを抑制することが可能となっている。
また、この車両では、ピラーインナパネル73に補強部77、すなわち、リブ77a、77bを設けておれば、ピラーインナパネル73における屈曲可能部75より下方部分やルーフリインフォースメント5の板厚を大きくしたり、その必要以上に強度が高い材質を採用したり、補強部品を追加したりして、その補強を行う必要がない。このため、この車両では、生産性を向上させることが可能となっている。また、この車両では、その重量増加を回避することが可能であるため、良好な燃費性能や操作に対する応答性能の向上も実現可能となっている。
したがって、実施例1の車両は、乗員の安全性を確保しつつ、生産性及び車両性能の向上を実現可能である。
特に、この車両では、ピラーインナパネル73において、屈曲可能部75及び補強部77は、それぞれ、平坦部75a及びリブ77a、77bによって構成されている。そして、これらの平坦部75a及びリブ77a、77bは、ピラーインナパネル73がプレス成型されることによって形成されている。このため、ピラーインナパネル73に屈曲可能部75及び補強部77を容易に設けることが可能となっており、車両の生産性が高くなっている。
また、図4に示すように、この車両では、平坦部75aにより屈曲可能部75を面部分のみとすることで、ピラーインナパネル73の板厚を変更することなく屈曲可能部75の強度を意図的に低下させることが可能となっている。一方、リブ77a、77bを凸設することにより、屈曲可能部75より下方のピラーインナパネル73では、図5に示すように、面部分が減少し、角部分が増加することになる。この角部分により、補強部77、すなわち、ピラーインナパネル73における屈曲可能部75より下方部分の強度が増大されることとなる。これらにより、この車両では、所定荷重Fによってピラーインナパネル73の屈曲可能部75が屈曲する際における屈曲度合いの他、屈曲する位置を調節し易くなっている。
ここで、このピラーインナパネル73では、2つのリブ77a、77bが凸設されているため、単一のリブが凸設される場合と比較して、角部分がより増加している。このため、ピラーインナパネル73における屈曲可能部75より下方部分の強度が十分となっている。
(実施例2)
実施例2の車両におけるピラーインナパネル73では、図8に示すように、屈曲可能部75が平坦部75bと、貫通孔75cとを有している。この平坦部75bは、ピラーインナパネル73の略中央部分が全体として車室CR側に突出するようにプレス加工が施されることで形成されている。また、貫通孔75cは、平坦部75bの中央部分に形成されている。一方、補強部77は、この平坦部75bから下方に連続して伸びる1本のリブ77cによって構成されている。このリブ77c車外側に向かって凸設されている。この車両における他の構成は実施例1の車両と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
この車両においても、ルーフサイドレール3とピラー7との接合部分に所定荷重F(図7参照)が作用することで、この所定荷重Fは屈曲可能部75へ集中する。この際、特に、所定荷重Fは、貫通孔75cの周囲に集中する。そして、この集中した所定荷重Fにより、屈曲可能部75、より詳細には、平坦部75bにおける貫通孔75cの周囲が屈曲する。これにより、ピラー7における屈曲可能部75よりも上方となる部分が車室CR側へ屈曲する。ここで、この屈曲可能部75は、平坦部75bと貫通孔75cとを有することにより、実施例1の車両と比較して、その強度がより低下している。このため、この車両では、実施例1の車両と比較して、屈曲可能部75がより屈曲し易くなっている。
一方で、ピラーインナパネル73において、屈曲可能部75より下方部分はリブ77cによって強度が高くなっている。ここで、この車両では、リブ77cが1本形成されているのみであるが、上記のように、ピラーインナパネル73において、リブ77cの周囲が車室CR側へ突出するようにプレス加工されているため、補強部77における面部分は少なくなっている。このため、屈曲可能部75より下方部分の強度は十分高くなっており、この車両におけるピラーインナパネル73、ひいてはピラー7も、屈曲可能部75以外の部分が屈曲し難くなっている。他の作用効果は実施例1の車両と同様である。
したがって、実施例2の車両も、乗員の安全性を確保しつつ、生産性及び車両性能の向上を実現可能である。
(実施例3)
実施例3の車両では、実施例1の車両におけるピラーインナパネル73に替えて、図9に示すピラーインナパネル79を有している。つまり、この車両では、このピラーインナパネル79と、図10に示すピラーアウタパネル71とでピラー7を構成している。
図9に示すように、ピラーインナパネル79は、一対のフランジ79a、79bと、フランジ79a及びフランジ79bの間に形成された基部79cとを有している。各フランジ79a、79bと基部79cとは、それぞれ車両の上方向から下方向に向かって延びている。なお、このピラーインナパネル9には、実施例1、2におけるリブ77a〜77cのような補強部77は設けられていない。
ピラーインナパネル79の上端は、実施例1の車両におけるピラーインナパネル73と同様、レールアウタパネル31及びレールインナパネル33に挟持されつつ、これらと接合されている(図3参照)。また、図10に示すように、ピラーインナパネル79は各フランジ79a、79bにおいて、ピラーアウタパネル71と接合されている。
図9に示すように、各フランジ79a、79b及び基部79cは、それぞれピラーインナパネル79に対してプレス加工が施されることにより形成されている。また、このプレス加工により、基部79c全体は平坦部75dで構成されている。
この平坦部75d(基部79c)の上部、より具体的には、ピラーインナパネル79の上端側であって、レールアウタパネル31及びレールインナパネル33との接合部分(ルーフサイドレール3とピラー7との接合部分)の近傍部分には、突出部79dが形成されている。この突出部79dは、平坦部75dの上部に対してプレス加工を施すことで形成されており、フランジ79a側からフランジ79b側、すなわち、車両の前方から後方に向かって延びている。また、この突出部79dは、図10に示すように、基部79c側(ピラーインナパネル79側)からピラーアウタパネル71に近づくように、すなわち、車室CR側から車外側に向かって突出するように形成されている。
この車両では、平坦部75d(基部79c)の上部であって、突出部79dが形成された部分が屈曲可能部75となる。この車両における他の構成は実施例1の車両と同様である。
この車両では、突出部79dが形成されることで、平坦部75d(基部79c)の上部における断面係数が基部79cの他の部分と比較して小さくなる。このため、この車両では、所定荷重F(図7参照)がルーフサイドレール3とピラー7との接合部分に作用することで、所定荷重Fは突出部79d、すなわち、屈曲可能部75へ集中する。そして、この集中した所定荷重Fにより、屈曲可能部75が屈曲する。これにより、ピラー7における屈曲可能部75よりも上方となる部分が車室CR側へ屈曲する。この際、屈曲可能部75は自己が屈曲することで上記の所定荷重Fの一部を吸収するため、屈曲可能部75よりも下方部分となる基部79c(平坦部75d)に対する曲げ荷重は軽減される。このため、この車両におけるピラー7も、屈曲可能部75以外の部分が屈曲し難くなっている。他の作用効果は実施例1の車両と同様である。
したがって、実施例3の車両も、乗員の安全性を確保しつつ、生産性及び車両性能の向上を実現可能である。
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例2について、貫通孔75cに替えて薄肉部を形成しても良い。この場合、貫通孔75cと同様、薄肉部の周囲に所定荷重Fが集中する。このため、この場合の車両であっても、屈曲可能部75に貫通孔75cを設けた場合と同様の作用効果を奏することとなる。なお、薄肉部は、例えば屈曲可能部75の一部を切削加工することによって形成することができる。
また、実施例1のピラーインナパネル73における屈曲可能部75に貫通孔75cや突出部79dや薄肉部を形成しても良い。
さらに、実施例1のピラーインナパネル73において、リブ77aのみを設けても良く、3本以上のリブを設けても良い。さらに、実施例2のピラーインナパネル73において、2本以上のリブを設けても良い。また、実施例3と同様、実施例1、2のピラーインナパネル73について、リブ77a〜77c等の補強部77を設けない構成とすることもできる。
本発明は、乗用自動車や産業車両等の車両に利用可能である。
3…ルーフサイドレール
5…ルーフリインフォースメント
7…ピラー
71…ピラーアウタパネル
73…ピラーインナパネル
75…屈曲可能部
75a…平坦部
75b…貫通孔
77…補強部
77a、77b、77c…リブ
79…ピラーインナパネル
79c…平坦部
79d…突出部
CR…車室
本発明の車両は、車両幅方向の両端で車両前後方向に延びる一対のルーフサイドレールと、
該車両幅方向に延び、両該ルーフサイドレールと接合されたルーフリインフォースメントと、
車外側に設けられるピラーアウタパネルと、該ピラーアウタパネルと接合され、車室側に設けられるピラーインナパネルとを有し、各該ルーフサイドレールと接合されて車両下方向に延びるピラーとを備えた車両において、
各前記ピラーインナパネルの上部には、各該ピラーインナパネルのみに形成され、前記ルーフサイドレールとの接合部分に作用する所定荷重によって該ルーフサイドレールに対して屈曲可能であり、これによって前記ピラーを前記車室側に屈曲させる屈曲可能部が設けられていることを特徴とする(請求項1)。
図6に示すように、ピラーインナパネル73は屈曲可能部75と補強部77とが設けられている。ピラーインナパネル73において、屈曲可能部75は補強部77の上方に位置している。より具体的には、屈曲可能部75は、ピラーインナパネル73の上端側であって、レールアウタパネル31及びレールインナパネル33との接合部分、すなわち、ルーフサイドレール3とピラー7との接合部分との近傍に形成されている。
3…ルーフサイドレール
5…ルーフリインフォースメント
7…ピラー
71…ピラーアウタパネル
73…ピラーインナパネル
75…屈曲可能部
75a、75b、75d…平坦部
75…貫通孔
77…補強部
77a、77b、77c…リブ
79…ピラーインナパネル
79c…
79d…突出部
CR…車室

Claims (7)

  1. 車両幅方向の両端で車両前後方向に延びる一対のルーフサイドレールと、
    該車両幅方向に延び、両該ルーフサイドレールと接合されたルーフリインフォースメントと、
    車外側に設けられるピラーアウタパネルと、該ピラーアウタパネルと接合され、車室側に設けられるピラーインナパネルとを有し、各該ルーフサイドレールと接合されて車両下方向に延びるピラーとを備えた車両において、
    各前記ピラーインナパネルの上部には、前記ルーフサイドレールとの接合部分に作用する所定荷重によって該ルーフサイドレールに対して屈曲可能な屈曲可能部が設けられていることを特徴とする車両。
  2. 前記ピラーインナパネルは、前記屈曲可能部の下方に補強部が設けられている請求項1記載の車両。
  3. 前記補強部は、前記屈曲可能部から下方に連続して延び、前記ピラーインナパネルに凸設されたリブである請求項2記載の車両。
  4. 前記リブは複数本である請求項3記載の車両。
  5. 前記屈曲可能部は、前記ピラーインナパネルに形成された平坦部を有している請求項1乃至4のいずれか1項記載の車両。
  6. 前記屈曲可能部は、前記平坦部に貫設された貫通孔又は薄肉部を有している請求項5記載の車両。
  7. 前記屈曲可能部は、前記ピラーアウタパネルに近づくように前記平坦部に形成された突出部を有している請求項5記載の車両。
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