JP2013143783A - 含浸ワニス - Google Patents

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Akira Yamamoto
山本  明
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Abstract

【課題】耐熱性と含浸性が優れ、かつ、ポットライフが長い無溶剤型樹脂の含浸ワニスを提供することである。
【解決手段】含浸ワニスWの無溶剤型樹脂をナフタレン型エポキシ樹脂またはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂とし、硬化剤を無水メチルハイミック酸またはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転電機のコイルに含浸させる含浸ワニスに関する。
電動機や発電機等の回転電機のコイルには、絶縁性を確保するために含浸ワニスを含浸させている。このような含浸ワニスをコイルに含浸させる場合は、コイルをボビン等と組み立てた状態で、大気圧よりも低い低圧の真空タンクに注入した液状の含浸ワニスに浸漬することが多い(例えば、特許文献1参照)。一般的な含浸ワニスは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化樹脂に硬化剤を配合して、熱硬化によってコイル等を絶縁するように被覆するものが多い。
上述した低圧の真空タンク中でコイルに含浸させる含浸ワニスには、ポリイミド樹脂等の溶剤型のものは使用することができず、特許文献1に記載されたものでは、無溶剤型のエポキシ樹脂にイミダゾール化合物を硬化剤として配合した含浸ワニスを使用している。また、ワニスをコイルの隙間へ流れ込ませる含浸性を高めるために、ワニスを加熱して粘度を低くするようにしている。
特開平8−191559号公報
上述した回転電機のコイルに含浸させる含浸ワニスは、コイルの発熱に耐えられるように、絶縁性のほかに200℃程度の高い耐熱性を要求される。一般的に、無溶剤型の樹脂は耐熱性の高いものほど粘度が高くなり、含浸性が低下する。耐熱性の高い無溶剤型樹脂の粘度を下げる手段としては、希釈剤を配合するか、特許文献1に記載されたもののように樹脂の温度を上げる手段がある。
しかしながら、これらの手段は、いずれも液状の含浸ワニスのポットライフ(使用可能時間)が短くなる問題がある。ポットライフが短くなると、含浸ワニスの歩留まりが低下するのみでなく、含浸ワニスを一度に大量に配合することができず、少量ずつの配合に手間がかかる。また、含浸ワニスの温度を上げる手段は、余分な加熱装置を必要とし、設備コストも高くなる。
そこで、本発明の課題は、耐熱性と含浸性が優れ、かつ、ポットライフが長い無溶剤型樹脂の含浸ワニスを提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は、大気圧よりも低い真空タンク中で回転電機のコイルに含浸され、無溶剤型樹脂に硬化剤を配合した含浸ワニスにおいて、前記無溶剤型樹脂をナフタレン型エポキシ樹脂またはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂とし、前記硬化剤を無水メチルハイミック酸またはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸とした構成を採用した。
本発明者は、無溶剤型樹脂と硬化剤の組み合わせを変えて、種々の含浸ワニスを調合し、含浸性の指標となる常温での粘度、耐熱性の指標となる熱変形温度、およびポットライフを測定した。この結果、無溶剤型樹脂としてのナフタレン型エポキシ樹脂またはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂と、硬化剤としての無水メチルハイミック酸またはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸を組み合わせた含浸ワニスが、後の表1に示すように、耐熱性と含浸性が優れ、かつ、ポットライフが長いことを見出し、上記構成を採用した。
本発明に係る含浸ワニスは、無溶剤型樹脂をナフタレン型エポキシ樹脂またはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂とし、硬化剤を無水メチルハイミック酸またはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸としたので、耐熱性と含浸性が優れ、かつ、ポットライフが長いものとすることができる。
本発明に係る含浸ワニスを電動機のコイルに含浸させる状態を示す概念図
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係る含浸ワニスWを電動機のコイルに含浸させる状態を示す。コイル11とボビン12を組み立てた電動機のコイルアセンブリ10は、真空タンク1に注入された液状の含浸ワニスWに浸漬されている。真空タンク1は、蓋1aのエア抜き孔2に接続されたエア配管3に真空ポンプ4を設けたものであり、内部が大気圧よりも低く減圧されるようになっている。図示は省略するが、コイル11に含浸ワニスWを含浸させたコイルアセンブリ10は、真空タンク1から取り出されたのち、熱風で乾燥され、熱硬化した含浸ワニスWによってコイル11が被覆される。
前記含浸ワニスWは、無溶剤型樹脂であるナフタレン型エポキシ樹脂またはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂に、硬化剤として無水メチルハイミック酸またはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸を配合したものであり、硬化促進剤も添加されている。
表1に示すように、実施例として、無溶剤型樹脂をナフタレン型4官能エポキシ樹脂HP−4700(商品名;DIC株式会社製)とし、硬化剤をメチルヘキサヒドロ無水フタル酸MH−700(商品名;新日本理化株式会社製)とした含浸ワニス(実施例1)と、無溶剤型樹脂をナフタレン型エポキシ樹脂HP−4032(商品名;DIC株式会社製)とし、硬化剤を無水メチルハイミック酸MHAC−P(商品名;日立化成工業株式会社製)とした含浸ワニス(実施例2)と、無溶剤型樹脂をジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP−7200(商品名;DIC株式会社製)とし、硬化剤をメチルヘキサヒドロ無水フタル酸MH−700とした含浸ワニス(実施例3)を用意した。また、比較例として、無溶剤型樹脂を多官能タイプエポキシ樹脂jER1032(商品名;三菱化学株式会社製)として、硬化剤をメチルヘキサヒドロ無水フタル酸MH−700としたもの(比較例1)、硬化剤を無水メチルハイミック酸MHAC−Pとしたもの(比較例2)、および硬化剤をノボラック型フェノール樹脂TD−2131(商品名;DIC株式会社製)としたもの(比較例3)、無溶剤型樹脂をナフタレン型4官能エポキシ樹脂HP−4700とし、硬化剤を無水メチルハイミック酸MHAC−Pとしたもの(比較例4)、無溶剤型樹脂をナフタレン型エポキシ樹脂HP−4032として、硬化剤をノボラック型フェノール樹脂TD−2131としたもの(比較例5)、および硬化剤をメチルヘキサヒドロ無水フタル酸MH−700としたもの(比較例6)も用意した。なお、表1には記載していないが、実施例および比較例の各含浸ワニスには、いずれもイミド系マイクロカプセル型硬化促進剤HX−3792(商品名;旭化成イーマテリアルズ株式会社製)を1重量部ずつ添加した。
Figure 2013143783
上記実施例1−3および比較例1−6の各含浸ワニスについて、電気絶縁用無溶剤液状レジン試験方法を規定するJISC2105に準拠して、常温(23℃)での粘度と熱変形温度(軟化温度)を測定した。実施例1−3の各含浸ワニスについては、JISC2105に準拠してポットライフ(シェルライフ)も測定した。なお、比較例2−5のものについては熱変形温度の測定を省略した。これらの測定結果を表1に併せて示す。
表1に示した測定結果より、実施例1−3の各含浸ワニスは、粘度、熱変形温度およびポットライフのいずれについても良好な結果が得られた。これに対して、比較例2−5の各含浸ワニスは満足な粘度が得られず、比較例1、6の各含浸ワニスは、満足な粘度が得られたものの、熱変形温度について満足な結果が得られなかった。これらの結果より、実施例の各含浸ワニスは、常温でも優れた含浸性が得られる低い粘度であるとともに、熱変形温度が高くて優れた耐熱性を確保でき、さらにポットライフも十分に長く、回転電機のコイル含浸用に好適であることが分かった。
W 含浸ワニス
1 真空タンク
1a 蓋
2 エア抜き孔
3 エア配管
4 真空ポンプ
10 コイルアセンブリ
11 コイル
12 ボビン

Claims (1)

  1. 大気圧よりも低い真空タンク中で回転電機のコイルに含浸され、無溶剤型樹脂に硬化剤を配合した含浸ワニスにおいて、前記無溶剤型樹脂をナフタレン型エポキシ樹脂またはジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂とし、前記硬化剤を無水メチルハイミック酸またはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸としたことを特徴とする含浸ワニス。
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