JP2013142849A - 液晶配向剤 - Google Patents

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利之 秋池
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Abstract

【課題】光配向法によって付与されたプレチルト角の経時的安定性に優れ、さらに表示ムラが可及的に低減された液晶配向膜を与える液晶配向剤を提供する。
【解決手段】液晶配向剤は、下記式(1)で表される基およびエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを含有する。
Figure 2013142849

(式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、pは1または2であり、A〜Aは、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、「*」は結合手であることを表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶配向剤に関する。さらに詳しくは、偏光または非偏光の紫外線を照射することによって良好なプレチルト角を発現させることができるとともに、プレチルト角の長期安定性に優れ、大画面化した場合の表示ムラが可及的に低減された液晶配向膜を与えることのできる液晶配向剤に関する。
液晶表示素子としては、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In Plane Switching)型などに代表される、正の誘電異方性を有するネマチック型液晶を用いる水平配向モードの液晶表示素子のほか、負の誘電異方性を有するネマチック型液晶を用いる垂直(ホメオトロピック)配向モードのVA(Vertical Alignment)型液晶表示素子が知られている。
このような液晶表示素子は、液晶分子を一定の方向に配向させる機能を有する液晶配向膜を具備している。この液晶配向膜を構成する材料としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリオルガノシロキサンなどが知られており、古くから好ましく使用されている(特許文献1〜3)。
さらに、有機膜に液晶配向能を付与する方法として、旧来採用されてきたラビング法に代わって、光配向法の実用化が進んでいる。この技術の提案自体は旧聞に属するものであるが、光配向法用液晶配向膜材料の研究開発は進展を続けており、例えば特許文献4には、シンナメート構造を有するポリイミド薄膜に偏光または非偏光の紫外線を照射し、前記シンナメート構造の光異性化による分子の回転を利用して所望のプレチルト角発現性を付与する技術が提案されている。
しかしながら、光配向法用として従来知られている材料から形成された液晶配向膜は、形成直後こそ良好なプレチルト角を示したとしても、経時的にプレチルト角発現性が失われる現象が起こり、プレチルト角の経時的安定性に欠けることが指摘されている。
ところで近年、ハイビジョン映像の普及およびホームシアター用機器の充実に促されて、液晶表示素子の大画面化が進んでいる。大画面の液晶表示素子においては、画面上にわずかでも表示ムラがあった場合、視認者に拡大して認識されるため、小画面の場合と比較してより高度の表示均一性が要求される。ところが、上記の光配向法を大画面の液晶表示素子に適用した場合、表示ムラ、特に輝度ムラ、が現れることが明らかとなっており、改善が求められている。
特開平4−153622号公報 特開昭56−91277号公報 特開平11−258605号公報 米国特許出願公開第2009/0325453号明細書 特開2010−97188号公報
T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol.48,p1783(1977) F.Nakano et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980)
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光配向法によってプレチルト角を付与することができ、付与されたプレチルト角の経時的安定性に優れ、さらに表示ムラが可及的に低減された液晶配向膜を与える液晶配向剤を提供することにある。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、
下記式(1)で表される基およびエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを含有することを特徴とする液晶配向剤によって達成される。
Figure 2013142849
(式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、pは1または2であり、A〜Aは、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、「*」は結合手であることを表す。)
本発明によれば、少ない露光量の光配向法によりプレチルト角を付与することができ、付与されたプレチルト角の経時的安定性に優れるとともに、表示ムラ、特に輝度ムラが極めて低減された液晶配向膜を与える液晶配向剤が提供される。
上記本発明の液晶配向剤より形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子は、表示ムラが少なく、電圧保持率が高く、さらに長期信頼性に優れるものであるため、各種の表示装置に好適に適用することができる。
本発明の液晶配向剤は、上記式(1)で表される基およびエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン(以下、「感放射線性ポリオルガノシロキサン」という。)を含有する。
上記式(1)における基Rの炭素数1〜20のアルキル基としては、炭素数3〜7の直鎖のアルキル基であることが好ましく、その具体例として例えばn−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘプチル基などを挙げることができる。
上記式(1)におけるpは2であることが;
〜Aは、それぞれ、水素原子であることが、それぞれ好ましい。
感放射線性ポリオルガノシロキサンが有するエポキシ基としては、オキシラニル構造(1,2−エポキシ構造)またはオキセタニル構造(1,3−エポキシ構造)からなる基であることが好ましく、オキシラニル構造からなる基であることがより好ましい。感放射線性ポリオルガノシロキサンにおけるエポキシ基としては、エチレンオキシドから水素原子を1個除去して得られる基(オキシラニル基)であってもよく、脂環のうちの隣接する2つの炭素原子に酸素原子がそれぞれ結合した構造の一部として存在していてもよい。後者の場合、3,4−エポキシシクロヘキシル基中のオキシラニル構造からなる基であることが好ましい。
このようなエポキシ基、またはエポキシ構造を有する脂環は、感放射線性ポリオルガノシロキサンのケイ素原子に直接結合していてもよく、適当な結合基を介して結合していてもよい。ここで結合基としては、メチレン基であるか、あるいは途中がエーテル結合で中断されていてもよい炭素数2〜6のアルキレン基であることが好ましく、その具体例として、例えば1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、2−オキシ−1,5−ペンチレン基などを挙げることができる。
感放射線性ポリオルガノシロキサンおけるエポキシ基がケイ素原子と結合する態様としては、下記式(ES−1)および(ES−2)のうちのいずれかであることが好ましい。
Figure 2013142849
(式(ES−1)および(ES−2)中の「*」は、それぞれ、結合手であることを示す。)
感放射線性ポリオルガノシロキサンおける上記式(1)で表される基およびエポキシ基の好ましい存在割合は、感放射線性ポリオルガノシロキサンの有するケイ素原子1モルに対するモル数の割合として、それぞれ、以下のとおりである。
上記式(1)で表される基:好ましくは0.05〜0.90モル、より好ましくは0.1〜0.8モル、特に好ましくは0.2〜0.6モル
エポキシ基:好ましくは0.10〜0.95モル、より好ましくは0.2〜0.9モル、特に好ましくは0.4〜0.8モル(エポキシ当量として、概ね、好ましくは200〜9,000g/当量、より好ましくは300〜5,000g/当量、特に好ましくは400〜1,000g/当量に相当する。)
感放射線性ポリオルガノシロキサンおける、上記式(1)で表される基とエポキシ基との存在比は、上記式(1)で表される基の数をN(1)、エポキシ基を数をNepoとしたとき、両者のモル比N(1)/Nepoが、0.05〜9となる比であることが好ましく、0.1〜4となる比であることがより好ましく、特に0.25〜1.5となる比であることが好ましい。
本発明における感放射線性ポリオルガノシロキサンについてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは、1,000〜100,000であることが好ましく、2,000〜50,000であることがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000である。
上記のような感放射線性ポリオルガノシロキサンは、例えばエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと、上記式(1)で表される基を有するカルボン酸を含むカルボン酸と、の反応生成物であることができる。このとき、カルボン酸の使用割合をポリオルガノシロキサンの有するエポキシ基よりも少なく設定することにより、上記式(1)で表される基およびエポキシ基の双方を有する感放射線性ポリオルガノシロキサンを得ることができる。
上記のエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンは、例えばエポキシ基を有する加水分解性シラン化合物(以下、「シラン化合物(1)」という。)、またはシラン化合物(1)とその他の加水分解性シラン化合物(以下、「シラン化合物(2)」という。)との混合物を、(共)重縮合することにより合成することができる。
シラン化合物(1)としては、上記式(ES−1)または(ES−2)で表される構造を有する加水分解性シラン化合物であることが好ましく、その具体例として例えば3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
シラン化合物(2)は、エポキシ基を有さない加水分解性シラン化合物であり、その具体例として例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどの、ケイ素原子を1個有する加水分解性シラン化合物:
商品名で、例えばKC−89、KC−89S、X−41−1053、X−41−1056、X−41−1805、X−41−1810、KF6001、KF6002、KF6003、KR5235、KR9218、KR9706(以上、信越化学工業(株)製);
グラスレジン(昭和電工(株)製);
SH805、SH806A、SH840、SR2411、SR2416、SR2420(以上、東レ・ダウコーニング(株)製);
FZ3711、FZ3722(以上、日本ユニカー(株)製);
DMS−S42、DMS−S45、DMS−S51、DMS−227、PSD−0332、PDS−1615、PDS−9931、XMS−5025(以上、チッソ(株)製)などの部分縮合物を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
本発明に用いられるエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンは、そのエポキシ当量が100〜10,000g/モルであることが好ましく、150〜1,000g/モルであることがより好ましく、特に150〜300g/モルであることが好ましい。
エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを合成するにあたっては、シラン化合物(1)とシラン化合物(2)との使用割合を、得られるポリオルガノシロキサンのエポキシ当量が上記の範囲になるように調製して設定することが好ましい。
上記のようなシラン化合物(1)、またはシラン化合物(1)とシラン化合物(2)との混合物を、(共)重縮合するには、例えばこれらのシラン化合物を、好ましくは適当な有機溶媒、水および触媒の存在下において加水分解・縮合する方法によることができる。
エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを合成するにあたって使用することのできる有機溶媒としては、例えば炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アルコールなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。有機溶媒としては、非水溶性の有機溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒の使用割合は、全シラン化合物の100重量部に対して、好ましくは10〜10,000重量部であり、より好ましくは50〜1,000重量部である。
エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを合成する際の水の使用割合は、全シラン化合物の1モルに対して、好ましくは0.5〜100モルであり、より好ましくは1〜30モルである。
上記触媒としては例えば酸、塩基、有機塩基、チタン化合物、ジルコニウム化合物などを用いることができる。これらのうち、塩基を使用することが好ましい。
上記塩基としては、有機塩基、塩基性のアルカリ金属化合物などを挙げることができる。これらの具体例としては、有機塩基として、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、ピロールなどの1〜2級有機アミン;
トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセンなどの3級有機アミン;
テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級の有機アミンなどを挙げることができる。これらの有機塩基のうち、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを使用することが好ましい。上記塩基性のアルカリ金属化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドなどを挙げることができる。
エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを製造する際の触媒としては、アルカリ金属化合物または有機塩基を用いることが好ましい。有機塩基または塩基性のアルカリ金属化合物を触媒として用いることにより、エポキシ基の開環などの副反応を生じることなく、高い加水分解・縮合速度で目的のポリオルガノシロキサンを得ることができるため、生産安定性に優れることとなり好ましい。また、触媒としてアルカリ金属化合物または有機塩基を用いて合成されたエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを原料として得られた感放射線性ポリオルガノシロキサンを含有する本発明の液晶配向剤は、極めて保存安定性に優れるため好都合である。その理由は、加水分解、縮合反応において触媒として有機塩基または塩基性のアルカリ金属化合物を用いると、かご型構造などの3次元架橋構造が優先的に形成され、シラノール基の含有割合が少ないポリオルガノシロキサンが得られるためではないかと推察される。シラノール基の含有割合が少ないポリオルガノシロキサンを使用すると、シラノール基同士の縮合反応が抑えられ、さらに本発明の液晶配向剤が後述の他の重合体を含有するものである場合にはシラノール基と他の重合体との縮合反応も抑えられるため、保存安定性に優れる結果になるものと推察される。
触媒としては、特に有機塩基が好ましい。有機塩基の使用割合は、有機塩基の種類、温度、反応中の撹拌効率などの反応条件によって異なり、当業者によって適宜に設定されるべきであるが、例えば全シラン化合物の1モルに対して好ましくは0.01〜3モルとすることができ、より好ましくは0.05〜1モルとすることができる。
エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを製造する際の加水分解・縮合反応は、シラン化合物(1)と必要に応じてシラン化合物(2)とを有機溶媒に溶解し、この溶液を有機塩基および水と混合して、例えば油浴などを利用して加熱することにより実施することが好ましい。
加水分解・縮合反応時には、加熱温度を好ましくは130℃以下、より好ましくは40〜100℃として、好ましくは0.5〜12時間、より好ましくは1〜8時間加熱することが望ましい。加熱中は、混合液を撹拌してもよいし、還流下においてもよい。
本発明においては、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンとして市販されているものを用いてもよい。このような市販品としては、例えばDMS−E01,DMS−E12、DMS−E21,EMS−32(以上、チッソ(株)製)などを挙げることができる。
上記式(1)で表される基を有するカルボン酸としては、上記式(1)で表される基が水素原子と直接結合してなる化合物、すなわち、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2013142849
(式(2)中、R、pおよびA〜Aは、それぞれ、上記式(1)におけるのと同じ意味である。)
上記式(2)で表される化合物は、例えば下記式(2−0)で表される化合物と、アクリル酸と、を、好ましくはヘック反応の条件下において反応させる工程を経ることによって合成することができる。
Figure 2013142849
(式(2−0)中、R、pおよびA〜Aは、それぞれ、上記式(2)におけるのと同じ意味であり、Xはハロゲン原子である。)
上記式(2−0)におけるXのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを挙げることができるが、これらのうち、ヨウ素原子であることが好ましい。
上記式(2−0)で表される化合物の1モルに対するアクリル酸の使用割合は、0.8〜10.0モルとすることが好ましく、1.0〜2.0モルとすることがより好ましい。
上記式(2−0)で表される化合物とアクリル酸との反応は、好ましくは無溶媒または適当な溶媒中で、好ましくは適当な触媒および塩基の存在下に行ることができる。
ここで使用することのできる溶媒としては、例えばアミド化合物などを使用することができる。これらの具体例としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドンなどを挙げることができる。溶媒を使用する場合、その使用割合は、上記式(2−0)で表される化合物およびアクリル酸の合計100重量部に対して、好ましくは100〜10,000重量部であり、より好ましくは200〜2,000重量部である。
上記触媒としては、0価パラジウム錯体を使用するか、あるいは2価パラジウム化合物と適当な配位子とから構成される触媒を使用することが好ましい。上記0価パラジウム錯体としては、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などを;
上記2価パラジウム化合物としては、例えば、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)などを;
上記配位子としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)リン、BINAP(2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル)などを、それぞれ挙げることができる。
0価パラジウム錯体または2価パラジウム化合物の使用割合としては、上記式(2−0)で表される化合物の1モルに対する、0価パラジウム錯体または2価パラジウム化合物中のパラジウム原子のモル数の割合として、0.0001〜1.0モルとすることが好ましく、0.01〜0.1モルとすることがより好ましい。触媒として2価パラジウム化合物および配位子からなる触媒を使用する場合、両者の使用割合としては、2価パラジウム化合物中のパラジウム原子の1モルに対する、配位子の有する配位座の個数(モル数)として、1〜10モルとすることが好ましく、2〜5モルとすることがより好ましい。
上記塩基としては、例えばトリエチルアミン、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、トリプロピルアミン、ジアザビシクロウンデセン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどを挙げることができる。これら塩基の使用割合としては、上記式(2−0)で表される化合物1モルに対して、1.0〜10.0モルとすることが好ましく、2.0〜5.0モルとすることがより好ましい。
上記式(2−0)で表される化合物とアクリル酸との反応は、好ましくは10〜200℃、より好ましくは50〜150℃において、好ましくは0.5〜48時間、より好ましくは1〜12時間行われる。
カルボン酸としては、上記式(1)で表される基を有するカルボン酸のみを使用してもよく、あるいは上記式(1)で表される基を有するカルボン酸とともに、上記式(1)で表される基を有さないカルボン酸(以下、「他のカルボン酸」という。)を併用してもよい。
上記他のカルボン酸は、好ましくは下記式(3)
−R−COOH (3)
(式(3)中、Rは炭素数4〜20のアルキル基、炭素数4〜20のアルコキシ基、炭素数4〜20のフルオロアルキル基もしくは炭素数4〜20のフルオロアルコキシ基であるか、または脂環式基を含む炭素数3〜40の1価の有機基であり、Rは単結合またはフェニレン基であり、ただしRがアルコキシ基またはフルオロアルコキシ基であるときRはフェニレン基である。)
で表される化合物である。
上記式(3)におけるRとしては炭素数8〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基または炭素数4〜21のフルオロアルキル基もしくはフルオロアルコキシ基であることが好ましく、Rとしては単結合、1,4−シクロヘキシレン基または1,4−フェニレン基であることが好ましい。
上記式(3)で表される化合物の好ましい例として、例えば下記式(3−1)〜(3〜4)
2h+1−C2i−COOH (3−1)
Figure 2013142849
(上記式中、hは1〜3の整数であり、iは3〜18の整数であり、jは5〜20の整数であり、kは1〜3の整数であり、mは0〜18の整数であり、nは1〜18の整数である。)
のいずれかで表される化合物を挙げることができ、そのうち、4−トリフルオロメトキシ安息香酸、4−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)安息香酸および4−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルオキシ)安息香酸のいずれかで表される化合物が好ましい。
カルボン酸の合計の使用割合(上記式(1)で表される基を有するカルボン酸および他のカルボン酸の合計の使用割合)は、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンの有するエポキシ基の1モルに対して、好ましくは0.001〜1.5モルであり、より好ましくは0.01〜1モルであり、さらに好ましくは0.05〜0.9モルである。上記式(1)で表される基を有するカルボン酸がカルボン酸の全量に占める割合は、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは75モル%以上である。
エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと、上記式(1)で表される基を有するカルボン酸を含むカルボン酸と、の反応は、好ましくは適当な有機溶媒中で、好ましくは適当な触媒の存在下に行うことができる。
上記有機溶媒としては、例えば炭化水素、エーテル、エステル、ケトン、アミド、アルコールなどを挙げることができる。これらのうち、エーテル、エステルまたはケトンを使用することが、原料および生成物の溶解性ならびに生成物の精製のし易さの観点から好ましい。溶媒は、固形分濃度(反応溶液中の溶媒以外の成分の重量が溶液の全重量に占める割合)が、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは5〜50重量%となる割合で使用される。
上記触媒としては、有機塩基、またはエポキシ化合物と酸無水物との反応を促進するいわゆる硬化促進剤として公知の化合物を用いることができる。
上記有機塩基としては、例えばトリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどを;
上記硬化促進剤としては、例えばテトラエチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリドなどを、それぞれ挙げることができる。
触媒は、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンの100重量部に対して好ましくは100重量部以下、より好ましくは0.01〜100重量部、さらに好ましくは0.1〜20重量部の割合で使用される。
エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと上記式(1)で表される基を有するカルボン酸を含むカルボン酸との反応は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは50〜150℃の反応温度において、好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは0.5〜20時間の反応時間で行われる。
上記のような感放射線性ポリオルガノシロキサンの合成方法は、エポキシ基の開環付加反応によってポリオルガノシロキサンに上記式(1)で表される基を導入するものである。この方法は簡便であり、しかも上記式(1)で表される基の導入率を高くすることができる点で、極めて好適な方法である。
<その他の成分>
本発明の液晶配向剤は、上記のような感放射線性ポリオルガノシロキサンを含有する。
本発明の液晶配向剤は、上記のような感放射線性ポリオルガノシロキサンのほかに、本発明の効果を損なわない限り、さらに他の成分を含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば感放射線性ポリオルガノシロキサン以外の重合体(以下、「他の重合体」という。)、硬化剤、硬化触媒、硬化促進剤、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(ただし、感放射線性ポリオルガノシロキサンを除く。以下、「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物、界面活性剤などを挙げることができる。
[他の重合体]
上記他の重合体は、本発明の液晶配向剤の溶液特性および得られる液晶配向膜の電気特性をより改善するために使用することができる。このような他の重合体としては、例えばポリアミック酸、ポリイミド、感放射線性ポリオルガノシロキサン以外のポリオルガノシロキサン(以下、「他のポリオルガノシロキサン」という。)、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
上記ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。ポリアミック酸は、例えば特許文献5(特開2010−97188号公報)に記載のテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを使用して、これらを公知の方法により反応させることにより、製造することができる。特に好ましいテトラカルボン酸二無水物は、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物およびピロメリット酸二無水物よりなる群から選択される1種以上であり;
特に好ましいジアミンは、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、3,5−ジアミノ安息香酸、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、テトラデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、テトラデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、
ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸コレステニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、4−(4’−トリフルオロメトキシベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、4−(4’−トリフルオロメチルベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェノキシ)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)シクロヘキサン、2,4−ジアミノ−N,N―ジアリルアニリン、4−アミノベンジルアミン、3−アミノベンジルアミン、1−(2,4−ジアミノフェニル)ピペラジン−4−カルボン酸、4−(モルホリン−4−イル)ベンゼン−1,3−ジアミン、1,3−ビス(N−(4−アミノフェニル)ピペリジニル)プロパン、α−アミノ−ω−アミノフェニルアルキレンおよび下記式(A−1)で表されるジアミンから選択される1種以上である。
Figure 2013142849
(式(A−1)中、XおよびXIIは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−COO−または−OCO−であり;
は単結合、メチレン基または炭素数2もしくは3のアルキレン基であり;
αは0または1であり、βは0〜2の整数であり、ただし、αおよびβが同時に0になる場合はなく;そして
γは1〜20の整数である。)
上記式(A−1)で表される化合物の具体例としては、例えば3,5−ジアミノ安息香酸(4−(4’−n−ペンチルビシクロヘキシル)フェニル)、2,4−ジアミノフェニル 4−(4’−n−ペンチルビシクロヘキシル)フェニル エーテル、2,4−ジアミノフェニル 4−(4−n−ヘプチルシクロヘキシル)フェニル エーテルなどを挙げることができる。
上記ポリイミドは、上記ポリアミック酸を公知の方法により脱水閉環してイミド化することにより製造することができる。
上記他のポリオルガノシロキサンは、原料シラン化合物として、上記のシラン化合物(2)を用いるほかは、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンの製造方法として上記したところと同様にして製造することができる。
本発明の液晶配向剤が、上記の感放射線性ポリオルガノシロキサンとともに他の重合体を含有するものである場合、他の重合体の含有割合としては、感放射線性ポリオルガノシロキサン100重量部に対して10,000重量部以下であることが好ましい。他の重合体のより好ましい含有量は、他の重合体の種類により異なる。本発明の液晶配向剤が、感放射線性ポリオルガノシロキサンと、ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体と、を含有するものである場合、感放射線性ポリオルガノシロキサン100重量部に対するポリアミック酸およびポリイミドの合計の使用割合として、100〜5,000重量部であることが好ましく、200〜2,000重量部であることがより好ましい。一方、本発明の液晶配向剤が、感放射線性ポリオルガノシロキサンと、他のポリオルガノシロキサンと、を含有するものである場合、感放射線性ポリオルガノシロキサン100重量部に対する他のポリオルガノシロキサンの使用割合として、100〜2,000重量部であることが好ましい。
本発明の液晶配向剤が、感放射線性ポリオルガノシロキサンとともに他の重合体を含有するものである場合、他の重合体の種類としては、ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体、または他のポリオルガノシロキサンであることが好ましい。
[硬化剤、硬化触媒および硬化促進剤]
上記硬化剤および硬化触媒は感放射線性ポリオルガノシロキサンの架橋反応をより強固にする目的で本発明の液晶配向剤に含有されることができ、上記硬化促進剤は硬化剤の司る硬化反応を促進する目的で本発明の液晶配向剤に含有されることができる。
上記硬化剤としては、エポキシ基を有する硬化性化合物またはエポキシ基を有する化合物を含有する硬化性組成物の硬化に一般に用いられている硬化剤を用いることができ、例えば多価アミン、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸を例示することができる。
上記硬化触媒としては、例えば6フッ化アンチモン化合物、6フッ化リン化合物、アルミニウムトリスアセチルアセトナートなどを用いることができる。これらの触媒は加熱によりエポキシ基のカチオン重合を触媒することができる。
上記硬化促進剤としては、例えばイミダゾール化合物、4級リン化合物、4級アミン化合物、ジアザビシクロアルケン、有機金属化合物、ホウ素化合物、金属ハロゲン化合物、高融点分散型潜在性硬化促進剤、表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤、アミン塩型潜在性硬化促進剤、高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤などを挙げることができる。
硬化剤、硬化触媒および硬化促進剤の好ましい使用割合は、感放射線性ポリオルガノシロキサンの100重量部に対する使用割合として、それぞれ以下のとおりである。
硬化剤:好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下
硬化触媒:好ましくは50重量部以下、より好ましくは20重量部以下
硬化促進剤:好ましくは50重量部以下、より好ましくは20重量部以下
[エポキシ化合物]
上記エポキシ化合物は、形成される液晶配向膜の基板表面に対する接着性を向上させる観点から本発明の液晶配向剤に含有されることができる。
かかるエポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサンなどを好ましいものとして挙げることができる。
本発明の液晶配向剤がエポキシ化合物を含有する場合、その含有割合としては、上記の感放射線性ポリオルガノシロキサンと任意的に使用される他の重合体との合計100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは0.1〜30重量部である。
[官能性シラン化合物]
上記官能性シラン化合物は、得られる液晶配向膜の基板との接着性をより向上する目的で使用することができる。官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを挙げることができるほか、テトラカルボン酸二無水物とアミノ基を有するシラン化合物との反応物などを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤が官能性シラン化合物を含有する場合、その含有割合としては、上記の感放射線性ポリオルガノシロキサンと任意的に使用される他の重合体との合計100重量部に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは20重量部以下である。
[界面活性剤]
上記界面活性剤としては、例えばノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、ポリアルキレンオキシド界面活性剤、含フッ素界面活性剤などを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤が界面活性剤を含有する場合、その含有割合としては、液晶配向剤の全体100重量部に対して、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下である。
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上述の通り、感放射線性ポリオルガノシロキサンを必須成分として含有し、そのほかに必要に応じて他の成分を含有するものであるが、好ましくは各成分が有機溶媒に溶解された溶液状の組成物として調製される。
本発明の液晶配向剤を調製するために使用することのできる有機溶媒としては、感放射線性ポリオルガノシロキサンおよび任意的に使用される他の成分を溶解し、これらと反応しないものが好ましい。
本発明の液晶配向剤に好ましく使用することのできる有機溶媒は、任意的に添加される他の重合体の種類により異なる。
本発明の液晶配向剤が感放射線性ポリオルガノシロキサンならびにポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有するものである場合における好ましい有機溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;
m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
一方、本発明の液晶配向剤が、重合体として感放射線性ポリオルガノシロキサンのみを含有するものである場合、または感放射線性ポリオルガノシロキサンおよび他のポリオルガノシロキサンを含有するものである場合における好ましい有機溶剤としては、例えば酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチルなどを挙げることができこれらのうちから選択される1種以上を使用することができる。
本発明の液晶配向剤の調製に用いられる好ましい溶媒は、他の重合体の使用の有無およびその種類に従い、上記した有機溶媒の1種または2種以上を組み合わせて得られるものであって、下記の好ましい固形分濃度において液晶配向剤に含有される各成分が析出せず、且つ液晶配向剤の表面張力が25〜40mN/mの範囲となるものである。
本発明の液晶配向剤の固形分濃度、すなわち液晶配向剤中の溶媒以外の全成分の重量が液晶配向剤の全重量に占める割合は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。本発明の液晶配向剤は、基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜を形成するが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得難い場合がある。一方、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得難く、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が不足する場合がある。特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に採用する方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それによって溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それによって溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは、0℃〜200℃、より好ましくは0℃〜40℃である。
<液晶配向膜の形成方法>
本発明の液晶配向剤は、光配向法により液晶配向膜を形成するために好適に使用することができる。
液晶配向膜を形成する方法としては、例えば基板上に本発明の液晶配向膜の塗膜を形成し、次いで該塗膜に放射線を照射する工程を経る方法を挙げることができる。
まず、パターン状の透明導電膜が設けられた基板の透明導電膜側に、本発明の液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法により塗布する。そして、該塗布面を、予備加熱(プレベーク)し、次いで焼成(ポストベーク)することにより塗膜を形成する。プレベーク条件は、例えば40〜120℃において0.1〜5分であり、ポストベーク条件は、好ましくは120〜300℃、より好ましくは150〜250℃において、好ましくは5〜200分、より好ましくは10〜100分である。ポストベーク後の塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
前記基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスの如きガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートの如きプラスチックからなる透明基板などを用いることができる。
前記透明導電膜としては、SnOからなるNESA膜、In−SnOからなるITO膜などを用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や透明導電膜を形成する際にマスクを用いる方法などが用いられる。
液晶配向剤の塗布に際しては、基板または透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板および透明導電膜上に、予め官能性シラン化合物、チタネートなどを塗布しておいてもよい。
次いで、前記塗膜に直線偏光もしくは部分偏光された放射線または無偏光の放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する。ここで、放射線としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線および可視光線を用いることができるが、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。用いる放射線が直線偏光または部分偏光している場合には、照射は基板面に垂直の方向から行っても、プレチルト角を付与するために斜め方向から行ってもよく、また、これらを組み合わせて行ってもよい。無偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向である必要がある。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザーなどを使用することができる。前記の好ましい波長領域の紫外線は、前記光源を、例えばフィルター、回折格子などと併用する手段により得ることができる。
放射線の照射量としては、好ましくは1J/m以上10,000J/m未満であり、より好ましくは10〜3,000J/mである。なお、従来知られている液晶配向剤から形成された塗膜に光配向法により液晶配向能を付与する場合、10,000J/m以上の放射線照射量が必要であった。しかし本発明の液晶配向剤を用いると、光配向法の際の放射線照射量が3,000J/m以下、さらに1,000J/m以下であっても良好な液晶配向能を付与することができ、液晶表示素子の製造コストの削減に資する。
<液晶表示素子の製造方法>
本発明の液晶配向剤を用いて形成される液晶表示素子は、例えば以下のようにして製造することができる。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、この2枚の基板間に液晶を配置することにより、液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。
いずれの方法による場合でも、次いで、液晶セルを、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。ここで、液晶配向膜が水平配向性である場合、液晶配向膜が形成された2枚の基板における、照射した直線偏光放射線の偏光方向のなす角度およびそれぞれの基板と偏光板との角度を調整することにより、TN型またはSTN型液晶セルを有する液晶表示素子を得ることができる。一方、液晶配向膜が垂直配向性である場合には、液晶配向膜が形成された2枚の基板における配向容易軸の方向が平行となるようにセルを構成し、これに、偏光板を、その偏光方向が配向容易軸と45°の角度をなすように貼り合わせることにより、垂直配向型液晶セルを有する液晶表示素子とすることができる。
前記シール剤としては、例えばスペーサーとしての酸化アルミニウム球および硬化剤を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
前記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを用いることができる。TN型液晶セルまたはSTN型液晶セルの場合、ネマティック型液晶を形成する正の誘電異方性を有するものが好ましく、例えばビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが用いられる。また前記液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として市販されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶を、さらに添加して使用してもよい。一方、垂直配向型液晶セルの場合には、ネマティック型液晶を形成する負の誘電異方性を有するものが好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などが用いられる。
液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板などを挙げることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下の実施例におけるポリオルガノシロキサンの重量平均分子量およびエポキシ当量ならびにポリアミック酸溶液の溶液粘度は、それぞれ、以下のように測定した。
[重量平均分子量]
ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量は、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm
[エポキシ当量]
ポリオルガノシロキサンのエポキシ当量は、JIS C2105の「塩酸−メチルエチルケトン法」に準拠して測定した。
[溶液粘度]
ポリアミック酸溶液の溶液粘度は、E型粘度計を用いて25℃において測定した値である。
<化合物(2−1)の合成>
実施例1
下記スキーム1
Figure 2013142849
(上記スキーム1において、「o−CH−C」はオルト−トルイル基であり、「n−C11−」は直鎖のペンチル基である。)
に従って、化合物(2−1)を合成した。
温度計、窒素導入管および冷却管を備えた1L三口フラスコに、化合物(3−1)50.4g、酢酸パラジウム(II)0.225g、トリ(o−トリル)リン1.22g、N,N−ジメチルアセトアミド500mL、アクリル酸8.65gおよびトリエチルアミン40.4gを仕込み、115℃において3時間反応を行った。反応終了後、析出物をろ別して得られたろ液に酢酸エチル1Lを加え、希塩酸で1回および水で2回、順次に分液洗浄を行った後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別して得られたろ液を減圧にて乾固して得た固体を酢酸エチルで再結晶することにより、化合物(2−1)の白色結晶22.4gを得た。
<エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンの合成>
合成例1
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100.0g、メチルイソブチルケトン500gおよびトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。次いでここに、脱イオン水100gを滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ80℃において6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒および水を留去することにより、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンEPS−1を粘調な透明液体として得た。
このエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンEPS−1について、H−NMR分析を行なったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にエポキシ基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。
このエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンEPS−1のMwは2,200であり、エポキシ当量は186g/モルであった。
<感放射線性ポリオルガノシロキサンの合成>
実施例2
200mLの三口フラスコに、上記合成例1で得たエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンEPS−1を22.7g、メチルイソブチルケトン160g、上記実施例1で得た化合物(2−1)17.3g(エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンEPS−1の有するエポキシ基1モルに対して0.226モルに相当する量である。)およびテトラブチルアンモニウムブロミド2.27gを仕込み、80℃で12時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、ヘキサンで再沈殿を行い、得られた沈殿物を酢酸エチルに溶解して溶液を得た。この溶液を3回水洗した後、溶剤を留去することにより、感放射線性ポリオルガノシロキサンS−1を白色粉末として34g得た。
この感放射線性ポリオルガノシロキサンS−1の重量平均分子量Mwは14,700であった。
<他の重合体の合成>
[ポリアミック酸の合成]
合成例PA−1
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物196g(1.0モル)およびジアミンとして2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル212g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン4,050gに溶解し、40℃で3時間反応を行うことにより、ポリアミック酸(PA−1)を10重量%含有する溶液4,300gを得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は170mPa・sであった。
<液晶配向剤の調製>
実施例3
他の重合体として上記合成例PA−1で得たポリアミック酸PA−1を含有する溶液に上記実施例2で得た感放射線性ポリオルガノシロキサンS−1を加え、さらにN−メチル−2−ピロリドンおよびブチルセロソルブを加えて、重合体組成が感放射線性ポリオルガノシロキサンS−1:ポリアミック酸PA−1=100:2,000(重量比)、溶媒組成がN−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブ=50:50(重量比)および固形分濃度が3.0重量%の溶液を調製し、これを液晶配向剤A−1とした。
<液晶配向膜の形成および液晶表示素子の製造ならびに評価>
実施例4
ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上に、上記実施例3で調製した液晶配向剤A−1をスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換したオーブン中で200℃で1時間加熱して膜厚0.1μmの塗膜を形成した。次いでこの塗膜表面に、Hg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線200J/mを、基板法線から40°傾いた方向から照射して液晶配向膜とした。同じ操作を繰り返して、液晶配向膜を有する基板を1対(2枚)製造した。
上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、1対の基板の液晶配向膜面を対向し、各基板の紫外線の光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように圧着し、150℃において1時間加熱して接着剤を熱硬化した。次いで、液晶注入口より基板間の間隙に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除去するために、これを150℃まで加熱した後に室温まで徐冷した。次に基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、且つ、液晶配向膜の紫外線の光軸の基板面への射影方向と45°の角度をなすように貼り合わせることにより、液晶表示素子を製造した。
この液晶表示素子につき、以下のように評価した。
(1)液晶配向性の評価
上記で製造した液晶表示素子につき、5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を倍率20倍の光学顕微鏡により観察したところ、異常ドメインは観察されず、液晶配向性は良好であった。
(2)プレチルト角の評価
上記で製造した液晶表示素子につき、非特許文献1(T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol.48,p1783(1977))および非特許文献2(F.Nakano et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980))に記載の方法に準拠して、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法によりプレチルト角を測定したところ、88.5°であった。
(3)明るさの面内均一性
上記で製造した液晶表示素子につき、背面から白色拡散光を照射しつつ印加電圧を0〜5Vまで徐々に上げた後、再度0Vまで徐々に下げながら、明るさの面内均一性を目視により観察したところ、印加電圧によらずに面内の明るさが常に均一であったため、明るさの面内均一性は良好であると評価された。
(4)電圧保持率の評価
上記で製造した液晶表示素子に、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を(株)東陽テクニカ製「VHR−1」を使用して測定したところ、電圧保持率は99%であった。
(5)プレチルト角安定性の評価
上記(2)で電圧保持率を測定した液晶表示素子を、100℃において10日間保管した後、上記(2)と同様にして再度プレチルト角を測定したところ、保管後のプレチルト角は88.1°であった。従って初期電圧保持率からの変化量が1°未満であり、プレチルト角安定性は良好であると評価された。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で表される基およびエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを含有することを特徴とする、液晶配向剤。
    Figure 2013142849
    (式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、pは1または2であり、A〜Aは、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、「*」は結合手であることを表す。)
  2. 上記ポリオルガノシロキサンにおける上記式(1)で表される基の含有割合が、上記ポリオルガノシロキサンの有するケイ素原子の1モルに対して、0.05〜0.90モルである、請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. 上記ポリオルガノシロキサンにおけるエポキシ基の含有割合が、上記ポリオルガノシロキサンの有するケイ素原子の1モルに対して、0.10〜0.95モルである、請求項1または2に記載の液晶配向剤。
  4. 上記ポリオルガノシロキサンが、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと、下記式(2)で表される化合物を含むカルボン酸と、の反応生成物である、請求項1または2に記載の液晶配向剤。
    Figure 2013142849
    (式(2)中、R、pおよびA〜Aは、それぞれ、上記式(1)におけるのと同じ意味である。)
  5. 基板上に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に放射線を照射する工程を経ることを特徴とする、液晶配向膜の形成方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
  7. 下記式(1)で表される基およびエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン。
    Figure 2013142849
    (式(1)中、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、pは1または2であり、A〜Aは、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、「*」は結合手であることを表す。)
  8. 下記式(2)で表される化合物。
    Figure 2013142849
    (式(2)中、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、pは1または2であり、A〜Aは、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子である。)
  9. 請求項8に記載の化合物を製造するための方法であって、下記式(2−0)で表される化合物と、アクリル酸と、を反応させる工程を経ることを特徴とする、前記方法。
    Figure 2013142849
    (式(2−0)中、R、pおよびA〜Aは、それぞれ、上記式(2)におけるのと同じ意味であり、Xはハロゲン原子である。)
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