JP2013141081A - アンテナ設計方法、アンテナ設計装置、アンテナ設計プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アンテナの第1のアンテナ特性を入力し、アンテナと、アンテナに接続される整合回路であって、寄生リアクタンスおよび損失抵抗を含む整合素子により構成される整合回路とを含むアンテナモデルを作成し、作成されたアンテナモデルの第2のアンテナ特性を第1のアンテナ特性を用いて計算し、計算された第2のアンテナ特性が所望の規格値を満たすか否かを判定し、判定された結果を表示する処理をコンピュータが実行する。
【選択図】図15
Description
まず、整合回路を含まないアンテナモデルを作成し、作成されたアンテナモデルのアンテナインピーダンスおよび電圧定在波比(voltage standing wave ratio、VSWR)等のアンテナ特性をシミュレーションにより算出する。
所望の規格を満たさないと判定する場合には、算出されたアンテナインピーダンスを参考に整合回路のモデルを作成し、作成された整合回路をアンテナモデルに追加する。そして、整合回路が追加されたアンテナモデルについて、電圧定在波比等のアンテナ特性をシミュレーションにより算出し、算出されたアンテナ特性が所望の規格を満たすか否かの評価を行う。
送信及び/又は受信モジュールの整合素子およびアンテナの放射効率を測定する従来技術がある。
ダイポールアンテナシステムの放射抵抗を、放射抵抗、誘導リアクタンス、容量性リアクタンス、および抵抗フィードポイントグランド損失と表皮効果を用いた近似式から算出する従来技術がある。
整合回路を構成する整合素子には、静電容量成分またはインダクタンス成分の他に、僅かながら抵抗成分が含まれる。このため、アンテナと送受信モジュールとの間に整合回路が実装され、整合回路に電流が流れた場合、整合回路を構成する整合素子の抵抗成分が損失抵抗Rlを構成し得る。この結果、アンテナの放射抵抗Rrが小さい場合には、整合回路により整合をとったとしても、整合素子の抵抗成分の影響によってアンテナの放射効率η等のアンテナ特性が規格を満足しないケースが起こり得る。
まず、静電容量成分またはインダクタンス成分に加えて、寄生静電容量成分または寄生インダクタンス成分と損失抵抗成分とを含むように、整合回路を構成する整合素子の各成分のモデルを個別に作成する。また、作成された整合素子の各成分の値を個別に入力し設定する。そして、作成された整合回路を含むアンテナモデルのアンテナ特性をシミュレーションにより算出する。
図1は、実施形態に従ったアンテナ設計装置の機能的構成図である。
アンテナ設計装置100には、入力部110、記憶部120、処理部130、および表示部140が含まれる。
入力部110により入力される各種データには、アンテナモデルの形状、モデルの材質、波源、回路部品、解析条件、および解析出力項目に関するデータが含まれる。
記憶部120は、処理部130による処理データが格納される解析結果ファイル121および分析結果ファイル122を含む記憶装置である。
処理部130は、実施形態に従ったアンテナ設計を実行する処理装置である。処理装置130は、例えば、Central Processing Unit(CPU)である。
処理部130には、アンテナ素子特性解析部131および整合回路付きアンテナ特性解析部132が含まれる。
アンテナモデル作成部131aは、入力部110からの入力データに従って、整合回路を含まないアンテナモデルを作成する。
シミュレーション解析部131bにより実行されるシミュレーションは、例えば、モーメント法、有限要素法、および有限差分時間領域法等を用いた電磁界シミュレーションである。
整合回路付きアンテナ特性解析部132は、整合回路を付加したアンテナモデルのアンテナ特性を実施形態に従った計算方法を用いて解析する。
実施形態によっては、シミュレーション結果判定部131cによる判定の結果、対象となる周波数での電圧定在波比が所望の規格値を越える場合に、整合回路付きアンテナ特性解析部132による解析が実行される。
整合回路付きアンテナモデル作成部132aは、解析結果ファイル121に格納された整合回路を含まないアンテナモデルのアンテナ特性をインポートする。すなわち、整合回路付きアンテナモデル作成部132aは、対象となる周波数ごとの放射効率、アンテナインピーダンス、およびSパラメータをインポートする。また、実施形態によっては、整合回路付きアンテナモデル作成部132aは、入力部110により入力された対象となる周波数ごとの放射効率、アンテナインピーダンス、およびSパラメータをインポートする。
説明の前提として、実施形態に従ったアンテナ特性の計算に用いる各パラメータをまず説明する。
図2に示すように、実施形態に従った整合回路付きアンテナモデルの等価回路200には、波源210、整合回路220、およびアンテナ230が含まれる。
図2に示されるZ0は、波源210の内部インピーダンスである。波源210の内部インピーダンスZ0は、例えば50オーム(Ω)である。
PLは、誘電損および導体損等のアンテナ230に含まれる損失によって失われる電力である。Pradは、放射電力であり、関係式Prad=Pant-PLで表される。
図3では、整合回路220として、1つの整合素子320がアンテナモデルの等価回路中に直列に挿入されている。
整合回路を含まないアンテナモデルにおけるアンテナの放射効率ηaは、次の式(8)により表される。
図4では、整合回路220として、1つの整合素子420がアンテナモデルの等価回路中に並列に挿入されている。
反射係数S11は、前述した式(6)によって計算することができる。ただし、図4に示したアンテナモデルの等価回路では、式(6)中に記載される、波源210から見た入力インピーダンスZinは、次の式(12)で示すように表される。
図4に示したアンテナモデルでは、Pant/Pnetは、次の式(13)により表される。
図5では、整合回路220として、3つの整合素子521〜523がアンテナモデルの等価回路中にパイ(π)型に挿入されている。
反射係数S11は、前述した式(6)により表わすことができる。そして、図5に示した回路モデルにおける式(6)中のZinは、図3および図4を用いて前述した整合回路として1つの整合素子が挿入されたケースにおける式(7)および式(12)と同様の計算方法により得ることができる。
図7において、Zam1およびZm2の和Zam2は、前述した1つの整合素子320が直列に挿入されたケースの式(7)と同様に次の式(16)のように表される。
図8において、Zam2およびZm3の和Zam3、すなわち式(6)中のZinは、前述した1つの整合素子420が並列に挿入されたケースの式(12)と同様に次の式(17)のように表される。
図5に示すアンテナモデルにおける放射効率ηは、次の式(18)により表すことができる。
このように、アンテナ特性計算部132bは、整合素子の静電容量またはインダクタンスと共に寄生リアクタンスおよび損失抵抗を加えた整合回路が付加されたアンテナモデルのアンテナ特性を上述した計算方法に従って計算する。すなわち、実施形態では、整合素子の寄生リアクタンスおよび損失抵抗を加味した整合回路付きのアンテナモデルのアンテナ特性を、整合回路を含まないアンテナモデルのアンテナ特性を用いてシミュレーションによらずに計算する。
計算結果判定部132cは、整合回路付きのアンテナモデルが所望の規格を満足するか否かを、アンテナ特性計算部132bにより計算されたトータル効率を用いて判定する。
整合素子320に含まれる損失抵抗Rmと反射係数S11の絶対値|S11|との関係を説明するために、|S11|2を計算すると、|S11|2は、前述した式(2)、式(3)、および式(6)を用いて次の式(23)のように表される。
F(Rm)は、Rmについての2次式になっている。また、Rm 2の係数は、正の値であるから、F(Rm)は下向きに凸状の放物線を描く。そして、F(Rm)の第3項である[Ra 2-Z0 2-(Xa+Xm)2]が正の値になるか負の値になるかに従って、F(Rm)の特性が変わる。
一方、Ra 2-Z0 2-(Xa+Xm)2<0である場合、図9に示すように、F(0)は、常に負の値になる。そして、F(Rm)は、Rmが0から大きくなる従って、負の値から正の値に変化する。また、図10に示すように、|S11|は、Rmが0から大きくなるに従って、小さくなった後大きくなる。すなわち、|S11|は、良くなった後悪くなる。
Prad/Pnet整合に依存しない放射効率ηは、次の式(30)のように表される。
式(30)より、整合素子320の損失抵抗Rmが増えると,放射効率ηは、小さくなる、すなわち悪くなることがわかる。
トータル効率ηtを計算するために、1−|S11|2を計算すると、1−|S11|2は、次の式(31)のように表すことができる。
並列に1つの整合素子420を実装した場合の反射係数S11は、次の式(33)のように表すことができる。
図11に示したとおり、損失抵抗Rmが大きくなるに従って、反射係数S11は良くなる場合も悪くなる場合ある。
Prad/Pnet整合に依存しない放射効率ηは、次の式(45)のように表される。
したがって、整合回路220として1つの整合素子420が並列に挿入されたケースでは、整合素子420の損失抵抗Rmが大きくなるに従って、放射効率ηは悪くなると説明できる。
トータル効率ηtを計算するために、1−|S11|2を計算すると、1−|S11|2は、前述の式(37)を用いて次の式(47)のように表すことができる。
図13および図14中のRm0は、式(49)の分子、すなわち、Rmに関する2次方程式の解であり、次の式(50)のように表される。
したがって、整合回路220として1つの整合素子420が並列に挿入されたケースでは、整合素子420の損失抵抗Rmが大きくなるに従って、トータル効率ηtは悪くなると説明できる。
したがって、整合回路を構成する整合素子の損失抵抗Rmを考慮してアンテナ設計を行なう場合には、損失抵抗Rmが増えるに従って悪くなる場合も良くなる場合もある反射係数S11は、整合回路を構成する整合素子を決定する基準としては適切でない。そこで、整合回路を構成する整合素子を決定する基準としては、放射効率ηまたはトータル放射効率ηtを用いることが考えられる。
図15は、実施形態に従ったアンテナ設計方法の処理フローの例図である。
step1501において、アンテナモデル作成部131aは、入力部110により入力されたアンテナモデルの条件データに従って、整合回路を含まないアンテナモデルを作成する。前述したように、入力部110により入力されるアンテナモデルの条件データには、アンテナモデルの形状、モデルの材質、波源、回路部品、解析条件、および解析出力項目に関するデータが含まれる。
step1504において、整合回路付きアンテナモデル作成部132aは、解析結果ファイル121に格納された対象となる周波数ごとの放射効率ηa、アンテナインピーダンスZ0、反射係数S11をインポートする。
図16に示すように、実施形態に従ったツール画面1600には、対象周波数を表示する領域1601と、アンテナインピーダンスの実数部Raおよび虚数部Xa、および整合回路付加前の放射効率ηaを表示する領域1602とが含まれる。
step1506においてトータル効率ηtが所望の規格値以上であると判定される場合には、アンテナ設計処理は、step1517に進み、アンテナ設計を終了する。そして、整合回路付きアンテナモデル作成部132aにより作成されたアンテナモデルに基づいて、アンテナの試作または製造が行なわれる。
step1507において、計算結果判定部132cは、分析結果ファイル122に格納されている、整合回路を構成する整合素子ごとの消費電力データを表示部140に表示させる。なお、実施形態によっては、整合回路を構成する整合素子ごとの消費電力を、アンテナ設計装置100に接続された印刷装置(図示せず)に印刷させる。
図21に示すように、整合回路を構成する整合素子ごとの消費電力データ2100には、素子番号2101、回路名2012、種別2103、消費電力2104、静電容量またはインダクタンス2105、および部品名2106が含まれる。
step1511において、アンテナモデル作成部132aは、整合回路を構成するカウント値i番目に対応する整合素子を、計算結果判定部132cにより探索された、その整合素子と同じ静電容量またはインダクタンスであって損失抵抗が小さい整合素子に交換する。
step1514において、計算結果判定部132cは、カウント値iを1つインクリメントする。そして、step1515において、カウント値iが整合回路を構成する整合素子の数n以下であるか否かを判定する。
step1515においてカウント値iが整合回路を構成する整合素子の数nを越えると判定される場合には、アンテナ設計処理は、step1516に進み、計算結果判定部132cは、アンテナモデルの再構成を要する旨を表示部140に表示させる。
図23に示すように、コンピュータ2300には、入力装置2301、読み取り装置2302、通信インタフェース2303、ハードディスク(HDD)2304、Central Processing Unit(CPU)2305、Random Access Memory(RAM)2306、Read Only Memory(ROM)2307、表示装置2308、およびバス2309が含まれる。コンピュータ2300に含まれる装置2301〜2308は、バス2309によって相互に接続される。
読み取り装置2302は、磁気ディスク、光ディスク、および光磁気ディスク等の可変記録媒体に含まれるプログラムおよびデータを読み出す装置であり、例えば、Compact Disc/Digital Versatile Disc(CD/DVD)ドライブである。通信インタフェース2303は、Local Area Network(LAN)等の通信ネットワークにコンピュータ2300を接続するためのインタフェースである。HDD2304は、CPU2305が実行するプログラムおよびデータを記憶する記憶装置である。
以上で説明したように、実施形態では、整合回路付きアンテナモデルを作成する際に、整合素子の静電容量またはインダクタンスと共に、整合素子の寄生リアクタンスおよび損失抵抗を含む整合回路付きのアンテナモデルが作成される。また、作成された整合回路を構成する整合素子の寄生リアクタンスおよび損失抵抗を含む各値は、整合素子データファイルから取得され、または入力部からの入力により指定される。すなわち、実施形態に従えば、アンテナ設計処理を実行する際に、整合回路を構成する各整合素子の静電容量またはインダクタンスに加えて、寄生リアクタンスおよび損失抵抗の各モデルを個別に作成し、それらの値を個別に設定する必要がない。したがって、整合素子の寄生リアクタンスおよび損失抵抗を加味した整合回路付きアンテナ設計処理を迅速かつ容易に行なうことができる。
110 入力部
120 記憶部
121 解析結果ファイル
122 分析結果ファイル
123 整合素子データファイル
130 処理部
131 アンテナ素子特性解析部
131a アンテナモデル作成部
131b シミュレーション解析部
131c シミュレーション結果判定部
132 整合回路付きアンテナ特性解析部
132a 整合回路付きアンテナモデル作成部
132b アンテナ特性計算部
132c 計算結果判定部
140 表示部
200 整合回路付きアンテナモデルの等価回路
210 波源
220 整合回路
230 アンテナ
320、420、521、522、523 整合素子
2300 コンピュータ
2301 入力装置
2302 読み取り装置
2303 通信インタフェース
2304 HDD
2305 CPU
2306 RAM
2307 ROM
2308 表示装置
2309 バス
Claims (10)
- アンテナの第1のアンテナ特性を入力し、
前記アンテナと、前記アンテナに接続される整合回路であって、寄生リアクタンスおよび損失抵抗を含む整合素子により構成される前記整合回路とを含むアンテナモデルを作成し、
作成された前記アンテナモデルの第2のアンテナ特性を前記第1のアンテナ特性を用いて計算し、
計算された前記第2のアンテナ特性が所望の規格値を満たすか否かを判定し、
判定された結果を表示する
処理をコンピュータが実行するアンテナ設計方法。 - 前記整合回路を構成する前記整合素子を、前記整合素子の使用条件に関するデータを含む整合素子データファイルを参照することにより選択することを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ設計方法。
- 前記第1のアンテナ特性は、アンテナインピーダンス、反射係数、および放射効率を含むことを特徴等する、請求項1に記載のアンテナ設計方法。
- 前記第2のアンテナ特性は、反射係数、放射効率、およびトータル効率を含むことを特徴とする、請求項3に記載のアンテナ設計方法。
- 前記第2のアンテナ特性が前記所望の規格値を満たすか否かの判定を、前記トータル効率が所望の規格値以上であるか否かにより判定することを特徴とする、請求項4に記載のアンテナ設計方法。
- 前記第2のアンテナ特性が前記所望の規格値を満さないと判定する場合には、前記整合回路を構成する整合素子の損失抵抗として許容される上限値を表示することを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ設計方法。
- 前記第2のアンテナ特性は、前記整合素子の消費電力を含み、
前記整合素子の消費電力を表示することを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ設計方法。 - 前記第1のアンテナ特性を電磁界シミュレーションを実行することにより取得することを特徴とする、請求項1〜7に記載のアンテナ設計方法。
- アンテナの第1のアンテナ特性を入力する入力部と、
前記アンテナと、前記アンテナに接続される整合回路であって、寄生リアクタンスおよび損失抵抗を含む整合素子により構成される前記整合回路とを含むアンテナモデルを作成する整合回路付きアンテナ作成部と、
前記整合回路付きアンテナ作成部により作成された前記アンテナモデルの第2のアンテナ特性を前記第1のアンテナ特性を用いて計算するアンテナ特性計算部と、
前記アンテナ特性計算部により計算された前記第2のアンテナ特性が所望の規格値を満たすか否かを判定する計算結果判定部と、
前記計算結果判定部により判定された結果を表示する表示部と
を含むアンテナ設計装置。 - アンテナの第1のアンテナ特性を入力し、
前記アンテナと、前記アンテナに接続される整合回路であって、寄生リアクタンスおよび損失抵抗を含む整合素子により構成される前記整合回路とを含むアンテナモデルを作成し、
作成された前記アンテナモデルの第2のアンテナ特性を前記第1のアンテナ特性を用いて計算し、
計算された前記第2のアンテナ特性が所望の規格値を満たすか否かを判定し、
判定された結果を表示する
ことをコンピュータに実行させるアンテナ設計プログラム。
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