まず、図1を参照して、この実施形態の文書管理システムの構成例を説明する。このシステムは、操作履歴記録装置10、文書記憶装置20及び登録装置30を備えている。操作履歴記録装置10、文書記憶装置20及び登録装置30は、ローカルエリアネットワークやインターネット等のデータ通信ネットワークを介して、クライアント装置50その他の装置と通信可能となっている。
操作履歴記録装置10は、クライアント装置50で文書について実行された操作の履歴情報(以下、「操作履歴情報」と呼ぶ)を記録する装置である。操作履歴記録装置10は、操作履歴テーブル12及び抽出情報テーブル14を保持している。
操作履歴テーブル12は、クライアント装置50にて各文書に対して実行された個々の操作についての操作履歴情報が記録されるテーブルである。図2に操作履歴テーブル12に含まれるデータ内容の一例を示す。
図2に例示する操作履歴テーブル12の例では、1つの行が1つの操作に対応する操作履歴情報を示している。個々の操作履歴情報には、操作ID、親操作ID、操作種別、ユーザID、所属部門、及び操作日時が含まれる。
操作IDは、当該操作を一意に識別する識別情報である。親操作IDは、当該操作の対象の文書に対し当該操作の直前に実行された操作(すなわち当該文書に対して過去に施された操作の系列の中で、今回の操作に対して1つ前の操作)についての操作IDである。操作種別は、当該操作の種別のことである。ここでいう文書に対する「操作」には、閲覧、編集、印刷、コピー(文書内容が同一の別の文書を作成すること)等の一般的な文書処理分野の操作のみならず、起案、承認、回付などといったワークフロー管理における文書への操作等、文書を利用する様々なシステムにおける文書への操作が含まれ得る。操作種別は、それら閲覧、編集、印刷等の種別のことである。ユーザIDは、当該操作の実行を指示したユーザの識別情報である。所属部門は、当該ユーザが組織(例えば企業)内で所属する部門(例えば部や課等)のことである。操作日時は、当該操作が実行された日時である。
操作履歴情報のこれら項目のうち、操作種別、ユーザID、所属部門、及び操作日時は、当該操作の属性情報の項目である、これらの項目は、文書に対して操作を行ったクライアント装置50にて判明している事項であり、クライアント装置50から操作履歴記録装置10に通知される。操作履歴情報には、例示した操作種別、ユーザID、所属部門、及び操作日時の他に、操作の属性情報の項目が含まれていてもよい。
また、操作IDは、操作を一意に識別する識別情報であるが、これは操作の種別を識別するものではなく、特定の文書に対して実行された当該操作そのものを一意に識別するものである。例えば、「印刷」という種別の操作を、特定の文書Aに施した場合と、別の文書Bに施した場合とでは、それぞれの「印刷」操作に対して付与される操作IDは異なる。また、同じ文書に対して同じ種別の操作を複数回実行した場合、それら個々の回の操作に付与される操作IDは異なる。このような一意な操作IDは、操作履歴記録装置10が付与してもよいし、操作を行ったクライアント装置50が付与してもよい。個々のクライアント装置50が操作に対して一意な操作IDを付与する方式には、例えばクライアント装置50自身の固有の識別情報を含んだ値を操作IDとするなどといった既存の方式を用いればよい。クライアント装置50が操作IDを付与する場合、クライアント装置50が、付与した操作IDを(当該操作の属性情報の各項目と併せて)操作履歴記録装置10に通知すればよい。
操作履歴情報中の操作IDと親操作IDのペアは、当該文書に対してこれまでに施されてきた操作の系列における、今回と前回の操作を示しており、いわば操作の親子関係(操作IDが子、親操作IDが親)を示すものである。この親子関係は、派生関係と言い換えてもよい。操作履歴テーブル12内の複数の操作履歴情報に含まれる操作IDと親操作IDのペア群が示す親子関係の集合は、操作IDのツリー構造を構成する。図2に例示した操作履歴テーブル12の操作履歴情報群が構成する操作IDのツリー構造を、図3に示す。図2及び図3の例では、操作履歴テーブル12内にツリーの起点(根)となる操作が1つしかないので、そのテーブル12内の情報は1つのツリーを表すのみであるが、根となる操作が複数存在する場合は、複数のツリーが形成される。
このような操作IDの親子関係の情報は、文書を介して操作履歴記録装置10に伝えられる。この仕組みの例を以下に説明する。
この実施形態では、図4に示すように、文書100には、文書内容106の他に操作ID102が含まれる。文書100内に含まれる操作ID102は、当該文書100に対して直前に施された操作(すなわち当該文書が経験した最新の操作)の識別情報である。言い換えれば、ある文書に対して操作を行った場合、その操作に対して一意な操作ID102が付与され、その操作ID102が、その操作の結果得られる文書100に対して組み込まれるのである。クライアント装置50は、その文書100に対して操作を行った場合、その文書100内の操作ID102を、今回行った操作の親の操作IDとして操作履歴記録装置10に通知し、操作履歴記録装置10はその操作IDを親操作IDとして操作履歴情報に組み込む。なお、操作IDを有しない文書に対して操作を行った場合、この操作については親操作IDはなく(例えば図2のID201の操作)、この操作は新たな操作群のツリーの根となる。本実施例では、操作対象となる電子文書が作成された時点では、当該電子文書には操作IDは付与されていない。
一方、操作の結果の文書100に対しては、クライアント装置50又は操作履歴記録装置10により新たな操作IDが付与され、その文書100内の操作ID102がクライアント装置50によりその新たな操作IDに書き換えられる。ここで、操作の中には、その操作によって文書内の文書内容106や文書属性104が変更されるものもあれば、どちらも変更されないもの(例えば「閲覧」)もある。文書内容106及び文書属性104のどちらも変更されない操作が行われた場合には、文書100のうち操作ID102だけが新たな値に変更されることになる。
操作履歴記録装置10がその新たな操作IDを付与する場合は、クライアント装置50が文書に対して操作を実行し、その操作の属性情報及び親操作IDの情報を操作履歴記録装置10に送信すると、その返信として、新たな操作IDが操作履歴記録装置10からクライアント装置50に返され、クライアント装置50は受け取った操作IDを操作結果の文書100の操作ID102に上書きする。また、クライアント装置50が新たな操作IDを付与する場合は、クライアント装置50が、実行した操作に対して新たな操作IDを生成し、その操作IDを操作結果の文書100に上書きするとともに、操作履歴記録装置10に操作の属性情報及び親操作IDと共にその新たな操作IDを通知する。
なお、文書100に対する操作ID102の組み込み方は、文書100の形態によって異なる。文書100が電子文書(文書データ)である場合には、操作ID102は、例えば、その文書100のファイル自体が備える属性データの1項目、又はその文書100のファイルに関連づけられたメタデータの一項目として含まれる。また、文書100が紙文書の場合、操作ID102は、バーコード等の画像コードとしてその紙文書に印刷されるか、用紙に装着された無線タグ等の記憶媒体に記憶される。
文書100に組み込まれた操作ID102は、当該文書100の当該操作を受けた時点での状態を表す識別情報と捉えてもよい。図2では省略したが、文書に操作を行った結果、その文書の電子ファイルが得られる場合、その操作の操作IDに対応づけて、その操作結果の文書の電子ファイルを操作履歴記録装置10に保存してもよい。操作結果として電子文書(文書の電子ファイル)が得られる操作には、例えば電子文書の閲覧(文書内容は操作前と変化なし)や編集(文書内容が操作前から変化する)、紙文書のスキャン等がある。
電子文書の文書100には、操作ID102及び文書内容106の他に、当該文書100を作成したり編集したりするソフトウエアが設定する、当該文書の文書属性104(例えば作成者、更新日時、アクセス権情報等)が含まれていてもよい。なお、この文書属性104は、後述する登録装置30が文書100を文書記憶装置20に登録する際に設定する、文書記憶装置20上での文書の属性とは別のものである。
なお、このような操作IDの派生関係を記録する仕組みは、特開2007−004649号公報に開示される副本IDの記録のためのシステムと同様のものでもよい。
文書記憶装置20は、電子文書を記憶する装置であり、例えばファイルサーバがその一例である。文書記憶装置20は、電子文書に対応づけて、その電子文書の属性も保持する。文書記憶装置20内では、電子文書の属性は様々な形態で表される。例えば、電子文書が格納される格納場所であるフォルダ(ディレクトリ)は、その電子文書の属性の1つである。また、文書記憶装置20が、電子文書毎にその属性を記憶したテーブルを有していてもよい。更に、電子文書のフォームと、その識別情報を対応付けて記憶していてもよい。
登録装置30は、クライアント装置50を介したユーザからの指示に応じて、文書記憶装置20に電子文書を登録する処理を行う。ここで、登録装置30は、その電子文書と関連づける属性を操作履歴記録装置10内の操作履歴情報から決定し、決定した属性に関連づけてその電子文書を文書記憶装置20に登録する。この属性の付与の際、登録装置30は、属性付与ルール32を参照する。登録装置30によるこの属性付与の処理については、後で詳しく説明する。
クライアント装置50は、文書(電子データの場合もあれば紙等の物理的な文書の場合もある)に対して操作を実行する装置であり、例えばパーソナルコンピュータ、デジタル複合機(コピー機、プリンタ、スキャナ等の複数の機能を備えた装置)がその一例である。クライアント装置50は、文書に対する操作を実行した場合、その操作の属性情報及びその文書から読み出した親操作IDを操作履歴記録装置10に通知する。このとき、対象の文書が紙文書でバーコード等の画像コードがある場合は、その紙文書上のあらかじめ定められた場所に印刷されている操作IDの画像コードを読み取って操作IDの値を親操作IDとして認識する。対象の文書が紙文書で用紙に無線タグが装着されている場合は、無線タグ内に記録されている操作IDを読み取って操作IDの値を親操作IDとして認識する。そして、クライアント装置50自身又は操作履歴記録装置10が付与したその操作に対する新たな操作IDを、操作結果の文書に書き込む。
また、クライアント装置50は、文書に対してあらかじめ定められた特定の操作を行う際に、その特定の操作に対応づけられた帳票(以下では、帳票と文書とは特に定義が無い限り、同義とする。)スキーマを帳票スキーマ管理装置40から取得し、その帳票スキーマに従ってその文書の画像から情報を抽出してもよい。帳票スキーマは、帳票フォーム毎に帳票画像上の、情報抽出対象の一以上の場所と、それら各抽出対象場所の情報が表す属性とを定義する情報である。作業指示書の帳票スキーマのデータ内容の例を以下に示す。
(作業指示書の帳票スキーマの例)
<rectangle left="300" right="350" top="200" bottom="230" name="作業番号"/>
<rectangle left="100" right="150" top="240" bottom="280" name="作業完了希望日"/>…
例えば、この例示のスキーマの1行目は、文書画像上の左端及び右端のx座標値が300及び350、上端及び下端のy座標値が200及び230である矩形領域が、項目名「作業番号」に該当する情報を表示した領域であることを示す。なお、上に挙げたスキーマ例は、抽出対象場所と抽出項目名を規定するものであったが、帳票スキーマには、この他に罫線や見出し等の帳票の画像内容を規定する情報が含まれていてもよい。この場合ユーザはその帳票スキーマを有する帳票IDの帳票フォームをクライアント装置50にダウンロードして開き、表示された帳票フォームに対して必要な情報を入力することで、記入済みの帳票(作業指示書)を作成する。
帳票スキーマ管理装置40には、図5に示すように、文書(帳票)の種類ごとに、その帳票で定義されるスキーマ番号と、上に例示したようなスキーマ内容を表すスキーマ情報とが登録されている。図5では各帳票毎に一つしか帳票スキーマが無い例を示しているが、上に例示したように一つの帳票が複数の帳票スキーマを有している場合もある。また、帳票の種類ごとに、帳票の識別情報である帳票IDを登録しておいてよい。
以上に説明したクライアント装置50による操作履歴記録装置10に対する情報登録処理や、文書への操作IDの組み込み処理等の操作履歴管理のための処理システムは、操作履歴管理アプリケーションとしてクライアント装置50にインストールされている。例えば、ユーザが操作IDを有する文書を操作対象として選択した場合、このアプリケーションが起動される。また、ユーザは、操作IDを有しない文書に対して操作IDを付与して管理したい場合等には、このアプリケーションを起動し、クライアント装置50内の文書の中から操作対象の文書を選択する。
例えば、ユーザが、クライアント装置50上のアプリケーションにより作業指示書の電子文書を新たに作成し、そのアプリケーションのメニューにて「作業指示書の印刷」を選択すると、クライアント装置50は、帳票スキーマ管理装置40から取得した作業指示書のスキーマを参照して、電子文書である作業指示書の画像から各抽出対象場所の画像を抽出する。そして、それら各抽出対象場所の画像に対して文字認識処理を施し、それら各抽出対象場所についての文字認識結果のデータを、スキーマに規定された項目名とそれぞれ対応づけた抽出情報を生成する。そして、その抽出情報を、その印刷の操作に関する情報(親操作IDや属性情報等)と対応づけて操作履歴記録装置10に送る。操作履歴記録装置10は、受け取った抽出データを、その印刷操作に新たに付与された操作IDと対応づけて、抽出情報テーブル14に登録する。抽出情報テーブル14に登録された抽出情報の一例を示す。この例では、操作IDに対応づけて、「作業番号」及び「操作完了希望日」という2つの属性項目の情報が登録されている。抽出情報テーブル14に登録される属性項目は、使用される帳票スキーマの種類に応じて変わる。なお、印刷対象の作業指示書のデータは、デジタル複合機等のプリンタによる印刷処理に適した形式で表されるデータであり、例えばPDL(Page Description Language;ページ記述言語)で記述される。PDLで記述された作業指示書のデータを解釈し、作業指示書のスキーマに規定されている抽出対象場所に配置された画像に対して文字認識処理を施し、抽出対象場所についての文字認識結果のデータから、スキーマに規定された項目名とそれぞれ対応づけた抽出情報を生成することとなる。
以下、具体例を用いて、実施形態のシステムによる処理の流れを説明する。以下では、作業指示書を無線タグが付された用紙に印刷して紙の状態で関係部署に回付するとともに、他の関係部署にはその作業指示書を電子化して回付し、回付先の部署でその電子形式の作業指示書を文書記憶装置20に登録するという具体例を用いて説明する。すなわち、この例は、操作履歴記録装置10を、作業指示書に関するワークフローにおける各作業段階の履歴記録に用いる例である。なお、以下では、説明を簡単にするために、クライアント装置50が操作IDを付与する場合の例を説明するが、当業者には、操作履歴記録装置10が操作IDを付与する場合の処理(クライアント装置50が操作履歴記録装置10に操作IDの付与を要求し、付与された操作IDを取得する処理)も理解されるであろう。
まず、部門aの作業指示書の作成担当者であるユーザ(userA)が、クライアント装置50にて、文書記憶装置20から作業指示書の帳票フォームをダウンロードし、そのフォームに対して必要事項を入力することで、記入済みの作業指示書の電子ファイルを完成させる。そして、操作履歴管理のアプリケーションのUI(ユーザインタフェース)画面上で、その作業指示書の電子ファイルを対象に選択し、操作種別として印刷を指示する。この指示に応じ、クライアント装置50は、その印刷操作のための新たな操作ID=「ID201」を採番し、この操作IDを無線タグに書き込む。
この印刷処理の際、クライアント装置50は、その電子ファイルから操作IDの読み出しを試みる。この例では、その電子ファイルには操作IDが含まれていないものとする。この場合、当該印刷操作の親操作IDは「無し」である。また、クライアント装置50は、作業指示書の帳票スキーマを参照して、その電子ファイルから文字情報を抽出し、抽出情報を生成する。そして、クライアント装置50は、新たに付与した操作ID=「ID201」、親操作ID=「無し」、当該印刷操作の属性情報(指示ユーザのログイン先であるクライアント装置50から取得した指示ユーザのID、操作種別=「印刷」、操作日時等)、及び抽出情報を操作履歴記録装置10に通知する。
操作履歴記録装置10は、クライアント装置50から受け取った情報を操作履歴テーブル12に登録する。より具体的には、受け取った情報に含まれる新たな操作ID=「ID201」のためのエントリを操作履歴テーブル12内に作成し、そのエントリ内の各項目に、親操作ID、操作属性の各項目を登録する。また、この例では、クライアント装置50から抽出情報も送られてきているので、操作履歴記録装置10は、その操作ID=「ID201」のためのエントリを抽出情報テーブル14内に作成し、そのエントリ内に、その抽出情報の各項目の情報を登録する。このときに操作履歴テーブル12に登録されるのが、図2の操作ID=「ID201」の行の情報であり、抽出情報テーブル14に登録されるのが図6の情報であるとする。図6の例では、抽出情報には、作業番号と作業完了希望日の項目が含まれる。
印刷結果の紙の作業指示書は、同じ部門aの別のユーザ(userB)に回付される。ユーザ(userB)は、部門内で作成された帳票を電子化して文書管理部門(部門c)に登録する担当者である。このため、ユーザ(userB)は、部門a内のクライアント装置50(例えばデジタル複合機)にその紙の作業指示書をセットし、そのクライアント装置50のUIから「スキャン」操作を指示する。この指示に応じ、そのクライアント装置50は、紙の作業指示書を読み取り、作業指示書の電子ファイルを生成する。また、このときクライアント装置50は、そのスキャン操作に新たな操作ID(ID202)を付与し、付与した操作IDを、そのスキャン操作の属性情報、及びその紙の作業指示書の無線タグから読み取った親操作ID(ID201)と共に、操作履歴記録装置10に登録する。この処理により、操作履歴テーブル12には、図2の操作ID=「ID202」の行の情報が登録されることになる。また、このとき、クライアント装置50は、その作業指示書の電子文書ファイルに対して、今回新たに付与した操作ID(ID202)のデータを組み込む。このとき、紙の作業指示書内の無線タグ内の操作IDは書き換えられないものとする。
次に、同じユーザ(userB)は、「送付」の操作履歴を記録するために、自分が操作するクライアント装置50上で実行している操作履歴管理アプリケーションのUI画面で、前述の「スキャン」操作によって電子文書の形態に変換された作業指示書の電子ファイルを選択し、「送付」の操作を行う。これにより、そのクライアント装置50は、その送付操作についての新たな操作ID(ID203)を採番し、その新たな操作ID(ID203)と、その作業指示書の電子ファイルから読み取った親操作ID(ID202)と、その操作の属性情報(操作種別=送付、等)とを操作履歴記録装置10に登録する。これにより、操作履歴記録装置10には、図2の操作ID=「ID203」の行の操作履歴情報が登録されることになる。また、操作履歴管理アプリケーションは、選択された作業指示書のデータ内の操作IDを新たな操作ID(ID203)に置き換える。ユーザ(userB)は、その「送付」操作により操作IDが新たなものに変更された作業指示書のファイルを、例えば電子メールに添付して、文書管理部門cの担当者(userE)に送る。
また、この電子ファイルの作業指示書の「送付」操作の流れの別の例を、ユーザ(userB)が用いる図7のUI画面の例を用いて詳しく説明する。この例では、ユーザ(userB)は、操作履歴テーブル12に記録したい操作種別「送付」をUI画面200上のドロップダウンリスト202から選択すると共に、操作履歴記録装置10に保持される電子文書のリストの中から、送付対象とする文書(この例ではID202の文書)を選択し、例えばドラッグアンドドロップ操作により帳票ファイル欄204内に入力する。そして、ユーザが「登録」ボタン206を押下すると、クライアント装置50は、この送付操作に新たに付与した操作ID(ID203)、及びこの送付操作の属性情報を操作履歴記録装置10に登録する。操作履歴記録装置10は、受け取った新たな操作ID(ID203)のエントリを操作履歴テーブル12に作成し、そのエントリに、ユーザが選択した電子文書から読み出した操作ID(ID202、すなわちこの送付操作の親操作ID)と受信した操作属性情報を登録する。また、操作履歴記録装置10は、その電子文書の操作IDを、受信した新たな操作ID(ID203)に置き換える。このようにして操作履歴情報の記録が完了すると、ユーザ(userB)は操作履歴記録装置10からその電子文書がダウンロード可能となり、UI画面上では「結果ファイルダウンロード」ボタン208が押せる状態になる。これを押下すると、操作履歴記録装置10からその新たな操作ID(ID203)を有する電子文書が当該ユーザ(userB)のクライアント装置50にダウンロードされる。部門cには、ダウンロードで取得した作業指示書を電子メール等で送付する。
また、ユーザ(userB)は、スキャン後の紙の作業指示書(無線タグ内に操作ID(ID201)が記憶されている)を、同部門a内の作業手配担当者であるユーザ(userC)に渡す。これを受け取ったユーザ(userC)は、その紙の作業指示書を、当該作業指示書で指示された作業を担当する部門である部門bに送付する。このとき、この送付操作の操作履歴を記録するために、ユーザ(userC)は、自分が操作するクライアント装置50にて操作履歴管理のアプリケーションを起動し、そのUI画面(図8参照)の操作種別選択用のドロップダウンリスト212から「送付」操作を選択し、クライアント装置50に接続された読取器によりその紙の作業指示書の無線タグから操作ID(ID201)を読み取る。読み取られた操作IDは、UI画面の「追跡番号」欄214に表示される。ユーザは、その追跡番号を確認し、登録ボタン216を選択する。これにより、その作業指示書を「送付」することが操作履歴記録装置10に記録されることになる。すなわち、このときクライアント装置50は、その送付操作について新たな操作ID(ID204)を採番し、その新たな操作ID(ID204)を、作業指示書から読み取った操作IDすなわち親操作ID(ID201)、及び、その送付操作の属性情報(指示したユーザのユーザIDや、操作種別=「送付」、及び操作日時等)と共に操作履歴記録装置10に登録する。これにより、操作履歴テーブル12には、図2の操作ID=「ID204」の行の情報が登録されることになる。また、この際、部門a内のクライアント装置50に接続された、無線タグへの情報書込器により、紙の作業指示書の無線タグ内の操作IDを、付与した新たな操作ID「ID204」に書き換える。このクライアント装置50上での作業の後、ユーザ(userC)は、その紙の作業指示書を社内便等で宛先の部門b宛に送付する。
部門bでは、当該部門bに所属するユーザ(userD)がその紙の作業指示書(ID204)を受領する。そして、その受領の事実を操作履歴として記録するために、自分が操作するクライアント装置50にて操作履歴管理のアプリケーションを起動し、そのアプリケーションにてその作業指示書の「受領」操作を行う。操作の仕方は、上述したユーザ(userC)による「送付」の操作と同様である。この操作により、新たな操作ID(ID205)が採番される。クライアント装置50は、その新たな操作ID(ID205)と、作業指示書の無線タグから読み取った親操作ID(ID204)と、この操作の属性情報とを操作履歴記録装置10に登録する。これにより、操作履歴記録装置10には、図2の操作ID=「ID205」の行の操作履歴情報が登録されることになる。また、この際、部門b内のクライアント装置50に接続された、無線タグへの情報書込器により、用紙の無線タグ内の操作IDを「ID205」に書き換える。
なお、以上の例において、操作IDがID202とID204の操作は、操作IDID201の紙の作業指示書に対して行ったため、親操作IDはいずれもID201となる。一方、操作IDがID205の操作は、操作ID204の紙の作業指示書に対して行ったため、親操作IDはID204となる。以上の例では、作業指示書の用紙には操作IDの書き換えが可能な無線タグが装着されている例を示したが、操作IDを表す画像コードが用紙上に重畳されている場合、画像コード上の操作IDの書き換えは困難であるため、操作IDがID205の操作の親IDもID201として登録されることとなる。この場合、同一の親操作IDを有する操作IDの前後関係は、操作日時に基づき判断することとなる。
さて、部門aのユーザ(userB)から電子メール等により送付された作業指示書(ID203)の電子ファイルは、その送付の翌日に、文書管理部門cのユーザ(userE)により受け取られる。受け取ったユーザ(userE)は、自分のクライアント装置50上で動作する操作履歴管理アプリケーションにより、その作業指示書に対して「受領」の操作を行う。この「受領」操作は、ユーザ(userB)による電子文書の「送付」の操作と、操作の種類が異なるだけで、ユーザが行う作業やUIは同じでよい。これにより、操作履歴管理アプリケーションは、この「受領」操作に対して新たな操作ID(ID206)を付与し、この操作ID(ID206)と、その作業指示書のファイルから抽出した親操作ID(ID203)と、この操作の属性情報とを含む操作履歴情報を操作履歴記録装置10に登録する。これにより、操作履歴テーブル12には、図2の操作ID=「ID206」の行の操作履歴情報が登録されることになる。また、作業指示書のファイルの操作IDは、新たに付与された値(ID206)に書き換えられる。この受領操作の後、ユーザ(userE)は、登録装置30にアクセスし、受領操作後の作業指示書ファイルを文書記憶装置20内の「作業指示書」フォルダに登録する旨の指示を行う。「作業指示書」フォルダは、文書記憶装置20の階層的なフォルダ(ディレクトリ)構造内の1つのフォルダである。このフォルダには、後述する属性付与ルールが対応づけられているものとする。
登録指示を受けた登録装置30は、「作業指示書」フォルダへの作業指示書の格納が指示されると、自分が記憶している属性付与ルール32群の中に、その格納先フォルダに対応づけられた属性付与ルール32が存在するかどうかを判定する。属性付与ルール32は、文書記憶装置20内の特定のフォルダに電子文書が格納される際に、その電子文書にどのような属性を付与するかを決定するためのルールである。文書記憶装置20内のフォルダ毎に、属性付与ルール32を設定してよい。
「作業指示書」フォルダに対応づけて設定された属性付与ルールの例を図9に示す。図9に例示するルールにおいて、「適用先」の欄には、このルールの適用対象となるフォルダの識別情報(例えば文書記憶装置20のファイルシステム内での当該フォルダのパス)が登録される。この例では、「適用先」には、「作業指示書」フォルダの識別情報が設定されている。
「フォルダ」欄には、この「適用先」のフォルダに対して格納された電子文書の移動先のフォルダが設定される。この移動先のフォルダが、当該作業指示書が本来格納されるべきフォルダである。本実施形態では、ユーザが対象とする文書を「作業指示書」フォルダに格納する指示を行えば、登録装置30がその文書の分類に沿った正しいフォルダ(「フォルダ」欄のルールに従って決定されるフォルダ)にその文書を自動的に格納し直す。
移動先フォルダは、格納対象の電子文書がこれまでに受けてきた操作の履歴の中の、特定の操作の属性情報に応じて決定する。したがって、「フォルダ」欄には、その特定の操作を示す操作種別と、移動先のフォルダを当該特定の操作の属性情報のどの項目(2以上でもよい)の値からどのように決めるかを指定する情報と、が設定される。図9の例では、特定の操作の種別「印刷」であり、その「印刷」操作の属性項目「操作日時」のうちの西暦年の4桁数値(YYYY)の名前のフォルダが移動先である。この例では、「作業指示書」フォルダに格納された作業指示書は、その作業指示書が最初に作成されたとき(すなわちこの例では「印刷」されたとき)の日時の西暦年に対応したサブフォルダに分類格納されることとなる。
図9の例では、移動先のフォルダは、属性付与ルールの適用先のフォルダ(「作業指示書」フォルダ)内のサブフォルダ(1階層下のフォルダ)とするので、移動先としてはフォルダの名前が特定されればよい。ただし、これは一例に過ぎない。格納対象の電子文書の移動先のフォルダのフルパスを、その電子文書に対して過去に施された特定の操作の属性情報から求めるルールを「フォルダ」欄に設定してもよい。
なお、この「フォルダ」欄のルールにより決定される移動先フォルダ(すなわち格納対象の文書が本来格納されるべき正しい格納先)は、当該格納対象の文書が文書記憶装置20において持つ属性の1つである。すなわち、この例では、格納された文書の属性の1つを、その文書の格納先フォルダにより表している。
図9の属性付与ルールにおける「属性」欄には、格納対象の電子文書に対して付与する属性の決定ルールが設定される。この決定ルールは、その電子文書に付与する属性を、その電子文書に対して過去に施された特定の操作の属性情報により規定する。ここでの特定の操作は、前述の移動先フォルダを決定する条件となる特定の操作(この例では「印刷」)と同じものである。また、決定ルールは、格納対象の電子文書の属性を決定するにあたり、その特定の操作に対応づけて抽出情報テーブル14に保持されている抽出情報を考慮に入れてもよい。
図9の例では、当該電子文書の「ファイル名」属性は、当該電子文書が過去に受けた「印刷」操作に対応づけて登録された抽出情報(図6参照)内の「作業番号」項目の値の後に、その「印刷」操作の操作日時の年月日(YYYYMMDD)を”(”と”)”で囲んだ文字列を付加したものである。また、「概要」属性を、「作業完了希望日:」という文字列の後に、「印刷」操作に対応づけて登録された抽出情報(図6参照)内の「作業完了希望日」項目の値を付加したものである。
登録装置30は、ユーザ(userE)から作業指示書を「作業指示書」フォルダに登録する旨の指示を受けた場合、その作業指示書をいったん文書記憶装置20の「作業指示書」フォルダに格納する。このときの文書記憶装置20の「作業指示書」フォルダ内のフォルダ及びファイルを表示したフォルダ管理画面の例を、図10の(a)に示す。図示のように、「作業指示書」フォルダ内には、「2010」及び「2011」というサブフォルダと、今回格納された作業指示書のファイルとが含まれている。この時点でのその作業指示書のファイル名は、例えばスキャン(ID202)の際に付与された名称である。
登録装置30は、この後、その作業指示書に対して属性付与ルールに応じた属性付与(格納先の移動も含む)を行う。この属性付与のため、登録装置30は、まずその「作業指示書」フォルダに対応する属性付与ルール32があるかどうかを調べる。格納先のフォルダに属性付与ルールが設定されていない場合、登録装置30は属性付与を行わない。この例では、「作業指示書」フォルダに対応するものとして、図9に例示する属性付与ルールが見つかる。登録装置30は、見つけた属性付与ルール(図9)から、当該作業指示書が受けた過去の「印刷」操作の属性情報及び抽出情報が必要であることを知る。そこで、登録装置30は、その作業指示書から操作ID(ID206)を読み出し、その操作ID(ID206)と操作種別「印刷」とをパラメータとして含んだ検索依頼を操作履歴記録装置10に送る。
この検索依頼に応じて、操作履歴記録装置10は、操作履歴テーブル12(図2参照)を調べ、操作ID(ID206)の先祖で、且つ操作種別「印刷」に対応づけられた操作IDが「ID201」であることを突き止める。そして、その操作ID(ID201)に対応づけられた操作属性(図2の操作種別、ユーザID、ファイル名、操作日時の値)と抽出情報(図6参照)とを操作履歴テーブル12及び抽出情報テーブル14から読み出し、それら読み出した情報を登録装置30に返す。
登録装置30は、検索依頼に対して操作履歴記録装置10から返信された操作属性情報及び抽出情報を、図9の属性付与ルールに当てはめることで、作業指示書の移動先のフォルダその他の属性を決定する。すなわち、登録装置30は、受け取った操作ID(ID201)の操作日時属性から、移動先のフォルダがサブフォルダ「2011」であると判定し、作業指示書をそのフォルダに移動する。なお、この例では移動先のサブフォルダ「2011」が既に存在しているが、存在していない場合は、登録装置30がそのサブフォルダを文書記憶装置20内に作成してもよい。また、登録装置30は、当該作業指示書のファイル名属性を、抽出情報(図6)の作業番号と操作ID(ID201)の操作日時属性から、「AAA250(20110221).xdw」(ただし「.xdw」は当該ファイルを開くアプリケーションに応じた拡張子)と決定する。また、当該作業指示書の概要属性を、抽出情報(図6)の作業完了希望日から、「作業完了希望日:2011.02.28」と決定する。そして、これら決定した属性を、当該作業指示書と対応づけて、文書記憶装置20に登録する。このような属性付与処理の結果、文書記憶装置20の「作業指示書」フォルダ内を表すフォルダ管理画面は、図10の(a)に示す属性付与前の状態から、図10の(b)に示す属性付与後の状態に変化する。図示のように、属性付与後は、当該作業指示書のファイル名が「AAA250(20110221).xdw」に変更されており、所属フォルダがサブフォルダ「2011」に変更されている。そして、フォルダ「AAA250(20110221).xdw」のファイル名の下に、「概要」属性の文字列「作業完了希望日:2011.02.28」が表示される。
以上の例では、ユーザから文書記憶装置20への登録を指示された電子文書を、そのユーザから指定された格納先のフォルダにいったん格納した後、属性付与ルールにより決定される正式な格納先のフォルダに移動したが、このような手順は一例に過ぎない。ユーザが指定した格納先のフォルダにいったん格納することはせず、属性付与ルールにより特定される正式な格納先のフォルダに直接格納するようにしてももちろんよい。
このように、図1〜図10を用いて説明した例では、文書記憶装置20の特定のフォルダに登録される電子文書に対して付与する属性が、その電子文書が過去に受けた操作の中の、特定の操作種別の操作の属性情報等に基づいて決定される。
次に、図11〜図17を参照して、上記実施形態の変形例を説明する。この変形例は、工事に関する文書の管理を例にとっている。この例では、ユーザが文書を対象として指定して、工事案件の「開始」操作を行うと、その工事案件に関連する文書群を保管するための専用のフォルダを文書記憶装置20内に作成する。そして、その専用フォルダ内に、別の文書が格納されると、その新たな格納対象の文書に対して付与する属性(文書記憶装置20内での属性)のうちのいくつかを、この案件の起点となった「開始」操作の属性情報に基づいて定める。また、この例では、格納対象の文書の属性のうちのいくつかを、操作ID間の派生(親子)関係の情報を利用して求める。
まず、図11を参照して、この具体例における操作履歴を説明する。以下の例では、文書に対する操作を行ったクライアント装置50内の操作履歴管理アプリケーションが、その操作に対して操作IDを付与するものとするが、操作履歴記録装置10が操作IDの付与を行ってもよい。
この例では、まずユーザ(userA)が、クライアント装置50にて、電子文書A(ファイル名「工事概要.xdw」)に対して、工事案件の開始を示す「開始」操作の実行を指示する。この指示のためのUI画面は、上述の実施形態における電子文書に対する「送付」や「受領」の操作を行う画面(図8参照)と同様でよい。これに応じ、クライアント装置50は、この「開始」操作に対して新たな操作ID(ID301)を付与し、この操作IDに対応づけて、その「開始」操作の属性情報(操作種別や操作日時等)を操作履歴記録装置10に登録する。ここで、クライアント装置50は、今回開始する工事案件を一意に識別する案件ID(Case1)を付与し(なお、別の例として、案件IDの付与は操作履歴記録装置10が行ってもよい)、付与した案件IDをその「開始」操作の属性の1つとして操作履歴記録装置10に登録してもよい。このような処理により、操作履歴記録装置10の操作履歴テーブル12には、図11に示す操作ID(ID301)の行に対応する情報が登録される。また、クライアント装置は、その電子文書A(「工事概要.xdw」)に対して、操作ID(ID301)を組み込む。
また、この例では、帳票スキーマ管理装置40内には、「工事概要」書の帳票スキーマが用意されている。クライアント装置50は、「開始」操作を行った際、その電子文書A(「工事概要.xdw」)から、その帳票スキーマに規定される抽出対象項目の情報を抽出し、抽出結果の情報を、その「開始」操作に対して割り当てた案件ID(Case1)に対応づけて抽出情報テーブル14に登録する。これにより、図12に例示する案件ID(Case1)の行の情報が抽出情報テーブル14内に記録される。なお、「開始」操作の操作ID(ID301)から案件ID(Case1)を検索することができるので、抽出情報を抽出情報テーブル14に登録する際、案件IDをキーとすることは、操作ID(ID301)をキーとすることと等価である。
この例では、登録装置30内の機能モジュールの1つであるアクション起動部(図示省略)が、操作履歴テーブル12を常時監視しており、特定の種別の操作が実行されると(すなわち操作履歴テーブル12に特定の操作種別の操作の操作履歴情報が登録されると)、特定のアクションを起動する。どのような操作に対してどのようなアクションを実行するかは、登録装置30内に登録されたアクション起動ルールに基づいて決定される。アクション起動ルールは、実行すべきアクションの内容と、そのアクションを起動するための条件との組合せを含んでいる。アクション起動ルールの一例を図13に示す。図13に例示するアクション起動ルール1では、アクション起動条件が『操作履歴テーブル12に操作種別が「開始」である操作履歴情報が登録された』ことであり、アクション内容が『文書管理サーバー上に属性付与ルール1に従ってフォルダを作成し、フォルダに対して属性付与ルール3を設定する。操作対象の文書を属性付与ルール2に従って配置する。』という内容である。また、アクション内容には、文書記憶装置20のURLや、属性付与ルールに従って文書記憶装置20内に作成するフォルダや移動先のフォルダのパス表示の基準とする基準フォルダの識別情報(図13の例では「設計資料」というフォルダ名)も設定されている。
アクション内容に指定される各属性付与ルールは、登録装置30内に保持されているものであり、図14に例示する。属性付与ルール1は、「開始」操作に応じて基準フォルダ「設計資料」内のその操作の操作日時の年の4桁数値(YYYY)を名称とするサブフォルダ内に、新たなフォルダ(「設計資料」フォルダから見れば、サブサブフォルダ)を作成することを規定している。またこの属性付与ルール1には、作成したフォルダの名前(フォルダ名)属性を、その「開始」操作の案件IDに対応づけて抽出情報テーブル14に保持されている「工事番号」に基づき決定する旨が規定されている。またこの属性付与ルール1には、作成したフォルダの「作成者」属性として、当該「開始」操作のユーザID属性を設定する旨が規定されている。また、この属性付与ルール1には、作成したフォルダのキーワード属性として、その「開始」操作に割り当てられた案件IDを設定する旨が規定されている。
また、図14に例示される属性付与ルール2は、「開始」操作の対象の電子文書を、当該「開始」操作に応じて属性付与ルール1に従って文書記憶装置20内に作成したフォルダに配置する旨を規定している。また、この属性付与ルール2は、その電子文書を文書記憶装置20内に格納する際の名前(ファイル名)属性を、当該「開始」操作の属性情報内のファイル名属性(すなわちその電子文書に元々設定されているファイル名)とする旨を規定している。
また、図14に例示される属性付与ルール3は、「開始」操作に応じて属性付与ルール1に従って文書記憶装置20内に作成したフォルダに、別の電子文書が格納(「フォルダ登録」操作)される場合に、当該電子文書への属性付与のルールを示している。この属性付与ルール3では、当該電子文書の格納(配置)先は変更しない。また、その属性付与ルール3では、その電子文書の名前(ファイル名)属性は、その電子文書に元々設定されているファイル名がそのまま採用される。また、属性付与ルール3には、その電子文書の「備考」属性の決定ルールとして次の2つが設定されている。
(1)工事番号 + 名称 + " (開始日 : " + 同一案件IDの「開始」操作の操作日時(YYYYMMDD) + ")"
(2)先祖の工事番号 + 先祖の名称 + " (開始日 : " + 先祖の同一案件IDの「開始」操作の操作日時(YYYYMMDD) + ")"
このうち(1)は当該電子文書に対応する工事案件の情報を表す備考情報を生成するルールである。このルールは、当該フォルダへの電子文書の登録の操作の操作IDに対応する案件IDに対応づけて抽出情報テーブル14に保持されている抽出情報(図12参照)中の「工事番号」及び「名称」と、当該案件IDに対応する「開始」操作の操作日時の年月日(YYYYMMDD)とから備考情報を生成する旨を示している。
また、(2)は当該電子文書の元になった電子文書に対応する工事案件の情報を表す備考情報を生成するルールである。このルールは、操作IDの派生関係において、当該電子文書の「フォルダ登録」(格納)操作の先祖に該当する操作の「工事番号」及び「名称」と、当該先祖の文書の案件IDに対応する「開始」操作の操作日時の年月日(YYYYMMDD)とから備考情報を生成する旨を示している。なお、先祖に該当する操作の「工事番号」及び「名称」は、その操作の案件IDに対応づけて登録された抽出情報から求めればよい。このルール(2)は、ある工事案件に関する文書を、既存の別案件の文書を利用(例えば既存の設計書をそのまま再利用したり、部分的に改変して利用したりするなど)して作成することがあることに鑑みたものである。当該文書に関連する案件自体の情報だけでなく、利用する既存案件の情報を備考属性に含めて表示することで、閲覧者に当該文書の背景が分かりやすくなる。
以上に説明した図13のアクション起動ルール1、及び図14の属性付与ルール1〜3が登録装置30内に設定されている場合において、電子文書A(「工事概要.xdw」)に対して「開始」操作が行われた場合、登録装置30は、その操作の種別「開始」がアクション起動ルール1のアクション起動条件に合致することを認識し、そのアクション起動ルール1のアクション内容に規定されるアクションを起動する。これにより、登録装置30は、まず、属性付与ルール1に従って、「設計資料」フォルダ以内の「2011」フォルダを探し、その「2011」フォルダの下に「工事番号 1234-5678」というフォルダを作成する。また、作成したフォルダに対して、属性付与ルール1に従って、作成者属性「userA」及びキーワード属性「Case1」を設定する。そして、属性付与ルール2に従って、そのフォルダ「工事番号 1234-5678」に電子文書A(「工事概要.xdw」)を格納する。これにより、文書記憶装置20のフォルダ管理画面では、図15の(a)に例示するように、「設計資料」フォルダの下の「2011」フォルダの下に作成された「工事番号 1234-5678」フォルダに電子文書A(「工事概要.xdw」)が格納されている様子が表示される。また、このフォルダ管理画面において「工事番号 1234-5678」フォルダの属性表示を指示すると、図15の(b)に示すようにそのフォルダの属性が表示される。これらフォルダ属性のうち「作成者」及び「キーワード」は属性付与ルール1に従って付与されたものであるが、その他の属性は一般的なファイルシステムがフォルダ属性を決定するのと同様にして決定されたものである。すなわち、図15(b)の例では、「作成日」属性の値には、そのフォルダが作成された日時が設定される。このようにして生成された「工事番号 1234-5678」フォルダを、以下では「案件1用フォルダ」と呼ぶ。
以上、「開始」操作(ID301)に伴って登録装置30が実行する処理の流れを説明した。
再び図11を参照すると、その「開始」操作(ID301)の次に、ユーザ(userB)が、クライアント装置50を操作して、文書記憶装置20上の案件1用フォルダに電子文書B(ファイル名「yyy設計書.xdw」)を格納(「フォルダ登録」)する旨の指示を行う。ここで、電子文書Bには操作IDが付与されていないものとする。文書記憶装置20上の案件1フォルダに文書をフォルダ登録する旨の指示が行われた場合、クライアント装置50は、その文書に操作IDが付与されているかを確認する。電子文書Bには操作IDが付与されていないので、クライアント装置50は、そのフォルダ登録操作に対して新たな操作IDを生成し、操作履歴記録装置10に対して、その新たな操作ID、親操作ID「無し」、及び当該フォルダ登録操作の属性情報を含んだ操作履歴情報を登録する。また、このときクライアント装置50は、案件1用フォルダのキーワード属性に設定されている案件IDを取得し、その案件IDもその操作履歴情報の1つに含める。これにより、操作履歴テーブル12には、図11の操作ID(ID302)の行の情報が記録されることになる。
また、案件1用フォルダには属性付与ルール3が設定されているので、登録装置30は、格納された電子文書Bに対してそのルールに従った属性付与操作を行う。ルール3において、フォルダ欄には「配置変更なし」と設定されているため、電子文書Bは、ユーザ(userB)が格納した案件1用フォルダから移動させない。また、属性欄の設定内容に従って、「名前」属性には「yyy設計書.xdw」、作成者には「userB」を設定する。「備考」属性には、操作ID(ID302)の操作属性情報中の案件IDの値をキーに抽出情報テーブル14から「工事番号」「名称」の値を取得し、さらに、同じ案件IDである操作属性情報中、操作種別が「開始」である操作履歴情報の操作日時の値を取得して合成した値を設定する。これは、上述した「備考」属性の設定ルール(1)に対応した備考情報である。ここで、操作ID(ID302)の操作属性情報では親操作IDが空であるため、先祖はない。したがって、上述の「備考」属性の設定ルール(2)に対応する備考情報は生成されない。属性付与ルール3を適用した結果の文書記憶装置20のフォルダ管理画面の表示例を図16に示す。図16の(a)には、案件1用フォルダ(「工事番号 1234-5678」フォルダ)内に、電子文書B(「yyy設計書.xdw」)が格納されている様子が示されており、(b)にはその電子文書Bの属性表示の例が示されている。
また、図11の説明に戻ると、操作(ID302)の後に、別のユーザ(userC)が、別の工事案件の文書管理用のフォルダを作成するため、電子文書C(「工事概要.xdw」)を対象として「開始」操作を行う。これにより、先の説明と同様に、新たに採番された操作ID(ID303)、案件ID(Case2)にそれぞれ対応付けて操作履歴情報と抽出情報が操作履歴記録装置10に記録され(図11のID303の行、及び図12のCase2の行)、文書記憶装置20内にこの新たな案件用のフォルダ(フォルダ名「工事番号1234-6789」)が作成される(以下「案件2用フォルダ」と呼ぶ)。先の説明と同様、この案件2用フォルダにも、属性付与ルール3が設定される。
次にユーザ(userD)が、案件1用フォルダに格納した設計書(電子文書B)を案件2用フォルダにも格納する。すなわち、この例では、同じ設計書を再利用している。これには、文書記憶装置20上で案件1用フォルダから案件2用フォルダに電子文書Bをコピーする操作を行ってもよいし、文書記憶装置20の案件1用フォルダからユーザ(userD)のクライアント装置50に電子文書Bをダウンロードし、そのダウンロードした電子文書Bを案件2用フォルダに格納する操作を行ってもよい。
案件2用フォルダへの電子文書Bの格納が指示されると、ユーザ(userD)のクライアント装置50は、先の説明と同様にその文書の操作IDを確認する。ここで、電子文書Bには操作ID(ID302)が付与されているので、この格納操作に対して新たに付与した操作ID(ID304)と、親操作ID(ID302)と、この格納操作の属性情報(案件2用フォルダのキーワード属性に含まれる案件ID(Case2)を含む)とが、操作履歴記録装置10に登録される(図11のID304の行)。
また、この格納操作に応じて、登録装置30は、格納先の案件2用フォルダに設定された属性付与ルール3に従い、格納対象の電子文書Bに属性を付与する。この場合、この格納(フォルダ登録)の操作(ID304)には先祖(ID301)が存在するので、属性付与ルール3の「備考」属性の設定ルール(1)及び(2)の両方が適用される。これにより、その電子文書Bが今回利用される工事案件の情報(ルール(1)に基づく)のみならず、その文書の先祖が利用された工事案件の情報(ルール(2)に基づく)も備考に設定されることになる。後者について更に詳しく説明すると、登録装置30は、今回の操作ID(ID304)の親である操作ID(ID302)を見つけ、その親操作IDに対応する操作履歴情報を操作履歴テーブル12から取得し、取得した操作履歴情報に含まれる案件IDに対応する抽出情報を抽出情報テーブル14から取得し、それら取得した情報からルール(2)に従って備考情報を生成する。
属性付与ルール3を適用した結果の文書記憶装置20のフォルダ管理画面の表示例を図17に示す。図17の(a)には、案件2用フォルダ(「工事番号 1234-6789」フォルダ)内に電子文書B(「yyy設計書.xdw」)が格納されている様子が示されており、(b)にはその電子文書Bの属性表示の例が示されている。電子文書Bの属性表示には、今回の工事案件に関する備考情報(「1234-6789zzz拡張工事(開始日:20110225)」)に加え、その電子文書Bの先祖の文書が利用された工事案件に関する備考情報(「1234-5678xxx整備工事(開始日:20110221)」)が含まれている。
次に、図18〜図21を参照して、別の例を説明する。
例えば、ある業務において、例えば15時30分以前に「FAX送信」処理が行われた文書を受け取った場合、その文書は当日17時までに処理を完了させなければならない(15時30分より後の発信分は翌日処理でよい)、等というルールが定められている場合がある。この業務において、FAX送信された文書は受信側FAX装置内のメモリ上に一時保存され、文書記憶装置20上のFAX受信データ用のフォルダに転送された後、以降の処理が行われる。ここで、送信側にてFAX送信が行われた時刻と、その文書が文書記憶装置20に登録される時刻との間には時間差がある。したがって、文書記憶装置20に文書が登録された時刻で当日処理が必要か否かを判断したのでは、ルールが満たされない。そこで、この例では、操作履歴記録装置10を利用する。
以下では、企業Aから企業Bへ、FAXにより発注を行う場合を例にとって説明する。使用するシステム構成は、図1のものでよい。企業AとBとは、ネットワーク60を介して、共通の操作履歴記録装置10に接続されている。
この発注の流れでは、企業A内の発注担当者(userA)は、パーソナルコンピュータ等のクライアント装置50上で発注書の電子ファイルを作成し、当該装置50が備えるFAX送信機能を用いて、帳票種類名(「発注書」)と送信先FAX番号(企業Bの受注用FAX番号)を指定してFAX送信実行を指示する。作成した発注書には、操作IDは含まれていない。この指示に応じ、クライアント装置50は、まず、今回の操作を識別するための操作ID(ID1)を採番し、その発注書から、発注書の帳票スキーマに従って文字情報を抽出する処理を行う。この例では、「件名」、「担当者」、「発注日」、「希望納期」の各項目の文字情報が抽出されるものとする。抽出された情報は、操作ID(ID1)に対応づけて、操作履歴記録装置10の抽出情報テーブル14に登録される。これにより、抽出情報テーブル14には、図18の操作ID(ID1)に対応する行の情報が登録されることになる。
また、クライアント装置50は、その操作ID(ID1)と、そのFAX送信操作の属性情報(操作を指示したユーザのID、所属組織、操作日時等)とを、操作履歴記録装置10に登録する。これにより操作履歴テーブル12には、図19の操作ID(ID1)に対応する行の情報が登録されることになる。ここで、図19に例示する各行の操作履歴情報に、操作種別の項目を含めてもよい。この場合、操作ID(ID1)には、操作種別「FAX送信」が対応づけて登録される。
また、クライアント装置50は、送信対象の発注書の電子ファイルから発注書の画像を生成すると共に、操作ID(ID1)をバーコード等の画像コードに変換して、発注書の画像に重畳し、重畳後の画像を送信先FAX番号に向けてFAX送信する。
このようにして企業AからFAX送信された発注書の画像は、FAX受信装置として機能する企業B内のクライアント装置50のメモリ領域のうち、企業Bの受注用FAX番号に対応づけられたメモリ領域(親展ボックス、セキュリティボックスなどとも呼ばれる)に格納される。このメモリ領域に保存された文書は、当該メモリ領域にあらかじめ設定された宛先(例えばURLで表される)が表す、文書記憶装置20上の特定のフォルダ(「受注」フォルダと呼ぶ)に転送するように設定されている。これらの設定により、受信した発注書は文書記憶装置20上の「受注」フォルダに格納される。このときの文書記憶装置20のフォルダ管理画面の表示例を、図21の(a)に示す。この表示例では、発注書(ファイル名「2011-02-21-15-32-11.xdw」)が「受注」フォルダ内、且つサブフォルダ「当日分」及び「翌日分」の外に配置されている。
ここで、登録装置30には、図20に示す属性付与ルール32が設定されており、この属性付与ルール32は「受注」フォルダに対応づけられているものとする。
「受注」フォルダへの文書の格納をトリガとして、登録装置30がその文書に対する属性付与を行う。この処理では、まず、受信した発注書のイメージに重畳された画像コードを解析し、操作ID(ID1)を取得する。その取得した操作ID(ID1)を指定して、操作履歴記録装置10からその操作IDに対応づけられた抽出情報と操作履歴情報とを取得する。登録装置30は、「受注」フォルダに格納されたその発注書を、その属性付与ルール32に従って文書記憶装置20の適切な格納場所に配置し、その他の属性の設定を行う。この処理では、登録装置30は、その発注書から読み出した操作ID(ID1)に対応する操作履歴情報の「操作日時」の時刻部分が「15:28:50」であると認識し、この時刻を図20の属性付与ルールの「フォルダ」欄に設定されたルールに適用することで、当該発注書を「受注」フォルダの直下の「当日分」フォルダへと移動する。また、登録装置30は、属性付与ルールの「属性」欄の設定内容に従って、その発注書の文書記憶装置20上での属性情報を設定する。具体的には、ファイル名属性として、操作ID(ID1)に対応する抽出情報の「件名」と操作ID(ID1)の操作履歴情報中の「組織名」の値とをハイフンで結んだ文字列を設定し、「概要」属性として、「希望納期:」という文字列の後にその操作履歴情報中の「希望納期」の値を設定する。また、「説明」属性として、その操作履歴情報の「ユーザID」及び「操作日時」の情報を設定する。この属性付与処理の後の文書記憶装置20のフォルダ管理画面の表示例を、図21の(b)に示す。この例では、発注書のファイル「2011-02-21-15-32-11.xdw」が「ノートPC ○○-企業A.xdw」に名称変更され、「当日分」フォルダ内に移されている。またそのファイルの「概要」属性に設定された「希望納期:2011.02.28」はそのファイルのファイル名の下に表示され、「説明」属性に設定された担当者や送信日時の情報は、そのファイルのファイル名にカーソルを合わせると表示される吹き出し式の表示領域に表示されている。
この例では、受信した文書に含まれる操作IDに対応する操作履歴情報や抽出情報に基づき、その文書の文書記憶装置20上での属性を決定したが、この代わりに、各操作の操作種別を操作履歴記録装置10に記録しておき、受信した文書に含まれる操作IDの先祖の中から操作種別が「FAX送信」である操作IDに対応する操作履歴情報(及び抽出情報)を検索し、検索した情報に基づきその受信文書に属性付与を行ってもよい。
以上に例示したシステムの操作履歴記録装置10、文書記憶装置20、登録装置30、クライアント装置50は、例えば、汎用のコンピュータにそれら各装置の持つ機能モジュールの処理を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)を制御するHDDコントローラ、各種I/O(入出力)インタフェース、ローカル・エリア・ネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース等が、たとえばバスを介して接続された回路構成を有する。また、そのバスに対し、例えばI/Oインタフェース経由で、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダライタ、などが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、ハードディスクドライブ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。