JP2013139597A - 黒色被膜製品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚さが均一で黒色度が十分な黒色めっき被膜が表面に効率よく形成された黒色被膜製品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】無電解めっき液には、金属塩としてNi塩とSn塩、あるいはCo塩とSn塩が、銅または銅合金の電位低下剤としてチオ尿素系化合物が、キレート剤として有機酸塩が、界面活性剤として非イオン系界面活性剤が、pH調整剤として無機酸が、溶媒として水が含まれる。無電解めっき被膜に取り込まれたS成分の量については、蛍光X線分析による検出強度から算出される。同様に蛍光X線分析によって検出されたNi(またはCo)成分の検出強度とSn成分の検出強度との和に対するS成分の検出強度の比率が、0.0005(0.05%)以上であると、黒色度の高い均一な厚さを有する黒色めっき被膜を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、黒色被膜製品及びその製造方法に関する。
銅及び銅合金は、その優れた電気伝導性を活かして、様々なエレクトロニクス製品に使用されている。銅特有の赤みを帯びた金属光沢が望ましくない場合には、表面を黒色化して目立たなくして用いられる。例えば、プラズマディスプレイ等の表示装置の前面に設置される電磁波シールド材には、銅の金属光沢が眩しさを感じさせるのを防止するため、銅製の細線メッシュの表面を黒色化したものが使用される。
銅または銅合金の表面を黒色化する方法として、例えば特許文献1には、亜塩素酸塩を含む高温、高アルカリ溶液中に銅または銅合金を浸漬し、その表面に黒色酸化銅を形成する方法が開示されている。特許文献2には、ニッケル塩、亜鉛塩、硫黄成分を含有するめっき液に銅または銅合金を浸漬し、電気めっきによって表面に黒色ニッケルめっき層を形成する方法が開示されている。特許文献3には、銅または銅合金の表面に無電解ニッケルめっきを施し、その無電解ニッケルめっき膜の表面を酸化処理することによって、黒色酸化ニッケル膜を形成する方法が開示されている。
特許文献4には、銅または銅合金の表面に無電解黒色めっき膜を形成するに際し、ニッケル塩及び還元剤と硫黄含有化合物及び亜鉛イオンを含有する無電解黒色めっき浴を用いる方法が開示されている。特許文献5には、ニッケル塩、第一スズ化合物、チオ尿素系の化合物を含むめっき液に銅または銅合金を浸漬し、その表面に黒色めっき膜を形成する方法が開示されている。
特開2006−191012号公報 特開2004−145063号公報 特開2007−119851号公報 特開平09−049085号公報 特開2005−298863号公報
しかしながら、特許文献1に記載の黒色酸化銅は、強度的に脆く、また不導体であるため表面の電気伝導性が低下する。特許文献2に記載の技術は、電気めっきであり、プリント配線板のような粗密部のある被めっき物に対しては、電流密度がばらつく。その結果、黒色ニッケルめっき層の厚さもばらつく。特許文献3に記載の技術は、無電解ニッケルめっきを施す前に、高価なパラジウム触媒を銅または銅合金に付与する必要があるため、生産コストが嵩む。また、無電解ニッケルめっき後に表面酸化処理をするので、生産効率が悪くなる。
特許文献4に記載の方法で無電解黒色めっき膜を形成するには、めっき浴中で銅または銅合金の表面に鉄やアルミ素材を接触させてめっき反応をスタートさせなければならず、煩雑な作業が必要となり生産効率が下がる。特許文献5に記載の技術は、23℃以下という低温でめっきするため成膜速度が遅く、生産効率が悪くなる。また、界面活性剤を含んでいないため、黒色外観にムラが生じ、黒色度が不十分であるという問題点があった。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、黒色度が十分な黒色めっき被膜を効率よく形成することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る黒色被膜製品は、
被めっき物の金属の表面に黒色めっき被膜が形成された黒色被膜製品であって、
前記黒色めっき被膜の蛍光X線分析によるニッケル(Ni)及び/またはコバルト(Co)の検出強度と錫(Sn)の検出強度の和に対する硫黄(S)の検出強度の比率が0.0005以上である。
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る黒色被膜製品の製造方法は、
ニッケル(Ni)塩及び/またはコバルト(Co)塩、錫(Sn)塩、チオ尿素系化合物、有機酸、界面活性剤、無機酸を含有する無電解めっき液に、金属を表面に有する被めっき物を浸漬する工程を有し、
得られた黒色めっき被膜における蛍光X線分析によるNi及び/またはCoの検出強度とSnの検出強度の和に対する硫黄(S)の検出強度の比率が0.0005以上である。
本発明によれば、蛍光X線分析による硫黄(S)の検出強度の比率が一定値以上であるから、黒色めっき被膜にニッケル(Ni)及び/またはコバルト(Co)及び錫(Sn)とともに、硫黄(S)が一定量以上取り込まれる。これによって、黒色度が十分な黒色めっき被膜が、表面に効率よく形成された黒色被膜製品となる。
黒色めっき被膜中のNi成分の検出強度とSn成分の検出強度との和に対するS成分の検出強度の比率と、SCIモードで測定したL*値との関係を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
本実施形態においては、金属としての銅または銅合金を、銅または銅合金の電位低下剤であるチオ尿素系化合物が添加され且つ金属塩としてNi塩とSn塩、あるいはCo塩とSn塩が、キレート剤として有機酸塩が、界面活性剤として非イオン系界面活性剤が、pH調整剤として無機酸が、溶媒として水が含まれる無電解めっき液に、所定の条件で浸漬することによって、銅または銅合金の表面に均一な黒色めっき被膜を高速で形成する。
銅または銅合金は、その全体が銅または銅合金によって形成されていてもよく、あるいはその表面のみが銅または銅合金で形成されていてもよい。
本実施形態における黒色めっき被膜を形成するための無電解めっき液の構成とその作用は、以下のように考えられる。
無電解めっき液に銅または銅合金の電位低下剤であるチオ尿素系化合物を添加することにより、無電解めっき液に浸漬した銅または銅合金の標準電極電位が低下し、無電解めっき液中のNi2+イオン、Co2+イオン、Sn2+イオン、Sn4+イオンの標準電極電位よりも、銅または銅合金の標準電極電位が低くなる。その結果、銅または銅合金の表面からCu2+イオンが溶出する。そのとき発生した電子を、無電解めっき液中のNi2+イオン、Co2+イオン、Sn2+イオン、Sn4+イオンが受け取ることにより、銅または銅合金の表面にNi成分、Co成分、Sn成分、またはその複合成分が無電解めっきされる。この際、めっき液の各種成分濃度、pH、温度を本実施形態の条件に調整することが最も重要である。それによって、S成分が無電解めっき被膜に取り込まれ、その結果、黒色めっき被膜が形成される。
無電解めっき被膜に取り込まれたS成分の量については、蛍光X線分析による検出強度から算出される。同様に蛍光X線分析によって検出されたNi及び/またはCo成分の検出強度とSn成分の検出強度との和に対するS成分の検出強度の比率が、0.0005(0.05%)以上であると、黒色度の高い均一な厚さを有する黒色めっき被膜を得ることができる。
本実施形態における無電解めっき液には、金属塩としてNi塩とSn塩、あるいはCo塩とSn塩が、銅または銅合金の電位低下剤としてチオ尿素系化合物が、キレート剤として有機酸塩が、界面活性剤として非イオン系界面活性剤が、pH調整剤として無機酸が、溶媒として水が含まれる。
無電解めっき液に含まれるNi塩としては、NiSO・6HO、NiCl・6HO、Ni(NO・6HO、NiO、Ni(OH)、NiCO、あるいはNi(CHCOO)等があり、これらの化合物が単独で、あるいは複数種含まれていてもよい。無電解めっき液に含まれるNi塩の濃度は、0.2〜0.6mol/Lの範囲内が好ましく、0.3〜0.5mol/Lの範囲内がより好ましい。
Ni塩の濃度が低すぎると、銅または銅合金の溶出時に発生する電子を無電解めっき液中のNi2+イオンが十分受け取ることができず、代わりにHイオンが還元されてしまう。その結果、銅または銅合金表面のOHイオン濃度が局所的に高くなり、めっき液中のSn塩が、不溶性のSn(OH)Cl、あるいは不溶性のSnOSO等に変化し、めっき液が濁る。一方、Ni塩の濃度が高すぎると、黒色めっき被膜中のNi比率が高くなり黒色度が低下し、しかもめっき液コストが嵩む。
無電解めっき液に含まれるCo塩としては、CoSO・7HO、CoCl・6HO、Co(NO・6HO、CoO、Co(OH)、CoCO、あるいはCo(CHCOO)・4HO等があり、これらの化合物が単独で、あるいは複数種含まれていてもよい。無電解めっき液に含まれるCo塩の濃度は、0.2〜0.6mol/Lの範囲内が好ましく、0.3〜0.5mol/Lの範囲内がより好ましい。
Co塩の濃度が低すぎると、銅または銅合金の溶出時に発生する電子を無電解めっき液中のCo2+イオンが十分受け取ることができず、代わりにHイオンが還元されてしまう。その結果、銅または銅合金表面のOHイオン濃度が局所的に高くなり、めっき液中のSn塩が、不溶性のSn(OH)Cl、あるいは不溶性のSnOSO等に変化し、めっき液が濁る。一方、Co塩の濃度が高すぎると、黒色めっき被膜中のCo比率が高くなり黒色度が低下し、しかもめっき液コストが嵩む。
無電解めっき液に含まれるSn塩としては、SnCl、SnCl、SnSO、あるいはメタンスルホン酸錫(II)等があり、これらの化合物が単独で、あるいは複数種含まれていてもよい。無電解めっき液に含まれるSn塩の濃度は、0.0005〜0.03mol/Lの範囲内が好ましく、0.001〜0.02mol/Lの範囲内がより好ましい。
Sn塩の濃度が低すぎると、黒色めっき被膜中のNi比率、あるいはCo比率が高くなり、黒色めっき被膜の黒色度が低下し、湿熱環境下における黒色めっき被膜の耐久性が低下する。一方、Sn塩の濃度が高すぎると、黒色めっき被膜が白味を帯び、不溶性のSn(OH)Cl、あるいは不溶性のSnOSO等が生成しやすくなる。
無電解めっき液に含まれるチオ尿素系化合物としては、チオ尿素、ジメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素、あるいはテトラメチルチオ尿素等があり、これらの化合物が単独で、あるいは複数種含まれていてもよい。無電解めっき液に含まれるチオ尿素系化合物の濃度は、0.2〜2mol/Lの範囲内が好ましく、0.7〜1.5mol/Lの範囲内がより好ましい。
チオ尿素系化合物の濃度が低すぎると、銅または銅合金の標準電極電位が十分低くならず、Cu2+イオンの溶出、及びNi2+イオン、Sn2+イオン、Sn2+イオンの析出が起こらない。一方、チオ尿素系化合物の濃度が高すぎると、実際の生産加工において被めっき物をめっき液から引きあげたときのめっき液持ち出しが多くなり、生産コストの増大に繋がる。
無電解めっき液に含まれる有機酸としては、グルコン酸、クエン酸、酢酸、酪酸、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸、あるいはニトリロ三酢酸等があり、これらの化合物が単独で、あるいは複数種含まれていてもよい。無電解めっき液に含まれる有機酸の濃度は、0.1〜1mol/Lの範囲内が好ましく、0.3〜0.8mol/Lの範囲内がより好ましい。
有機酸の濃度が低すぎると、めっき液中の金属イオンが溶液状態として安定に存在できず、めっき液が濁る。一方、有機酸の濃度が高すぎると、実際の生産加工において被めっき物をめっき液から引きあげたときのめっき液持ち出しが多くなり、生産コストの増大に繋がる。
さらに、無電解めっき液に界面活性剤を添加することによって、被めっき物に対する無電解めっき液の馴染みがよくなり、均一な黒色めっき被膜が形成される。また、万が一、Cu2+イオンの溶出時に発生した電子をめっき液中のHイオンが受け取って水素泡が発生しても、界面活性剤が水素泡を除去してくれるので、泡ムラを防止することができる。
無電解めっき液に含まれる界面活性剤としては非イオン系界面活性剤が好ましく、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ラウリン酸グリセリン、オレイン酸ジエタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール等があり、これらの化合物が単独で、あるいは複数種含まれていてもよい。無電解めっき液に含まれる非イオン系界面活性剤の濃度は、0.1〜10g/Lの範囲内が好ましく、1〜5g/Lの範囲内がより好ましい。
非イオン系界面活性剤の濃度が低すぎると、被めっき物に対するめっき液の馴染みが悪くなり、めっきムラが生ずる。一方、非イオン系界面活性剤の濃度が高すぎると、めっき液の粘度が高くなり、めっき後の水洗効率が低下する。
無電解めっき液に含まれる無機酸としては、硫酸、塩酸、あるいは硝酸等があり、これらの化合物が単独で、あるいは複数種含まれていてもよい。無電解めっき液に含まれる無機酸の濃度は、0.2〜1.0Nの範囲内が好ましく、0.4〜0.8Nの範囲内がより好ましい。
無機酸の濃度が低すぎると、めっき液中のSn塩が、不溶性のSn(OH)Cl、あるいは不溶性のSnOSO等に変化しやすくなり、めっき液が濁る。一方、無機酸の濃度が高すぎると、めっき被膜に取り込まれるS成分の量が減少し、めっき被膜の黒色度が低下する。
無電解めっき温度は、30〜70℃の範囲内が好ましく、40〜60℃の範囲内がより好ましい。無電解めっき温度が低すぎると、無電解めっき被膜の成膜速度が遅くなり、生産性が低下する。一方、無電解めっき温度が高すぎると、めっき装置への負荷が大きくなる。
無電解めっき時間は、0.25〜5分間の範囲内が好ましく、1〜3分間の範囲内がより好ましい。めっき時間が短すぎると、黒色めっき被膜が薄くなり、めっき被膜を高温環境下に置いたときに変色しやすくなる等、めっき被膜の環境耐久性が低下する。一方、めっき時間が長すぎると、同じ面積のめっきを仕上げるのに要する時間が長くなり、生産性が低下する。
黒色めっき被膜の黒色度を評価する方法としては、分光測色計のSCIモード(正反射光を含むモード)にて測定したL*値(以下、「L*(SCI)」ともいう。)を指標とする。十分な黒色度を呈するには、L*(SCI)が81以下であることが好ましい。L*(SCI)が81を超える場合は、黒色度が不十分である。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、以下に示す実施例により限定されるものではない。実施例に示す材料、使用量、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。
(被めっき物の作製)
厚さ100μmのポリエステルフィルム上に、無電解銅めっきの触媒である金属パラジウムを含有させたポリエステル樹脂をコーティングした。次に、このコーティングフィルムを、Cu2+イオン、エチレンジアミン四酢酸、ホルムアルデヒド、水酸化ナトリウム、ポリエチレングリコールを含有する無電解銅めっき液に浸漬し、コーティングフィルム上に、厚さ1μmの無電解銅めっき被膜を形成させた。この無電解銅めっき被膜を、Cu2+イオン、硫酸、塩化ナトリウム、光沢剤を含有する電気銅めっき液に浸漬し、無電解銅めっき被膜を陰極として、表面光沢のある厚さ8μmの電気銅めっき被膜を形成させた。この銅めっき物を、被めっき物とした。
(無電解めっき)
水を溶媒として表1及び表2の上段に示す配合で、実施例1〜実施例18に係る無電解めっき液を作成した。この無電解めっき液を50℃に加温し、前述の銅めっき物を2分間浸漬後に水洗した。さらに乾燥して、銅めっき物の表面に黒色めっき被膜が形成された、実施例1〜実施例18に係るサンプルを得た。
Figure 2013139597
Figure 2013139597
なお、比較のために、水を溶媒として表3の上段に示す配合で、比較例1〜比較例7の無電解めっき液を作成した。この無電解めっき液を50℃に加温し、前述の銅めっき物を2分間浸漬後に水洗した。さらに乾燥して、比較例1〜比較例7のサンプルを得た。
Figure 2013139597
(蛍光X線分析)
得られたサンプルについて、蛍光X線分析を実施した。エネルギー分散型蛍光X線分析装置(Epsilon 5、PANalytical社製)にサンプルをセットし、表4に示す条件で各元素の検出強度を測定した。
Figure 2013139597
この蛍光X線分析においては、本来存在しないCa元素が検出されるが、これはCaのピークがSnのピークに非常に近いためである。したがって、Caとしての検出強度とSnとしての検出強度とを加算して、真のSnの検出強度とした。このようにして、得られたNi(またはCo)とSnの検出強度に対するSの検出強度の比率を計算した。
(分光測色測定)
得られたサンプルについて、分光測色測定を実施した。分光測色計(型番CM−2600d、コニカミノルタセンシング株式会社製)を用いて、SCIモードで、黒色度の指標となるL*(SCI)値を測定した。
得られた結果を、表1〜表3の下段に示す。
表1及び表2に示されるように、実施例1〜実施例17に係る黒色めっき被膜は、蛍光X線分析におけるNiの検出強度とSnの検出強度の和に対するSの検出強度の比率が0.0006(0.06%)以上である。これらの実施例についてのL*(SCI)値は81以下であり、黒色度が大きいと考えられる。実施例18に係る黒色めっき被膜は、蛍光X線分析におけるCoの検出強度とSnの検出強度の和に対するSの検出強度の比率が0.00804(0.804%)である。実施例18についてのL*(SCI)値は80.5であり、黒色度が大きいと考えられる。
特に、実施例1〜実施例5及び実施例11〜実施例17は、蛍光X線分析におけるNiの検出強度とSnの検出強度の和に対するSの検出強度の比率が0.0235(2.35%)以上である。これらの実施例についてのL*(SCI)値は62.4以下であり、黒色度が極めて大きいと考えられる。
これに対して、表3に示されるように、比較例1〜比較例7のめっき被膜は、蛍光X線分析におけるNiの検出強度とSnの検出強度の和に対するSの検出強度の比率が0.0000(0.00%)である。すなわち、蛍光X線分析でSが検出されていない。比較例1〜比較例7についてのL*(SCI)値は90以上であり、黒色度に劣っていると考えられる。
したがって、蛍光X線分析におけるNi(またはCo)の検出強度とSnの検出強度の和に対するSの検出強度の比率は、0.0005(0.05%)以上であることが必要である。特に、0.005(0.5%)以上であることが好ましく、0.02(2%)以上であることがより好ましい。
黒色めっき被膜中のNi(またはCo)成分の検出強度とSn成分の検出強度との和に対するS成分の検出強度の比率と、SCIモードで測定した黒色めっき被膜表面のL*値との関係を図1に示す。図1に示されるように、S成分の検出強度の比率とL*(SCI)値とは、ほぼ反比例の関係にあることが認められる。

Claims (13)

  1. 被めっき物の金属の表面に黒色めっき被膜が形成された黒色被膜製品であって、
    前記黒色めっき被膜の蛍光X線分析によるニッケル(Ni)及び/またはコバルト(Co)の検出強度と錫(Sn)の検出強度の和に対する硫黄(S)の検出強度の比率が0.0005以上である黒色被膜製品。
  2. 前記黒色めっき被膜は、無電解めっきにより形成されたものである請求項1に記載の黒色被膜製品。
  3. 前記硫黄(S)の検出強度の比率は、0.005以上である請求項1または2に記載の黒色被膜製品。
  4. 前記硫黄(S)の検出強度の比率は、0.02以上である請求項1または2に記載の黒色被膜製品。
  5. 前記金属は、銅または銅合金である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の黒色被膜製品。
  6. 前記黒色めっき被膜のSCIモードで測定したL*値は、81以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の黒色被膜製品。
  7. 前記黒色めっき被膜のSCIモードで測定したL*値は、75以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の黒色被膜製品。
  8. ニッケル(Ni)塩及び/またはコバルト(Co)塩、錫(Sn)塩、チオ尿素系化合物、有機酸、界面活性剤、無機酸を含有する無電解めっき液に、金属を表面に有する被めっき物を浸漬する工程を有し、
    得られた黒色めっき被膜における蛍光X線分析によるNi及び/またはCoの検出強度とSnの検出強度の和に対する硫黄(S)の検出強度の比率が0.0005以上である黒色被膜製品の製造方法。
  9. 前記硫黄(S)の検出強度の比率は、0.005以上である請求項8に記載の黒色被膜製品の製造方法。
  10. 前記硫黄(S)の検出強度の比率は、0.02以上である請求項8に記載の黒色被膜製品の製造方法。
  11. 前記金属は、銅または銅合金である請求項8乃至10のいずれか1項に記載の黒色被膜製品の製造方法。
  12. 前記黒色めっき被膜のSCIモードで測定したL*値は、81以下である請求項8乃至11のいずれか1項に記載の黒色被膜製品の製造方法。
  13. 前記黒色めっき被膜のSCIモードで測定したL*値は、75以下である請求項8乃至11のいずれか1項に記載の黒色被膜製品の製造方法。
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