JP6216953B2 - 銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の製造方法 - Google Patents

銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は銀−錫合金めっき層の製造方法に関し、より具体的には、優れた耐硫化特性を有し、高温下における硬度低下が小さい銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の簡便な製造方法に関する。
銀めっきは高い電気伝導率と熱伝導率を有し、各種コネクタやリード材等の電気・電子部品に幅広く用いられている。しかし、銀めっきは空気中で変色し易く、特に、硫黄を含む雰囲気中では腐食されて茶褐色や青黒色に変色し、電気的接触が悪くなるという問題を抱えている(耐硫化特性)。
他方、近年では、電気自動車やプラグインハイブリッド車等の普及が進んでおり、自動車部品への銀めっきの使用量が増加している。銀めっきが自動車のエンジンルーム内等の高温環境下で用いられる場合、硫黄成分による腐食の進行が早まることになり、極めて深刻な問題となる。加えて、銀めっきが軟化し、耐磨耗特性等が低下してしまうことになる(耐硫化特性及び耐磨耗特性)。
これらの問題点を克服する手段として、例えば特許文献1(特開2009−249648号公報)には、基材に銀めっきとインジウムめっきとを施し、熱拡散によってインジウムを銀中に拡散させる手法が提案されている。
より具体的には、上記特許文献1に開示されている銀めっき層は、冶金的方法や合金めっき法では得られにくい金属間化合物AgInを含有していることが主たる特徴であり、更に、銀めっき中のインジウム含有率を0.1重量%以上60重量%未満とすることで、耐硫化特性及び耐磨耗特性に優れているとされている。
また、例えば特許文献2(特開2012−21195号公報)には、金属素材の表面に錫−ニッケルめっき層を0.1〜0.5μmの厚さで形成した後、錫−ニッケルめっき層に対して銀めっき層を0.1〜0.2μmの厚さで積層形成し、260〜400℃の温度で10〜30分間の加熱処理を行って、錫−ニッケルめっき層と銀めっき層とを合金化させる手法が提案されている。
上記特許文献2においては、錫−ニッケルめっき層と銀めっき層との合金化によって得られた錫−ニッケル−銀合金層が、硫黄成分の拡散バリアとして有効に機能し、高温環境下においてもめっき層表面の変色等が抑制され、優れた品質性能(即ち、耐硫化特性)が確保されるとされている。
特開2009−249648号公報 特開2012−21195号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されている手法では、レアメタルであるインジウムを大量に消費するため、コスト及び生産持続可能性の観点から問題がある。また、上記特許文献2に開示されている手法では、加熱処理温度が260〜400℃と高く、エネルギー消費量及び基材等への熱影響の観点から問題がある。加えて、銀めっき層の耐硫化特性及び耐磨耗特性の改善と高温環境下における硬度低下抑制を、簡便かつ効果的に達成し得る手法は、従来技術においては見当たらない。
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、レアメタルを用いることなくコスト及び生産持続可能性に優れ、低い加熱処理温度で、優れた耐硫化特性及び耐磨耗特性を有し、高温環境下における硬度低下が小さい銀−錫合金めっき層の簡便な製造方法を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成すべく、銀めっきの製造方法等について鋭意研究を重ねた結果、銀めっき層に優れた耐硫化特性及び耐磨耗特性を付与すると共に、高温下における硬度低下を抑制するためには、銀めっき層に少量の錫を拡散させ、銀−錫合金めっき層とすることが極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
金属基材のうちの少なくとも一部の表面に、厚さ1〜40μmの硬質銀めっき層を形成し、
前記硬質銀めっき層上に、厚さ0.05〜1μmの錫めっき層を形成し、
少なくとも前記硬質銀めっき層及び前記錫めっき層の積層部に、50〜100℃の温度で加熱処理を施し、銀−錫合金めっき層を形成すること、
を特徴とする銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の製造方法を提供する。
本発明の銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の製造方法においては、前記硬質銀めっき層のビッカース硬度を150HV以上とすることが好ましい。
また、本発明の銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の製造方法においては、前記加熱処理を1200〜14400分間施すことが好ましい。
加えて、本発明の銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の製造方法においては、前記銀−錫合金めっき層中の錫含有率を5〜30重量%とすることが好ましく、前記銀−錫合金めっき層にAgSn相が形成されることが好ましい。
本発明によれば、レアメタルを用いることなくコスト及び生産持続可能性に優れ、低い加熱処理温度で、優れた耐硫化特性及び耐磨耗特性を有し、高温環境下における硬度低下が小さい銀−錫合金めっき層の簡便な製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法に従って製造される銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の一例における部分断面図である。 金属基材のうちの少なくとも一部の表面に、硬質銀めっき層を形成した状態の一例を示す部分断面図である。 金属基材のうちの少なくとも一部の表面に形成させた硬質銀めっき層上に、錫めっき層を形成した状態の一例を示す部分断面図である。 加熱処理によって得られる銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の一例を示す部分断面図である。 実施例1で得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンである。 実施例1で得られた銀−錫合金めっき層断面の走査電子顕微鏡像である。 硫化試験前における銀−錫合金めっき層最表面のXPSスペクトルである。 硫化試験後における銀−錫合金めっき層最表面のXPSスペクトルである。 実施例2で得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンである。 実施例3で得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンである。 実施例4〜8及び比較例1〜4で得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンである。
以下、図面を参照しながら本発明の銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の製造方法の代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
(A)銀−錫合金めっき層を含む金属積層体
図1は、本発明の製造方法に従って製造される銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の一例における部分断面図である。銀−錫合金めっき層を含む金属積層体1は、金属基材2と銀−錫合金めっき層4を有しており、金属基材2のうちの少なくとも一部の表面に、銀−錫合金めっき層4が形成されている。
金属基材2の金属は、導電性を有している限り特に限定されず、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、鉄及び鉄合金、チタン及びチタン合金、ステンレス、銅及び銅合金等を挙げることができるが、なかでも、電気伝導性・熱伝導性・展延性に優れているという理由から、銅及び銅合金を用いることが好ましい。
銀−錫合金めっき層4の錫含有率は5〜30重量%であることが好ましく、銀−錫合金めっき層4にはAgSn相が形成されていることが好ましい。また、銀−錫合金めっき層4の表層には錫めっき層に起因する錫が残存していないことが好ましい。銀と合金化されずに残存した錫が銀−錫合金めっき層4の表層近傍に存在する場合、接触抵抗が大幅に増大してしまうからである。また、銀−錫合金めっき層4の硬度は150HV以上であることが好ましい。
(B)銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の製造方法
(1)金属基材のうちの少なくとも一部の表面に、厚さ1〜40μmの硬質銀めっき層を形成する工程
図2は、金属基材のうちの少なくとも一部の表面に、硬質銀めっき層を形成した状態の一例を示す部分断面図である。厚さ1〜40μmの硬質銀めっき層20は、金属基材2のうちの少なくとも一部の表面に形成されている。
金属基材2の金属は、導電性を有している限り特に限定されず、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、鉄及び鉄合金、チタン及びチタン合金、ステンレス、銅及び銅合金等を挙げることができるが、なかでも、電気伝導性・熱伝導性・展延性に優れているという理由から、銅及び銅合金を用いることが好ましい。
また、金属基材2の表面に硬質銀めっき層20を被覆する前工程として、金属基材2に陰極電解洗浄を施すことが好ましい。具体的には、従来既知の電解脱脂溶液(例えば、シアン化カリウム、水酸化カリウム及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを含む電解脱脂溶液)中にて、陽極材料として鉄板を、陰極材料として金属基材2を用い、室温にて陰極電解洗浄を行うことができる。
硬質銀めっき層20には、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の銀めっきを用いることができるが、硬質銀めっき層20のビッカース硬度は150HV以上であることが好ましい。硬質銀めっき層20のビッカース硬度を150HV以上とすることで、加熱処理後に得られる銀−錫合金めっき層の硬度を150HV以上とすることができる。
また、硬質銀めっき層20の厚さは、目的とする特性に応じて適宜決定することができるが、硬質銀めっき層20の厚さは1〜40μmであることが好ましい。硬質銀めっき層20を40μmより厚くした場合、高温環境下での使用による接触抵抗の上昇がある程度抑制されるが、高価な銀を含有する銀めっき層を厚くすることはコストの観点から現実的ではない。一方で、硬質銀めっき層20を1μmより薄くした場合、品質の安定性及び耐久性等を担保することが困難となる。
硬質銀めっき層20は、従来既知の銀めっき浴及びめっき条件によって形成させることができ、硬質銀めっき層20の硬度は、例えばめっき液中の金属光沢剤及び/又は有機光沢剤の濃度で調節することができる。また、硬質銀めっき層4の厚さは、例えばめっき時間の長さで調節することができる。
銀めっき浴としては、シアン化銀及びシアン銀カリウム等の銀塩と、シアン化カリウム及び塩化カリウム等の電導塩と、により構成され、必要に応じて光沢剤が添加されるのが一般的である。
銀塩としては、例えば、シアン化銀、ヨウ化銀、酸化銀、硫酸銀、硝酸銀、塩化銀等が挙げられ、電導塩としては、例えば、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヨウ化カリウム、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
光沢剤としては金属光沢剤及び/又は有機光沢剤を用いることができる。また、金属光沢剤としては、アンチモン(Sb)、セレン(Se)、テルル(Te)等を例示でき、有機光沢剤としては、ベンゼンスルホン酸、メルカプタン類等を例示することができる。
めっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等のめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。
(2)硬質銀めっき層上に、厚さ0.05〜1μmの錫めっき層を形成する工程
図3は、金属基材のうちの少なくとも一部の表面に形成させた硬質銀めっき層上に、錫めっき層を形成した状態の一例を示す部分断面図である。厚さ0.05〜1μmの錫めっき層30は、硬質銀めっき層20上に形成されている。
錫めっき層30には、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の錫めっきを用いることができる。錫めっき層30の厚さは、目的とする特性に応じて適宜決定することができるが、錫めっき層30の厚さは0.05〜1μmであることが好ましい。錫めっき層30を1μmより厚くした場合、錫めっき層と銀めっき層との界面部分で合金層の形成が飽和となり、表層の錫めっきが合金化されずに残存してしまう。合金化していない錫の残存は、接触抵抗の大幅な増大をもたらすことが予想されるため、錫めっき層30の厚さは1μm以下とすることが好ましい。なお、錫めっき層30を0.05μmより薄くした場合、熱処理を施してもAgSn相を有する銀−錫合金めっき層が安定的に形成されない。
錫めっき層30は、従来既知の錫めっき浴及びめっき条件によって形成させることができ、錫めっき層30の厚さは、例えばめっき時間の長さで調節することができる。
錫めっき浴としては、酸性浴、中性浴、アルカリ性浴があり、いずれの浴も使用出来る。酸性浴としては硫酸浴や有機スルホン酸浴、中性浴はピロリン酸浴やグルコン酸浴、アルカリ性浴としてはスズ酸カリウム浴やスズ酸ナトリウム浴が一般的である。
(3)硬質銀めっき層と錫めっき層との積層部に、50〜100℃の温度で加熱処理を施し、銀−錫合金めっき層を形成する工程
図4は、加熱処理によって得られる銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の一例を示す部分断面図である。銀−錫合金めっき層を含む金属積層体1は、金属基材2と銀−錫合金めっき層4を有しており、金属基材2の少なくとも一部の表面に銀−錫合金めっき層4が形成されている。
前記加熱処理は、錫めっき層30の錫を硬質銀めっき層20に拡散させる目的で実施される。加熱処理条件は、硬質銀めっき層20及び錫めっき層30の厚さや所望する銀−錫合金めっき層の各種特性に応じて適宜選択することができるが、50〜100℃で1200〜14400分間とすることが好ましい。
50℃未満の温度で加熱処理を行う場合、硬質銀めっき層20への錫の拡散が不十分となる。一方で、100℃より高い温度で加熱処理を行う場合、銀−錫合金めっき層4及び金属基材2の硬度が低下してしまうことに加え、エネルギー消費の観点からも好ましくない。なお、50℃未満の温度でも極めて長い時間の処理を行うと合金化させることができるが、製造プロセスとしては望ましくない。
また、加熱時間を1200分未満とした場合、加熱処理温度を100℃としても硬質銀めっき層20への錫の拡散が不十分となる。一方で、加熱時間を14400分より長くした場合、錫が十分に拡散した銀−錫合金めっき層4に対する無駄な処理となり、時間とエネルギーの浪費となるだけでなく、銀−錫合金めっき層4及び金属基材2の硬度を低下させることになる。
上記の加熱処理によって得られる銀−錫合金めっき層4中の錫含有率は、5〜30重量%、ビッカース硬度は140〜160HVとなっていることが好ましい。また、銀−錫合金めっき層4にはAgSn相が形成されていることが好ましい。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
≪実施例1≫
3×5cm角のタフピッチ銅を基板として、電解脱脂処理(青化ソーダ:50g/L、苛性ソーダ:20g/L、キレスト400T:20g/L)及び弱酸処理(5%塩酸)を施した。次に、120g/Lのシアン化銀、120g/Lの遊離青化カリ、50g/Lの炭酸カリウムを含む銀めっき浴を用い、陽極材料をチタン白金板、陰極材料を上記処理後の基板として銀めっき処理を施し、膜厚30μmの単一の硬質銀めっき層を形成させた。なお、当該硬質銀めっき層のビッカース硬度は160HVであった。
次いで、市販の錫めっき浴(ローム・アンド・ハース株式会社製、ソルダロンST−200)で膜厚0.636μmの無光沢錫めっきを行った後、100℃にて20時間の熱処理を行い、銀−錫合金めっき層を有する金属積層体を得た。
[評価]
(1)銀−錫合金めっき層の相同定
上記のようにして作製した金属積層体の銀−錫合金めっき層について、X線回折法により相の同定を行った。用いた装置は株式会社リガク製のUltimaIV(検出器D/teX Ultra、CuKα線使用)であり、40kV−40mA、ステップ角0.02°、スキャン角度範囲20°〜100°の条件で測定した。得られたXRDパターンを図5に示す。
(2)銀−錫合金めっき層の硬度測定
上記のようにして作製した金属積層体の銀−錫合金めっき層について、SIIナノテクノロジー株式会社製の環境制御型ユニットE―sweep(ナノインデンター)を用いて硬度測定を行った。銀−錫合金めっき層の最表面から深さ方向に133.01nmにおける硬度は1.60GPa(163.2HV)、最表面から深さ方向に200.26nmにおける硬度は1.53GPa(156.06HV)であった。
(3)銀−錫合金めっき層の断面観察
上記のようにして作製した金属積層体の銀−錫合金めっき層について、アルゴンイオンビームと遮蔽板を用いて断面加工を行い、当該断面を走査電子顕微鏡にて観察した。観察像を図6に示す。厚さ約2.4μmの銀−錫合金めっき層が得られていることが確認できる。
(4)硫化試験
上記のようにして作製した金属積層体を0.3%の硫酸アンモニウムに室温で5分間浸漬させた。浸漬前後における接触抵抗を測定したところ、浸漬前は5.474×10−6Ωcm、浸漬後は5.199×10−6Ωcmであり、値に顕著な変化は認められなかった。当該結果は、得られた金属積層体が良好な耐硫化特性を有していることを示している。
(5)XPS測定
上記硫化試験前後の金属積層体につき、最表面のXPS測定を行った。硫化試験前及び後の金属積層体に関して得られたXPSスペクトルを図7及び8にそれぞれ示す。硫化試験前後でXPSスペクトルが殆ど変化しておらず、硫黄(S)に起因するピークが認められない。当該結果は、銀−錫合金めっき層が優れた耐硫化特性を有していることを意味している。
≪実施例2≫
硬質銀めっき層の厚さを8.13μmとし、熱処理の条件を80℃にて240時間とした以外は、実施例1と同様にして金属積層体を作製した。得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンを図9に示す。
≪実施例3≫
硬質銀めっき層の厚さを7.33μmとし、熱処理の条件を80℃にて240時間とした以外は、実施例1と同様にして金属積層体を作製した。得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンを図10に示す。
≪実施例4≫
無光沢錫めっき層の厚さを0.050μmとした以外は、実施例2と同様にして金属積層体を作製した。得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンを図11に示す。
≪実施例5≫
無光沢錫めっき層の厚さを0.074μmとした以外は、実施例2と同様にして金属積層体を作製した。得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンを図11に示す。
≪実施例6≫
無光沢錫めっき層の厚さを0.237μmとした以外は、実施例2と同様にして金属積層体を作製した。得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンを図11に示す。
≪実施例7≫
無光沢錫めっき層の厚さを0.336μmとした以外は、実施例2と同様にして金属積層体を作製した。得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンを図11に示す。
≪実施例8≫
無光沢錫めっき層の厚さを0.810μmとした以外は、実施例2と同様にして金属積層体を作製した。得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンを図11に示す。
≪比較例1≫
無光沢錫めっき層の厚さを0.028μmとした以外は、実施例2と同様にして金属積層体を作製した。得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンを図11に示す。
≪比較例2≫
無光沢錫めっき層の厚さを1.620μmとした以外は、実施例2と同様にして金属積層体を作製した。得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンを図11に示す。
≪比較例3≫
無光沢錫めっき層の厚さを2.420μmとした以外は、実施例2と同様にして金属積層体を作製した。得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンを図11に示す。
≪比較例4≫
無光沢錫めっき層の厚さを4.040μmとした以外は、実施例2と同様にして金属積層体を作製した。得られた銀−錫合金めっき層のXRDパターンを図11に示す。
図5、9〜11により、実施例で得られた全ての金属積層体に関して、銀−錫合金めっき層にAgSnに起因するピークが観察される。これは、熱処理によって硬質銀めっき層と錫めっき層とが相互拡散し、良好な銀−錫合金めっき層が形成していることを意味している。加えて、実施例で得られた全ての金属積層体に関して、錫に起因するピークが殆ど観察されない。これは、錫は銀−錫合金めっき層の形成に消費されて残留しておらず、接触抵抗の増加をもたらさないことを意味している。一方で、無光沢錫めっき層の厚さが0.028μmと薄過ぎる場合(比較例1)、AgSnに起因するピークが認められず、良好な銀−錫合金めっき層が形成されていない。
1・・・銀−錫合金めっき層を含む金属積層体、
2・・・金属基材、
4・・・銀−錫合金めっき層、
20・・・硬質銀めっき層、
30・・・錫めっき層。

Claims (2)

  1. 金属基材のうちの少なくとも一部の表面に、厚さ1〜40μmの硬質銀めっき層を形成し、
    前記硬質銀めっき層上に、厚さ0.05〜1μmの錫めっき層を形成し、
    少なくとも前記硬質銀めっき層及び前記錫めっき層の積層部に、50〜100℃の温度で加熱処理を施し、銀−錫合金めっき層を形成させ、
    前記加熱処理を1200〜14400分間施し、
    前記銀−錫合金めっき層中の錫含有率を5〜30重量%とし、
    前記銀−錫合金めっき層にAg 3 Sn相を形成させ、
    前記硬質銀めっき層のビッカース硬度を150HV以上とすること、
    を特徴とする銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の製造方法。
  2. 前記銀−錫合金めっき層の表層に、銀と合金化されていない錫を残存させないこと、
    を特徴とする請求項1に記載の銀−錫合金めっき層を含む金属積層体の製造方法。
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