JP2013139175A - 船尾構造および船舶 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 船体20の船尾10のプロペラ30に対する流れを制御するダクト40およびダクト50を有した船尾構造であって、図1に向かって船尾の右側のダクト40と船尾の左側のダクト50とを異なる形状とし、かつプロペラ30の回転方向に対する対向流をプロペラ30が1回転する間の総和として強める形状として設ける。
【選択図】 図1
Description
また、特許文献2には、肥大船における船尾流を整流することを目的として、船尾流場に生じる伴流係数の大きい流れを集中整流した後拡散してプロペラ作動面に導く整流装置が開示されている。
また、特許文献2に記載の整流装置は、特に肥大船における伴流分布の激しい変化を均一化してプロペラ作動面に導くことで、性能を向上させるものであり、対向流を用いてプロペラの推進効率を向上させるものではない。
そこで、本発明は、船舶の推進効率を向上させることにより省エネルギー化を実現できる船尾構造および船舶を提供することを目的とする。
船尾の左右に付加物を設けかつ左右に付加物の形状を異ならせる構成により、プロペラの回転方向に対する対向流による推進効率の向上と、付加物による推進抵抗の増加とを考慮した最適な形状とすることができる。ここで、「プロペラの回転方向に対する対向流を強める形状」とは、プロペラが1回転する間に受ける対向流を強めることができる形状をいう。このため、プロペラ翼が上方から下方へ弧を描きながら下降する回転方向側では対向流を強め、プロペラ翼が下方から上方へ弧を描きながら上昇する反回転方向側では対向流を強めない形状も「プロペラの回転方向に対する対向流を強める形状」に含まれる。
プロぺラの軸に対し付加物の中心軸が上下にわたるように形成することにより、対向流をプロペラ面に確実に導くことができる。
この構成により、プロペラの回転方向側で下方を向く流れに対する対向流を有効に形成することができる。
この構成により、回転方向側と反回転方向側の双方においてプロペラに対する対向流を形成して、推進効率を向上させることができる。
この構成により、回転方向側のプロペラへの対向流をさらに強くして、推進効率を向上させることができる。
請求項7に記載の本発明は、請求項1から請求項5のうちの1項に記載の船尾構造において、前記付加物は、複数個から成るフィン状の付加物であることを特徴とする。
請求項8に記載の本発明は、請求項1から請求項5のうちの1項に記載の船尾構造において、前記付加物は、表面に開口を有しない中空状あるいは中実状の付加物であることを特徴とする。ここで「中空状」とは付加物内に空間を有するものをいい、「中実状」とは付加物内に空間を有さないものをいう。
この構成により船舶の推進効率を向上させ省エネルギー化を実現できる。
請求項10に記載の本発明は、請求項9に記載の船舶において、前記付加物を複数種、組み合わせて設けたことを特徴とする。なお、付加物の「種」は、その形状に基づいて分類されるものであり、相似形状のものは同種である。
請求項11に記載の本発明は、請求項9または請求項10に記載の船舶において、前記付加物を前記船体に後付けして形成したことを特徴とする。
船尾双胴型の船舶では、上述した船尾構造を採用することにより、船尾トンネル付近に生じる強い上昇流も利用して推進効率を向上させることができる。なお、船体が船尾双胴型である場合、スケグの左右が船尾の左右に相当する。例えば、プロペラが内回りの船尾双胴型である場合、スケグのトンネル側が回転方向側、外側が反回転方向側に相当する。
また、プロぺラの軸に対し付加物の中心軸が上下にわたるように形成することにより、対向流をプロペラ面に確実に導いて推進効率の向上が図れる。
また、プロペラの回転方向側の付加物の取り付け角度を反回転方向側の付加物の取り付け角度よりも船尾側が上方を向く取り付け角度とすることにより、プロペラの回転方向側の対向流を強めて推進効率を向上させることができる。
また、回転方向側の付加物で流れを加速することにより、回転方向側のプロペラへの対向流をさらに強くして、推進効率を向上させることができる。
また、付加物を内部が中空のダクト状の付加物、複数個から成るフィン状の付加物、表面に開口を有しない中空状あるいは中実状の付加物で構成することにより、船尾形状や経済的な面等を考慮した付加物により推進効率の向上が図れる。
船舶に左右の付加物の形状自体を異ならせた船尾構造を採用することにより、船舶の推進効率を向上させ省エネルギー化を実現できる。
また、付加物を船体に後付けして形成することにより、既存船にも左右の付加物の形状自体を異ならせた船尾構造を採用することができ、取り替えやメンテナンスも容易にできる。
また、船尾双胴型の船舶に左右の付加物の形状自体を異ならせた船尾構造を採用した場合、船尾トンネル付近に生じる強い上昇流も利用して推進効率を向上させることができる。
本発明の第1の実施形態による船尾構造について図1〜図6に基づいて、以下に説明する。
図1は本実施形態による船尾構造(例その1)を模式的に示す正面図である。同図に示すように、船尾構造10は、船体20の船尾のプロペラ30に対する流れを制御するダクト(付加物)40およびダクト(付加物)50を有している。
図2(a)は、図1の船尾構造をプロペラの回転方向側から見た側面図である。同図に示すように、プロペラ30の回転方向側(プロペラ30のプロペラ翼が上から下に向かって回転する側、図1にAで示した側)に設けられたダクト40は、船首側が低く船尾側が高くなるよう仰角をつけて上方を向く角度に取り付けられている。このため、プロペラの回転方向と対向する対向流を強めて推進効率を向上させることができる。
また、ダクト40は、船体20をプロペラ軸(プロペラ30の回転軸)31の高さで船側から側面視した場合、プロペラ軸31に対してその中心軸Cが上下にわたり、かつ、プロペラ軸31と重なる位置に形成されている。したがって、ダクト40によって、対向流をプロペラ面に確実に導いてプロペラ30への対向流を強くすることができる。
なお、循環とは、流れの中の閉曲線に沿った各点の接線方向のベクトルと線分の積を全周積分して求めるものである流体力学で言う循環だけでなく、プロペラが回転する円周に沿った流れのベクトルを使って循環的に求めるものをも含んだ概念をいう。
この反回転方向側で流れを整流することも、謂わば負に作用するものを零にするようなもので対向流を形成するものとも言える。
またフィン51のフィン51Aとフィン51Bは、水流の入口側(船首側)と出口側(船尾側)の間隔が同じになるように形成されている。このように、フィン51とフィン41とを異なる形状として船尾の左右において異なる作用をさせることにより、船舶の推進効率を向上させている。
本発明の第2の実施形態による船尾双胴型船舶について図7〜図9に基づいて、以下に説明する。本実施形態の船尾双胴型船舶は、船尾双胴型である点において、第1の実施形態の船舶とは異なっている。なお、第1の実施形態において説明した部材については、同じ符号を付して、本実施形態では説明を省略する。
図7は本実施形態による船尾構造(例その1)を模式的に示す正面図である。同図に示すように、船尾構造13は、船体23の船尾のプロペラ30に対する流れを制御するダクト40およびダクト50を有している。
図8(b)は、図7の船尾構造をプロペラの反回転方向側(スケグの外側)から見た側面図である。同図に示すようにプロペラ30の反回転方向側Bには、ダクト50の中心軸Cがプロペラ軸31と略平行になるように取り付けられている。
図7〜図9に基づいた上記説明では、ダクト状の付加物を設けた構成について説明したが、船尾双胴型船舶においても実施の形態1において説明した別の種類の付加物を単独でまたは併用して用いてもよい。
20、23 船体
30 プロペラ
31 プロペラ軸
40、50 ダクト(付加物)
41、51 フィン(付加物)
42、52 付加物
Claims (12)
- 船体の船尾のプロペラに対する流れを制御する付加物を有した船尾構造であって、前記付加物を前記船尾の左右に左右で異なる形状に、かつ前記プロペラの回転方向に対する対向流を強める形状に形成して設けたことを特徴とする船尾構造。
- 少なくとも左右の一方の前記付加物を、前記船体を船側から側面視した状態で、前記プロぺラの軸に対し前記付加物の中心軸が上下にわたるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の船尾構造。
- 前記船体を側面視した状態で、前記プロペラの回転方向側の付加物の取り付け角度を反回転方向側の付加物の取り付け角度よりも船尾側が上方を向く角度に取り付けたことを特徴とする請求項1または2に記載の船尾構造。
- 前記回転方向側の付加物の取り付け角度を船尾側が水平よりも上がる角度に、また反回転方向側の前記付加物の取り付け角度を船尾側が水平または水平よりも下がる角度に取り付けたことを特徴とする請求項3に記載の船尾構造。
- 前記回転方向側の付加物で流れを加速したことを特徴とする請求項1から請求項4のうちの1項に記載の船尾構造。
- 前記付加物は、内部が中空のダクト状の付加物であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちの1項に記載の船尾構造。
- 前記付加物は、複数個から成るフィン状の付加物であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちの1項に記載の船尾構造。
- 前記付加物は、表面に開口を有しない中空状あるいは中実状の付加物であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちの1項に記載の船尾構造。
- 請求項1から請求項8に記載の船尾構造を採用したことを特徴とする船舶。
- 前記付加物を複数種、組み合わせて設けたことを特徴とする請求項9に記載の船舶。
- 前記付加物を前記船体に後付けして形成したことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の船舶。
- 前記船体が船尾双胴型であることを特徴とする請求項9から請求項11のうちの1項に記載の船舶。
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