JP2013136067A - 分断装置および被加工物の分断方法 - Google Patents

分断装置および被加工物の分断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】脆性材料被加工物を高精度かつ効率的に分断することができる技術を提供する。
【解決手段】被加工物の分断装置が、第1のレーザ光をステージに載置固定された前記被加工物の上面であるスクライブ面に対して照射することにより、スクライブ面にスクライブラインを形成するスクライブ加工手段と、被加工物の内部で吸収される第2のレーザ光をスクライブラインに沿って加熱する照射加熱手段と、を備え、照射加熱手段が、第2のレーザ光の照射によって被加工物の内部であってスクライブラインの近傍に形成される引張応力場がスクライブラインに沿って移動するように、第2のレーザ光をスクライブラインに沿って相対走査させることによって、引張応力の作用によるスクライブラインから被加工物の非スクライブ面へのクラックの進展を、スクライブラインに沿って生じさせて、被加工物を分断する。
【選択図】図2

Description

本発明は、レーザ光を照射することによって被加工物を分断する装置および方法に関する。
ガラス板やサファイア基板などの硬くて脆い材料(脆性材料)を切り出す加工方法として、種々の手法が公知である。例えば、ガラス板の加工として、切り分けたい材料の端部から線状にダイヤモンドの結晶などで浅い傷(初期亀裂)を設けるいわゆる罫書きを行い、形成された初期亀裂の両側に力をかけて該初期亀裂を厚み方向に進展させて分断する方法が広く知られている。
しかしながら、係る手法の場合、分断作業に際して、罫書きの深さや力の与え方などによっては、分断面に傾きが生じたり、予想外の方向へ割れてしまったりするなどして、所望の分断精度が出ず、最悪の場合、材料全体の破損の危険性もある。
また、被加工物の端部に初期亀裂を与えておき、該端部からレーザ光による加熱走査を行うことより、亀裂を進展させて被加工物を分断する手法も広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
係る手法の場合、分断対象たる脆性材料が均質であって発生する応力場が理想的なものであるならば、亀裂進展の位置や方向などを高精度に制御できる可能性はあるが、現実には、材料の不均質性や、加熱エネルギー分布の不均一性や、加熱点の高精度な位置制御の困難さなどの点から、高精度で亀裂進展を制御することは難しい。ここでいう高精度とは、μmオーダーの精度での位置制御を想定している。
しかも、被加工物の端部では、応力分散が生じ、応力分布が均等でなくなるなどの理由から、亀裂進展制御においては、加工手順の制限や敢えて加熱点をずらす処理などが必要となる(例えば、特許文献2参照)。
また、表面に単位パターンが2次元的に配列された脆性材料を単位パターン毎の個片に(チップ単位に)切り出す場合など、互いに直交する2方向での切り出しを、レーザ割断によって行おうとする場合、ある一方向に切り出した後にそれに直交する方向に切り出しを行うことになるが、大量のチップ加工のような場合には初期亀裂の与え方などがより煩雑になる。
以上の手法の組合せとして、ダイヤモンドやビッカース圧子などによって微小な傷(初期亀裂)を硬脆性材料基板(例えばガラス、シリコン、セラミックス、サファイアなど)の端部に設けたうえで、基板裏面側にレーザ光吸収材を配置し、基板裏面に焦点を合わせたレーザ照射による局所加熱を行い、これによって生じる応力集中によって亀裂を進展させてガラスを分断する手法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
あるいは、あらかじめ被加工物の表面に、機械的にあるいはレーザ光の照射によって罫書き線やスクライブラインと称される線状の加工痕を施した後、係る加工痕に沿ってレーザ光による照射加熱を行い、該加工痕からのクラック進展を生じさせることで被加工物を分断する手法も公知である(例えば、特許文献4および特許文献5参照)。
なお、特許文献3には、罫書き線と反対側の面からレーザを照射して分断を行う態様も開示されている。
特公平3−13040号公報 特開平9−45636号公報 特開2008−62547号公報 特許第2712723号公報 特許第3036906号公報
特許文献3に開示された手法の場合、レーザ光によって直接に加熱されるのはあくまでレーザ光吸収材であり、硬脆性材料基板はあくまで、レーザ光吸収材からの熱伝導によって間接的に加熱されるのみである。それゆえ、熱伝導の均一性の確保が難しく、引張応力が意図した方向に作用するとは限らない。また、特許文献1に開示されているような従来のレーザ割断と同じく、亀裂の進展方向を制御することは難しい。従って、係る手法によって精度の良い分断を行うことは難しい。
また、特許文献4および特許文献5に具体的に開示されているのは、機械的にあるいはレーザ光により形成した加工痕に沿ってCO2レーザを照射することにより被加工物を分断する態様に過ぎず、係る分断を効率的に生じさせる手法については、必ずしも開示されてはいない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、脆性材料からなる被加工物を高精度かつ効率的に分断することができる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、被加工物を分断する加工を行う装置であって、被加工物を載置固定するステージと、第1の出射源から出射された第1のレーザ光を、前記ステージに対して相対走査させつつ前記ステージに載置固定された前記被加工物の上面であるスクライブ面に対して照射することにより、前記スクライブ面にスクライブラインを形成するスクライブ加工手段と、第2の出射源から出射された、前記被加工物の内部で吸収される第2のレーザ光を、前記ステージに対して相対走査させつつ前記スクライブラインに沿って照射することによって前記被加工物の内部を前記スクライブラインに沿って加熱する照射加熱手段と、を備え、前記照射加熱手段が、前記第2のレーザ光の照射によって前記スクライブ面を含む前記被加工物の内部であって前記スクライブラインの近傍に形成される引張応力場を、前記第2のレーザ光を前記スクライブラインに沿って相対的に走査させることによって移動させ、これによって、前記スクライブラインが前記引張応力場に位置することで生じる前記スクライブラインから前記非スクライブ面へのクラックの進展を、前記スクライブラインに沿って順次に生じさせることにより、前記被加工物を分断する、ことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の分断装置であって、前記第2のレーザ光がEr−YAGレーザもしくはNd−YAGレーザのいずれかである、ことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の分断装置であって、前記照射加熱手段が、前記第2の出射源から出射された前記第2のレーザ光の照射範囲を調整する調整機構を備え、前記調整機構によって照射範囲が調整された前記第2のレーザ光を前記スクライブ面に照射する、ことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の分断装置であって、前記第1のレーザ光がYAGレーザの3倍高調波である、ことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の分断装置であって、前記ステージが前記被加工物を保持した状態で水平面内で回転自在とされてなり、前記ステージを水平面内で回転させることによって前記ステージに載置固定された前記被加工物の水平面内における姿勢を補正するアライメント処理を行うアライメント処理手段、をさらに備え、前記アライメント処理を行った前記被加工物に対して前記スクライブ加工手段による前記スクライブラインの形成と、前記照射加熱手段による加熱とを行う、ことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の分断装置であって、前記被加工物に対して冷却流体を噴射する冷却流体供給手段、をさらに備え、前記照射加熱手段が、前記冷却流体供給手段による前記冷却流体の噴射によって前記引張応力場を冷却しつつ、前記第2のレーザ光を前記スクライブラインに沿って相対的に走査させることによって移動させる、ことを特徴とする。
請求項7の発明は、被加工物を分断する方法であって、第1の出射源から第1のレーザ光を出射させ、前記第1のレーザ光を前記被加工物のスクライブ面に対して照射することにより、前記スクライブ面にスクライブラインを形成するスクライブ加工工程と、第2の出射源から前記被加工物の内部で吸収される第2のレーザ光を出射させ、前記第2のレーザ光を前記スクライブ面の側から前記スクライブラインに沿って照射することによって前記被加工物の内部を前記スクライブラインに沿って加熱する照射加熱工程と、を備え、前記照射加熱工程においては、前記第2のレーザ光の照射によって前記スクライブ面を含む前記被加工物の内部であって前記スクライブラインの近傍に形成される引張応力場を、前記第2のレーザ光を前記スクライブラインに沿って相対的に走査させることによって移動させ、これによって、前記スクライブラインが前記引張応力場に位置することで生じる前記スクライブラインから前記非スクライブ面へのクラックの進展を、前記スクライブラインに沿って順次に生じさせることにより、前記被加工物を分断する、ことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7に記載の分断方法であって、前記第2のレーザ光がEr−YAGレーザもしくはNd−YAGレーザのいずれかである、ことを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項7または請求項8に記載の分断方法であって、前記照射加熱工程においては、前記第2の出射源から出射された前記第2のレーザ光の照射範囲を調整機構によって調整したうえで前記第2のレーザ光を前記スクライブ面に照射する、ことを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の分断方法であって、前記第1のレーザ光がYAGレーザの3倍高調波である、ことを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の分断方法であって、前記被加工物の水平面内における姿勢を補正するアライメント処理工程、をさらに備え、前記アライメント処理工程を行った前記被加工物に対して、前記スクライブ加工工程と前記照射加熱工程とを行う、ことを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の分断方法であって、前記スクライブ加工工程においては、前記第1のレーザ光の被照射位置において溶融および再固化を生じさせ、前記被照射位置を変質領域とすることによって前記スクライブラインを形成する、ことを特徴とする。
請求項13の発明は、請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の分断方法であって、前記スクライブ加工工程においては、前記第1のレーザ光の被照射位置においてアブレーションを生じさせ、前記被照射位置に溝部を形成することによって前記スクライブラインを形成する、ことを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項7ないし請求項12のいずれかに記載の分断方法であって、前記照射加熱工程を、前記引張応力場を冷却しつつ行うことを特徴とする。
請求項15の発明は、請求項14に記載の分断方法であって、前記照射加熱工程を、冷却流体の噴射によって前記引張応力場を冷却しつつ行うことを特徴とする。
請求項16の発明は、請求項7ないし請求項15のいずれかに記載の分断方法であって、前記スクライブ加工工程においては、互いに直交する第1の方向と第2の方向とにおいてそれぞれ所定のピッチにて複数のスクライブラインを形成し、前記照射加熱工程においては、前記第1の方向に延在する前記スクライブラインに沿った照射加熱を行った後、前記第2の方向に延在する前記スクライブラインに沿った照射加熱を行う、ことを特徴とする。
請求項17の発明は、請求項16に記載の分断方法であって、前記照射加熱工程においては、前記第2のレーザ光の照射ビーム径を、前記スクライブラインを形成する際のピッチ以下とする、ことを特徴とする。
請求項1ないし請求項17の発明によれば、第1のレーザ光を照射することによってあらかじめ被加工物の分断予定位置に高精度に形成されたスクライブラインに沿って第2のレーザ光を照射し、被加工物の内部を加熱することで、スクライブラインに対し引張応力を作用させ、スクライブラインから非スクライブ面へのクラックの進展をスクライブラインの延在方向に沿って順次に生じさせることで、被加工物を精度よく分断することができる。しかも、スクライブラインの形成に引き続いて、同一の装置内でレーザ加熱による引張応力の発生を行うことができるので、高精度な分断加工を効率的に行うことができる。また、従来行っていた、スクライブ加工を行う装置から分断を行うブレーカへと被加工物を載置し直す必要が無くなるので、分断加工の工程が簡略化される。
分断加工の原理を模式的に示す図である。 分断加工の途中の様子を模式的に示す図である。 分断装置100の構成を概略的に示す図である。 スクライブ用レーザ光学系20の詳細構成を示す図である。 加熱用レーザ光学系30の詳細構成を示す図である。 スクライブ面W1に加熱用レーザ光LBhが照射される構成において、引張応力場SF2を冷却する様子を示す模式図である。 スクライブ面W1に加熱用レーザ光LBhが照射される構成において、引張応力場SF2を冷却する様子を示す模式図である。 分断装置100において冷却ガスCGの噴射を実現する構成の一例を概略的に示す図である。
<加工の基本原理>
まず、本実施の形態に係る加工(分断加工)の基本原理について説明する。本実施の形態において行う分断加工は、概略、被加工物(分断対象物)Wの分断予定位置に対して第1のレーザ光(スクライブ用レーザ光)を照射することによってスクライブラインSLを形成した後、第2のレーザ光(加熱用レーザ光)の照射による加熱(レーザ加熱)を行うことで該スクライブラインSL近傍に応力場を生じさせ、これによって初期亀裂であるスクライブラインSLから亀裂(クラック)を進展させることで、被加工物を分断するというものである。
被加工物Wとしては、例えば、ガラス板やサファイア基板などの脆性材料、あるいはそれら脆性材料からなる基板の表面に薄膜層などによって単位パターンが2次元的に形成されたもの(以下、パターン付き基板)などが該当する。
図1は、分断加工の原理を模式的に示す図である。より具体的には、図1は、被加工物Wにあらかじめ形成されたスクライブラインSLに沿って加熱用レーザ光LBhを照射することにより、レーザ加熱を行う様子を示している。
なお、以降の説明においては、被加工物WにおいてスクライブラインSLが形成されている面、もしくはスクライブラインSLの形成が予定される面をスクライブ面W1と称し、該スクライブ面W1の反対面を非スクライブ面W2と称する。また、図1においては、加熱用レーザ光LBhが矢印AR1にて示す走査方向(当然ながらスクライブラインSLの延在方向でもある)を移動することによりスクライブ面W1を走査する様子を示しているが、これに代わり、加熱用レーザ光LBhがある照射位置にて固定的に照射される一方で、被加工物Wが図示しない移動手段にて移動させられることによって、加熱用レーザ光LBhによる矢印AR1方向への相対的な走査が実現される態様であってもよい。
図1に示す場合においては、被加工物Wの表面で吸収が生じる加熱用レーザ光LBhを照射する場合を例示している。なお、このような加熱用レーザ光LBhとしては、長波長レーザであるCO2レーザ(波長9.4μm〜10.6μm)がある。係る場合、加熱用レーザ光LBhが照射されると、被加工物Wのスクライブ面W1における加熱用レーザ光LBhの照射領域は加熱されて膨張し、図1に示すように圧縮応力場SF1となる。一方で、該圧縮応力場SF1の外周領域は収縮し、引張応力場SF2となる。スクライブラインSLがこの引張応力場SF2に含まれると、被加工物Wにおいては、該スクライブラインSLの側方において引張応力TSが作用する。係る引張応力TSの作用により、スクライブラインSLから非スクライブ面W2側の分断予定位置L0に向けてクラックCRが進展する。加えて、上述のように、加熱用レーザ光LBhはスクライブラインSLに沿って相対的に走査されるので、これに伴い、引張応力場SF2もスクライブラインSLに沿って移動する。すると、非スクライブ面W2側へとクラックCRが進展する箇所が、スクライブラインSLの延在方向、つまりは加熱用レーザ光LBhの走査方向に沿って遷移していくこととなる。それゆえ、加熱用レーザ光LBhを、スクライブ面W1側の分断予定位置に設けられたスクライブラインSLの一方端から他方端に至るまで照射すれば、スクライブラインSLの形成位置全体で、分断予定位置L0へのクラックCRの進展を順次に生じさせることができるので、結果として、被加工物Wを分断することができる。
ただし、図1に示すように被加工物Wの表面で吸収が生じる加熱用レーザ光LBhを用いた場合、スクライブ面W1においては加熱用レーザ光LBhの照射領域が必ず圧縮応力場SF1となる。それゆえ、加熱用レーザ光LBhの照射領域ではスクライブラインSLに対して圧縮応力CSが作用する。係る圧縮応力CSは、上述した引張応力場SF2におけるクラックCRの進展を妨げるように作用するので、図1に示す場合、クラックCRが進展するのは加熱用レーザ光LBhの照射領域の周囲に限られてしまう。
そこで、本実施の形態においては、被加工物Wの内部で吸収を生じさせる態様にて、加熱用レーザ光LBhによる照射加熱を行うようにする。図2は、本実施の形態に係る分断加工の途中の様子を模式的に示す断面図である。なお、図2においては、スクライブラインSLが溝部として形成される場合を例示しているが、後述するように、スクライブラインSLの形成態様はこれに限られるものではない(図6も同様)。
図2に示す場合、加熱用レーザ光LBhがスクライブラインSLに沿って照射される点は、図1に示す場合と同様であるが、加熱用レーザ光LBhを吸収することで加熱されて圧縮応力場SF1となるのは、被加工物Wの内部の領域である。そして、スクライブラインSLの形成されてなるスクライブ面W1を含め、当該領域の外周領域が引張応力場SF2となる。係る場合、スクライブラインSLの形成位置は引張応力場SF2のみに含まれるので、非スクライブ面W2へのクラックCRの進展が圧縮応力の作用によって妨げられることがない。それゆえ、クラックCRの進展が効率的に生じる。
また、係る態様にて被加工物Wを分断する場合、被加工物Wを正確に位置決めした上でスクライブ面W1上の所定の位置に精度良く形成されてなるスクライブラインSLを初期亀裂として、非スクライブ面W2側へとクラックCRを進展させることになる。通常、スクライブラインSLの長さに比べて被加工物Wの厚みは十分に小さく、また、加熱用レーザ光LBhによって形成される引張応力場SF2は比較的均一であるので、分断位置のずれは生じにくい。すなわち、本実施の形態においては、精度の優れた分断が可能となる。結果として、μmオーダーの精度での分断が可能となる。
なお、表面にLEDパターンが2次元的に形成されたサファイア基板であるLED製造用基板などのパターン付き基板を、単位パターン毎の個片に(チップ単位に)分断する場合など、分断予定位置が格子状に設定されている場合、互いに直交する第1の方向と第2の方向とにおいてそれぞれ複数のスクライブラインSLが順次に形成されたうえで、それぞれの方向について、順次に加熱用レーザ光LBhによる加熱が行われる。係る場合、加熱用レーザ光LBhによってある第1の方向に延在するスクライブラインSL(第1のスクライブライン)に沿ったレーザ加熱を行うと、これに直交する他のスクライブラインSL(第2のスクライブライン)との格子点近傍では、部分的に、第2の方向に延在する第2のスクライブラインにおいてもわずかに非スクライブ面W2へのクラックCRの進展は生じる。しかしながら、係る場合においても、後で第2のスクライブラインに沿ったレーザ加熱を行うことで、精度には問題のない分断が行える。
スクライブ用レーザ光には、被加工物Wの材質等に応じて適宜のパルスレーザ光を選択して用いればよい。例えば、サファイア基板や、サファイア基板を用いて作製されたパターン付き基板であるLED製造用基板が被加工物Wである場合であれば、YAGレーザの3倍高調波(波長355nm)を用いるのが好適な一例である。また、分断予定位置での分断の精度および確実性を高めるためには、スクライブラインSLはできるだけ細く形成されることが望ましいことから、スクライブ用レーザ光は数μm〜十数μm程度の照射範囲(照射ビーム径)で照射されるようにする。また、加工効率(エネルギーの利用効率)の観点から、スクライブ用レーザ光は、被加工物Wのスクライブ面W1あるいは内部のスクライブ面W1近傍(スクライブ面W1から数十μm程度までの範囲)で合焦するように照射される。なお、本実施の形態において、照射ビーム径とは、照射するレーザビームの断面のエネルギー分布がガウス分布形状であると仮定した場合に、そのエネルギー値が中心の最高値の1/e2以上である領域の直径をいう。
また、スクライブラインSLについては、スクライブ用レーザ光の被照射位置において物質を蒸発させることによって形成される断面視三角形状もしくはくさび形状の溝部がスクライブラインSLとされる態様であってもよいし、当該被照射位置において物質を溶融・再固化させる(融解改質させる)ことによって形成される断面視三角形状もしくはくさび形状の変質領域がスクライブラインSLとされる態様であってもよい。いずれの態様を取るかに応じて、スクライブ用レーザ光の照射条件(パルス幅、繰り返し周波数、ピークパワー密度、走査速度など)が定められる。また、図1ではスクライブラインSLが連続的に形成されている場合を例示しているが、スクライブラインSLの形成態様はこれに限られない。例えば、分断予定位置に沿って点線状もしくは破線状にスクライブラインSLが形成される態様であってもよい。
一方、加熱用レーザ光LBhとしては、Er−YAGレーザの基本波(波長2940nm)や、Nd−YAGレーザの基本波(波長1064nm)を用いるのが好適である。これらのレーザ光であれば、ガラスやサファイアの内部における吸収を好適に生じさせることが出来る。なお、スクライブラインSLの形成という、被加工物の加工を目的として照射するスクライブ用レーザ光とは異なり、加熱用レーザ光LBhは、被加工物を加熱することによって加熱領域に形成される圧縮応力場SF1の周囲に引張応力場SF2を形成するという目的で照射されるものである。それゆえ、被加工物を破壊や変質させないようにすることや、引張応力場SF2をなるべく広く形成させるようにするうえにおいては、加熱用レーザ光LBhの照射範囲はスクライブ用レーザ光に比べて大きくてよい。例えば、被加工物の厚みが150μmの場合では、100μm〜1000μm程度であればよい。
ただし、パターン付き基板から矩形形状のチップを切り出すような場合においては、加熱用レーザ光LBhの照射ビーム径を、チップの平面サイズ(分断予定位置のピッチとほぼ同等)と同じかそれ以下に設定する。これよりも照射ビーム径を大きくした場合、分断が良好に行われず、所定の形状のチップが得られなくなることが生じ、好ましくない。
<分断装置>
次に、上述した加工原理に基づいて被加工物の分断を行う分断装置について説明する。図3は、分断装置100の構成を概略的に示す図である。
図3に示すように、分断装置100は、ステージ部10と、スクライブ用レーザ光学系20と、加熱用レーザ光学系30と、位置読み取り光学系40とを主として備える。また、分断装置100は、例えば図示しないCPU、ROM、RAMなどからなり、スクライブ用レーザ光学系20、加熱用レーザ光学系30、および位置読み取り光学系40などとの間で種々の信号を授受することにより、各構成要素の動作を制御する制御系50を備える。なお、制御系50は他の構成要素と一体のものとして分断装置100の本体に組み込まれる態様であってもよいし、例えばパーソナルコンピュータ等で構成されて、分断装置100の本体とは別に設けられる態様であってもよい。
ステージ部10は、主として、XYステージ11と、該XYステージ11の上に設けられた加工用ステージ12とから構成される。
XYステージ11は、制御系50からの駆動制御信号sg1に基づいて、水平面内(XY平面内)の互いに直交する2つの方向(X方向、Y方向)に移動自在とされてなる。なお、XYステージ11の位置情報信号sg2は絶えず制御系にフィードバックされる。
加工用ステージ12は、その上に被加工物Wを載置固定するための部位である。加工用ステージ12は図示しない吸着機構を備えており、制御系50からの吸着制御信号sg3に基づいて吸着機構を作動させることにより、加工用ステージ12の上面12aに被加工物Wを吸着固定するように構成されている。また、加工用ステージ12は、図示しない回転駆動機構を備えており、制御系50からの回転制御信号sg4に基づいて水平面内で回転動作が行えるようにもなっている。
なお、図3においては図示を省略するが、加工用ステージ12への固定にあたっては、被加工物Wの非スクライブ面W2側(載置面側)に粘着性のフィルムを貼り付け、該フィルムともども被加工物Wを固定する態様であってもよい。
スクライブ用レーザ光学系20は、制御系50から与えられるスクライブ用レーザ制御信号sg5に基づいて、スクライブ用レーザ光を被加工物Wに対して照射する部位である。
図4は、スクライブ用レーザ光学系20の詳細構成を示す図である。図4に示すように、スクライブ用レーザ光学系20は、スクライブ用レーザ光LBsの光源(出射源)であるレーザ発振器21と、レーザ発振器21から出射されたスクライブ用レーザ光LBsの光量調整を行うためのアッテネータ22と、スクライブ用レーザ光LBsの焦点調整を行うための対物レンズ23とを主として備える。なお、上述のように、スクライブ用レーザ光LBsとしては、被加工物Wの材質等に応じたパルスレーザ光が用いられるので、レーザ発振器21は、使用するスクライブ用レーザ光LBsの種類に応じて選択されればよい。
また、スクライブ用レーザ光学系20には、スクライブ用レーザ光LBsを反射することによってスクライブ用レーザ光LBsの光路の向きを適宜に切り替えるミラー24も備わっている。なお、図4においてはミラー24が1つのみ備わる場合を例示しているが、ミラー24の数はこれには限られず、スクライブ用レーザ光学系20内部あるいはさらに分断装置100内部におけるレイアウト上の要請その他の理由から、さらに多くのミラー24が設けられ、スクライブ用レーザ光LBsの光路が適宜に設定される態様であってもよい。
より詳細には、レーザ発振器21には、スクライブ用レーザ光LBsの出射/非出射を切り替えるためのシャッター21aが設けられてなる。シャッター21aの開閉動作は、スクライブ用レーザ制御信号sg5の一種であるON/OFF制御信号sg5aに基づいて制御される。また、アッテネータ22におけるスクライブ用レーザ光LBsの光量の調整は、スクライブ用レーザ制御信号sg5の一種である出力パワー制御信号sg5bに基づいて制御される。
スクライブ用レーザ光学系20においては、レーザ発振器21から出射され、アッテネータ22によって光量が調整されたスクライブ用レーザ光LBsが、被加工物Wのスクライブ面W1あるいは内部のスクライブ面W1近傍(スクライブ面W1から数十μm程度までの範囲)で合焦するように、かつ、照射ビーム径が数μm〜十数μm程度となるように、対物レンズ23の配置位置が調整される。これにより、良好なスクライブラインSLが形成される。
加熱用レーザ光学系30は、制御系50から与えられる加熱用レーザ制御信号sg6に基づいて、加熱用レーザ光を被加工物Wに対して照射する部位である。
図5は、加熱用レーザ光学系30の詳細構成を示す図である。図5に示すように、加熱用レーザ光学系30は、加熱用レーザ光LBhの光源(出射源)であるレーザ発振器31と、レーザ発振器31から出射された加熱用レーザ光LBhの光量調整を行うためのアッテネータ32と、被加工物Wに対する加熱用レーザ光LBhの照射範囲を調整するためのビーム調整機構33と、加熱用レーザ光LBhの焦点調整を行うための対物レンズ34とを主として備える。上述のように、加熱用レーザ光LBhとしてはEr−YAGレーザもしくはNd−YAGレーザを用いるので、レーザ発振器31はいずれかのレーザの発振器である。
また、加熱用レーザ光学系30には、加熱用レーザ光LBhを反射することによって加熱用レーザ光LBhの光路の向きを適宜に切り替えるミラー35も備わっている。なお、図5においてはミラー35が1つのみ備わる場合を例示しているが、ミラー35の数はこれには限られず、加熱用レーザ光学系30内部あるいはさらに分断装置100内部におけるレイアウト上の要請その他の理由から、さらに多くのミラー35が設けられ、加熱用レーザ光LBhの光路が適宜に設定される態様であってもよい。
より詳細には、レーザ発振器31には、加熱用レーザ光LBhの出射/非出射を切り替えるためのシャッター31aが設けられてなる。シャッター31aの開閉動作は、加熱用レーザ制御信号sg6の一種であるON/OFF制御信号sg6aに基づいて制御される。また、アッテネータ32における加熱用レーザ光LBhの光量の調整は、加熱用レーザ制御信号sg6の一種である出力パワー制御信号sg6bに基づいて制御される。
また、ビーム調整機構33は、レーザ発振器31から直線的に出射された加熱用レーザ光LBhの照射範囲を調整するために備わる。ビーム調整機構33は、例えば、種々のレンズを適宜に組み合わせることによって実現され、それらのレンズの位置を調整することにより、被加工物Wに対して加熱用レーザ光LBhを適切な照射範囲で照射出来るようになっている。なお、図5においては、ビーム調整機構33による調整によって、加熱用レーザ光LBhが、レーザ発振器31から出射されたときのビーム径よりも大きな照射範囲で被加工物Wに照射される場合を例示している。
位置読み取り光学系40は、加工用ステージ12に吸着固定された被加工物Wを図示しないCCDカメラなどで撮像し、得られた撮像画像のデータを画像情報信号sg7として制御系50に与える。制御系50は、得られた画像情報信号sg7に基づいて、XYステージ11の移動範囲や、スクライブ用レーザ光LBsや加熱用レーザ光LBhの照射位置などの設定を行う。
以上のような構成を有する分断装置100においては、被加工物Wを加工用ステージ12に吸着固定させた状態でXYステージ11を移動させることにより、被加工物Wを、スクライブ用レーザ光学系20、加熱用レーザ光学系30、および位置読み取り光学系40のそれぞれに対して下方から対向配置できるようになっている。なお、係る場合において、被加工物Wは、スクライブ面W1が上面(非載置面)となるように加工用ステージ12に固定される。
そして、被加工物Wをスクライブ用レーザ光学系20と対向配置させた状態で、スクライブ用レーザ光学系20から被加工物Wに対してスクライブ用レーザ光LBsを照射しつつXYステージ11を移動させることにより、被加工物Wに対するスクライブ用レーザ光LBsの相対走査が実現される。スクライブ面W1のあらかじめ想定された分断予定位置に沿ってスクライブ用レーザ光LBsを相対的に走査させることで、スクライブラインSLを形成することが出来る。
同様に、被加工物Wを加熱用レーザ光学系30と対向配置させた状態で、加熱用レーザ光学系30から被加工物Wに対して加熱用レーザ光LBhを照射しつつXYステージ11を移動させることにより、被加工物Wに対する加熱用レーザ光LBhの相対走査が実現される。スクライブ用レーザ光LBsの照射によって形成されたスクライブラインSLに沿って加熱用レーザ光LBhを相対的に走査させることで、スクライブラインSLからクラックCRを被加工物Wの非スクライブ面W2の分断予定位置に向けて進展させ、これによって、被加工物Wを分断することが出来る。
また、分断装置100においては、被加工物Wを位置読み取り光学系40と対向配置させた状態で位置読み取り光学系40による被加工物Wの撮像を行い、得られる撮像画像データに基づいて、被加工物Wの水平面内における傾き(姿勢)を補正するアライメント動作を行うことが出来る。具体的には、制御系50が、該撮像画像データの画像内容(例えば、アライメントマークの配置位置や繰り返しパターンの配置位置など)に基づいて、被加工物Wの水平面内における傾き(XYステージ11の移動方向からの傾き)を特定し、係る傾きがキャンセルされるように、加工用ステージ12に対して回転制御信号sg4を与えて、該加工用ステージ12を回転させる。被加工物Wの水平面内における傾きを特定する主要としては、パターンマッチング法など、公知の手法を適用することが出来る。
通常の分断加工の場合は、スクライブ面W1が上面(非載置面)となるように被加工物Wが加工用ステージ12に固定された状態で、位置読み取り光学系40による撮像とその後のアライメント処理が行われた上で、スクライブ用レーザ光学系20によるスクライブラインSLの形成が行われ、さらに、加熱用レーザ光学系30において加熱用レーザ光LBhが照射されることにより、被加工物Wが分断される。
<引張応力場の冷却>
引張応力場SF2におけるクラックCRの進展をより効果的に引き起こす手法として引張応力場SF2を冷却する手法がある。
図6および図7は、スクライブ面W1に加熱用レーザ光LBhが照射される構成において、引張応力場SF2を冷却する様子を示す模式図である。図6は、スクライブラインSLの延在方向に垂直な被加工物Wの断面図であり、図7は、被加工物Wの上面図である。
図6および図7においては、加熱用レーザ光LBhによってスクライブ面W1を矢印AR1にて示す走査方向に走査する際に、形成される引張応力場SF2のうち走査方向後方の部分に対して、冷却ガスCGが噴射されている。
係る態様にて冷却を行うと、引張応力場SF2の冷却された箇所と、加熱用レーザ光LBhの照射によって加熱されてなる圧縮応力場SF1との温度差がより高くなり、引張応力場SF2における引張応力がより強められる。これにより、クラックCRの進展の確実性が高められる。結果として、被加工物Wをより精度よく分断することが出来るようになる。
なお、冷却ガスCGとしては、例えば不活性ガスなど、被加工物Wと反応しないガスを適宜に用いればよい。
図8は、図3ないし図5に示した分断装置100において冷却ガスCGの噴射を実現する構成の一例を概略的に示す図である。すなわち、図8に示す場合においては、加熱用レーザ光学系30に冷却ガスCGを噴射するためのノズル36が付設されており、冷却ガス供給源37から供給管38を通じて供給される冷却ガスCGを、加熱用レーザ光LBhの走査(相対走査)と同期させてノズル36から引張応力場SF2に向けて噴射することができるようになっている。
ただし、引張応力場SF2を冷却する態様は、以上のような冷却ガスCGの噴射によるものには限られず、被加工物との反応性や、分断装置の腐食等の問題がなければ、液体による冷却を行ってもよい。つまりは、ガスおよび液体を含む流体による冷却を行うようにしてもよい。また、固体冷媒を引張応力場SF2に近接または接触させることにて冷却を行うような態様であってもよい。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、スクライブ用レーザ光を照射することによってあらかじめ被加工物の分断予定位置に形成されたスクライブラインに沿って加熱用レーザ光を照射し、被加工物の内部を加熱することで、スクライブラインに対し引張応力を作用させ、スクライブラインから非スクライブ面へのクラックの進展をスクライブラインの延在方向に沿って順次に生じさせることで、被加工物を分断することができる。また、引張応力場を冷却することで、クラックの進展をより効率的に引き起こすことが出来る。
しかも、スクライブ用レーザ光を照射してクライブラインを形成するスクライブ加工は、高精度に加工対象位置を位置決めしたうえで行うことが可能である。それゆえ、同一の装置内で、分断予定位置に高精度にスクライブラインを形成し、これに引き続いて、レーザ加熱による引張応力の発生を行うようにすることで、高精度な分断加工を効率的に行うことが可能となる。
10 ステージ部
11 XYステージ
12 加工用ステージ
20 スクライブ用レーザ光学系
21 レーザ発振器
21a シャッター
22 アッテネータ
23 対物レンズ
24 ミラー
30 加熱用レーザ光学系
31 レーザ発振器
31a シャッター
32 アッテネータ
33 ビーム調整機構
34 対物レンズ
35 ミラー
36 ノズル
37 冷却ガス供給源
38 供給管
40 光学系
50 制御系
100 分断装置
CG 冷却ガス
CR クラック
CS 圧縮応力
L0 分断予定位置
LBh 加熱用レーザ光
LBs スクライブ用レーザ光
SF1 圧縮応力場
SF2 引張応力場
SL スクライブライン
TS 引張応力
W 被加工物
W1 (被加工物の)スクライブ面
W2 (被加工物の)非スクライブ面

Claims (17)

  1. 被加工物を分断する加工を行う装置であって、
    被加工物を載置固定するステージと、
    第1の出射源から出射された第1のレーザ光を、前記ステージに対して相対走査させつつ前記ステージに載置固定された前記被加工物の上面であるスクライブ面に対して照射することにより、前記スクライブ面にスクライブラインを形成するスクライブ加工手段と、
    第2の出射源から出射された、前記被加工物の内部で吸収される第2のレーザ光を、前記ステージに対して相対走査させつつ前記スクライブラインに沿って照射することによって前記被加工物の内部を前記スクライブラインに沿って加熱する照射加熱手段と、
    を備え、
    前記照射加熱手段が、前記第2のレーザ光の照射によって前記スクライブ面を含む前記被加工物の内部であって前記スクライブラインの近傍に形成される引張応力場を、前記第2のレーザ光を前記スクライブラインに沿って相対的に走査させることによって移動させ、これによって、前記スクライブラインが前記引張応力場に位置することで生じる前記スクライブラインから前記非スクライブ面へのクラックの進展を、前記スクライブラインに沿って順次に生じさせることにより、前記被加工物を分断する、
    ことを特徴とする分断装置。
  2. 請求項1に記載の分断装置であって、
    前記第2のレーザ光がEr−YAGレーザもしくはNd−YAGレーザのいずれかである、
    ことを特徴とする分断装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の分断装置であって、
    前記照射加熱手段が、前記第2の出射源から出射された前記第2のレーザ光の照射範囲を調整する調整機構を備え、
    前記調整機構によって照射範囲が調整された前記第2のレーザ光を前記スクライブ面に照射する、
    ことを特徴とする分断装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の分断装置であって、
    前記第1のレーザ光がYAGレーザの3倍高調波である、
    ことを特徴とする分断装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の分断装置であって、
    前記ステージが前記被加工物を保持した状態で水平面内で回転自在とされてなり、
    前記ステージを水平面内で回転させることによって前記ステージに載置固定された前記被加工物の水平面内における姿勢を補正するアライメント処理を行うアライメント処理手段、
    をさらに備え、
    前記アライメント処理を行った前記被加工物に対して前記スクライブ加工手段による前記スクライブラインの形成と、前記照射加熱手段による加熱とを行う、
    ことを特徴とする分断装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の分断装置であって、
    前記被加工物に対して冷却流体を噴射する冷却流体供給手段、
    をさらに備え、
    前記照射加熱手段が、前記冷却流体供給手段による前記冷却流体の噴射によって前記引張応力場を冷却しつつ、前記第2のレーザ光を前記スクライブラインに沿って相対的に走査させることによって移動させる、
    ことを特徴とする分断装置。
  7. 被加工物を分断する方法であって、
    第1の出射源から第1のレーザ光を出射させ、前記第1のレーザ光を前記被加工物のスクライブ面に対して照射することにより、前記スクライブ面にスクライブラインを形成するスクライブ加工工程と、
    第2の出射源から前記被加工物の内部で吸収される第2のレーザ光を出射させ、前記第2のレーザ光を前記スクライブ面の側から前記スクライブラインに沿って照射することによって前記被加工物の内部を前記スクライブラインに沿って加熱する照射加熱工程と、
    を備え、
    前記照射加熱工程においては、前記第2のレーザ光の照射によって前記スクライブ面を含む前記被加工物の内部であって前記スクライブラインの近傍に形成される引張応力場を、前記第2のレーザ光を前記スクライブラインに沿って相対的に走査させることによって移動させ、これによって、前記スクライブラインが前記引張応力場に位置することで生じる前記スクライブラインから前記非スクライブ面へのクラックの進展を、前記スクライブラインに沿って順次に生じさせることにより、前記被加工物を分断する、
    ことを特徴とする被加工物の分断方法。
  8. 請求項7に記載の分断方法であって、
    前記第2のレーザ光がEr−YAGレーザもしくはNd−YAGレーザのいずれかである、
    ことを特徴とする被加工物の分断方法。
  9. 請求項7または請求項8に記載の分断方法であって、
    前記照射加熱工程においては、前記第2の出射源から出射された前記第2のレーザ光の照射範囲を調整機構によって調整したうえで前記第2のレーザ光を前記スクライブ面に照射する、
    ことを特徴とする被加工物の分断方法。
  10. 請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の分断方法であって、
    前記第1のレーザ光がYAGレーザの3倍高調波である、
    ことを特徴とする被加工物の分断方法。
  11. 請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の分断方法であって、
    前記被加工物の水平面内における姿勢を補正するアライメント処理工程、
    をさらに備え、
    前記アライメント処理工程を行った前記被加工物に対して、前記スクライブ加工工程と前記照射加熱工程とを行う、
    ことを特徴とする被加工物の分断方法。
  12. 請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の分断方法であって、
    前記スクライブ加工工程においては、前記第1のレーザ光の被照射位置において溶融および再固化を生じさせ、前記被照射位置を変質領域とすることによって前記スクライブラインを形成する、
    ことを特徴とする被加工物の分断方法。
  13. 請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の分断方法であって、
    前記スクライブ加工工程においては、前記第1のレーザ光の被照射位置においてアブレーションを生じさせ、前記被照射位置に溝部を形成することによって前記スクライブラインを形成する、
    ことを特徴とする被加工物の分断方法。
  14. 請求項7ないし請求項12のいずれかに記載の分断方法であって、
    前記照射加熱工程を、前記引張応力場を冷却しつつ行うことを特徴とする被加工物の分断方法。
  15. 請求項14に記載の分断方法であって、
    前記照射加熱工程を、冷却流体の噴射によって前記引張応力場を冷却しつつ行うことを特徴とする被加工物の分断方法。
  16. 請求項7ないし請求項15のいずれかに記載の分断方法であって、
    前記スクライブ加工工程においては、互いに直交する第1の方向と第2の方向とにおいてそれぞれ所定のピッチにて複数のスクライブラインを形成し、
    前記照射加熱工程においては、前記第1の方向に延在する前記スクライブラインに沿った照射加熱を行った後、前記第2の方向に延在する前記スクライブラインに沿った照射加熱を行う、
    ことを特徴とする被加工物の分断方法。
  17. 請求項16に記載の分断方法であって、
    前記照射加熱工程においては、前記第2のレーザ光の照射ビーム径を、前記スクライブラインを形成する際のピッチ以下とする、
    ことを特徴とする被加工物の分断方法。
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