本発明の各実施形態を説明する前に、本発明の各実施形態に関わる技術について以下に簡単に説明する。
[物理チャネル]
EUTRAおよびAdvanced EUTRAで使用される主な物理チャネル(または物理シグナル)について説明を行なう。チャネルとは信号の送信に用いられる媒体を意味し、物理チャネルとは信号の送信に用いられる物理的な媒体を意味する。物理チャネルは、EUTRA、およびAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造やフォーマット形式が変更または追加される可能性もあるが、変更または追加された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
EUTRAおよびAdvanced EUTRAでは、物理チャネルのスケジューリングについて無線フレームを用いて管理している。1無線フレームは10msであり、1無線フレームは10サブフレームで構成される。さらに、1サブフレームは2スロットで構成される(すなわち、1スロットは0.5msである)。また、物理チャネルが配置されるスケジューリングの最小単位としてリソースブロックを用いて管理している。リソースブロックとは、周波数軸を複数サブキャリア(例えば12サブキャリア)の集合で構成される一定の周波数領域と、一定の送信時間間隔(1スロット)で構成される領域で定義される。
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(物理セルID(Physical Cell Identity; PCI))と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。移動局装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルのセルIDを特定する。
物理報知情報チャネル(PBCH; Physical Broadcast Channel)は、セル内の移動局装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報(システム情報);System information)を通知する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、物理下りリンク制御チャネルで無線リソースが通知され、物理下りリンク共用チャネルによってレイヤ3メッセージ(システムインフォメーション)で送信される。報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(CGI; Cell Global Identifier)、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(TAI; Tracking Area Identifier)、ランダムアクセス設定情報(送信タイミングタイマーなど)、共通無線リソース設定情報などが通知される。
下りリンクリファレンスシグナルは、その用途によって複数のタイプに分類される。例えば、セル固有RS(Cell-specific reference signals)は、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルであり、所定の規則に基づいて周波数領域および時間領域で周期的に繰り返される下りリンクリファレンスシグナルである。移動局装置は、セル固有RSを受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、移動局装置は、セル固有RSと同時に送信される物理下りリンク制御チャネル、または物理下りリンク共用チャネルの復調のための参照用の信号としても下りセル固有RSを使用する。セル固有RSに使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。
また、下りリンクリファレンスシグナルは下りリンクの伝搬路変動の推定にも用いられる。伝搬路変動の推定に用いられる下りリンクリファレンスシグナルのことをチャネル状態情報リファレンスシグナル(Channel State Information Reference Signals;CSI−RS)と称する。また、移動局装置毎に個別に設定される下りリンクリファレンスシグナルは、UE specific Reference Signals(URS)またはDedicated RS(DRS)と称され、物理下りリンク制御チャネル、または物理下りリンク共用チャネルの復調に用いられる。
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH; Physical Downlink Control Channel)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボルで送信され、移動局装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割り当て情報や、送信電力の増減の調整量を指示する目的で使用される。移動局装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバーコマンドなど)を送受信する前に自局宛の物理下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自局宛の物理下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクグラント、受信時には下りリンクグラント(下りリンクアサインメント)と呼ばれる無線リソース割り当て情報を物理下りリンク制御チャネルから取得する必要がある。なお、物理下りリンク制御チャネルは、上述したODFMシンボルで送信される以外に、基地局装置から移動局装置に対して個別(dedicated)に割り当てられるリソースブロックの領域で送信されるように構成することも可能である。
物理上りリンク制御チャネル(PUCCH; Physical Uplink Control Channel)は、物理下りリンク共用チャネルで送信されたデータの受信確認応答(ACK/NACK;Acknowledgement/Negative Acknowledgement)や下りリンクの伝搬路(チャネル状態)情報(CSI;Channel State Information)、上りリンクの無線リソース割り当て要求(無線リソース要求)であるスケジューリングリクエスト(SR;Scheduling Request)を行なうために使用される。CSIは、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、PTI(Precoding Type Indicator)、RI(Rank Indicator)を含む。各Indicatorは、Indicationと表記される場合もあるが、その用途と意味は同じである。
物理下りリンク共用チャネル(PDSCH; Physical Downlink Shared Channel)は、下りリンクデータの他、ページングや物理報知情報チャネルで通知されない報知情報(システムインフォメーション)をレイヤ3メッセージとして移動局装置に通知するためにも使用される。物理下りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報は、物理下りリンク制御チャネルで示される。
物理上りリンク共用チャネル(PUSCH; Physical Uplink Shared Channel)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、上りリンクデータの他、上りリンク制御情報をレイヤ3メッセージとして基地局装置に通知するためにも使用される。また、下りリンクと同様に物理上りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報は、物理下りリンク制御チャネルで示される。
上りリンクリファレンスシグナル(上りリンク参照信号;Uplink Reference Signal、上りリンクパイロット信号、上りリンクパイロットチャネルとも呼称する)は、基地局装置が、物理上りリンク制御チャネルPUCCHおよび/または物理上りリンク共用チャネルPUSCHを復調するために使用する復調参照信号(DMRS;Demodulation Reference Signal)と、基地局装置が、主に、上りリンクのチャネル状態を推定するために使用するサウンディング参照信号(SRS;Sounding Reference Signal)が含まれる。また、サウンディング参照信号には、周期的サウンディング参照信号(Periodic SRS)と非周期的サウンディング参照信号(Aperiodic SRS)とがある。
物理ランダムアクセスチャネル(PRACH; Physical Random Access Channel)は、プリアンブル系列を通知するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを有する。プリアンブル系列は、64種類のシーケンスを用意して6ビットの情報を表現するように構成されている。物理ランダムアクセスチャネルは、移動局装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。移動局装置は、物理上りリンク制御チャネル未設定時の無線リソース要求や、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報(タイミングアドバンス(Timing Advance;TA)とも呼ばれる)を基地局装置に要求するために物理ランダムアクセスチャネルを用いる。
具体的には、移動局装置は、基地局装置より設定された物理ランダムアクセスチャネル用の無線リソースを用いてプリアンブル系列を送信する。送信タイミング調整情報を受信した移動局装置は、報知情報によって共通的に設定される(またはレイヤ3メッセージで個別に設定される)送信タイミング調整情報の有効時間を計時する送信タイミングタイマーを設定し、送信タイミングタイマーの有効時間中(計時中)は送信タイミング調整状態、有効期間外(停止中)は送信タイミング非調整状態(送信タイミング未調整状態)として上りリンクの状態を管理する。レイヤ3メッセージは、移動局装置と基地局装置のRRC(無線リソース制御)層でやり取りされる制御平面(Control−plane)のメッセージであり、RRCシグナリングまたはRRCメッセージと同義の意味で使用される。なお、それ以外の物理チャネルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。
[キャリア・アグリゲーション]
キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数バンド(周波数帯)の周波数(コンポーネントキャリア、または周波数帯域)を集約(アグリゲート、aggregate)して一つの周波数(周波数帯域)のように扱う技術である。例えば、キャリア・アグリゲーションによって周波数帯域幅が20MHzのコンポーネントキャリアを5つ集約した場合、キャリア・アグリゲーションを可能な能力を持つ移動局装置はこれらを一つの100MHzの周波数帯域幅とみなしてアクセスする。なお、集約するコンポーネントキャリアは連続した周波数であっても、全てまたは一部が不連続となる周波数であってもよい。例えば、使用可能な周波数バンドが800MHz帯、2.4GHz帯、3.4GHz帯である場合、あるコンポーネントキャリアが800MHz帯、別のコンポーネントキャリアが2GHz帯、さらに別のコンポーネントキャリアが3.4GHz帯で送信されていてもよい。
また、同一周波数帯、例えば2.4GHz帯内の連続または不連続の複数のコンポーネントキャリアを集約することも可能である。各コンポーネントキャリアの周波数帯域幅は20MHzより狭い周波数帯域幅であっても良く、各々周波数帯域幅が異なっていても良い。周波数帯域幅は、後方互換性を考慮して従来のセルの周波数帯域幅のいずれかと等しいことが望ましい。基地局装置は、滞留しているデータバッファ量や移動局装置から報告されるセルの受信品質、セル内の負荷やQoSなどの種々の要因に基づいて、移動局装置に割り当てる上りリンクまたは下りリンクのコンポーネントキャリアの数を増減することができる。なお、基地局装置が移動局装置に割り当てる(設定する、追加する)上りリンクコンポーネントキャリアの数は、下りリンクコンポーネントキャリアの数と同じか少ないことが望ましい。
[通信ネットワーク構成]
図14は、本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって複数の周波数(コンポーネントキャリア、Band1〜Band3)の周波数帯域を同時に用いて基地局装置2と無線接続することが可能な場合、通信ネットワーク構成としては、ある一つの基地局装置2が複数の周波数毎に送信装置11〜13(および図示しない受信装置21〜23)を備えており、各周波数の制御を一つの基地局装置2で行なう構成が制御の簡略化の観点から好適である。基地局装置2の構成は図14に限定されない。
ただし、複数の周波数が連続する周波数であるなどの理由で、基地局装置2が一つの送信装置で複数の周波数の送信を行なう構成であっても構わない。さらには、周波数毎に送受信のタイミングが異なるような構成であっても良い。送信装置と受信装置の数や送受信可能な周波数が異なっていてもよい。基地局装置2の送信装置によって制御される各周波数の通信可能範囲はセルとしてみなされる。このとき、各周波数がカバーするエリア(セル)はそれぞれ異なる広さ、異なる形状であっても良い。また、カバーするエリアが周波数毎に異なっていてもよい。
ただし、後述する記載において、基地局装置2が構成するコンポーネントキャリアの周波数でカバーされるエリアのことをそれぞれセルと称して説明するが、これは本発明の各実施形態における移動局装置や基地局装置を実際に運用する通信システムにおけるセルの定義とは異なる可能性があることに注意する。例えば、ある通信システムでは、キャリア・アグリゲーションによって用いられるコンポーネントキャリアの一部のことを、セルではなく単なる追加の無線リソースと定義するかもしれない。また、従来のセルとは異なる拡張セルとして定義するかもしれない。本発明の各実施形態でコンポーネントキャリアをセルと称することで、実際に運用される通信システムにおけるセルの定義と異なる場合が発生したとしても、本発明の各実施形態の主旨には影響しない。
なお、キャリア・アグリゲーションは、複数のコンポーネントキャリア(周波数帯域)を用いた複数のセルによる通信であり、セル・アグリゲーションとも称される。なお、移動局装置1は、周波数毎にリレー局装置(またはリピーター)を介して基地局装置2と無線接続されても良い。すなわち、本発明の各実施形態の基地局装置2は、リレー局装置に置き換えることが出来る。
3GPPが規定する第3世代の基地局装置2はノードB(NodeB)と称され、EUTRAおよびAdvanced EUTRAにおける基地局装置はイーノードB(eNodeB)と称される。なお、3GPPが規定する第3世代の移動局装置1はユーイー(UE;User Equipment)と称される。基地局装置2は移動局装置1が通信可能なエリアであるセルを管理し、セルは移動局装置1と通信可能なエリアの大きさに応じてマクロセルやフェムトセルやピコセル、ナノセルとも称される。また、移動局装置1がある基地局装置2と通信可能であるとき、その基地局装置2のセルのうち、移動局装置1との通信に使用しているセルは在圏セル(Serving cell)であり、その他のセルは周辺セル(Neighboring cell)と称される。つまり、キャリア・アグリゲーションを用いて移動局装置1と基地局装置2が複数のセルを用いて通信している場合、移動局装置1における在圏セルは複数存在することになる。
また、各実施形態において単に移動局装置または基地局装置と称した場合、キャリア・アグリゲーションによって異なる複数の上りリンク送信タイミングを持つセルを集約した通信をサポートする移動局装置および基地局装置のことを示す。
[コンポーネントキャリア設定]
図15は、本発明の実施形態に係る移動局装置1がキャリア・アグリゲーションを行なう場合に、基地局装置2が移動局装置1に対して設定する下りリンクコンポーネントキャリアと、上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係の一例を示した図である。図15では、4個の下りリンクコンポーネントキャリア(下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC1〜DL_CC4)と3個の上りリンクコンポーネントキャリア(上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC1〜UL_CC3)の対応関係について示すが、本発明の実施形態が図15に示すコンポーネントキャリアの設定例の構成のみに限定されるということではない。
図15中の下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC1と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC1、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC2と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2、および下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC3と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC3はセル固有接続(Cell Specific Linkage)している。また、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC4のように、上りリンクコンポーネントキャリアの設定のない(セル固有接続のない)、下りリンクのみのコンポーネントキャリアをキャリア・アグリゲーションのために構成することも可能である。
セル固有接続とは、上りリンクと下りリンクのコンポーネントキャリアの対応関係(連携関係、リンク情報)であり、典型的には報知情報の一部(SIB2;System Information Block Type2)でその対応関係が示される。セル固有接続は、SIB2 linkageとも称され、報知情報の一部として設定(コンフィギュレーション)が明示的に通知されるか、キャリア・アグリゲーションにおけるコンポーネントキャリア(セル)を追加する場合に、RRCメッセージ(レイヤ3メッセージ)で対応関係の設定が通知されるか、または明示的に指示されない場合に一意に決められる上りリンクと下りリンクの規定の対応関係の情報を用いるなどして暗黙的に設定が通知される。RRCメッセージを用いる場合、基地局装置2は、設定する当該下りリンクコンポーネントキャリアの報知情報で示される上りリンクコンポーネントキャリアと異なるセル固有接続の情報を移動局装置1に通知してもよい。
これに対し、基地局装置2は、下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係を、セル固有接続とは別に移動局装置1毎に個別に設定(個別接続;UE Specific Linkage)することも可能である。このとき、個別接続の設定はRRCメッセージ(レイヤ3メッセージ)で示される。基地局装置2は、物理ランダムアクセスチャネルの送信に必要な設定(コンフィギュレーション)を上りリンクコンポーネントキャリア毎、または上りリンク周波数毎に複数割り当てることも可能である。
セル固有接続は、典型的には、移動局装置1がキャリア・アグリゲーションしていない場合に、基地局装置2との通信に用いる上りリンクと下りリンクの周波数の対応関係を示すために使用される。また、キャリア・アグリゲーション時に物理下りリンク制御チャネルによって通知される無線リソース割り当てが適用される上りリンクと下りリンクのコンポーネントキャリアの対応関係を示すために使用される。
個別接続は、典型的には、移動局装置1の上りリンクコンポーネントキャリアの送信電力制御に用いるパスロスを、どの下りリンクコンポーネントキャリアの品質を基に算出するかを示すために使用される。また、個別接続は、移動局装置1のコンポーネントキャリアのスケジューリング(無線リソース割り当て)を行う無線リソース割り当て情報を通知する物理下りリンク制御チャネルPDCCHが、どの下りリンクコンポーネントキャリアで送信されるかを示すために使用される。
無線リソース要求のための上りリンク制御チャネル設定の行われる上りリンクコンポーネントキャリアと、当該上りリンクコンポーネントキャリアとセル固有接続される下りリンクコンポーネントキャリアから構成されるセルは、プライマリセル(PCell;Primary cell)と称される。また、プライマリセル以外のコンポーネントキャリアから構成されるセルは、セカンダリセル(SCell;Secondary cell)と称される。
移動局装置1は、プライマリセルでページングメッセージの受信、報知情報の更新の検出、初期アクセス手順およびスケジューリング要求のためのランダムアクセスなどを行う一方、セカンダリセルではこれらを行わない。プライマリセルは活性化(Activation)および不活性化(Deactivation)の制御の対象外であるが(つまり必ず活性化しているとみなされる)、セカンダリセルは活性化および不活性化という状態(state)を持ち、これらの状態の変更は、基地局装置2から明示的に指定されるほか、コンポーネントキャリア毎に移動局装置1に設定されるタイマーに基づいて状態が変更される。前述したように、プライマリセルとセカンダリセルとを合わせてサービングセル(在圏セル)と称する。
セカンダリセルを識別するため、移動局装置1と基地局装置2は、プライマリセルおよびセカンダリセルに対してセルインデックスを割り振り、セルインデックスを用いることで追加、削除、変更の対象となる在圏セルを識別する。プライマリセルのセルインデックスは常に0(ゼロ)であり、セカンダリセルのセルインデックスは1〜7のいずれか一つが割り振られる。
ここで、コンポーネントキャリアの活性化または不活性化(すなわちセカンダリセルの活性化または不活性化)は、レイヤ2の構成タスクで解釈可能なL2(レイヤ2)メッセージによって制御されるように構成される。すなわち、物理層(レイヤ1)でデコードされた後にレイヤ2で認識される制御コマンドによって活性化または不活性化が制御される。なお、EUTRAならびにAdvanced EUTRAにおけるL2メッセージは、MAC層で解釈される制御コマンド(MAC制御要素;MAC Control Element)によって通知される。
移動局装置1は、不活性化されたコンポーネントキャリア(セカンダリセル)のスケジューリングに用いる上りリンクグラント、および下りリンクグラント(下りリンクアサインメント)のモニタを停止してよい。すなわち、物理下りリンク制御チャネルのモニタを停止してよい。また、移動局装置1は、不活性化されたコンポーネントキャリア(セカンダリセル)の上りリンクに関して、上りリンクリファレンスシグナルである周期的サウンディング参照信号(Periodic SRS)の送信を停止してもよい。また、移動局装置1は、不活性化されたコンポーネントキャリア(セカンダリセル)の上りリンクに関して、物理上りリンク制御チャネルの送信を停止しても良い。また、移動局装置1は、不活性化されたコンポーネントキャリア(セカンダリセル)の下りリンクに関して、活性化した状態よりも低いサンプリングレートで測定を実施してもよい。
[ランダムアクセス手順]
ランダムアクセスに関する一連の手順のことをランダムアクセス手順と称す。ランダムアクセス手順には、Contention based Random Access(競合ベースランダムアクセス)手順とNon-contention based Random Access(非競合ベースランダムアクセス)手順の2つの手順がある。
Contention based Random Access手順は、異なる移動局装置が送信したプリアンブル系列が衝突(contention)する可能性のあるランダムアクセス手順であり、移動局装置が基地局装置と接続(通信)していない状態からの初期アクセスのためや、移動局装置が基地局装置と接続している状態からの上りリンクの送信リソースを要求するスケジューリングリクエストのためなどに使用される。プリアンブル系列が衝突するということは、複数の移動局装置が同じプリアンブル系列を用いて物理ランダムアクセスチャネルを同一の周波数・時間リソースを用いて送信することを意味する。なお、プリアンブル系列の衝突は、ランダムアクセスの衝突とも称される。
Non-contention based Random Access手順は、異なる移動局装置が送信したプリアンブル系列に衝突が発生しないランダムアクセス手順であり、移動局装置が基地局装置と接続している状態であり、かつ上りリンクの同期が外れている状態で、基地局装置の指示により開始される。Non-contention based Random Access手順は、RRC(Radio Resource Control;Layer3)層のメッセージおよび物理下りリンク制御チャネルPDCCHの制御データにより開始が指示される。
Non-contention based Random Access手順で使用するプリアンブル系列(個別プリアンブル(dedicated preamble))は、基地局装置より個別に移動局装置に通知される。Contention based Random Access手順で使用されるプリアンブル系列は、個別プリアンブルとして使用されないプリアンブル系列から移動局装置がランダムアクセス時にランダムに一つ選択して使用する。あるセルで移動局装置が使用可能なプリアンブル系列のうち、Contention based Random Access手順とNon-contention based Random Access手順でそれぞれ使用されるプリアンブル系列の数は基地局装置から通知される。
図16を用いて、Contention based Random Access手順を簡単に説明する。まず、移動局装置1は、下りリンクの無線伝搬路損失(パスロス)やメッセージ3(ステップS3で送信されるメッセージ)のサイズに基づいて選択したプリアンブル系列(ランダムアクセスプリアンブル)を基地局装置2に送信する(ステップS1)。ランダムアクセスプリアンブルを受信した基地局装置2は、ランダムアクセスプリアンブルから移動局装置1と基地局装置2との間の送信タイミングのずれ量を算出し、ランダムアクセスプリアンブルに対する応答(ランダムアクセスレスポンス)に送信タイミングのずれを調整するための送信タイミング調整情報を含めて移動局装置1に送信する(ステップS2)。
移動局装置1は、ランダムアクセスレスポンスの中身を確認し、送信したランダムアクセスプリアンブルに対応するプリアンブル番号がランダムアクセスレスポンスに含まれている場合、送信タイミング調整情報から上りリンク送信タイミングを調整する。移動局装置1は、送信タイミングを調整した場合に、調整した送信タイミングが有効であることを示す送信タイミングタイマー(TA timer;TAT)をスタートする。
また、移動局装置1は、ランダムアクセスレスポンスに含まれているスケジューリング情報を元に上位レイヤ(Higher layer)のメッセージ(上位レイヤメッセージ、RRCメッセージ)を基地局装置2に送信する(ステップS3)。基地局装置2は、ステップS3の上位レイヤメッセージを受信できた移動局装置1に衝突確認メッセージ(コンテンションレゾリューション、Contention resolution)を送信し(ステップS4)、手順を完了する。
図17を用いて、Non-contention based Random Access手順を簡単に説明する。まず、基地局装置2は、個別プリアンブルの番号と使用する物理ランダムアクセスチャネルの番号(ランダムアクセスチャネル番号)を移動局装置1に通知(ランダムアクセスプリアンブル割り当て)する(ステップS11)。ランダムアクセスチャネル番号とは、基地局装置2が移動局装置1に通知した個別プリアンブル(または個別プリアンブルの番号)を用いた物理ランダムアクセスチャネルの送信を許可するサブフレームを示す番号である。例えば、あるランダムアクセスチャネル番号は全ての物理ランダムアクセスチャネルで個別プリアンブルを送信してもよいことを示し、あるランダムアクセスチャネル番号は時間方向で2個毎の物理ランダムアクセスチャネルで個別プリアンブルを送信してもよいことを示す。
ランダムアクセスプリアンブル割り当ては、基地局装置2から物理下りリンク制御チャネルまたはRRCメッセージを使用して移動局装置1に通知される。
移動局装置1は、指定されたプリアンブルの番号に対応するプリアンブル系列(個別プリアンブル)を、ランダムアクセスチャネル番号により示された個別プリアンブルの送信が許可される物理ランダムアクセスチャネルで送信する(ステップS12)。個別プリアンブルを受信した基地局装置2は、個別プリアンブルから移動局装置1と基地局装置2との間の送信タイミングのずれ量を算出し、個別プリアンブルに対する応答(ランダムアクセスレスポンス)に送信タイミングのずれを調整するための送信タイミング調整情報を含めて移動局装置1に送信し(ステップS13)、手順を完了する。
ただし、基地局装置2から通知されたプリアンブル番号の値が特定の値を示す場合(例えばゼロ)は、移動局装置1はNon-contention based Random Access手順ではなくContention based Random Access手順を行なう。この場合、移動局装置1は図16のステップS1〜ステップS4の手順に従ってランダムアクセス手順を完了する。
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の実施形態の説明において、本発明の実施形態に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の実施形態の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、移動局装置1のキャリア・アグリゲーション時における上りリンク送信制御方法に関し、特に、移動局装置1が複数の上りリンク送信タイミングを管理している場合の上りリンク送信制御方法について示す。
図1は、本発明の第1の実施形態による移動局装置1の一例を示すブロック図である。本移動局装置1は、受信部101、復調部102、復号部103、測定処理部104、制御部105、ランダムアクセス制御部106、符号部107、変調部108、送信部109、タイミング管理部110、上位レイヤ111から構成される。上位レイヤ111は、無線リソース制御を執り行うRRC(Radio Resource Control)層を含む。また、ランダムアクセス制御部106とタイミング管理部110は、データリンク層を管理するMAC(Medium Access Control)層の特定の機能を実現するブロックである。
なお、移動局装置1は、複数の周波数(周波数帯、周波数帯域幅)をサポートするために受信系のブロック(受信部101、復調部102、復号部103)、および送信系のブロック(符号部107、変調部108、送信部109)を複数備えてもよい。
受信に関し、上位レイヤ111より制御部105へ移動局装置制御情報が入力され、受信に関する制御情報が受信制御情報として、受信部101、復調部102、復号部103へ適切に入力される。移動局装置制御情報は、受信制御情報と送信制御情報によって構成される移動局装置1の無線通信制御に必要な情報であり、基地局装置2やシステムパラメータにより設定され、上位レイヤ111が必要に応じて制御部105へ入力する。また、受信制御情報は、受信周波数帯域の情報の他に、各チャネルに関する受信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
受信信号は、受信部101において受信される。受信部101は、受信制御情報で指定された周波数帯域で信号を受信する。受信された信号は、復調部102へと入力される。復調部102は、受信信号の復調を行い、復号部103へと信号を入力して下りリンクデータと下りリンク制御データとを正しく復号し、復号された各データを上位レイヤ111へと入力する。
測定処理部104は、セル(コンポーネントキャリア)毎の下りリンクリファレンスシグナルの受信品質(SIR、SINR、RSRP、RSRQ、RSSI、パスロスなど)の測定や、物理下りリンク制御チャネルまたは物理下りリンク共用チャネルの受信誤り率の測定結果に基づいて下りリンク測定情報を生成し、下りリンク測定情報を上位レイヤ111へと出力する。また、測定処理部104は、必要に応じて受信した下りリンクの物理チャネルのタイミングを測定し、その受信タイミング情報をタイミング管理部110へ入力する。下りリンク測定情報は、上位レイヤ111において、無線リンク再確立を伴う無線リンク障害(Radio link failure)の検出、および上りリンク送信の停止を伴う無線リンク監視(Radio link monitoring)の実施のために用いられる。
また、送信に関し、上位レイヤ111より制御部105へ移動局装置制御情報が入力され、送信に関する制御情報が送信制御情報として、ランダムアクセス制御部106、符号部107、変調部108、送信部109へ適切に入力される。送信制御情報は、送信信号の上りリンクスケジューリング情報として、符号化情報、変調情報、送信周波数帯域の情報、各チャネルに関する送信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
ランダムアクセス設定情報は上位レイヤ111からランダムアクセス制御部106に入力される。ランダムアクセス設定情報には、プリアンブル情報や物理ランダムアクセスチャネル送信用の無線リソース情報などが含まれる。上位レイヤ111は、必要に応じてタイミング管理部110へ上りリンク送信タイミングの調整に用いる送信タイミング調整情報と送信タイミングタイマーを設定する。タイミング管理部110は、測定処理部104から入力された受信タイミング、または上位レイヤ111から設定されたタイミング情報に基づき、セル毎(またはセルグループ毎、TAグループ毎)に上りリンク送信タイミングの状態(送信タイミング調整状態または送信タイミング非調整状態)を管理する。
複数の上りリンク送信タイミングの状態を管理する必要がある場合、上位レイヤ111は、タイミング管理部110に複数のそれぞれのセル(またはセルグループ、TAグループ)の上りリンク送信タイミングに対応する送信タイミング調整情報を設定する。
符号部107には、上位レイヤ111より上りリンクデータと上りリンク制御データが入力されるほか、ランダムアクセス制御部106から、物理ランダムアクセスチャネルの送信に関するランダムアクセスデータ情報が入力される。符号部107は、ランダムアクセスデータ情報に基づき物理ランダムアクセスチャネルで送信されるプリアンブル系列を生成する。また、符号部107は送信制御情報に従い、各データを適切に符号化し、変調部108に出力する。
変調部108は、符号部107からの出力を変調する。送信部109は、変調部108の出力を周波数領域にマッピングすると共に、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行う。さらに、タイミング管理部110より入力されたセル毎(またセルグループ毎、TAグループ毎)の送信タイミング調整情報に従って上りリンク送信タイミングを調整して送信する。上りリンク制御データが配置される物理上りリンク共用チャネルは、ユーザデータの他に、例えばレイヤ3メッセージ(無線リソース制御メッセージ;RRCメッセージ)を含めることも可能である。図1において、その他の移動局装置1の構成要素は本実施形態に特に強い関係がないため省略してあるが、移動局装置1として動作するために必要なその他の機能を有する複数のブロックを構成要素として持つことは明らかである。
図2は、本発明の第1の実施形態による基地局装置2の一例を示すブロック図である。本基地局装置は、受信部201、復調部202、復号部203、制御部204、符号部205、変調部206、送信部207、上位レイヤ208、ネットワーク信号送受信部209から構成される。なお、基地局装置2は、複数の周波数(周波数帯、周波数帯域幅)をサポートするために受信系のブロック(受信部201、復調部202、復号部203)、および送信系のブロック(符号部205、変調部206、送信部207)を複数備えてもよい。
上位レイヤ208は、下りリンクデータと下りリンク制御データを符号部205へ入力する。符号部205は、入力されたデータを符号化し、変調部206へ入力する。変調部206は、符号化した信号の変調を行なう。また、変調部206から出力される信号は送信部207に入力される。送信部207は、入力された信号を周波数領域にマッピングした後、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行い送信する。下りリンク制御データが配置される物理下りリンク共用チャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)を構成する。
また、受信部201は、移動局装置1から受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換する。移動局装置1に対して異なる複数の送信タイミングのセルを設定している場合、受信部201はセル毎(またセルグループ毎、TAグループ毎)に異なるタイミングで信号を受信する。受信部201で変換されたデジタル信号は、復調部202へ入力されて復調される。復調部202で復調された信号は続いて復号部203へ入力されて復号され、正しく復号された上りリンク制御データや上りリンクデータを上位レイヤ208へと出力する。これら各ブロックの制御に必要な基地局装置制御情報は、受信制御情報と送信制御情報によって構成される基地局装置2の無線通信制御に必要な情報であり、上位のネットワーク装置(MMEやゲートウェイ装置、OAM)やシステムパラメータにより設定され、上位レイヤ208が必要に応じて制御部204へ入力する。
制御部204は、送信に関連する基地局装置制御情報を、送信制御情報として符号部205、変調部206、送信部207の各ブロックに、受信に関連する基地局装置制御情報を、受信制御情報として受信部201、復調部202、復号部203の各ブロックに適切に入力する。基地局装置2のRRCは、上位レイヤ208の一部として存在する。
一方、ネットワーク信号送受信部209は、基地局装置2間あるいは上位のネットワーク装置と基地局装置2との間の制御メッセージ、またはユーザデータの送信(転送)または受信を行なう。図2において、その他の基地局装置2の構成要素は本実施形態に特に強い関係がないため省略してあるが、基地局装置2として動作するために必要なその他の機能を有する複数のブロックを構成要素として持つことは明らかである。
また、本移動局装置1と本基地局装置2が配置される通信システムのネットワーク構成は、図14に示したものと同様のものを適用できる。
図3は、本実施形態に係る移動局装置1と基地局装置2におけるプライマリセルの変更手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャート図の移動局装置1は、基地局装置2と少なくともプライマリセルと、プライマリセルと上りリンク送信タイミングが異なる一つ以上のセカンダリセルを介して接続されている状態(コネクティッド状態)から動作を開始する。
図3では省略してあるが、移動局装置1は、ステップS101よりも前に、RRCメッセージによって移動局装置能力通知メッセージ(UE Capability)を基地局装置2へ送信する。移動局装置能力通知メッセージは、移動局装置1のアンテナ数などの物理層に関するパラメータ、送受信可能なEUTRAにおける周波数バンド(bandEUTRA)、ランダムアクセス能力、MIMO能力、キャリア・アグリゲーション可能な周波数バンドの組み合わせ(SupportBandCombination)などの無線パラメータ(RF parameters)、測定ギャップなしに測定可能な周波数バンドを示す測定パラメータ(Measurement parameters)が少なくとも設定されており、基地局装置2は、移動局装置能力通知メッセージの内容に基づいて、移動局装置1に対して適切な通信リソース設定、測定設定、セカンダリセルを設定することが可能となる。
図4は、図3における移動局装置1と基地局装置2とのキャリア・アグリゲーション状態の一例を示したものである。コンポーネントキャリアCC1〜CC5は、異なる周波数を示す。プライマリセルPC1はコンポーネントキャリアCC1のセルである。セカンダリセルSC1はコンポーネントキャリアCC2のセルである。セカンダリセルSC2はコンポーネントキャリアCC3のセルである。セカンダリセルSC3はコンポーネントキャリアCC4のセルである。また、キャリア・アグリゲーションを構成しないセル(周辺セルNC1)は、コンポーネントキャリアCC5のセルである。
ここで、プライマリセルPC1とセカンダリセルSC1は、送信タイミンググループ1に属しており、送信タイミンググループ1における上りリンク送信タイミングを管理するためのタイマーは、送信タイミングタイマー1である。同様に、セカンダリセルSC2とセカンダリセルSC3は、送信タイミンググループ2に属しており、送信タイミンググループ2における上りリンク送信タイミングを管理するためのタイマーは、送信タイミングタイマー2である。すなわち、送信タイミンググループ1のセル(プライマリセルPC1、セカンダリセルSC1)と、送信タイミンググループ2のセル(セカンダリセルSC2、セカンダリセルSC3)とは、上りリンク送信タイミングが異なっている。
プライマリセルを含むセルで構成される送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)のことをプライマリ送信タイミンググループ(pTAG)と称する。また、セカンダリセルだけで構成される送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)のことをセカンダリ送信タイミンググループ(sTAG)と称する。セカンダリ送信タイミンググループは移動局装置1に対して複数設定されてもよい。
在圏セル(プライマリセル、セカンダリセル)がどの送信タイミンググループに属しているかを識別するために、基地局装置2は、移動局装置1に対して送信タイミンググループ識別子(TAG−ID)を在圏セルに対して設定する。送信タイミンググループ識別子(TAG−ID)は、基地局装置2からRRCメッセージで通知されることが望ましく、報知情報チャネルで共通的に通知されるか、または制御メッセージで移動局装置1毎に個別に通知される。
送信タイミンググループ識別子は、単にグループ識別子と称されてもよい。
以後の説明において、送信タイミンググループ1の送信タイミンググループ識別子としてTAG1が、送信タイミンググループ2の送信タイミンググループ識別子としてTAG2が設定されているとする。また、送信タイミンググループ1の送信タイミングタイマー1としてTAT1が、送信タイミンググループ2の送信タイミングタイマー2としてTAT2が設定されているとする。送信タイミングタイマーの長さは、全ての送信タイミンググループで共通の値でもよいし、送信タイミンググループ毎に異なる値でもよい。
なお、基地局装置2は、送信タイミンググループ識別子を移動局装置1に通知しないことによって、当該セルの送信タイミンググループ識別子としてデフォルト値(例えばゼロ)が設定されることを暗黙的に移動局装置1に通知してもよい。また、移動局装置1は、基地局装置2から送信タイミンググループ識別子が通知されない場合、当該セルの送信タイミンググループ識別子としてデフォルト値が設定されると判断してもよい。
図4において、送信タイミンググループ1における送信タイミングの基準となる参照セル(以下、タイミング参照セルと称する)はプライマリセルPC1であり、送信タイミンググループ2におけるタイミング参照セルはセカンダリセルSC2であるとする。タイミング参照セルは、当該タイミング参照セルを含む送信タイミンググループの送信タイミングの計算、調整、更新の基準となるセルであり、異なる送信タイミンググループのセルの送信タイミングとはならない。
また、キャリア・アグリゲーションを構成しないセル(周辺セルNC1)は、いずれかの送信タイミンググループに属するセル、または新規の送信タイミンググループのセル、あるいは送信タイミンググループがまだ設定されていないセルの場合があり得る。図4では、周辺セルNC1を新規の送信タイミンググループ(送信タイミンググループ3)のセルとして説明する。
タイミング参照セルは各グループに必ず一つ存在する。プライマリ送信タイミンググループにおいて、タイミング参照セルはプライマリセルである。一方、セカンダリ送信タイミンググループにおいて、タイミング参照セルはセカンダリ送信タイミンググループを構成するいずれか一つのセカンダリセルである。移動局装置1は、ランダムアクセス手順が成功したセカンダリセルをタイミング参照セルとみなしてもよいし、基地局装置2からMAC情報要素またはRRCメッセージで設定されたセカンダリセルをタイミング参照セルとみなしてもよい。
また、下りリンクリファレンスシグナルの伝搬路損失を示すパスロス(Pathloss)の計算に用いるセルをパスロス参照セルと称し、上りリンク設定の存在するセカンダリセル毎に設定される。プライマリセルのパスロス参照セルは必ずプライマリセルに設定されるが、上りリンク設定の存在するセカンダリセルのパスロス参照セルはプライマリセルまたは当該セカンダリセルのいずれか一方が設定される。ただし、セカンダリ送信タイミンググループ(sTAG)を構成するセカンダリセルのパスロス参照セルは必ず当該セカンダリセルに設定される。
以後、動作の説明のために図4のキャリア・アグリゲーション状態(セル構成)である移動局装置1と基地局装置2の制御手順について説明するが、実際の移動局装置1と基地局装置2のキャリア・アグリゲーション状態(セル構成)が図4のセル構成に限定されるわけではない。
図3に戻り、基地局装置2は、現在プライマリセルとして動作しているセル(ソースプライマリセル)の変更が必要であると判断したときに、移動局装置1に対してプライマリセル変更を指示するメッセージ(プライマリセル変更指示メッセージ)を送信する(ステップS101)。基地局装置2は、移動局装置1のプライマリセル(ソースプライマリセル)を変更する際に、移動局装置1からの測定結果の報告(Measurement Report)、各周波数の負荷状況、MBMS受信の有無を考慮してもよい。なお、指示するとは、移動局装置1に設定されている無線制御に関する制御パラメータ(情報要素;Information elements)を再設定する(reconfiguration)ことを意味している。
このとき、プライマリセル変更指示メッセージには、変更先で新規にプライマリセルとして動作するセル(ターゲットプライマリセル)を指定するセル情報(セルID、周波数ID、セルインデックスなど)、ターゲットプライマリセルで送信される報知情報(周波数帯域幅、共通無線リソース設定情報など)、ターゲットプライマリセルにアクセスするための物理チャネル設定情報やランダムアクセス設定情報などが設定される。
基地局装置2は、ランダムアクセス設定情報の一つとして個別プリアンブルを移動局装置1に対して設定することによってNon-contention based Random Access手順を開始させてもよい、また、個別プリアンブルを移動局装置1に対して設定しないことによってNon-contention based Random Access手順を開始させてもよい。
基地局装置2は、プライマリセル変更指示メッセージにセカンダリセルの設定変更情報を同時に含めることが可能である。セカンダリセルの設定変更情報とは、セカンダリセルの追加、削除、設定の変更(再設定)を指示する情報である。プライマリセル変更指示メッセージを受信した移動局装置1は、設定されているセカンダリセルを全て不活性化状態に変更する。このとき、セカンダリセルの設定変更情報によってセカンダリセルの削除が指示されている場合、移動局装置1は、指示された当該セカンダリセルを削除した後、残りのセカンダリセルを全て不活性化状態に変更する(ステップS102)。換言すれば、移動局装置1と基地局装置2は、ステップS102において、プライマリセル以外の在圏セルを全て不活性化状態に変更する。
続いて、移動局装置1はターゲットプライマリセルと現在のキャリア・アグリゲーション状態とを比較するプライマリセル再設定事前処理(ステップS103)を行うことによって、必要な制御内容(処理)を判断する。
そして、移動局装置1はステップS103で判断した制御内容(処理)に応じて、続くステップS104〜ステップS106のうち、必要な制御内容を選択し、その処理を実施する。ステップS104〜ステップS106の処理は図3に示す順番ではなく、任意の順番でも構わない。さらに、ステップS102は、ステップS103からステップS106の直後に実施されても構わない。
移動局装置1は、ステップS104で、ソースプライマリセルの送信タイミンググループ(ソースプライマリセルグループ、第1のグループとも称する)と、ターゲットプライマリセルの送信タイミンググループ(ターゲットプライマリセルグループ、第2のグループとも称する)における参照セルの再設定(リコンフィギュレーション;reconfiguration)処理を必要に応じてそれぞれ行う。
また、移動局装置1は、ステップS105で、ソースプライマリセルの送信タイミンググループ(ソースプライマリセルグループ)と、ターゲットプライマリセルの送信タイミンググループ(ターゲットプライマリセルグループ)におけるセルグループの再設定処理を行う。
また、移動局装置1は、ステップS106で、ソースプライマリセルの送信タイミンググループ(ソースプライマリセルグループ)と、ターゲットプライマリセルの送信タイミンググループ(ターゲットプライマリセルグループ)における送信タイミングタイマーの再設定処理を行う。
図5は、ステップS103におけるプライマリセル再設定事前処理の処理フローの詳細を示すフローチャート図である。移動局装置1は、ステップS201で新規に指定されたターゲットプライマリセルがどのセルであるのかをプライマリセル変更指示メッセージのセル情報(セルID、周波数IDなど)から判断する。
移動局装置1は、ステップS201において、プライマリセル変更指示メッセージで指定されたターゲットプライマリセルが、移動局装置1に設定されている送信タイミンググループのどこに属するセルであるかを確認する。このとき、移動局装置1は、ターゲットプライマリセルが属する送信タイミンググループを、(1)既存のプライマリセルグループ(ソースプライマリセルグループ)、(2)既存のセカンダリセルグループ、(3)新規の送信タイミンググループ、のどれに分類されるかを確認する。そして、ステップS202において、ステップS201で分類した送信タイミンググループに基づいて、必要な制御手順について判断する。
ターゲットプライマリセルが属する送信タイミンググループが(1)既存のプライマリセルグループである場合、移動局装置1は、セルグループ未変更時再設定処理(ステップS203)が必要であると判断する。また、ターゲットプライマリセルが属する送信タイミンググループが(2)既存のセカンダリセルグループである場合、移動局装置1は、ステップS204において、ターゲットプライマリセルが当該セカンダリセルグループにおけるタイミング参照セルであるかどうかの判定を行う。
ターゲットプライマリセルが当該セカンダリセルグループにおけるタイミング参照セルであった場合、移動局装置1は、タイミング参照セル変更時再設定処理(ステップS205)が必要であると判断する。一方、ターゲットプライマリセルが当該セカンダリセルグループにおけるタイミング参照セルではない場合、移動局装置1は、タイミング参照セル未変更時再設定処理(ステップS206)が必要であると判断する。
ターゲットプライマリセルが属する送信タイミンググループが(3)新規の送信タイミンググループである場合、移動局装置1は、新規セルグループ再設定処理(ステップS207)が必要であると判断する。そして、必要なこれらの再設定処理を判断した後に、プライマリセル再設定事前処理を完了する。
図6は、図4に示したセル構成の移動局装置1および基地局装置2のプライマリセルが変更(再設定)される場合に、変更後のプライマリセル(ターゲットプライマリセル)の送信タイミンググループに基づいて必要な再設定処理が異なることを説明するための図である。
第1のケース(図6(a))は、ターゲットプライマリセルが、変更前におけるプライマリ送信タイミンググループのセル(図4のセカンダリセルSC1)の場合であり、セルグループ未変更時再設定処理(図5のステップS203)が適用される。なお、このときのターゲットプライマリセルは、セカンダリセルに限らず未設定のセルであっても良い。
このとき、移動局装置1および基地局装置2は、セルグループ未変更時再設定処理(図5のステップS203)として、参照セル再設定(図3のステップS104)と、送信タイミングタイマー再設定(図3のステップS106)と、が必要であると判断する。
第2のケース(図6(b))は、ターゲットプライマリセルが、変更前におけるセカンダリ送信タイミンググループのタイミング参照セル(図4のセカンダリセルSC2)の場合であり、タイミング参照セル変更時再設定処理(図5のステップS205)が適用される。なお、このときのターゲットプライマリセルは、セカンダリセルに限らず未設定のセルであっても良い。
このとき、移動局装置1および基地局装置2は、タイミング参照セル変更時再設定処理(図5のステップS205)として、参照セル再設定(図3のステップS104)と、セルグループ再設定(図3のステップS105)と、送信タイミングタイマー再設定(図3のステップS106)と、が必要であると判断する。
第3のケース(図6(c))は、ターゲットプライマリセルが、変更前におけるセカンダリ送信タイミンググループのタイミング参照セル以外のセル(図4のセカンダリセルSC3)の場合であり、タイミング参照セル未変更時再設定処理(図5のステップS206)が適用される。なお、このときのターゲットプライマリセルは、セカンダリセルに限らず未設定のセルであっても良い。
このとき、移動局装置1および基地局装置2は、タイミング参照セル未変更時再設定処理(図5のステップS206)として、参照セル再設定(図3のステップS104)と、セルグループ再設定(図3のステップS105)と、送信タイミングタイマー再設定(図3のステップS106)と、が必要であると判断する。
第4のケース(図6(d))は、ターゲットプライマリセルが、変更前における新規のセカンダリ送信タイミンググループを構成するセル(図4の周辺セルNC1)の場合であり、新規セルグループ再設定処理(図5のステップS207)が適用される。
このとき、移動局装置1および基地局装置2は、新規セルグループ再設定処理(図5のステップS207)として、参照セル再設定(図3のステップS104)と、セルグループ再設定(図3のステップS105)と、送信タイミングタイマー再設定(図3のステップS106)と、が必要であると判断する。
図7は、各ケースにおける参照セル再設定の処理フローについて示したフローチャート図である。以下に、上述した第1のケースから第4のケースにおける参照セル再設定の方法についてそれぞれ説明する。
第1のケースの参照セル再設定方法について以下に説明する。
第1のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ソースプライマリセルグループ参照セル再設定を実施する(ステップS301)。具体例として、第1のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、変更前におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)を構成しているセカンダリセルに対し、タイミング参照セルの設定をリリースする。設定をリリースするとは、移動局装置1が現在の設定をリセットし、未設定の状態(not configured状態、デフォルト状態)に戻すこと、または、移動局装置1の上位レイヤ(RRCレイヤ)が現在の設定を保持しているが、該設定を下位レイヤに対して適用しないことの意味を含む。
さらに、移動局装置1および基地局装置2は、変更前におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)を構成しているセカンダリセルに関し、セカンダリセルのパスロス参照セルがプライマリセルであった場合、当該セカンダリセルのパスロス参照セルの設定をリリースする。ソースプライマリセルグループ参照セル再設定は、移動局装置1が現在の設定(コンフィグレーション)から自動的、暗黙的に実施する。すなわち、基地局装置2からの明示的な指示なく実行可能である。また、基地局装置2は、移動局装置1が現在の設定から自動的、暗黙的に上述したソースプライマリセルグループ参照セル再設定を実施したとみなすことにより、プライマリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。
また、第1のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定を実施する(ステップS302)。具体例として、第1のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)を構成しているセカンダリセルに対し、タイミング参照セルの設定をターゲットプライマリセルが参照先になるように再設定する。
タイミング参照セルをターゲットプライマリセルに再設定するタイミングは、移動局装置1がターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定(ステップS302)を実施するタイミング以外に、移動局装置1がプライマリセル再設定事前処理を実施したときでもよいし、プライマリセルランダムアクセス手順によるランダムアクセス手順が成功したと判断したときでもよい。
さらに、移動局装置1および基地局装置2は、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)を構成しているセカンダリセルに関し、セカンダリセルのパスロス参照セルがプライマリセルであった場合、ターゲットプライマリセルが参照先になるように当該セカンダリセルのパスロス参照セルを再設定する。なお、セカンダリセルのパスロス参照セルが当該セカンダリセルに設定されている場合、当該セカンダリセルのパスロス参照セルの再設定は不要である。
パスロス参照セルをターゲットプライマリセルに再設定するタイミングは、移動局装置1がターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定(ステップS302)を実施するタイミング以外に、移動局装置1がプライマリセル再設定事前処理を実施したときでもよいし、プライマリセルランダムアクセス手順によるランダムアクセス手順が成功したと判断したときでもよい。ターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定は、移動局装置1が現在の設定(コンフィグレーション)から自動的、暗黙的に実施する。すなわち、基地局装置2からの明示的な指示なく実行可能である。また、基地局装置2は、移動局装置1が現在の設定から自動的、暗黙的に上述したターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定を実施したとみなすことにより、プライマリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。
第1のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、セカンダリ送信タイミンググループのセカンダリセルに対し、タイミング参照セルおよびパスロス参照セルの再設定は行わない。
第2のケースの参照セル再設定方法について以下に説明する。
第2のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ソースプライマリセルグループ参照セル再設定を実施する(ステップS301)。具体例として、第2のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、変更前におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)を構成しているセカンダリセルに対し、タイミング参照セルの設定をリリースする。
さらに、移動局装置1および基地局装置2は、変更前におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)を構成しているセカンダリセルに関し、パスロス参照セルがプライマリセルであった場合、当該設定をリリースする。または、移動局装置1および基地局装置2は、変更前におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)を構成しているセカンダリセルに関し、セカンダリセルのパスロス参照セルがプライマリセルであった場合、当該セカンダリセルをリリースする。移動局装置1は、上述した再設定の処理に基づき、設定のリリースまたはセカンダリセルのリリースを行った場合、リリースしたことを基地局装置2へ通知してもよい。
ソースプライマリセルグループ参照セル再設定は、移動局装置1が現在の設定(コンフィグレーション)から自動的、暗黙的に実施する。すなわち、基地局装置2からの明示的な指示なく実行可能である。また、基地局装置2は、移動局装置1が現在の設定から自動的、暗黙的に上述したソースプライマリセルグループ参照セル再設定を実施したとみなすことにより、プライマリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。
また、第2のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定を実施する(ステップS302)。具体例として、第2のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)を構成しているセカンダリセルに対し、タイミング参照セルの設定をターゲットプライマリセルが参照先になるように再設定する。すなわち、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)を構成しているセカンダリセルのタイミング参照セルの設定を一旦リリースした後、タイミング参照セルの設定をターゲットプライマリセルが参照先になるように再設定する。
タイミング参照セルをターゲットプライマリセルに再設定するタイミングは、移動局装置1がターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定(ステップS302)を実施するタイミング以外に、移動局装置1がプライマリセル再設定事前処理を実施したときでもよいし、プライマリセルランダムアクセス手順によるランダムアクセス手順が成功したと判断したときでもよい。
あるいは、移動局装置1および基地局装置2は、第2のケースにおいてターゲットプライマリセルがセカンダリ送信タイミンググループのタイミング参照セルであることを利用し、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)を構成しているセカンダリセルのタイミング参照セルの再設定をスキップしてもよい。
移動局装置1および基地局装置2は、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)を構成しているセカンダリセルに関し、セカンダリセルのパスロス参照セルが当該セカンダリセルに設定されているため、パスロス参照セルの再設定は不要である。ターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定は、移動局装置1が現在の設定(コンフィグレーション)から自動的、暗黙的に実施する。すなわち、基地局装置2からの明示的な指示なく実行可能である。また、基地局装置2は、移動局装置1が現在の設定から自動的、暗黙的に上述したターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定を実施したとみなすことにより、プライマリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。
ただし、基地局装置2は、プライマリセル変更指示メッセージで明示的に再設定に必要なパラメータを通知することによって、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)を構成しているセカンダリセルのパスロス参照セルをセカンダリセルからプライマリセル(すなわち、ターゲットプライマリセル)に再設定することも可能である。この場合、移動局装置1は、基地局装置2の指示に基づいてセカンダリセルのパスロス参照セルの再設定を行う。
第2のケースにおいて2つ以上のセカンダリ送信タイミンググループが設定されている場合、移動局装置1および基地局装置2は、上述した再設定の対象外であるセカンダリ送信タイミンググループのセカンダリセルに対し、タイミング参照セルおよびパスロス参照セルの再設定は行わない。
第3のケースの参照セル再設定方法について以下に説明する。
第3のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ソースプライマリセルグループ参照セル再設定を実施する(ステップS301)。ソースプライマリセルグループ参照セル再設定で実施される具体的な処理の内容は、第2のケースと同じであるため詳細な説明を略す。
また、第3のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定を実施する(ステップS302)。具体例として、第3のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)を構成しているセカンダリセルに対し、タイミング参照セルの設定をターゲットプライマリセルが参照先になるように再設定する。すなわち、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)を構成しているセカンダリセルのタイミング参照セルの設定を一旦リリースした後、タイミング参照セルの設定をターゲットプライマリセルが参照先になるように再設定する。
タイミング参照セルをターゲットプライマリセルに再設定するタイミングは、移動局装置1がターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定(ステップS302)を実施するタイミング以外に、移動局装置1がプライマリセル再設定事前処理を実施したときでもよいし、プライマリセルランダムアクセス手順によるランダムアクセス手順が成功したと判断したときでもよい。
移動局装置1および基地局装置2は、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)を構成しているセカンダリセルに関し、セカンダリセルのパスロス参照セルが当該セカンダリセルに設定されているため、パスロス参照セルの再設定は不要である。ターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定は、移動局装置1が現在の設定(コンフィグレーション)から自動的、暗黙的に実施する。すなわち、基地局装置2からの明示的な指示なく実行可能である。また、基地局装置2は、移動局装置1が現在の設定から自動的、暗黙的に上述したターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定を実施したとみなすことにより、プライマリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。
ただし、基地局装置2は、プライマリセル変更指示メッセージで明示的に再設定に必要なパラメータを通知することによって、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)を構成しているセカンダリセルのパスロス参照セルをセカンダリセルからプライマリセル(すなわち、ターゲットプライマリセル)に再設定することも可能である。この場合、移動局装置1は、基地局装置2の指示に基づいてセカンダリセルのパスロス参照セルの再設定を行う。
第3のケースにおいて2つ以上のセカンダリ送信タイミンググループが設定されている場合、移動局装置1および基地局装置2は、上述した再設定の対象外であるセカンダリ送信タイミンググループのセカンダリセルに対し、タイミング参照セルおよびパスロス参照セルの再設定は行わない。
第4のケースの参照セル再設定方法について以下に説明する。
第4のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ソースプライマリセルグループ参照セル再設定を実施する(ステップS301)。ソースプライマリセルグループ参照セル再設定で実施される具体的な処理の内容は、第2のケースと同じであるため詳細な説明を略す。
また、第4のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ3)を構成しているセカンダリセルは、常に新規に追加されるセルであることから、ターゲットプライマリセルグループ参照セル再設定(ステップS302)は不要である。すなわち、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ3)を構成しているセカンダリセルに対し、タイミング参照セルおよびパスロス参照セルの再設定は不要である。
第4のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、セカンダリ送信タイミンググループのセカンダリセルに対し、タイミング参照セルおよびパスロス参照セルの再設定は行わない。
図8は、各ケースにおけるセルグループ再設定の処理フローについて示したフローチャート図である。以下に、上述した第2のケースから第4のケースにおけるセルグループ再設定の方法についてそれぞれ説明する。なお、第1のケースではプライマリセルの変更に伴うセルグループの変更が発生しないため、移動局装置1および基地局装置2はセルグループ再設定を行う必要はない。
第2のケースのセルグループ再設定方法について以下に説明する。
第2のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ソースプライマリセルグループ再設定を実施する(ステップS401)。具体例として、第2のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、変更前におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)に設定されている、送信タイミンググループ識別子(TAG1)を再設定する。
また、第2のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ターゲットプライマリセルグループ再設定を実施する(ステップS402)。具体例として、第2のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)に設定されている、送信タイミンググループ識別子(TAG2)を再設定する。
移動局装置1および基地局装置2が行うソースプライマリセルグループ再設定とターゲットプライマリセルグループ再設定の方法として、(A)変更前のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子と変更後のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子とを入れ替える、(B)基地局装置2から通知された送信タイミンググループ識別子を新たに設定する、(C)送信タイミンググループに属する在圏セルのうち最も小さいセルインデックスの値を送信タイミンググループ識別子として設定する、方法が考えられる。
移動局装置1は、基地局装置2からの指示に基づいて(A)〜(C)の方法を切り替えて使用してもよい。例えば、移動局装置1は基地局装置2からの指示がない場合は方法(A)または方法(C)を適用し、指示があった場合は方法(B)を適用してもよい。また、例えば、移動局装置1は方法(A)または方法(C)を適用した後、基地局装置2から指示があった場合に更に方法(B)を適用してもよい。
方法(A)の場合、移動局装置1および基地局装置2は、変更前のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子と変更後のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子とを入れ替える。例えば、変更前のプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)が送信タイミンググループ識別子(TAG1)であり、変更後のプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)が送信タイミンググループ識別子(TAG2)であった場合、送信タイミンググループ1の送信タイミンググループ識別子はTAG1からTAG2に再設定され、送信タイミンググループ2の送信タイミンググループ識別子はTAG2からTAG1に再設定される。
セルグループ再設定方法の方法(A)は、移動局装置1が現在の設定(コンフィグレーション)から自動的、暗黙的に実施する。すなわち、基地局装置2からの明示的な指示なく実行可能である。また、基地局装置2は、移動局装置1が現在の設定から自動的、暗黙的に上述したセルグループ再設定の方法(A)を実施したとみなすことにより、プライマリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。
方法(B)の場合、基地局装置2は、変更前のプライマリ送信タイミンググループ、変更後のプライマリ送信タイミンググループ、または変更前のプライマリ送信タイミンググループと変更後のプライマリ送信タイミンググループの両方、の送信タイミンググループ識別子を移動局装置1に対して通知する。移動局装置1は、変更前のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子が通知された場合、変更前のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子を再設定し、変更後のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子が通知された場合、変更後のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子を再設定する。
例えば、変更前のプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)の送信タイミンググループ識別子(TAG1)に対し、新規の送信タイミンググループ識別子(TAG3)が通知された場合、送信タイミンググループ1の送信タイミンググループ識別子はTAG1からTAG3に再設定される。同様に、変更後のプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)の送信タイミンググループ識別子(TAG2)に対し、新規の送信タイミンググループ識別子(TAG4)が通知された場合、送信タイミンググループ2の送信タイミンググループ識別子はTAG2からTAG4に再設定される。
移動局装置1は、基地局装置2から新規の送信タイミンググループ識別子が通知された送信タイミンググループに対してのみ上述したセルグループ再設定(変更)を実施し、基地局装置2から新規の送信タイミンググループ識別子が通知されなかった送信タイミンググループに対しては送信タイミンググループ識別子の再設定(変更)を行わずに今の送信タイミンググループ識別子をそのまま引き継いで使用してもよい。あるいは、移動局装置1および基地局装置2は、プライマリセルの変更に伴う送信タイミンググループ識別子の再設定(変更)が実施されてないとして、今の設定を必ず引き継いで使用するとみなしてもよい。
方法(C)の場合、移動局装置1および基地局装置2は、送信タイミンググループに属する在圏セルのうち最も小さいセルインデックスの値を送信タイミンググループ識別子として設定する。在圏セルは不活性化状態であってもよい。例えば、変更前のプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)を構成している在圏セルが、プライマリセル(セルインデックス値:0)、セカンダリセル1(セルインデックス値:2)、セカンダリセル2(セルインデックス値:3)であり、変更後のプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)を構成している在圏セルが、セカンダリセル3(セルインデックス値:1)、セカンダリセル4(セルインデックス値:6)であるセル構成を考える。
また、送信タイミンググループ1の送信タイミンググループ識別子はTAG0(ゼロ)、送信タイミンググループ2の送信タイミンググループ識別子はTAG1に設定されているとする。このとき、プライマリセルが変更され、ターゲットプライマリセルがセカンダリセル4であった場合、送信タイミンググループ1において最も小さいセルインデックスの値を持つ在圏セルはセカンダリセル1(セルインデックス値:2)となるため、送信タイミンググループ1の送信タイミンググループ識別子はTAG0からTAG2に再設定される。一方、変更後のプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)を構成している在圏セルで最も小さいセルインデックスの値を持つ在圏セルはプライマリセル(セルインデックス値:0)となるため、送信タイミンググループ2の送信タイミンググループ識別子はTAG1からTAG0に再設定される。
セルグループ再設定方法の方法(C)は、移動局装置1が現在の設定(コンフィグレーション)から自動的、暗黙的に実施する。すなわち、基地局装置2からの明示的な指示なく実行可能である。また、基地局装置2は、移動局装置1が現在の設定から自動的、暗黙的に上述したセルグループ再設定の方法(C)を実施したとみなすことにより、プライマリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。なお、このとき用いるセルインデックスの値は、送信タイミンググループに属する在圏セルのうち最大のセルインデックスの値であってもよい。
第3のケースのセルグループ再設定方法について以下に説明する。
第3のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ソースプライマリセルグループ再設定(ステップS401)と、ターゲットプライマリセルグループ再設定(ステップS402)とをそれぞれ実施する。ソースプライマリセルグループ再設定およびターゲットプライマリセルグループ再設定で実施される具体的な処理の内容は、第2のケースと同じであるため詳細な説明を略す。
第4のケースのセルグループ再設定方法について以下に説明する。
第4のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ソースプライマリセルグループ再設定を実施する(ステップS401)。具体例として、第4のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、変更前におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)に設定されている、送信タイミンググループ識別子(TAG1)を再設定する。
また、第4のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ターゲットプライマリセルグループ再設定を実施する(ステップS402)。具体例として、第4のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ3)に対して新規の送信タイミンググループ識別子を再設定する。
ソースプライマリセルグループ再設定とターゲットプライマリセルグループ再設定の方法として、(A)変更前のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子と変更後のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子とを入れ替える、(B)基地局装置2から通知された送信タイミンググループ識別子を新たに設定する、(C)送信タイミンググループに属する在圏セルのうち最も小さいセルインデックスの値を送信タイミンググループ識別子として設定する、方法が考えられる。
移動局装置1は、基地局装置2からの指示に基づいて(A)〜(C)の方法を切り替えて使用してもよい。例えば、移動局装置1は基地局装置2からの指示がない場合は方法(A)または方法(C)を適用し、指示があった場合は方法(B)を適用してもよい。また、例えば、移動局装置1は方法(A)または方法(C)を適用した後、基地局装置2から指示があった場合に更に方法(B)を適用してもよい。
方法(A)の場合、変更前のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子の再設定が第2のケースと異なる。例えば、変更前のプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)が送信タイミンググループ識別子(TAG1)であった場合、変更後のプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ3)の送信タイミンググループ識別子はTAG1に再設定される。一方、送信タイミンググループ3は新規に設定される送信タイミンググループであるため、変更前の送信タイミンググループ識別子を持たない。
そのため、第4のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、以下のいずれかの方法を用いて送信タイミンググループ1の送信タイミンググループ識別子(TAG1)の再設定を行う。変更前のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子の再設定の方法として、(A1)未使用の送信タイミンググループ識別子のうち番号が最も小さい値を選択して再設定する、(A2)当該送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子の設定をリリースする、方法が考えられる。
方法(A1)の場合、移動局装置1および基地局装置2は、変更前のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子に対し、未使用の送信タイミンググループ識別子のうち番号が最も小さい値を選択して再設定する。例えば、送信タイミンググループ識別子(TAG−ID)として、0、1、3が使用されていた場合(すなわち、移動局装置1に対して3つの異なる送信タイミンググループ(TAG0、TAG1、TAG3)が設定されている)、変更前のプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)に再設定される送信タイミンググループ識別子はTAG2となる。
セルグループ再設定方法の方法(A1)は、移動局装置1が現在の設定(コンフィグレーション)から自動的、暗黙的に実施する。すなわち、基地局装置2からの明示的な指示なく実行可能である。また、基地局装置2は、移動局装置1が現在の設定から自動的、暗黙的に上述したセルグループ再設定の方法(A1)を実施したとみなすことにより、プライマリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。なお、このとき用いる送信タイミンググループ識別子の値は、未使用の最大の送信タイミンググループ識別子のうち番号が最も大きい値であってもよい。
方法(A2)の場合、移動局装置1および基地局装置2は、変更前のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子に対し、当該送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子の設定をリリースする。例えば、変更前のプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)の送信タイミンググループ識別子は未設定となる。または、変更前のプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)の送信タイミンググループ識別子はデフォルト値である。移動局装置1および基地局装置2は、デフォルト値として、送信タイミンググループ識別子が未設定を意味する特別な値(例えばTAG8)が再設定されるとみなしてもよい。
セルグループ再設定方法の方法(A2)は、移動局装置1が現在の設定(コンフィグレーション)から自動的、暗黙的に実施する。すなわち、基地局装置2からの明示的な指示なく実行可能である。また、基地局装置2は、移動局装置1が現在の設定から自動的、暗黙的に上述したセルグループ再設定の方法(A2)を実施したとみなすことにより、プライマリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。
方法(B)の場合、具体的な処理の内容は、第2のケースのセルグループ再設定方法で示したセルグループ再設定方法の方法(B)と同じであるため詳細な説明を略す。
方法(C)の場合、具体的な処理の内容は、第2のケースのセルグループ再設定方法で示したセルグループ再設定方法の方法(C)と同じであるため詳細な説明を略す。
図9は、各ケースにおける送信タイミングタイマー再設定の処理フローについて示したフローチャート図である。以下に、上述した第1のケースから第4のケースにおけるセルグループ再設定の方法についてそれぞれ説明する。
第1のケースの送信タイミングタイマー再設定方法について以下に説明する。
第1のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ソースプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定を実施する(ステップS501)。具体例として、第1のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、変更前におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)に設定されている、送信タイミングタイマー(送信タイミングタイマー1、TAT1)を再設定する。
移動局装置1および基地局装置2は、変更前におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ1)の送信タイミングタイマー(送信タイミングタイマー1、TAT1)を停止、または、送信タイミングタイマー(送信タイミングタイマー1、TAT1)の設定をリリースする。送信タイミングタイマーを停止するとは、移動局装置1の上位レイヤ(RRCレイヤ)が現在の設定を保持しているが、送信タイミングタイマーが現在の値のまま計時されないこと、または、送信タイミングタイマーをリセットし、計時を開始する前の状態に戻すことの意味を含む。
変更前におけるプライマリ送信タイミンググループの送信タイミングタイマーを再設定するタイミングは、移動局装置1がソースプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定(ステップS501)を実施するタイミング以外に、移動局装置1がプライマリセル再設定事前処理を実施したときでもよいし、プライマリセルランダムアクセス手順によるランダムアクセス手順が成功したと判断したときでもよい。
ソースプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定は、移動局装置1が現在の設定(コンフィグレーション)から自動的、暗黙的に実施する。すなわち、基地局装置2からの明示的な指示なく実行可能である。また、基地局装置2は、移動局装置1が現在の設定から自動的、暗黙的に上述したソースプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定を実施したとみなすことにより、プライマリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。
なお、第1のケースではプライマリセルの変更に伴うセルグループの変更が発生しないため、移動局装置1および基地局装置2は、ターゲットプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定(ステップS502)を実施する必要はない。また、第1のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、セカンダリ送信タイミンググループのセカンダリセルに対し、送信タイミングタイマーの再設定は行わない。
第2のケースの送信タイミングタイマー再設定方法について以下に説明する。
第2のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ソースプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定を実施する(ステップS501)。ソースプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定で実施される具体的な処理の内容は、第1のケースと同じであるため詳細な説明を略す。
また、第2のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ターゲットプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定を実施する(ステップS502)。具体例として、第2のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)に設定されている、送信タイミングタイマー(送信タイミングタイマー2、TAT2)を再設定する。
移動局装置1および基地局装置2は、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)の送信タイミングタイマー(送信タイミングタイマー2、TAT2)を停止、または、送信タイミングタイマー(送信タイミングタイマー2、TAT2)の設定をリリースする。送信タイミングタイマーを停止するとは、移動局装置1の上位レイヤ(RRCレイヤ)が現在の設定を保持しているが、送信タイミングタイマーが現在の値のまま計時されないこと、または、送信タイミングタイマーをリセットし、計時を開始する前の状態に戻すことの意味を含む。
変更後におけるプライマリ送信タイミンググループの送信タイミングタイマーを再設定するタイミングは、移動局装置1がターゲットプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定(ステップS502)を実施するタイミング以外に、移動局装置1がプライマリセル再設定事前処理を実施したときでもよいし、プライマリセルランダムアクセス手順によるランダムアクセス手順が成功したと判断したときでもよい。
ターゲットプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定は、移動局装置1が現在の設定(コンフィグレーション)から自動的、暗黙的に実施する。すなわち、基地局装置2からの明示的な指示なく実行可能である。また、基地局装置2は、移動局装置1が現在の設定から自動的、暗黙的に上述したターゲットプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定を実施したとみなすことにより、プライマリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。すなわち、基地局装置2は、プライマリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。
第2のケースにおいて2つ以上のセカンダリ送信タイミンググループが設定されている場合、移動局装置1および基地局装置2は、上述した再設定の対象外であるセカンダリ送信タイミンググループのセカンダリセルに対し、送信タイミングタイマーの再設定は行わない。
第3のケースの送信タイミングタイマー再設定方法について以下に説明する。
第3のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ソースプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定(ステップS501)と、ターゲットプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定(ステップS502)とをそれぞれ実施する。ソースプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定で実施される具体的な処理の内容は、第1のケースと同じであるため詳細な説明を略す。また、ターゲットプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定で実施される具体的な処理の内容は、第2のケースと同じであるため詳細な説明を略す。
第3のケースにおいて2つ以上のセカンダリ送信タイミンググループが設定されている場合、移動局装置1および基地局装置2は、上述した再設定の対象外であるセカンダリ送信タイミンググループのセカンダリセルに対し、送信タイミングタイマーの再設定は行わない。
第4のケースの送信タイミングタイマー再設定方法について以下に説明する。
第4のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、ソースプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定(ステップS501)を実施する。ソースプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定で実施される具体的な処理の内容は、第1のケースと同じであるため詳細な説明を略す。
また、第4のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ3)の送信タイミングタイマー(送信タイミングタイマー3、TAT3とする)は常に新規に設定されるため、変更後におけるプライマリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ3)におけるターゲットプライマリセルグループ送信タイミングタイマー再設定(ステップS502)は不要である。
また、第4のケースにおいて、移動局装置1および基地局装置2は、セカンダリ送信タイミンググループのセカンダリセルに対し、送信タイミングタイマーの再設定は行わない。
図3に戻り、移動局装置1は、プライマリセルランダムアクセス手順(ステップS107)を実施する。プライマリセルランダム手順は、基地局装置2で指示されたターゲットプライマリセルにおいて、ランダムアクセス設定情報に従ってランダムアクセス手順を実行する。ランダムアクセス手順がContention based Random Access手順であれば、移動局装置1と基地局装置2は、図16の手順を用いる。一方、ランダムアクセス手順がNon-contention based Random Access手順であれば、移動局装置1と基地局装置2は、図17の手順を用いる。そして、プライマリセルランダムアクセス手順が正常に完了した移動局装置1は、基地局装置2に対してプライマリセル変更の指示が完了したことを報告するRRCメッセージ(プライマリセル変更完了メッセージ)を送信する(ステップS108)。
図3における各制御メッセージは、EUTRAで既存のRRCメッセージを再利用しても良い。例えば、プライマリセル変更指示メッセージはRRC Connection Reconfigurationメッセージ、プライマリセル変更完了メッセージはRRC Connection Reconfiguration Completeメッセージにそれぞれ必要なパラメータを追加して再利用してもよい。
このように、第1の実施形態によれば、移動局装置1と基地局装置2は、それぞれの上りリンク送信タイミングのグループ毎に効率的に上りリンク送信タイミングを制御することが可能となる。
本実施形態の移動局装置1は、基地局装置2からプライマリセルの変更が指示された場合、ターゲットプライマリセルが属する送信タイミンググループに基づいて、変更前と変更後のプライマリ送信グループの在圏セルの参照セルを効率的に再設定することができる。また、ターゲットプライマリセルが属する送信タイミンググループに基づいて、変更前と変更前のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子を効率的に再設定することができる。また、ターゲットプライマリセルが属する送信タイミンググループに基づいて、変更前と変更後のプライマリ送信タイミンググループに関する送信タイミングタイマーを効率的に再設定することができる。
このように、移動局装置1は、変更前と変更後のプライマリ送信タイミンググループにおける参照セル、送信タイミンググループ識別子、送信タイミングタイマーを効率的に再設定することが可能となり、制御が簡略化されると共に、無線リソースの利用効率が向上する。
また、本実施形態の基地局装置2は、移動局装置1に対してプライマリセルの変更を指示する場合、ターゲットプライマリセルが属する送信タイミンググループに基づいて、変更前と変更後のプライマリ送信グループの在圏セルの参照セルを移動局装置1毎に効率的に再設定することができる。また、ターゲットプライマリセルが属する送信タイミンググループに基づいて、変更前と変更前のプライマリ送信タイミンググループの送信タイミンググループ識別子を効率的に再設定することができる。また、ターゲットプライマリセルが属する送信タイミンググループに基づいて、変更前と変更後のプライマリ送信タイミンググループに関する送信タイミングタイマーを効率的に再設定することができる。
このように、基地局装置2は、変更前と変更後のプライマリ送信タイミンググループにおける参照セル、送信タイミンググループ識別子、送信タイミングタイマーを移動局装置1毎に効率的に再設定させることが可能となると共に、再設定に必要な制御パラメータを削減することが可能となり、無線リソースの利用効率が向上する。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。第1の実施形態では、移動局装置1のプライマリセルを変更した場合について例示したが、第2の実施形態は、他のセルから送信タイミングの参照セルであるセカンダリセルが変更された場合における上りリンク送信制御方法について示す。本実施形態に用いる移動局装置1と基地局装置2の構成は、それぞれ図1と図2と同じ構成で良いため説明を省略する。また、本移動局装置1と本基地局装置2が配置される通信システムのネットワーク構成は、図14に示したものと同様のものを適用できる。
図10は、本実施形態に係る移動局装置1と基地局装置2におけるプライマリセルの変更手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャート図の移動局装置1は、基地局装置2と少なくともプライマリセルと、プライマリセルと上りリンク送信タイミングが異なる一つ以上のセカンダリセルを介して接続されている状態(コネクティッド状態)から動作を開始する。
図10のシーケンスチャート開始時における移動局装置1と基地局装置2とのキャリア・アグリゲーション状態の一例として、図4に示したものと同じものを用いる。
基地局装置2は、現在セカンダリセルとして動作しているセルの変更が必要であると判断したときに、移動局装置1に対してセカンダリセル変更を指示するメッセージ(セカンダリセル変更指示メッセージ)を送信する(ステップS601)。基地局装置2は、移動局装置1のセカンダリセルを変更する際に、移動局装置1からの測定結果の報告(Measurement Report)、各周波数の負荷状況、MBMS受信の有無を考慮してもよい。
基地局装置2は、セカンダリセル変更指示メッセージにセカンダリセルの設定変更情報を含めて移動局装置1に送信する。セカンダリセルの設定変更情報とは、セカンダリセルの追加、削除、設定の変更(再設定)を指示する情報である。セカンダリセル変更指示メッセージを受信した移動局装置1は、設定変更の対象となるセカンダリセル(ターゲットセカンダリセル)と、必要な制御内容(処理)を判断するため、セカンダリセル再設定事前処理を実施する(ステップS602)。
そして、移動局装置1はステップS602で判断した制御内容(処理)に応じて、続くステップS603とステップS604のうち、必要な制御内容を選択し、その処理を実施する。ステップS603とステップS604の処理は図10に示す順番ではなく、任意の順番でも構わない。
移動局装置1は、ステップS603で、ターゲットセカンダリセルが属する送信タイミンググループ(ターゲットセカンダリセルグループ)における参照セルの再設定(リコンフィギュレーション;reconfiguration)処理を必要に応じてそれぞれ行う。
また、移動局装置1は、ステップS604で、ターゲットセカンダリセルが属する送信タイミンググループ(ターゲットセカンダリセルグループ)における送信タイミングタイマーの再設定処理を行う。
図11は、ステップS602におけるセカンダリセル再設定事前処理の処理フローの詳細を示すフローチャート図である。移動局装置1は、ステップS701で再設定が指示されたターゲットセカンダリセルがどのセルであるのかをセカンダリセル変更指示メッセージのセル情報(セルインデックスなど)から判断する。
移動局装置1は、ステップS701において、セカンダリセル変更指示メッセージで指定されたターゲットセカンダリセルが、当該ターゲットセカンダリセルグループのタイミング参照セルであるか否か、および当該セカンダリセルの削除が指示されているか否かを確認する。そして、ステップS702において、ステップS701で確認したタイミング参照セルか否かの判断に基づいて、必要な制御手順について判断する。セカンダリセルの削除とは、移動局装置1と基地局装置2とが当該セカンダリセルに関する設定をリリースし、当該セカンダリセルを用いたキャリア・アグリゲーションを実施しない状態に設定を変更することを意味する。
ターゲットセカンダリセルが当該ターゲットセカンダリセルグループのタイミング参照セルおよび当該セカンダリセルの削除が指示されている場合(例えば、図4のセカンダリセルSC2の削除が指示されている場合)、移動局装置1は、タイミング参照セル変更時再設定処理(ステップS703)が必要であると判断する。一方、ターゲットセカンダリセルが属する当該ターゲットセカンダリセルグループのタイミング参照セルでない場合(例えば、図4のセカンダリセルSC1、セカンダリセルSC3の削除が指示されている場合)、または、ターゲットセカンダリセルが当該ターゲットセカンダリセルグループのタイミング参照セルであるが当該セカンダリセルの削除が指示されていない場合(例えば、図4のセカンダリセルSC2の変更が指示されている場合など)、移動局装置1は、当該ターゲットセルの変更に伴う特別な制御は不要であると判断する。そして、必要なこれらの再設定処理を判断した後に、セカンダリセル再設定事前処理を完了する。
このとき、移動局装置1および基地局装置2は、タイミング参照セル変更時再設定処理(ステップS703)として、参照セル再設定(ステップS603)と送信タイミングタイマー再設定(ステップS604)と、が必要であると判断する。
図12は、タイミング参照セル変更時再設定処理が必要な場合における参照セル再設定の処理フローについて示したフローチャート図である。
移動局装置1および基地局装置2は、セカンダリセルグループ参照セル再設定を実施する(ステップS801)。具体例として、移動局装置1および基地局装置2は、参照セルが削除されるセカンダリ送信タイミンググループを構成している残りすべてのセカンダリセル(図4の例では、送信タイミンググループ2のセカンダリセルSC3が該当する)に対し、タイミング参照セルの設定をリリースする。設定をリリースするとは、移動局装置1が現在の設定をリセットし、未設定の状態(not configured状態、デフォルト状態)に戻すこと、または、移動局装置1の上位レイヤ(RRCレイヤ)が現在の設定を保持しているが、該設定を下位レイヤに対して適用しないことの意味を含む。
または、移動局装置1および基地局装置2は、参照セルが削除されるセカンダリ送信タイミンググループを構成している残りすべてのセカンダリセルに対し、当該セカンダリセルをリリースする。なお、移動局装置1は、上述した再設定の処理に基づき、設定のリリースまたはセカンダリセルのリリースを行った場合、リリースしたことを基地局装置2へ通知してもよい。または、移動局装置1および基地局装置2は、参照セルが削除されるセカンダリ送信タイミンググループを構成している残りすべてのセカンダリセルに対し、当該セカンダリセルを不活性化の状態に変更する。
タイミング参照セルを再設定するタイミングは、移動局装置1がセカンダリセルグループ参照セル再設定(ステップS801)を実施するタイミング以外に、移動局装置1がセカンダリセル再設定事前処理を実施したときでもよい。セカンダリセルグループ参照セル再設定は、移動局装置1が現在の設定(コンフィグレーション)から自動的、暗黙的に実施する。すなわち、基地局装置2からの明示的な指示なく実行可能である。また、基地局装置2は、移動局装置1が現在の設定から自動的、暗黙的に上述したセカンダリセルグループ参照セル再設定を実施したとみなすことにより、セカンダリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。
図13は、タイミング参照セル変更時再設定処理が必要な場合における送信タイミングタイマー再設定の処理フローについて示したフローチャート図である。
移動局装置1および基地局装置2は、セカンダリセルグループ送信タイミングタイマー再設定を実施する(ステップS901)。具体例として、移動局装置1および基地局装置2は、参照セルが削除されるセカンダリ送信タイミンググループ(送信タイミンググループ2)の、送信タイミングタイマー(送信タイミングタイマー2、TAT2)を停止、または、送信タイミングタイマー(送信タイミングタイマー2、TAT2)の設定をリリースする。送信タイミングタイマーを停止するとは、移動局装置1の上位レイヤ(RRCレイヤ)が現在の設定を保持しているが、送信タイミングタイマーが現在の値のまま計時されないこと、または、送信タイミングタイマーをリセットし、計時を開始する前の状態に戻すことの意味を含む。
変更後におけるセカンダリ送信タイミンググループの送信タイミングタイマーを再設定するタイミングは、移動局装置1がセカンダリセルグループ送信タイミングタイマー(ステップS901)を実施するタイミング以外に、移動局装置1がセカンダリセル再設定事前処理を実施したときでもよい。
セカンダリセルグループ送信タイミングタイマー再設定は、移動局装置1が現在の設定(コンフィグレーション)から自動的、暗黙的に実施する。すなわち、基地局装置2からの明示的な指示なく実行可能である。また、基地局装置2は、移動局装置1が現在の設定から自動的、暗黙的に上述したセカンダリセルグループ送信タイミングタイマー再設定を実施したとみなすことにより、セカンダリセル変更指示メッセージに必要な制御パラメータを削減することが可能となる。
なお、移動局装置1は、送信タイミングタイマー再設定のみを実施し、セカンダリセルグループ参照セル再設定を実施しなくてもよい。
図10における各制御メッセージは、EUTRAで既存のRRCメッセージを再利用しても良い。例えば、セカンダリセル変更指示メッセージはRRC Connection Reconfigurationメッセージ、セカンダリセル変更完了メッセージはRRC Connection Reconfiguration Completeメッセージにそれぞれ必要なパラメータを追加して再利用してもよい。
このように、第2の実施形態によれば、移動局装置1と基地局装置2は、それぞれの上りリンク送信タイミングのグループ毎に効率的に上りリンク送信タイミングを制御することが可能となるため、上りリンク送信制御に関する無線リソース管理が非効率になるという問題を解決できる。
本実施形態の移動局装置1は、基地局装置2からセカンダリセルの再設定としてセカンダリセルの削除が指示された場合、ターゲットセカンダリセルがセカンダリ送信タイミンググループの参照セルか否かに基づいて、当該セカンダリ送信タイミンググループの残りすべてのセカンダリセルの参照セルを効率的に再設定することができる。また、ターゲットセカンダリセルが属する送信タイミンググループに基づいて、セカンダリ送信タイミンググループの送信タイミングタイマーを効率的に再設定することができる。
このように、移動局装置1は、セカンダリ送信タイミンググループにおける参照セル、送信タイミングタイマーを効率的に再設定することが可能となり、制御が簡略化されると共に、無線リソースの利用効率が向上する。
また、本実施形態の基地局装置2は、移動局装置1に対してセカンダリセルの変更としてセカンダリセルの削除を指示する場合、ターゲットセカンダリセルがセカンダリ送信タイミンググループの参照セルか否かに基づいて、当該セカンダリ送信タイミンググループの残りすべてのセカンダリセルの参照セルを効率的に再設定することができる。また、また、ターゲットセカンダリセルが属する送信タイミンググループに基づいて、セカンダリ送信タイミンググループの送信タイミングタイマーを効率的に再設定することができる。
このように、基地局装置2は、セカンダリ送信タイミンググループにおける参照セル、送信タイミングタイマーを移動局装置1毎に効率的に再設定させることが可能となると共に、再設定に必要な制御パラメータを削減することが可能となり、無線リソースの利用効率が向上する。
なお、以上説明した実施形態は単なる例示に過ぎず、様々な変形例、置換例を用いて実現することができる。例えば、本上りリンク送信方式は、FDD(周波数分割復信)方式とTDD(時分割復信)方式のどちらの通信システムに対しても適用可能である。また、下りリンクコンポーネントキャリアの測定値は、パスロスや、それ以外の測定値(SIR、SINR、RSRP、RSRQ、RSSI、BLER)を代わり用いても良いし、これらの測定値の複数を組み合わせて使用することも可能である。また、実施形態で示される各パラメータの名称は、説明の便宜上呼称しているものであって、実際に適用されるパラメータ名称と本願のパラメータ名称とが異なっていても、本願が主張する発明の趣旨に影響するものではない。
また、移動局装置1とは、移動する端末に限らず、固定端末に移動局装置1の機能を実装することなどにより本発明の実施形態を実現しても良い。移動局装置は、ユーザ端末、端末装置、通信端末、移動機、UE(User Equipment)、MS(Mobile Station)とも称される。基地局装置は、無線基地局装置、基地局、無線基地局、固定局、NB(Node−B)、eNB(evolved Node−B)BTS(Base Transceiver Station)、BS(Base Station)とも称される。
また、説明の便宜上、実施形態の移動局装置1および基地局装置2を機能的なブロック図を用いて説明したが、移動局装置1および基地局装置2の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するための方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、またはこれら2つを組み合わせたものによって、直接的に具体化され得る。もしソフトウェアによって実装されるのであれば、その機能は、コンピュータ読み取り可能な媒体上の一つ以上の命令またはコードとして保持され、または伝達され得る。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータプログラムをある場所から別の場所への持ち運びを助ける媒体を含むコミュニケーションメディアやコンピュータ記録メディアの両方を含む。
そして、一つ以上の命令またはコードをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録された一つ以上の命令またはコードをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動局装置1や基地局装置2の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
本発明の各実施形態に記載の動作をプログラムで実現してもよい。本発明の各実施形態に関わる移動局装置1および基地局装置2で動作するプログラムは、本発明の各実施形態に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。また、プログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の各実施形態の機能が実現される場合もある。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、半導体媒体(例えば、RAM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるディスクユニット等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上記各実施形態に用いた移動局装置1および基地局装置2の各機能ブロック、または諸特徴は、本明細書で述べられた機能を実行するように設計された汎用用途プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイシグナル(FPGA)、またはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア部品、またはこれらを組み合わせたものによって、実装または実行され得る。汎用用途プロセッサは、マイクロプロセッサであっても良いが、代わりにプロセッサは従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであっても良い。
プロセッサはまた、コンピューティングデバイスを組み合わせたものとして実装されても良い。例えば、DSPとマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと接続された一つ以上のマイクロプロセッサ、またはその他のそのような構成を組み合わせたものである。
以上、この発明の実施形態について特定の具体例に基づいて詳述してきたが、本発明の各実施形態の趣旨ならびに特許請求の範囲は、これら特定の具体例に限定されないことは明らかである。すなわち、本明細書の記載は例示説明を目的としたものであり、本発明の各実施形態に対して何ら制限を加えるものではない。