JP2013134797A - 光ピックアップ装置用の対物レンズ - Google Patents

光ピックアップ装置用の対物レンズ Download PDF

Info

Publication number
JP2013134797A
JP2013134797A JP2011284661A JP2011284661A JP2013134797A JP 2013134797 A JP2013134797 A JP 2013134797A JP 2011284661 A JP2011284661 A JP 2011284661A JP 2011284661 A JP2011284661 A JP 2011284661A JP 2013134797 A JP2013134797 A JP 2013134797A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical
objective lens
pickup device
mold
optical pickup
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011284661A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Kimura
徹 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Advanced Layers Inc
Original Assignee
Konica Minolta Advanced Layers Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Advanced Layers Inc filed Critical Konica Minolta Advanced Layers Inc
Priority to JP2011284661A priority Critical patent/JP2013134797A/ja
Publication of JP2013134797A publication Critical patent/JP2013134797A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】温度特性と光利用効率が良好でバックフォーカスが確保されたプラスチック製光ピックアップ装置用対物レンズを得る。
【解決手段】光学面上に、段差の向きが有効径内で入れ替わる折り返し構造を有し、入射光に対して所定の光路差を生じるように形成された3以上30以下の輪帯から構成された対物レンズで、像側開口数をNA、焦点距離をf(mm)、3次球面収差の温度変化率(δSA3/δT)をδSAT(λrms/℃)、3次球面収差の波長変化率(δSA3/δλ)をδSAλ(λrms/nm)、としたとき、次式を満たすようにする。NA≧0.8(1)2.2≧f(mm)≧0.9(2)0≦δSAT/f(λrms/℃・mm)≦0.0024(3)−0.015≦δSAλ/f(λrms/nm・mm)≦−0.003(4)
【選択図】図10

Description

本発明は、光ディスクに対して互換可能に情報の記録及び/又は再生(記録/再生)を行える光ピックアップ装置用の対物レンズに関する。
近年、波長400nm程度の青紫色半導体レーザを用いて、情報の記録及び/又は再生を行える高密度光ディスクシステムの開発が進み、既に上市されている。一例として、NA0.85、光源波長405nmの仕様で情報記録及び/又は再生を行う光ディスク、いわゆるBlu−ray Disc(以下、BDという)では、直径12cmの光ディスクに対して、1層あたり25GB程度の情報の記録が可能である。
BDに対して情報の記録及び/又は再生を行える光ピックアップ装置において、対物レンズをガラスから成形する場合と、プラスチックから成形する場合とがある。ガラス製の対物レンズは、一般的に安定した光学特性を発揮できるが大量生産に不向きでコストが高くなる傾向がある。これに対し、プラスチック製の対物レンズは、一般的に射出成形により大量生産が可能でありコストを低減できるというメリットがあるが、その一つの問題点として温度特性が比較的悪いということがある。温度特性とは、環境温度の変化に対する、対物レンズを通過する光束に発生する収差量の度合いをいう。かかる温度特性は、光学面に回折構造のような輪帯構造を付加することで改善できるが、その代わり波長特性が悪くなることが多い。波長特性とは、光源から出射される光束の波長変化に対する、対物レンズを通過する光束に発生する収差量度合いをいう。
これに対して、特許文献1に示すように、焦点距離を小さくすることで輪帯構造による温度特性の補正量を小さくし、温度特性と波長特性の両方を良好としたNA0.85のプラスチック製の対物レンズが開発されている。
特開2004−252135号公報 特開2002−200638号公報 特開2004−130703号公報
しかし、上記特許文献1に開示された対物レンズは、バックフォーカスが小さく、十分なワーキングディスタンスを確保できないため、光ディスクとの干渉が生じやすく、使用する光ピックアップ装置が限られるという課題がある。
これに対し、上記特許文献1に比較例として開示されているプラスチック製の対物レンズは、その作動距離が十分に確保されているが、輪帯構造として、ブレーズ型の回折構造を利用しているため、輪帯数が多く、また輪帯幅が小さいので金型加工時の形状誤差や成形時の転写不良により対物レンズの光利用効率が低下するという課題がある。
そこで、本発明者は、プラスチック製の単レンズである対物レンズにおいて、3以上30以下の数の輪帯から構成され、かつ、隣り合う輪帯同士が、入射光に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、少なくとも1つの光学面上に有し、前記輪帯構造が、段差の向きが有効径内で少なくとも一度入れ替わる折り返し構造となっており、第1光ディスクに対して情報を記録及び/または再生するのに必要な前記対物レンズの像側開口数をNA、前記対物レンズの焦点距離をf(mm)、前記対物レンズの3次球面収差の温度変化率(δSA3/δT)をδSAT(λrms/℃)、前記対物レンズの3次球面収差の波長変化率(δSA3/δλ)をδSAλ(λrms/nm)、としたとき、次式を満たすことにより、かかる問題を解消できることを見出した。
NA≧0.8 (1)
2.2≧f(mm)≧0.9 (2)
0≦δSAT/f(λrms/℃・mm)≦0.0024 (3)
−0.015≦δSAλ/f(λrms/nm・mm)≦−0.003 (4)
但し、δSATを測定もしくは計算する際の前記対物レンズへの入射光束の波長の温度変化率を0nm/℃とし、δSAT及びδSAλにおける3次球面収差の符号は、補正過剰方向に変化する場合を「+」、補正不足方向に変化する場合を「−」とする。
より具体的に説明すると、光ピックアップ装置が種々の環境下で使用されることを考慮すると、その環境温度を一定に維持することは困難であるといえる。従って、温度特性の悪いレンズを使用した場合、環境温度変化に起因して発生する球面収差の制御が必要になり、光ピックアップ装置の構成が複雑化しコスト高を招く恐れがある。これに対し、光源から出射される光束の基準波長に対するズレは、光源として用いる半導体レーザ等の個体差が主原因である。従って、光ピックアップ装置において波長特性の悪い対物レンズを使用する場合、同じ光ピックアップ装置に組み付けられる光源の基準波長に対するズレに応じて球面収差の補正量を決めておけば、光ピックアップ装置の組立時や、光ピックアップ装置の動作初期時に、決められた補正量に応じて球面収差を補正する機構により球面収差を補正することができ、これは光ピックアップ装置の動作中を通じて維持されることとなる。
本発明者は、かかる光ピックアップ装置固有の条件に着目し、それに好適な対物レンズを開発したのである。より具体的には、(4)式を満たすように波長特性を若干犠牲にし、(3)式を満たすように温度特性を良好として、温度変化が生じても球面収差の発生を抑えることができる対物レンズを創成したのである。このような良好な温度特性は、3以上30以下の数の輪帯から構成され、かつ、隣り合う輪帯同士が入射光に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、対物レンズの光学面に備えることで得ることができる。
特に、バックフォーカスを十分に確保すべく、(2)式に示すように焦点距離fが比較的長い高NAのプラスチック製の対物レンズにおいては、温度変化に起因した球面収差の劣化の度合いが顕著になる傾向があり、このように良好でない温度特性をブレーズ型の回折構造で補正しようとすると、輪帯数が多くなり、輪帯幅が小さいので金型加工時の形状誤差や成形時の転写不良により対物レンズの光利用効率が低下する恐れがある。これに対し、本発明のように、段差の向きが有効径内で少なくとも一度入れ替わる折り返し構造となっている輪帯構造を用いれば、同量の温度特性を補正した場合に、ブレーズ型の回折構造に比して、輪帯数を減らすことができるので、対物レンズの光利用効率を高めることが可能となる。尚、本明細書でいう折り返し構造とは、例えば図1に示すような構造であり、この例では、輪帯STOを挟んで光軸側と光軸から遠い側とで段差の向きが入れ替わっている。別の表現をすれば、光軸直交方向の所定の高さまでは、深さが深くなるように段差が設けられており、所定の高さを越えた後は、深さが浅くなる様に段差が設けられている、ともいえる。図1(b)において、輪帯の段差Δは、光軸に近い側に隣接する輪帯に対して、光軸から遠い側に隣接する輪帯が第1光ディスクに近づく方向に変位している場合を「+」、光軸に近い側に隣接する輪帯に対して、光軸から遠い側に隣接する輪帯が第1光ディスクに遠ざかる方向に変位している場合を「−」とする。具体的には、h1、h2の段差が+であり、h3、h4の段差が−である。
尚、図1(b)では、説明の都合上、輪帯の段差を誇張して描いている。
本発明者は、焦点距離が短い場合と長い場合とでは、良好な記録及び/又は再生を行うための必要条件が異なることを見出したのである。即ち、波面収差を犠牲にして、温度特性を重視することで、焦点距離を長くした場合においても、良好な記録及び/又は再生が行えることを見出したのである。
なお、δSATを測定もしくは計算する際の前記対物レンズへの入射光束の波長の温度変化率δλ(nm/℃)がゼロではない場合は、3次球面収差の温度変化率δSAT(λrms/℃)、3次球面収差の波長変化率δSAλ(λrms/nm)、焦点距離f(mm)が以下の関係式を満たすことが好ましい。
0×δSAλ/f×δλ≦δSAT/f(λrms/℃・mm)≦0.0024×δSAλ/f×δλ
尚、本明細書でいうブレーズ型の回折構造とは、図2に示すような構造である。図2において、対物レンズ1は、非球面である2つの光学面2、3を有する両凸のプラスチック製の単レンズであり、一方の光学面2上に図2(a)に示したように光軸を中心とした同心円上の回折構造としての輪帯構造が形成されている。この輪帯構造は、図2(c)に示したように、フレネルレンズのように各輪帯の境界に光軸方向に段差Δを持ち、折り返し構造を有していない。この輪帯構造の任意の輪帯に入射したレーザ光束は、その輪帯の光軸に垂直な方向の幅によって決定される方向に回折する。
また、折り返し構造による温度特性の補正の原理を図3に示す。図3は、非球面である2つの光学面を有するプラスチック製の単レンズの、設計基準温度から30℃温度が上昇した場合の波面の様子を表す図であり、図3の横軸が光学面の有効半径を表し、縦軸が光路差を表す。プラスチック製の単レンズは、温度上昇に伴う屈折率変化の影響で球面収差が発生し、図3の線図Agのように波面が変化する。また、図3の線図Bgは、折り返し構造を有する輪帯構造により透過波面に付加される光路差を示し、図3の線図Cgは、設計基準温度から30℃温度が上昇した場合の、かかる輪帯構造とプラスチック製の単レンズとを透過した波面の様子を表している。線図Bg及びCgから、かかる輪帯構造を透過した波面と、設計基準温度から30℃温度が上昇した場合のプラスチック製の単レンズの波面とが打ち消しあうことで、第1光ディスクの情報記録面上に集光されたレーザ光束の波面は、巨視的にみると光路差のない良好な波面となり、かかる輪帯構造によりプラスチック製の単レンズの温度特性が補正されることが理解できる。
なお、本明細書においてワーキングディスタンスとは、図4に示すように、対物レンズが第1光ディスクの情報記録面に合焦した状態で、対物レンズの第1光ディスク側の光学面S2の面頂点と、第1光ディスクの光束入射面SINとの光軸上の間隔WDを指す。
更に、以下の条件式(3)、(4)を満たすようにしてもよい。
0<δSAT/f(λrms/℃・mm)≦0.0020 (3)
−0.012≦δSAλ/f(λrms/nm・mm)≦−0.006 (4)
ところで、上述したような特殊な輪帯構造を光学面に設けることで、プラスチック製の対物レンズでありながら、温度特性が良好であり、光利用効率が高く、かつ、バックフォーカスが十分に確保され、短波長の光束を用いて光ディスクに高密度に情報の記録及び/又は再生を行える光ピックアップ装置用の対物レンズを提供できる。ところが、設計上、優れた光学特性を有する対物レンズであっても、その製造方法によっては、期待された光学特性を発揮できないことが分かった。この点について説明する。
まず、一般的な光ピックアップ装置用の対物レンズの製造方法としては、特許文献2,3に示すように、型開き状態で対物レンズが残る金型と型開き状態で対物レンズが離れる金型とで形成される型内に溶融した樹脂を射出し、型を開いた後、入子で構成された対物レンズの光学面を形成する型の部位を突き出して離型させるものがある。
上記特許文献に記載の金型においては、対物レンズを構成する2つの光学面のうち、一方の光学面を形成する金型を入子にし、この入子部を突き出すことにより対物レンズを金型から離型させるものである。これにより、バリの発生を光軸中心の円周上に限定でき、金型の部品点数も減少できるため金型コストを下げることができる。
しかしながら、この対物レンズを成形する金型では入子部が突き出し部を兼ねるため、入子部が移動できるように、入子部を保持している金型との境界に嵌合する隙間(クリアランス)を必要とする。このため、入子部を保持している金型(フランジ部を形成する金型)に対して、このクリアランス分だけ入子部がシフトやティルトをする余地が有ることになる。ここで、シフトとは金型の理想光軸に垂直な方向の変位のことであり、ティルトとは理想光軸に対する傾きのことである。よって光軸に、突き出しによる移動を入子部がショット毎に繰り返すことで、入子部のシフト量やティルト量がショット毎に異なってしまう恐れがあり、結果として対物レンズを構成する2つの光学面の芯ズレによる偏芯量が、ショット毎に異なってしまう可能性が高まる。この芯ズレは、コマ収差となり光学性能の悪化を引き起こすものである。よって、芯ズレによる偏芯量がショット毎に異なるということはコマ収差が安定しないということになるため、ショット毎に安定した光学性能を有する対物レンズを得ることができないということになる。
また、入子部のティルト量がショット毎に異なってしまうと、フランジ部の取り付け基準面に対する光学面(入子部により形成された光学面)のティルト量がショット毎に異なってしまうことにもなり、その点からも問題である。このフランジ部の取り付け基準面に対する光学面のティルトは、フランジ部の取り付け基準面を当接させて対物レンズを鏡枠に取り付けた後にコマ収差となり光学性能の悪化を引き起こすものである。よって、フランジ部の取り付け基準面に対する光学面のティルト量がショット毎に異なってしまうということは鏡枠に取り付けた後のコマ収差が安定しないということになるため、ショット毎に安定した光学性能を有する対物レンズを得ることができないということになる。
特に、芯ズレによるコマ収差の発生量は、高NA値となるほど大きくなり、上記のごとき青紫色レーザを使用する高記憶容量のBDに対応する対物レンズの場合には、この芯ズレを抑えることがより重要となる。
本発明は上記問題に鑑み、プラスチック製でありながら、温度特性が良好であり、光利用効率が高く、かつバックフォーカスが十分に確保された対物レンズにおいて、構成する2つの光学面の芯ズレによる偏芯量のばらつきを抑えることができ、更にフランジ部の取り付け基準面に対する光学面のティルト量のばらつきも抑えることができ、安定した性能を有した光ピックアップ装置用対物レンズを得ることを目的とするものである。
請求項1に記載の対物レンズは、450nm以下の波長λ1の光束を出射する第1光源と、前記第1光源から出射された光束を第1光ディスクの情報記録面に集光させるための対物レンズを含む集光光学系とを有し、前記集光光学系が、前記第1光源からの光束を、第1光ディスクの情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能な光ピックアップ装置に用いる対物レンズであって、
前記対物レンズは、プラスチック製の単レンズであって、成形用金型により、一対の光学面と、該光学面の周辺のフランジ面とが形成されてなり、前記一対の光学面のうち有効径の小さい方の周辺のフランジ面に、成形用金型に設けられた突き出し部の突き出し部跡を有し、
前記対物レンズは、3以上30以下の数の輪帯から構成され、かつ、隣り合う輪帯同士が、入射光に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、少なくとも1つの光学面上に有し、
前記輪帯構造は、段差の向きが有効径内で少なくとも一度入れ替わる折り返し構造となっており、
前記第1光ディスクに対して情報を記録及び/または再生するのに必要な前記対物レンズの像側開口数をNA、前記対物レンズの焦点距離をf(mm)、前記対物レンズの3次球面収差の温度変化率(δSA3/δT)をδSAT(λrms/℃)、前記対物レンズの3次球面収差の波長変化率(δSA3/δλ)をδSAλ(λrms/nm)、としたとき、次式を満たすことを特徴とする。
NA≧0.8 (1)
2.2≧f(mm)≧0.9 (2)
0≦δSAT/f(λrms/℃・mm)≦0.0024 (3)
−0.015≦δSAλ/f(λrms/nm・mm)≦−0.003 (4)
但し、δSATを測定もしくは計算する際の前記対物レンズへの入射光束の波長の温度変化率を0nm/℃とし、δSAT及びδSAλにおける3次球面収差の符号は、補正過剰方向に変化する場合を「+」、補正不足方向に変化する場合を「−」とする。
本発明によれば、上述したように(1)〜(4)式を満たすことで、プラスチック製の対物レンズでありながら、温度特性が良好であり、光利用効率が高く、かつ、バックフォーカスが十分に確保され、短波長の光束を用いて光ディスクに高密度に情報の記録及び/又は再生を行える光ピックアップ装置用の対物レンズを提供できる。
更に、本発明の対物レンズは、成形が終わり、型を開いた後、成形用金型に付着した対物レンズの光学面のうち有効径の小さい方の周辺のフランジ面に対向して、成形用金型より突き出し部によって突き出すことにより、金型から対物レンズを離型させることができるので、上述したショット毎に入子が傾くことによる一対の光学面の芯ズレを抑制でき、更には輪帯構造を高精度に成形できる。このように、対物レンズの光学面のうち有効径の小さい方の周辺のフランジ面に対向して、成形用金型より突き出し部によって突き出すことで離型を行った場合、対物レンズの一対の光学面のうち有効径の小さい方の周辺のフランジ面に、かかる突き出し部の突き出し部跡が形成されることとなる。尚、本明細書中、「フランジ面」とは、光学面より少なくとも光軸直交方向外側の面をいうものとする。
請求項2に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1に記載の発明において、前記輪帯構造が形成された光学面上で、有効径の60%の高さから80%の高さの領域に形成されたいずれかの輪帯(例えば図1のSTO)において、段差の向きが入れ替わることを特徴とする。尚、本明細書中、特に明示しない限り、「高さ」とは対物レンズの光軸直交方向の長さをいい、「深さ」とは対物レンズの光軸方向の長さをいうものとする。
このように、段差の向きが入れ替わる輪帯の位置を設定することで、温度変化にともなう球面収差の発生を効果的に低減することが可能である。尚、上記輪帯の位置が、有効径の60%の高さよりも光軸に近い位置、もしくは、有効径の80%の高さよりも光軸よりも遠い位置に形成された場合、温度変化にともない、5次以上の高次の球面収差が発生しやすくなり、環境温度が変化した際の光ピックアップ装置の特性が劣化する。
請求項3に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1又は2に記載の発明において、前記対物レンズの設計基準波長λ0(nm)の光束を入射させた場合に、前記段差により発生する光路差を以下の式で表現したとき、段差の向きが入れ替わる輪帯(図1のSTO)よりも光軸直交方向外側に形成された段差において、mが2以上の自然数であることを特徴とする。
m=INT(|X|)
ただし、X=Δ・(N0−1)/(λ0・10-3)であり、INT(|X|)は|X|を四捨五入して得られる整数であり、Δ(μm)は段差の深さであり、N0は前記設計基準波長λ0(nm)における前記対物レンズの屈折率である。尚、Δは、光軸に近い側に隣接する輪帯に対して、光軸から遠い側に隣接する輪帯が光ディスクに近づく方向に変位している場合を「+」、光軸に近い側に隣接する輪帯に対して、光軸から遠い側に隣接する輪帯が光ディスクに遠ざかる方向に変位している場合を「−」とする。
3次の球面収差を光路差で表現した場合、有効径の70%程度の高さで変曲点を持つ。この変曲点の位置に相当する輪帯が上述の段差の向きが入れ替わる輪帯(図1のSTO)である。3次の球面収差の光路差は、光軸からの高さに対して4次関数的に変化するので、変曲点より外側において変化量が大きくなる傾向がある。従って、変曲点より外側、即ち、段差の向きが入れ替わる輪帯よりも外側の領域に形成された段差にて、mの値を2以上に設定すると、かかる領域の輪帯幅を大きく確保することができ、金型加工時の形状誤差や成形時の転写不良による光利用効率の低下を低減することが可能となる。なお、一つのレンズが、mの値を複数種類有していてもよい。
かかる作用効果をよりいっそう効果的に発揮するためには、変曲点より外側の領域に形成された段差にて、mの値を3以上とするのが好ましく、4以上とするのがより好ましい。
また、段差の向きが入れ替わる輪帯(図1のSTO)よりも光軸直交方向内側に形成された段差において、以下の条件式におけるnが、少なくとも一つのmと等しいか、mよりも小さいことが好ましい。また、nが2以上の自然数であることが好ましい。
n=INT(|Y|)
ただし、Y=Δ・(N0−1)/(λ0・10-3)であり、INT(|Y|)は|Y|を四捨五入して得られる整数であり、他の定義は、前述の式と同様である。
請求項4に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、前記輪帯構造において、各輪帯の非球面形状を同一形式の関数で表現した際の非球面係数が、前記輪帯のうち少なくとも2つの輪帯において互いに異なることを特徴とする。
本発明の対物レンズのように、NAが0.8以上である対物レンズに対して輪帯構造を形成する場合、同一の非球面係数で表現される輪帯を光軸方向に平行移動させただけでは、球面収差の残留が大きく光ディスクに対する情報の記録/再生特性に悪影響が発生する可能性がある。そのため、球面収差の残留を小さくするために、少なくとも2つの輪帯にて非球面係数を異ならしめるのが好ましい。球面収差の残留をより小さくするためには、段差の向きが入れ替わる輪帯よりも外側の領域に形成された輪帯の非球面係数を、互いに異ならしめることが好ましい。より好ましくは、全ての輪帯において非球面係数を異ならしめることである。このように、各輪帯毎に非球面係数を最適化して各輪帯で発生する球面収差を補正することで、情報の記録/再生特性に優れる対物レンズを提供することが可能となる。
請求項5に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1乃至4の何れかに記載の発明において、以下の条件式を満たすことを特徴とする。
50 ≦ (mAVE・M)/(f・NA4) ≦ 100 (5)
ただし、mAVEは、有効径内に形成された段差毎に下記式で算出されるmiの総和を、有効径内に形成された段差の数で割った値であり、Mは、前記対物レンズの有効径内に形成された前記輪帯構造の輪帯の総数を表す。
mi=INT(|Xi|)
ここで、Xi=Δi・(N0−1)/(λ0・10-3)であり、INT(|Xi|)は|Xi|を四捨五入して得られる整数であり、Δi(μm)は各段差の深さであり、N0は前記設計基準波長λ0(nm)における前記対物レンズの屈折率である。尚、Δiは、光軸に近い側に隣接する輪帯に対して、光軸から遠い側に隣接する輪帯が光ディスクに近づく方向に変位している場合を「+」、光軸に近い側に隣接する輪帯に対して、光軸から遠い側に隣接する輪帯が光ディスクに遠ざかる方向に変位している場合を「−」とする。尚、段差が光軸とは逆の方を向いている場合(例えば、図1に示すh1やh2の段差)は、Xiの値は負となり、段差が光軸の方を向いている場合(例えば、図1に示すh3やh4の段差)は、Xiの値は正となる。
また、Δiは、光軸に最も近い段差から順に、Δ1、Δ2、Δ3、・・とする。
輪帯数が少ない場合はmAVEを大きくすることが好ましく、輪帯数が多い場合はmAVEを小さくすることが好ましい。また、焦点距離が長い場合や開口数が大きい場合は、mAVE及び/又は輪帯数を大きくすることが好ましい。即ち、上記条件式を満たすことによって、式(1)、(2)、(3)、(4)を満たす対物レンズを得ることができる。上記条件式は、本発明を対物レンズの構造として表現したともいえる。
また、好ましくは、以下の条件式、
55 ≦ (mAVE・M)/(f・NA4) ≦ 95 (5’)
を満たすことである。
さらに好ましくは、以下の条件式、
60 ≦ (mAVE・M)/(f・NA4) ≦ 90 (5”)
を満たすことである。
請求項6に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1乃至5の何れかに記載の発明において、前記輪帯の総数は、5以上20以下であることを特徴とするので、金型の加工が容易になる。尚、前記輪帯の総数は、7以上12以下であると、金型加工時の形状誤差や成形時の転写不良による対物レンズの光利用効率への影響をより小さくできるため、更に好ましい。
請求項7に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1乃至6の何れかに記載の発明において、以下の条件式を満たすことを特徴とする。
1.0 ≦ d/f ≦ 1.7 (6)
ただし、d(mm)は、前記対物レンズの光軸上の厚さを表す。
また、好ましくは、以下の条件式、
1.2 ≦ d/f ≦ 1.5 (6’)
を満たすことである。
請求項8に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1乃至7の何れかに記載の発明において、前記光ディスクに情報の記録及び/又は再生を行う際のワーキングディスタンスが0.25mm以上であることを特徴とする。このワーキングディスタンスの条件を満たすためには、以下の条件式(4)‘’、を満たすことがより好ましい。
−0.015≦δSAλ/f(λrms/nm・mm)≦−0.009 (4)‘’
これにより光ディスクに対する情報の記録/再生を行う際の作動距離を十分に確保することが可能となり、光ピックアップ装置の動作信頼性を高めることが可能となる。
請求項9に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項1乃至8の何れかに記載の発明において、
(a)前記第1光ディスク側に形成された第2光学面と、(b)前記第1光ディスク側であって前記第2光学面よりも外周側の前記フランジ面の少なくとも一部に設けられ、前記突き出し部の突き当て跡を有する突き当て面と、(c)前記第1光源側に形成された第1光学面と、(d)前記第1光源側であって前記第1光学面よりも外周側の前記フランジ面の少なくとも一部に形成された取付面と、(e)第1光学面及び取付面の間に、突き当て面の裏面位置であって突き当て跡を光軸方向に投影した際に突き当て面の少なくとも一部と重なる位置に設けられるとともに、取付面よりも突き当て面側に後退する凹部と、を有することを特徴とする。
上記光ピックアップ用対物レンズは、突き出し部が転写面に当たってこれを傷付けるなど、かじりの発生を防止した成形金型によって形成されるので、成形及び離型後の光ピックアップ用対物レンズは、傷つき破損のない転写面によって形成された精密な取付面を有するものとなり、高精度な組み付けが可能になる。
請求項10に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズは、請求項9に記載の発明において、前記凹部は、前記第1光学面の有効径の位置よりも前記突き当て面側に位置していることを特徴とする。この場合、本対物レンズの成形に際して、第1光学面の転写面と突き出し部の先端面との干渉を回避することができる。
本発明に係る光ピックアップ装置は、第1光源を有するが、更に第2光源、第3光源を有していても良い。さらに、本発明にかかる光ピックアップ装置は、第1光束を第1光ディスクの情報記録面上に集光させる集光光学系を有するが、かかる集光光学系は、第2光束を第2光ディスクの情報記録面上に集光させ、第3光束を第3光ディスクの情報記録面上に集光させるために兼用されても良い。また、本発明の光ピックアップ装置は、第1光ディスクの情報記録面からの反射光束を受光する受光素子を有するが、第2光ディスク又は第3光ディスクの情報記録面からの反射光束を受光する受光素子を有していても良い。即ち、本発明に係る光ピックアップ装置は、BD専用の光ピックアップ装置であってもよいし、BD/DVD/CDの3種類の互換を可能とする光ピックアップ装置であってもよい。
第1光ディスクは、厚さがt1の保護基板と情報記録面とを有する。第2光ディスクは厚さがt2(t1<t2)の保護基板と情報記録面とを有する。第3光ディスクは、厚さがt3(t2<t3)の保護基板と情報記録面とを有する。第1光ディスクがBDであり、第2光ディスクがDVDであり、第3光ディスクがCDであることが好ましいが、これに限られるものではない。なお、第1光ディスク、第2光ディスク又は第3光ディスクは、複数の情報記録面を有する複数層の光ディスクでもよい。
本明細書において、BDとは、波長400〜410nm程度の光束、NA0.8〜0.9程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが0.05〜0.125mm程度であるBD系列光ディスクの総称であり、単一の情報記録層のみ有するBDや、2層又はそれ以上の情報記録層を有するBD等を含むものである。更に、本明細書においては、DVDとは、NA0.60〜0.67程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが0.6mm程度であるDVD系列光ディスクの総称であり、DVD−ROM、DVD−Video、DVD− Audio、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等を含む。また、本明細書においては、CDとは、NA0.45〜0.51程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが1.2mm 程度であるCD系列光ディスクの総称であり、CD−ROM、CD−Audio、CD−Video、CD−R、CD−RW等を含む。尚、記録密度については、BDの記録密度が最も高く、次いでDVD、CDの順に低くなる。
なお、保護基板の厚さt1、t2、t3に関しては、以下の条件式(2)、(3)、(4)を満たすことが好ましいが、これに限られない。尚、ここで言う、保護基板の厚さとは、光ディスク表面に設けられた保護基板の厚さのことである。即ち、光ディスク表面から、表面に最も近い情報記録面までの保護基板の厚さのことをいう。
0.045mm ≦ t1 ≦ 0.125mm (2)
0.5mm ≦ t2 ≦ 0.7mm (3)
1.0mm ≦ t3 ≦ 1.3mm (4)
本明細書において、第1光源は、好ましくはレーザ光源である。更に第2光源、第3光源を有する場合も、レーザ光源を用いると好ましい。レーザ光源としては、好ましくは半導体レーザ、シリコンレーザ等を用いることが出来る。第1光源から出射される第1光束の第1波長λ1は、第2光源から出射される第2光束の第2波長λ2より短く、第2波長λ2は、第3光源から出射される第3光束の第3波長λ3より短い。
また、第1光ディスク、第2光ディスク、第3光ディスクとして、それぞれ、BD、DVD及びCDが用いられる場合、第1光源の第1波長λ1は好ましくは、450nm以下、より好ましくは、390nm以上、415nm以下であって、第2光源の第2波長λ2は好ましくは570nm以上、680nm以下、より好ましくは、630nm以上、670nm以下であって、第3光源の第3波長λ3は好ましくは、750nm以上、880nm以下、より好ましくは、760nm以上、820nm以下である。
また、第1光源、第2光源、第3光源のうち少なくとも2つの光源をユニット化してもよい。ユニット化とは、例えば第1光源と第2光源とが1パッケージに固定収納されているようなものをいう。また、光源に加えて、後述する受光素子を1パッケージ化してもよい。
光ピックアップ装置に用いる受光素子としては、フォトダイオードなどの光検出器が好ましく用いられる。光ディスクの情報記録層上で反射した光が受光素子へ入射し、その出力信号を用いて、各光ディスクに記録された情報の読み取り信号が得られる。さらに、受光素子上のスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行い、この検出に基づいて、合焦、トラッキングのために対物レンズを移動させることが出来る。受光素子は、複数の光検出器からなっていてもよい。受光素子は、メインの光検出器とサブの光検出器を有していてもよい。例えば、情報の記録再生に用いられるメイン光を受光する光検出器の両脇に2つのサブの光検出器を設け、当該2つのサブの光検出器によってトラッキング調整用のサブ光を受光するような受光素子としてもよい。また、受光素子は各光源に対応した複数の受光素子を有していてもよい。
光ピックアップ装置に用いる集光光学系は、対物レンズを有する。集光光学系は、対物レンズの他にコリメータ等のカップリングレンズを有していることが好ましい。カップリングレンズとは、対物レンズと光源の間に配置され、光束の発散角を変える単レンズ又はレンズ群のことをいう。コリメータは、カップリングレンズの一種で、コリメータに入射した光を平行光にして出射するレンズである。本明細書において、対物レンズとは、光ピックアップ装置において光ディスクに対向する位置に配置され、光源から射出された光束を光ディスクの情報記録層上に集光する機能を有する光学系を指す。対物レンズは、単玉のレンズからなり、好ましくは単玉の凸レンズからなる対物レンズである。また、対物レンズは、プラスチックレンズである。また、対物レンズは、屈折面が非球面であることが好ましい。また、対物レンズは、輪帯構造が設けられるベース面が非球面であることが好ましい。対物レンズは、BD専用の様に一種類の光ディスク専用の対物レンズであってもよいし、BD/DVD/CDの3種類の互換を一つの対物レンズで行う複数種類の光ディスクを互換可能な対物レンズであってもよい。
また、対物レンズは、環状オレフィン系の樹脂材料等の脂環式炭化水素系重合体材料を使用するのが好ましい。また、当該樹脂材料は、波長405nmに対する温度25℃ での屈折率が1.50乃至1.60の範囲内であって、−5℃から70℃の温度範囲内での温度変化に伴う波長405nmに対する屈折率変化率dN/dT(℃ -1) が−20×10-5乃至−5×10-5(より好ましくは、−10×10-5乃至−8×10-5)の範囲内である樹脂材料を使用するのがより好ましい。また、対物レンズをプラスチックレンズとする場合、カップリングレンズもプラスチックレンズとすることが好ましい。
脂環式炭化水素系重合体の好ましい例を幾つか、以下に示す。
第1の好ましい例は、下記式(I)で表される繰り返し単位〔1〕を含有する重合体ブロック〔A〕と、下記式(1)で表される繰り返し単位〔1〕並びに下記式(II)で表される繰り返し単位〔2〕または/および下記式(III)で表される繰り返し単位〔3〕を含有する重合体ブロック〔B〕とを有し、前記ブロック〔A〕中の繰り返し単位〔1〕のモル分率a(モル%)と、前記ブロック〔B〕中の繰り返し単位〔1〕のモル分率b(モル%)との関係がa>bであるブロック共重合体からなる樹脂組成物である。
(式中、R1 は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R2−R12はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはハロゲン基である。)
(式中、R13は、水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
(式中、R14およびR15はそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
次に、第2の好ましい例は、少なくとも炭素原子数2〜20のα−オレフィンと下記一般式(IV)で表される環状オレフィンからなる単量体組成物とを付加重合させることにより得られる重合体(A)と、炭素原子数2〜20のα−オレフィンと下記一般式(V)で表される環状オレフィンからなる単量体組成物とを付加重合させることにより得られる重合体(B)とを含む樹脂組成物である。
〔式中、nは0または1であり、mは0または1以上の整数であり、qは0または1であり、R1〜R18、Ra及びRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、括弧内の単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR15とR16と、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
〔式中、R19〜R26はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。〕
樹脂材料に更なる性能を付加するために、以下のような添加剤を添加してもよい。
(安定剤)
フェノール系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、リン系安定剤及びイオウ系安定剤から選ばれた少なくとも1種の安定剤を添加することが好ましい。これらの安定剤を適宜選択し添加することで、例えば、405nmといった短波長の光を継続的に照射した場合の白濁や、屈折率の変動等の光学特性変動をより高度に抑制することができる。
好ましいフェノール系安定剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニルプロピオネート))メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))]、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
また、好ましいヒンダードアミン系安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)デカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
また、好ましいリン系安定剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
また、好ましいイオウ系安定剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピピオネート、ジステアリル 3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ)−プロピオネート、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
これらの各安定剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、脂環式炭化水素系共重合体100質量部に対して通常0.01〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部であることが好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤は、同一分子中に親水基と疎水基とを有する化合物である。界面活性剤は樹脂表面への水分の付着や上記表面からの水分の蒸発の速度を調節することで、樹脂組成物の白濁を防止することが可能となる。
界面活性剤の親水基としては、具体的には、ヒドロキシ基、炭素数1以上のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、アンモニウム塩、チオール、スルホン酸塩、リン酸塩、ポリアルキレングリコール基などが挙げられる。ここで、アミノ基は1級、2級、3級のいずれであってもよい。界面活性剤の疎水基としては、具体的に炭素数6以上のアルキル基、炭素数6以上のアルキル基を有するシリル基、炭素数6以上のフルオロアルキル基などが挙げられる。ここで、炭素数6以上のアルキル基は置換基として芳香環を有していてもよい。アルキル基としては、具体的にヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデセニル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ミリスチル、ステアリル、ラウリル、パルミチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。芳香環としてはフェニル基などが挙げられる。この界面活性剤は、上記のような親水基と疎水基とをそれぞれ同一分子中に少なくとも1個ずつ有していればよく、各基を2個以上有していてもよい。
このような界面活性剤としては、より具体的には、例えば、ミリスチルジエタノールアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシトリデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシテトラデシルアミン、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ジ−2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、アルキル(炭素数8〜18)ベンジルジメチルアンモニウムクロライド、エチレンビスアルキル(炭素数8〜18)アミド、ステアリルジエタノールアミド、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、などが挙げられる。これらのうちでも、ヒドロキシアルキル基を有するアミン化合物またはアミド化合物が好ましく用いられる。本発明では、これら化合物を2種以上組合わせて用いてもよい。
界面活性剤は、温度、湿度の変動に伴なう成形物の白濁を効果的に抑え、成形物の光透過率を高く維持するという観点から、脂環式炭化水素系重合体100質量部に対して0.01〜10質量部添加されることが好ましい。界面活性剤の添加量は脂環式炭化水素系重合体100質量部に対して0.05〜5質量部とすることがより好ましく、0.3〜3質量部とすることが更に好ましい。
(可塑剤)
可塑剤は共重合体のメルトインデックスを調節するため、必要に応じて添加される。
可塑剤としては、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ビス(2−ブトキシエチル)、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジプロピレングリコールジベンゾエート、クエン酸トリ−n−ブチル、クエン酸トリ−n−ブチルアセチル、エポキシ化大豆油、2−エチルヘキシルエポキシ化トール油、塩素化パラフィン、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸−t−ブチルフェニル、リン酸トリ−2−エチルヘキシルジフェニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、Santicizer 278、Paraplex G40、Drapex 334F、Plastolein 9720、Mesamoll、DNODP−610、HB−40等の公知のものが適用可能である。可塑剤の選定及び添加量の決定は、共重合体の透過性や環境変化に対する耐性を損なわないことを条件に適宜行なわれる。
これらの樹脂としては、シクロオレフィン樹脂が好適に用いられ、具体的には、日本ゼオン社製のZEONEXや、三井化学社製のAPEL、TOPAS ADVANCED POLYMERS社製のTOPAS、JSR社製ARTONなどが好ましい例として挙げられる。
また、対物レンズを構成する材料のアッベ数は、50以上であることが好ましい。
対物レンズは光路差付与構造を有していても良い。本明細書でいう光路差付与構造とは、入射光束に対して所定の光路差を付加する構造の総称である。光路差付与構造には、位相差を付与する位相差付与構造も含まれる。また、位相差付与構造には回折構造が含まれる。本発明の光路差付与構造は回折構造であることが好ましい。光路差付与構造は、段差を有し、好ましくは段差を複数有する。従って、本明細書において、光路差付与構造は、輪帯構造とも称する。この段差により入射光束に光路差及び/又は位相差が付加される。輪帯構造(光路差付与構造)により付加される光路差は、入射光束の波長の整数倍であっても良いし、入射光束の波長の非整数倍であっても良い。段差は、光軸垂直方向に周期的な間隔をもって配置されていてもよいし、光軸垂直方向に非周期的な間隔をもって配置されていてもよい。また、輪帯構造を設けた対物レンズが単玉非球面レンズの場合、光軸からの高さによって光束の対物レンズへの入射角が異なるため、各輪帯を通過する光束に付加される光路差が同じであっても、輪帯構造の段差量は各輪帯毎に若干異なることとなる。例えば、対物レンズが単玉非球面の凸レンズである場合、同じ光路差を付与させる輪帯構造であっても、一般的に光軸から離れる程、段差量が大きくなる傾向となる。
輪帯構造は、3以上30以下の数の輪帯から構成されることが好ましい。より好ましくは、輪帯の総数が5以上20以下である。また、輪帯構造は、図1に示すような、段差の向きが有効径内で少なくとも一度入れ替わる折り返し構造を有している。別の言い方としては、光軸近くでは段差は光軸とは逆の方向を向いており、周辺近くでは段差は光軸の方向を向いているとも言える。また、輪帯構造が形成された光学面上で、有効径の60%の高さから80%の高さの領域に形成されたいずれかの輪帯において、段差の向きが入れ替わることが好ましい。
また、輪帯構造によって発生する回折光は、2次以上の回折光が他の次数の回折光に比して最も多く発生することが好ましい。尚、全輪帯において最も多く発生する回折光の次数を統一してもよいし、輪帯毎に最も多く発生する回折光の次数を変えてもよい。
また、輪帯毎に非球面の形状を変えてもよいし、全輪帯において非球面の形状を同一としてもよい。
第1光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA1とし、第2光ディスクを用いる場合、第2光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA2(NA1>NA2)とし、第3光ディスクを用いる場合、第3光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA3(NA2>NA3)とする。NA1は、0.8以上であることが好ましく、より好ましくは、0.8以上、0.9以下である。特にNA1は0.85であることが好ましい。NA2は、0.55以上、0.7以下であることが好ましい。特にNA2は0.60又は0.65であることが好ましい。また、NA3は、0.4以上、0.55以下であることが好ましい。特にNA3は0.45又は0.53であることが好ましい。
<レンズ外観>
次に、対物レンズの全体的な形状について説明する。
本発明の対物レンズOL1は、図8又は図10に示すように、光ピックアップ装置の光源側の第1光学面LSaと、光ディスク側の第2光学面LSbとを有する。第1光学面LSaの曲率半径は、第2光学面LSbの曲率半径より小さいことが好ましい。更に、対物レンズOL1は好ましくはフランジ部OLbを有する。
ここで、第1光学面の全径に対する有効径の比率が、90%以上、100%以下である。(好ましくは、95%以上、100%未満、更に好ましくは、96%以上、99%以下)また、第2光学面の全径に対する有効径の比率が、75%以上、100%以下である。(好ましくは、80%以上、100%未満、更に好ましくは、91%以上、95%以下)この様な範囲とすることによって、ボビンに対物レンズを取り付けた際に光軸直交方向に僅かに偏心した場合であっても、有効径内に光束が入射できるため好ましい。
更に、以下の条件式を満たすことが好ましい。
1.0 ≦ d/f ≦ 1.7 (6)
ただし、d(mm)は、前記対物レンズの光軸上の厚さを表し、f(mm)は、第1光束における対物レンズの焦点距離を表す。
BDのような短波長、高NAの光ディスクに対応させる場合、対物レンズにおいて、製造誤差による非点収差やコマ収差が発生しやすくなるという課題が生じるが、条件式(6)を満たすことにより非点収差やコマ収差の発生を抑制することが可能となる。
また、条件式(6)を満たすことにより、対物レンズの軸上厚が厚めの厚肉対物レンズになるため、CDの記録/再生時におけるワーキングディスタンスが短くなりがちになるにも拘わらず、本発明の第1光路差付与構造を対物レンズに設けることにより、CDの記録/再生におけるワーキングディスタンスも十分に確保できるため、その効果がより顕著なものとなる。
また、第3光ディスクを用いる際の対物光学素子のワーキングディスタンス(WD)は、0.25mm以上、1.5mm以下であることが好ましい。好ましくは、0.3mm以上、0.9mm以下である。次に、第2光ディスクを用いる際の対物光学素子のWDは、0.2mm以上、1.3mm以下であることが好ましい。さらに、第1光ディスクを用いる際の対物光学素子のWDは、0.25mm以上、1.0mm以下であることが好ましい。
対物レンズは、以下の条件式(7)を満たすと好ましい。
2≦dmax/dmin≦8 (7)
但し、dmax(mm)は、例えば図2に示すように、対物レンズの軸上厚を表し、dmin(mm)は、例えば図2に示すように、対物レンズにおいて光軸方向に最も薄い部分における厚さを表す。
好ましくは、以下の条件式(7´)を満たすことである。
3≦dmax/dmin≦8 (7´)
<レンズ突き出し(ピン突き出し)>
また、対物レンズがプラスチックレンズである場合、成形機による樹脂成形後、金型から対物レンズを取り出す必要がある。一般に、成形機には、第1光学面を成形する第1金型と、第2光学面を成形する第2金型とが搭載され、また、金型は、保持部と、その中に入れ子部を有する。入れ子部は、光軸方向に摺動可能な構造となっている場合もあるし、保持部に固定されている構造となっている場合もある。成形機が作動することで第1金型と第2金型を対向して密着させ、レンズのキャビティを形成し、そこに樹脂を注入し成形後、第1金型と第2金型とを型開きし、対物レンズが残っている金型から対物レンズを取り出す。
その取り出しの際に、成形機に搭載された金型が細いピンを有し、当該ピンで、対物レンズのフランジを突き出して取り出す方法をピン突き出しと言う。対物レンズのフランジをピンで突き出して取り出す場合、対物レンズを第2の光学面側から眺めた図9(b)に示すように、フランジが複数のピン跡15を有することになる。
<ゲートカット>
成形時に樹脂注入口となるゲートをレンズ成形後、除去する必要がある。その態様の幾つかを以下に示す。
図13(a)では、対物レンズOL1のフランジ部OLbの一部を直線的に切断するようにして、ゲートGTを含む部位をカットしている。これにより、対物レンズOL1の外周には、直線部LPが形成される。ゲート除去後の対物レンズOL1は、図13(a)に示すような形状となり、フランジ部外径の延長線で形成される仮想円内の中にゲートの残りやバリは収まっている。
図13(b)では、対物レンズOL1のフランジ部OLbの一部をU字状に切断するようにして、ゲートGTを含む部位をカットしている。これにより、対物レンズOL1の外周には、円弧部CPが形成される。ゲート除去後の対物レンズOL1は、図13(b)に示すような形状となり、フランジ部外径の延長線で形成される仮想円内の中にゲートの残りやバリは収まっている。
図13(c)でも、対物レンズOL1のフランジ部OLbの一部を対物レンズ外周に沿った円弧状にゲートGTを含む部位をカットした後、ゲートの位置が識別しやすいようにU字状に切断するようにしている。これにより、対物レンズOL1の外周には、凹部VPが形成される。ゲート除去後の対物レンズOL1は、図13(c)に示すような形状となり、フランジ部外径の延長線で形成される仮想円内の中にゲートの残りやバリは収まっている。尚、U字状に切断する工程をなくし、対物レンズ外周に沿った円弧状ゲートGTを含む部位をカットするだけとしてもよい。いずれのゲートカットを採用することは任意である。
また、樹脂の転写性を高めるために、金型に空気穴や空気溝(エアベントとも言う)を設け、そこから空気を吸引したり、金型内の空気を逃がしたりするという方法を取ることがある。その場合、当該エアベントに樹脂が入り込んでバリとなる可能性が出てくる。その際は、エアベントバリを除去することが好ましい。
<コート>
ところで、光源から出射されるレーザ光を効率よく利用するために、対物レンズには、透過率を高める工夫がなされている。例えば対物レンズの光学面には、反射防止膜が成膜され、光の干渉を利用して光学面から反射する光の量を抑制するようにしている。
対物レンズに反射防止膜を成膜する場合、それに入射する異なる波長の光束それぞれに対して、反射防止を実現しなくてはならない。ところが、反射防止を実現できる波長域を広くとるためには、一般的には反射防止膜の膜厚の増大を容認せざるをえないが、膜厚の増大により、それにより所望の光学特性が得られなくなる恐れがある。尚、光学機能面のみに反射防止膜を設けるようにしてもよいし、光学機能面とフランジ部の一部または全部に反射防止膜を設けるようにしてもよい。
又、本発明のように、450nm以下の短波長領域輪帯構造による光学特性を得ようとした場合、反射防止膜が輪帯構造の形状に与える影響はより増大してしまうという問題がある。
更に、反射防止膜を成膜した光学部品には、光学面に付着した異物を拭うことによる反射防止膜の剥がれを抑制する、いわゆる拭き性も要求されるが、輪帯構造に膜厚の厚い反射防止膜を成膜すると拭き性が著しく低下するという問題がある。
耐拭き性を確保しつつ、光透過率を高く維持できるにもかかわらず、例えば輪帯構造による本来の光学特性を発揮させることを可能とするためには、以下のような反射防止膜とすることが好ましい。
第1光学面(光源側の光学面)に施された反射防止膜の膜厚は、垂直入射光に対する反射率が最小となる波長λ0(nm)と波長λ1(nm)が下記を満たすようにしてもよい。
λ0/λ1≦1.20
上式の上限を下回ることで、膜厚が大きくなりすぎないので、非球面の傾斜角が大きい第1光学面の膜厚誤差が大きくなることを防止でき、量産時に安定した膜厚を維持することが可能となる。
一方、第1光学面に施された反射防止膜の膜厚は、垂直入射光に対する反射率が最小となる波長λ0(nm)と波長λ1(nm)が下記を満たすようにしても良い。
1.20<λ0/λ1
上式の下限を上回ることで、リム強度(対物レンズの光軸付近を通過する光の強度に対する周辺部を通過する光の強度)を十分に確保することができ、集光スポット径を絞ることができる。これにより、2層以上(特に3層や4層)の情報記録層を有するBDに対応するために、フォーカスジャンプ時において対物レンズに比較的大きい発散角の光束が入射した場合にも、最適な集光スポットを形成できるため、光ピックアップ装置の記録/再生特性を向上することができる。
輪帯構造が設けられていない第2光学面における反射防止膜は、3層乃至10層のいずれかとすることが好ましい。
一方、輪帯構造が設けられている第1光学面における反射防止膜は、輪帯構造が設けられていない光学面における反射防止膜の層数より少なく、且つ、単層乃至9層のいずれかとすることが好ましい。2層乃至4層であることが更に好ましく、3層であることが最も好ましい。
または、第2光学面には反射防止膜を形成せず、第1光学面にのみ反射防止膜を形成してもよい。
反射防止膜は、高屈折率層(H材ともいう)と低屈折率層(L材ともいう)を交互に設けるか、中屈折率層(M材ともいう)と低屈折率層を交互に設けるか、又は、高屈折率層と中屈折率層と低屈折率層とを交互に設けることが好ましい。尚、低屈折率層とは、好ましくは、設計波長(好ましくは480nm以上、540nm以下の波長)での屈折率が、1.30以上、1.50以下の層をいう。また、中屈折率層とは、好ましくは、設計波長での屈折率が、1.55以上、1.70以下の層をいう。また、高屈折率層とは、好ましくは、設計波長での屈折率が、1.75以上、2.50以下の層をいう。
低屈折率層の好ましい例としては、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、酸化シリコン等が挙げられる。中屈折率層の好ましい例としては、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、フッ化セリウム等が挙げられる。高屈折率層の好ましい例としては、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ハウニウム等が挙げられる。また、コートの方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、大気圧プラズマ法、塗布法、ミスト法等が挙げられる。尚、対物レンズがガラスレンズである場合、反射防止膜を形成した後、アニール処理することが好ましい。
高屈折率層、低屈折率層、中屈折率層の、好ましい組み合わせの例を、表1に幾つか示す。
<倍率>
第1光束は、平行光として対物レンズに入射してもよいし、発散光若しくは収束光として対物レンズに入射してもよい。第2光束、第3光束を用いる場合、同様に平行光として対物レンズに入射してもよいし、発散光若しくは収束光として対物レンズに入射してもよい。トラッキング時においても、コマ収差が発生することを防止するためには、第1光束に加え第2光束、及び第3光束を用いる場合、全て平行光又は略平行光として対物レンズに入射させることが好ましい。第1光束が平行光又は略平行光になる場合、第1光束が対物レンズに入射する時の対物レンズの結像倍率m1が、下記の式(8)を満たすことが好ましい。
−0.01<m1<0.01 (8)
また、第2光束を用いる場合、平行光又は略平行光として対物レンズに入射させる場合、第2光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m2が、下記の式(9)を満たすことが好ましい。
−0.01<m2<0.01 (9)
一方で、第2光束を用いる場合、発散光として対物レンズに入射させる場合、第2光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m2が、下記の式(9)´を満たすことが好ましい。
−0.025<m2≦−0.01 (9)´
また、第3光束を用いる場合、平行光束又は略平行光束として対物レンズに入射させる場合、第3光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m3が、下記の式(9)を満たすことが好ましい。
−0.01<m3<0.01 (10)
一方で、第3光束を用いる場合、発散光として対物レンズに入射させる場合、第3光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m3が、下記の式(10)´を満たすことが好ましい。
−0.025<m3≦−0.01 (10)´
光情報記録再生装置は、上述の光ピックアップ装置を有する光ディスクドライブ装置を有する。
ここで、光情報記録再生装置に装備される光ディスクドライブ装置に関して説明すると、光ディスクドライブ装置には、光ピックアップ装置等を収納している光情報記録再生装置本体から光ディスクを搭載した状態で保持可能なトレイのみが外部に取り出される方式と、光ピックアップ装置等が収納されている光ディスクドライブ装置本体ごと、外部に取り出される方式とがある。
上述した各方式を用いる光情報記録再生装置には、概ね、次の構成部材が装備されているがこれに限られるものではない。ハウジング等に収納された光ピックアップ装置、光ピックアップ装置をハウジングごと光ディスクの内周あるいは外周に向けて移動させるシークモータ等の光ピックアップ装置の駆動源、光ピックアップ装置のハウジングを光ディスクの内周あるいは外周に向けてガイドするガイドレールなどを有した光ピックアップ装置の移送手段及び、光ディスクの回転駆動を行うスピンドルモータ等である。
前者の方式には、これら各構成部材の他に、光ディスクを搭載した状態で保持可能なトレイおよびトレイを摺動させるためのローディング機構等が設けられ、後者の方式にはトレイおよびローディング機構がなく、各構成部材が外部に引き出し可能なシャーシに相当するドロワーに設けられていることが好ましい。
本発明によれば、プラスチック製でありながら、温度特性が良好であり、光利用効率が高く、かつバックフォーカスが十分に確保された対物レンズにおいて、構成する2つの光学面の芯ズレによる偏芯量のばらつきを抑えることができ、更にフランジ部の取り付け基準面に対する光学面のティルト量のばらつきも抑えることができ、安定した性能を有した光ピックアップ装置用対物レンズを得ることを目的とすることができる。
折り返しタイプの輪帯構造を有する対物レンズを示す概略図である。 ブレーズ型の回折構造を有する対物レンズを示す概略図である。 非球面である2つの光学面を有する両凸のプラスチック単レンズの、設計基準温度から30℃温度が上昇した場合の波面の様子を表す図である。 ワーキングディスタンスWDを説明するための図である。 本実施の形態の光ピックアップ装置PU1の構成を概略的に示す図である。 本実施形態にかかる対物レンズの製造方法を実施するための成形装置を説明する図である。 (a)は固定金型の端面図であり、(b)は可動金型の端面図である。 図6の成形装置によって成形される対物レンズの側面図である。 (a)は対物レンズの表面図であり、(b)は対物レンズの裏面図である。 対物レンズの断面図である。 製造工程を説明するフローチャートである。 実施例1の対物レンズの形状を示す図である。 ゲートカットの例を示す図である。
(光ピックアップ装置)
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図5は、光ディスクであるBD、DVD及びCDに対して適切に情報の記録/再生を行える本実施の形態の光ピックアップ装置PU1の構成を概略的に示す図である。かかる光ピックアップ装置PU1は、光情報記録再生装置に搭載できる。
光ピックアップ装置PU1は、BDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され405nmのレーザ光束(光束)を射出する第1半導体レーザLD1と、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され655nmのレーザ光束(光束)を射出する第2半導体レーザLD2と、BD又はDVDからの反射光を受光する光検出器PD1と、CDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され785nmのレーザ光束(光束)を射出する第3半導体レーザ及びCDからの反射光を受光する光検出器を備えたホログラムレーザユニットHLDと、第1ダイクロイックプリズムDBS1と、偏光ビームスプリッタPBSと、第2ダイクロイックプリズムDBS2と、コリメートレンズCOLと、λ/4波長板QWPと、異なる所定の波長の光束を反射しそれ以外を透過する第1反射面M1及び第2反射面M2を有する立ち上げプリズムPSと、BD専用の第1対物レンズOL1と、DVD/CD共用の第2対物レンズOL2とを有している。又、第1対物レンズOL1と第2対物レンズOL2とは、ボビンBBにより一体的に保持され駆動されるようになっている。
第1対物レンズOL1は、プラスチック製の単レンズであって、成形用金型により、光源側の光学面と、光ディスク側の光学面と、該光学面の周辺のフランジ面とが成形されてなり、光ディスク側の光学面の周辺のフランジ面に、成形用金型に設けられた突き出し部の突き出し部跡を有している。又、第1対物レンズOL1は、3以上30以下の数の輪帯から構成され、かつ、隣り合う輪帯同士が、入射光に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、少なくとも1つの光学面上に有している。この輪帯構造は、図1に示すように、段差の向きが有効径内で少なくとも一度入れ替わる折り返し構造となっている。
尚、本実施の形態においては、コリメートレンズCOLは、アクチュエータACTにより光軸方向位置を調整可能とされている。即ち、光ピックアップ装置PU1の組み付け時に、第1半導体レーザLD1から実際に出射される光束の波長を測定し、基準波長のズレに応じてコリメートレンズCOLを光軸方向に変位させ、実際の光束において許容範囲内に球面収差が収まるように調整できる。
また、2層BDや2層DVDに対して情報の記録及び/又は再生を行う場合に、層間フォーカスジャンプ時に発生する球面収差を、この収差補正機構を用いて補正するようにするのが好ましい。
BDに対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、第1半導体レーザLD1から波長λ1の光束を出射させる。かかる光束は、第1ダイクロイックプリズムDBS1と、偏光ビームスプリッタPBS、第2ダイクロイックプリズムDBS2を通過し、コリメートレンズCOLで略平行光束に変換され、λ/4波長板QWPを通過し、立ち上げプリズムPSの第1反射面M1で反射され、第1対物レンズOL1により集光されて、BDの保護層(厚さt1;0.03mm≦t1≦0.13mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第1対物レンズOL1を通過し、立ち上げプリズムPSの第1反射面M1で反射され、λ/4波長板QWP、コリメートレンズCOL、第2ダイクロイックプリズムDBS2を通過し、偏光ビームスプリッタPBSで反射され、光検出器PD1の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、BDに対して情報の記録及び/又は再生を行うことができる。
また、光検出器PD1上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて、第1半導体レーザLD1からの光束をBDの情報記録面上に結像するように、第1対物レンズOL1をボビンBB毎移動させるように、アクチュエータACを駆動する。
DVDに対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、第2半導体レーザLD2から波長λ2の光束を出射させる。かかる光束は、第1ダイクロイックプリズムDBS1で反射され、偏光ビームスプリッタPBS、第2ダイクロイックプリズムDBS2を通過し、コリメートレンズCOLで略平行光束に変換され、λ/4波長板QWPを通過し、立ち上げプリズムPSの第1反射面M1を通過し第2反射面M2で反射され、第2対物レンズOL2により集光されて、DVDの保護層(厚さt2;0.5mm≦t2≦0.7mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第2対物レンズOL2を通過し、立ち上げプリズムPSの第2反射面M2で反射され第1反射面M1を通過し、λ/4波長板QWP、コリメートレンズCOL、第2ダイクロイックプリズムDBS2を通過し、偏光ビームスプリッタPBSで反射され、光検出器PD1の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、DVDに対して情報の記録及び/又は再生を行うことができる。
また、光検出器PD1上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて、第2半導体レーザLD2からの光束をDVDの情報記録面上に結像するように、第2対物レンズOL2をボビンBB毎移動させるように、アクチュエータACを駆動する。
CDに対して情報の記録及び/又は再生を行う場合、ホログラムレーザユニットHLDの第3半導体レーザから波長λ3の光束を出射させる。かかる光束は、第2ダイクロイックプリズムDBS2で反射され、コリメートレンズCOLで略平行光束に変換され、λ/4波長板QWPを通過し、立ち上げプリズムPSの第1反射面M1を通過し第2反射面M2で反射され、第2対物レンズOL2により集光されて、CDの保護層(厚さt3;1.1mm≦t3≦1.3mm)を介してその情報記録面に集光されここに集光スポットを形成する。
そして情報記録面で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び第2対物レンズOL2を通過し、立ち上げプリズムPSの第2反射面M2で反射され第1反射面M1を通過し、λ/4波長板QWP、コリメートレンズCOLを通過し、第2ダイクロイックプリズムDBS2で反射され、ホログラムレーザユニットHLDの光検出器の受光面に入射するので、その出力信号を用いて、CDに対して情報の記録及び/又は再生を行うことができる。
また、ホログラムレーザユニットHLDの光検出器上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出に基づいて、ホログラムレーザユニットHLDの第3半導体レーザからの光束をCDの情報記録面上に結像するように、第2対物レンズOL2をボビンBB毎移動させるように、アクチュエータACを駆動する。
なお、図5に示す光ピックアップ装置においては、光源から出射された光束の波長変化に起因して対物レンズで発生する球面収差の補正は、コリメートレンズCOLを光軸方向(図5に示す矢印方向)に移動させることで行われる。
(対物レンズの製造方法)
以下、本実施の形態にかかる光ピックアップ用対物レンズの製造方法について、図面を参照しつつ説明する。
図6は、本製造方法を実施するための成形装置を説明する図であり、図7(a)は、図6の成形装置を構成する成形金型40のうち第2金型としての固定金型42をA方向から見た端面図であり、図7(b)は、成形金型のうち第1金型としての可動金型41をB方向から見た端面図である。なお、図8は、成形品たる対物レンズOL1の側面図であり、図9(a)及び9(b)は、対物レンズOL1の表面図及び裏面図であり、図10は、図9(b)に示す対物レンズOL1のX-X断面図である。
成形金型40を構成する可動金型41と固定金型42とは、パーティングラインPLを境として開閉可能になっている。図6に示す型閉じ状態の両金型41,42に挟まれて形成された空間であるキャビティCVは、成形品としての対物レンズOL1の形状に対応するものとなっている。成形される対物レンズOL1は、プラスチック製で、図8に示すように、光学的機能を有する円形の中心部OLaと、中心部OLaの周囲から外径方向に延びる環状のフランジ部OLbとを備える。この対物レンズOL1は、NA0.85のBD専用対物レンズである。
可動金型41は、第1金型であり、可動側のコア型としての鏡面コア52と、鏡面コア52の周囲で鏡面コア52を支持し、かつ一体に固定することを可能とした構造を有する外周型51と、成形後に成形品としての対物レンズOL1を突き出すことによって離型させる複数の円筒状の突き出しピン(突き出し部)54と、これら突き出しピン54を外周型51から固定金型42に向けて進退移動させる進退駆動装置71とを備える。
可動金型41において、外周型51は、パーティングラインPLを形成する端面51cを有する。また、外周型51の中心側には、キャビティCVのうちフランジ領域CVbを画定するための成形面51aが設けられている。この成形面51aは、図8に示す対物レンズOL1のフランジ部OLbの裏面RS及び側面SSを転写によって成形する。又、外周型51に設けた円柱状のコア挿通孔56の近傍には、突き出しピン54を支持するとともに突き出しピン54を鏡面コア52の軸AXに平行な方向に摺動可能に案内するピン挿通孔55が周方向に等間隔で4つ形成されている。コア挿通孔56内に挿入された状態で固定されている鏡面コア52の先端には、キャビティCVのうち中心領域CVaを画定するための光学面成形面52aが設けられている。この光学面成形面52aは、第1転写面を構成するものであり、僅かに凹面に形成されており、図8に示す対物レンズOL1の中心部OLaの一方の光学面LSbを成形するものである。この光学面LSbは、その動作時に光ディスクであるBDに対向して配置される第2光学面として機能する。なお、鏡面コア52は、不図示のネジ等によって外周型51の根元側において直接的に支持・固定されており、光学面成形面52aと成形面51aとの位置関係が精密に保たれるようになっている。
外周型51のピン挿通孔55に挿入されている突き出しピン54の先端には、フランジ領域CVbの一部を画定する平坦な円形の先端面54aが設けられている。この先端面54aは、対物レンズOL1のフランジ部OLbの裏面RSのうち突き当て面PS(図9(b))を成形する部分となっている。突き出しピン54は、進退駆動装置71に駆動されてピン挿通孔55内で軸AX1に沿って移動可能になっており、成形金型40の型開き後に可動金型41から対物レンズOL1を離型する際に固定金型42側に前進し、かかる離型後から型閉じまでの間の適当なタイミングで可動金型41の奥側に後退する。具体的には、進退駆動装置71によって突き出しピン54を先端側の前進方向に付勢することにより、突き出しピン54の端部が成形面51aから必要量だけ突出して、対物レンズOL1を固定金型42側に押し出すことができ、成形後の対物レンズOL1を可動金型41から離型させることができる。このとき、突き出しピン54の先端面54aによる突き出し跡が、対物レンズOL1の突き当て面PSにつくこととなる。なお、図6中に点線で示す突き出しピン54の位置は、固定金型42によって移動を制限された状態を示しており、対物レンズOL1の突き出し時には、これ以上に突出する。一方、進退駆動装置71による突き出しピン54の前進方向への付勢を停止すると、進退駆動装置71に設けた不図示の戻しバネ等によって突き出しピン54の先端面54aが成形面51aの位置まで後退し、突き出しピン54は外周型51内に収納される。
図7(b)に示すように、外周型51の成形面51aは、コア挿通孔56の周囲において平坦ではなく、複数の浅皿状の凹部58,59を有している。3つの凹部58、59は、円輪帯を分割したごとき形状を有し、3つの凹部58は同じ形状であるが、残りの2つの凹部59は、凹部58を2つに分割したごとき形状を有する。これらの凹部58,59は、図9(b)に示すような、対物レンズOL1のフランジ部OLbの裏面RSに設けられる低い台地状隆起部18,19を成形するための転写面となっている。これらの隆起部18,19は、突き当て面PSの外周に不可避的に形成される突き当て跡としてのバリ15(図10参照)が周囲よりも裏面側に突出することを防止して、製品としての対物レンズOL1の取扱容易性を高めている。又、凹部58、59の形状を異ならせているのは、2つの凹部59間の隙間によって対物レンズOL1の方向性を表すためである。この例では、両凹部59によって対物レンズOL1のフランジ部OLbの裏面RSに転写形成された隆起部19の間のスリットSL(図9(b))が、それに180°対向する位置に、樹脂注入用のゲートが存在したことを示している。これを目視することで、対物レンズOL1の組み付け時の参考になる。又、成形面51aの一部は、第2光学面OLaの周囲において光軸OAに直交する輪帯平面状の鏡面RPを形成するために用いられる。鏡面RPは、対物レンズOL1を組み付ける際に不図示の光学センサからの光を反射させて、その姿勢を検出するものである。
以上の可動金型41は、型開閉駆動装置72によって、適当なタイミングで固定金型42に対して進退移動する。具体的には、型開閉駆動装置72は、型閉じ時に可動金型41を軸AX方向に沿って固定金型42に近接するように移動させ、両金型41,42を密着させてキャビティCVを形成する。さらに、型開閉駆動装置72は、キャビティCV中に樹脂を注入する際に可動金型41を必要な圧力で固定金型42に付勢して型締めを行う。一方、型開閉駆動装置72は、型開き時に可動金型41を軸AX方向に沿って固定金型42から離間するように移動させ、固定金型42から成形品たる対物レンズOL1を分離する離型を行う。
図6において、固定金型42は、第2金型であり、固定側のコア型としての鏡面コア62と、鏡面コア62を支持し、かつ一体に固定することを可能とした構造を有する外周型61とを備える。
外周型61は、パーティングラインPLを形成する端面61cを有する。また、外周型61の中心側すなわち端面61cの最内周には、キャビティCVのうちフランジ領域CVbの最外周を画定するための成形面61aが設けられている。コア挿通孔66内に挿入された状態で固定されている鏡面コア62の先端には、キャビティCVのうち中心領域CVaとフランジ領域CVbの主要部とを画定するための成形面62aが設けられている。この成形面62aは、中心領域CVaの光学面LSaに対応する光学面成形面S2と、フランジ部OLbの表面FSのうち取付面F1に対応する成形面S3と、中心領域CVa及びフランジ部OLbの境界に形成された凹部DPに対応する成形面S4とで構成される。ここで、光学面成形面S2は、凹面であり、この光学面成形面S2によって転写される光学面LSaは、その動作時に光ピックアップ装置のレーザ光源側に配置される第1光学面として機能する。第1光学面の曲率半径は、第2光学面の曲率半径よりも小さい。又、成形面S3により成形される取付面F1は、図10に点線で示すレンズホルダLHに取り付けられる際の基準面となる。なお、鏡面コア62は、不図示のネジ等によって外周型61の根元側において直接的に支持・固定されており、成形面S3と成形面61aとの位置関係が精密に保たれるようになっている。
鏡面コア62において、光学面LSaに対応する光学面成形面S2の最外周の位置D2と、図8の取付面F1に対応する成形面S3の位置D3とを比較すると、成形面S3の方が深い位置に形成されている。つまり、軸AXの方向を基準として、光学面成形面S2の最外周の方が可動金型41側に突出しており、成形面S3は、可動金型41側とは逆側に陥没した位置に配置されている。また、光学面LSa用の光学面成形面S2の最外周の位置D2と、成形面S4の位置D4とを比較すると、両者は同じ深さ位置に形成されている。したがって、取付面F1用の成形面S3の位置D3と、成形面S4の位置D4とを比較すると、成形面S3の方が可動金型側41側とは逆側に陥没した位置に形成されている。つまり、軸AXの方向を基準として、成形面S4の方が可動金型41側に突出しており、成形面S3は、可動金型41側とは逆側に陥没した位置に配置されている。
以上のように、成形面S4は、第2転写面を構成する光学面成形面S2以上に突出しており、結果的に、第3転写面を具体化した成形面S3よりも突出しているが、成形面S3は、可動金型41から十分に離間した状態となっている。これにより、図8に示す対物レンズOL1において、フランジ部OLbは、取付面F1の部分で十分な肉厚を有することになり、成形時の樹脂注入圧力を低減することができる。一方で、フランジ部OLbと中心部OLaとの間に肉薄の凹部DPが形成されるが、この凹部DPは、鏡面コア62の先端側に環状の凸部68を設けることに対応し、凸部68の先端面である成形面S4は、型閉じに際して突き出しピン54の先端が取付面F1用の成形面S3と接触することを回避する制限部材として機能する。すなわち、樹脂屑、摺動部の傷等の影響で突き出しピン54の戻りが一時的に悪化しても、突き出しピン54の先端面54aの一部が凸部68の成形面S4に当たって押し戻されるので、取付面F1用の成形面S3が傷付いてしまう所謂ピンかじりを防止できる。つまり、ピンかじりが発生した後の成形では、全ての成形品の取付面F1上に凹凸傷が転写されてしまうが、上述のように凸部68によって取付面F1用の成形面S3のピンかじりの発生を未然に防止することで、対物レンズOL1の組み付け精度の低下を防止できる。この点は、特にNA0.75以上の高NAレンズの場合に重要であり、対物レンズOL1の固定に際してコマ収差の原因となるチルトが発生することを予防できる。また、dを対物レンズの光軸上の厚さとし、fを対物レンズの使用波長での焦点距離としたときに、1.0≦d/f≦1.7を満たす対物レンズにおいてはチルトに起因するコマ収差の問題が大きなものとなりやすいため、チルト発生の予防の効果が大きい。
なお、凸部68は、光学面LSa用の光学面成形面S2と、取付面F1用の対応する成形面S3との間に配置される関係上、あまり幅d(図7(a))を広くすることができない。よって、この実施形態では、図7(a)に点線で示すように、突き出しピン54の先端面54a全体が凸部68の成形面S4に当接し得るように対向するのではなく、先端面54aの一部のみが成形面S4に当接し得るように対向して配置されている。また、突き出しピン54の先端面54aは、凸部68の成形面S4の最内周よりも外側に配置されており、結果的に、光学面LSa用の光学面成形面S2の最外周よりも外側に配置されている。さらに、突き出しピン54自体は、可動金型41の外周型51に設けられており、鏡面コア52の光学面成形面52aの最外周よりも外側に配置されている。よって、突き出しピン54が対物レンズOL1の光学面LSa,LSbと干渉することを回避することができ、突き出しピン54が対物レンズOL1の中心部OLaの光学的な機能に影響することを防止している。
対物レンズOL1において、図9(a)の取付面F1は、環状の凸部17の上端面として形成されているが、この凸部17の最外周には、奥に後退した段差部17aが形成されている。また、これに対応して、固定金型42の鏡面コア62の外周には、図7(a)に示すように、可動金型41側に突起した段差部67aが形成されている。鏡面コア62の外縁に設けた段差部67aを転写した段差部17aは、固定側がコア型と外周型の分割構造となっていることで鏡面コア62の外周65の位置に不可避的に存在する隙間(クリアランス)に樹脂が入り込むことによって形成されるバリ25が周囲よりも表面側すなわち取付面F1よりも高い位置に突出することを防止して、製品としての対物レンズOL1の組付容易性を高めている。なお、成形面S3を基準とする段差部67aの突起量は、制限部材としての凸部68の突起量よりも少なくなっている。このため、戻りの悪くなった突き出しピン54の先端は、まず凸部68に当たり、段差部67aに当たることはない。段差部67aの突起量を少なくすることは、可動金型41と固定金型42との間に形成される樹脂注入用のゲートを厚くできる点で有利である。
参考のため、図8(a)において、対物レンズOL1のフランジ部OLbの表面FSに、突き出しピン54の突き当て跡としてのバリ15を背後から光軸OA方向に投影した跡投影部TPを示した。この跡投影部TPの円領域と、凹部DPの底面とは、部分的に重なっていることが分かる。
図11は、図6に示す成形装置を用いた製造方法を概念的に説明するフローチャートである。まず、事前に不図示の金型温度調節機により、可動金型41と固定金型42とを成形に適する温度まで加熱する。これにより、両金型41,42においてキャビティCVを形成する金型部分の表面やその近傍の温度を成形に適する温度状態とする。
次に、型開閉駆動装置72を動作させ、可動金型41を固定金型42側に前進させて型閉じを開始させる(ステップS11)。型開閉駆動装置72の閉動作を継続することにより、可動金型41と固定金型42とが接触する型閉じ状態となり、型開閉駆動装置72の閉動作を更に継続することにより、可動金型41と固定金型42とを必要な圧力で締め付ける型締めが行われる(ステップS12)。
次に、不図示の射出装置を動作させて、型締めされた可動金型41と固定金型42との間のキャビティCV中に、溶融樹脂を、ゲート等を介して必要な圧力で注入する射出を行わせる(ステップS13)。
溶融樹脂をキャビティCVに導入した後は、キャビティCV中の溶融樹脂が放熱によって徐々に冷却されるので、かかる冷却にともなって溶融樹脂が離型できる固さまで固化するのを待つ(ステップS14)。
次に、型開閉駆動装置72を動作させて、可動金型41を後退させ、可動金型41を固定金型42から離間させる型開きを行わせる(ステップS15)。この結果、成形品である対物レンズOL1は、可動金型41に保持された状態で固定金型42から離型される。
次に、進退駆動装置71を動作させて、突き出しピン54による対物レンズOL1の突き出しを行わせる(ステップS16)。具体的には、4つの突き出しピン54を同時に突出させて、対物レンズOL1のフランジ部OLbを軸AXに沿ってバランス良く押し出す。この結果、対物レンズOL1が、突き出しピン54の先端面に付勢されて固定金型42側に押し出されて、対物レンズOL1が可動金型41から離型される。
なお、両金型41,42から離型された対物レンズOL1は、この対物レンズOL1のゲート部(不図示)から延びるスプル部等を把持することによって、成形装置の外部に搬出される(ステップS17)。さらに、搬出後の対物レンズOL1は、ゲート部の除去等の外形加工を施されて出荷用の製品とされる。
以上説明した本実施形態の製造方法によれば、固定金型42が光学面成形面52a及び成形面S3の間であって突き出しピン54の先端面54aに対向する位置に凸部68を有し、この凸部68が成形面S3よりも可動金型41側に突出するので、仮に突き出しピン54の戻りが悪くなって可動金型41の内面に突起した状態で両金型41,42の型閉じや型締めが行われた場合であっても、突き出しピン54の先端面54aが凸部68によって押し戻される。よって、突き出しピン54が成形面S3に当たって成形面S3を傷付けるピンかじりの発生を防止できるので、成形及び離型後の対物レンズOL1は、滑らかな成形面S3によって形成された精密な取付面F1を有するものとなり、光ピックアップ用の対物レンズOL1の組み付け精度を確保することができる。
なお、本実施形態では、光学面成形面52aと成形面S3と間に設けた凸部68が突き出しピン54の先端面54aの少なくとも一部に対向することから、突き出しピン54を光学面成形面52aに近い比較的内側に配置することができる。よって、対物レンズOL1が不必要に大型化することを回避することができる。また、凸部68よりも十分奥に後退した位置に成形面S3を配置するので、成形面S3の配置の自由度が確保され、対物レンズOL1のフランジ部OLbを厚くすることができる。これにより、成形中のキャビティCV内の樹脂圧力を低くした状態で高精度の転写が可能になり、残留内部応力の低減によって耐熱性の高い対物レンズOL1を提供することができる。また、フランジ部OLbを厚くすることにより、成形金型40において樹脂導入用のゲート(不図示)の厚みを大きくすることができ形状の自由度を増すことができる。
(対物レンズの実施例)
以下、上述した実施の形態に好適な対物レンズの数値実施例について説明する。尚、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば、2.5×10-3)を、E(例えば、2.5E―3)を用いて表すものとする。
また、これ以降(表のレンズデータ含む)において、Rは近軸曲率半径、Dは光軸上の距離、Nは、波長λにおける屈折率を表す。又、表2に、実施例1の対物レンズの計算に用いた、基準状態での屈折率と、その基準状態に対して温度及び波長が変化した状態での屈折率をまとめて示す。
実施例1にかかる光学系の光学面は、それぞれ式(7)に、表に示す係数を代入した数式で規定される。
z=(y2/r)/[1+√{1−(κ+1)(y/r)2}]+A0+A44+A66+A88+A1010+A1212+A1414+A1616+A1818+A2020・・・(7)
但し、
z:非球面形状(非球面の面頂点に接する平面から光軸に沿った方向の距離)
y:光軸からの距離
r:曲率半径
κ:コーニック係数
0、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16、A18、A20:非球面係数
即ち、実施例1にかかる光学系の光学面は、光軸の周りに軸対称な非球面に形成されており、表中の開始高さと終了高さとで区切られた輪帯構造を含む。
(実施例1)
表3に、本実施の形態にかかる光ピックアップ装置に好適な対物レンズの実施例1のデータを示す。
図12(a)は、実施例1に係る対物レンズの光軸を含む断面図であって、各部寸法を記載している。図12(b)は、実施例1に係る対物レンズを光ディスク側から見た図である。図12(c)は、図12(b)の対物レンズを矢印C方向に見た図である。図12に示すように、実施例1の対物レンズの各部寸法は、以下の通りであるが、輪帯構造は段差が非常に小さいため図面上は目視できない。尚、ゲートカットは、本実施例においては、図13(a)に示すタイプで行っているが、図13(b)、(c)に示すタイプでも良い。
対物レンズの外径=φ3.3mm
第1光学面の面径=φ2.4mm
第1光学面の有効径=φ2.144mm
第2光学面の面径=φ1.492mm
第2光学面の有効径=φ1.180mm
対物レンズの軸上厚=1.57mm
光源側面頂点から光源側フランジ面までの距離=0.95mm
フランジ部最大厚=0.615mm
光源側フランジ面から重心までの距離=0.12mm
光源側フランジ面から像側主点までの距離=0.21mm
光源側フランジ面から物体側主点までの距離=0.35mm
光源側フランジ面の幅=0.23mm
光ディスク側反射面の幅=0.2mm
ゲートカット量=0.21mm以下
重量=7mg
次に、本実施例に好適な反射防止膜について説明する。実施例1の対物レンズにおける光源側光学面には、以下の表4に示す3層の反射防止膜を、真空蒸着法を用いて設ける。
実施例1の対物レンズにおける光ディスク側光学面には、以下の表5に示す3層の反射防止膜を、真空蒸着法を用いて設ける。
表6に、実施例1に関する請求項に記載の式の値をまとめて示す。
本発明は、明細書に記載の実施例に限定されるものではなく、他の実施例・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施例や思想から本分野の当業者にとって明らかである。明細書の記載及び実施例は、あくまでも例証を目的としており、本発明の範囲は後述するクレームによって示されている。
15 バリ
17 凸部
17a 段差部
18 隆起部
19 隆起部
25 バリ
40 成形金型
41 可動金型
42 固定金型
51 外周型
51a 成形面
51c 端面
52 鏡面コア
52a 光学面成形面
54 突き出しピン
54a 先端面
55 ピン挿通孔
56 コア挿通孔
58 凹部
59 凹部
61 外周型
61a 成形面
61c 端面
62 鏡面コア
62a 成形面
65 外周
66 コア挿通孔
67a 段差部
68 凸部
71 進退駆動装置
72 型開閉駆動装置
AC アクチュエータ
ACT アクチュエータ
BB ボビン
COL コリメートレンズ
CP 円弧部
CV キャビティ
CVa 中心領域
CVb フランジ領域
DBS1 第1ダイクロイックプリズム
DBS2 第2ダイクロイックプリズム
DP 凹部
F1 取付面
FS 表面
GT ゲート
HLD ホログラムレーザユニット
LD1 第1半導体レーザ
LD2 第2半導体レーザ
LH レンズホルダ
LP 直線部
LSa 光学面
LSb 光学面
M1 反射面
M2 反射面
OL1 BD専用対物レンズ
OL2 DVD/CD用対物レンズ
OLa 中心部
OLb フランジ部
PBS 偏光ビームスプリッタ
PD1 光検出器
PL パーティングライン
PS プリズム
PU1 光ピックアップ装置
QWP λ/4波長板
RP 鏡面
RS 裏面
SL スリット
SS 側面
TP 跡投影部
VP 凹部

Claims (11)

  1. 450nm以下の波長λ1の光束を出射する第1光源と、前記第1光源から出射された光束を第1光ディスクの情報記録面に集光させるための対物レンズを含む集光光学系とを有し、前記集光光学系が、前記第1光源からの光束を、第1光ディスクの情報記録面に集光させることによって、情報の記録及び/又は再生を行うことが可能な光ピックアップ装置に用いる対物レンズであって、
    前記対物レンズは、プラスチック製の単レンズであって、成形用金型により、一対の光学面と、該光学面の周辺のフランジ面とが形成されてなり、前記一対の光学面のうち有効径の小さい方の周辺のフランジ面に、成形用金型に設けられた突き出し部の突き出し部跡を有し、
    前記対物レンズは、3以上30以下の数の輪帯から構成され、かつ、隣り合う輪帯同士が、入射光に対して所定の光路差を生じるように形成された輪帯構造を、少なくとも1つの光学面上に有し、
    前記輪帯構造は、段差の向きが有効径内で少なくとも一度入れ替わる折り返し構造となっており、
    前記第1光ディスクに対して情報を記録及び/または再生するのに必要な前記対物レンズの像側開口数をNA、前記対物レンズの焦点距離をf(mm)、前記対物レンズの3次球面収差の温度変化率(δSA3/δT)をδSAT(λrms/℃)、前記対物レンズの3次球面収差の波長変化率(δSA3/δλ)をδSAλ(λrms/nm)、としたとき、次式を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置用の対物レンズ。
    NA≧0.8 (1)
    2.2≧f(mm)≧0.9 (2)
    0≦δSAT/f(λrms/℃・mm)≦0.0024 (3)
    −0.015≦δSAλ/f(λrms/nm・mm)≦−0.003 (4)
    但し、δSATを測定もしくは計算する際の前記対物レンズへの入射光束の波長の温度変化率を0nm/℃とし、δSAT及びδSAλにおける3次球面収差の符号は、補正過剰方向に変化する場合を「+」、補正不足方向に変化する場合を「−」とする。
  2. 前記輪帯構造が形成された光学面上で、有効径の60%の高さから80%の高さの領域に形成されたいずれかの輪帯において、段差の向きが入れ替わることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  3. 前記対物レンズの設計基準波長λ0(nm)の光束を入射させた場合に、前記段差により発生する光路差を以下の式で表現したとき、段差の向きが入れ替わる輪帯よりも光軸直交方向外側に形成された段差において、mが2以上の自然数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
    m=INT(|X|)
    ただし、X=Δ・(N0−1)/(λ0・10-3)であり、INT(|X|)は|X|を四捨五入して得られる整数であり、Δ(μm)は段差の深さであり、N0は前記設計基準波長λ0(nm)における前記対物レンズの屈折率である。尚、Δは、光軸に近い側に隣接する輪帯に対して、光軸から遠い側に隣接する輪帯が光ディスクに近づく方向に変位している場合を「+」、光軸に近い側に隣接する輪帯に対して、光軸から遠い側に隣接する輪帯が光ディスクに遠ざかる方向に変位している場合を「−」とする。
  4. 前記輪帯構造において、各輪帯の非球面形状を同一形式の関数で表現した際の非球面係数が、前記輪帯のうち少なくとも2つの輪帯において互いに異なることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  5. 以下の条件式を満たすことを特徴とする請求1乃至4の何れか1項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
    50 ≦ (mAVE・M)/(f・NA4) ≦ 100 (5)
    ただし、mAVEは、有効径内に形成された段差毎に下記式で算出されるmiの総和を、有効径内に形成された段差の数で割った値であり、Mは、前記対物レンズの有効径内に形成された前記輪帯構造の輪帯の総数を表す。
    mi=INT(|Xi|)
    ここで、Xi=Δi・(N0−1)/(λ0・10-3)であり、INT(|Xi|)は|Xi|を四捨五入して得られる整数であり、Δi(μm)は各段差の深さであり、N0は前記設計基準波長λ0(nm)における前記対物レンズの屈折率である。尚、Δiは、光軸に近い側に隣接する輪帯に対して、光軸から遠い側に隣接する輪帯が光ディスクに近づく方向に変位している場合を「+」、光軸に近い側に隣接する輪帯に対して、光軸から遠い側に隣接する輪帯が光ディスクに遠ざかる方向に変位している場合を「−」とする。
    また、Δiは、光軸に最も近い段差から順に、Δ1、Δ2、Δ3、・・とする。
  6. 前記輪帯の総数は、5以上20以下であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  7. 以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
    1.0 ≦ d/f ≦ 1.7 (6)
    ただし、d(mm)は、前記対物レンズの光軸上の厚さを表す。
  8. 前記光ディスクに情報の記録及び/又は再生を行う際のワーキングディスタンスが0.25mm以上であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の光ピックアップ装置用の対物レンズ。
  9. 前記第1光ディスク側に形成された第2光学面と、
    前記第1光ディスク側であって前記第2光学面よりも外周側の前記フランジ面の少なくとも一部に設けられ、前記突き出し部の突き当て跡を有する突き当て面と、
    前記第1光源側に形成された第1光学面と、
    前記第1光源側であって前記第1光学面よりも外周側の前記フランジ面の少なくとも一部に形成された取付面と、
    前記第1光学面及び前記取付面の間における、前記突き当て面の裏面位置であって前記突き当て跡を光軸方向に投影した際に前記突き当て面の少なくとも一部と重なる位置に設けられるとともに、前記取付面よりも前記突き当て面側に後退する凹部と、
    を有することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の光ピックアップ用対物レンズ。
  10. 前記凹部は、前記第1光学面の有効径の位置よりも前記突き当て面側に位置していることを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ用対物レンズ。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載の光ピックアップ用対物レンズを有することを特徴とする光ピックアップ装置。
JP2011284661A 2011-12-27 2011-12-27 光ピックアップ装置用の対物レンズ Pending JP2013134797A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011284661A JP2013134797A (ja) 2011-12-27 2011-12-27 光ピックアップ装置用の対物レンズ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011284661A JP2013134797A (ja) 2011-12-27 2011-12-27 光ピックアップ装置用の対物レンズ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013134797A true JP2013134797A (ja) 2013-07-08

Family

ID=48911384

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011284661A Pending JP2013134797A (ja) 2011-12-27 2011-12-27 光ピックアップ装置用の対物レンズ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013134797A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5883989B2 (ja) * 2013-03-26 2016-03-15 富士フイルム株式会社 成形型

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5883989B2 (ja) * 2013-03-26 2016-03-15 富士フイルム株式会社 成形型

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8023388B2 (en) Objective lens, optical pickup apparatus, and optical information recording reproducing apparatus
US8395982B2 (en) Objective lens for optical pickup device, optical pickup device, and optical information recording and reproducing device
JP2013134797A (ja) 光ピックアップ装置用の対物レンズ
JP5429412B2 (ja) 対物レンズ、光ピックアップ装置および対物レンズの製造方法
WO2013047202A1 (ja) 対物レンズ及び光ピックアップ装置
JP6065347B2 (ja) 対物レンズ及び光ピックアップ装置
JP5152439B2 (ja) 光ピックアップ装置用の対物レンズ及び光ピックアップ装置
WO2013005672A1 (ja) 光ピックアップ装置
JP5582421B2 (ja) 光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置
JP5835320B2 (ja) 光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置
JP2013051002A (ja) 光ピックアップ装置用の対物レンズ
JP5963120B2 (ja) 対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置
JP2011198446A (ja) 光ピックアップ装置
WO2013027622A1 (ja) 対物レンズ及び光ピックアップ装置
WO2011065276A1 (ja) 光ピックアップ装置用の対物レンズ及び光ピックアップ装置
JP5229657B2 (ja) 光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置
JP2013211077A (ja) 光ピックアップ装置の対物レンズ及び光ピックアップ装置
JPWO2012036052A1 (ja) 光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置
WO2011078022A1 (ja) 光ピックアップ装置用の対物レンズ及び光ピックアップ装置
WO2013121615A1 (ja) 光ピックアップ装置用の対物レンズ及び光ピックアップ装置
WO2011099317A1 (ja) 光ピックアップ装置
WO2013084558A1 (ja) 光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置
JP2013206516A (ja) 光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置
JP2013206515A (ja) 光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置
JP2012212497A (ja) 光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130415