JP2013206515A - 光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置 - Google Patents

光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】3種類の光ディスクの互換を共通の対物レンズで行うことを可能としつつ、スポット径の太りを抑制でき、しかも製造容易性に優れた光ピックアップ装置用の対物レンズ並びにそれを用いた光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】中心領域と中間領域とにおいて外側壁OWを傾斜させることで、周辺領域の光量落ち分に応じて、中心領域と中間領域を通過する光量を低下させ、集光スポットの太りを抑制している。
【選択図】図7

Description

本発明は、異なる種類の光ディスクに対して互換可能に情報の記録及び/又は再生(記録/再生)を行える光ピックアップ装置、対物レンズ及び光情報記録再生装置に関する。
近年、光ピックアップ装置において、光ディスクに記録された情報の再生や、光ディスクへの情報の記録のための光源として使用されるレーザ光源の短波長化が進み、例えば、青紫色半導体レーザ等、波長390〜420nmのレーザ光源が実用化されている。これら青紫色レーザ光源を使用すると、DVD(デジタルバーサタイルディスク)と同じ開口数(NA)の対物レンズを使用する場合で、直径12cmの光ディスクに対して、15〜20GBの情報の記録が可能となり、対物光学素子のNAを0.85にまで高めた場合には、直径12cmの光ディスクに対して、23〜25GBの情報の記録が可能となる。
上述のようなNA0.85の対物レンズを使用する光ディスクの例として、BD(ブルーレイディスク)が挙げられる。光ディスクの傾き(スキュー)に起因して発生するコマ収差が増大するため、BDでは、DVD における場合よりも保護基板を薄く設計し(DVDの0.6mmに対して、0.1mm)、スキューによるコマ収差量を低減している。
ところで、BDに対して適切に情報の記録/再生ができると言うだけでは、光ディスクプレーヤ/レコーダ(光情報記録再生装置)の製品としての価値は十分なものとはいえない。現在において、多種多様な情報を記録したDVDやCD(コンパクトディスク)が販売されている現実をふまえると、BDに対して情報の記録/再生ができるだけでは足らず、例えばユーザが所有しているDVDやCDに対しても同様に適切に情報の記録/再生ができるようにすることが、BD用の光ディスクプレーヤ/レコーダとしての商品価値を高めることに通じるのである。このような背景から、BD用の光ディスクプレーヤ/レコーダに搭載される光ピックアップ装置は、BDとDVD、更にはCDの何れに対しても互換性を維持しながら適切に情報を記録/再生できる性能を有することが望まれる。
BDとDVD、更にはCDの何れに対しても互換性を維持しながら適切に情報を記録/再生できるようにする方法として、BD用の光学系とDVDやCD用の光学系とを情報を記録/再生する光ディスクの記録密度に応じて選択的に切り替える方法が考えられるが、複数の光学系が必要となるので、小型化に不利であり、またコストが増大する。
従って、光ピックアップ装置の構成を簡素化し、低コスト化を図るためには、互換性を有する光ピックアップ装置においても、BD用の光学系とDVDやCD用の光学系とを共通化して、光ピックアップ装置を構成する光学部品点数を極力減らすのが好ましい。そして、光ディスクに対向して配置される対物レンズを共通化することが光ピックアップ装置の構成の簡素化、低コスト化に最も有利となる。尚、記録/再生波長が互いに異なる複数種類の光ディスクに対して共通な対物レンズを得るためには、球面収差の波長依存性を有する回折構造を対物レンズに形成する必要がある。
ところで、高NAの対物レンズの光学面は、一般的に曲率半径が小さい。従って、光学面の周辺まで回折構造を設けた場合、特に、光学面の周辺部に段差が光軸の方を向く内向き段差のみからなるブレーズ型構造を設けた場合、対物レンズを転写する金型の周辺の角度がきついことから、回折構造に対応する周辺の微細構造の加工精度が低下する恐れがある。このような金型を用いて対物レンズを転写成形した場合、周辺の回折構造が設計値通りの光学性能を発揮できず、これにより透過率が減少する恐れがある。しかるに、対物レンズの周辺で透過率が減少すると、いわゆる逆アボダイゼーション効果によって、対物レンズにより集光するスポット径が太り、光ピックアップ装置においてエラー信号を発生させる恐れがある。
国際公開第2011/118161号パンフレット
上述した、集光スポットの太りは、スポット中心側の光量を低下させることで逆アボダイゼーション効果を抑制することにより回避できる。しかるに、いかにしてスポット中心側の光量を低下させるかという問題がある。
特許文献1には、対物レンズに設けた略階段状構造において、光軸とは逆側を向いた外向き段差を光軸と平行にすることにより、外向き段差において不要回折光が発生することを防止し、光利用効率の低下を防止する構成が開示されている。しかしながら、特許文献1の技術では、光量低下を抑制するのに一定の効果はあるが、スポット径が太るという上述の問題を解決することはできなかった。かかる問題は、特に高NAで小径の対物レンズにおいて顕著に生じる。尚、特許文献1においては、対物レンズの光学面周辺部において、段差が光軸の方を向く内向き段差のみからなるブレーズ型構造が設けられる旨の記載なく、当該構造に起因するスポット径が太るという上述の課題を、特許文献1から想起することは困難であることを付言する。
本発明は、上述の課題を解決することを目的としたものであり、3種類の光ディスクの互換を共通の対物レンズで行うことを可能としつつ、スポット径の太りを抑制でき、しかも製造容易性に優れた光ピックアップ装置用の対物レンズ並びにそれを用いた光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の対物レンズは、第1波長λ1(390nm≦λ1≦420nm)の第1光束を射出する第1光源と、第2波長λ2(630nm≦λ2≦670nm)の第2光束を射出する第2光源と、第3波長λ3(760nm≦λ3≦820nm)の第3光束を射出する第3光源とを有し、前記第1光束を用いて厚さがt1の保護基板を有する第1光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行い、前記第2光束を用いて厚さがt2(t1<t2)の保護基板を有する第2光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行い、前記第3光束を用いて厚さがt3(t2<t3)の保護基板を有する第3光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置において用いられる対物レンズであって、
前記対物レンズは、プラスチック製の単玉レンズであり、第1光学面と、前記第1光学面に対向し、前記第1光学面よりも曲率半径の大きい第2光学面とを有し、
前記第1光学面は、中央領域と、前記中央領域の周りの中間領域と、前記中間領域の周りの周辺領域とを少なくとも有し、
前記中央領域は第1光路差付与構造を有し、
前記中間領域は第2光路差付与構造を有し、
前記周辺領域は第3光路差付与構造を有し、
前記対物レンズは、前記中央領域を通過する前記第1光束を、前記第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中央領域を通過する前記第2光束を、前記第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中央領域を通過する前記第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、
前記対物レンズは、前記中間領域を通過する前記第1光束を、前記第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中間領域を通過する前記第2光束を、前記第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中間領域を通過する前記第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光せず、
前記対物レンズは、前記周辺領域を通過する前記第1光束を、前記第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記周辺領域を通過する前記第2光束を、前記第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光せず、前記周辺領域を通過する前記第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光せず、
前記第1光路差構造は、光軸の方を向いた第1内向き段差と、光軸とは逆側を向いた第1外向き段差とを共に有し、
前記第2光路差構造は、光軸の方を向いた第2内向き段差と、光軸とは逆側を向いた第2外向き段差とを共に有し、
前記第3光路差構造は、光軸の方を向いた第3内向き段差のみを有し、
前記第1外向き段差と前記第2外向き段差は、光軸に対して斜めに傾いていることを特徴とする。
前記周辺領域は、光軸の方を向いた第3内向き段差のみを有する第3光路差付与構造を有するが故に、前記対物レンズが高NAのために傾斜角度のきつさに起因して、前記周辺領域に設ける前記第3光路差付与構造の製造精度を確保しづらくなることと、周辺に行くほど第3光路差付与構造のピッチが小さくなるため、第3内向き段差に起因する影の効果が大きくなってしまうために、周辺光量落ちが発生し、逆アボダイゼーション効果によって集光スポットの太りが生じる恐れがある。これに対し、本発明によれば、前記第1外向き段差と前記第2外向き段差が、光軸に対して斜めに傾いているので、前記第1外向き段差と前記第2外向き段差に入射した光束は、集光に寄与しない光となるため、前記中心領域と前記中間領域を通過した光束の光量が低下し、アポダイゼーション効果を得ることができる。これにより高NAの対物レンズにおける周辺側の光量落ちに起因する集光スポットの太りを抑制することができる。
請求項2に記載の対物レンズは、請求項1に記載の発明において、前記第1外向き段差と前記第2外向き段差の傾き角は、光軸に対して1度以上、15度以下であることを特徴とする。
前記第1外向き段差と前記第2外向き段差の傾き角を、光軸に対して1度以上とすることで、集光スポットの太りを抑制するに十分な光量低下を実現でき、光軸に対して15度以下とすることで、不要回折光の発生による光量低下が過大になりすぎることを抑制できる。特に、BDXL規格のように情報記録層の数が4層以上であるような情報記録層の数が多い光ディスクにおいて、対物レンズから不要回折光が多く発生すると、情報記録/再生を行おうとする層以外の層からの反射光を招き、ノイズとして検出される恐れがあるため、上述の傾斜角度規定が本発明において有効になる。
請求項3に記載の対物レンズは、請求項1又は2に記載の発明において、前記第3内向き段差は、光軸に対して斜めに傾いていることを特徴とする。
高NAの対物レンズにおいては、前記第1光学面の曲率半径が小さいので、対物レンズを成形する金型の転写面が周辺側で傾斜角度がきつくなり、前記第3光路差付与構造に対応した微細構造を前記転写面に形成する際に切削工具が干渉する恐れがあり、加工が困難である。よって、前記第3内向き段差は、光軸に対して斜め(図7(b)に示すように、光軸方向に光ディスク側に近づくに連れ、光軸直交方向に光軸に近づく様に傾くことが好ましい)に傾くようにすれば、切削工具と金型の転写面との干渉が回避され、前記第3光路差付与構造に対応した微細構造を前記転写面に形成することが容易になる。又、前記第3内向き段差を傾けても、いわゆる影の効果による光量低下が元々ある為、第3内向き段差を傾けてもそれによって更なる光量低下が生じる恐れは少ない。
請求項4に記載の対物レンズは、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記第1内向き段差は、前記第1外向き段差と逆側に傾いていることを特徴とする。
いわゆる影の効果により、前記第1内向き段差を傾けても影の効果以上の光量低下は生じないが、このように、前記第1内向き段差を傾けることで成形性が向上する。
請求項5に記載の対物レンズは、請求項4に記載の発明において、前記第1内向き段差の傾き角をα1(度)、前記第1外向き段差の傾き角をβ1(度)としたときに、│α1│>│β1│であることを特徴とする。
対物レンズを成形する金型の転写面を切削加工する切削工具のすくい面は、一般的に所定の角度で交差した縁からなる、先端が尖った形状を有するが、回転する金型の軸線に対して、切削工具の軸線を一定で切削する場合、切削工具をどのような姿勢に保持するかが問題となる。そこで、前記第1内向き段差の傾き角をα1(度)、前記第1外向き段差の傾き角をβ1(度)としたときに、│α1│>│β1│となるよう切削工具を保持する事で本発明の効果を得ることができ金型加工の生産性が向上する。
請求項6に記載の対物レンズは、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、以下の条件式(1)を満たすことを特徴とする。
1.0≦d/f≦1.5 (1)
但し、dは、対物レンズの光軸上の厚さ(mm)を表し、fは、第1光束における対物レンズの焦点距離を表す
(1)式を満たすような厚肉の対物レンズは、第1光学面の曲率半径が小さくなり、対物レンズを成形する金型の転写面が周辺側で傾斜角度がきつくなるため、本発明の課題が大きい。その様な課題が大きな対物レンズにおいて、本発明は特に効果がある。
請求項7に記載の光ピックアップ装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の対物レンズを有することを特徴とする。
請求項8に記載の光情報記録再生装置は、請求項7に記載の光ピックアップ装置を有することを特徴とする。
本発明に係る光ピックアップ装置は、第1光源、第2光源、第3光源の少なくとも3つの光源を有する。さらに、本発明の光ピックアップ装置は、第1光束を第1光ディスクの情報記録面上に集光させ、第2光束を第2光ディスクの情報記録面上に集光させ、第3光束を第3光ディスクの情報記録面上に集光させるための集光光学系を有する。また、本発明の光ピックアップ装置は、第1光ディスク、第2光ディスク又は第3光ディスクの情報記録面からの反射光束を受光する受光素子を有する。
第1光ディスクは、厚さがt1の保護基板と情報記録面とを有する。第2光ディスクは厚さがt2(t1<t2)の保護基板と情報記録面とを有する。第3光ディスクは、厚さがt3(t2<t3)の保護基板と情報記録面とを有する。第1光ディスクがBDであり、第2光ディスクがDVDであり、第3光ディスクがCDであることが好ましいが、これに限られるものではない。なお、第1光ディスク、第2光ディスク又は第3光ディスクは、複数の情報記録面を有する複数層の光ディスクでもよい。
本明細書において、BDとは、波長390〜415nm程度の光束、NA0.8〜0.9程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが0.05〜0.125mm程度であるBD系列光ディスクの総称であり、単一の情報記録層のみ有するBDや、2層又はそれ以上の情報記録層を有するBD等を含むものである。更に、本明細書においては、DVDとは、NA0.60〜0.67程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが0.6mm程度であるDVD系列光ディスクの総称であり、DVD−ROM、DVD−Video、DVD− Audio、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等を含む。また、本明細書においては、CDとは、NA0.45〜0.51程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが1.2mm 程度であるCD系列光ディスクの総称であり、CD−
ROM、CD−Audio、CD−Video、CD−R、CD−RW等を含む。尚、記録密度については、BDの記録密度が最も高く、次いでDVD、CDの順に低くなる。
なお、保護基板の厚さt1、t2、t3に関しては、以下の条件式(2)、(3)、(4)を満たすことが好ましいが、これに限られない。尚、ここで言う、保護基板の厚さとは、光ディスク表面に設けられた保護基板の厚さのことである。即ち、光ディスク表面から、表面に最も近い情報記録面までの保護基板の厚さのことをいう。
0.050mm ≦ t1 ≦ 0.125mm (2)
0.5mm ≦ t2 ≦ 0.7mm (3)
1.0mm ≦ t3 ≦ 1.3mm (4)
本明細書において、第1光源、第2光源、第3光源は、好ましくはレーザ光源である。レーザ光源としては、好ましくは半導体レーザ、シリコンレーザ等を用いることが出来る。第1光源から出射される第1光束の第1波長λ1、第2光源から出射される第2光束の第2波長λ2(λ2>λ1)、第3光源から出射される第3光束の第3波長λ3(λ3>λ2)は以下の条件式(5)、(6) を満たすことが好ましい。
1.5・λ1 < λ2 < 1.7・λ1 (5)
1.8・λ1 < λ3 < 2.0・λ1 (6)
また、第1光ディスク、第2光ディスク、第3光ディスクとして、それぞれ、BD、DVD及びCDが用いられる場合、第1光源の第1波長λ1は好ましくは、350nm 以上、440nm以下、より好ましくは、390nm以上、415nm以下であって、第2光源の第2波長λ2は好ましくは570nm以上、680nm以下、より好ましくは、630nm以上、670nm以下であって、第3光源の第3波長λ3は好ましくは、750nm以上、880nm以下、より好ましくは、760nm以上、820nm以下である。
また、第1光源、第2光源、第3光源のうち少なくとも2つの光源をユニット化してもよい。ユニット化とは、例えば第1光源と第2光源とが1パッケージに固定収納されているようなものをいう。また、光源に加えて、後述する受光素子を1パッケージ化してもよい。
受光素子としては、フォトダイオードなどの光検出器が好ましく用いられる。光ディスクの情報記録面上で反射した光が受光素子へ入射し、その出力信号を用いて、各光ディスクに記録された情報の読み取り信号が得られる。さらに、受光素子上のスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行い、この検出に基づいて、合焦、トラッキングのために対物レンズを移動させることが出来る。受光素子は、複数の光検出器からなっていてもよい。受光素子は、メインの光検出器とサブの光検出器を有していてもよい。例えば、情報の記録再生に用いられるメイン光を受光する光検出器の両脇に2つのサブの光検出器を設け、当該2つのサブの光検出器によってトラッキング調整用のサブ光を受光するような受光素子としてもよい。また、受光素子は各光源に対応した複数の受光素子を有していてもよい。
集光光学系は、対物レンズを有する。集光光学系は、対物レンズの他にコリメータ等のカップリングレンズを有していることが好ましい。カップリングレンズとは、対物レンズと光源の間に配置され、光束の発散角を変える単レンズ又はレンズ群のことをいう。コリメータは、カップリングレンズの一種で、コリメータに入射した光を平行光にして出射するレンズである。本明細書において、対物レンズとは、光ピックアップ装置において光ディスクに対向する位置に配置され、光源から射出された光束を光ディスクの情報記録面上に集光する機能を有する光学系を指す。対物レンズは、単玉のレンズのみからなる。また、対物レンズは、プラスチックレンズである。また、対物レンズは、屈折面が非球面であることが好ましい。また、対物レンズは、光路差付与構造が設けられるベース面が非球面であることが好ましい。
また、対物レンズを構成するプラスチック材料として、環状オレフィン系の樹脂材料等の脂環式炭化水素系重合体材料を使用するのが好ましい。また、当該樹脂材料は、波長405nmに対する温度25℃ での屈折率が1.50乃至1.60の範囲内であって、−5℃から70℃の温度範囲内での温度変化に伴う波長405nmに対する屈折率変化率dN/dT(℃-1)が−20×10-5乃至−5×10-5(より好ましくは、−10×10-5乃至−8×10-5)の範囲内である樹脂材料を使用するのがより好ましい。また、対物レンズがプラスチックレンズである場合、カップリングレンズもプラスチックレンズとすることが好ましい。
脂環式炭化水素系重合体の好ましい例を幾つか、以下に示す。
第1の好ましい例は、下記式(I)で表される繰り返し単位〔1〕を含有する重合体ブ
ロック〔A〕と、下記式(1)で表される繰り返し単位〔1〕並びに下記式(II)で表される繰り返し単位〔2〕または/および下記式(III)で表される繰り返し単位〔3〕を
含有する重合体ブロック〔B〕とを有し、前記ブロック〔A〕中の繰り返し単位〔1〕のモル分率a(モル%)と、前記ブロック〔B〕中の繰り返し単位〔1〕のモル分率b(モル%)との関係がa>bであるブロック共重合体からなる樹脂組成物である。
(式中、R1 は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R2−R12はそ
れぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはハロゲン基である。)
(式中、R13は、水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
(式中、R14およびR15はそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数1〜20のアル
キル基を表す。)
次に、第2の好ましい例は、少なくとも炭素原子数2〜20のα−オレフィンと下記一
般式(IV)で表される環状オレフィンからなる単量体組成物とを付加重合させることにより得られる重合体(A)と、炭素原子数2〜20のα−オレフィンと下記一般式(V)
で表される環状オレフィンからなる単量体組成物とを付加重合させることにより得られる重合体(B)とを含む樹脂組成物である。
〔式中、nは0または1であり、mは0または1以上の整数であり、qは0または1であり、R1〜R18、Ra及びRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水
素基であり、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、括弧内
の単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR15とR16と、またはR17とR18
とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
〔式中、R19〜R26はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。〕
樹脂材料に更なる性能を付加するために、以下のような添加剤を添加してもよい。
(安定剤)
フェノール系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、リン系安定剤及びイオウ系安定剤から選ばれた少なくとも1種の安定剤を添加することが好ましい。これらの安定剤を適宜選択し添加することで、例えば、405nmといった短波長の光を継続的に照射した場合の白濁や、屈折率の変動等の光学特性変動をより高度に抑制することができる。
好ましいフェノール系安定剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニルプロピオネート))メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))]、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
また、好ましいヒンダードアミン系安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)デカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
また、好ましいリン系安定剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
また、好ましいイオウ系安定剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピピオネート、ジステアリル 3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ)−プロピオネート、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
これらの各安定剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、脂環式炭化水素系共重合体100質量部に対して通常0.01〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部であることが好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤は、同一分子中に親水基と疎水基とを有する化合物である。界面活性剤は樹脂表面への水分の付着や上記表面からの水分の蒸発の速度を調節することで、樹脂組成物の白濁を防止することが可能となる。
界面活性剤の親水基としては、具体的には、ヒドロキシ基、炭素数1以上のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、アンモニウム塩、チオール、スルホン酸塩、リン酸塩、ポリアルキレングリコール基などが挙げられる。ここで、アミノ基は1級、2級、3級のいずれであってもよい。界面活性剤の疎水基としては、具体的に炭素数6以上のアルキル基、炭素数6以上のアルキル基を有するシリル基、炭素数6以上のフルオロアルキル基などが挙げられる。ここで、炭素数6以上のアルキル基は置換基として芳香環を有していてもよい。アルキル基としては、具体的にヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデセニル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ミリスチル、ステアリル、ラウリル、パルミチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。芳香環としてはフェニル基などが挙げられる。この界面活性剤は、上記のような親水基と疎水基とをそれぞれ同一分子中に少なくとも1個ずつ有していればよく、各基を2個以上有していてもよい。
このような界面活性剤としては、より具体的には、例えば、ミリスチルジエタノールアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシトリデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシテトラデシルアミン、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ジ−2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、アルキル(炭素数8〜18)ベンジルジメチルアンモニウムクロライド、エチレンビスアルキル(炭素数8〜18)アミド、ステアリルジエタノールアミド、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、などが挙げられる。これらのうちでも、ヒドロキシアルキル基を有するアミン化合物またはアミド化合物が好ましく用いられる。本発明では、これら化合物を2種以上組合わせて用いてもよい。
界面活性剤は、温度、湿度の変動に伴なう成形物の白濁を効果的に抑え、成形物の光透過率を高く維持するという観点から、脂環式炭化水素系重合体100質量部に対して0.01〜10質量部添加されることが好ましい。界面活性剤の添加量は脂環式炭化水素系重合体100質量部に対して0.05〜5質量部とすることがより好ましく、0.3〜3質量部とすることが更に好ましい。
(可塑剤)
可塑剤は共重合体のメルトインデックスを調節するため、必要に応じて添加される。
可塑剤としては、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ビス(2−ブトキシエチル)、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジプロピレングリコールジベンゾエート、クエン酸トリ−n−ブチル、クエン酸トリ−n−ブチルアセチル、エポキシ化大豆油、2−エチルヘキシルエポキシ化トール油、塩素化パラフィン、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸−t−ブチルフェニル、リン酸トリ−2−エチルヘキシルジフェニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、Santicizer 278、Paraplex G40、Drapex 334F、Plastolein 9720、Mesamoll、DNODP−610、HB−40等の公知のものが適用可能である。可塑剤の選定及び添加量の決定は、共重合体の透過性や環境変化に対する耐性を損なわないことを条件に適宜行なわれる。
これらの樹脂としては、シクロオレフィン樹脂が好適に用いられ、具体的には、日本ゼオン社製のZEONEXや、三井化学社製のAPEL、TOPAS ADVANCED POLYMERS社製のTOPAS、JSR社製ARTONなどが好ましい例として挙げられる。
また、対物レンズを構成する材料のアッベ数は、50以上であることが好ましい。
対物レンズについて、以下に記載する。対物レンズの少なくとも一つの光学面が、中央領域と、中央領域の周りの中間領域と、中間領域の周りの周辺領域とを少なくとも有する。中央領域は、対物レンズの光軸を含む領域であることが好ましいが、光軸を含む微小な領域を未使用領域や特殊な用途の領域とし、その周りを中心領域(中央領域ともいう)としてもよい。中央領域、中間領域、及び周辺領域は同一の光学面上に設けられていることが好ましい。図1に示されるように、中央領域CN、中間領域MD、周辺領域OTは、同一の光学面上に、光軸を中心とする同心円状に設けられていることが好ましい。また、対物レンズの中央領域には第一光路差付与構造が設けられ、中間領域には第二光路差付与構造が設けられている。周辺領域は屈折面であってもよいし、周辺領域に第三光路差付与構造が設けられていてもよい。中央領域、中間領域、周辺領域はそれぞれ隣接していることが好ましいが、間に僅かに隙間があっても良い。
対物レンズの中央領域は、第1光ディスク、第2光ディスク及び第3光ディスクの記録/再生に用いられる第1、第2、第3光ディスク共用領域と言える。即ち、対物レンズは、中央領域を通過する第1光束を、第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光し、中央領域を通過する第2光束を、第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、中央領域を通過する第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光する。また、中央領域に設けられた第1光路差付与構造は、第1光路差付与構造を通過する第1光束及び第2光束に対して、第1光ディスクの保護基板の厚さt1と第2光ディスクの保護基板の厚さt2の違いにより発生する球面収差/第1光束と第2光束の波長の違いにより発生する球面収差を補正することが好ましい。さらに、第1光路差付与構造は、第1光路差付与構造を通過した第1光束及び第3光束に対して、第1光ディスクの保護基板の厚さt1と第3光ディスクの保護基板の厚さt3との違いにより発生する球面収差/第1光束と第3光束の波長の違いにより発生する球面収差を補正することが好ましい。
対物レンズの中間領域は、第1光ディスク、第2光ディスクの記録/再生に用いられ、第3光ディスクの記録/再生に用いられない第1、第2光ディスク共用領域と言える。即ち、対物レンズは、中間領域を通過する第1光束を、第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光し、中間領域を通過する第2光束を、第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光する。その一方で、中間領域を通過する第3光束を、第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光しない。対物レンズの中間領域を通過する第3光束は、第3光ディスクの情報記録面上でフレアを形成することが好ましい。図2に示すように、対物レンズを通過した第3光束が第3光ディスクの情報記録面上で形成するスポットにおいて、光軸側(又はスポット中心部)から外側へ向かう順番で、光量密度が高いスポット中心部SCN、光量密度がスポット中心部より低いスポット中間部SMD、光量密度がスポット中間部よりも高くスポット中心部よりも低いスポット周辺部SOTを有することが好ましい。スポット中心部が、光ディスクの情報の記録/再生に用いられ、スポット中間部及びスポット周辺部は、光ディスクの情報の記録/再生には用いられない。上記において、このスポット周辺部をフレアと言っている。但し、スポット中心部の周りにスポット中間部が存在せずスポット周辺部があるタイプ、即ち、集光スポットの周りに薄く光が大きなスポットを形成する場合も、そのスポット周辺部をフレアと呼んでもよい。つまり、対物レンズの中間領域を通過した第3光束は、第3光ディスクの情報記録面上でスポット周辺部を形成することが好ましいとも言える。
対物レンズの周辺領域は、第1光ディスクの記録/再生に用いられ、第2光ディスク及び第3光ディスクの記録/再生に用いられない第1光ディスク専用領域と言える。即ち、対物レンズは、周辺領域を通過する第1光束を、第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光する。その一方で、周辺領域を通過する第2光束を、第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光せず、周辺領域を通過する第3光束を、第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光しない。対物レンズの周辺領域を通過する第2光束及び第3光束は、第2光ディスク及び第3光ディスクの情報記録面上でフレアを形成することが好ましい。つまり、対物レンズの周辺領域を通過した第2光束及び第3光束は、第2光ディスク及び第3光ディスクの情報記録面上でスポット周辺部を形成することが好ましい。
第1光路差付与構造は、対物レンズの中央領域の面積の70%以上の領域に設けられていることが好ましく、90%以上がより好ましい。より好ましくは、第1光路差付与構造が、中央領域の全面に設けられていることである。第2光路差付与構造は、対物レンズの中間領域の面積の70%以上の領域に設けられていることが好ましく、90%以上がより好ましい。より好ましくは、第2光路差付与構造が、中間領域の全面に設けられていることである。周辺領域が第3光路差付与構造を有する場合、第3光路差付与構造は、対物レンズの周辺領域の面積の70%以上の領域に設けられていることが好ましく、90%以上がより好ましい。より好ましくは、第3光路差付与構造が、周辺領域の全面に設けられていることである。
なお、本明細書でいう光路差付与構造とは、入射光束に対して光路差を付加する構造の総称である。光路差付与構造には、位相差を付与する位相差付与構造も含まれる。また、位相差付与構造には回折構造が含まれる。本発明の光路差付与構造は回折構造であることが好ましい。光路差付与構造は、段差を有し、好ましくは段差を複数有する。この段差により入射光束に光路差及び/又は位相差が付加される。光路差付与構造により付加される光路差は、入射光束の波長の整数倍であっても良いし、入射光束の波長の非整数倍であっても良い。段差は、光軸垂直方向に周期的な間隔をもって配置されていてもよいし、光軸垂直方向に非周期的な間隔をもって配置されていてもよい。また、光路差付与構造を設けた対物レンズが単玉非球面レンズの場合、光軸からの高さによって光束の対物レンズへの入射角が異なるため、光路差付与構造の段差量は各輪帯毎に若干異なることとなる。例えば、対物レンズが単玉非球面の凸レンズである場合、同じ光路差を付与させる光路差付与構造であっても、一般的に光軸から離れる程、段差量が大きくなる傾向となる。
また、本明細書でいう回折構造とは、段差を有し、回折によって光束を収束あるいは発散させる作用を持たせる構造の総称である。例えば、単位形状が光軸を中心として複数並ぶことによって構成されており、それぞれの単位形状に光束が入射し、透過した光の波面が、隣り合う輪帯毎にズレを起こし、その結果、新たな波面を形成することによって光を収束あるいは発散させるような構造を含むものである。回折構造は、好ましくは段差を複数有し、段差は光軸垂直方向に周期的な間隔をもって配置されていてもよいし、光軸垂直方向に非周期的な間隔をもって配置されていてもよい。また、回折構造を設けた対物レンズが単玉非球面レンズの場合、光軸からの高さによって光束の対物レンズへの入射角が異なるため、回折構造の段差量は各輪帯毎に若干異なることとなる。例えば、対物レンズが単玉非球面の凸レンズである場合、同じ回折次数の回折光を発生させる回折構造であっても、一般的に光軸から離れる程、段差量が大きくなる傾向となる。
ところで、光路差付与構造は、光軸を中心とする同心円状の複数の輪帯を有することが好ましい。また、光路差付与構造は、一般に、様々な断面形状(光軸を含む面での断面形状) をとり得、光軸を含む断面形状がブレーズ型構造と階段型構造とに大別される。
ブレーズ型構造とは、図3(a)、(b)に示されるように、光路差付与構造を有する光学素子の光軸を含む断面形状が、鋸歯状の形状ということである。尚、図3の例においては、上方が光源側、下方が光ディスク側であって、母非球面としての平面に光路差付与構造が形成されているものとする。ブレーズ型構造において、1つのブレーズ単位の光軸垂直方向の長さをピッチPという。(図3(a)、(b)参照)また、ブレーズの光軸に平行方向の段差の長さを段差量Bという。(図3(a)参照)
また、階段型構造とは、図3(c)、(d)に示されるように、光路差付与構造を有する光学素子の光軸を含む断面形状が、ステップ数が等しい複数の小階段型構造(階段単位と称することもある)を有するということである。尚、本明細書中、「Vステップ」とは、階段型構造の1つの階段単位において光軸垂直方向に対応する(向いた)輪帯状の面(以下、テラス面と称することもある)が、段差によって区分けされV個の輪帯面毎に分割されていることをいい、特に3ステップ以上の階段型構造は、小さい段差と大きい段差を有することになる。
例えば、図3(c)に示す光路差付与構造を、5ステップの階段型構造といい、図3(d)に示す光路差付与構造を、2ステップの階段型構造(バイナリ構造ともいう)という。2ステップの階段型構造について、以下に説明する。光軸を中心とした同心円状の複数の輪帯を含み、対物レンズの光軸を含む複数の輪帯の断面の形状は、光軸に平行に延在する複数の段差面Pa、Pbと、隣接する段差面Pa、Pbの光源側端同士を連結する光源側テラス面Pcと、隣接する段差面Pa、Pbの光ディスク側端同士を連結する光ディスク側テラス面Pdとから形成され、光源側テラス面Pcと光ディスク側テラス面Pdとは、光軸に交差する方向に沿って交互に配置される。
また、階段型構造において、1つの階段単位の光軸垂直方向の長さをピッチPという。(図3(c)、(d)参照)また、階段の光軸に平行方向の段差の長さを段差量B1,B2という。3ステップ以上の階段型構造の場合、大段差量B1と小段差量B2とが存在することになる。(図3(c)参照)尚、階段型構造において輪帯幅とは、図3(c)、(d)においてL1〜L7で示されるものであり、段差と段差の間の光軸直交方向の幅をいう。
尚、光路差付与構造は、ある単位形状が周期的に繰り返されている構造であることが好ましい。 ここでいう「単位形状が周期的に繰り返されている」とは、同一の形状が同一の周期で繰り返されている形状は当然含む。さらに、周期の1単位となる単位形状が、規則性を持って、周期が徐々に長くなったり、徐々に短くなったりする形状も、「単位形状が周期的に繰り返されている」ものに含まれているとする。
光路差付与構造が、ブレーズ型構造を有する場合、単位形状である鋸歯状の形状が繰り返された形状となる。図3(a)に示されるように、同一の鋸歯状形状が繰り返されてもよいし、図3(b)に示されるように、光軸から離れる方向に進むに従って、徐々に鋸歯状形状のピッチが長くなっていく形状、又は、ピッチが短くなっていく形状であってもよい。加えて、ある領域においては、ブレーズ型構造の段差が光軸(中心)側とは逆を向いている形状とし、他の領域においては、ブレーズ型構造の段差が光軸(中心)側を向いている形状とし、その間に、ブレーズ型構造の段差の向きを切り替えるために必要な遷移領域が設けられている形状としてもよい。なお、このようにブレーズ型構造の段差の向きを途中で切り替える構造にする場合、輪帯ピッチを広げることが可能となり、光路差付与構造の製造誤差による透過率低下を抑制できる。
光路差付与構造が、階段型構造を有する場合、図3(c)で示されるような5ステップの階段単位が、繰り返されるような形状等があり得る。さらに、光軸から離れる方向に進むに従って、徐々に階段単位のピッチが長くなっていく形状や、徐々に階段単位のピッチが短くなっていく形状であってもよい。
また、第1光路差付与構造及び第2光路差付与構造は、光源側の光学面に設ける。更に、第3光路差付与構造も、第1光路差付与構造及び第2光路差付与構造と同じ光学面に設ける。同一の光学面に設けることにより、製造時の偏芯誤差を少なくすることが可能となる。別の言い方では、第1光路差付与構造、第2光路差付与構造及び第3光路差付与構造は、対物レンズの曲率半径の絶対値が小さい方の光学面に設ける。
次に、中央領域に設けられる第1光路差付与構造について説明する。第1光路差付与構造は、第1基礎構造と第2基礎構造を重ね合わせた構造であっても良い。
第1光路差付与構造は、光軸の方を向いた第1内向き段差と、光軸とは逆側を向いた第1外向き段差とを共に有する。光軸の方を向いた内向き段差とは、図4(a)のような状態をいい、光軸とは逆側を向いた外向き段差とは、図4(b)のような状態を言う。
次に、中間領域に設けられる第2光路差付与構造について説明する。第2光路差付与構造は、第3基礎構造と第4基礎構造を重ね合わせた構造であっても良い。第2光路差付与構造は、光軸の方を向いた第2内向き段差と、光軸とは逆側を向いた第2外向き段差とを共に有する。
第1外向き段差と第2外向き段差は、光軸に対して斜めに傾いている。光軸に対する傾き角度は1度以上、15度以下であると好ましい。第1内向き段差は、前記第1外向き段差と、光軸に対して逆向きに傾いていても良いし、第2内向き段差は、前記第2外向き段差と、光軸に対して逆向きに傾いていても良い。
一般的に、対物レンズを成形する金型の転写面を旋削する場合、切削工具の軸線を固定することが加工効率を高める上で望ましい。このとき、尖った切削工具のすくい面の縁が30度前後で交差することに鑑みると、切削工具の軸線を金型の素材の回転軸に平行にすると、加工された金型により転写成形された対物レンズにおいて、第1内向き段差(又は第2内向き段差)は、光軸に対してα1=−15度で傾き、第1外向き段差(又は第2外向き段差)は、光軸に対してβ1=15度で傾くこととなる。ここで、第1外向き段差(又は第2外向き段差)の角度が大きすぎなければ、光の利用効率を確保でき、角度が小さすぎなければ本発明の効果を得ることができる。よって、角度α1、β1のバランスを考慮して、│α1│>│β1│とするのが好ましく、更に前記第1内向き段差(又は前記第2内向き段差)の光軸に対する傾き角は、α1=−15〜−25度であると好ましい。尚、明細書中、光軸に対する傾き角は、反時計回りを正とし、時計回りを負とする。
次に、周辺領域に設けられる第3光路差付与構造について説明する。第3光路差付与構造は、前記第3光路差構造は、光軸の方を向いた第3内向き段差のみを有する。第3内向き段差は、光軸に対して斜めに傾いていても良い。前記第3内向き段差の光軸に対する傾き角は、−5〜−15度であると好ましい。−5度を上回ると切削工具との干渉が生じる恐れが低下し、−15度を下回ると光の利用効率を維持できる。
第1光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA1とし、第2光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA2(NA1>NA2)とし、第3光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA3(NA2>NA3)とする。NA1は、0.75以上、0.9以下であることが好ましく、より好ましくは、0.8以上、0.9以下である。特にNA1は0.85であることが好ましい。NA2は、0.55以上、0.7以下であることが好ましい。特にNA2は0.60又は0.65であることが好ましい。また、NA3は、0.4以上、0.55以下であることが好ましい。特にNA3は0.45又は0.53であることが好ましい。
対物レンズの中央領域と中間領域の境界は、第3光束の使用時において、0.9・NA3以上、1.2・NA3以下(より好ましくは、0.95・NA3以上、1.15・NA3以下)の範囲に相当する部分に形成されていることが好ましい。より好ましくは、対物レンズの中央領域と中間領域の境界が、NA3に相当する部分に形成されていることである。また、対物レンズの中間領域と周辺領域の境界は、第2光束の使用時において、0.9・NA2以上、1.2・NA2以下(より好ましくは、0.95・NA2以上、1.15・NA2以下)の範囲に相当する部分に形成されていることが好ましい。より好ましくは、対物レンズの中間領域と周辺領域の境界が、NA2に相当する部分に形成されていることである。
対物レンズを通過した第3光束を第3光ディスクの情報記録面上に集光する場合に、球面収差が少なくとも1箇所の不連続部を有することが好ましい。その場合、不連続部は、第3光束の使用時において、0.9・NA3以上、1.2・NA3以下(より好ましくは、0.95・NA3以上、1.15・NA3以下)の範囲に存在することが好ましい。
尚、対物レンズの第1光束に対する有効径をφ1(mm)としたときに、以下の式を満たすと好ましい。
1.8≦φ1≦4.0 (7)
より好ましくは、以下の式を満たすことである。
2.0≦φ≦3.0 (7´)
また、対物レンズは、以下の条件式(1)を満たすことが好ましい。
1.0≦d/f≦1.5 (1)
但し、dは、対物レンズの光軸上の厚さ(mm)を表し、fは、第1光束における対物レンズの焦点距離を表す。より好ましくは、1.0≦d/f≦1.2である。
BDのような短波長、高NAの光ディスクに対応させる場合、対物レンズにおいて、非点収差が発生しやすくなり、偏心コマ収差も発生しやすくなるという課題が生じるが、条件式(1)を満たすことにより非点収差や偏心コマ収差の発生を抑制することが可能となる。
また、条件式(1)を満たすことにより、対物レンズの軸上厚が厚めの厚肉対物レンズになるため、CDの記録/再生時におけるワーキングディスタンスが短くなりがちになるにも拘わらず、本発明の第1光路差付与構造を対物レンズに設けることにより、CDの記録/再生におけるワーキングディスタンスも十分に確保できるため、本発明の効果がより顕著なものとなる。
第1光束、第2光束及び第3光束は、平行光として対物レンズに入射してもよいし、発散光若しくは収束光として対物レンズに入射してもよい。トラッキング時においても、コマ収差が発生することを防止するためには、第1光束、第2光束、及び第3光束を全て平行光又は略平行光として対物レンズに入射させることが好ましい。本発明の第1光路差付与構造を用いることによって、第1光束、第2光束及び第3光束の全てを平行光又は略平行光として対物レンズに入射させることが可能となるため、本発明の効果がより顕著となる。第1光束が平行光又は略平行光になる場合、第1光束が対物レンズに入射する時の対物レンズの結像倍率m1が、下記の式(8)を満たすことが好ましい。
−0.01<m1<0.01 (8)
また、第2光束を平行光又は略平行光として対物レンズに入射させる場合、第2光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m2が、下記の式(9)を満たすことが好ましい。
−0.01<m2<0.01 (9)
一方で、第2光束を発散光として対物レンズに入射させる場合、第2光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m2が、下記の式(9)´を満たすことが好ましい。
−0.025<m2≦−0.01 (9)´
また、第3光束を平行光束又は略平行光束として対物レンズに入射させる場合、第3光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m3が、下記の式(10)を満たすことが好ましい。
−0.01<m3<0.01 (10)
一方で、第3光束を発散光として対物レンズに入射させる場合、第3光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m3が、下記の式(10)´を満たすことが好ましい。
−0.025<m3≦−0.01 (10)´
また、第3光ディスクを用いる際の対物光学素子のワーキングディスタンス(WD)は、0.2mm以上、1.5mm以下であることが好ましい。好ましくは、0.3mm以上、0.9mm以下である。次に、第2光ディスクを用いる際の対物光学素子のWDは、0.2mm以上、1.3mm以下であることが好ましい。さらに、第1光ディスクを用いる際の対物光学素子のWDは、0.25mm以上、1.0mm以下であることが好ましい。
また、光ピックアップ装置は、少なくとも第1光束と第2光束が通過するカップリングレンズと、カップリングレンズを光軸方向に移動させるアクチュエータ―を有することが好ましい。更に、第1光束が通過するときは、アクチュエータ―によってカップリングレンズが光軸方向に変位可能とされており、第2光束が通過するときには、カップリングレンズは、光軸方向の位置を固定されていることが好ましい。
例えば、複数の情報記録層を有する第1光ディスクに対応するために、第1光ディスクの使用時には、カップリングレンズを光軸方向に変位して、各情報記録層への記録/再生に対応させることが考えられる。そのような場合、既にカップリングレンズを光軸方向に変位させる機能は必須であるが、第2光ディスク使用時においては、カップリングレンズを光軸方向に変位させず、固定させておきたい、という場合がある。その理由としては、第1光ディスク使用時には、フレアが発生しないが、第2光ディスク使用時には、フレアが発生するため、カップリングレンズを変異させることにより、そのフレアの収差が変化し、結果としてそのフレアが記録/再生に悪影響を与える可能性が生じるという理由や、第2光ディスクの種類を判別するために、カップリングレンズの初期位置を常に一定にしておきたいという理由や、単純にドライブの方でカップリングレンズを変位させるためのファームウェアのコストを少しでも削減したいという理由などが挙げられる。
本発明に係る光情報記録再生装置は、上述の光ピックアップ装置を有する光ディスクドライブ装置を有する。
ここで、光情報記録再生装置に装備される光ディスクドライブ装置に関して説明すると、光ディスクドライブ装置には、光ピックアップ装置等を収納している光情報記録再生装置本体から光ディスクを搭載した状態で保持可能なトレイのみが外部に取り出される方式と、光ピックアップ装置等が収納されている光ディスクドライブ装置本体ごと、外部に取り出される方式とがある。
上述した各方式を用いる光情報記録再生装置には、概ね、次の構成部材が装備されているがこれに限られるものではない。ハウジング等に収納された光ピックアップ装置、光ピックアップ装置をハウジングごと光ディスクの内周あるいは外周に向けて移動させるシークモータ等の光ピックアップ装置の駆動源、光ピックアップ装置のハウジングを光ディスクの内周あるいは外周に向けてガイドするガイドレールなどを有した光ピックアップ装置の移送手段及び、光ディスクの回転駆動を行うスピンドルモータ等である。
前者の方式には、これら各構成部材の他に、光ディスクを搭載した状態で保持可能なトレイおよびトレイを摺動させるためのローディング機構等が設けられ、後者の方式にはトレイおよびローディング機構がなく、各構成部材が外部に引き出し可能なシャーシに相当するドロワーに設けられていることが好ましい。
本発明によれば、3種類の光ディスクの互換を共通の対物レンズで行うことを可能としつつ、スポット径の太りを抑制でき、しかも製造容易性に優れた光ピックアップ装置用の対物レンズ並びにそれを用いた光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置を提供できる。
本実施の形態にかかる単玉の対物レンズOLを光軸方向に見た図である。 対物レンズを通過した第3光束が第3光ディスクの情報記録面上で形成するスポットを形成する状態を示す図である。 光路差付与構造の例を示す軸線方向断面図である。 (a)は段差が光軸の方向を向いている状態を示し、(b)は段差が光軸とは逆の方向を向いている状態を示す図である。 (a)は光軸付近では段差が光軸の方向を向いているが、途中で切り替わり、中間領域付近では段差が光軸とは逆の方を向くような形状を示し、(b)は光軸付近では段差が光軸とは逆の方向を向いているが、途中で切り替わり、中間領域付近では段差が光軸の方を向くような形状を示す図である。 異なる光ディスクであるBDとDVDとCDに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行うことができる本実施の形態の光ピックアップ装置PU1の構成を概略的に示す図である。 (a)は対物レンズの中央領域及び中間領域に設けた回折構造D1の拡大断面図であり、(b)は周辺領域に設けた回折構造D2の拡大断面図である。 本発明の切削加工を説明するための図であり、矢印で工具の軌跡を示している。 第1光路差付与構造の概念図である。 対物レンズの第1、第2、及び第3光路差付与構造を平板状素子に設けた場合の概念断面図である。 (a)は、対物レンズの断面図であり、(b)は、文字マーキングの側方から見た拡大概念図である。 (a)は、対物レンズの第1光学面側からみた平面図であり、(b)は、対物レンズの第2光学面側からみた平面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図6は、異なる光ディスクであるBDとDVDとCDに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行うことができる本実施の形態の光ピックアップ装置PU1の構成を概略的に示す図である。かかる光ピックアップ装置PU1は、スリムタイプであり、薄形の光情報記録再生装置に搭載できる。ここでは、第1光ディスクをBDとし、第2光ディスクをDVDとし、第3光ディスクをCDとする。なお、本発明は、本実施の形態に限られるものではない。
光ピックアップ装置PU1は、対物レンズOL、λ/4波長板QWP、コリメートレンズCOL、偏光ビームスプリッタBS、ダイクロイックプリズムDP,BDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され波長λ1=405nmのレーザ光束(第1光束)を射出する第1半導体レーザLD1(第1光源)と、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され波長λ2=660nmのレーザ光束(第2光束)を射出する第2半導体レーザLD2(第2光源)及びCDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され波長λ3=785nmのレーザ光束(第3光束)を射出する第3半導体レーザLD3を一体化したレーザユニットLDP、センサレンズSEN、光検出器としての受光素子PD等を有する。
図1に示されるように、本実施の形態にかかる単玉の対物レンズOLにおいて、光源側の非球面光学面に光軸を含む中央領域CNと、その周囲に配置された中間領域MDと、更にその周囲に配置された周辺領域OTとが、光軸を中心とする同心円状に形成されている。図示していないが、中心領域CNには既に詳述した第1光路差付与構造が形成され、中間領域MDには既に詳述した第2光路差付与構造が形成されている。また、周辺領域OTには、第3光路差付与構造又は屈折面が形成されている。また、本実施の形態の対物レンズはプラスチックレンズである。
青紫色半導体レーザLD1から射出された第1光束(λ1=405nm)の発散光束は、実線で示すように、ダイクロイックプリズムDPを通過し、偏光ビームスプリッタBSを通過した後、コリメートレンズCOLを通過して平行光となり、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、不図示の絞りによりその光束径が規制され、対物レンズOLに入射する。ここで、対物レンズOLの中央領域と中間領域と周辺領域により集光された光束は、厚さ0.1mmの保護基板PL1を介して、BDの情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。
情報記録面RL1上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOL、不図示の絞りを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCOLにより収斂光束とされ、偏光ビームスプリッタBSで反射され、センサレンズSENを介して受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いて、2軸アクチュエータAC1により対物レンズOLをフォーカシングやトラッキングさせることで、BDに記録された情報を読み取ることができる。ここで、第1光束に波長変動が生じた場合や、複数の情報記録層を有するBDの記録/再生を行う場合、波長変動や異なる情報記録層に起因して発生する球面収差を、倍率変更手段としてのコリメートレンズCOLを光軸方向に変化させて、対物光学素子OLに入射する光束の発散角又は収束角を変更することで補正できるようになっている。
レーザユニットLDPの半導体レーザLD2から射出された第2光束(λ2=660nm)の発散光束は、点線で示すように、ダイクロイックプリズムDPで反射され、偏光ビームスプリッタBS、コリメートレンズCOLを通過し、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、対物レンズOLに入射する。ここで、対物レンズOLの中央領域と中間領域により集光された(周辺領域を通過した光束はフレア化され、スポット周辺部を形成する)光束は、厚さ0.6mmの保護基板PL2を介して、DVDの情報記録面RL2に形成されるスポットとなり、スポット中心部を形成する。
情報記録面RL2上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOLを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCOLにより収斂光束とされ、偏光ビームスプリッタBSで反射され、センサレンズSENを介して受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
レーザユニットLDPの半導体レーザLD3から射出された第3光束(λ3=785nm)の発散光束は、一点鎖線で示すように、ダイクロイックプリズムDPで反射され、偏光ビームスプリッタBS、コリメートレンズCOLを通過し、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、対物レンズOLに入射する。ここで、対物レンズOLの中央領域により集光された(中間領域及び周辺領域を通過した光束はフレア化され、スポット周辺部を形成する)光束は、厚さ1.2mmの保護基板PL3を介して、CDの情報記録面RL3上に形成されるスポットとなる。
情報記録面RL3上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOLを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCOLにより収斂光束とされ、偏光ビームスプリッタBSで反射され、センサレンズSENを介して受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
図7は、対物レンズOLの光源側光学面S1の一部拡大図である。図7(a)に示すように、対物レンズOLは、内側壁(第1又は第2内向き段差)IWと外側壁(第1又は第2外向き段差)OWとを有する光路差付与構造Dを、中心領域と中間領域とに有している。内側壁IWと外側壁OWとは互いに対向しており、略光軸方向に延在している。内側壁IWは、光軸OAに対して傾斜角αで傾き、外側壁OWは、内側壁IWとは逆方向に光軸OAに対して傾斜角βで傾いている。又、図7(b)に示すように、対物レンズOLは、周辺領域は内側壁(第3内向き段差)IWのみ設けた輪帯凸部を複数個備えた光路差付与構造D2を有する。光路差付与構造D2の内側壁IWは、光軸OAに対して傾いている。
ここで、対物レンズOLに平行光束Lを入射させたとき、内側壁IWと外側壁OW以外の光学面に入射した光束は、光ディスクの集光に用いられるが、内側壁IWと外側壁OWに入射した光束(ハッチングで示す)は、集光に用いられない。これが光量落ちの原因となる。本実施の形態においては、周辺領域に設けた光路差付与構造D2の内側壁IWによる光量低下以外にも、周辺領域における加工精度や成形精度の低下による光量落ちが生じ、集光スポットの太りを招く。そこで、中心領域と中間領域とにおいて外側壁OWを傾斜させることで、周辺領域の光量落ち分に応じて、中心領域と中間領域を通過する光量を低下させ、集光スポットの太りを抑制しているのである。尚、外側壁OWの傾斜角βは、光軸OAに対して1度以上、15度以下であると好ましい。又、外側壁OWの傾き角βと、内側壁IWの傾き角αとの間に、│α│>│β│の関係が成立すること好ましい。
図8は、対物レンズOLを成形する金型の加工を説明するための図である。図8(a)において、金型の素材WKに対して、工具の軸線BXを回転軸線と平行とした状態で切削する。ここで、切削用のダイヤモンド工具BTの軸線BXを、素材WKの回転軸線ROと平行に設定すると、輪帯状の凹部PJの外側壁OW’が、ダイヤモンド工具BTのすくい面の縁部に沿って、工具先端に向かうに連れて回転軸線に近づくように傾く。このような切削加工により形成された金型を用いて対物レンズを転写成形すると、図7(a)に示すように外側壁OWが光軸に対して傾いた輪帯溝が形成されるのである。
尚、図8(b)に示すように、切削用のダイヤモンド工具BTの軸線BXを、素材WKの回転軸線ROに対して角度θ傾けることで、かかる金型により成形された対物レンズOLの回折構造の内向き段差の傾き角αと、外向き段差の傾き角βとを任意に設定できる。角度θは±15度以内が望ましい。
〔実施例1〕
以下、上述した実施形態の対物レンズの光学面の実施例について説明する。なお、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば、2.5×10-3)を、E(例えば、2.5×E−3)を用いて表す場合がある。また、対物レンズの光学面は、それぞれ数1式に表に示す係数を代入した数式で規定される、光軸OAの周りに軸対称な非球面に形成されている。
ここで、X(h)は光軸方向の軸(光の進行方向を正とする)、κは円錐係数、Aiは非球面係数、hは光軸からの高さ、rは近軸曲率半径である。
また、回折構造を用いた実施例の場合、その回折構造により各波長の光束に対して与えられる光路差は、数2式の光路差関数に、表に示す係数を代入した数式で規定される。
なお、hは光軸からの高さ、λは入射光束の波長、mは回折次数、B2iは光路差関数の係数である。
実施例1の対物レンズの第1光路差付与構造の概念図を図9に示す。(図9は実施例1の実際の形状とは異なり、あくまでも概念図である)実施例1の第1光路差付与構造は、中央領域の全領域において、(2/1/1)のブレーズ型の回折構造である第2基礎構造BS2に、(1/1/1)のブレーズ型の回折構造である第1基礎構造BS1が重ね合わされた光路差付与構造となっている。また、第2基礎構造BS2の段差は光軸OAの方向を向いており、第1基礎構造BS1の段差は光軸OAとは逆の方向を向いている。さらに、第1基礎構造BS1の平均ピッチが、第2基礎構造BS2の平均ピッチに比べて小さく、第1基礎構造の光軸OAとは逆の方向を向いている段差の数が、第2基礎構造の光軸OAの方向を向いている段差の数に比べて多い。第1基礎構造BS1と第2基礎構造BS2において、入射する光束の波長がより長くなるよう変化した場合には球面収差が補正不足方向に変化する。
また、実施例1の第2光路差付与構造は、中間領域の全領域において、第1基礎構造と同じ第3基礎構造と、第2基礎構造と同じ第4基礎構造とを重ねあわせた構造となっている。第3基礎構造の段差は光軸OAと逆の方を向いており、第4基礎構造の段差は光軸OAの方を向いている。第3基礎構造と第4基礎構造において、第3基礎構造は、入射する光束の波長がより長くなるよう変化した場合には球面収差が補正過剰方向に変化し、第4基礎構造は、入射する光束の波長がより長くなるように変化した場合に球面収差が補正不足に変化する。
実施例1の第3光路差付与構造は、第5基礎構造のみからなっている。第5基礎構造は、第5基礎構造を通過した第1光束の2次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第5基礎構造を通過した第2光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第5基礎構造を通過した第3光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくするブレーズ型の回折構造である。
表1に実施例1のレンズデータを示す。表1において、「ri」は、曲率半径を示し、「di」は、次の面との間隔を表している。また、「ni」は、レンズ材料の屈折率を示す。
更に、実施例1のレンズデータに基づいて、実際の対物レンズの形状を設計した。当該実形状データを表2、表3に示す。表2、3に示されるデータを、数3式で示される数式に代入することにより、各輪帯の実形状データが得られる。
hは、光軸直交方向の光軸からの高さを表す。Aiは、非球面係数を示す。
表2、3からわかるように、本実施例において、第1輪帯から第104輪帯までが中央領域であり、第105輪帯から第160輪帯までが中間領域であり、第161輪帯から第181輪帯までが周辺領域である。
さらに、実施例1の第1光路差付与構造、第2光路差付与構造、第3光路差付与構造を、平板状素子に設けた場合の概念断面図を、図10として示す。なお、実際は、光路差付与構造の段差面は光軸OAに対して斜めとなっているが、図10においては便宜上光軸OAに平行な方向として配置されている。第1光路差付与構造が設けられた中央領域がCNで示された領域であり、第2光路差付与構造が設けられた中間領域がMDで示された領域であり、第3光路差付与構造が設けられた周辺領域がOTで示された領域である。又、図10では、中央領域と中間領域の段差は、向かい合う外向き段差と内向き段差が混在しており、周辺領域では内向き段差のみが設けられている。図10では、何れの段差も光軸に平行であるが、本実施例において成形された対物レンズでは、全ての段差が光軸に対して傾斜している。本実施例においては、第1外向き段差と第2外向き段差の光軸に対する傾斜角が10°であり、第1内向き段差の光軸に対する傾斜角が20°である。また、第3内向き段差の光軸に対する傾斜角は10°である。従って、刃先の角度が30°であるバイトを用いて金型を切削する場合、周辺領域を切削する際には、反時計回りに5°バイトを傾け、中間領域および中央領域を切削する際には、時計回りに5°バイトを傾けることになる。このような構成とすることで、周辺領域における光量低下に起因するスポット径の太りを、中央領域および中間領域における光量低下に起因するアポダイゼーション効果によって、低減でき、適切なスポット径を得ることが可能となる。
次に、実施例1の反射防止膜について説明する。対物レンズのレーザー光源側の第1光学面OS1には、以下の表4に示す3層の反射防止膜が設けられている。反射防止膜は、真空蒸着法を用いて設ける。
また、対物レンズの光ディスク側の第2光学面OS2には、以下の表3に示す7層の反射防止膜が設けられている。反射防止膜は、真空蒸着法を用いて設ける。なお、表5中のL5とは、SiO2とAl23の混合材料であり、SiO2:Al23=90〜99
:1〜10の混合比となっている。
以下、上述した実施形態の対物レンズの寸法等の実施例について説明する。
図11、12に示す本実施例の対物レンズの外径の直径g1は5mmであり、光学機能部11の軸上厚さg2は2.67mmとなっている。また、対物レンズの第1光学面OS1の面深さg3は1.930mmであり、第1光学面OS1の面径g4は4.015mmであり、第1光学面OS1の有効径g5は3.850mmとなっている。また、対物レンズの第2光学面OS2の面深さg6は0.087mmであり、第2光学面OS2の面径g7は3.033mmであり、第2光学面OS2の有効径g8は2.851mmとなっている。ここで、面径とは、光学面の直径のことをいい、有効径とは、光学面において光束が通過する部分の直径のことをいう。また、対物レンズのフランジ部12の光軸OA方向に平行な厚さg9は0.77mmであり、第1フランジ面12aのレンズ半径方向の幅g10は0.985mmであり、第2フランジ面12bのレンズ半径方向の幅g11は1.967mmとなっている。また、フランジ部12の最も薄い部分の厚さg12はで0.653mmあり、第2フランジ面12bの最上面TP1から第2光学面OS2の最上面TP2までの距離g13は0.03mmとなっている。また、アライメント用の端面12cの幅g14は0.082mmとなっている。また、文字マーキングM1及びゲート識別用マーキングM2の高さh1,h2は、0.010mmとなっている。図12(b)に示すように、文字マーキングM1の構成要素である文字部J1,J2,J3,J4の正方形領域の1辺の長さDは、0.15mmとなっている。また、ゲートカット量d1は0.14mmとなっている。なお、ゲートカット量d1は、フランジ部12の一部を光軸OA方向から見たゲート部GPに延びるゲート軸方向に垂直に切除した部分のゲート軸方向の長さである。
本発明は、明細書に記載の実施例に限定されるものではなく、他の実施例・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施例や思想から本分野の当業者にとって明らかである。明細書の記載及び実施例は、あくまでも例証を目的としており、本発明の範囲は後述するクレームによって示されている。
AC1 2軸アクチュエータ
BS 偏光ビームスプリッタ
CN 中央領域
COL コリメートレンズ
DP ダイクロイックプリズム
LD1 第1半導体レーザ又は青紫色半導体レーザ
LD2 第2半導体レーザ
LD3 第3半導体レーザ
LDP レーザユニット
MD 中間領域
OL 対物レンズ
OT 周辺領域
PD 受光素子
PL1 保護基板
PL2 保護基板
PL3 保護基板
PU1 光ピックアップ装置
QWP λ/4波長板
RL1 情報記録面
RL2 情報記録面
RL3 情報記録面
SEN センサレンズ

Claims (8)

  1. 第1波長λ1(390nm≦λ1≦420nm)の第1光束を射出する第1光源と、第2波長λ2(630nm≦λ2≦670nm)の第2光束を射出する第2光源と、第3波長λ3(760nm≦λ3≦820nm)の第3光束を射出する第3光源とを有し、前記第1光束を用いて厚さがt1の保護基板を有する第1光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行い、前記第2光束を用いて厚さがt2(t1<t2)の保護基板を有する第2光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行い、前記第3光束を用いて厚さがt3(t2<t3)の保護基板を有する第3光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置において用いられる対物レンズであって、
    前記対物レンズは、NA0.8以上のプラスチック製の単玉レンズであり、第1光学面と、前記第1光学面に対向し、前記第1光学面よりも曲率半径の大きい第2光学面とを有し、
    前記第1光学面は、中央領域と、前記中央領域の周りの中間領域と、前記中間領域の周りの周辺領域とを少なくとも有し、
    前記中央領域は第1光路差付与構造を有し、
    前記中間領域は第2光路差付与構造を有し、
    前記周辺領域は第3光路差付与構造を有し、
    前記対物レンズは、前記中央領域を通過する前記第1光束を、前記第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中央領域を通過する前記第2光束を、前記第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中央領域を通過する前記第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、
    前記対物レンズは、前記中間領域を通過する前記第1光束を、前記第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中間領域を通過する前記第2光束を、前記第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中間領域を通過する前記第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光せず、
    前記対物レンズは、前記周辺領域を通過する前記第1光束を、前記第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記周辺領域を通過する前記第2光束を、前記第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光せず、前記周辺領域を通過する前記第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光せず、
    前記第1光路差構造は、光軸の方を向いた第1内向き段差と、光軸とは逆側を向いた第1外向き段差とを共に有し、
    前記第2光路差構造は、光軸の方を向いた第2内向き段差と、光軸とは逆側を向いた第2外向き段差とを共に有し、
    前記第3光路差構造は、光軸の方を向いた第3内向き段差のみを有し、
    前記第1外向き段差と前記第2外向き段差は、光軸に対して斜めに傾いていることを特徴とする対物レンズ。
  2. 前記第1外向き段差と前記第2外向き段差の傾き角は、光軸に対して1度以上、15度以下であることを特徴とする請求項1に記載の対物レンズ。
  3. 前記第3内向き段差は、光軸に対して斜めに傾いていることを特徴とする請求項1又は2に記載の対物レンズ。
  4. 前記第1内向き段差は、前記第1外向き段差と逆側に傾いていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の対物レンズ。
  5. 前記第1内向き段差の傾き角をα1(度)、前記第1外向き段差の傾き角をβ1(度)としたときに、│α1│>│β1│であることを特徴とする請求項4に記載の対物レンズ。
  6. 以下の条件式(1)を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の対物レンズ。
    1.0≦d/f≦1.5 (1)
    但し、dは、対物レンズの光軸上の厚さ(mm)を表し、fは、第1光束における対物レンズの焦点距離を表す。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の対物レンズを有することを特徴とする光ピックアップ装置。
  8. 請求項7に記載の光ピックアップ装置を有することを特徴とする光情報記録再生装置。
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