JP2013206514A - 光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置 - Google Patents

光ピックアップ装置用の対物レンズ、光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】共通の対物レンズによりBD/DVD/CDの3種類の光ディスクに対応し、光源の波長変化時や温度変化時の球面収差を抑制できる光ピックアップ装置用の対物レンズ並びにそれを用いた光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】対物レンズOLの中央領域に設けた第1光路差付与構造を、(A/B/C)の第1基礎構造と、(D/E/F)の第2基礎構造とを重畳させ、中間領域に設けた第2光路差付与構造を、(A/B/C)の第3基礎構造と、(D/E/F)の第4基礎構造とを重畳させてなり、第1基礎構造は、輪帯状の階段単位を、光軸を中心として複数個同心円状に並べた階段型構造を有し、第1基礎構造における前記階段単位の小さい段差の光軸方向段差量d1が以下の条件式を満たす。0.5λ1/(n−1)<d1<λ1/(n−1)ただし、nは、第1光束における対物レンズOLの屈折率を表す。
【選択図】図10

Description

本発明は、異なる種類の光ディスクに対して互換可能に情報の記録及び/又は再生(記録/再生)を行える光ピックアップ装置、対物レンズ及び光情報記録再生装置に関する。
近年、光ピックアップ装置において、光ディスクに記録された情報の再生や、光ディスクへの情報の記録のための光源として使用されるレーザー光源の短波長化が進み、例えば、青紫色半導体レーザー等、波長390〜420nmのレーザー光源が実用化されている。これら青紫色レーザー光源を使用すると、DVD(デジタルバーサタイルディスク)と同じ開口数(NA)の対物レンズを使用する場合で、直径12cmの光ディスクに対して、15〜20GBの情報の記録が可能となり、対物光学素子のNAを0.85にまで高めた場合には、直径12cmの光ディスクに対して、23〜25GBの情報の記録が可能となる。
上述のようなNA0.85の対物レンズを使用する光ディスクの例として、BD(ブルーレイディスク)が挙げられる。光ディスクの傾き(スキュー)に起因して発生するコマ収差が増大するため、BDでは、DVDにおける場合よりも保護基板を薄く設計し(DVDの0.6mmに対して、0.1mm)、スキューによるコマ収差量を低減している。
ところで、BDに対して適切に情報の記録/再生ができると言うだけでは、光ディスクプレーヤ/レコーダ(光情報記録再生装置)の製品としての価値は十分なものとはいえない。現在において、多種多様な情報を記録したDVDやCD(コンパクトディスク)が販売されている現実をふまえると、BDに対して情報の記録/再生ができるだけでは足らず、例えばユーザが所有しているDVDやCDに対しても同様に適切に情報の記録/再生ができるようにすることが、BD用の光ディスクプレーヤ/レコーダとしての商品価値を高めることに通じるのである。このような背景から、BD用の光ディスクプレーヤ/レコーダに搭載される光ピックアップ装置は、BDとDVD、更にはCDの何れに対しても互換性を維持しながら適切に情報を記録/再生できる性能を有することが望まれる。
BDとDVD、更にはCDの何れに対しても互換性を維持しながら適切に情報を記録/再生できるようにする方法として、BD用の光学系とDVDやCD用の光学系とを情報を記録/再生する光ディスクの記録密度に応じて選択的に切り替える方法が考えられるが、複数の光学系が必要となるので、小型化に不利であり、またコストが増大する。
従って、光ピックアップ装置の構成を簡素化し、低コスト化を図るためには、互換性を有する光ピックアップ装置においても、BD用の光学系とDVDやCD用の光学系とを共通化して、光ピックアップ装置を構成する光学部品点数を極力減らすのが好ましい。そして、光ディスクに対向して配置される対物レンズを共通化することが光ピックアップ装置の構成の簡素化、低コスト化に最も有利となる。尚、記録/再生波長が互いに異なる複数種類の光ディスクに対して共通な対物レンズを得るためには、球面収差の波長依存性を有する回折構造を対物レンズに形成する方法がある。
特許文献1には階段状の回折構造を有し、3種類の光ディスクに対して共通に使用可能な対物レンズが記載されている。このような構成を採用すれば、階段型構造の段差を低くでき、対物レンズを成形する金型の光学面転写面に形成する階段型構造に対応した微細な溝が浅くなり、加工が容易になると共に、対物レンズの素材が溝の奥まで入り込みやすくなり、成形性が高まる。又、光源の波長変動時や温度変動時における回折効率の変動を緩和して、安定した情報の記録及び/又は再生を行えるようにできる。
国際公開第2009/154072号パンフレット
ところで、本発明者が特許文献1の実施例につき検討した結果、BD使用に際して光源の波長変化時や温度変化時の球面収差が大きくなる恐れがあることが判明した。
本発明は、上述の課題を解決することを目的としたものであり、例えばBD/DVD/CDの3種類の光ディスクの互換を共通の対物レンズで行うことを可能としつつ、光源の波長変化時や温度変化時の球面収差を抑制できる光ピックアップ装置用の対物レンズ並びにそれを用いた光ピックアップ装置及び光情報記録再生装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の対物レンズは、第1波長λ1の第1光束を射出する第1光源と、第2波長λ2(λ2>λ1)の第2光束を射出する第2光源と、第3波長λ3(λ3>λ2)の第3光束を射出する第3光源とを有し、前記第1光束を用いて厚さがt1の保護基板を有する第1光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行い、前記第2光束を用いて厚さがt2(t1<t2)の保護基板を有する第2光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行い、前記第3光束を用いて厚さがt3(t2<t3)の保護基板を有する第3光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置において用いられる対物レンズであって、
前記対物レンズの光学面は、中央領域と、前記中央領域の周りの中間領域と、前記中間領域の周りの周辺領域とを少なくとも有し、
前記中央領域は第1光路差付与構造を有し、
前記中間領域は第2光路差付与構造を有し、
前記対物レンズは、前記中央領域を通過する前記第1光束を、前記第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中央領域を通過する前記第2光束を、前記第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中央領域を通過する前記第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、
前記対物レンズは、前記中間領域を通過する前記第1光束を、前記第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中間領域を通過する前記第2光束を、前記第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中間領域を通過する前記第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光せず、
前記対物レンズは、前記周辺領域を通過する前記第1光束を、前記第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記周辺領域を通過する前記第2光束を、前記第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光せず、前記周辺領域を通過する前記第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光せず、
前記第1光路差付与構造は、第1基礎構造と第2基礎構造とを重ね合わせた構造であり、
前記第1基礎構造は、前記第1基礎構造を通過した第1光束のA次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第1基礎構造を通過した第2光束のB次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第1基礎構造を通過した第3光束のC次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、
前記第2基礎構造は、前記第2基礎構造を通過した第1光束のD次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第2基礎構造を通過した第2光束のE次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第2基礎構造を通過した第3光束のF次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、
前記第2光路差付与構造は、第3基礎構造と第4基礎構造とを重ね合わせた構造であり、
前記第3基礎構造は、前記第3基礎構造を通過した第1光束のA次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第3基礎構造を通過した第2光束のB次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第3基礎構造を通過した第3光束のC次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、
前記第4基礎構造は、前記第4基礎構造を通過した第1光束のD次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第4基礎構造を通過した第2光束のE次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第4基礎構造を通過した第3光束のF次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、
前記第1基礎構造は、輪帯状の階段単位を、光軸を中心として複数個同心円状に並べた階段型構造を有し、
前記第1基礎構造における前記階段単位の小さい段差の光軸方向段差量d1が以下の条件式を満たすことを特徴とする。
0.5λ1/(n−1)<d1<λ1/(n−1) (1)
ただし、nは、前記第1光束における前記対物レンズの屈折率を表す。
一般的に、対物レンズにおいて、第1光路差付与構造が、第1基礎構造と第2基礎構造という2種類の構造を重畳してなり、また第2光路差付与構造が、第3基礎構造と第4基礎構造という2種類の構造を重畳してなるようにすれば、階段型等の単一の構造で光路差付与構造を形成する場合に比して、設計の自由度を大きく確保できるため、特に、有効径が小さい対物レンズにおいて有利である。しかしながら、光路差関数の連続性が問題となる。
本発明者は、鋭意研究の結果、例えば特許文献1のように光路差付与構造を設けた対物レンズにおいて、第1光ディスク使用に際して光源の波長変化時や温度変化時の球面収差が比較的大きく発生する原因として、光路差関数が不連続になる為であることを見出した。光路差関数とは、[数1]に示す関数である。
尚、hは光軸からの高さ、λは入射光束の波長、mは回折次数、C2iは光路差関数の係数である。
図1は、特許文献1の実施例5に相当する光路差関数を示すグラフであり、図2は、特許文献1の実施例6に相当する光路差関数を示すグラフである。図1,2に示すように光路差関数が不連続であると、特に第1光ディスク使用時に、光源の波長変化の影響や温度変化の影響で不連続量が増大し、球面収差が比較的大きく発生するのである。
そこで、本発明においては、前記第1光路差付与構造は、第1基礎構造と第2基礎構造とを重ね合わせた構造であり、前記第1基礎構造は、前記第1基礎構造を通過した第1光束のA次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第1基礎構造を通過した第2光束のB次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第1基礎構造を通過した第3光束のC次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし(これを(A/B/C)構造という、以下同様)、前記第2基礎構造は、前記第2基礎構造を通過した第1光束のD次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第2基礎構造を通過した第2光束のE次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第2基礎構造を通過した第3光束のF次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、
前記第2光路差付与構造は、第3基礎構造と第4基礎構造とを重ね合わせた構造であり、前記第3基礎構造は、前記第3基礎構造を通過した第1光束のA次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第3基礎構造を通過した第2光束のB次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第3基礎構造を通過した第3光束のC次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第4基礎構造は、前記第4基礎構造を通過した第1光束のD次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第4基礎構造を通過した第2光束のE次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第4基礎構造を通過した第3光束のF次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくすることにより、光源の波長変化時や温度変化時の球面収差を抑制すべく前記中央領域と前記中間領域との間で光路差関数を連続としながらも、設計の自由度を確保した対物レンズを得ているのである。
更に、波長λ1の光束についての回折効率を最優先とせず、波長λ3の光束についての回折効率もバランス良く高めたいという要請がある。
例えば3ステップの基礎構造の一周期を示す図23(a)において、縦方向は対物レンズの基材の光軸方向の厚さあるいは高さを示している。その基礎構造の素子材料を例えばBK7とすると、青色レーザー光に対する素子材料の屈折率nbは、nb=1.5302となる。ポリオレフィン系の樹脂では、例えばnb=1.5414程度となる。
基礎構造の1段の段差d1は、青色レーザー光に対して光路長差が約0.63波長になる量にする。1段差d1を単位段差とする。例えば、単位段差d1は、対物レンズの基材がnb=1.541のポリオレフィン系の樹脂あれば、d1=λ1/(nb−1)×0.63=0.470μmとなる。
ここで、図23(a)の段差は0段目を基準として、1段目の段差を−0.470μm、2段目の段差を−0.940μmとしている。
図23(b)は、単位段差d1によって生じる光路差が、青色波長λ1の0.63倍であることを示している。図23(b)、図23(c)および図23(d)では、単に光路差/波長と表記している。
一方、赤色レーザー光に対する素子材料の屈折率をnrとすると、対物レンズの素子材料がBK7の場合はnr=1.5142となり、ポリオレフィン系の樹脂では例えばnr=1.5225程度となる。段差d1によって赤色レーザー光に発生する光路長差は、基材がポリオレフィン系の樹脂の場合d1×(nr−1)/λ2≒0.37となる(図23(c)参照)。
また、赤外線レーザー光に対する素子材料の屈折率をniとすると、素子材料がBK7の場合はni=1.5111となり、ポリオレフィン系の樹脂では例えばni=1.5192程度となる。段差d1によって赤外線レーザー光に発生する光路長差は、対物レンズの基材がポリオレフィン系の樹脂の場合d1×(ni−1)/λ3≒0.31となる(図23(d)参照)。
図23(a)に示すように、格子の1段差をd1にし、階段状の断面形状にすると、図23(a)に示す格子の1周期の階段形状は、2個の段差によって分けられた3個の部分(0段目部分から2段目部分)を有する形状であり、このような形状を本明細書中では、階段レベル数が3レベルの階段形状と表現する。すなわち、(M−1)個の段差によって分けられたM個の部分を有する形状を、階段レベル数がMレベルの階段形状と表現する。ここでMは自然数である。また、本明細書中ではMレベルの階段形状をM段の階段形状を表現することもある。段差、レベル、段は、(M−1)、M、Mの関係にある。
図23(a)に示す3レベルの階段形状では、青色レーザー光に対しては、1段あたりの位相変調量は0.63×2πである。つまり、−0.37×2πに等しい。3段差形成することにより位相変調量は,
3×(-0.37×2π)=-1.11×2π
で約−2π変化し、+1次回折光の回折効率が約66%と、計算(スカラー計算)され、回折次数の中で+1次回折光が最も強くなる(A)。
赤色レーザー光に対しては、1段1段重ねていくと、図23(c)に示すように位相変調量が1段あたりπ/3ずつ変化する。すなわち光路長差はλ2の1/3倍ずつ変化する。−1次回折光の回折効率が約66%と、計算(スカラー計算)され、回折次数の中で、−1次回折光が最も強くなる。なお、回折次数が負であるのは、回折次数が正の場合とは異なる方向に光が曲がることを意味している(B)。
赤外色レーザー光に対しては、1段1段重ねていくと、図23(c)に示すように位相変調量が1段あたり−2π/3ずつ変化する。すなわち光路長差はλ2の−1/3倍ずつ変化する。−1次回折光の回折効率が約67%と、計算(スカラー計算)され、回折次数の中で、−1次回折光が最も強くなる。なお、回折次数が負であるのは、回折次数が正の場合とは異なる方向に光が曲がることを意味している(C)。
ここで回折次数による光の進む方向について説明する。[数1]より、回折次数がm=0の場合、回折の影響を受けないため、図24(a)のように出射光の波面は入射光の波面と同じ方向に進む。それに対して、(A)より+1次回折光の場合、回折の作用により位相が約2π遅れるため、出射光の波面は図24(b)のように進む。また(B)と(C)より−1次回折光の場合、回折の作用により位相が約2π進むため、射出光の波面は図24(c)のように進む。そのため、+1次回折光と−1次回折光の波面の進む方向は異なる。
前記基礎構造はBD、DVD、CDの回折効率のバランスが取れた例である。
請求項3に記載の対物レンズは、請求項1又は2に記載の発明において、A=1,B=−1,C=−1、D=2,E=1、F=1であることを特徴とする。このような回折次数であれば、特に前記中央領域と前記中間領域との間で光路差関数を連続させやすくなることを、本発明者が見出したのである。
請求項4に記載の対物レンズは、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記第2基礎構造及び前記第4基礎構造は、光軸方向断面がブレーズ形状である輪帯を、光軸を中心として複数個同心円状に並べたブレーズ型構造を有することを特徴とする。
請求項5に記載の対物レンズは、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記第1基礎構造及び前記第3基礎構造は、3ステップの階段型の構造であることを特徴とする。
請求項6に記載の対物レンズは、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記周辺領域は、第3光路差付与構造を有し、前記第3光路差付与構造は、光軸方向断面がブレーズ形状である輪帯を、光軸を中心として複数個同心円状に並べたブレーズ型構造であって、前記第3光路差付与構造を通過した第1光束のD次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、また前記第3光路差付与構造を通過した第1光束のD次の光路差関数は、前記第2光路差付与構造の第1光束の光路差関数とつながる(後述する図12、図16参照)ことを特徴とする。
前記第3光路差付与構造と前記第2光路差付与構造の光路差関数とつながる条件式として、前記第3光路差付与構造と前記第2光路差付与構造の境界の波面の位相差をΔmとすると、以下の式を満たすことを特徴とする。
−1≦Δm≦1 (9)
また(3)の条件式より、前記第3光路差付与構造と前記第2光路差付与構造の境界の段の高さをΔL(μm)とすると、以下の式を満たすことを特徴とする
−1≦ΔL≦1 (10)
その段差は図25(a)と図25(b)に示すものとなる。
これにより、第3光路差付与構造の回折パワーを利用して、第1光ディスク使用時における温度変化に対する球面収差劣化(温度特性という)を良好にでき、更に対物レンズの光路差関数が、中間領域と周辺領域とで連続することとなるから、光源の波長変化に対する球面収差劣化(波長特性という)と、温度変化に対する球面収差劣化(温度特性という)を良好にできる。又、第2光束が周辺領域を通過した後にフレア光になる際に、中間領域を通過して第2光ディスクの情報記録面に集光するメイン光から離すことができ、エラー信号の発生を抑制できる。
請求項7に記載の対物レンズは、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記周辺領域は、屈折面からなることを特徴とする。高NAの対物レンズでは、周辺に向かうに連れて光学面の傾きがきつくなるので、周辺領域に光路差付与構造を形成せず屈折面にすると、金型の製造が容易になる。又、屈折面を用いることで光の利用効率を高めることができる。
請求項8に記載の対物レンズは、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記第1光束が1nmの波長変化を生じたときの波面収差ベスト位置の光軸方向の位置ずれをΔ(μm)とすると、以下の式を満たすことを特徴とする。
−0.20≦Δ≦0.55 (3)
本発明によれば、前記中央領域と前記中間領域とで光路差関数が連続しているので、前記第1光束が1nmの波長変化を生じたときの波面収差ベスト位置の光軸方向の位置ずれΔを、(3)式に満たすレベルに低下させることが出来、前記第1光束が1nmの波長変化を生じたときの波面収差ベスト位置の光軸方向の位置ずれを小さくすることができる。即ち、第1光ディスク使用時の色収差を小さくすることができる。
請求項9に記載の対物レンズは、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、以下の条件式(4)、(5)、(6)を満たすことを特徴とする。
−0.01<m1<0.01 (4)
−0.01<m2<0.01 (5)
−0.01<m3<0.01 (6)
但し、m1は、前記第1光束が前記対物レンズに入射する時の前記対物レンズの倍率を表し、m2は、前記第2光束が前記対物レンズに入射する時の前記対物レンズの倍率を表し、m3は、前記第3光束が前記対物レンズに入射する時の前記対物レンズの倍率を表す。
特許文献1に記載の対物レンズでは、有限光束を入射させている。このため、同じNAであっても無限光束入射に比べて前記中央領域と中間領域が大きくなるので、前記周辺領域が狭くなり、BDの回折効率が低下してしまうという問題がある。これに対し本発明によれば、無限平行光束をのみを前記対物レンズに入射することで、前記第3光ディスクと前記第2光ディスク使用時の有効径を小さくでき、前記第1光ディスク使用時の光の利用効率を高めることができる。
請求項10に記載の対物レンズは、請求項1〜9のいずれかに記載の発明において、前記第1光ディスク使用時における有効径φ1(mm)が、以下の式を満たすことを特徴とする。
2.8≦φ1≦4.0 (7)
これにより、本発明の対物レンズは、いわゆるスリムタイプと呼ばれる薄型の光ピックアップ装置から、ハーフハイトタイプと呼ばれる光ピックアップ装置まで幅広く適用できる。
請求項11に記載の対物レンズは、請求項1〜10のいずれかに記載の発明において、前記第3光ディスク使用時におけるワーキングディスタンスWD3(mm)が、以下の式を満たすことを特徴とする。
0.2≦WD3 (8)
本発明によれば、(8)式を満たすレベルまで前記第3光ディスク使用時におけるワーキングディスタンスWD3を広げることができるので好ましい。
請求項12に記載の光ピックアップ装置は、請求項1〜11のいずれかに記載の発明において、請求項1〜11のいずれかに記載の対物レンズを有することを特徴とする。
請求項13に記載の光情報記録再生装置は、請求項12に記載の光ピックアップ装置を有することを特徴とする。
本発明に係る光ピックアップ装置は、第1光源、第2光源、第3光源の少なくとも3つの光源を有する。さらに、本発明の光ピックアップ装置は、第1光束を第1光ディスクの情報記録面上に集光させ、第2光束を第2光ディスクの情報記録面上に集光させ、第3光束を第3光ディスクの情報記録面上に集光させるための集光光学系を有する。また、本発明の光ピックアップ装置は、第1光ディスク、第2光ディスク又は第3光ディスクの情報記録面からの反射光束を受光する受光素子を有する。
第1光ディスクは、厚さがt1の保護基板と情報記録面とを有する。第2光ディスクは厚さがt2(t1<t2)の保護基板と情報記録面とを有する。第3光ディスクは、厚さがt3(t2<t3)の保護基板と情報記録面とを有する。第1光ディスクがBDであり、第2光ディスクがDVDであり、第3光ディスクがCDであることが好ましいが、これに限られるものではない。なお、第1光ディスク、第2光ディスク又は第3光ディスクは、複数の情報記録面を有する複数層の光ディスクでもよい。
本明細書において、BDとは、波長390〜415nm程度の光束、NA0.8〜0.9程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが0.05〜0.125mm程度であるBD系列光ディスクの総称であり、単一の情報記録層のみ有するBDや、2層又はそれ以上の情報記録層を有するBD等を含むものである。更に、本明細書においては、DVDとは、NA0.60〜0.67程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが0.6mm程度であるDVD系列光ディスクの総称であり、DVD−ROM、DVD−Video、DVD− Audio、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等を含む。また、本明細書においては、CDとは、NA0.45〜0.51程度の対物レンズにより情報の記録/再生が行われ、保護基板の厚さが1.2mm 程度であるCD系列光ディスクの総称であり、CD−
ROM、CD−Audio、CD−Video、CD−R、CD−RW等を含む。尚、記録密度については、BDの記録密度が最も高く、次いでDVD、CDの順に低くなる。
なお、保護基板の厚さt1、t2、t3に関しては、以下の条件式(11)、(12)、(13)を満たすことが好ましいが、これに限られない。尚、ここで言う、保護基板の厚さとは、光ディスク表面に設けられた保護基板の厚さのことである。即ち、光ディスク表面から、表面に最も近い情報記録面までの保護基板の厚さのことをいう。
0.050mm ≦ t1 ≦ 0.125mm (11)
0.5mm ≦ t2 ≦ 0.7mm (12)
1.0mm ≦ t3 ≦ 1.3mm (13)
本明細書において、第1光源、第2光源、第3光源は、好ましくはレーザー光源である。レーザー光源としては、好ましくは半導体レーザー、シリコンレーザー等を用いることが出来る。第1光源から出射される第1光束の第1波長λ1、第2光源から出射される第2光束の第2波長λ2(λ2>λ1)、第3光源から出射される第3光束の第3波長λ3(λ3>λ2)は以下の条件式(14)、(15) を満たすことが好ましい。
1.5・λ1 < λ2 < 1.7・λ1 (14)
1.8・λ1 < λ3 < 2.0・λ1 (15)
また、第1光ディスク、第2光ディスク、第3光ディスクとして、それぞれ、BD、DVD及びCDが用いられる場合、第1光源の第1波長λ1は好ましくは、350nm 以上、440nm以下、より好ましくは、390nm以上、415nm以下であって、第2光源の第2波長λ2は好ましくは570nm以上、680nm以下、より好ましくは、630nm以上、670nm以下であって、第3光源の第3波長λ3は好ましくは、750nm以上、880nm以下、より好ましくは、760nm以上、820nm以下である。
また、第1光源、第2光源、第3光源のうち少なくとも2つの光源をユニット化してもよい。ユニット化とは、例えば第1光源と第2光源とが1パッケージに固定収納されているようなものをいう。また、光源に加えて、後述する受光素子を1パッケージ化してもよい。
受光素子としては、フォトダイオードなどの光検出器が好ましく用いられる。光ディスクの情報記録面上で反射した光が受光素子へ入射し、その出力信号を用いて、各光ディスクに記録された情報の読み取り信号が得られる。さらに、受光素子上のスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行い、この検出に基づいて、合焦、トラッキングのために対物レンズを移動させることが出来る。受光素子は、複数の光検出器からなっていてもよい。受光素子は、メインの光検出器とサブの光検出器を有していてもよい。例えば、情報の記録再生に用いられるメイン光を受光する光検出器の両脇に2つのサブの光検出器を設け、当該2つのサブの光検出器によってトラッキング調整用のサブ光を受光するような受光素子としてもよい。また、受光素子は各光源に対応した複数の受光素子を有していてもよい。
集光光学系は、対物レンズを有する。集光光学系は、対物レンズの他にコリメータ等のカップリングレンズを有していることが好ましい。カップリングレンズとは、対物レンズと光源の間に配置され、光束の発散角を変える単レンズ又はレンズ群のことをいう。コリメータは、カップリングレンズの一種で、コリメータに入射した光を平行光にして出射するレンズである。本明細書において、対物レンズとは、光ピックアップ装置において光ディスクに対向する位置に配置され、光源から射出された光束を光ディスクの情報記録面上に集光する機能を有する光学系を指す。対物レンズは、二つ以上の複数のレンズ及び/又は光学素子から構成されていてもよいし、単玉のレンズのみからなっていてもよいが、好ましくは単玉の凸レンズからなる対物レンズである。また、対物レンズは、ガラスレンズであってもプラスチックレンズであっても、又は、ガラスレンズの上に光硬化性樹脂、UV硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂などで光路差付与構造を設けたハイブリッドレンズであってもよいが、プラスチックレンズであることが好ましい。対物レンズが複数のレンズを有する場合は、ガラスレンズとプラスチックレンズを混合して用いてもよい。対物レンズが複数のレンズを有する場合、光路差付与構造を有する平板光学素子と非球面レンズ(光路差付与構造を有していてもいなくてもよい)の組み合わせであってもよい。また、対物レンズは、屈折面が非球面であることが好ましい。また、対物レンズは、光路差付与構造が設けられるベース面が非球面であることが好ましい。
また、対物レンズをガラスレンズとする場合は、ガラス転移点Tgが500℃以下、更に好ましくは400℃以下であるガラス材料を使用することが好ましい。ガラス転移点Tgが500℃以下であるガラス材料を使用することにより、比較的低温での成形が可能となるので、金型の寿命を延ばすことが出来る。このようなガラス転移点Tgが低いガラス材料としては、例えば(株)住田光学ガラス製のK−PG325や、K−PG375(共に製品名)がある。
ところで、ガラスレンズは一般的に樹脂レンズよりも比重が大きいため、対物レンズをガラスレンズとすると、重量が大きくなり対物レンズを駆動するアクチュエータに負担がかかる。そのため、対物レンズをガラスレンズとする場合には、比重が小さいガラス材料を使用するのが好ましい。具体的には、比重が4.0以下であるのが好ましく、更に好ましくは比重が3.0以下であるものである。
加えて、ガラスレンズを成形して製作する際に重要となる物性値の一つが線膨脹係数aである。仮にTgが400℃以下の材料を選んだとしても、プラスチック材料と比較して室温との温度差は依然大きい。線膨脹係数aが大きい硝材を用いてレンズ成形を行った場合、降温時に割れが発生しやすくなる。硝材の線膨脹係数aは、200(10E−7/K)以下にあることが好ましく、さらに好ましくは120以下であることである。
また、対物レンズを構成するプラスチック材料として、環状オレフィン系の樹脂材料等の脂環式炭化水素系重合体材料を使用するのが好ましい。また、当該樹脂材料は、波長405nmに対する温度25℃ での屈折率が1.50乃至1.60の範囲内であって、−5℃から70℃の温度範囲内での温度変化に伴う波長405nmに対する屈折率変化率dN/dT(℃-1)が−20×10-5乃至−5×10-5(より好ましくは、−10×10-5乃至−8×10-5)の範囲内である樹脂材料を使用するのがより好ましい。また、対物レンズがプラスチックレンズである場合、カップリングレンズもプラスチックレンズとすることが好ましい。
脂環式炭化水素系重合体の好ましい例を幾つか、以下に示す。
第1の好ましい例は、下記式(I)で表される繰り返し単位〔1〕を含有する重合体ブ
ロック〔A〕と、下記式(1)で表される繰り返し単位〔1〕並びに下記式(II)で表される繰り返し単位〔2〕または/および下記式(III)で表される繰り返し単位〔3〕を
含有する重合体ブロック〔B〕とを有し、前記ブロック〔A〕中の繰り返し単位〔1〕のモル分率a(モル%)と、前記ブロック〔B〕中の繰り返し単位〔1〕のモル分率b(モル%)との関係がa>bであるブロック共重合体からなる樹脂組成物である。
(式中、R1 は水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R2−R12はそ
れぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、またはハロゲン基である。)
(式中、R13は、水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
(式中、R14およびR15はそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数1〜20のアル
キル基を表す。)
次に、第2の好ましい例は、少なくとも炭素原子数2〜20のα−オレフィンと下記一
般式(IV)で表される環状オレフィンからなる単量体組成物とを付加重合させることにより得られる重合体(A)と、炭素原子数2〜20のα−オレフィンと下記一般式(V)
で表される環状オレフィンからなる単量体組成物とを付加重合させることにより得られる重合体(B)とを含む樹脂組成物である。
〔式中、nは0または1であり、mは0または1以上の整数であり、qは0または1であり、R1〜R18、Ra及びRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水
素基であり、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、括弧内
の単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR15とR16と、またはR17とR18
とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
〔式中、R19〜R26はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。〕
樹脂材料に更なる性能を付加するために、以下のような添加剤を添加してもよい。
(安定剤)
フェノール系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、リン系安定剤及びイオウ系安定剤から選ばれた少なくとも1種の安定剤を添加することが好ましい。これらの安定剤を適宜選択し添加することで、例えば、405nmといった短波長の光を継続的に照射した場合の白濁や、屈折率の変動等の光学特性変動をより高度に抑制することができる。
好ましいフェノール系安定剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニルプロピオネート))メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))]、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
また、好ましいヒンダードアミン系安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)デカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
また、好ましいリン系安定剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
また、好ましいイオウ系安定剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピピオネート、ジステアリル 3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ)−プロピオネート、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
これらの各安定剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、脂環式炭化水素系共重合体100質量部に対して通常0.01〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部であることが好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤は、同一分子中に親水基と疎水基とを有する化合物である。界面活性剤は樹脂表面への水分の付着や上記表面からの水分の蒸発の速度を調節することで、樹脂組成物の白濁を防止することが可能となる。
界面活性剤の親水基としては、具体的には、ヒドロキシ基、炭素数1以上のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、アンモニウム塩、チオール、スルホン酸塩、リン酸塩、ポリアルキレングリコール基などが挙げられる。ここで、アミノ基は1級、2級、3級のいずれであってもよい。界面活性剤の疎水基としては、具体的に炭素数6以上のアルキル基、炭素数6以上のアルキル基を有するシリル基、炭素数6以上のフルオロアルキル基などが挙げられる。ここで、炭素数6以上のアルキル基は置換基として芳香環を有していてもよい。アルキル基としては、具体的にヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデセニル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ミリスチル、ステアリル、ラウリル、パルミチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。芳香環としてはフェニル基などが挙げられる。この界面活性剤は、上記のような親水基と疎水基とをそれぞれ同一分子中に少なくとも1個ずつ有していればよく、各基を2個以上有していてもよい。
このような界面活性剤としては、より具体的には、例えば、ミリスチルジエタノールアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシトリデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシテトラデシルアミン、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ジ−2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、アルキル(炭素数8〜18)ベンジルジメチルアンモニウムクロライド、エチレンビスアルキル(炭素数8〜18)アミド、ステアリルジエタノールアミド、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、などが挙げられる。これらのうちでも、ヒドロキシアルキル基を有するアミン化合物またはアミド化合物が好ましく用いられる。本発明では、これら化合物を2種以上組合わせて用いてもよい。
界面活性剤は、温度、湿度の変動に伴なう成形物の白濁を効果的に抑え、成形物の光透過率を高く維持するという観点から、脂環式炭化水素系重合体100質量部に対して0.01〜10質量部添加されることが好ましい。界面活性剤の添加量は脂環式炭化水素系重合体100質量部に対して0.05〜5質量部とすることがより好ましく、0.3〜3質量部とすることが更に好ましい。
(可塑剤)
可塑剤は共重合体のメルトインデックスを調節するため、必要に応じて添加される。
可塑剤としては、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ビス(2−ブトキシエチル)、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジプロピレングリコールジベンゾエート、クエン酸トリ−n−ブチル、クエン酸トリ−n−ブチルアセチル、エポキシ化大豆油、2−エチルヘキシルエポキシ化トール油、塩素化パラフィン、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸−t−ブチルフェニル、リン酸トリ−2−エチルヘキシルジフェニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、Santicizer 278、Paraplex G40、Drapex 334F、Plastolein 9720、Mesamoll、DNODP−610、HB−40等の公知のものが適用可能である。可塑剤の選定及び添加量の決定は、共重合体の透過性や環境変化に対する耐性を損なわないことを条件に適宜行なわれる。
これらの樹脂としては、シクロオレフィン樹脂が好適に用いられ、具体的には、日本ゼオン社製のZEONEXや、三井化学社製のAPEL、TOPAS ADVANCED POLYMERS社製のTOPAS、JSR社製ARTONなどが好ましい例として挙げられる。
また、対物レンズを構成する材料のアッベ数は、50以上であることが好ましい。
対物レンズについて、以下に記載する。対物レンズの少なくとも一つの光学面が、中央領域と、中央領域の周りの中間領域と、中間領域の周りの周辺領域とを少なくとも有する。中央領域は、対物レンズの光軸を含む領域であることが好ましいが、光軸を含む微小な領域を未使用領域や特殊な用途の領域とし、その周りを中心領域(中央領域ともいう)としてもよい。中央領域、中間領域、及び周辺領域は同一の光学面上に設けられていることが好ましい。図3に示されるように、中央領域CN、中間領域MD、周辺領域OTは、同一の光学面上に、光軸を中心とする同心円状に設けられていることが好ましい。また、対物レンズの中央領域には第一光路差付与構造が設けられ、中間領域には第二光路差付与構造が設けられている。周辺領域は屈折面であってもよいし、周辺領域に第三光路差付与構造が設けられていてもよい。中央領域、中間領域、周辺領域はそれぞれ隣接していることが好ましいが、間に僅かに隙間があっても良い。
対物レンズの中央領域は、第1光ディスク、第2光ディスク及び第3光ディスクの記録/再生に用いられる第1、第2、第3光ディスク共用領域と言える。即ち、対物レンズは、中央領域を通過する第1光束を、第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光し、中央領域を通過する第2光束を、第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、中央領域を通過する第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光する。また、中央領域に設けられた第1光路差付与構造は、第1光路差付与構造を通過する第1光束及び第2光束に対して、第1光ディスクの保護基板の厚さt1と第2光ディスクの保護基板の厚さt2の違いにより発生する球面収差/第1光束と第2光束の波長の違いにより発生する球面収差を補正することが好ましい。さらに、第1光路差付与構造は、第1光路差付与構造を通過した第1光束及び第3光束に対して、第1光ディスクの保護基板の厚さt1と第3光ディスクの保護基板の厚さt3との違いにより発生する球面収差/第1光束と第3光束の波長の違いにより発生する球面収差を補正することが好ましい。
対物レンズの中間領域は、第1光ディスク、第2光ディスクの記録/再生に用いられ、第3光ディスクの記録/再生に用いられない第1、第2光ディスク共用領域と言える。即ち、対物レンズは、中間領域を通過する第1光束を、第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光し、中間領域を通過する第2光束を、第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光する。その一方で、中間領域を通過する第3光束を、第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光しない。対物レンズの中間領域を通過する第3光束は、第3光ディスクの情報記録面上でフレアを形成することが好ましい。図4に示すように、対物レンズを通過した第3光束が第3光ディスクの情報記録面上で形成するスポットにおいて、光軸側(又はスポット中心部)から外側へ向かう順番で、光量密度が高いスポット中心部SCN、光量密度がスポット中心部より低いスポット中間部SMD、光量密度がスポット中間部よりも高くスポット中心部よりも低いスポット周辺部SOTを有することが好ましい。スポット中心部が、光ディスクの情報の記録/再生に用いられ、スポット中間部及びスポット周辺部は、光ディスクの情報の記録/再生には用いられない。上記において、このスポット周辺部をフレアと言っている。但し、スポット中心部の周りにスポット中間部が存在せずスポット周辺部があるタイプ、即ち、集光スポットの周りに薄く光が大きなスポットを形成する場合も、そのスポット周辺部をフレアと呼んでもよい。つまり、対物レンズの中間領域を通過した第3光束は、第3光ディスクの情報記録面上でスポット周辺部を形成することが好ましいとも言える。
対物レンズの周辺領域は、第1光ディスクの記録/再生に用いられ、第2光ディスク及び第3光ディスクの記録/再生に用いられない第1光ディスク専用領域と言える。即ち、対物レンズは、周辺領域を通過する第1光束を、第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光する。その一方で、周辺領域を通過する第2光束を、第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光せず、周辺領域を通過する第3光束を、第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録/再生ができるように集光しない。対物レンズの周辺領域を通過する第2光束及び第3光束は、第2光ディスク及び第3光ディスクの情報記録面上でフレアを形成することが好ましい。つまり、対物レンズの周辺領域を通過した第2光束及び第3光束は、第2光ディスク及び第3光ディスクの情報記録面上でスポット周辺部を形成することが好ましい。
第1光路差付与構造は、対物レンズの中央領域の面積の70%以上の領域に設けられていることが好ましく、90%以上がより好ましい。より好ましくは、第1光路差付与構造が、中央領域の全面に設けられていることである。第2光路差付与構造は、対物レンズの中間領域の面積の70%以上の領域に設けられていることが好ましく、90%以上がより好ましい。より好ましくは、第2光路差付与構造が、中間領域の全面に設けられていることである。周辺領域が第3光路差付与構造を有する場合、第3光路差付与構造は、対物レンズの周辺領域の面積の70%以上の領域に設けられていることが好ましく、90%以上がより好ましい。より好ましくは、第3光路差付与構造が、周辺領域の全面に設けられていることである。
なお、本明細書でいう光路差付与構造とは、入射光束に対して光路差を付加する構造の総称である。光路差付与構造には、位相差を付与する位相差付与構造も含まれる。また、位相差付与構造には回折構造が含まれる。本発明の光路差付与構造は回折構造であることが好ましい。光路差付与構造は、段差を有し、好ましくは段差を複数有する。この段差により入射光束に光路差及び/又は位相差が付加される。光路差付与構造により付加される光路差は、入射光束の波長の整数倍であっても良いし、入射光束の波長の非整数倍であっても良い。段差は、光軸垂直方向に周期的な間隔をもって配置されていてもよいし、光軸垂直方向に非周期的な間隔をもって配置されていてもよい。また、光路差付与構造を設けた対物レンズが単玉非球面レンズの場合、光軸からの高さによって光束の対物レンズへの入射角が異なるため、光路差付与構造の段差量は各輪帯毎に若干異なることとなる。例えば、対物レンズが単玉非球面の凸レンズである場合、同じ光路差を付与させる光路差付与構造であっても、一般的に光軸から離れる程、段差量が大きくなる傾向となる。
また、本明細書でいう回折構造とは、段差を有し、回折によって光束を収束あるいは発散させる作用を持たせる構造の総称である。例えば、単位形状が光軸を中心として複数並ぶことによって構成されており、それぞれの単位形状に光束が入射し、透過した光の波面が、隣り合う輪帯毎にズレを起こし、その結果、新たな波面を形成することによって光を収束あるいは発散させるような構造を含むものである。回折構造は、好ましくは段差を複数有し、段差は光軸垂直方向に周期的な間隔をもって配置されていてもよいし、光軸垂直方向に非周期的な間隔をもって配置されていてもよい。また、回折構造を設けた対物レンズが単玉非球面レンズの場合、光軸からの高さによって光束の対物レンズへの入射角が異なるため、回折構造の段差量は各輪帯毎に若干異なることとなる。例えば、対物レンズが単玉非球面の凸レンズである場合、同じ回折次数の回折光を発生させる回折構造であっても、一般的に光軸から離れる程、段差量が大きくなる傾向となる。
ところで、光路差付与構造は、光軸を中心とする同心円状の複数の輪帯を有することが好ましい。また、光路差付与構造は、一般に、様々な断面形状(光軸を含む面での断面形状)をとり得、光軸を含む断面形状がブレーズ型構造と階段型構造とに大別される。
ブレーズ型構造とは、図5(a)、(b)に示されるように、光路差付与構造を有する光学素子の光軸を含む断面形状が、鋸歯状の形状ということである。尚、図4の例においては、上方が光源側、下方が光ディスク側であって、母非球面としての平面に光路差付与構造が形成されているものとする。ブレーズ型構造において、1つのブレーズ単位の光軸垂直方向の長さをピッチPという。(図5(a)、(b)参照)また、ブレーズの光軸に平行方向の段差の長さを段差量Bという。(図5(a)参照)
また、階段型構造とは、図5(c)、(d)に示されるように、光路差付与構造を有する光学素子の光軸を含む断面形状が、小階段状のもの(階段単位と称する)を複数有するということである。尚、本明細書中、「Vステップ」とは、階段型構造の1つの階段単位において光軸垂直方向に対応する(向いた)輪帯状の面(以下、テラス面と称することもある)が、段差によって区分けされV個の輪帯面毎に分割されていることをいい、特に3ステップ以上の階段型構造は、小さい段差と大きい段差を有することになる。例えば、図5(c)に示す光路差付与構造を、5レベルの階段型構造といい、図5(d)に示す光路差付与構造を、2レベルの階段型構造(バイナリ構造ともいう)という。
尚、光路差付与構造は、ある単位形状が周期的に繰り返されている構造であることが好ましい。ここでいう「単位形状が周期的に繰り返されている」とは、同一の形状が同一の周期で繰り返されている形状は当然含む。さらに、周期の1単位となる単位形状が、規則性を持って、周期が徐々に長くなったり、徐々に短くなったりする形状も、「単位形状が周期的に繰り返されている」ものに含まれているとする。
光路差付与構造が、ブレーズ型構造を有する場合、単位形状である鋸歯状の形状が繰り返された形状となる。図5(a)に示されるように、同一の鋸歯状形状が繰り返されてもよいし、図5(b)に示されるように、光軸から離れる方向に進むに従って、徐々に鋸歯状形状のピッチが長くなっていく形状、又は、ピッチが短くなっていく形状であってもよい。加えて、ある領域においては、ブレーズ型構造の段差が光軸(中心)側とは逆を向いている形状とし、他の領域においては、ブレーズ型構造の段差が光軸(中心)側を向いている形状とし、その間に、ブレーズ型構造の段差の向きを切り替えるために必要な遷移領域が設けられている形状としてもよい。なお、このようにブレーズ型構造の段差の向きを途中で切り替える構造にする場合、輪帯ピッチを広げることが可能となり、光路差付与構造の製造誤差による透過率低下を抑制できる。
光路差付与構造が、階段型構造を有する場合、図5(c)で示されるような5ステップの階段単位が、繰り返されるような形状等があり得る。さらに、光軸から離れる方向に進むに従って、徐々に階段単位のピッチが長くなっていく形状や、徐々に階段単位のピッチが短くなっていく形状であってもよい。
また、第1光路差付与構造及び第2光路差付与構造は、それぞれ対物レンズの異なる光学面に設けてもよいが、同一の光学面に設けることが好ましい。更に、第3光路差付与構造を設ける場合も、第1光路差付与構造及び第2光路差付与構造と同じ光学面に設けることが好ましい。同一の光学面に設けることにより、製造時の偏芯誤差を少なくすることが可能となるため好ましい。また、第1光路差付与構造、第2光路差付与構造及び第3光路差付与構造は、対物レンズの光ディスク側の面よりも、対物レンズの光源側の面に設けられることが好ましい。別の言い方では、第1光路差付与構造、第2光路差付与構造及び第3光路差付与構造は、対物レンズの曲率半径の絶対値が小さい方の光学面に設けることが好ましい。
次に、中央領域に設けられる第1光路差付与構造について説明する。第1光路差付与構造は、第1基礎構造と第2基礎構造を重ね合わせた構造である。
第1基礎構造は、階段型構造である。また、第1基礎構造は、第1基礎構造を通過した第1光束のA次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第1基礎構造を通過した第2光束のB次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第1基礎構造を通過した第3光束のC次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする。A=1,B=−1,C=−1である((1,−1,−1)構造である)と好ましい。このとき、低次の回折光を発生する第1基礎構造の段差量は大きくなり過ぎないため、製造が容易となり、製造誤差に起因する光量ロスを抑えることが出来ると共に、波長変動時の回折効率変動も低減することができるため好ましい。
また、少なくとも中央領域の光軸付近に設けられる第1基礎構造は、最も大きい段差が光軸方向を向いていると好ましい。「最も大きい段差が光軸方向を向いている」とは、図6(a)のような状態を言う。また、「少なくとも中央領域の光軸付近」に設けられる第1基礎構造とは、少なくとも最も光軸に近い段差を言う。好ましくは、少なくとも、光軸から中央領域と中間領域の境界までの光軸直交方向の半分の位置と、光軸との間に存在する段差が、光軸とは逆の方向を向いていることである。尚、これとは逆に、「最も大きい段差が光軸とは逆の方向を向いている」とは、図6(b)のような状態を言う。
BD/DVD/CDの3種類の光ディスクの互換で用いるような軸上厚が厚い厚肉の対物レンズにおいても、CD使用時にワーキングディスタンスを十分確保するという観点からは、第1基礎構造が第1光束に対して近軸パワーを持つことが好ましい。ここで、「近軸パワーを持つ」とは、第1基礎構造の光路差関数を後述する数1式で表した場合、C2が0でないことを意味する。
また、第2基礎構造は、ブレーズ型構造であると好ましい。第2基礎構造は、第2基礎構造を通過した第1光束のD次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第2基礎構造を通過した第2光束のE次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第2基礎構造を通過した第3光束のF次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする。D=2,E=1,F=1である((2,1,1)構造である)と好ましい。このとき、低次の回折光を発生する第2基礎構造の段差量は大きくなり過ぎないため、製造が容易となり、製造誤差に起因する光量ロスを抑えることが出来ると共に、波長変動時の回折効率変動も低減することができるため好ましい。
また、少なくとも中央領域の光軸付近に設けられる第2基礎構造は、その段差が光軸の方向を向いていると好ましい。「段差が光軸の方向を向いている」とは、図7(a)のような状態を言う。また、「少なくとも中央領域の光軸付近」に設けられる第2基礎構造とは、少なくとも最も光軸に近い段差を言う。好ましくは、少なくとも光軸から中央領域と中間領域の境界までの光軸直交方向の半分の位置の間に存在する段差が光軸の方向を向いていることである尚、これとは逆に、「段差が光軸とは逆の方向を向いている」とは、図7(b)のような状態を言う。
例えば、中央領域の中間領域付近に設けられる第2基礎構造は、段差が光軸とは逆の方向を向いていてもよい。即ち、図8(a)に示すように、第2基礎構造が光軸付近では段差が光軸の方向を向いているが、途中で切り替わり、中間領域付近では第2基礎構造の段差が光軸とは逆の方向を向くような形状としてもよい。但し、好ましくは、中央領域に設けられる第2基礎構造は、全ての段差が光軸の方向を向いていることである。
このように、第1光束に対して奇数次数の回折光を発生し、少なくとも中央領域の光軸付近においては最も大きな段差が光軸方向を向いている第1基礎構造と、第1光束に対して偶数次数の回折光を発生し、少なくとも中央領域の光軸付近においては段差が光軸の方向を向いている第2基礎構造を重ね合わせることにより回折パワーを調節することができるので、CDのワーキングディスタンスを長くすることができる。
また、BD/DVD/CDの3種類の光ディスクの互換を可能とするだけでなく、BD/DVD/CDの3種類の何れの光ディスクに対しても、高い光利用効率を維持できる光利用効率のバランスが取れた対物レンズを提供することも可能となる。例えば、波長λ1に対する回折効率を80%以上、波長λ2に対する回折効率を60%以上、波長λ3に対する回折効率を50%以上とする対物レンズを提供することも可能となる。更には、波長λ1に対する回折効率を80%以上、波長λ2に対する回折効率を70%以上、波長λ3に対する回折効率を60%以上とする対物レンズも提供することができる。
更に、第1基礎構造と第2基礎構造の重ね合わせ方としては、第1基礎構造と第2基礎構造のピッチを合わせ、第2基礎構造の全ての段差の位置と、第1基礎構造の段差の位置を合わせるか、第1基礎構造の全ての段差の位置と、第2基礎構造の段差の位置を合わせることが好ましい。
一例としては、図9(a)に示すブレーズ型構造の最も深くなる位置P1と、図9(b)に示す階段型構造の最も深くなる位置P2とを一致させて重畳する例を示す。これは、ブレーズ型構造である第2基礎構造の全ての段差部の位置と階段型構造である第1基礎構造の段差部の位置が一致するように重畳させている例である。これにより、図9(c)に示す第1光路差付与構造を得ることができる。このように、ブレーズ型構造と階段型構造とをブレーズ型の段差の位置と階段型構造の大きな段差の位置とを一致させて重畳させて図9(c)のようなブレーズ型階段構造を得ることができる。
また、第1基礎構造と第2基礎構造とを重ね合わせた第1光路差付与構造にすることにより、第1基礎構造は波長が長くなった際に収差をアンダー(補正不足)とし(波長特性をアンダーとする)、第2基礎構造は逆に波長が長くなった際に収差をオーバー(補正過剰)とできる(波長特性をオーバーとする)ため、波長特性がアンダーに大きくなりすぎたり、オーバーに大きくなりすぎるということがなく、丁度よいレベルのアンダーの波長特性を得ることが可能となる。「丁度よいレベルのアンダーの波長特性」とは、λrmsの絶対値が150以下であることが好ましい。これによって、対物レンズがプラスチック製である場合であっても、温度変化時の収差変化を小さく抑えることが可能となるという観点からも好ましい。
一方、CDのWD確保という観点から、近軸パワーにおいては第2基礎構造に比べて、第1基礎構造の寄与率が支配的であることが好ましい。第1基礎構造の平均ピッチを、第2基礎構造の平均ピッチに比べて小さくしても良い。尚、第1基礎構造の平均ピッチが、第2基礎構造の平均ピッチの1/4以下であることが好ましい。更に好ましくは、1/6以下とすることである。第1基礎構造の平均ピッチを、第2基礎構造の平均ピッチの1/4以下(好ましくは1/6以下)とするのが好ましい。別の表現では、中央領域の第1光路差付与構造において、光軸とは逆の方向を向いている段差の数が、光軸の方向を向いている段差の数の4倍以上であることが好ましいともいえる。より好ましくは6倍以上である。
また、第1光路差付与構造の最小ピッチが15μm以下であることが好ましい。当該観点からは、第1光路差付与構造の最小ピッチpと第1波長λ1における焦点距離f1の比p/f1が0.004以下であることが好ましい。より好ましくは10μm以下である。また、第1光路差付与構造の平均ピッチが30μm以下となることが好ましい。より好ましくは20μm以下とすることである。この様な構成にすることにより、CDのWDが確保できると共に、第1光路差付与構造を通過した第1〜3の全ての光束において発生する、情報の記録/再生に用いられる必要光のベストフォーカス位置と、第1光路差付与構造による不要光の発生位置を離すことができ、誤検出を低減することも可能となる。尚、平均ピッチとは、中央領域の第1光路差付与構造の全てのピッチを合計し、中央領域の第1光路差付与構造の段差数で割った値である。
また、対物レンズは、軸上色収差が0.9μm/nm以下であることが好ましい。より好ましくは、軸上色収差を0.8μm/nm以下とすることである。第1基礎構造のピッチを小さくしすぎると、軸上色収差が悪化してしまう可能性があるため、軸上色収差が0.9μm/nmより大きくなるようなピッチにならないように留意して設計することが望ましい。当該観点からは、第1光路差付与構造の最小ピッチpと第1波長λ1における焦点距離f1の比p/f1が0.002以上であることが好ましい。一方で、CDにおけるワーキングディスタンスを十分に確保するためには、軸上色収差が0.4μm/nm以上であることが好ましい。
第1光路差付与構造を通過した第3光束によって、第3光束が形成するスポットの光強度が最も強い第1ベストフォーカス位置と、第3光束が形成するスポットの光強度が次に強い第2ベストフォーカス位置とが、以下の条件式(14)を満たすことが好ましい。なお、ここでいうベストフォーカス位置とは、ビームウェストが、或るデフォーカスの範囲でビームウェストが極小となる位置を指すものである。第1ベストフォーカス位置が第3光ディスクの記録/再生に用いられる必要光のベストフォーカス位置であり、第2ベストフォーカス位置が第3光ディスクの記録/再生に用いられない不要光のうち、最も光量が多い光束のベストフォーカス位置である。
0.001≦L/f13≦0.01 (14)
但し、f13[mm]は、第1光路差付与構造を通過し、第1ベストフォーカスを形成する第3光束の焦点距離を指し、L[mm]は、第1ベストフォーカスと第2ベストフォーカスの間の距離を指す。
次に、中間領域に設けられる第2光路差付与構造について説明する。第2光路差付与構造は、第3基礎構造と第4基礎構造を重ね合わせた構造である。
第3基礎構造は、階段型構造であると好ましい。より好ましくは、第3基礎構造は第1基礎構造と共通の構造であることである。また、第3基礎構造は、第3基礎構造を通過した第1光束のA次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第3基礎構造を通過した第2光束のB次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第3基礎構造を通過した第3光束のC次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする。A=1,B=−1,C=−1である((1,−1,−1)構造である)と好ましい。このとき、低次の回折光を発生する第1基礎構造の段差量は大きくなり過ぎないため、製造が容易となり、製造誤差に起因する光量ロスを抑えることが出来ると共に、波長変動時の回折効率変動も低減することができるため好ましい。
また、少なくとも中央領域に近い第3基礎構造は、最も大きい段差が光軸方向を向いていると好ましい。「最も大きい段差が光軸方向を向いている」とは、図6(a)のような状態を言う。また、「少なくとも中央領域の光軸付近」に設けられる第3基礎構造とは、少なくとも最も光軸に近い段差を言う。好ましくは、少なくとも、光軸から中央領域と中間領域の境界までの光軸直交方向の半分の位置と、光軸との間に存在する段差が、光軸とは逆の方向を向いていることである。尚、これとは逆に、「最も大きい段差が光軸とは逆の方向を向いている」とは、図6(b)のような状態を言う。
また、第4基礎構造は、ブレーズ型構造であると好ましい。より好ましくは、第4基礎構造は第2基礎構造と共通の構造であることである。第4基礎構造は、第4基礎構造を通過した第1光束のD次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第4基礎構造を通過した第2光束のE次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第4基礎構造を通過した第3光束のF次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする。D=2,E=1,F=1である((2,1,1)構造である)と好ましい。このとき、低次の回折光を発生する第4基礎構造の段差量は大きくなり過ぎないため、製造が容易となり、製造誤差に起因する光量ロスを抑えることが出来ると共に、波長変動時の回折効率変動も低減することができるため好ましい。
また、少なくとも中央領域の光軸付近に設けられる第4基礎構造は、その段差が光軸の方向を向いていると好ましい。「段差が光軸の方向を向いている」とは、図7(a)のような状態を言う。また、「少なくとも中央領域の光軸付近」に設けられる第4基礎構造とは、少なくとも最も光軸に近い段差を言う。好ましくは、少なくとも光軸から中央領域と中間領域の境界までの光軸直交方向の半分の位置の間に存在する段差が光軸の方向を向いていることである尚、これとは逆に、「段差が光軸とは逆の方向を向いている」とは、図7(b)のような状態を言う。
周辺領域は屈折面であってもよいし、第3光路差付与構造を設けてもよい。周辺領域に第3光路差付与構造を設ける場合、任意の光路差付与構造を設けることが可能である。例えば、第3光路差付与構造はブレーズ型構造であってもよいし、階段型構造であってもよい。
第3光路差付与構造が、ブレーズ型構造である場合、第3光路差付与構造を通過した第1光束のD次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくすることが好ましい。この時、第3光路差付与構造を通過した第2光束のE次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第3光路差付与構造を通過した第3光束のF次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくすることが好ましい。D=2,E=1,F=1である((2,1,1)構造である)と更に好ましい。
第1光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA1とし、第2光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA2(NA1>NA2)とし、第3光ディスクに対して情報を再生/記録するために必要な対物レンズの像側開口数をNA3(NA2>NA3)とする。NA1は、0.75以上、0.9以下であることが好ましく、より好ましくは、0.8以上、0.9以下である。特にNA1は0.85であることが好ましい。NA2は、0.55以上、0.7以下であることが好ましい。特にNA2は0.60又は0.65であることが好ましい。また、NA3は、0.4以上、0.55以下であることが好ましい。特にNA3は0.45又は0.53であることが好ましい。
対物レンズの中央領域と中間領域の境界は、第3光束の使用時において、0.9・NA3以上、1.2・NA3以下(より好ましくは、0.95・NA3以上、1.15・NA3以下)の範囲に相当する部分に形成されていることが好ましい。より好ましくは、対物レンズの中央領域と中間領域の境界が、NA3に相当する部分に形成されていることである。また、対物レンズの中間領域と周辺領域の境界は、第2光束の使用時において、0.9・NA2以上、1.2・NA2以下(より好ましくは、0.95・NA2以上、1.15・NA2以下)の範囲に相当する部分に形成されていることが好ましい。より好ましくは、対物レンズの中間領域と周辺領域の境界が、NA2に相当する部分に形成されていることである。
対物レンズを通過した第3光束を第3光ディスクの情報記録面上に集光する場合に、球面収差が少なくとも1箇所の不連続部を有することが好ましい。その場合、不連続部は、第3光束の使用時において、0.9・NA3以上、1.2・NA3以下(より好ましくは、0.95・NA3以上、1.15・NA3以下)の範囲に存在することが好ましい。
尚、対物レンズの第1光束に対する有効径をφ1(mm)としたときに、以下の式を満たすと好ましい。
2.8≦φ1≦4.0 (7)
また、対物レンズは、以下の条件式(16)を満たすことが好ましい。
1.0≦d/f≦1.5 (16)
但し、dは、対物レンズの光軸上の厚さ(mm)を表し、fは、第1光束における対物レンズの焦点距離を表す。より好ましくは、1.0≦d/f≦1.2である。
BDのような短波長、高NAの光ディスクに対応させる場合、対物レンズにおいて、非点収差が発生しやすくなり、偏心コマ収差も発生しやすくなるという課題が生じるが、条件式(16)を満たすことにより非点収差や偏心コマ収差の発生を抑制することが可能となる。
また、条件式(16)を満たすことにより、対物レンズの軸上厚が厚めの厚肉対物レンズになるため、CDの記録/再生時におけるワーキングディスタンスが短くなりがちになるにも拘わらず、本発明の第1光路差付与構造を対物レンズに設けることにより、CDの記録/再生におけるワーキングディスタンスも十分に確保できるため、本発明の効果がより顕著なものとなる。
第1光束、第2光束及び第3光束は、平行光として対物レンズに入射してもよいし、発散光若しくは収束光として対物レンズに入射してもよい。トラッキング時においても、コマ収差が発生することを防止するためには、第1光束、第2光束、及び第3光束を全て平行光又は略平行光として対物レンズに入射させることが好ましい。本発明の第1光路差付与構造を用いることによって、第1光束、第2光束及び第3光束の全てを平行光又は略平行光として対物レンズに入射させると、本発明の効果がより顕著となる。第1光束が平行光又は略平行光になる場合、第1光束が対物レンズに入射する時の対物レンズの結像倍率m1が、下記の式(4)を満たすことが好ましい。
−0.01<m1<0.01 (4)
また、第2光束を平行光又は略平行光として対物レンズに入射させる場合、第2光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m2が、下記の式(5)を満たすことが好ましい。
−0.01<m2<0.01 (5)
また、第3光束を平行光束又は略平行光束として対物レンズに入射させる場合、第3光束が対物レンズへ入射する時の、対物レンズの結像倍率m3が、下記の式(6)を満たすことが好ましい。
−0.01<m3<0.01 (6)
また、第3光ディスクを用いる際の対物光学素子のワーキングディスタンス(WD)は、0.2mm以上、1.5mm以下であることが好ましい。好ましくは、0.3mm以上、0.9mm以下である。次に、第2光ディスクを用いる際の対物光学素子のWDは、0.2mm以上、1.3mm以下であることが好ましい。さらに、第1光ディスクを用いる際の対物光学素子のWDは、0.25mm以上、1.0mm以下であることが好ましい。
また、第1光束が1nmの波長変化を生じたときの波面収差ベスト位置の光軸方向の位置ずれをΔ(μm)とすると、以下の式(3)を満たすことが好ましい。ここでいう波面収差ベスト位置とは、第1光束が1nmの波長変化を生じたときに、軸上色収差、色球面収差等のトータルでの波面収差が最も小さくなる光軸方向の位置を言う。
−0.20≦Δ≦0.55 (3)
また、光ピックアップ装置は、少なくとも第1光束と第2光束が通過するカップリングレンズと、カップリングレンズを光軸方向に移動させるアクチュエータ―を有することが好ましい。更に、第1光束が通過するときは、アクチュエータ―によってカップリングレンズが光軸方向に変位可能とされており、第2光束が通過するときには、カップリングレンズは、光軸方向の位置を固定されていることが好ましい。
例えば、複数の情報記録層を有する第1光ディスクに対応するために、第1光ディスクの使用時には、カップリングレンズを光軸方向に変位して、各情報記録層への記録/再生に対応させることが考えられる。そのような場合、既にカップリングレンズを光軸方向に変位させる機能は必須であるが、第2光ディスク使用時においては、カップリングレンズを光軸方向に変位させず、固定させておきたい、という場合がある。その理由としては、第1光ディスク使用時には、フレアが発生しないが、第2光ディスク使用時には、フレアが発生するため、カップリングレンズを変異させることにより、そのフレアの収差が変化し、結果としてそのフレアが記録/再生に悪影響を与える可能性が生じるという理由や、第2光ディスクの種類を判別するために、カップリングレンズの初期位置を常に一定にしておきたいという理由や、単純にドライブの方でカップリングレンズを変位させるためのファームウェアのコストを少しでも削減したいという理由などが挙げられる。
本発明に係る光情報記録再生装置は、上述の光ピックアップ装置を有する光ディスクドライブ装置を有する。
ここで、光情報記録再生装置に装備される光ディスクドライブ装置に関して説明すると、光ディスクドライブ装置には、光ピックアップ装置等を収納している光情報記録再生装置本体から光ディスクを搭載した状態で保持可能なトレイのみが外部に取り出される方式と、光ピックアップ装置等が収納されている光ディスクドライブ装置本体ごと、外部に取り出される方式とがある。
上述した各方式を用いる光情報記録再生装置には、概ね、次の構成部材が装備されているがこれに限られるものではない。ハウジング等に収納された光ピックアップ装置、光ピックアップ装置をハウジングごと光ディスクの内周あるいは外周に向けて移動させるシークモータ等の光ピックアップ装置の駆動源、光ピックアップ装置のハウジングを光ディスクの内周あるいは外周に向けてガイドするガイドレールなどを有した光ピックアップ装置の移送手段及び、光ディスクの回転駆動を行うスピンドルモータ等である。
前者の方式には、これら各構成部材の他に、光ディスクを搭載した状態で保持可能なトレイおよびトレイを摺動させるためのローディング機構等が設けられ、後者の方式にはトレイおよびローディング機構がなく、各構成部材が外部に引き出し可能なシャーシに相当するドロワーに設けられていることが好ましい。
本発明によれば、BD/DVD/CDの3種類の光ディスクの互換で用いるような軸上厚が厚い厚肉の対物レンズにおいて、CD使用時にワーキングディスタンスを確保しながらも、色収差劣化を抑制することが可能となる。さらに、光路差付与構造の段差の高さが高くなることを抑制でき、それに伴い、製造誤差などに因る光量ロスを抑えることが可能となると共に、波長変動時の回折効率の変動を抑えることが可能となる。また、BD/DVD/CDの3種類の何れの光ディスクに対しても、高い光利用効率を維持できる光利用効率のバランスが取れた対物レンズを提供することも可能となる。加えて、光ピックアップ装置の温度が上昇した際に発生する収差を抑えることが可能となり、対物レンズがプラスチック製である場合に、温度変化時においても安定した性能を維持できる対物レンズを提供することが可能となる。これらの効果によって、BD/DVD/CDの3種類の光ディスクの記録/再生も、共通の対物レンズで良好に行うことが可能となるものである。さらに、有効径を小径とすることで、焦点距離を短くし、スリムタイプの光ピックアップ装置に好適な対物レンズを提供できる。
従来例の光路差関数を示す図である。 従来例の光路差関数を示す図である。 本実施の形態にかかる単玉の対物レンズOLを光軸方向に見た図である。 対物レンズを通過した第3光束が第3光ディスクの情報記録面上で形成するスポットを形成する状態を示す図である。 光路差付与構造の例を示す軸線方向断面図である。 (a)は最も大きい段差が光軸の方向を向いている状態を示し、(b)は最も大きい段差が光軸とは逆の方向を向いている状態を示す図である。 (a)は段差が光軸の方向を向いている状態を示し、(b)は段差が光軸とは逆の方向を向いている状態を示す図である。 (a)は光軸付近では段差が光軸の方向を向いているが、途中で切り替わり、中間領域付近では段差が光軸とは逆の方を向くような形状を示し、(b)は光軸付近では段差が光軸とは逆の方向を向いているが、途中で切り替わり、中間領域付近では段差が光軸の方を向くような形状を示す図である。 重畳の一例を示す概念図である。 異なる光ディスクであるBDとDVDとCDに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行うことができる本実施の形態の光ピックアップ装置PU1の構成を概略的に示す図である。 実施例1の第1光路差付与構造、第2光路差付与構造、第3光路差付与構造を、平板素子に設けた場合の概念断面図である。 実施例1のBD使用時における光路差関数を示すグラフである。 実施例1において、基準波長(405nm)におけるBD使用時の縦球面収差図である。 実施例1において、基準波長に対して+5nm長波長側に変化した場合におけるBD使用時の縦球面収差図である。 実施例2の第1光路差付与構造、第2光路差付与構造、第3光路差付与構造を、平板素子に設けた場合の概念断面図である。 実施例2のBD使用時における光路差関数を示すグラフである。 実施例2において、基準波長(405nm)におけるBD使用時の縦球面収差図である。 実施例2において、基準波長に対して+5nm長波長側に変化した場合におけるBD使用時の縦球面収差図である。 実施例3の第1光路差付与構造、第2光路差付与構造、第3光路差付与構造を、平板素子に設けた場合の概念断面図である。 実施例3のBD使用時における光路差関数を示すグラフである。 実施例3において、基準波長(405nm)におけるBD使用時の縦球面収差図である。 実施例3において、基準波長に対して+5nm長波長側に変化した場合におけるBD使用時の縦球面収差図である。 基礎構造と、基礎構造によって光束に付与される位相差との関係を説明するための図である。 回折次数による波面の進む方向を示す図である。 領域の境界の段差を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図10は、異なる光ディスクであるBDとDVDとCDに対して適切に情報の記録及び/又は再生を行うことができる本実施の形態の光ピックアップ装置PU1の構成を概略的に示す図である。かかる光ピックアップ装置PU1は、スリムタイプであり、薄形の光情報記録再生装置に搭載できる。ここでは、第1光ディスクをBDとし、第2光ディスクをDVDとし、第3光ディスクをCDとする。なお、本発明は、本実施の形態に限られるものではない。
光ピックアップ装置PU1は、対物レンズOL、λ/4波長板QWP、コリメートレンズCOL、偏光ビームスプリッタBS、ダイクロイックプリズムDP,BDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され波長λ1=405nmのレーザー光束(第1光束)を射出する第1半導体レーザーLD1(第1光源)と、DVDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され波長λ2=660nmのレーザー光束(第2光束)を射出する第2半導体レーザーLD2(第2光源)及びCDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され波長λ3=785nmのレーザー光束(第3光束)を射出する第3半導体レーザーLD3を一体化したレーザーユニットLDP、センサレンズSEN、光検出器としての受光素子PD等を有する。
図3に示されるように、本実施の形態にかかる単玉の対物レンズOLにおいて、光源側の非球面光学面に光軸を含む中央領域CNと、その周囲に配置された中間領域MDと、更にその周囲に配置された周辺領域OTとが、光軸を中心とする同心円状に形成されている。図示していないが、中心領域CNには既に詳述した第1光路差付与構造が形成され、中間領域MDには既に詳述した第2光路差付与構造が形成されている。また、周辺領域OTには、第3光路差付与構造又は屈折面が形成されている。また、本実施の形態の対物レンズはプラスチックレンズである。対物レンズOLの中心領域CNに形成された第1光路差付与構造は、第1基礎構造と第2基礎構造とを重ね合わせた構造であり、第1基礎構造は、第1基礎構造を通過した第1光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第1基礎構造を通過した第2光束の−1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第1基礎構造を通過した第3光束の−1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第2基礎構造は、第2基礎構造を通過した第1光束の2次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第2基礎構造を通過した第2光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第2基礎構造を通過した第3光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする。又、第1基礎構造は、輪帯状の階段単位を、光軸を中心として複数個同心円状に並べた階段型構造を有し、第1基礎構造における前記階段単位の小さい段差の光軸方向段差量d1が以下の条件式を満たす。
0.5λ1/(n−1)<d1<λ1/(n−1) (1)
ただし、nは、第1光束における対物レンズOLの屈折率を表す。
対物レンズOLの中間領域MDに形成された第2光路差付与構造は、第3基礎構造と第4基礎構造とを重ね合わせた構造であり、第3基礎構造は、第3基礎構造を通過した第1光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第3基礎構造を通過した第2光束の−1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第3基礎構造を通過した第3光束の−1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第4基礎構造は、第4基礎構造を通過した第1光束の2次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第4基礎構造を通過した第2光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第4基礎構造を通過した第3光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする。又、第3基礎構造は、輪帯状の階段単位を、光軸を中心として複数個同心円状に並べた階段型構造を有し、第3基礎構造における前記階段単位の小さい段差の光軸方向段差量d3が以下の条件式を満たす。
0.5λ1/(n−1)<d3<λ1/(n−1) (2)
尚、対物レンズOLの周辺領域OTは、屈折面もしくは第3光路差付与構造が形成されている。第3光路差付与構造は、第3光路差付与構造を通過した第1光束の2次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第3光路差付与構造を通過した第2光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、第3光路差付与構造を通過した第3光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする。
青紫色半導体レーザーLD1から射出された第1光束(λ1=405nm)の発散光束は、実線で示すように、ダイクロイックプリズムDPを通過し、偏光ビームスプリッタBSを通過した後、コリメートレンズCOLを通過して平行光となり、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、不図示の絞りによりその光束径が規制され、対物レンズOLに入射する。ここで、対物レンズOLの中央領域と中間領域と周辺領域により集光された光束は、厚さ0.1mmの保護基板PL1を介して、BDの情報記録面RL1上に形成されるスポットとなる。
情報記録面RL1上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOL、不図示の絞りを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCOLにより収斂光束とされ、偏光ビームスプリッタBSで反射され、センサレンズSENを介して受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いて、2軸アクチュエータAC1により対物レンズOLをフォーカシングやトラッキングさせることで、BDに記録された情報を読み取ることができる。ここで、第1光束に波長変動が生じた場合や、複数の情報記録層を有するBDの記録/再生を行う場合、波長変動や異なる情報記録層に起因して発生する球面収差を、倍率変更手段としてのコリメートレンズCOLを光軸方向に変化させて、対物光学素子OLに入射する光束の発散角又は収束角を変更することで補正できるようになっている。
レーザーユニットLDPの半導体レーザーLD2から射出された第2光束(λ2=660nm)の発散光束は、点線で示すように、ダイクロイックプリズムDPで反射され、偏光ビームスプリッタBS、コリメートレンズCOLを通過して平行光となり、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、対物レンズOLに入射する。ここで、対物レンズOLの中央領域と中間領域により集光された(周辺領域を通過した光束はフレア化され、スポット周辺部を形成する)光束は、厚さ0.6mmの保護基板PL2を介して、DVDの情報記録面RL2に形成されるスポットとなり、スポット中心部を形成する。
情報記録面RL2上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOLを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCOLにより収斂光束とされ、偏光ビームスプリッタBSで反射され、センサレンズSENを介して受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いてDVDに記録された情報を読み取ることができる。
レーザーユニットLDPの半導体レーザーLD3から射出された第3光束(λ3=785nm)の発散光束は、一点鎖線で示すように、ダイクロイックプリズムDPで反射され、偏光ビームスプリッタBS、コリメートレンズCOLを通過して平行光となり、λ/4波長板QWPにより直線偏光から円偏光に変換され、対物レンズOLに入射する。ここで、対物レンズOLの中央領域により集光された(中間領域及び周辺領域を通過した光束はフレア化され、スポット周辺部を形成する)光束は、厚さ1.2mmの保護基板PL3を介して、CDの情報記録面RL3上に形成されるスポットとなる。
情報記録面RL3上で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズOLを透過した後、λ/4波長板QWPにより円偏光から直線偏光に変換され、コリメートレンズCOLにより収斂光束とされ、偏光ビームスプリッタBSで反射され、センサレンズSENを介して受光素子PDの受光面上に収束する。そして、受光素子PDの出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
(実施例)
以下、上述した実施の形態に用いることができる実施例について説明する。尚、これ以降(表のレンズデータ含む)において、10のべき乗数(例えば、2.5×10-3)を、E(例えば、2.5×E−3)を用いて表す場合がある。また、対物レンズの光学面は、それぞれ数2式に表に示す係数を代入した数式で規定される、光軸の周りに軸対称な非球面に形成されている。
ここで、X(h)は光軸方向の軸(光の進行方向を正とする)、κは円錐係数、Aiは非球面係数、hは光軸からの高さ、rは近軸曲率半径である。
また、回折構造を用いた実施例の場合、その回折構造により各波長の光束に対して与えられる光路差は、前述した数1式の光路差関数に、表に示す係数を代入した数式で規定される。
(実施例1)
実施例1の対物レンズはプラスチック単玉レンズであって、有効径φ1=2.8mmである。実施例1の第1光路差付与構造は、中央領域の全領域において、(2、1、1)のブレーズ型の回折構造である第2基礎構造に、(1、−1、−1)である3ステップの階段型の回折構造である第1基礎構造が重ねあわされた光路差付与構造となっている。第2光路差付与構造は、中間領域の全領域において、(2、1、1)のブレーズ型の回折構造である第4基礎構造に、(1、−1、−1)である3ステップの階段型の回折構造である第3基礎構造が重ねあわされた光路差付与構造となっている。第3光路差構造は、(2、1、1)のブレーズ型の回折構造である。専用領域に第3光路差構造を用いることで位相差の自由度が増えるため、専用領域の光路差関数と中間領域の光路差関数をつなげることができる。
表1に実施例1のレンズデータを示す。表中のWDとは、ワーキングディスタンスの意味である。
更に、実施例1のレンズデータに基づいて、実際の対物レンズの形状を設計した。当該実形状のデータを表2A〜表2Cに示す。表2A、表2B、表2C(連続する)に示されるデータを、数3式で示される数式に代入することにより、各輪帯の実形状データが得られる。
hは、光軸直交方向の光軸からの高さを表す。さらに、実施例1の第1光路差付与構造、第2光路差付与構造、第3光路差付与構造を、平板素子に設けた場合の概念断面図を、図11として示す。中央領域に第1光路差付与構造が設けられ、中間領域に第2光路差付与構造が設けられ、周辺領域に第3光路差付与構造が設けられている。
図12は、縦軸に位相差をとり、横軸に光軸からの高さをとって、BD使用時の光路差関数を示すグラフであり、光路差関数が各領域間で連続していることが分かる。図13は、基準波長(405nm)におけるBD使用時の縦球面収差図であり、図14は、基準波長に対して+5nm長波長側に変化した場合におけるBD使用時の縦球面収差図であって、グラフの縦軸はBDの有効径φ1=2.8mmを1としている。
実施例1において、CD使用時のワーキングディスタンスWD3=0.267mmであり、第1光束が1nmの波長変化を生じたときの波面収差ベスト位置の光軸方向の位置ずれΔ=−0.129(μm)であり、d1=0.47(μm)、d3=0.22〜0.27(μm)である。
(実施例2)
実施例2の対物レンズはプラスチック単玉レンズであって、有効径φ1=3.74mmである。実施例2の第1光路差付与構造は、中央領域の全領域において、(2、1、1)のブレーズ型の回折構造である第2基礎構造に、(1、−1、−1)である3ステップの階段型の回折構造である第1基礎構造が重ねあわされた光路差付与構造となっている。第2光路差付与構造は、中間領域の全領域において、(2、1、1)のブレーズ型の回折構造である第4基礎構造に、(1、−1、−1)である3ステップの階段型の回折構造である第3基礎構造が重ねあわされた光路差付与構造となっている。第3光路差構造は、(2、1、1)のブレーズ型の回折構造である。専用領域に第3光路差構造を用いることで位相差の自由度が増えるため、専用領域の光路差関数と中間領域の光路差関数をつなげることができる。
表3に実施例2のレンズデータを示す。
更に、実施例2のレンズデータに基づいて、実際の対物レンズの形状を設計した。当該実形状のデータを表4A〜表4Bに示す。表4A、表4B、表4C、表4D(連続する)に示されるデータを、数3式で示される数式に代入することにより、各輪帯の実形状データが得られる。実施例2の第1光路差付与構造、第2光路差付与構造、第3光路差付与構造を、平板素子に設けた場合の概念断面図を、図15として示す。
図16は、縦軸に位相差をとり、横軸に光軸からの高さをとって、BD使用時の光路差関数を示すグラフであり、光路差関数が各領域間で連続していることが分かる。図17は、基準波長(405nm)におけるBD使用時の縦球面収差図であり、図18は、基準波長に対して+5nm長波長側に変化した場合におけるBD使用時の縦球面収差図であって、グラフの縦軸はBDの有効径φ1=3.74mmを1としている。
実施例2において、CD使用時のワーキングディスタンスWD3=0.446mmであり、第1光束が1nmの波長変化を生じたときの波面収差ベスト位置の光軸方向の位置ずれΔ=−0.204(μm)であり、d1=0.47(μm)、d3=0.22〜0.27(μm)である。
(実施例3)
実施例3の対物レンズはプラスチック単玉レンズであって、有効径φ1=3.74mmである。実施例2の第1光路差付与構造は、中央領域の全領域において、(2、1、1)のブレーズ型の回折構造である第2基礎構造に、(1、−1、−1)である3ステップの階段型の回折構造である第1基礎構造が重ねあわされた光路差付与構造となっている。第2光路差付与構造は、中間領域の全領域において、(2、1、1)のブレーズ型の回折構造である第4基礎構造に、(1、−1、−1)である3ステップの階段型の回折構造である第3基礎構造が重ねあわされた光路差付与構造となっている。周辺領域は、屈折面である。
表5に実施例3のレンズデータを示す。
更に、実施例3のレンズデータに基づいて、実際の対物レンズの形状を設計した。当該実形状のデータを表6に示す。表6に示されるデータを、数3式で示される数式に代入することにより、各輪帯の実形状データが得られる。実施例3の第1光路差付与構造、第2光路差付与構造、第3光路差付与構造を、平板素子に設けた場合の概念断面図を、図19として示す。
図20は、縦軸に位相差をとり、横軸に光軸からの高さをとって、BD使用時の光路差関数を示すグラフであり、光路差関数が各領域間で連続していることが分かる。図21は、基準波長(405nm)におけるBD使用時の縦球面収差図であり、図22は、基準波長に対して+5nm長波長側に変化した場合におけるBD使用時の縦球面収差図であって、グラフの縦軸はBDの有効径φ1=3.74mmを1としている。
実施例3において、CD使用時のワーキングディスタンスWD3=0.277mmであり、第1光束が1nmの波長変化を生じたときの波面収差ベスト位置の光軸方向の位置ずれΔ=0.519(μm)であり、d1=0.47(μm)である。
(比較例1)
特許文献1の実施例5に相当する比較例1において、第1光路差付与構造は、中央領域の全領域において、(2、1、1)のブレーズ型の回折構造である第2基礎構造に、(1、−1、−1)である階段型の回折構造である第1基礎構造が重ねあわされた光路差付与構造となっている。第2光路差付与構造は、中間領域の全領域において、第2光路差付与構造を通過した第1光束の1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第2光路差付与構造を通過した第2光束の−1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする階段型の回折構造となっている。第3光路差付与構造は、周辺領域の全領域において、第3光路差付与構造を通過した第1光束の5次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする階段型の回折構造となっている。又、比較例1の倍率は、m1=0,m2=−1/61.0、m3=−1/60.2である。その光路差関数は、図1に示すとおりであり、各領域で不連続である。
(比較例2)
特許文献1の実施例6に相当する比較例1において、第1光路差付与構造は、中央領域の全領域において、(2、1、1)のブレーズ型の回折構造である第2基礎構造に、(1、−1、−1)である階段型の回折構造である第1基礎構造が重ねあわされた光路差付与構造となっている。第2光路差付与構造は、中間領域の全領域において、第2光路差付与構造を通過した第1光束の2次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第2光路差付与構造を通過した第2光束の−1次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくする階段型の回折構造となっている。周辺領域の全領域において、屈折面となっている。又、比較例2の倍率は、m1=0,m2=−1/59.2、m3=−1/64.2である。その光路差関数は、図2に示すとおりであり、各領域で不連続である。
表7に、各実施例と各比較例の、波長特性(光源波長が+5nm変化した際の3次球面収差SA3)、温度特性(環境温度が+30℃変化すると共に、光源波長が+1.5nm変化した際の3次球面収差SA3)、及び第1光束が1nmの波長変化を生じたときの波面収差ベスト位置の光軸方向の位置ずれΔを、まとめて示す。比較例1,2に対して、実施例1〜3のいずれも各特性において優れている。尚、各実施例における温度特性及び波長特性において、5次球面収差が増大する場合には、光ピックアップ装置のコリメータを光軸方向に移動させることで適宜補正を行えるので特に問題はない。
本発明は、明細書に記載の実施例に限定されるものではなく、他の実施例・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施例や思想から本分野の当業者にとって明らかである。明細書の記載及び実施例は、あくまでも例証を目的としており、本発明の範囲は後述するクレームによって示されている。
AC1 2軸アクチュエータ
BS 偏光ビームスプリッタ
CN 中央領域
COL コリメートレンズ
DP ダイクロイックプリズム
LD1 第1半導体レーザー又は青紫色半導体レーザー
LD2 第2半導体レーザー
LD3 第3半導体レーザー
LDP レーザーユニット
MD 中間領域
OL 対物レンズ
OT 周辺領域
PD 受光素子
PL1 保護基板
PL2 保護基板
PL3 保護基板
PU1 光ピックアップ装置
QWP λ/4波長板
RL1 情報記録面
RL2 情報記録面
RL3 情報記録面
SEN センサレンズ

Claims (13)

  1. 第1波長λ1の第1光束を射出する第1光源と、第2波長λ2(λ2>λ1)の第2光束を射出する第2光源と、第3波長λ3(λ3>λ2)の第3光束を射出する第3光源とを有し、前記第1光束を用いて厚さがt1の保護基板を有する第1光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行い、前記第2光束を用いて厚さがt2(t1<t2)の保護基板を有する第2光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行い、前記第3光束を用いて厚さがt3(t2<t3)の保護基板を有する第3光ディスクの情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置において用いられる対物レンズであって、
    前記対物レンズの光学面は、中央領域と、前記中央領域の周りの中間領域と、前記中間領域の周りの周辺領域とを少なくとも有し、
    前記中央領域は第1光路差付与構造を有し、
    前記中間領域は第2光路差付与構造を有し、
    前記対物レンズは、前記中央領域を通過する前記第1光束を、前記第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中央領域を通過する前記第2光束を、前記第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中央領域を通過する前記第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、
    前記対物レンズは、前記中間領域を通過する前記第1光束を、前記第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中間領域を通過する前記第2光束を、前記第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記中間領域を通過する前記第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光せず、
    前記対物レンズは、前記周辺領域を通過する前記第1光束を、前記第1光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光し、前記周辺領域を通過する前記第2光束を、前記第2光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光せず、前記周辺領域を通過する前記第3光束を、前記第3光ディスクの情報記録面上に情報の記録及び/又は再生ができるように集光せず、
    前記第1光路差付与構造は、第1基礎構造と第2基礎構造とを重ね合わせた構造であり、
    前記第1基礎構造は、前記第1基礎構造を通過した第1光束のA次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第1基礎構造を通過した第2光束のB次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第1基礎構造を通過した第3光束のC次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、
    前記第2基礎構造は、前記第2基礎構造を通過した第1光束のD次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第2基礎構造を通過した第2光束のE次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第2基礎構造を通過した第3光束のF次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、
    前記第2光路差付与構造は、第3基礎構造と第4基礎構造とを重ね合わせた構造であり、
    前記第3基礎構造は、前記第3基礎構造を通過した第1光束のA次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第3基礎構造を通過した第2光束のB次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第3基礎構造を通過した第3光束のC次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、
    前記第4基礎構造は、前記第4基礎構造を通過した第1光束のD次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第4基礎構造を通過した第2光束のE次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、前記第4基礎構造を通過した第3光束のF次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きくし、
    前記第1基礎構造は、輪帯状の階段単位を、光軸を中心として複数個同心円状に並べた階段型構造を有し、
    前記第1基礎構造における前記階段単位の小さい段差の光軸方向段差量d1が以下の条件式を満たすことを特徴とする対物レンズ。
    0.5λ1/(n−1)<d1<λ1/(n−1) (1)
    ただし、nは、前記第1光束における前記対物レンズの屈折率を表す。
  2. 前記第3基礎構造は、輪帯状の階段単位を、光軸を中心として複数個同心円状に並べた階段型構造を有し、
    前記第3基礎構造における前記階段単位の小さい段差の光軸方向段差量d3が以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の対物レンズ。
    0.5λ1/(n−1)<d3<λ1/(n−1) (2)
  3. A=1,B=−1,C=−1、D=2,E=1、F=1であることを特徴とする請求項1または2に記載の対物レンズ。
  4. 前記第2基礎構造及び前記第4基礎構造は、光軸方向断面がブレーズ形状である輪帯を、光軸を中心として複数個同心円状に並べたブレーズ型構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の対物レンズ。
  5. 前記第1基礎構造及び前記第3基礎構造は、3ステップの階段型の構造であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の対物レンズ。
  6. 前記周辺領域は、第3光路差付与構造を有し、前記第3光路差付与構造は、光軸方向断面がブレーズ形状である輪帯を、光軸を中心として複数個同心円状に並べたブレーズ型構造であって、前記第3光路差付与構造を通過した第1光束のD次の回折光量を他のいかなる次数の回折光量よりも大きし、また前記第3光路差付与構造を通過した第1光束のD次の光路差関数は、前記第2光路差付与構造の第1光束の光路差関数とつながることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の対物レンズ。
  7. 前記周辺領域は、屈折面からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の対物レンズ。
  8. 前記第1光束が1nmの波長変化を生じたときの波面収差ベスト位置の光軸方向の位置ずれをΔ(μm)とすると、以下の式を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の対物レンズ。
    −0.20≦Δ≦0.55 (3)
  9. 以下の条件式(4)、(5)、(6)を満たすことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の対物レンズ。
    −0.01<m1<0.01 (4)
    −0.01<m2<0.01 (5)
    −0.01<m3<0.01 (6)
    但し、m1は、前記第1光束が前記対物レンズに入射する時の前記対物レンズの倍率を表し、m2は、前記第2光束が前記対物レンズに入射する時の前記対物レンズの倍率を表し、m3は、前記第3光束が前記対物レンズに入射する時の前記対物レンズの倍率を表す。
  10. 前記第1光ディスク使用時における有効径φ1(mm)が、以下の式を満たすことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の対物レンズ。
    2.8≦φ1≦4.0 (7)
  11. 前記第3光ディスク使用時におけるワーキングディスタンスWD3(mm)が、以下の式を満たすことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の対物レンズ。
    0.2≦WD3 (8)
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の対物レンズを有することを特徴とする光ピックアップ装置。
  13. 請求項12に記載の光ピックアップ装置を有することを特徴とする光情報記録再生装置。
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