JP2013133748A - 遠心圧縮機 - Google Patents

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Takeshi Yasojima
健 八十島
Isao Tomita
勲 冨田
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Abstract

【課題】安定運転可能な作動範囲が拡大されてサージマージンが確保されるとともに、低回転時の圧縮効率が改善された遠心圧縮機を提供する。
【解決手段】遠心圧縮機10は、ハウジング12内を延びる回転軸16と、作動室19内に配置されるとともに回転軸16に固定されたインペラ18とを有する。インペラ18は、ハブ26、該ハブ26の外面に設けられた複数の内翼28、該内翼28の外側縁に沿って設けられた仕切り環30、及び、該仕切り環30の外面に設けられた複数の外翼32を有する。また、遠心圧縮機10は、ハブ26の外面と仕切り環30との間に規定される内側流路を流れる被圧縮流体の流量、及び、インペラ18を囲むハウジング12のカバー面34と仕切り環30との間に規定される外側流路を流れる被圧縮流体の流量のうち少なくとも一方を調整する抵抗装置として、円筒40及び円環板42を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばターボチャージャ等に適用される遠心圧縮機に関する。
自動車等に搭載されるターボチャージャ(排気タービン過給機)は、排ガスのエネルギを回転力に変換する排気タービンを有し、排気タービンによって得られた回転力によって、遠心圧縮機が駆動される。
遠心圧縮機は、ハウジングを有し、ハウジング内には、インペラ(羽根車)が配置される作動室が設けられる。またハウジング内には、被圧縮流体としての空気を作動室に供給する吸入路、作動室から空気を吐出させる吐出路、及び、吐出路と外部を繋ぐスクロール流路が設けられる(例えば特許文献1参照)。吸入路は回転軸の軸線に沿って延び、吐出路は回転軸の径方向に延びている。
インペラは、ハブと、ハブの外面に設けられた複数の翼を有し、排気タービンの回転力によってインペラが回転させられると、空気は吸入路から作動室を通じて吐出路へと流れる。このとき、空気は遠心力の作用により圧縮され、昇圧された空気が吐出路から吐出される。
特開2011−64118号公報
遠心圧縮機においては、流量を絞って圧力比を上げると、被圧縮流体の流動が不安定になり、逆流が定期的に繰り返されるという現象(サージング)が起こる。サージングは、異常音の発生や圧縮機の振動を招くため、遠心圧縮機の作動範囲は、サージングが起きないようにマージンをとって、所定の範囲に限定されている。
従来、遠心圧縮機の作動範囲の拡大は、インペラの形状や、インペラを覆うカバーの形状を改良するという手法によって行われてきたが、これらの手法には限界がある。
また、低回転時には、圧縮機の圧縮効率が低くなるという問題もある。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、安定運転可能な作動範囲が拡大されてサージマージンが確保されるとともに、低回転時の圧縮効率が改善された遠心圧縮機を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明の一態様によれば、被圧縮流体が順次流れる吸入路、作動室、吐出路、及び、スクロール流路が内部に規定されたハウジングと、前記ハウジング内を延びる回転軸と、前記作動室内に配置されるとともに前記回転軸に固定され、ハブ、該ハブの外面に設けられた複数の内翼、該内翼の外側縁に沿って設けられた仕切り環、及び、該仕切り環の外面に設けられた複数の外翼を有するインペラと、前記ハブの外面と前記仕切り環との間に規定される内側流路を流れる被圧縮流体の流量、及び、前記ハウジングの内面と前記仕切り環との間に規定される外側流路を流れる被圧縮流体の流量のうち少なくとも一方を調整する流量調整手段と、を備えることを特徴とする遠心圧縮機が提供される。
本発明に係る遠心圧縮機によれば、インペラに仕切り環を設けて、作動室内を内側流路と外側流路に仕切った上で、抵抗装置によって、内側流路及び外側流路の一方又は両方を流れる被圧縮流体の流量を調整することによって、安定運転可能な作動範囲の拡大が図られる。この結果として、この遠心圧縮機によればサージマージンが確保される。その上、内翼及び外翼の仕様をそれぞれ適切に設定することで、低回転時の圧縮効率が改善される。
好ましくは、前記流量調整手段は、前記吸入路及び前記吐出路のうち一方又は両方に配置され、前記被圧縮流体の流れに抵抗を付与する抵抗装置からなる。
この構成によれば、吸入路及び吐出路の一方又は両方に抵抗装置を配置することによって、被圧縮流体の流量が確実に調整される。
好ましくは、前記抵抗装置は、前記吸入路に配置された円筒を有する。
この構成によれば、簡単な構成にて、被圧縮流体の流量が調整される。
好ましくは、前記抵抗装置は、前記吸入路に配置された外筒と、前記外筒と同心上に配置された内筒とを有する。
この構成によれば、簡単な構成にて、被圧縮流体の流量が調整される。
前記抵抗装置は、前記吸入路に配置され、前記作動室に向かって直径が徐々に縮小する絞り部材を有する。
この構成によれば、簡単な構成にて、被圧縮流体の流量が調整される。
好ましくは、前記絞り部材は弾性材料からなり、前記絞り部材の直径は、前記被圧縮流体の圧力を受けて変化する。
この構成によれば、被圧縮流体の流量に応じて絞り部材の開度が変化するので、より一層作動範囲が拡大される。
好ましくは、前記抵抗装置は、前記吸入路に配置された流量調整弁を有する。
この構成によれば、被圧縮流体の流量を任意に調整可能であり、より一層作動範囲が拡大される。
好ましくは、前記流量調整弁は、前記回転軸と同心上に配列された複数の弁孔と、前記回転軸の回りにて回転して前記弁孔を開閉可能な弁体とを有する。
この構成によれば、簡単な構成にて、被圧縮流体の流量を任意に調整することができる。
好ましくは、前記吸入路における前記流量調整弁から前記作動室までの領域にて、前記ハウジングの内面の直径が、前記流量調整弁から前記作動室に向けて徐々に縮小されている。
この構成においては、換言すれば、作動室から流量調整弁に向かって、ハウジングの内面の直径が拡大されている。従って、この構成によれば、流量調整弁を配置したとしても、流路断面積の減少が防止される。この結果、この構成によれば、確実に、作動範囲が拡大される。
好ましくは、前記抵抗装置は、前記吐出路及び前記スクロール流路に配置され、前記吐出路及び前記スクロール流路をそれぞれ2つに仕切る仕切り板を有する。
この構成によれば、スクロール流路内を仕切ることで、被圧縮流体の逆流が防止される。この結果として、遠心圧縮機の性能低下が防止される。
好ましくは、前記抵抗装置は、前記吐出路に配置された円環板を有する。
この構成によれば、簡単な構成にて、被圧縮流体の流量が調整される。
好ましくは、前記抵抗装置は、前記吐出路に配置された第1円環板と、前記回転軸の軸線方向にて前記第1円環板から離間して前記吐出路に配置された第2円環板とを有する。
この構成によれば、簡単な構成にて、被圧縮流体の流量が調整される。
好ましくは、前記抵抗装置は、前記吐出路に配置されたディフューザ部材を有し、前記ディフューザ部材は、前記回転軸と同心上に配置され、前記吐出路を仕切る円環板形状の基板と、前記基板の少なくとも何れか一方の面に設けられた複数の翼とを有する。
この構成によれば、ディフューザ部材の翼の仕様によって、被圧縮流体の流量が適当に調整される。この結果、この構成によれば、作動範囲がより一層拡大される。
好ましくは、前記翼は前記基板に対して回転可能に取り付けられている。
この構成によれば、ディフューザ部材の翼を回転させることによって、更に、遠心圧縮機の性能を調整することができる。
好ましくは、前記抵抗装置は、前記作動室と前記吸入路との間を連通する戻り流路を有する。
この構成によれば、戻り流路にて作動室の被圧縮流体を吸入路に戻すことによって、高回転時における作動範囲が更に拡大される。
好ましくは、前記戻り流路の前記吸入路側の端部は、前記回転軸の径方向にて、前記ハウジングの内面よりも内側にて開口している。
この構成によれば、戻り流路にて作動室の被圧縮流体を、吸入路における径方向内側に戻すことによって、低回転時における作動範囲が更に拡大される。
本発明によれば、安定運転可能な作動範囲が拡大されてサージマージンが確保されるとともに、低回転時の圧縮効率が改善された遠心圧縮機が提供される。
本発明の第1実施形態の遠心圧縮機の一部を概略的に示す断面図である。 図1中のインペラの一部を概略的に示す斜視図である。 図1中のインペラを概略的に示す断面図である。 図1中の遠心圧縮機の特性を概略的に示すグラフである。 第2実施形態の遠心圧縮機の一部を概略的に示す断面図である。 図5中の二重円筒部材の一部を概略的に示す斜視図である。 第3実施形態の遠心圧縮機の一部を概略的に示す断面図であり、(a)は、流量が少ない場合を示し、(b)は流量が多い場合を示す。 第4実施形態の遠心圧縮機の一部を概略的に示す断面図である。 図8中の流量調整弁を概略的に示す平面図である。 図9の流量調整弁の(a)弁ケーシング、(b)弁体及び(c)弁押さえ板をそれぞれ概略的に示す平面図である。 図8中のディフューザ部材を概略的に示す平面図である。 第5実施形態の遠心圧縮機の一部を概略的に示す断面図である。 第6実施形態の遠心圧縮機の一部を概略的に示す断面図である。 第7実施形態の遠心圧縮機の一部を概略的に示す断面図である。 第8実施形態の遠心圧縮機の一部を概略的に示す断面図である。 図15中のディフューザ部材を概略的に示す平面図である。 第9実施形態の遠心圧縮機の一部を概略的に示す断面図である。 図17中のディフューザ部材を概略的に示す平面図である。 第10実施形態の遠心圧縮機の一部を概略的に示す断面図である。 図19の遠心圧縮機の特性を概略的に示すグラフである。 第11実施形態の遠心圧縮機の一部を概略的に示す断面図である。 図21の遠心圧縮機の特性を概略的に示すグラフである。 (a)及び(b)は、変形例のインペラを概略的にそれぞれ示す断面図である。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
(第1実施形態)
図1は本実施形態に係る遠心圧縮機10の一部を概略的に示す断面図である。遠心圧縮機10は、ターボチャージャの一部を構成している。
遠心圧縮機10は、例えば樹脂製のハウジング12を有する。ハウジング12の開口端には隔壁14が気密に固定されている。ハウジング12の中心には回転軸16の一端側が配置され、回転軸16は隔壁14を貫通して延びている。ハウジング12から延出した回転軸16の延出部分には、図示しない排気タービンが固定される。また、回転軸16の延出部分は図示しない軸受けによって回転自在に支持される。
回転軸16には、インペラ(羽根車)18が一体的に回転可能に取り付けられている。インペラ18は、ハウジング12内に区画形成された作動室19に配置されている。また、ハウジング12内には、吸入路20、吐出路21、及び、スクロール流路22が区画形成されている。
ハウジング12は、回転軸16の延長線上に、被圧縮流体を吸入する吸入ポート24を有し、吸入路20は、回転軸16の軸線方向に延びて、吸入ポート24と作動室19の入口とを連通している。作動室19の入口は、吸入ポート24に向けて開口している。
作動室19の出口は、隔壁14側に位置し、回転軸16の径方向でみて、外側に向けて開口している。スクロール流路22は、作動室19を囲むように設けられている。吐出路21は、回転軸16の径方向に延び、スクロール流路22と作動室19の出口とを連通している。スクロール流路22は、ハウジング12に設けられた図示しない吐出ポートに繋がっており、圧縮された被圧縮流体は、吐出ポートから送出される。
図2は、インペラ18の一部を示す斜視図であり、図3は、インペラ18を拡大して示す概略的な断面図である。図1、図2及び図3を参照すると、インペラ18は、回転軸16に固定されるハブ26を有する。ハブ26の外面はラッパ状をなし、ハブ26の外径は作動室19の入口から出口に向かって徐々に拡径されている。
そしてインペラ18は、ハブ26の外面に設けられた複数の翼(内翼)28を有する。内翼28は、作動室19の入口に位置する前縁28a、作動室19の出口に位置する後縁28b、及び、前縁28aから後縁28bまで延びる外側縁28cを有する
またインペラ18は、内翼28の外側縁28cに固定された仕切り環30を有する。仕切り環30は、ラッパ状をなし、ハブ26の外面と対向している。
更にインペラ18は、仕切り環30の外面に設けられた複数の翼(外翼)32を有する。外翼32は、作動室19の入口に位置する前縁32a、作動室19の出口に位置する後縁32b、及び、前縁32aから後縁32bまで延びる外側縁32cを有する。
インペラ18を囲むハウジング12の内面の部分(カバー面)34と外翼32の外側縁32cとの間には、インペラ18の回転を許容すべく、微小な隙間が確保されている。
ハブ26の外面と仕切り環30の間の空間は、作動室19において、被圧縮流体が流れる流路(内側流路)36を構成している。また、カバー面34と仕切り環30の間の空間は、作動室19において、被圧縮流体が流れる流路(外側流路)38を構成している。
上記した構成では、排気タービンの回転力が回転軸16を介してインペラ18に伝達され、回転力によってインペラ18が回転させられる。インペラ18が回転すると、被圧縮流体が、吸入路20を通じて内側流路36及び外側流路38に流入する。被圧縮流体は、内側流路36及び外側流路38内で加速されてから吐出路21に流入し、そして、スクロール流路22を通じて外部に送出される。
ここで、遠心圧縮機10は、内側流路36を流れる被圧縮流体の流量及び外側流路38を流れる被圧縮流体の流量のうち一方又は両方を調整する流量調整手段を備えている。
流量調整手段は、被圧縮流体の流れに抵抗を付与する抵抗装置を有し、抵抗装置は、吸入路20、作動室19、吐出路21及びスクロール流路22のうち一つ以上に設けることができる。
第1実施形態では、抵抗装置として、円筒40及び円環板42が設けられている。円筒40は、吸入路20の周壁に嵌合されており、円筒40の内面の表面粗さは、吸入路20を構成するハウジング12の内面の表面粗さよりも粗い。
また、円環板42は、吐出路21を区画するハウジング12側の面に取り付けられ、隔壁14と対向している。吐出路21を区画する円環板42の面の表面粗さは、吐出路21を区画する隔壁14の面の表面粗さよりも粗い。
上述した第1実施形態の遠心圧縮機10では、吸入路20を区画する円筒40の内面の表面粗さが、円筒40によって覆われるハウジング12の内面よりも粗い。つまり、円筒40の内面が粗化面によって構成されている。このため、吸入路20において、回転軸16の径方向にて内側に近いほど、被圧縮流体の流量が多くなる。この結果として、円筒40を設けなかった場合に比べて、外側流路38を流れる被圧縮流体の流量が少なくなり、内側流路36を流れる被圧縮流体の流量が多くなる。
また、遠心圧縮機10では、吐出路21を区画する円環板42の面の表面粗さが、円環板42と対向する隔壁14の面の表面粗さよりも粗い。つまり、吐出路21を区画する円環板42の面が粗化面によって構成されている。このため、吐出路21において、回転軸16の軸線方向にて隔壁14に近いほど、被圧縮流体の流量が多くなる。この結果として、円環板42を設けなかった場合に比べて、外側流路38を流れる被圧縮流体の流量が少なくなり、内側流路36を流れる被圧縮流体の流量が多くなる。
かくして、遠心圧縮機10では、抵抗装置としての円筒40及び円環板42の働きにより、外側流路38を流れる被圧縮流体の流量が少なくなり、内側流路36を流れる被圧縮流体の流量が多くなる。すなわち、遠心圧縮機10の抵抗装置によれば、圧力バランスによって、被圧縮流体の流量が調整される。
ここで、図4は、遠心圧縮機10の性能曲線を示すグラフであり、インペラ18の回転速度が比較的高速であるとき、又は、流量が比較的多いときには、遠心圧縮機10の性能は、性能曲線Bで示される。そして、遠心圧縮機10の性能は、インペラ18の回転速度が比較的低速であるとき、又は、流量が比較的少ないときには、性能曲線Aで示される。
性能曲線Aで示される性能は、インペラ18に仕切り環30を設けて、作動室19内を内側流路36と外側流路38に仕切った上で、抵抗装置によって、内側流路36及び外側流路38の一方又は両方を流れる被圧縮流体の流量を調整することによって実現されている。すなわち、抵抗装置が、外側流路38を流れる被圧縮流体の流量を少なくし、内側流路36を流れる被圧縮流体の流量を多くすることによって実現されている。
性能曲線Aは、性能曲線Bに対し、グラフ上で左方向にシフトしており、遠心圧縮機10の作動範囲が拡大されている。すなわち、性能曲線Aによれば、インペラ18の回転速度が比較的低速であるとき、又は、流量が比較的少ないときでも、遠心圧縮機10が安定に動作する。
また、第1実施形態の遠心圧縮機10では、2段のインペラ18を用いているので、即ち、仕切り環30の存在によって内翼28と外翼32が相互に独立しているので、内翼28及び外翼32の仕様、即ち、寸法、形状及び配列を、互いに独立して設定可能である。従って、遠心圧縮機10では、内翼28及び外翼32の仕様を適宜設定することによって、作動ラインの略全域に渡って、圧縮効率を高めることができる。
なお、遠心圧縮機10の圧縮効率の最大値は、仕切り環を有さない一段のインペラを用いる従来の遠心圧縮機の圧縮効率の最大値に比べて低下する。しかし、遠心圧縮機10では、運転期間中に圧縮効率が高いレベルに維持されるので、平均的な圧縮効率については、遠心圧縮機10の方が従来の遠心圧縮機よりも高くなる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の遠心圧縮機44について説明する。
なお、第2実施以降の説明では、先行する実施形態と同一又は類似の構成については、同一の符号を付して説明を簡略化又は省略する。また、第2実施以降の説明では、先行する実施形態と同一又は類似の作用については、説明を簡略化又は省略する。
図5は、遠心圧縮機44の一部を示す概略的な断面図である。
遠心圧縮機44は、抵抗装置として、吸入路20に固定して配置された二重円筒部材46及び吐出路21に固定して配置された二重円環板部材47を有する点において、遠心圧縮機10と異なる。
図6は、二重円筒部材46の一部が概略的に示す斜視図であり、図5及び図6を参照すると、二重円筒部材46は、例えば相互に一体且つ同心に形成された外筒46a及び内筒46bと、複数の扁平な支柱46cとからなる。支柱46cは、回転軸16の周方向に相互に離間してスポーク状に配置され、外筒46aと内筒46cを連結している。外筒46aはハウジング12の内面に嵌合され、内筒46bは、支柱46cを介して外筒46aによって支持されている。
回転軸16の径方向にて、内筒46bの位置は、作動室19の入口における仕切り環30の前縁の位置に一致している。従って、二重円筒部材46において、外筒46aと内筒46bの間の空間は、外側流路38に被圧縮流体を供給するための流路(外翼用吸入路)を構成しており、内筒46bの内側は、内側流路36に被圧縮流体を供給するための流路(内翼用吸入路)を構成している。
そして、外翼用吸入路を規定する外筒46aの内面及び内筒46bの外面の表面粗さは、内翼用吸入路を規定する内筒46bの内面の表面粗さよりも粗い。つまり、外翼用吸入路を規定する外筒46aの内面及び内筒46bの外面は粗化面によって構成されている。
また、二重円環板部材47は、例えば相互に一体に形成された、第1円環板47a、第2円環板47b、複数の扁平な支柱47c、及び、複数の扁平な支柱47dからなる。支柱47cは、第1円環板47a及び第2円環板47bの周方向にて相互に離間してスポーク状に配置され、第1円環板47aと第2円環板47bを連結している。第1円環板47aは、ハウジング12の内面に固定され、第2円環板47bは、支柱47cを介して第1円環板47aによって支持されている。従って、第1円環板47aと第2円環板47bは、回転軸16の軸線方向にて相互に離間している。
一方、支柱47dは、第2円環板47bの周方向にて相互に離間してスポーク状に配置され、第2円環板47bと隔壁14の間隔を確保している。
回転軸16の軸線方向にて、第2円環板47bは、作動室19の出口に位置する仕切り環30の後縁の位置に一致している。従って、二重円環板部材47において、第1円環板47aと第2円環板47bの間の空間は、外側流路38から被圧縮流体を流出させるための流路(外翼用吐出路)を構成しており、第2円環板47bと隔壁14の間の空間は、内側流路36から被圧縮流体を流出させるための流路(内翼用吐出路)を構成している。
そして、外翼用吐出路を規定する第1円環板47a及び第2円環板47bの相互に対向する面は、内翼用吐出路を規定する第2円環板47b及び隔壁14の相互に対向する面の表面粗さよりも粗い。つまり、第1円環板47a及び第2円環板47bの相互に対向する面は粗化面によって構成されている。
上述した第2実施形態の遠心圧縮機44では、外翼用吸入路を規定する外筒46aの内面及び内筒46bの外面の表面粗さは、内翼用吸入路を規定する内筒46bの内面の表面粗さよりも粗い。このため、外翼用吸入路での被圧縮流体の流量に比べて、内翼用吸入路での被圧縮流体の流量の方が多くなる。この結果として、二重円筒部材46を設けなかった場合に比べて、外側流路38を流れる被圧縮流体の流量が少なくなり、内側流路36を流れる被圧縮流体の流量が多くなる。
また、遠心圧縮機44では、外翼用吐出路を規定する第1円環板47a及び第2円環板47bの相互に対向する面は、内翼用吐出路を規定する第2円環板47b及び隔壁14の相互に対向する面の表面粗さよりも粗い。このため、外翼用吐出路での被圧縮流体の流量に比べて、内翼用吐出路での被圧縮流体の流量の方が多くなる。この結果として、二重円環板部材47を設けなかった場合に比べて、外側流路38を流れる被圧縮流体の流量が少なくなり、内側流路36を流れる被圧縮流体の流量が多くなる。
かくして、遠心圧縮機44では、抵抗装置としての二重円筒部材46及び二重円環板部材47の働きにより、外側流路38を流れる被圧縮流体の流量が少なくなり、内側流路36を流れる被圧縮流体の流量が多くなる。すなわち、遠心圧縮機44の抵抗装置によれば、圧力バランスによって、被圧縮流体の流量が調整される。
この結果として、遠心圧縮機44の作動範囲は拡大されている。すなわち、回転速度が比較的低速であるとき、又は、流量が比較的少ないときでも、遠心圧縮機44は安定に動作する。また、遠心圧縮機44では、作動ラインの略全域に渡って、圧縮効率を高めることができる。
なお、遠心圧縮機44の抵抗装置によって被圧縮流体に付与される抵抗は、遠心圧縮機10の抵抗装置によって被圧縮流体に付与される抵抗よりも大である。従って、遠心圧縮機44によれば、遠心圧縮機10に比べ、より一層作動範囲が拡大される。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態の遠心圧縮機48について説明する。
図7(a)は、被圧縮流体の流量が相対的に少ない場合の遠心圧縮機48の一部を示す概略的な断面図であり、図7(b)は、被圧縮流体の流量が相対的に多い場合の遠心圧縮機48の一部を示す概略的な断面図である。
遠心圧縮機48は、抵抗装置として、吸入路20に固定して配置された絞り部材49のみを有する点において、先行する実施形態と異なる。
絞り部材49は弾性変形可能な樹脂やエラストマー等の弾性材料からなり、吸入ポート24側に位置する絞り部材49の基端部49aは、ハウジング12の内周面に嵌合されている。絞り部材49は、被圧縮流体の流量が相対的に少ないときには、図7(a)に示したように、吸入ポート24から作動室19に向かって直径が徐々に小さくなる中空の円錐台形状を有する。このとき、作動室19側の絞り部材49の先端部49bは、回転軸16の径方向にて、仕切り環30の前縁近傍に位置している。
被圧縮流体の流量が相対的に多いときには、図7(b)に示したように、被圧縮流体の圧力によって、絞り部材49は弾性変形させられる。具体的には、絞り部材49は、先端部49b側の直径が拡大されるように弾性変形させられる。この結果として、絞り部材49は、軸線方向中央部の直径がわずかに小さい、円筒形状をなす。
つまり、絞り部材49は、被圧縮流体の流量に応じて外側流路38の入口の開度を調整する、可変ダンパとしての機能を有する。なお、絞り部材49の肉厚は、弾性変形量を調整するために、例えば、基端部49aから先端部49bに向けて徐々に薄くなっている。
かくして、遠心圧縮機48では、抵抗装置としての絞り部材49の働きにより、流量が相対的に少ないときには、外側流路38を流れる被圧縮流体の流量が少なくなり、内側流路36を流れる被圧縮流体の流量が多くなる。そして、流量が相対的に多いときには、絞り部材49の開度が拡大することによって、外側流路38を流れる被圧縮流体に付与される抵抗が少なくなる。すなわち、遠心圧縮機48の抵抗装置によれば、圧力バランスによって、被圧縮流体の流量が調整される。
この結果として、遠心圧縮機48の作動範囲は拡大されている。すなわち、回転速度が比較的低速であるとき、又は、流量が比較的少ないときでも、遠心圧縮機48は安定に動作する。また、遠心圧縮機48では、作動ラインの略全域に渡って、圧縮効率を高めることができる。
なお、遠心圧縮機48の抵抗装置によって被圧縮流体に付与される抵抗は、遠心圧縮機10,44の抵抗装置によって被圧縮流体に付与される抵抗よりも大である。従って、遠心圧縮機48によれば、遠心圧縮機10に比べ、より一層作動範囲が拡大される。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態の遠心圧縮機50について説明する。
図8は、遠心圧縮機50の一部を示す概略的な断面図である。遠心圧縮機50は、抵抗装置として、吸入路20に固定された流量調整弁51及び吐出路21に固定されたディフューザ部材62を有する点において、前述の遠心圧縮機10等と異なる。
流量調整弁51は、吸入路20に配置されている。図9は、流量調整弁51を吸入ポート24側から見た概略的な平面図であり、図10(a)は流量調整弁51の弁ケーシング52の概略的な平面図であり、図10(b)は、流量調整弁51の弁体54の概略的な平面図であり、図10(c)は、流量調整弁51の押さえ板56の概略的な平面図である。
弁ケーシング52は、ハウジング12の内面に嵌合される外周壁52aと、外周壁52aと同心上に配置された内周壁52bと、外周壁52a及び内周壁52bと一体に連なる円環板形状の端壁52cとを有する。端壁52cには、弁孔として、それぞれ略台形状の複数の開口52dが形成され、開口52dは、端壁52cの周方向に等間隔にて同心上に配列されている。なお、端壁52cの周方向において、開口52dの周期は、開口52の幅の略2倍である。
弁体54は、円環板形状の弁本体54aを有する。弁本体54aの大きさは、弁ケーシング52の端壁52cよりも僅かに小さい。弁本体54aには、端壁52cに形成された開口52dと略同じ大きさの開口54bが、開口52dと対応する位置に形成されている。また、弁本体54aには、突起54cが取り付けられ、突起54cは弁本体54aの外縁から径方向外側に向けて延びている。突起54cは、弁ケーシング52に形成された図示しない周方向スリットを通じて、流量調整弁51の外に突出している。
押さえ板56は、弁本体54aと略同一の円環板部形状を有する押さえ板本体56aを有し、押さえ板本体56aにも、端壁52cに形成された開口52dと略同じ大きさの開口56bが、開口52dと対応する位置に形成されている。
押さえ板56は、弁ケーシング52に対して固定されており、弁本体54aの抜け止めとしての機能を有する。
この構成において、開口52d及び開口56bは、複数の弁路を構成しており、弁本体54aは、任意の開度にて、弁路を開閉可能である。そのために、弁本体54aは、端壁52c及び押さえ板56に摺接しており、内周壁52bの回りを、開口52dの幅に相当する中心角の範囲内で回転可能である。つまり、弁本体54aの回転位置によって、流量調整弁51の開度が決定される。
好ましくは、遠心圧縮機50には、突起54cを回転させることができる、図示しないアクチュエータが搭載される。アクチュエータが、外部からの制御によって突起54cを回転させるように構成することによって、流量調整弁51の開度を制御することが可能である。この場合、被圧縮流体の流量に応じて流量調整弁51の開度を決定することができるのは勿論、被圧縮流体の流量に係わらずに、流量調整弁51の開度を決定することもできる。
図11は、ディフューザ部材62を概略的に示す平面図である。図8及び図10を参照すると、ディフューザ部材62は、円環板形状の基板62aを有する。基板62aは、回転軸16と同心上に配置され、回転軸16の軸線方向にて、仕切り環30の後縁と同じ位置に位置している。基板62aの内縁と外縁の間隔は、回転軸16の径方向での吐出路21の長さに略等しい。従って、基板62aは、吐出路21を隔壁14側の内翼用吐出路とハウジング12側の外翼用吐出路とに仕切っている。
隔壁14側の基板62aの面には、複数の翼(第1翼)62bが固定して設けられ、ハウジング12側の基板62aの面には、複数の翼(第2翼)62cが固定して設けられている。
遠心圧縮機50では、インペラ18の内翼28及び外翼32の仕様が、互いに異なる特性を有するように決定されている。ディフューザ部材62の第1翼62b及び第2翼62cの仕様は、内翼28及び外翼32の特性にそれぞれ合うように決定されている。
かくして、遠心圧縮機50では、抵抗装置としての流量調整弁51を制御することにより、流量が相対的に少ないときには、外側流路38を流れる被圧縮流体の流量を少なくすることができ、内側流路36を流れる被圧縮流体の流量を多くすることができる。
また、抵抗装置としてのディフューザ部材62によっても、流量が相対的に少ないときには、外側流路38を流れる被圧縮流体の流量を少なくすることができ、内側流路36を流れる被圧縮流体の流量を多くすることができる。
これらの結果として、遠心圧縮機50の作動範囲は拡大されている。すなわち、回転速度が比較的低速であるとき、又は、流量が比較的少ないときでも、遠心圧縮機48は安定に動作する。
また、遠心圧縮機50では、特性の異なる内翼28及び外翼32を用いることによって、作動ラインの略全域に渡って、圧縮効率を高めることができる。その上、ディフューザ部材62の第1翼62b及び第2翼62cの特性を、内翼28及び外翼32の特性にそれぞれあわせることで、更に圧縮効率を高めることができる。
更に、遠心圧縮機50の抵抗装置によって被圧縮流体に付与される抵抗は、遠心圧縮機10,44の抵抗装置によって被圧縮流体に付与される抵抗よりも大である。従って、遠心圧縮機48によれば、遠心圧縮機10に比べ、より一層作動範囲が拡大される。
また、遠心圧縮機50の抵抗装置によれば、流量調整弁51の開度を任意の値に設定可能であり、遠心圧縮機48に比べて、被圧縮流体の流量を目標の流量に合わせることが容易である。
なお、遠心圧縮機50の動作温度が大気温度に近いような場合、流量調整弁51を樹脂材料から製造することができる。この場合、流量調整弁51を安価に製造することができるので、遠心圧縮機50の製造コストが抑制される。
(第5実施形態)
以下、第5実施形態の遠心圧縮機63について説明する。
図12は、遠心圧縮機63の一部を示す概略的な断面図である。遠心圧縮機63は、流量調整弁51の寸法及び配置が遠心圧縮機50と異なる。遠心圧縮機63においては、遠心圧縮機50に比べて、流量調整弁51が、径方向外側に向けて大型化されている。つまり、流量調整弁51における弁路の断面積が拡大されている。
そして、ハウジング12の内面64の直径は、流量調整弁51の大型化に合わせて、作動室19の入口から流量調整弁51に向けて徐々に拡大されている。換言すれば、ハウジング12の内面64の直径は、流量調整弁51から作動室19に向けて徐々に縮小されている。
遠心圧縮機63においては、流量調整弁51が大型化されているので、開度が100%のときの弁路の断面積が拡大されている。そして、ハウジング12の内面64の内径も、流量調整弁51側において拡大されている。このため、遠心圧縮機63の作動範囲は、遠心圧縮機50の作動範囲よりも更に高流量側に拡大される。
(第6実施形態)
以下、第6実施形態の遠心圧縮機65について説明する。
図13は、遠心圧縮機65の一部を示す概略的な断面図である。遠心圧縮機65は、ディフューザ部材62に代えて、仕切り部材66を有する点において、遠心圧縮機63と異なる。
仕切り部材66は、基板62aと略同じ形状を有する、吐出路用仕切り板部66aを有する。吐出路用仕切り板部66aは、回転軸16の軸線方向にて、仕切り環30の後縁と同じ位置に配置され、吐出路21を外翼用吐出路と内翼用吐出路に仕切っている。
そして、仕切り部材66は、吐出路用仕切り板部66aの外周縁に一体に連なるスクロール流路用仕切り板部66bを有する。スクロール流路用仕切り板部66bは、吐出路用仕切り板部66aの外周縁に対し斜めに連なっている。スクロール流路用仕切り板部66bは、スクロール流路22内を、内翼用吐出路に連なる内翼用スクロール流路と外翼用スクロール流路に連なる外翼用スクロール流路とに仕切っている。
遠心圧縮機65では、スクロール流路22も内翼用スクロール流路と外翼用スクロール流路に仕切られることで、被圧縮流体の逆流が防止され、性能低下が防止される。
(第7実施形態)
以下、第7実施形態の遠心圧縮機67について説明する。
図14は、遠心圧縮機67の一部を示す概略的な断面図である。遠心圧縮機67は、仕切り部材68の形状において、遠心圧縮機63と異なる。具体的には、仕切り部材68は、円環板形状の仕切り板部68aと、仕切り板部68aの外周縁に一体に連なる仕切り円筒部68bを有する。仕切り部材68においては、仕切り板部68aの径方向内側の部分が、吐出路を内翼用吐出路と外翼用吐出路に仕切っている。そして、仕切り板部68aの径方向外側の部分及び仕切り円筒部68bが、スクロール流路を内翼用スクロール流路と外翼用スクロール流路に連なる外翼用スクロール流路とに仕切っている。
遠心圧縮機67においても、スクロール流路22が内翼用スクロール流路と外翼用スクロール流路に仕切られることで、被圧縮流体の逆流が防止され、性能低下が防止される。なお、実施形態6及び実施形態7から、スクロール流路22を仕切る部材の形状は、特に限定されることはない。
(第8実施形態)
以下、第8実施形態の遠心圧縮機69について説明する。
図15は、遠心圧縮機69の一部を示す概略的な断面図である。遠心圧縮機69は、抵抗装置として、吐出路21に固定して配置されたディフューザ部材70のみを備える点において、前述した遠心圧縮機10等と異なる。
図16は、ディフューザ部材70を概略的に示す平面図である。ディフューザ部材70は、円環板形状の基板70aを有し、基板70aは、吐出路21を外翼用吐出路と内翼用吐出路に仕切っている。基板70aには、複数の翼70bがそれぞれ回転可能に取り付けられている。具体的には、翼70bには、ディスク70cが一体に設けられ、ディスク70cが、基板70aによって回転可能に支持されている。
好ましくは、各ディスク70cは、図示しないリンク機構を介してアクチュエータに連結され、アクチュエータは、外部からの命令に基づいて動作する。従って、アクチュエータの動作を制御することによって、リンク機構及びディスク70cを介して、翼70bを回転させることができる。各翼70bの長手方向を、基板70aの周方向に一致させたときに、翼70bによって外翼用吐出路が閉塞される。この位置から、翼70bを回転させると、外翼用吐出路の流路断面積が徐々に大きくなる。
第8実施形態の遠心圧縮機69によれば、ディフューザ部材70によって外側流路38を流れる被圧縮流体の流量を任意に低減可能である。この結果として、遠心圧縮機69の作動範囲は拡大されている。すなわち、回転速度が比較的低速であるとき、又は、流量が比較的少ないときでも、遠心圧縮機69は安定に動作する。また、遠心圧縮機69では、作動ラインの略全域に渡って、圧縮効率を高めることができる。
なお、遠心圧縮機69の抵抗装置によって被圧縮流体に付与される抵抗は、遠心圧縮機10の抵抗装置によって被圧縮流体に付与される抵抗よりも大である。従って、遠心圧縮機69によれば、遠心圧縮機10に比べ、より一層作動範囲が拡大される。
また、ディフューザ部材70によれば、翼70bの回転角を調整することによって、遠心圧縮機69の性能を調整することができる。
(第9実施形態)
以下、第9実施形態の遠心圧縮機72について説明する。
図17は、遠心圧縮機72の一部を示す概略的な断面図である。遠心圧縮機72は、抵抗装置として、ディフューザ部材74の構成において、遠心圧縮機69と異なる。
図18は、ディフューザ部材74を概略的に示す平面図である。ディフューザ部材74は、円環板形状の基板74aを有し、基板74aは、吐出路21を外翼用吐出路と内翼用吐出路に仕切っている。基板74aには、隔壁14側の面に複数の第1翼74bがそれぞれ回転可能に取り付けられ、ハウジング12側の面に複数の第2翼74cがそれぞれ回転可能に取り付けられている。具体的には、第1翼74bには、ディスク74dが一体に設けられ、ディスク74dが、基板74aによって回転可能に支持されている。同様に、第2翼74cには、ディスク74eが一体に設けられ、ディスク74eが基板74aによって回転可能に支持されている。
第1翼74b及び第2翼74cの回転角は、図示しないリンク機構を介して、相互に独立又は同期して調整可能である。ただし、第1翼74b及び第2翼74cの回転角は、内翼用吐出路及び外翼用吐出路を同時に閉塞しないように調整される。
遠心圧縮機72によれば、内翼用吐出路及び外翼用吐出路を流れる被圧縮流体の流量をそれぞれ調整可能であるので、遠心圧縮機72に比べて、更に作動範囲を拡大することができる。
(第10実施形態)
以下、第10実施形態の遠心圧縮機76について説明する。
図19は、遠心圧縮機76の一部を示す概略的な断面図である。遠心圧縮機76は、抵抗装置が、戻り流路77を備えている点において、遠心圧縮機63と異なる。
戻り流路77は、ハウジング12に形成されたハウジング側連通路78と流量調整弁51の弁ケーシング52に形成された弁側連通路79からなる。ハウジング側連通路78は、回転軸16の軸線方向にて、作動室19の入口を跨いで延びている。ハウジング側連通路78の作動室19側の端部78aは、作動室19を区画するハウジング12のカバー面34にて開口している。従って、ハウジング側連通路78は、外側流路38と連通している。より詳しくは、外翼32の外側縁の長手方向略中央と対向するカバー面34の領域に開口している。
ハウジング側連通路78の吸入路20側の端部は、弁ケーシング52に形成された弁側連通路79の端部と結合されている。弁側連通路79は、弁ケーシング52の端壁52c内を端壁52cの径方向に延びており、端壁52cの周方向では開口52d同士の間に位置している。弁側連通路79の径方向内側の端部79aは、内周壁52bの径方向内面にて開口しており、回転軸16の径方向にて、ハウジング12の内面よりも内側であって、仕切り環30の前縁と略同じ位置にて開口している。従って、弁側連通路79は、内翼用吸入路と連通している。
かくして、戻り流路77は、内翼用吸入路と外側流路38の間を連通し、戻り流路77の吸入路20側の端部は、回転軸16の径方向にてハウジング12の内面よりも内側に位置している。
遠心圧縮機76によれば、外側流路38を流れる被圧縮流体の一部が、戻り流路77によって内翼用吸入路に戻され、内側流路36に流入する。これにより、図20に示したように、流量が少ない場合(低回転時)及び流量が多い場合(高回転時)について、サージラインが低流量側に移動し、遠心圧縮機63に比べて、作動範囲が更に拡大される。
なお、図19に示したように、流量調整弁51においては、押さえ板を省略してもよい。これにより、部品点数の削減と組み立て工程の簡略化を図ることができ、もって低コスト化を図ることができる。
(第11実施形態)
以下、第11実施形態の遠心圧縮機80について説明する。
図21は、遠心圧縮機80の一部を示す概略的な断面図である。遠心圧縮機80は、戻り流路81の構成において、遠心圧縮機76と異なる。
戻り流路81は、ハウジング側連通路のみからなり、戻り流路81の吸入路20側の端部は、ハウジング12の内面64に開口している。つまり、戻り流路81は、外側流路38と外翼用吸入路との間を連通している。
遠心圧縮機76によれば、外側流路38を流れる被圧縮流体の一部が、戻り流路77によって内翼用吸入路に戻され、内側流路36に流入する。これにより、図22に示したように、流量が多い場合について、サージラインが低流量側に移動し、遠心圧縮機63に比べて、作動範囲が更に拡大される。
本発明は、上述した第1乃至第11実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した第1乃至第11実施形態では、抵抗装置が、吸入路20、吐出路21、スクロール流路22、又は、作動室19に設けられていたが、抵抗装置は、吸入路20、吐出路21、スクロール流路22、及び、作動室19の何れか1箇所以上に設けられていればよい。
また、第1乃至第11実施形態の何れか一つの実施形態に係る抵抗装置の一部又は全部を、他の実施形態に係る抵抗装置に追加してもよく、あるいは、他の実施形態に係る抵抗装置の一部と置換してもよい。すなわち、物理的に配置が不可能な場合を除き、あらゆる組合せが可能である。
更に、上述した第1乃至第11実施形態では、外側流路38を流れる被圧縮流体の流量を抑制する場合について説明したが、内側流路36を流れる被圧縮流体の流量を抑制するように変更してもよい。そのために、例えば、流量調整弁51を、内側流路36の入口に配置してもよく、ディフューザ部材の基板に対し、隔壁14側の面のみに翼を設けてもよい。また、そのために例えば、円筒40や二重円筒部材46の直径を変更し、必要に応じて支持部材を追加してもよい。更に、円環板42を隔壁14に固定したり、二重円環板部材47aの配置を、ハウジング12側と隔壁14側とで逆転してもよい。
一方、第1乃至第11実施形態では、共通の形状を有するインペラ18が用いられていたが、インペラ18の内翼28及び外翼32の仕様は、適宜変更可能である。図23(a)及び(b)は、変形例のインペラ82及びインペラ84を概略的にそれぞれ示す断面図である。インペラ82においては、外翼32の後縁32b側は、内翼28の後縁28bよりも径方向外側に突出している。この場合、当然のことながら、外翼32とディフューザ部材70,74は、外翼32と干渉しないように設計される。また、インペラ84では、外翼32の後縁32b側が、内翼28の後縁28bよりも内側に位置している。
更に、インペラ18,82,84の仕様はこれらに限定されることはなく、内翼28及び外翼32の寸法、形状、及び配列に加えて、ハブ26の形状、仕切り環30の形状、ハブ26と仕切り環30の間隔、仕切り環30とカバー面34の間隔等についても適宜変更可能である。また、ディフューザ部材62,70,74における翼62b,62c,70b,74b,74cの仕様についても適宜変更可能である。
最後に、本発明の遠心圧縮機は、自動車等に搭載されるターボチャージャに好適であるが、他の用途に用いても良いのは勿論である。
10 遠心圧縮機
12 ハウジング
14 隔壁
16 回転軸
18 インペラ
19 作動室
20 吸入路
21 吐出路
22 スクロール流路
28 内翼
30 仕切り環
32 外翼
34 カバー面
36 内側流路
38 外側流路
40 円筒(抵抗装置)
42 円環板(抵抗装置)
49 絞り部材(抵抗装置)
51 流量調整弁(抵抗装置)
70 ディフューザ部材(抵抗装置)

Claims (16)

  1. 被圧縮流体が順次流れる吸入路、作動室、吐出路、及び、スクロール流路が内部に規定されたハウジングと、
    前記ハウジング内を延びる回転軸と、
    前記作動室内に配置されるとともに前記回転軸に固定され、ハブ、該ハブの外面に設けられた複数の内翼、該内翼の外側縁に沿って設けられた仕切り環、及び、該仕切り環の外面に設けられた複数の外翼を有するインペラと、
    前記ハブの外面と前記仕切り環との間に規定される内側流路を流れる被圧縮流体の流量、及び、前記インペラを囲む前記ハウジングのカバー面と前記仕切り環との間に規定される外側流路を流れる被圧縮流体の流量のうち少なくとも一方を調整する流量調整手段と、
    を備えることを特徴とする遠心圧縮機。
  2. 前記流量調整手段は、前記吸入路及び前記吐出路のうち一方又は両方に配置され、前記被圧縮流体の流れに抵抗を付与する抵抗装置からなる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
  3. 前記抵抗装置は、前記吸入路に配置された円筒を有する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮機。
  4. 前記抵抗装置は、前記吸入路に配置された外筒と、前記外筒と同心上に配置された内筒とを有する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮機。
  5. 前記抵抗装置は、前記吸入路に配置され、前記作動室に向かって直径が徐々に縮小する絞り部材を有する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮機。
  6. 前記絞り部材は弾性材料からなり、前記絞り部材の直径は、前記被圧縮流体の圧力を受けて変化する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の遠心圧縮機。
  7. 前記抵抗装置は、前記吸入路に配置された流量調整弁を有する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮機。
  8. 前記流量調整弁は、前記回転軸と同心上に配列された複数の弁孔と、前記回転軸の回りにて回転して前記弁孔を開閉可能な弁体とを有する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮機。
  9. 前記吸入路における前記流量調整弁から前記作動室までの領域にて、前記ハウジングの内面の直径が、前記流量調整弁から前記作動室に向けて徐々に縮小されている、
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載の遠心圧縮機。
  10. 前記抵抗装置は、前記吐出路及び前記スクロール流路に配置され、前記吐出路及び前記スクロール流路をそれぞれ2つに仕切る仕切り板を有する、
    ことを特徴とする請求項3乃至9の何れか一項に記載の遠心圧縮機。
  11. 前記抵抗装置は、前記吐出路に配置された円環板を有する、
    ことを特徴とする請求項2乃至9の何れか一項に記載の遠心圧縮機。
  12. 前記抵抗装置は、前記吐出路に配置された第1円環板と、前記回転軸の軸線方向にて前記第1円環板から離間して前記吐出路に配置された第2円環板とを有する、
    ことを特徴とする請求項2乃至9の何れか一項に記載の遠心圧縮機。
  13. 前記抵抗装置は、前記吐出路に配置されたディフューザ部材を有し、
    前記ディフューザ部材は、前記回転軸と同心上に配置され、前記吐出路を仕切る円環板形状の基板と、前記基板の少なくとも何れか一方の面に設けられた複数の翼とを有する、
    ことを特徴とする請求項2乃至9の何れか一項に記載の遠心圧縮機。
  14. 前記翼は前記基板に対して回転可能に取り付けられている、
    ことを特徴とする請求項13に記載の遠心圧縮機。
  15. 前記抵抗装置は、前記作動室と前記吸入路との間を連通する戻り流路を有する、
    ことを特徴とする請求項3乃至14の何れか一項に記載の遠心圧縮機。
  16. 前記戻り流路の前記吸入路側の端部は、前記回転軸の径方向にて、前記ハウジングの内面よりも内側にて開口している、
    ことを特徴とする請求項15に記載の遠心圧縮機。
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