JP2013133601A

JP2013133601A - 樹脂被覆防食ｐｃ鋼材

Info

Publication number: JP2013133601A
Application number: JP2011282989A
Authority: JP
Inventors: Shuhei Maeda; 修平前田; Jun Sugawara; 潤菅原; Tomoya Maekawa; 智哉前川; Kiminori Matsushita; 公則松下
Original assignee: Sumitomo SEI Steel Wire Corp; Sumitomo Electric Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo SEI Steel Wire Corp; Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date: 2011-12-26
Filing date: 2011-12-26
Publication date: 2013-07-08
Anticipated expiration: 2031-12-26
Also published as: JP6038449B2

Abstract

【課題】ＰＣ鋼材内全長に亘るエアーリークパスを防ぐ。
【解決手段】複数の素線１ａを撚り合わせたＰＣ鋼線材１と、そのＰＣ鋼線材１の外周及び前記素線１ａの間に被覆されたワックス２と、前記ＰＣ鋼線材１の周りにワックス２を介在して被覆された樹脂被覆３とから成る樹脂被覆防食ＰＣ鋼材Ｗである。ワックス２に吸水性ポリマー４を添加する。その添加量は、質量比で、ワックス：１００に対して吸水性ポリマー：１５以上１００以下とする。吸水性ポリマー４は、水接触後、数秒で吸水してワックス２を膨張させて端部の水密性（水遮断性）を高めるため、端部から内部への浸水は防止される。このため、内部のＰＣ鋼線材１が水によって腐食されにくくなる。
【選択図】図２

Description

この発明は、主に、斜張橋の斜材ケーブル等として用いられる樹脂被覆防食ＰＣ鋼材に関するものである。

この種の樹脂被覆防食ＰＣ鋼材は、例えば、本願に係る発明の一実施形態を示す図１、図２を参照して説明すると、複数の素線１ａを撚り合わせたＰＣ鋼線材（ＰＣ鋼線ストランド）１と、そのＰＣ鋼線材１の外周及び前記素線１ａの間に塗布・介在されたワックス２と、前記ＰＣ鋼線材１の周りにワックス２を介在して被覆された樹脂被覆３とから成る（特許文献１請求項１、図１）。
このＰＣ鋼材Ｗは、例えば、素線１ａを撚り合わせたＰＣ鋼線材１を、高圧下のワックス槽中に通してその外周全面及び各素線１ａ間にワックスを塗布・介在した後、そのＰＣ鋼線材１外周面にポリエチレン樹脂等を押出し成形することによって樹脂被覆３して製造される（特許文献１段落０００３、図１等参照）。特に、素線１aの表面に亜鉛メッキを施した樹脂被覆防食ＰＣ鋼材は、亜鉛メッキ、ワックス被覆及び樹脂被覆３していることによって三重防食ストランドと称される。

この樹脂被覆防食ＰＣ鋼材が斜張橋の斜材ケーブとして用いられると、風雨や潮風に直接に晒される過酷な条件下での使用となるため、その内部に水等の鋼線材１の腐食物質が浸入する恐れがあり、その浸入が生じると、鋼線材１（素線１ａ）が錆びてその機械的強度（機能）の低下を招く。このため、その浸入を防ぐべく（防錆の有効性を担保すべく）、現場施行前（出荷前）にリークパスの有無を評価する気密性試験が行なわれる。
この気密性試験は、例えば、図３に示すように、５００ｍｍ長さのＰＣ鋼材Ｗの一端を水槽Ｂに漬けるとともに、他端に、空気シリンダＣでもって０．２ＭＰａ×３０秒の空気を印加し、その空気が一端から漏れ出るか否か（リークパスの有無）を測定するものである。そのリークパスの有無は水槽Ｂ内に気泡が生じるか否かによって判別される。図３中、ＡはＬ字状金具からなるＰＣ鋼材Ｗの支持具である。

特開２００３−１９３６２２号公報

従来、上記気密性試験において、約４０％のＰＣ鋼材Ｗにリークパスが生じ、合格率は６０％程度と低い。

この発明は、上記ＰＣ鋼材のリークパスを防ぐことを課題とする。

本発明者は、上記ＰＣ鋼材内への水浸入は、その端部から行なわれることに着目し、その少なくとも端部を浸水防止構造とすれば、仮に、その内部全長においてリークパスが生じていても、ＰＣ鋼材全体としてはリークパスが生じていないものとすることができる。
この考えの下、上記課題を達成するため、この発明は、ＰＣ鋼材端部を浸水防止構造とすべく、その端部のワックスに吸水性ポリマーを添加することとしたのである。
吸水性ポリマーは、水接触後、数秒で吸水してワックス層を膨張させ、端部の水密性（水遮断性）を高めるため、端部から内部への浸水は防止される。このため、内部のＰＣ鋼線材が水によって腐食されにくくなる。

この発明の構成としては、上記複数の素線１ａを撚り合わせたＰＣ鋼線材１と、そのＰＣ鋼線材１の外周及び前記素線１ａの間に塗布・介在されたワックス２と、前記ＰＣ鋼線材１の周りにワックス２を介在して被覆された樹脂被覆３とから成る樹脂被覆防食ＰＣ鋼材において、前記ＰＣ鋼線材１の少なくとも端部のワックス２に吸水性ポリマー４を添加した構成を採用することができる。

この構成において、ワックス２に代えてグリースを採用することができ、吸水性ポリマーには、ポリアクリル酸ナトリウム等を採用することができる。
そのＰＣ鋼材端部のワックス層への吸水性ポリマーの添加は、その端部のワックスのみに吸水性ポリマーを添加したものとすることができ、その端部の長さは、有効な浸水防止効果を担保できるように実験等によって適宜に決定すれば良い。しかし、その端部のみへの添加はその作業が雑となるため、ＰＣ鋼材全長に亘る全てのワックスに吸水性ポリマーを添加したものを使用すれば、従来と同様に、上記ワックス槽へのＰＣ鋼線材１の通しによってワックス塗布・介在を行なうことができる。この場合、ＰＣ鋼線材１の周り及び素線１ａの間のワックス２の全てに吸水性ポリマーが混合されていることとなる。
また、そのワックス２と吸水性ポリマーとの混合比は、上記端部の水浸入を防止し得るように、実験などによって適宜に設定すれば良いが、例えば、質量比で、ワックス：１００に対して吸水性ポリマー：１５以上１００以下とすることができる。

この発明は、以上のように構成したＰＣ鋼材としたので、ＰＣ鋼材内部への浸水を有効に防ぐことができ、上記気密性試験における合格率を上げることができる。

この発明に係るＰＣ鋼材の一実施形態の部分斜視図同実施形態の端部切断図同実施形態の気密性試験説明図

この実施形態のＰＣ鋼材は、従来と同様に、図１、図２に示すように、複数の表面亜鉛メッキした鋼素線（径：１９．０±０．８ｍｍ）１ａを撚り合わせたＰＣ鋼線材１と、そのＰＣ鋼線材１の外周及び前記素線１ａの間に塗布・介在されたワックス２と、ＰＣ鋼線材１の周りにワックス２を介在して被覆されたポリエチレン樹脂被覆３とから成る。このＰＣ鋼材Ｗも、ＰＣ鋼線材１を、高圧下の吸水性ポリマー４添加のワックス槽中に通してその外周全面及び各素線１ａ間に吸水性ポリマー混合ワックス２を塗布・介在した後、そのＰＣ鋼線材１外周面にポリエチレン樹脂等を押出し成形することによって樹脂被覆３して製造した。このとき、ワックス２への吸水性ポリマー４の添加（混合）は、常温のワックス２に吸水性ポリマー４を添加・混練し、さらにそのワックス２をローラ間に通して吸水性ポリマー４を均等分散させたり、或いは、ワックスを加熱して液化し、その中に粉状の吸水性ポリマーを入れて撹拌混合して均等分散させ、その分散状態で急冷・固化させたりすることもできる。

このように製造するＰＣ鋼材Ｗにおいて、表１に示す配合割合の試験例１〜１１を製作し、その各試験例を従来と同様の図３に示す気密性試験を行なった結果を同表１に示す。その表１において、ワックス（炭化水素系）２に対する吸水性ポリマー４の各割合（比率）において、「○」は水槽Ｗ内に気泡が生じず、リークパスが生じていないと思われるものを示し、「×」は水槽Ｗ内に気泡が生じ、リークパスが生じていると思われるものを示す。
ワックス２には、商品名：ＣＩＲＩＮＪＥＣＴＣＰ−ＨＰＦを使用し、吸水性ポリマー４には、商品名：アクアキープ１０ＳＨ−ＮＦ（吸水量６０ｇ／ｇ、吸水速度８秒、粒径１０６μｍ）を使用した。吸水試験は、ワックス２約１５ｇに水を５ｇ滴下し、ワックス２が完全に吸水するまでの時間を評価し、１０秒以内であれば「○」とし、１０秒を超えれば、「×」とした。

この試験結果から、ワックス２に吸水性ポリマー４を、質量比で、ワックス：１００に対して吸水性ポリマー：１５以上であれば、混合・塗装が可能であって、リークパスが生じないことが理解できる。しかし、１００質量部を超えると、吸水性ポリマー４がクラウドの主成分となって、吸湿による保存安定性の低下が懸念されるため、吸水性ポリマー４の添加量は１００質量部以下とする。
なお、この種のＰＣ鋼材Ｗにおいて、ワックス２に代えてグラウト材として同等のグリースを採用しても同様な結果を得ることができた。

なお、樹脂被覆３にはポリエチレン樹脂でなくても、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンエーテル（ＰＰＥ)、ポリアミド系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、アクリルニトリルブタジエンスチレン（ＡＢＳ）樹脂、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリアリレート、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン系ポリエチレン等を採用し得て、それらの樹脂被覆３にはカーボン等の顔料を混合させて耐候性を高めることが好ましい。また、素線１ａの撚り数も７本に限らず、１９本等と任意である。このように今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

１ＰＣ鋼線材
１ａ鋼線（素線）
２ワックス
３樹脂被覆
４吸水性ポリマー
Ｗ樹脂被覆防食ＰＣ鋼材

Claims

複数の素線（１ａ）を撚り合わせたＰＣ鋼線材（１）と、そのＰＣ鋼線材（１）の外周及び前記素線（１ａ）の間に被覆されたワックス（２）又はグリースと、前記ＰＣ鋼線材（１）の周りにワックス（２）又はグリースを介在して被覆された樹脂被覆（３）とから成る樹脂被覆防食ＰＣ鋼材であって、前記ＰＣ鋼線材（１）の少なくとも端部の上記ワックス（２）又はグリースに吸水性ポリマー（４）を添加したことを特徴とする樹脂被覆防食ＰＣ鋼材。
上記ワックス（２）又はグリースに吸水性ポリマー（４）を、質量比で、ワックス又はグリース：１００に対して吸水性ポリマー：１５以上１００以下としたことを特徴とする請求項１に記載の樹脂被覆防食ＰＣ鋼材。