JP2013133566A - 耐電圧性作業服 - Google Patents
耐電圧性作業服 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013133566A JP2013133566A JP2011285507A JP2011285507A JP2013133566A JP 2013133566 A JP2013133566 A JP 2013133566A JP 2011285507 A JP2011285507 A JP 2011285507A JP 2011285507 A JP2011285507 A JP 2011285507A JP 2013133566 A JP2013133566 A JP 2013133566A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fabric
- cloth
- ventilation
- work clothes
- sewing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Professional, Industrial, Or Sporting Protective Garments (AREA)
- Outer Garments And Coats (AREA)
Abstract
【課題】感電の可能性がある作業において、耐電圧性と着用快適性、易作業性を満足する耐電圧性作業服を提供すること。
【解決手段】生地を縫製してなり、縫製部およびベンチレーション部を有する耐電圧性作業服であって、交流電圧300Vを10分間印加したときの生地、縫製部およびベンチレーション部の漏れ電流がいずれも10mA以内であり、生地の耐水圧が50〜400kPaであり、透湿度が5000〜20000g/m2・24hrである耐電圧性作業服とする。さらに、後身頃側や膝裏部にベンチレーション部を設置し、補強布による補強を施し、袖の形状をラグラン袖とし、前膝部にゆとりをもたせた耐電圧性作業服とする。
【選択図】図1
【解決手段】生地を縫製してなり、縫製部およびベンチレーション部を有する耐電圧性作業服であって、交流電圧300Vを10分間印加したときの生地、縫製部およびベンチレーション部の漏れ電流がいずれも10mA以内であり、生地の耐水圧が50〜400kPaであり、透湿度が5000〜20000g/m2・24hrである耐電圧性作業服とする。さらに、後身頃側や膝裏部にベンチレーション部を設置し、補強布による補強を施し、袖の形状をラグラン袖とし、前膝部にゆとりをもたせた耐電圧性作業服とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、感電の可能性がある作業において、耐電圧性と着用快適性、易作業性を満足する作業服に関する。
従来、電力会社などの配電作業等、通電中作業下において作業員が着用する作業服は、耐電圧性を第一に考え、ゴム製のものを使用することが多かった。これにより耐電圧性は確保されるが、一方で動作環境や気温により蒸れ感を生じるとか、生地が厚いことにより作業性が良好であるとは言えないといった問題があった。
一方、従来の技術として、電気絶縁性と可撓性を備えた電気自動車の整備用の絶縁服(特許文献1参照)や、導電性繊維を含む生地で構成し、検電センサーを設置した感電防止用着衣(特許文献2参照)、内面にメッシュ状布帛が取り付けられた通気ウエア(特許文献3)等が提案されている。
しかしながら、特許文献1に開示された絶縁服は、電気絶縁性を備えた薄い生地で形成することにより作業性を向上させているが、身体からの不感蒸泄を処理する工夫は十分ではなかった。
また、特許文献2に開示された導電性着衣は、導電性繊維が織り込まれている伸縮性を有する生地で形成された着衣の一部分に検電センサーを設置した導電性着衣であり、この上に絶縁服を重ねて着用して作業するものであった。しかしながら、重ねて着用する時に発生した人体からの不感蒸泄を排出する工夫が設けられていないため、蒸れ感についての問題が解消できておらず、さらに、使用する生地自体の耐電圧性を保証するものではないため、感電の危険性が必ずしも十分に払拭されているとは言えなかった。
さらに、特許文献3に開示された通気性ウエアは、人体の中で蒸れの発生しやすい部位に開口部、いわゆるベンチレーションを設けた通気性ウエアであり、衣服内に滞留する不感蒸泄を円滑に外気に排出することはできるが、感電の危険性に対する対策は必ずしも十分になされているとは言えなかった。
そこで、本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を改良し、感電の可能性がある作業において、耐電圧性、着用時の蒸れ感軽減を実現し、なおかつ作業性の良い耐電圧性作業服を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の耐電圧性作業服は以下の構成からなる。
(1)生地を縫製してなり、縫製部およびベンチレーション部を有する耐電圧性作業服であって、交流電圧300Vを10分間印加したときの前記生地、前記縫製部および前記ベンチレーション部の漏れ電流がいずれも10mA以内であり、前記生地の耐水圧が50〜400kPaであり、前記生地の透湿度が5000〜20000g/m2・24hrであることを特徴とする耐電圧性作業服。なお、漏れ電流の測定方法としては、例えば、JIS−T8010(2001年)に準拠した絶縁用保護具・防護具の耐電圧試験方法などが挙げられる。また、耐水圧の測定方法としては、例えば、JIS L1092法 B法(高水圧法、2009年)などが挙げられ、透湿度の測定方法としては、例えば、JIS L 1099 B−1法(酢酸カリウム法、2006年)などが挙げられる。
(2)後身頃側または膝裏部に前記ベンチレーション部が設けられ、該ベンチレーション部は、表側布と肌側布とが分離した状態にて一定の重なり代で重ね合わされているものからなる、(1)の耐電圧性作業服。
(3)補強布による補強が施されている、(1)または(2)の耐電圧性作業服。
(4)袖の形状がラグラン袖である、(1)〜(3)のいずれかの耐電圧性作業服。なお、ラグラン袖とは、衿ぐりから袖下にかけて斜めの切替線の入った袖をいう。
(5)前膝部にタック、ダーツまたはギャザーを入れることによりゆとりが設けられている、(1)〜(4)のいずれかの耐電圧性作業服。
本発明に係る耐電圧性作業服によれば、耐電圧性に優れる素材を使用し、ベンチレーション部を設置することにより、感電の可能性がある作業においても、作業服内で発生する湿気を効率良く外部に排出させて、むれ感を生じにくくさせることができる。また、袖の形状をラグラン袖にしたり、膝周辺にゆとりを入れることにより、耐電圧性と着用快適性、易作業性を同時に満足する作業服とすることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1〜4は、本発明の一実施態様に係る耐電圧性作業服を示しており、とくに上衣20および下衣21からなる耐電圧性作業服を示している。具体的には、図1および図2は、耐電圧性作業服の上衣20を表す前側正面図および後側正面図であり、それぞれ上衣20の前身頃1および後身頃2を示している。また、図3および図4は、耐電圧性作業服の下衣21を表す前側正面図および後側正面図であり、それぞれ下衣21の前身頃3および後身頃4を示している。図5は、本発明における生地構成の一例を示す模式断面図であり、図6は、本発明におけるベンチレーション部の構造の一例を示す斜視断面図である。
図1〜4は、本発明の一実施態様に係る耐電圧性作業服を示しており、とくに上衣20および下衣21からなる耐電圧性作業服を示している。具体的には、図1および図2は、耐電圧性作業服の上衣20を表す前側正面図および後側正面図であり、それぞれ上衣20の前身頃1および後身頃2を示している。また、図3および図4は、耐電圧性作業服の下衣21を表す前側正面図および後側正面図であり、それぞれ下衣21の前身頃3および後身頃4を示している。図5は、本発明における生地構成の一例を示す模式断面図であり、図6は、本発明におけるベンチレーション部の構造の一例を示す斜視断面図である。
本発明で使用する生地9の構造の一例を図5に示す。具体的には、表地10の裏面(すなわち、肌面に近い側)に膜11および膜12を有し、さらに、最も肌面に近い側に裏地13を貼り合わせた4層構造である。この時、表地10の構造は織物、編物、不織布などいずれの構造であってもよく、表地10の素材は天然繊維、合成繊維いずれであってもよいが、防水性や耐久性の点からは、合成繊維からなる織物を表地10として使用することが好ましい。
膜11および膜12の構造は、微多孔膜、無孔膜のいずれの構造であってもよい。また、膜11および膜12の組成は、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、ナイロン、ポリブチレンテレフタレートなどのいずれであってもよい。
ここで、微多孔膜とは、孔径が6.0μm以下の微多孔が数にして80%以上存在している膜のことをいう。孔径および孔数については、後述する実施例に示した方法で測定した値を用いる。
微多孔膜における微多孔の孔径は0.1〜6.0μmであることが望ましい。微多孔膜の孔径が0.1μmより小さい場合は不感蒸泄を通しにくくなることで透湿性が損なわれ、孔径が6μmを越えると耐水圧性に影響をもたらすおそれがある。
例えば、ポリウレタン樹脂からなる微多孔膜を繊維布帛表面(例えば、表地10の裏面や膜11の肌側表面など)に形成する場合は、まず、ポリウレタンを主体とした組成物を繊維布帛表面に付与する。このような組成物を付与する方法としては、含浸もしくはコーティングのどちらでも良いが、膜の厚みの均一性の点からはコーティングが好ましい。続いて、組成物付与後に乾燥・キュア処理を実施する。乾燥・キュア処理の加熱処理条件としては、温度条件は80〜180℃、処理時間は0.5〜10分間であることが好ましい。さらに、上記加熱処理がなされた組成物を水に浸漬して水溶性ポリウレタン樹脂を溶出させることにより、ポリウレタン樹脂の微多孔膜が繊維布帛表面に形成される。そして、上記浸漬処理後、繊維布帛表面に形成された微多孔膜の乾燥処理を行う。なお、水溶性ポリウレタンを溶出させ乾燥処理を行った後、さらに、フッ素系の撥水剤単独もしくはフッ素系の撥水剤と架橋剤とを併用したものを上記微多孔膜に含浸させ、乾燥・熱処理をすることにより、得られる繊維布帛の耐水性及び撥水性の向上を図ることができる。
次に、無孔膜とは、電子顕微鏡を用いて1,000倍の倍率で膜断面を観察したときに、孔が全く無いか、極めて少なく実質的に無いに等しい膜をいう。
無孔膜を形成する場合は、材料として水系樹脂を用いることが好ましい。無孔膜を形成する水系樹脂としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、シリコーン系などに代表されるポリマー、またはこれら2種以上のポリマーからなる共重合物などが挙げられるが、これらに限られるものではない。
繊維布帛表面(例えば、表地10の裏面や膜11の肌側表面など)に無孔膜を形成する方法としては、例えば、繊維布帛表面への直接コーティングにより作成する方法や、予め離型紙等に塗工して作成したものを繊維布帛表面に接着させるラミネート法などが挙げられるが、特に限定されるものではない。繊維布帛表面に無孔膜の材料としての樹脂液を塗布した後、乾燥することにより、無孔膜が形成される。乾燥時の加熱処理条件としては、低温乾燥では長時間を要するとともに、架橋などが不十分となる恐れがあること、高温乾燥では樹脂劣化の恐れがあることから、温度条件は80〜180℃、処理時間は0.5〜10分間であることが好ましい。
なお、上記コーティング法やラミネート法等により形成される微多孔膜や無孔膜などの膜の厚さは、0.5〜20μm程度であることが望ましい。膜の厚さが0.5μmよりも薄い場合は電圧から人体を守ることができず感電する危険性がある。一方、20μmより厚い場合は、生地が堅くなり作業時の動作に影響を及ぼすおそれがある。
このようにして作成した膜のさらに肌面に接触する側の表面には、必要に応じて裏地13を貼り合わせることが好ましい。裏地13に使用する素材の構造は、織物、編物、不織布などいずれの構造であってもよい。また、裏地13に使用する素材は天然繊維、合成繊維いずれであってもよく特に限定しないが、メッシュやトリコットなど凹凸があり肌離れの良いものを貼り付けることが好ましい。
耐電圧性作業服の生地としては、耐水圧が50〜400kPaであり、酢酸カリウム法(JIS L 1099 B−1法)による透湿度が5000〜20000g/m2・24hrである生地を用いる。このような特性を有する生地からなる安全作業服は、防水性や人体から放出される不感蒸泄の処理という点から好ましく、夏場などの温度が高いと感じる作業において従来品よりも着用快適性に優れる。
なお、生地の耐水圧を50〜400kPaとする方法としては、例えば、上述のように、コーティング法やラミネート法などにより形成される微多孔膜や無孔膜などの膜の厚さを0.5〜20μm程度とする方法などが挙げられる。
また、透湿度を5000〜20000g/m2・24hrとする方法としては、例えば、上述のように、6.0μm以下の微多孔が数にして80%以上存在している微多孔膜を形成する方法や、水系樹脂からなる無孔膜を形成する方法などが挙げられる。
本発明でいうベンチレーションとは、衣服内温度および湿度を快適に保つための換気機能をいう(「スキーセレクション2001」(出版社:スキージャーナル、2001年発行)内の「21世紀スキー用語雑学辞典」に記載)。換気機能を衣服に付与するため、本実施態様では、表側布14および肌側布15からなり換気機能を有するベンチレーション部22を所定の位置に設けることとし、図6に示すように、肌側布15の外気側表面に一定の重なり代Cで表側布14を重ねた構造をベンチレーション部22の構造として採用した。これらの布の相対的配置としては、例えば、肌側布15に対し相対的に鉛直方向下側に表側布14を配置して重ねた構造も可能であるが、その場合は上部に向かってベンチレーション部22が開いているため、雨天時の作業時に雨が入ってくるおそれがある。防水性、換気性のみならず外部の電圧から身を守るためにも、図6に示すように、肌側布15に対し相対的に鉛直方向上側に表側布14を配置して重ね合わせた構造が好ましい。この時の重なり代Cの長さは1〜10cmであることが好ましい。重なり代Cが1cmより短い場合、作業中の動作により人体が露出し、電圧のかかっている物体に人体が接触する可能性がある。また、重なり代Cが10cmよりも長い場合は、ベンチレーション部22が塞がれてしまい、換気機能が低下するおそれがある。なお、重なり代Cの長さは2〜7cmの範囲内にあることが、換気機能が発揮されやすく、なおかつ耐電圧性も保持できるためより好ましい。
ベンチレーション部22を設ける部位としては、特に限定しないが、後身頃側や膝裏部が好ましい。例えば、本実施態様のように耐電圧性作業服が上衣20および下衣21からなる場合、図2の上衣20の後ヨーク部5や図4の下衣21の膝裏部6にベンチレーション部22を設けることが好ましい。図2に示すように、上衣20の後身頃2にベンチレーション部22を設置することにより、背中や脇下にたまった衣服内の湿気を外へ排気し、新しい空気を入れることができる。上衣20の後身頃2において、上衣20の後中心23(背中心、すなわち後衿付け位置)から後身頃2に設けられたベンチレーション部22までの距離をAとすると、この距離Aは10〜30cmであることが好ましい。この距離Aが10cmより短い場合、肩胛骨の上にベンチレーションが位置するため、ベンチレーションが開いてしまう可能性がある上、配電作業など突起物の多い職場で着用すると、突起物に引っ掛かって破損や怪我のおそれがある。また、距離Aが30cmより長い場合は、脇下より下の位置となるため、脇下の湿度を換気することが難しくなる。また、効率的換気および安全性の両方の観点からは、距離Aを15〜25cmの範囲内とすることがより好ましい。なお、ベンチレーション部22は後身頃2の左端から右端まで一直線状に設けられていることが、効率的換気および縫製しやすさの点から好ましいが、ベンチレーション部22を左右の袖付けの間に部分的に設置した場合にも同様の効果は期待できる。また、当該ベンチレーション部22は、2〜4ヶ所程度のステッチにより表側布14と肌側布15とが固定されていることが好ましい。ステッチが2ヶ所より少ない場合は人体が露出される可能性があり、4ヶ所より多い場合は不感蒸泄を対外に排出する効果が十分に発揮されなくなるおそれがある。
一方、下衣21については、後身頃4の膝裏部6にベンチレーション部22を設置することが好ましい。下衣21の前身頃3側にベンチレーション部22を設置すると、作業時に突起物に引っ掛かって破損や怪我のおそれがある。一方、ベンチレーション部22を膝裏部6に設置した場合は、作業時に引っ掛かる心配は少ない。図4に示すように、下衣21の裾25からベンチレーション部22までの距離をBとすると、この距離Bは30〜40cmの範囲内とすることが好ましい。距離Bがこの範囲を外れると、膝裏部6内の湿気を換気することが難しくなるおそれがある。さらに、当該ベンチレーション部22の裏面にメッシュやトリコットなどの通気性のある裏地を配置すると、仮にベンチレーション部22が開いても直接肌が露出することがないので、より好ましい。
上記耐電圧性作業服は縫い目が施された縫製部を有するものである。縫製部の構造(例えば、前身頃と後身頃とを脇や肩で縫い合わせる縫い目の構造)としては、ミシン糸により縫製された構造、融着縫製された構造、裏面を目止めテープなどにより目止めしている構造などを挙げることができるが、特に限定されるものではない。なお、耐水圧向上のためには、縫製部の構造として、裏面に目止めテープを貼っている構造を採用することが好ましい。
縫製部の防水に使用される目止めテープとしては、当該縫製部を構成する基材の強度向上などのために、必要に応じて布帛を用いてもよい。基材の補強用として布帛を用いる場合、例えば、ナイロン繊維やポリエステル繊維、ポリアミド繊維の如き合成繊維などを基材として用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。なお、防水性を保持するためには、基材の下に防水層を形成し、その下にホットメルト層を有したテープを使用することが好ましい。
上記防水層に使用する樹脂としては、例を挙げると、ポリエステル共重合系、ポリエーテル共重合系、あるいはポリカーボネート共重合系のポリウレタン、シリコーン、フッ素、アミノ酸等の成分を共重合したポリウレタン、アクリル系樹脂、合成ゴム、ポリ塩化ビニルの如きビニル系樹脂などを用いることができる。特に、本実施態様における生地9は透湿性能があるため、目止めテープにも透湿性を付与することが好ましい。目止めテープに透湿性を付与する方法としては、例えば、ウレタンを主成分とする微多孔質膜を形成する方法や、透湿性を有するウレタンを主成分とする無孔質膜を形成する方法などが挙げられる。
上記ホットメルト層を形成する樹脂については、特に限定されないが、柔軟性、接着性、加工性、コスト面などの点からウレタンの使用が望ましい。本実施態様で使用する目止めテープは、防水層が形成された基材の縫製部にあてがわれ、ホットメルト層を加熱融着して上記縫製部の防水性を維持するようにしたものである。当該目止めテープを加熱融着により縫製部に接着するには、アイロンやヒートローラーを用いることができるが、作業性の面では専用のヒートローラーを用いることが好ましい。接着条件としては、アイロンのノズル温度は350〜650℃、ローラー温度は常温〜200℃、テープ送り速度は1.0〜4.0m/minの範囲内にあることが、接着力、テープ周辺の美観の点で好ましい。接着力が不十分な場合、縫い目周辺から漏電する可能性がある。また、逆に接着力が強すぎる場合は、目止めテープの樹脂がしみ出したり、生地が溶解する可能性があり、その部分に電気が貫通して、耐電圧性能が低下するおそれがある。
耐電圧性作業服には、図1に示すように、下端が水平ウェスト線に沿うように配置された補強布7による補強を施すことが好ましい。例えば、耐電圧性作業服が上衣20および下衣21からなる場合は、図1に示すように、下端が上衣20の裾24に沿うように補強布7を配置することができる。このような補強により、配電作業など、安全ベルトなどを装着して行う作業において腰部周辺の生地の破損や摩耗を軽減することができ、耐電圧性を保つことができる。このような目的から、図1に示すように、上衣20の裾24から補強布7の上端までの距離Dは、20〜30cmであることが好ましい。また、当該補強布7の形状は三角、四角、半円形などの特定の形状に限定されるものではなく、長さについても特に限定されない。
さらに、耐電圧性作業服において使用するファスナー、ボタンなどの付属品については、メラミン、フッ素、エポキシ、ポリウレタン樹脂など絶縁性のものを使用することが、耐電圧性の点から好ましい。
耐電圧性作業服の縫製仕様については特に限定されるものではないが、袖の形状については、図1および図2に示すように衿ぐりから袖下にかけて切替線26を入れることにより、腕を上げ下げしやすいラグラン袖とすることが好ましい。なお、ラグラン袖とは、衿ぐりから袖下にかけて斜めの切替線の入った袖をいう(「服飾事典」(同文書院、1978年発行)に記載)。
また、耐電圧性作業服の膝部にある程度のゆとりをもたせることにより、膝の屈伸がしやすくなり易作業性が向上する。ゆとりを入れる方法としては、布の一部をつまむタック、ゆとり分を縫い込んだダーツ、布にひだを寄せるギャザーなどがあり、どの方法を採用しても同様の効果が期待できる。なお、縫製工程の簡略化の観点からは、図3に示すように、下衣21の膝部にタック8を入れることが好ましい。ゆとりを入れる位置としては、着用者の膝蓋骨の中心から上下5cmの範囲内とすることが、膝の屈伸がしやすくなるため好ましい。また、ゆとり量としては1〜8cmとするのが好ましい。1cmより小さいと膝の屈伸時に下衣が抵抗となり、屈伸しにくいし、逆に8cmより大きいと屈伸はしやすくなるが、立位の状態時に下衣が曲がった状態で固定されるため美観に劣る。さらに、ゆとり量が大きすぎると、作業時に突起物に引っ掛かるおそれがある。
以上のように、本実施態様は、外側から肌面へ水分を通さないようにすることで、電気を人体へ通しにくくするものである。具体的には、JIS−T8010(2001年)準拠の絶縁用保護具・防護具の耐電圧試験方法において、交流電圧300Vを10分間印加したときの生地、縫製部およびベンチレーション部の漏れ電流を10mA以内とするものである。
生地の漏れ電流を10mA以内とするために、本実施態様においては、
(1)生地については、表地、膜ともに厚くすることにより撥水性および耐水圧性を向上させる、
(2)縫製部については、縫製後に目止めテープを貼って防水効果を上げる、
(3)ベンチレーション部については、表側布と肌側布を重ねることにより、表側布と肌側布の間からの水の浸入を防ぐ、
という形態をとるものである。
(1)生地については、表地、膜ともに厚くすることにより撥水性および耐水圧性を向上させる、
(2)縫製部については、縫製後に目止めテープを貼って防水効果を上げる、
(3)ベンチレーション部については、表側布と肌側布を重ねることにより、表側布と肌側布の間からの水の浸入を防ぐ、
という形態をとるものである。
絶縁性や防水性がある従来のポリ塩化ビニル製の合羽などは、透湿度が全くないので、むれることにより合羽の内側で人体からの水蒸気(不感蒸泄)が結露して水分となってしまい、しかも人体の汗には塩分が含まれているので、衣服から少しでも露出すると感電するという危険性を有する。
さらに、水を通しやすい膜のない通常の織編物や、膜があっても耐水圧の低いものの場合は、漏れ電流は10mAを超えるものとなる。
なお、漏れ電流と感電の関係は、たとえば、
1mA:少しピリッと感じる。
5mA:相当に痛みを感じるが筋肉は自由に動く。
10mA:我慢できないほど苦しい。
20mA:筋肉が収縮して動けない。痙攣が起きる。
50mA:筋肉は硬直し、呼吸困難となり相当危険な状態。
100mA:致命的な障害を起こす。死亡にいたる。
といわれており、少なくとも漏れ電流は10mA以内とすることが重要である。
1mA:少しピリッと感じる。
5mA:相当に痛みを感じるが筋肉は自由に動く。
10mA:我慢できないほど苦しい。
20mA:筋肉が収縮して動けない。痙攣が起きる。
50mA:筋肉は硬直し、呼吸困難となり相当危険な状態。
100mA:致命的な障害を起こす。死亡にいたる。
といわれており、少なくとも漏れ電流は10mA以内とすることが重要である。
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例および比較例において用いた耐電圧性作業服に関する品質評価は、下記の方法で実施した。
(評価方法)
(1)耐電圧性
耐電圧性はJIS−T8010(2001年)の絶縁用保護具・防護具の耐電圧試験方法に準拠し、交流300Vを10分間印加したときの漏れ電流を測定することにより評価した。
測定個所は、生地単体、縫製部の上およびベンチレーション部の上とする。
電極形状は、加電側は直径10cmで縁部を丸く仕上げた構造とし、接地側は一辺約40cmの正方形平板とする。
測定手順としては、まず導電性液体(0.5%食塩水)を2枚のフェルトに十分含浸させて、1枚は生地表面の上に乗せ加電側電極に接触させる。さらに、もう1枚のフェルトを生地裏面(コーティング面)に接触させて導電性液体を十分に散布し、接地側電極と接触させる。合格基準は漏れ電流10mA以内であることとする。漏れ電流が10mAを越えると危険を伴うため、自動的に通電が止まるように設定しておく。
(1)耐電圧性
耐電圧性はJIS−T8010(2001年)の絶縁用保護具・防護具の耐電圧試験方法に準拠し、交流300Vを10分間印加したときの漏れ電流を測定することにより評価した。
測定個所は、生地単体、縫製部の上およびベンチレーション部の上とする。
電極形状は、加電側は直径10cmで縁部を丸く仕上げた構造とし、接地側は一辺約40cmの正方形平板とする。
測定手順としては、まず導電性液体(0.5%食塩水)を2枚のフェルトに十分含浸させて、1枚は生地表面の上に乗せ加電側電極に接触させる。さらに、もう1枚のフェルトを生地裏面(コーティング面)に接触させて導電性液体を十分に散布し、接地側電極と接触させる。合格基準は漏れ電流10mA以内であることとする。漏れ電流が10mAを越えると危険を伴うため、自動的に通電が止まるように設定しておく。
(2)透湿度
透湿度は、JIS L 1099 B−1法(酢酸カリウム法、2006年)に準じた測定方法により評価した。
すなわち、試験片を内径80mm、高さ50mm、厚さ3mmの合成樹脂製の円筒形の試験片支持枠に試験片の裏面が支持枠の外側に向くようにゴムバンドで装着する。これを、恒温装置(温度30±2℃で循環)中に置いた23℃の水の入った水槽内の、試験片が十分浸るような位置(約10mmの深さ)に固定し、15分間放置する。次に、透湿カップに温度23℃に保った吸湿剤(酢酸カリウム)をカップ容積の約2/3まで入れ、約10cm×10cmの大きさの透湿度測定用補助フィルムをゴムバンドで装着して試験体とする。この試験体の質量(a)を、フィルム装着側を上にして1mgまで測定する。測定後、直ちに試験体を倒立させ、水槽に固定した試験片支持枠の中に置く。15分後に試験体を取り出し、反転させて質量(b)を1mgまで測定する。次の式によって透湿度を算出し、評価結果は3回の平均値で表す。
透湿度(g/m2・h)={40×(b−a)}/透湿面積
透湿度は、JIS L 1099 B−1法(酢酸カリウム法、2006年)に準じた測定方法により評価した。
すなわち、試験片を内径80mm、高さ50mm、厚さ3mmの合成樹脂製の円筒形の試験片支持枠に試験片の裏面が支持枠の外側に向くようにゴムバンドで装着する。これを、恒温装置(温度30±2℃で循環)中に置いた23℃の水の入った水槽内の、試験片が十分浸るような位置(約10mmの深さ)に固定し、15分間放置する。次に、透湿カップに温度23℃に保った吸湿剤(酢酸カリウム)をカップ容積の約2/3まで入れ、約10cm×10cmの大きさの透湿度測定用補助フィルムをゴムバンドで装着して試験体とする。この試験体の質量(a)を、フィルム装着側を上にして1mgまで測定する。測定後、直ちに試験体を倒立させ、水槽に固定した試験片支持枠の中に置く。15分後に試験体を取り出し、反転させて質量(b)を1mgまで測定する。次の式によって透湿度を算出し、評価結果は3回の平均値で表す。
透湿度(g/m2・h)={40×(b−a)}/透湿面積
(3)耐水圧
耐水圧は、JIS L1092法 B法(高水圧法、2009年)に準じた測定方法により評価した。
すなわち、15cm×15cmの試験片を採取し、高水圧用耐水度試験装置に試験片の表側が水にあたるように取り付け、シリンダに水を入れ、ピストンハンドルを回して1分間に100kPaの割合で水圧を加えて、試験片の裏側に3ヶ所から水が出たときの水圧(kPa)を圧力計で読みとる。
耐水圧は、JIS L1092法 B法(高水圧法、2009年)に準じた測定方法により評価した。
すなわち、15cm×15cmの試験片を採取し、高水圧用耐水度試験装置に試験片の表側が水にあたるように取り付け、シリンダに水を入れ、ピストンハンドルを回して1分間に100kPaの割合で水圧を加えて、試験片の裏側に3ヶ所から水が出たときの水圧(kPa)を圧力計で読みとる。
(4)微多孔膜の孔径および孔数
微多孔膜が形成された防水透湿布帛の生地をカットし、当該布帛の断面を電子顕微鏡にて1,000倍で観察した写真を、縦150mm、横200mmの大きさに現像する。現像した写真の中から縦50mm、横50mmの領域を無作為に選択し、当該領域内における微多孔膜部分について総孔数および各孔の孔径を計測し、孔径が6.0μm以下の孔の数を微多孔の孔数として評価する。
微多孔膜が形成された防水透湿布帛の生地をカットし、当該布帛の断面を電子顕微鏡にて1,000倍で観察した写真を、縦150mm、横200mmの大きさに現像する。現像した写真の中から縦50mm、横50mmの領域を無作為に選択し、当該領域内における微多孔膜部分について総孔数および各孔の孔径を計測し、孔径が6.0μm以下の孔の数を微多孔の孔数として評価する。
(5)着用感、作業性、耐久性
出来上がった耐電圧性作業服の着用感、作業性、耐久性について、官能評価を実施した。その評価基準を表1に示す。
出来上がった耐電圧性作業服の着用感、作業性、耐久性について、官能評価を実施した。その評価基準を表1に示す。
(実施例1)
タテ糸、ヨコ糸とも44dte×34フィラメントのナイロン6糸を使用したタテ糸密度182本/2.54cm、ヨコ糸密度34本/2.54cmの平織物に通常の染色加工を施したナイロン基布を準備し、このナイロン基布の裏面(肌側の面)に疎水性微多孔ポリウレタン膜をコーティングにて付着させ、その上に親水性無孔ウレタン膜をラミネートし、さらに、親水性無孔ウレタン膜の肌側表面にナイロントリコットを接着させて、透湿防水性布帛を得た。そして、この透湿防水性布帛を生地として用い、表3の条件で作業服上下を縫製した。すなわち、上衣の袖の形状はラグラン袖とし、上衣の裾から衿方向30cmまでの領域内に、上記生地を用いて図1のような補強布を縫着した。具体的には、底辺20cm、高さ30cmの二等辺三角形に裁断した補強布を、底辺が上衣の裾に沿い、頂点が上衣の脇線と重なるように縫着した。また、上衣の後身頃の背中心から20cm下の位置に、左右の袖付けの間を横断するようにベンチレーション部を設けた。ベンチレーション部の構造としては、表側布を肌側布の上に5cm重ねてステッチ4ヶ所で固定した。下衣については、後身頃側における裾から33cm上の位置、すなわち膝裏部に、上衣と同様のベンチレーション部を設けた。さらに、下衣の前身頃側における裾から40cm上の膝位置で、図3のように外脇部および内股部を2cmつまんで下向きのタックをとった。縫製部については、ポリエステル製フィラメント糸を用いてミシンで縫製した上に、目止めテープをヒートローラーにて当該縫製部に接着し、作業服を作製した。ヒートローラーの運転条件は、送り速度3.6m/min、ノズル温度580℃、ローラー温度150℃、ノズル圧力0.04MPa、プレス圧力0.08MPaとした。このようにして得られた作業服の性能評価結果を表2に、縫製仕様を表3に、総合評価結果を表4に示す。
タテ糸、ヨコ糸とも44dte×34フィラメントのナイロン6糸を使用したタテ糸密度182本/2.54cm、ヨコ糸密度34本/2.54cmの平織物に通常の染色加工を施したナイロン基布を準備し、このナイロン基布の裏面(肌側の面)に疎水性微多孔ポリウレタン膜をコーティングにて付着させ、その上に親水性無孔ウレタン膜をラミネートし、さらに、親水性無孔ウレタン膜の肌側表面にナイロントリコットを接着させて、透湿防水性布帛を得た。そして、この透湿防水性布帛を生地として用い、表3の条件で作業服上下を縫製した。すなわち、上衣の袖の形状はラグラン袖とし、上衣の裾から衿方向30cmまでの領域内に、上記生地を用いて図1のような補強布を縫着した。具体的には、底辺20cm、高さ30cmの二等辺三角形に裁断した補強布を、底辺が上衣の裾に沿い、頂点が上衣の脇線と重なるように縫着した。また、上衣の後身頃の背中心から20cm下の位置に、左右の袖付けの間を横断するようにベンチレーション部を設けた。ベンチレーション部の構造としては、表側布を肌側布の上に5cm重ねてステッチ4ヶ所で固定した。下衣については、後身頃側における裾から33cm上の位置、すなわち膝裏部に、上衣と同様のベンチレーション部を設けた。さらに、下衣の前身頃側における裾から40cm上の膝位置で、図3のように外脇部および内股部を2cmつまんで下向きのタックをとった。縫製部については、ポリエステル製フィラメント糸を用いてミシンで縫製した上に、目止めテープをヒートローラーにて当該縫製部に接着し、作業服を作製した。ヒートローラーの運転条件は、送り速度3.6m/min、ノズル温度580℃、ローラー温度150℃、ノズル圧力0.04MPa、プレス圧力0.08MPaとした。このようにして得られた作業服の性能評価結果を表2に、縫製仕様を表3に、総合評価結果を表4に示す。
(実施例2)
タテ糸、ヨコ糸とも83dte×72フィラメントのポリエステル糸を使用したタテ密度180本/2.54cm、ヨコ糸密度94本/2.54cmの平織物に通常の染色加工を施したポリエステル基布を準備し、このポリエステル基布の裏面(肌側の面)に疎水性微多孔ポリウレタン膜をコーティングにて付着させ、さらに、疎水性微多孔ポリウレタン膜の肌側表面にナイロントリコットを接着させて透湿防水性布帛を得た。そして、この透湿防水性布帛を生地として用い、表3の条件で作業服上下を縫製した。すなわち、上衣の袖の形状はセットインスリーブと呼ばれる通常の袖付けとする。ここで、セットインスリーブとは、正常のアームホール(袖ぐり)の位置で袖を付けることをいう。縫製部については、ポリエステル製フィラメント糸を用いてミシンで縫製した上に、目止めテープをヒートローラーにて当該縫製部に接着した。ヒートローラーの運転条件は、送り速度3.6m/min、ノズル温度580℃、ローラー温度150℃、ノズル圧力0.04MPa、プレス圧力0.08MPaとした。また、上衣の裾から上方向25cmまでの領域全面に、上記生地を補強布として縫着した。上衣の後身頃の背中心から25cm下の位置には、左右の袖付けから各々3cm内側にベンチレーション部を設けた。ベンチレーション部の構造としては、表側布を肌側布の上に3cm重ねてステッチ3ヶ所で固定した。下衣については、後身頃側における裾から30cm上の位置、すなわち膝裏部に、上衣と同様のベンチレーション部を設けた。さらに、下衣の前身頃側における裾から35cm上の膝位置で、外脇部および内股部を各々4cm絞ってギャザーの形状をとった。その他の条件については、実施例1と同様に縫製し、作業服を作製した。このようにして得られた作業服の性能評価結果を表2に、縫製仕様を表3に、総合評価結果を表4に示す。
タテ糸、ヨコ糸とも83dte×72フィラメントのポリエステル糸を使用したタテ密度180本/2.54cm、ヨコ糸密度94本/2.54cmの平織物に通常の染色加工を施したポリエステル基布を準備し、このポリエステル基布の裏面(肌側の面)に疎水性微多孔ポリウレタン膜をコーティングにて付着させ、さらに、疎水性微多孔ポリウレタン膜の肌側表面にナイロントリコットを接着させて透湿防水性布帛を得た。そして、この透湿防水性布帛を生地として用い、表3の条件で作業服上下を縫製した。すなわち、上衣の袖の形状はセットインスリーブと呼ばれる通常の袖付けとする。ここで、セットインスリーブとは、正常のアームホール(袖ぐり)の位置で袖を付けることをいう。縫製部については、ポリエステル製フィラメント糸を用いてミシンで縫製した上に、目止めテープをヒートローラーにて当該縫製部に接着した。ヒートローラーの運転条件は、送り速度3.6m/min、ノズル温度580℃、ローラー温度150℃、ノズル圧力0.04MPa、プレス圧力0.08MPaとした。また、上衣の裾から上方向25cmまでの領域全面に、上記生地を補強布として縫着した。上衣の後身頃の背中心から25cm下の位置には、左右の袖付けから各々3cm内側にベンチレーション部を設けた。ベンチレーション部の構造としては、表側布を肌側布の上に3cm重ねてステッチ3ヶ所で固定した。下衣については、後身頃側における裾から30cm上の位置、すなわち膝裏部に、上衣と同様のベンチレーション部を設けた。さらに、下衣の前身頃側における裾から35cm上の膝位置で、外脇部および内股部を各々4cm絞ってギャザーの形状をとった。その他の条件については、実施例1と同様に縫製し、作業服を作製した。このようにして得られた作業服の性能評価結果を表2に、縫製仕様を表3に、総合評価結果を表4に示す。
(実施例3)
タテ糸、ヨコ糸とも44dte×34フィラメントのナイロン6糸を使用したタテ糸密度182本/2.54cm、ヨコ糸密度34本/2.54cmの平織物に通常の染色加工を施したナイロン基布を準備し、このナイロン基布の裏面(肌側の面)に親水性ウレタン膜をラミネートし、さらに、親水性ウレタン膜の肌側表面にナイロントリコットを接着させて透湿防水性布帛を得た。そして、この透湿防水性布帛を生地として用い、表3の条件で作業服上下を縫製した。縫製部分については、ポリエステル製フィラメント糸を用いてミシンで縫製した上に、目止めテープをヒートローラーにて当該縫製部分に接着した。ヒートローラーの運転条件は、送り速度3.6m/min、ノズル温度580℃、ローラー温度150℃、ノズル圧力0.04MPa、プレス圧力0.08MPaとした。上衣の袖の形状はラグラン袖とし、上衣の後身頃の背中心から15cm下の位置に、左右の袖付けの間を横断するようにベンチレーション部を設けた。ベンチレーション部の構造としては、表側布を肌側布の上に7cm重ねてステッチ4ヶ所で固定した。下衣については、後身頃側における裾から30cm上の位置、すなわち膝裏部に、重なり代4cmのベンチレーション部を設けた。さらに、下衣の前身頃側における裾から35cm上の膝位置で、外脇部および内股部を各々3cmダーツの形に縫い込んだ。その他の条件については、実施例1と同様に縫製し、作業服を作製した。このようにして得られた作業服の性能評価結果を表2に、縫製仕様を表3に、総合評価結果を表4に示す。
タテ糸、ヨコ糸とも44dte×34フィラメントのナイロン6糸を使用したタテ糸密度182本/2.54cm、ヨコ糸密度34本/2.54cmの平織物に通常の染色加工を施したナイロン基布を準備し、このナイロン基布の裏面(肌側の面)に親水性ウレタン膜をラミネートし、さらに、親水性ウレタン膜の肌側表面にナイロントリコットを接着させて透湿防水性布帛を得た。そして、この透湿防水性布帛を生地として用い、表3の条件で作業服上下を縫製した。縫製部分については、ポリエステル製フィラメント糸を用いてミシンで縫製した上に、目止めテープをヒートローラーにて当該縫製部分に接着した。ヒートローラーの運転条件は、送り速度3.6m/min、ノズル温度580℃、ローラー温度150℃、ノズル圧力0.04MPa、プレス圧力0.08MPaとした。上衣の袖の形状はラグラン袖とし、上衣の後身頃の背中心から15cm下の位置に、左右の袖付けの間を横断するようにベンチレーション部を設けた。ベンチレーション部の構造としては、表側布を肌側布の上に7cm重ねてステッチ4ヶ所で固定した。下衣については、後身頃側における裾から30cm上の位置、すなわち膝裏部に、重なり代4cmのベンチレーション部を設けた。さらに、下衣の前身頃側における裾から35cm上の膝位置で、外脇部および内股部を各々3cmダーツの形に縫い込んだ。その他の条件については、実施例1と同様に縫製し、作業服を作製した。このようにして得られた作業服の性能評価結果を表2に、縫製仕様を表3に、総合評価結果を表4に示す。
(比較例1)
タテ糸、ヨコ糸とも83dte×72フィラメントのポリエステル糸を使用したタテ密度180本/2.54cm、ヨコ糸密度94本/2.54cmの平織物に通常の染色加工を施したポリエステル基布を準備し、当該ポリエステル基布の裏面に、予めポリ塩化ビニルを離型紙に塗工して作成したシートを接着させて防水布を得た。そして、この防水布を生地として用い、表3の条件で作業服上下を縫製した。縫製部については、ポリエステル製フィラメント糸を用いてミシンで縫製した上に、目止めテープをヒートローラーにて当該縫製部に接着した。ヒートローラーの運転条件は、送り速度3.6m/min、ノズル温度580℃、ローラー温度150℃、ノズル圧力0.04MPa、プレス圧力0.08MPaとした。上衣については、袖の形状は通常の袖付けとし、ベンチレーション部を設けなかった。また、下衣については、前身頃側における裾から40cm上方の膝位置で、図3のように外脇部および内股部を2cmつまんで下向きのタックをとった。このようにして得られた作業服の性能評価結果を表2に、縫製仕様を表3に、総合評価結果を表4に示す。
タテ糸、ヨコ糸とも83dte×72フィラメントのポリエステル糸を使用したタテ密度180本/2.54cm、ヨコ糸密度94本/2.54cmの平織物に通常の染色加工を施したポリエステル基布を準備し、当該ポリエステル基布の裏面に、予めポリ塩化ビニルを離型紙に塗工して作成したシートを接着させて防水布を得た。そして、この防水布を生地として用い、表3の条件で作業服上下を縫製した。縫製部については、ポリエステル製フィラメント糸を用いてミシンで縫製した上に、目止めテープをヒートローラーにて当該縫製部に接着した。ヒートローラーの運転条件は、送り速度3.6m/min、ノズル温度580℃、ローラー温度150℃、ノズル圧力0.04MPa、プレス圧力0.08MPaとした。上衣については、袖の形状は通常の袖付けとし、ベンチレーション部を設けなかった。また、下衣については、前身頃側における裾から40cm上方の膝位置で、図3のように外脇部および内股部を2cmつまんで下向きのタックをとった。このようにして得られた作業服の性能評価結果を表2に、縫製仕様を表3に、総合評価結果を表4に示す。
(比較例2)
タテ糸、ヨコ糸とも44dte×34フィラメントのナイロン6糸を使用したタテ糸密度182本/2.54cm、ヨコ糸密度34本/2.54cmの平織物に通常の染色加工を施したナイロン基布を準備し、このナイロン基布の裏面に、カレンダーロールで圧延した天然ゴムを接着させて布帛を得た。そして、この布帛を生地として用い、表3の条件で作業服上下を縫製した。縫製部については、ポリエステル製フィラメント糸を用いてミシンで縫製し、作業服を作成した。なお、上衣の袖の形状はラグラン袖とし、ベンチレーション部やゆとりなどは設けなかった。このようにして得られた作業服の性能評価結果を表2に、縫製仕様を表3に、総合評価結果を表4に示す。
タテ糸、ヨコ糸とも44dte×34フィラメントのナイロン6糸を使用したタテ糸密度182本/2.54cm、ヨコ糸密度34本/2.54cmの平織物に通常の染色加工を施したナイロン基布を準備し、このナイロン基布の裏面に、カレンダーロールで圧延した天然ゴムを接着させて布帛を得た。そして、この布帛を生地として用い、表3の条件で作業服上下を縫製した。縫製部については、ポリエステル製フィラメント糸を用いてミシンで縫製し、作業服を作成した。なお、上衣の袖の形状はラグラン袖とし、ベンチレーション部やゆとりなどは設けなかった。このようにして得られた作業服の性能評価結果を表2に、縫製仕様を表3に、総合評価結果を表4に示す。
(比較例3)
タテ糸に84番ポリエステル100%紡績糸、ヨコ糸にポリエステル65%綿35%の45番混紡糸を用いてタテ糸密度152本/2.54cm、ヨコ糸90本/2.54cmの平織物を生地として用いて、表3の条件で作業服上下を縫製した。すなわち、上衣の袖の形状はラグラン袖とし、上衣の後身頃の背中心から40cm下の位置に、左右の袖付けの間を横断するようにベンチレーション部を設けた。ベンチレーション部の構造としては、表側布を肌側布の上に10cm重ねてステッチ2ヶ所で固定した。下衣については、前身頃側における裾から25cm上方の位置、すなわち前膝部に、上衣と同様のベンチレーション部を重なり代を8cmとして設けた。縫製部については、ポリエステル製フィラメント糸を用いてミシンで縫製し、作業服を作成した。このようにして得られた作業服の性能評価結果を表2に、縫製仕様を表3に、総合評価結果を表4に示す。
タテ糸に84番ポリエステル100%紡績糸、ヨコ糸にポリエステル65%綿35%の45番混紡糸を用いてタテ糸密度152本/2.54cm、ヨコ糸90本/2.54cmの平織物を生地として用いて、表3の条件で作業服上下を縫製した。すなわち、上衣の袖の形状はラグラン袖とし、上衣の後身頃の背中心から40cm下の位置に、左右の袖付けの間を横断するようにベンチレーション部を設けた。ベンチレーション部の構造としては、表側布を肌側布の上に10cm重ねてステッチ2ヶ所で固定した。下衣については、前身頃側における裾から25cm上方の位置、すなわち前膝部に、上衣と同様のベンチレーション部を重なり代を8cmとして設けた。縫製部については、ポリエステル製フィラメント糸を用いてミシンで縫製し、作業服を作成した。このようにして得られた作業服の性能評価結果を表2に、縫製仕様を表3に、総合評価結果を表4に示す。
表1〜4に示すように、実施例1〜3においては耐電圧性、快適性、易作業性および防水性に優れた耐電圧性作業服が得られたが、比較例1〜3においては、いずれの作業服もいくつかの項目において要求水準を下回る結果となった。
本発明に係る耐電圧性作業服は、電力会社などによる配電作業等、通電中作業下において着用される作業服として好適なものである。
1、3 前身頃
2、4 後身頃
5 後ヨーク部
6 膝裏部
7 補強布
8 タック
9 生地
10 表地
11、12 膜
13 裏地
14 表側布
15 肌側布
20 上衣
21 下衣
22 ベンチレーション部
23 後中心
24、25 裾
26 切替線
A 上衣の後中心からベンチレーション部までの距離
B 下衣の裾からベンチレーション部までの距離
C ベンチレーション部の重なり代
D 上衣の裾から補強布の上端までの距離
2、4 後身頃
5 後ヨーク部
6 膝裏部
7 補強布
8 タック
9 生地
10 表地
11、12 膜
13 裏地
14 表側布
15 肌側布
20 上衣
21 下衣
22 ベンチレーション部
23 後中心
24、25 裾
26 切替線
A 上衣の後中心からベンチレーション部までの距離
B 下衣の裾からベンチレーション部までの距離
C ベンチレーション部の重なり代
D 上衣の裾から補強布の上端までの距離
Claims (5)
- 生地を縫製してなり、縫製部およびベンチレーション部を有する耐電圧性作業服であって、交流電圧300Vを10分間印加したときの前記生地、前記縫製部および前記ベンチレーション部の漏れ電流がいずれも10mA以内であり、前記生地の耐水圧が50〜400kPaであり、前記生地の透湿度が5000〜20000g/m2・24hrであることを特徴とする耐電圧性作業服。
- 後身頃側または膝裏部に前記ベンチレーション部が設けられ、該ベンチレーション部は、表側布と肌側布とが分離した状態にて一定の重なり代で重ね合わされている構造からなる、請求項1に記載の耐電圧性作業服。
- 補強布による補強が施されている、請求項1または2に記載の耐電圧性作業服。
- 袖の形状がラグラン袖である、請求項1〜3のいずれかに記載の耐電圧性作業服。
- 前膝部にタック、ダーツまたはギャザーを入れることによりゆとりが設けられている、請求項1〜4のいずれかに記載の耐電圧性作業服。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011285507A JP2013133566A (ja) | 2011-12-27 | 2011-12-27 | 耐電圧性作業服 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011285507A JP2013133566A (ja) | 2011-12-27 | 2011-12-27 | 耐電圧性作業服 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013133566A true JP2013133566A (ja) | 2013-07-08 |
Family
ID=48910458
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011285507A Pending JP2013133566A (ja) | 2011-12-27 | 2011-12-27 | 耐電圧性作業服 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013133566A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016125178A (ja) * | 2015-01-07 | 2016-07-11 | 美津濃株式会社 | 衣類 |
WO2021049375A1 (ja) * | 2019-09-11 | 2021-03-18 | 東レ株式会社 | 防護服 |
-
2011
- 2011-12-27 JP JP2011285507A patent/JP2013133566A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016125178A (ja) * | 2015-01-07 | 2016-07-11 | 美津濃株式会社 | 衣類 |
WO2021049375A1 (ja) * | 2019-09-11 | 2021-03-18 | 東レ株式会社 | 防護服 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9179713B2 (en) | Flocked shapewear garments | |
EP2142023B1 (en) | Anti-electric-shock garment | |
KR102139273B1 (ko) | 탄성 복합 패브릭을 포함하는 가먼트 | |
TWI229037B (en) | Fiber structure of heat retaining property | |
JP2006249595A (ja) | ぬれ感の少ない編地および衣料 | |
CA2545627C (en) | Protective clothing for the lower part of the leg | |
US20160095381A1 (en) | Composite waterproof breathable sock with two-way extensible properties | |
JP2010018941A (ja) | 防寒衣服 | |
JP5944286B2 (ja) | 保温透湿性機能衣料 | |
JP2013133566A (ja) | 耐電圧性作業服 | |
JP6375617B2 (ja) | 通気構造を有する布帛及び衣服 | |
CN216088965U (zh) | 居家服套装 | |
JP2016030875A (ja) | 衣服 | |
JP7361009B2 (ja) | 衣服 | |
CN209284345U (zh) | 一种聚丙烯纺粘无纺布制成的透气防水雨衣 | |
JP2012172276A (ja) | 防寒衣服 | |
CN208841956U (zh) | 一种防水透气的纺织物 | |
EP2727485A1 (en) | Upper garment with inner lining in the back piece for more freedom of movement and a refreshing feeling | |
CN214854433U (zh) | 一种防水透气排湿运动裤 | |
CN213639693U (zh) | 一种高吸湿速干球衣 | |
CN217743211U (zh) | 一种高弹透气排汗功能运动裤 | |
CN215850040U (zh) | 一种弹性透气吸湿服装面料 | |
CN218876514U (zh) | 一种透气性好的人造革 | |
CN212400494U (zh) | 一种改善手感的面料 | |
CN207767560U (zh) | 一种具有透气褶的衣服 |