JP2013133278A - 発光素子用材料の合成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】寿命の長い発光素子を提供すべく、高純度な発光素子用材料の合成方法を提供する。
【解決手段】有機ハロゲン化物を経由した発光素子用材料の合成において、昇華精製処理前に、超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)により特定されてなる、前記発光素子用材料中に含まれる反応副生成物や、前記発光素子用材料を合成するための原料となる臭素、ヨウ素および塩素のハロゲン化物の含有率が、3%以下であることを特徴とする発光素子用材料の合成方法である。
【選択図】なし

Description

本発明の一態様は、高純度な有機化合物の合成方法に関する。
有機化学分野の発展はめざましく、現在様々な分野で有機化合物が用いられている。そのため、分野に適した多種多様な化合物が合成されている。それは、合成方法の開発に伴い、様々な化合物が合成可能となってきたためであるとも言える。
有機化合物を合成する手法の一つとして、カップリング反応が知られている。この手法の開発により様々な新規有機化合物の合成が可能となった。これらは反応が容易で、収率が高く、合成コストも低く抑えられることから多くの有機合成において用いられている。カップリング反応の一例としては、鈴木・宮浦カップリングが挙げられる。これは有機ハロゲン化物と有機ホウ素化合物とをパラジウム触媒などを用いたカップリング反応である。
しかし、このように汎用性の高い反応で合成された有機化合物であっても、合成の際に副生成物や原料などが不純物として残ってしまった場合、このままデバイスに用いるとデバイス特性に様々な悪影響を及ぼすといった問題が生じることがある。つまり、デバイスに用いる有機化合物の純度がデバイスの特性に大きく影響する場合があるのである。
このことは、デバイスの中でも、一対の電極間に発光性の有機化合物を挟んで形成される発光素子において、より顕著に現れると考えられている。すなわち、発光素子に用いられる有機化合物の純度が低いと、発光素子の駆動電圧や発光効率、寿命に対してより大きな影響を与えると考えられている。
そのため、発光素子に用いる有機化合物には高純度の材料を使用し、通常の精製法にさらに昇華精製を施したものが一般的に使用される。昇華精製により、合成時の残存溶媒や、微量の不純物の分離を行うことができる(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、上記精製を行ったとしても、純度のばらつきや、高純度品でもデバイス特性のばらつきが見られることがある。そのため、更なる高純度化が可能な合成・精製手法の開発や、純度解析手法の開発が望まれている。
特開2011−216903号公報
発光素子に用いられる有機化合物(発光素子用材料)を合成する場合、有機化合物中に不純物が多く含まれると、発光素子の特性に大きな悪影響を与えてしまう。中でも、合成の原料としても広く用いられている有機ハロゲン化物が不純物として微量でも含まれると、発光素子の駆動電圧や発光効率、寿命に影響を及ぼすと考えられる。
そこで、本発明の一態様では、有機ハロゲン化物を経由した有機化合物(発光素子用材料)の合成において、最終生成物の純度を高める合成方法を提供する。
有機ハロゲン化物を経由した発光素子用材料の合成において、昇華精製処理前の目的物である発光素子用材料中に不純物として有機ハロゲン化物が含まれると、昇華精製処理の際に目的物がハロゲン化し、新たなハロゲン化物が生成することが分かった。なお、生成した新たなハロゲン化物は、昇華精製を繰り返し行っても取り除くことが困難であるため、昇華精製前にこれら不純物を十分減らすことが必要である。
そこで、本発明の一態様では、昇華精製処理前に、目的物である発光素子用材料中に含まれる有機ハロゲン化物を極力除去した後に昇華精製処理を行うことにより、新たなハロゲン化物の生成を抑え、最終目的物の高純度化を図ることを特徴とする。
従って、本発明の一態様は、有機ハロゲン化物を経由した発光素子用材料の合成において、昇華精製処理前に、超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)により特定されてなる、目的物である発光素子用材料中に含まれる反応副生成物や原料の臭素、ヨウ素および塩素のハロゲン化物の含有率が、3%以下、より好ましくは2%以下であることを特徴とする発光素子用材料の合成方法である。
なお、上記構成において、特に、発光素子用材料が4,4’,4”−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリジベンゾチオフェン(略称:DBT3P−II)である場合において、昇華精製処理前の有機ハロゲン化物の含有率が3%以下、より好ましくは2%以下であることを特徴とする合成方法である。
また、上記各構成において、発光素子用材料のハロゲン化物の含有率が0.1%以下であることを特徴とする。
本発明の一態様である発光素子用の有機化合物の合成方法を用いることにより、発光素子用の有機化合物の合成における昇華精製後に新たなハロゲン化物の生成を低減することができるので、得られる発光素子用の有機化合物の純度を高めることができる。さらに、このような合成方法により得られた高純度な発光素子用の有機化合物を用いて発光素子を形成することにより、発光効率が高く、寿命の長い発光素子およびこれを備えた発光装置を提供することができる。
合成方法を説明するフローチャート。 サンプル1のPDAのクロマトグラムを示す図。 サンプル2のPDAのクロマトグラムを示す図。 サンプル3のPDAのクロマトグラムを示す図。 不純物1のマススペクトルデータを示す図。 不純物2のマススペクトルデータを示す図。 不純物3のマススペクトルデータを示す図。 不純物4のマススペクトルデータを示す図。 サンプル1のNMRデータを示す図。 サンプル4のPDAのクロマトグラムを示す図。 サンプル5のPDAのクロマトグラムを示す図。 サンプル6のPDAのクロマトグラムを示す図。 サンプル4のNMRデータを示す図。 サンプル5のNMRデータを示す図。 サンプル6のNMRデータを示す図。 サンプル7のPDAのクロマトグラムを示す図。 サンプル8のPDAのクロマトグラムを示す図。 サンプル9のPDAのクロマトグラムを示す図。 サンプル10のPDAのクロマトグラムを示す図。 発光素子の素子構造を示す図。 発光素子1、2の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子1、2の電圧−電流特性を示す図。 発光素子1、2の輝度−色度座標特性を示す図。 発光素子1、2の輝度−パワー効率特性を示す図。 発光素子1、2の発光スペクトルを示す図。 発光素子1、2の信頼性を示す図。 発光素子3、4の輝度−電流効率特性を示す図。 発光素子3、4の電圧−電流特性を示す図。 発光素子3、4の輝度−色度座標特性を示す図。 発光素子3、4の輝度−パワー効率特性を示す図。 発光素子3、4の発光スペクトルを示す図。 発光素子3、4の信頼性を示す図。 発光素子の構造について説明する図。 発光装置について説明する図。 電子機器について説明する図。 電子機器について説明する図。 照明器具について説明する図。
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることが可能である。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
ハロゲン体を経由して材料を合成する際、昇華精製処理前に発光素子用材料中に含まれる反応副生成物や、発光素子用材料を合成するための原料のハロゲン体の含有率が5%未満であり、3%以下であると好ましく、2%以下であるとさらに好ましい。昇華精製処理前に反応副生成物や発光素子用材料を合成するための原料のハロゲン体が含まれていると、昇華精製により、最終目的物である発光素子用材料のハロゲン化物が新たに生成する。
この新たに生成した発光素子用材料のハロゲン化した化合物は、その後昇華精製処理を繰り返し行っても除去することが難しいため、昇華精製前に十分に除去することが好ましい。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である有機ハロゲン化物を経由した発光素子用材料の合成方法について、図1に示すフローチャートに従って説明する。
まず、有機ハロゲン化物を経由して発光素子用材料を合成する。
次に、得られた発光素子用材料(目的物)を精製し、超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)により、純度検定を行う。この時、発光素子用材料(目的物)中に含まれる反応副生成物や原料の臭素、ヨウ素および塩素のハロゲン化物の含有率が、3%以下(好ましくは2%以下)でなければ、再び精製を行う。ただし、精製の際に目的物である発光素子用材料がハロゲン化しない様に、350℃以下、好ましくは300℃以下、さらに好ましくは200℃以下で行う精製法が好ましい。精製法としては例えば、カラムクロマトグラフィー法、再結晶法などがある。なお、上記含有率が3%以下である場合には、そのまま昇華精製処理を行えばよい。
このように、昇華精製処理前に発光素子用材料(目的物)中に含まれる反応副生成物や原料の臭素、ヨウ素および塩素のハロゲン化物の含有率を3%以下(好ましくは2%以下)とすることにより、昇華精製処理後に得られる発光素子用材料(目的物)のハロゲン化物の含有率を0.1%以下とすることができる。
なお、本発明の一態様において、発光素子用材料(目的物)中に含まれる反応副生成物や原料の臭素、ヨウ素および塩素のハロゲン化物の含有率の測定には、超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)を用いることが好ましい。
本発明の一態様において、合成では原料で有機ハロゲン化物を用いているものである。目的物を合成する最後の反応の際だけでなく、目的物を合成するための中間体としてどこかのステップで有機ハロゲン化物を用いている場合に広く適用できる。すなわち、有機ハロゲン化物の混入の可能性がある場合に広く適用できる。
これら合成の段階では完全に反応させることが理想的であるが、通常どちらかの原料が若干残ってしまいやすい。そこで、ハロゲン化物と反応させる際には、カップリングの相手(ホウ素化合物やアミン化合物など)のほうを過剰に加え、ハロゲン化物を残さないようにすることが好ましい。しかしながら、複数のハロゲンで置換された有機ハロゲン化物を用いる場合、すべてのハロゲン基においてカップリング反応が完全に進行しなければ、ハロゲン基が残留してしまい、問題となる。したがって、本発明の一態様は、前記有機ハロゲン化物が複数のハロゲンで置換された有機ハロゲン化物である場合に有用である。
特に、オルトジブロモベンセンや1,3,5−トリブロモベンセン、2,2’−ジブロモビフェニル等を用いた反応の場合、生じる目的物の置換基同士が立体的に近くなるため反応しづらく、ハロゲン基が完全に反応し切れない場合もある。また、原料や中間体の溶媒への溶解性が非常に悪い場合も、最後まで反応が進まない場合もある。析出しやすい・溶解性の悪い骨格としては、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、トリフェニレン、ジベンゾキノキサリンなど、平面性の高い縮合芳香環骨格や縮合複素芳香環骨格が挙げられる。これらのハロゲン化物も、これらを置換基とした目的物も、溶解性が悪い。高純度な目的物が好ましいが、これら目的物や不純物は溶解性が悪いため、精製が困難である。しかし高純度化するには合成コストがかかる。そのため、これら不純物である有機ハロゲン化物を、次の段階の昇華精製までにどこまで純度を上げる必要があるかの見極めが必要である。
たとえば4,4’,4”−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリジベンゾチオフェン(略称:DBT3P−II)は、簡便な合成法としては1,3,5−トリブロモベンセンとジベンゾチオフェン−4−ボロン酸とを反応させる。しかしながら、中間体である、4,4’−(1−ブロモベンゼン−3,5−ジイル)ジベンゾチオフェンは析出しやすく、ジベンゾチオフェン−4−ボロン酸とさらに反応させることが困難である。また、ベンゼンの1位、3位、5位全てにジベンゾチオフェンを反応させるのは、立体障害があり、困難である。そのため、このハロゲン化物である中間体が若干残ってしまいやすい。また、目的物のDBT3P−IIも、溶解性が非常に悪く、精製が困難な材料の一つである。
また、本発明の一態様において、昇華精製処理前に得られた発光素子用材料(目的物)を精製する方法としては、公知の様々な方法を用いることができる。ただし、精製の際に目的物である発光素子用材料がハロゲン化しない様に、350℃以下で精製を行うのが好ましい。なお、精製法としては例えば、カラムクロマトグラフィー法、再結晶法などがあり、適宜条件を組み合わせて行うと良い。
また、本発明の一態様における昇華精製処理の方法としては、公知の様々な方法を用いることができるが、トレインサブリメーション型のものは、分離能が良く、好ましい。このとき、系内は高真空または、高温側からアルゴンや窒素など不活性ガスを流すのが好ましい。
従って、上述した合成方法を用いることにより、高純度化された発光素子用材料を得ることができる。また、このような発光素子用材料を用いることにより素子特性に優れた発光素子が得られる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様として実施の形態1で示した合成方法により得られた高純度なEL素子用材料を用いることができる発光素子について図33を用いて説明する。
本実施の形態に示す発光素子は、図33に示すように一対の電極(第1の電極(陽極)101と第2の電極(陰極)103)間に発光層113を含むEL層102が挟まれており、EL層102は、発光層113の他に、正孔(または、ホール)注入層111、正孔(または、ホール)輸送層112、電子輸送層114、電子注入層115、電荷発生層(E)116などを含んで形成される。
このような発光素子に対して電圧を印加することにより、第1の電極101側から注入された正孔と第2の電極103側から注入された電子とが、発光層113において再結合し、有機金属錯体を励起状態にする。そして、励起状態の有機金属錯体が基底状態に戻る際に発光する。このように、本発明の一態様において有機金属錯体は、発光素子における発光物質として機能する。
なお、EL層102における正孔注入層111は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む層であり、アクセプター性物質によって正孔輸送性の高い物質から電子が引き抜かれることにより正孔(ホール)が発生する。従って、正孔注入層111から正孔輸送層112を介して発光層113に正孔が注入される。
また、電荷発生層(E)116は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む層である。アクセプター性物質によって正孔輸送性の高い物質から電子が引き抜かれるため、引き抜かれた電子が、電子注入性を有する電子注入層115から電子輸送層114を介して発光層113に注入される。
この時、特に、発光層や発光層に隣接する層で、用いる材料の純度は重要である。これら材料中に含まれる有機ハロゲン化物は少ない方が好ましい。ハロゲン化物を検出限界とすることで、大幅に信頼性を向上させることが期待できる。
以下に本実施の形態に示す発光素子を作製する上での具体例について説明する。
第1の電極(陽極)101および第2の電極(陰極)103には、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)の他、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金、その他グラフェン等を用いることができる。なお、第1の電極(陽極)101および第2の電極(陰極)103は、例えばスパッタリング法や蒸着法(真空蒸着法を含む)等により形成することができる。
正孔注入層111、正孔輸送層112、および電荷発生層(E)116に用いる正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等が挙げられる。その他、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)等のカルバゾール誘導体、等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
さらに、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いることもできる。
また、正孔注入層111および電荷発生層(E)116に用いるアクセプター性物質としては、遷移金属酸化物や元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化モリブデンが特に好ましい。
発光層113は、発光性の物質を含む層である。発光層113は、発光物質のみで構成されていても、ホスト材料中に発光物質(ゲスト材料)が分散された状態で構成されていても良い。
発光物質としては、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン、(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)などが挙げられる。
なお、本発明の一態様である合成方法により得られた発光素子用材料が発光物質である場合には、上述した材料と同様に用いることができる。
また、上記発光物質を分散状態にするために用いる物質(すなわちホスト材料)としては、例えば、2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)、NPBのようなアリールアミン骨格を有する化合物の他、CBP、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)等のカルバゾール誘導体や、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)等の金属錯体が好ましい。また、PVKのような高分子化合物を用いることもできる。
なお、本発明の一態様である合成方法により得られた発光素子用材料がホスト材料となる場合には、上述した材料と同様に用いることができる。
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層114には、Alq、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、BAlq、Zn(BOX)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などの金属錯体を用いることができる。また、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。また、ポリ(2,5−ピリジン−ジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層114として用いてもよい。
また、電子輸送層114は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
電子注入層115は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層115には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層114を構成する物質を用いることもできる。
あるいは、電子注入層115に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層114を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物)、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
なお、上述した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115、電荷発生層(E)116は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
上述した発光素子は、第1の電極101および第2の電極103との間に生じた電位差により電流が流れ、EL層102において正孔と電子とが再結合することにより発光する。そして、この発光は、第1の電極101および第2の電極103のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極101および第2の電極103のいずれか一方、または両方が透光性を有する電極となる。
以上により説明した発光素子は、本発明の一態様である合成方法により合成された高純度な発光素子用材料を用いて形成されることから、より高効率な発光素子を実現することができる。
なお、本実施の形態で示した発光素子は、本発明の一態様である合成方法により合成された高純度な発光素子用材料を用いて作製される発光素子の一例である。なお、発光素子の構成としては、電荷発生層を挟んでEL層を複数有する構造の発光素子(いわゆる、タンデム型発光素子という)の場合にも適用することができる。また、上記発光素子を備えた発光装置の構成としては、パッシブマトリクス型の発光装置やアクティブマトリクス型の発光装置の他、別の実施の形態で説明する上記とは別の構造を有する発光素子を備えたマイクロキャビティー構造の発光装置などを作製することができ、これらは、いずれも本発明に含まれるものとする。
なお、アクティブマトリクス型の発光装置の場合において、TFTの構造は、特に限定されない。例えば、スタガ型や逆スタガ型のTFTを適宜用いることができる。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、N型のTFTまたはP型のTFTのいずれか一方のみからなるものであってもよい。さらに、TFTに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。例えば、非晶質半導体膜、結晶性半導体膜、その他、酸化物半導体膜等を用いることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で示した合成方法により得られた高純度なEL素子用材料を用いた発光素子を有する発光装置について説明する。
また、上記発光装置は、パッシブマトリクス型の発光装置でもアクティブマトリクス型の発光装置でもよい。
本実施の形態では、アクティブマトリクス型の発光装置について図34を用いて説明する。
なお、図34(A)は発光装置を示す上面図であり、図34(B)は図34(A)を鎖線A−A’で切断した断面図である。本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、素子基板501上に設けられた画素部502と、駆動回路部(ソース線駆動回路)503と、駆動回路部(ゲート線駆動回路)504(504a及び504b)と、を有する。画素部502、駆動回路部503、及び駆動回路部504は、シール材505によって、素子基板501と封止基板506との間に封止されている。
また、素子基板501上には、駆動回路部503、及び駆動回路部504に外部からの信号(例えば、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線507が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC(フレキシブルプリントサーキット)508を設ける例を示している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図34(B)を用いて説明する。素子基板501上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、ソース線駆動回路である駆動回路部503と、画素部502が示されている。
駆動回路部503はnチャネル型TFT509とpチャネル型TFT510とを組み合わせたCMOS回路が形成される例を示している。なお、駆動回路部を形成する回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に駆動回路を形成することもできる。
また、画素部502はスイッチング用TFT511と、電流制御用TFT512と電流制御用TFT512の配線(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続された第1の電極(陽極)513とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極(陽極)513の端部を覆って絶縁物514が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂を用いることにより形成する。
また、上層に積層形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物514の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、絶縁物514の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物514の上端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物514として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができ、有機化合物に限らず無機化合物、例えば、酸化シリコン、酸窒化シリコン等、の両者を使用することができる。
第1の電極(陽極)513上には、EL層515及び第2の電極(陰極)516が積層形成されている。EL層515は、少なくとも発光層が設けられており、発光層には、本発明の一態様である有機金属錯体が含まれている。また、EL層515には、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層等を適宜設けることができる。
なお、第1の電極(陽極)513、EL層515及び第2の電極(陰極)516との積層構造で、発光素子517が形成されている。第1の電極(陽極)513、EL層515及び第2の電極(陰極)516の用いる材料としては、実施の形態1に示す材料を用いることができる。また、ここでは図示しないが、第2の電極(陰極)516は外部入力端子であるFPC508に電気的に接続されている。
また、図34(B)に示す断面図では発光素子517を1つのみ図示しているが、画素部502において、複数の発光素子がマトリクス状に配置されているものとする。画素部502には、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。また、カラーフィルタと組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
さらに、シール材505で封止基板506を素子基板501と貼り合わせることにより、素子基板501、封止基板506、およびシール材505で囲まれた空間518に発光素子517が備えられた構造になっている。なお、空間518には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材505で充填される構成も含むものとする。
なお、シール材505にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板506に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、アクティブマトリクス型の発光装置を得ることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様である有機金属錯体を適用して作製された発光装置を用いて完成させた様々な電子機器の一例について、図35、図36を用いて説明する。
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図35に示す。
図35(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、発光装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図35(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
図35(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図35(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、又は一方に発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図35(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図35(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
図35(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
図35(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ましい。
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
図36(A)及び図36(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図36(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。なお、当該タブレット端末は、発光装置を表示部9631a、表示部9631bの一方又は両方に用いることにより作製される。
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9637にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図36(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図36(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する。なお、図36(B)では充放電制御回路9634の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成について示している。
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
また、この他にも図36(A)及び図36(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の一面または二面に効率的なバッテリー9635の充電を行う構成とすることができるため好適である。なおバッテリー9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
また、図36(B)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について図36(C)にブロック図を示し説明する。図36(C)には、太陽電池9633、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9638、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9638、スイッチSW1乃至SW3が、図36(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9638で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力電送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
また、上記実施の形態で説明した表示部を具備していれば、図36に示した電子機器に特に限定されないことは言うまでもない。
以上のようにして、本発明の一態様である発光装置を適用して電子機器を得ることができる。発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様である有機金属錯体を含む発光装置を適用した照明装置の一例について、図37を用いて説明する。
図37は、発光装置を室内の照明装置8001として用いた例である。なお、発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置を形成することもできる。その他、曲面を有する筐体を用いることで、発光領域が曲面を有する照明装置8002を形成することもできる。本実施の形態で示す発光装置に含まれる発光素子は薄膜状であり、筐体のデザインの自由度が高い。したがって、様々な意匠を凝らした照明装置を形成することができる。さらに、室内の壁面に大型の照明装置8003を備えても良い。
また、発光装置をテーブルの表面に用いることによりテーブルとしての機能を備えた照明装置8004とすることができる。なお、その他の家具の一部に発光装置を用いることにより、家具としての機能を備えた照明装置とすることができる。
以上のように、発光装置を適用した様々な照明装置が得られる。なお、これらの照明装置は本発明の一態様に含まれるものとする。
また、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、下記合成スキーム(A−1)により4,4’,4”−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリジベンゾチオフェン(略称:DBT3P−II)の合成を行い、昇華精製を行った。合成により得られた目的物中の不純物が昇華精製で除去できるかについて、超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)により分析することで、各サンプル中に含まれる副生成物の同定および含有率について解析を行った。
なお、本実施例で用いたサンプルについて、以下の表1に示す。
すなわち、本実施例では、上記3サンプルの解析を行った(サンプル1:合成直後(昇華精製前)、サンプル2:サンプル1の昇華精製(370℃)後、サンプル3:サンプル2の昇華精製(370℃)後)。
分析においては、各サンプル1mgを2mlのクロロホルムに溶かした後、同量のアセトニトリルで希釈し、得られた溶液を測定サンプルとして用いた。
超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)の分析装置は、Waters社製ACQUITY UPLCシステムおよびLCT−Premier TOF−MSを用いた。
カラムにはWaters社製ACQUITY UPLC BEH C8(粒子径1.7μm、100×2.1mm)を用い、40℃で分析を行った。移動層はA:アセトニトリル、B:0.1%ギ酸水溶液とし、流速0.5mL/minで、Aを75%で1分間保持し10分後に95%まで一定の割合で増やすグラジエント分析を行った。注入量は5μLとした。
TOF−MSの条件として、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)により、ポジティブのイオン化モードで測定を行った。また、MSのスキャン範囲m/z100−1300、イオン化電圧2500V、イオン源温度100℃、デソルベーション温度200℃で分析を行った。
測定により得られたクロマトグラム(検出器:PDA(Photodiode Array)(吸収波長:210−500nm))を図2〜図4に示す。なお、図2(A)(B)には、サンプル1(合成直後(昇華精製前))の測定結果を示し、図3(A)(B)には、サンプル2(昇華精製(370℃)1回終了後)の測定結果を示し、図4(A)(B)には、サンプル3(昇華精製(370℃)2回終了後)の測定結果をそれぞれ示す。なお、図2、図3、図4において、(B)は(A)を拡大して表したクロマトグラムであり、横軸は時間(min)を、縦軸は強度(任意単位)を表す。また、各サンプル中に含まれる不純物の含有率は、図2、図3、図4に示すクロマトグラムからピーク面積を算出することにより求めた。この時、1分以内に検出されたピークは、材料を溶かすために使用したクロロホルムであるため、ピーク面積の算出から除外した。また、各ピークに対してマススペクトルの算出を行った。この結果を表2に示す。
すなわち、サンプル1(合成直後(昇華精製前))からは、DBT3P−IIが90.1%、不純物1(m/z 442)が0.1%、不純物2(m/z 522)が5.2%検出された。また、その他(数種類の不純物を含む)として、構造は分からないが、不純物が合わせて4.6%検出された。
なお、不純物1(m/z 442)のマススペクトルを図5に、不純物2(m/z 522)のマススペクトルを図6にそれぞれ示す。なお、不純物2は、図6に示すマススペクトルから、臭素体であることが分かった。マススペクトルから推察される構造を以下に示す。
サンプル2(昇華精製(370℃)1回終了後)からは、DBT3P−IIが95.3%、不純物1(m/z 442)が0.1%、不純物2(m/z 522)が0.5%検出された。なお、不純物1(m/z 442)、不純物2(m/z 522)はサンプル1から検出された不純物と同じである。
さらに、サンプル2では新たな不純物として、不純物3(m/z 704)が2ピーク、合わせて3.6%、不純物4(m/z 780)が0.1%未満で検出された。また、その他(数種類の不純物を含む)として、構造は分からないが、不純物が合わせて0.5%検出された。
不純物3(m/z 704)のマススペクトルを図7に、不純物4(m/z 780)のマススペクトルを図8にそれぞれ示す。なお、不純物3は、図7に示すマススペクトルから、DBT3P−IIの臭素1置換体(モノブロモ体)であり、不純物4は、図8に示すマススペクトルから、DBT3P−IIの臭素2置換体(ジブロモ体)であることが分かった。
サンプル3(昇華精製(370℃)2回終了後)からは、DBT3P−IIが97.4%、不純物2(m/z 522)が0.2%検出された。なお、不純物2(m/z 522)はサンプル1から検出された不純物2と検出時間とマススペクトルが対応するため、同じ構造であると推測できる。
また、サンプル2で検出されていた不純物3(m/z 704)が、サンプル3でも合わせて2.4%検出され、不純物4(m/z 780)が0.1%未満で検出された。また、その他(数種類の不純物を含む)として、構造は分からないが、サンプル1およびサンプル2で検出されていた不純物が合わせて0.1%未満で検出された。但し、サンプル1およびサンプル2で検出されていた、不純物1(m/z 442)は、検出限界であった。
つまり、サンプル2は、不純物2が0.3%、不純物3が3.6%検出されていることから、あわせて4.1%のハロゲン化物が検出されたこととなる。サンプル3は、不純物2が0.2%、不純物3が2.4%検出されていることから、あわせて2.6%のハロゲン化物が検出されたこととなる。つまり昇華精製でハロゲン化物は21%〜37%しか減らないことが分かった。また不純物3は、サンプル2で3.6%、サンプル3で2.4%と、34%しか減らないことがわかった。
さらに、サンプル1(合成直後(昇華精製前))に関して、核磁気共鳴法(NMR)による分析を行った。得られたH NMRデータを図9に示す。なお、図9(B)は(A)を拡大して表したチャートである。図9(B)の○で囲まれている8ppm付近に見られる2つのピークより、サンプル1(合成直後(昇華精製前))には不純物が含まれていることがNMRでも確認された。
以上の結果より、不純物3(m/z 704)、不純物4(m/z 780)は、合成した後に行った昇華精製により新たに生成された不純物であることが分かった。サンプル2の再昇華精製品であるサンプル3でもこれら不純物が検出されることから、この不純物3(m/z 704)、不純物4(m/z 780)は、昇華精製により除去することが難しいことが分かった。
本実施例では、実施例1で示した合成スキームAにより、新たにDBT3P−IIの合成を行った。このサンプルは、実施例1のサンプル1で検出された不純物2(m/z 522)の含有率が異なるサンプルである。このサンプル中の不純物が昇華精製で除去できるかについて、超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)により分析することで、各サンプル中に含まれる副生成物の同定および含有率について解析を行った。
なお、本実施例で用いたサンプルについて、以下の表3に示す。
すなわち、本実施例では、上記3サンプルの解析をおこなった(サンプル4:合成直後(昇華精製前)、サンプル5:サンプル4の昇華精製(350℃)後、サンプル6:サンプル5の昇華精製(350℃)後)。
なお、測定溶液の調整、および超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)での測定条件については、実施例1と同様に行った。
測定により得られたクロマトグラム(検出器:PDA(Photodiode Array)(吸収波長:210−500nm))を図10〜図12に示す。なお、図10(A)(B)には、サンプル4(合成直後(昇華精製前))の測定結果を示し、図11(A)(B)には、サンプル5(昇華精製(350℃)1回終了後)の測定結果を示し、図12(A)(B)には、サンプル6(昇華精製(350℃)2回終了後)の測定結果をそれぞれ示す。なお、図10、図11、図12において、(B)は(A)を拡大して表したクロマトグラムであり、横軸は時間(min)を、縦軸は強度(任意単位)を表す。
また、各サンプル中に含まれる不純物の含有率は、図10、図11、図12に示すクロマトグラムからピーク面積を算出することにより求めた。この時、1分以内に検出されたピークは、材料を溶かすために使用したクロロホルムであるため、ピーク面積の算出から除外した。また、各ピークに対してマススペクトルの算出を行った。この結果を表4に示す。
すなわち、サンプル4(合成直後(昇華精製前))からは、DBT3P−IIが96.9%、不純物2(m/z 522)が2.1%検出された。なお、不純物2(m/z 522)に由来する構造は、検出されたマススペクトルから臭素体であり、実施例1で示したものと同様である。また、その他(数種類の不純物を含む)として、不純物が合わせて1.0%検出された。
また、サンプル5(昇華精製(350℃)1回終了)からは、DBT3P−IIが99.7%、その他(数種類の不純物を含む)として、構造は分からないが、不純物が合わせて0.3%検出された。サンプル4で検出されていた不純物2(m/z 522)は検出されず、昇華精製で取り除くことができることが分かった。
さらに、サンプル6(昇華精製(350℃)2回終了)からは、DBT3P−IIが99.8%、その他(数種類の不純物を含む)として、構造は分からないが、不純物が合わせて0.2%検出された。
さらに、本実施例で用いたサンプル4(合成直後(昇華精製前))、サンプル5(昇華精製(350℃)1回終了後)、およびサンプル6(昇華精製(350℃)2回終了後)に関して、核磁気共鳴法(NMR)による分析を行った。得られたサンプル4(合成直後(昇華精製前))のH NMRデータを図13(A)(B)、サンプル5(昇華精製(350℃)1回終了後)のH NMRデータを図14(A)(B)、サンプル6(昇華精製(350℃)1回終了後)のH NMRデータを図15(A)(B)にそれぞれ示す。なお、図13、図14、図15において、(B)は(A)を拡大して表したチャートである。
なお、図13(B)の○で囲まれている8ppm付近に見られる2つのピークより、サンプル4(合成直後(昇華精製前))には不純物が含まれていることがNMRでも確認された。また、サンプル5(昇華精製(350℃)1回終了後)およびサンプル6(昇華精製(350℃)2回終了後)には、図13(B)にみられたこれらの不純物は確認されなかった。
以上の結果より、昇華精製を行う前に、本実施例において不純物2(m/z 522)で示される臭素体を2.1%にしておくことにより、不純物の除去を高精度に行うことができ、また、実施例1で示したような新たな不純物の生成を防げることが分かった。
本実施例では、実施例1のDBT3P−IIにおいて、昇華精製後に検出されたDBT3P−IIの臭素1置換体(モノブロモ体)の不純物3(m/z 704)、および臭素2置換体(ジブロモ体)の不純物4(m/z 780)が、不純物2(m/z 522)の影響により、昇華精製時の加熱で生成したのかを確認するため、高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG−DTA2410SA)を用いた加熱試験を行った。この加熱試験後の生成物を、超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)により分析することで、加熱前後の材料および不純物の含有率について解析を行った。
なお、高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG−DTA2410SA)を用いた加熱試験は、370℃、大気圧、窒素気流下にて5時間行った。なお、この温度は大気圧下では、DBT3P−IIは昇華しない温度である。
本実施例で用いたDBT3P−IIのサンプルについて、以下の表5に示す。
すなわち、本実施例では、上記4サンプル(サンプル1:加熱試験前(臭素体有))、サンプル7:サンプル1の加熱試験後、サンプル8:加熱試験前(臭素体無)、サンプル9:サンプル8の加熱試験後)の場合におけるサンプルを用いた。なお、サンプル1は実施例1におけるサンプル1(合成直後(昇華精製前))と同様のサンプルである。
分析において、測定溶液の調整、および超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)での測定条件については、実施例1と同様に行った。
測定により得られたクロマトグラム(検出器:PDA(Photodiode Array)(吸収波長:210−500nm))を図16〜図18に示す。なお、図16(A)(B)には、サンプル7(サンプル1の加熱試験後)の測定結果を示し、図17(A)(B)には、サンプル8(加熱試験前(臭素体無))の測定結果を示し、図18(A)(B)には、サンプル9(サンプル8の加熱試験後)の測定結果をそれぞれ示す。また、サンプル1(加熱試験前(臭素体有))の測定結果は、実施例1において図2で示した結果を参照することとする。なお、図2、図16、図17、図18において、(B)は(A)を拡大して表したクロマトグラムであり、横軸は時間(min)を、縦軸は強度(任意単位)を表す。
各サンプル中に含まれる不純物の含有率は、図2、図16、図17、図18に示すクロマトグラムからピーク面積を算出することにより求めた。この時、1分以内に検出されたピークは、材料を溶かすために使用したクロロホルムであるため、ピーク面積の算出から除外し、6〜10分の不純物は本実施例では着目していないため、2〜6分の範囲に限定してピーク面積の算出を行った。また、各ピークに対してマススペクトルの算出を行った。
この結果を表6に示す。
サンプル1(加熱試験前(臭素体有))からは、DBT3P−IIが94.6%、不純物1(m/z 442)が0.1%未満、不純物2(m/z 522)が5.4%検出された。なお、不純物1(m/z 442)、不純物2(m/z 522)は実施例1で示した不純物と同じである。
また、サンプル7(サンプル1の加熱試験後)からは、DBT3P−IIが93.5%、不純物1(m/z 442)が1.7%、不純物2(m/z 522)が1.3%検出された。なお、不純物1(m/z 442)、不純物2(m/z 522)はサンプル1から検出された不純物1と不純物2とそれぞれ検出時間とマススペクトルが対応するため、同じ構造であると推測できる。また、加熱試験後に新たに不純物3(m/z 704)が2ピーク、合わせて3.5%、不純物4(m/z 780)が0.1%未満で検出された。また同じく、不純物3(m/z 704)臭素1置換体(モノブロモ体)、不純物4(m/z 780)は臭素2置換体(ジブロモ体)であり、実施例1で示した不純物と同じである。
サンプル8(加熱試験前(臭素体無))からは、DBT3P−IIが99.9%以上検出された。サンプル1、およびサンプル7に検出されていた不純物1(m/z 442)、不純物2(m/z 522)、不純物3(m/z 704)、不純物4(m/z 780)は検出されなかった。
サンプル9(サンプル8の加熱試験後)からは、DBT3P−IIが99.9%以上検出された。サンプル1、およびサンプル7に検出されていた不純物1(m/z 442)、不純物2(m/z 522)、不純物3(m/z 704)、不純物4(m/z 780)は検出されなかった。
表6に示された以上の結果より、サンプル1(加熱試験前(臭素体有))とサンプル7(サンプル1の加熱試験後)から、不純物2(m/z 522)が含まれていると、以下に示すように、加熱により不純物2(m/z 522)の臭素がはずれ、新たに不純物1(m/z 442)が生成し、DBT3P−IIの臭素1置換体(モノブロモ体)である不純物3(m/z 704)、およびDBT3P−IIの臭素2置換体(ジブロモ体)である不純物4(m/z 780)が生成することが示唆された。また、サンプル8(加熱試験前(臭素体無))、およびサンプル9(サンプル8の加熱試験後)より、加熱前に不純物2(m/z 522)の臭素体が含まれていない場合は、加熱後にDBT3P−IIの新たな臭素体は生成しないことが分かった。
また、本実施例により、実施例1でのサンプル3のハロゲン化物があまり減らなかったのは、加熱によって不純物2や不純物3のハロゲンが外れ、再びサンプル中の別の化合物に結合してしまっていたためであることがわかった。
本実施例では、実施例3で行った加熱試験と、異なる加熱温度で試験を行った。試験温度はそれぞれ200℃、350℃で行った。
200℃にて加熱試験を行ったサンプルでは、不純物2(m/z 522)は検出されたが、不純物3(m/z 704)、不純物4(m/z 780)は検出されなかった。つまり、DBT3P−IIは200℃ではハロゲン化しづらいことがわかった。
350℃にて加熱試験を行ったサンプルでは、不純物2(m/z 522)も検出されたが、不純物3(m/z 704)は0.1%検出され、不純物4(m/z 780)はPDAのクロマトグラム上ではピークとして検出されなかったが、実施例1の不純物4に対応した時間に同様のマススペクトルが検出された。つまり、DBT3P−IIは350℃では若干ハロゲン化するが、ハロゲン化しづらいことがわかった。
以上の結果から、原料としてハロゲン化物を用いた目的物の昇華精製前の精製は、350℃以下、好ましくは300℃以下、さらに好ましくは200℃以下が好ましい。
本実施例では、実施例1のDBT3P−IIにおいて、サンプル1(合成直後(昇華精製前))にて検出された、不純物2(m/z 522)の臭素体を取り除くため、4−ジベンゾチオフェンボロン酸を加えてカップリング反応を行い、超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)により、カップリング前後の材料および不純物の含有率について分析を行った。
なお、サンプル1(合成直後(昇華精製前))にて検出された、不純物2(m/z 522)の含有率が5.2%であったことから、4−ジベンゾチオフェンボロン酸はDBT3P−IIの量に対して、5mol%の量を加えてカップリング反応させた。反応温度、時間は80℃、7時間であった。
本実施例で用いたDBT3P−IIのサンプルについて、表7に示す。
すなわち、本実施例では、上記2サンプル(サンプル1:カップリング反応前、サンプル10:カップリング反応後)の場合におけるサンプルを用いた。なお、サンプル1は実施例1におけるサンプル1(合成直後(昇華精製前))と同様のサンプルである。
なお、分析において、測定溶液の調整、および超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)での測定条件については、実施例1と同様に行った。
測定により得られたクロマトグラム(検出器:PDA(Photodiode Array)(吸収波長:210−500nm))を図19に示す。なお、図19(A)(B)には、サンプル10(サンプル1に4−ジベンゾチオフェンボロン酸5mol%を加えてカップリング反応後)の測定結果を示す。また、サンプル1(加熱試験前(臭素体有))の測定結果は、実施例1において図2で示した結果を参照することとする。なお、図2、図19において、(B)は(A)を拡大して表したクロマトグラムであり、横軸は時間(min)を、縦軸は強度(任意単位)を表す。
各サンプル中に含まれる不純物の含有率は、図2、図19に示すクロマトグラムからピーク面積を算出することにより求めた。この時、1分以内に検出されたピークは、材料を溶かすために使用したクロロホルムであるため、ピーク面積の算出から除外し、6〜10分の不純物は本実施例では着目していないため、2〜6分の範囲に限定してピーク面積の算出を行った。また、各ピークに対してマススペクトルの算出を行った。
この結果を表8に示す。
すなわち、サンプル1(カップリング反応前)からは、DBT3P−IIが94.6%、不純物1(m/z 442)が0.1%未満、不純物2(m/z 522)が5.4%検出された。なお、不純物1(m/z 442)、不純物2(m/z 522)は実施例1で示した不純物と同じである。
また、サンプル10(カップリング反応後)からは、DBT3P−IIが95.1%、不純物1(m/z 442)が2.5%、不純物2(m/z 522)が2.0%、その他(数種類の不純物を含む)として、不純物が合わせて0.4%検出された。なお、不純物1(m/z 442)、不純物2(m/z 522)はサンプル1から検出された不純物と同じである。
従って、表8に示したように、サンプル1(カップリング反応前)とサンプル10(カップリング反応後)から、十分な量の4−ジベンゾチオフェンボロン酸を加えてカップリング反応を行った場合、不純物2(m/z 522)の臭素体と反応が進行し、不純物2(m/z 522)の含有率は減少するものの、全て反応させるのは難しいことが分かった。また、サンプル10(カップリング反応後)の結果で、不純物1(m/z 442)の含有率が増えていることから、不純物2(m/z 522)の臭素体と4−ジベンゾチオフェンボロン酸は反応しにくいことが示唆された。
本実施例では、ハロゲン系不純物が検出された4,4’,4”−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリジベンゾチオフェン(略称:DBT3P−II)と、ハロゲン系不純物が検出されなかったDBT3P−II(略称)とを用いた発光素子をそれぞれ作製し、発光素子に対する不純物の影響を調べた結果を示す。なお、不純物が検出されたDBT3P−II(略称)としては、実施例1にて分析を行ったサンプル2を用い、不純物が検出されたなかたDBT3P−II(略称)としては、実施例2にて分析を行ったサンプル6を正孔注入層としてそれぞれ用い、発光素子1および発光素子2を作製した。発光素子1および発光素子2について図20を用いて説明する。本実施例で用いる材料の化学式を以下に示す。なお、既に示した材料については省略する。
以下に、本実施例の発光素子1、2の作製方法を示す。
(発光素子1)
まず、ガラス基板1100上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。ここで、第1の電極1101は、発光素子の陽極として機能する電極である。
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、実施例1にて分析を行ったサンプル2の4,4’,4”−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリジベンゾチオフェン(略称:DBT3P−II)と酸化モリブデンを共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、50nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、正孔注入層1111上に、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
さらに、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、及びN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)を共蒸着し、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成した。ここで、CzPA、及び1,6mMemFLPAPrnの質量比は、1:0.05(=CzPA:1,6mMemFLPAPrn)となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は30nmとした。
次に、発光層1113上に、CzPAを膜厚10nmとなるように成膜した後、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚15nmとなるように成膜し、電子輸送層1114を形成した。
さらに、電子輸送層1114上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。なお、正孔注入層1111、正孔輸送層1112、発光層1113、電子輸送層1114、電子注入層1115を含めてEL層1102と呼ぶこととする。
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子1を作製した。
(発光素子2)
発光素子2の正孔注入層1111は、実施例2にて分析を行ったサンプル6のDBT3P−IIと酸化モリブデンを共蒸着することで形成した。その膜厚は、50nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。正孔注入層1111以外は、発光素子1と同様に作製した。
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
以上により得られた発光素子1、2の素子構造を表9に示す。
発光素子1、2を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子1、2の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子1、2の輝度−電流効率特性を図21に示す。図21において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、電圧−電流特性を図22に示す。図22において、横軸は電圧(V)、縦軸は電流(mA)を表す。また、輝度−色度座標特性を図23に示す。図23において、横軸は輝度(cd/m)、縦軸は色度座標(x座標、又はy座標)を表す。また、輝度−パワー効率特性を図24に示す。図24において、横軸は輝度(cd/m)、縦軸はパワー効率(lm/W)を表す。また、発光素子1、2における輝度1000cd/m付近のときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、輝度(cd/m)、電流効率(cd/A)、外部量子効率(%)を表10に示す。
また、発光素子1、2に1mAの電流を流した際の発光スペクトルを、図25に示す。図25において、横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。図25および表10に示す通り、1000cd/m付近の輝度の時の発光素子1のCIE色度座標は(x,y)=(0.15,0.20)であり、発光素子2のCIE色度座標は(x,y)=(0.15,0.20)であった。この結果から、発光素子1、2のいずれも、発光中心物質である1,6mMemFLPAPrnに由来する青色発光が得られたことがわかった。
図21、図22に示す発光素子1および発光素子2の結果から、DBT3P−II(略称)に含まれる不純物は、電圧−電流特性、および輝度−電流効率特性に影響を与えないことがわかった。
なお、発光素子1のDBT3P−II(サンプル2)は蒸着の際に脱ガスがあったが、発光素子2のDBT3P−II(サンプル6)では脱ガスはなかった。
次に、発光素子1および発光素子2の信頼性試験を行った。信頼性試験の結果を図26に示す。図26において、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を示し、横軸は素子の駆動時間(h)を示す。信頼性試験は、室温で行い、初期輝度を5000cd/mに設定し、電流密度一定の条件で本実施例の発光素子を駆動した。
図26から、発光素子1の170時間後の輝度は初期輝度の56%を保っていた。また、発光素子2の170時間後の輝度は初期輝度の62%を保っていた。この信頼性の結果から、不純物を含むDBT3P−II(略称)を用いて作製された発光素子1は、信頼性が悪く、不純物を含まないDBT3P−II(略称)を用いて作製された発光素子2は、信頼性の高い素子であることがわかった。
以上の結果より、発光素子1の実施例1で分析を行ったサンプル2に含まれる臭素体を、発光素子2の実施例2で分析を行ったサンプル6のように検出限界にすることで、信頼性の高い素子を作製することが可能であることがわかった。
本実施例では、不純物が検出された4,4’,4”−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリジベンゾチオフェン(略称:DBT3P−II)と、不純物が検出されなかったDBT3P−II(略称)とを用いた発光素子をそれぞれ作製し、発光素子に対する不純物の影響を調べた結果を示す。なお、不純物が検出されたDBT3P−II(略称)としては、実施例1にて分析を行ったサンプル2を用い、不純物が検出されなかったDBT3P−II(略称)としては、実施例2にて分析を行ったサンプル6を正孔注入層および正孔輸送層としてそれぞれ用い、発光素子3および発光素子4を作製した。発光素子3および発光素子4について図20を用いて説明する。本実施例で用いた材料は実施例6と同様であるため、材料の構造式は省略する。
以下に、本実施例の発光素子3、4の作製方法を示す。
(発光素子3)
まず、ガラス基板1100上に、ITSO膜をスパッタリング法にて成膜し、陽極として機能する第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、実施例1にて分析を行ったサンプル2のDBT3P−IIと酸化モリブデンを共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、50nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。
次に、正孔注入層1111上に、再度実施例1にて分析を行ったサンプル2のDBT3P−IIを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
さらに、CzPA、及び1,6mMemFLPAPrnを共蒸着し、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成した。ここで、CzPA、及び1,6mMemFLPAPrnの質量比は、1:0.05(=CzPA:1,6mMemFLPAPrn)となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は30nmとした。
次に、発光層1113上に、CzPAを膜厚10nmとなるように成膜した後、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚15nmとなるように成膜し、電子輸送層1114を形成した。
さらに、電子輸送層1114上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子3を作製した。
(発光素子4)
発光素子4の正孔注入層1111は、実施例2にて分析を行ったサンプル6のDBT3P−IIと酸化モリブデンを共蒸着することで形成した。その膜厚は、50nmとし、DBT3P−IIと酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。
次に、正孔注入層1111上に、再度実施例2にて分析を行ったサンプル6のDBT3P−IIを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
正孔注入層1111、および正孔輸送層1112以外は、発光素子3と同様に作製した。
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
以上により得られた発光素子3、4の素子構造を表11に示す。
発光素子3、4を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子3、4の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子3、4の輝度−電流効率特性を図27に示す。図27において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、電圧−電流特性を図28に示す。図28において、横軸は電圧(V)、縦軸は電流(mA)を表す。また、輝度−色度座標特性を図29に示す。図29において、横軸は輝度(cd/m)、縦軸は色度座標(x座標、又はy座標)を表す。また、輝度−パワー効率特性を図30に示す。図30において、横軸は輝度(cd/m)、縦軸はパワー効率(lm/W)を表す。また、発光素子3、4における輝度1000cd/m付近のときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、輝度(cd/m)、電流効率(cd/A)、外部量子効率(%)を表12に示す。
また、発光素子3、4に1mAの電流を流した際の発光スペクトルを、図31に示す。図31において、横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。図31および表12に示す通り、1000cd/m付近の輝度の時の発光素子3のCIE色度座標は(x,y)=(0.15,0.22)であり、発光素子4のCIE色度座標は(x,y)=(0.15,0.21)であった。この結果から、発光素子3、4のいずれも、発光中心物質である1,6mMemFLPAPrnに由来する青色発光が得られたことがわかった。
図27、図28に示す発光素子3および発光素子4の結果から、DBT3P−II(略称)に含まれる不純物は、電圧−電流特性、および輝度−電流効率特性に影響を与えないことがわかった。
なお、発光素子3のDBT3P−II(サンプル2)は蒸着の際に脱ガスがあったが、発光素子4のDBT3P−II(サンプル6)では脱ガスはなかった。
次に、発光素子3および発光素子4の信頼性試験を行った。信頼性試験の結果を図32に示す。図32において、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を示し、横軸は素子の駆動時間(h)を示す。信頼性試験は、室温で行い、初期輝度を5000cd/mに設定し、電流密度一定の条件で本実施例の発光素子を駆動した。
図32から、発光素子3が初期輝度の50%を保っていたのは、2時間であり、発光素子4が初期輝度の65%を保っていたのは、170時間であった。この信頼性の結果から、不純物を含むDBT3P−II(略称)を用いて作製された発光素子3は、信頼性が悪く、不純物を含まないDBT3P−II(略称)を用いて作製された発光素子4は、信頼性の高い素子であることがわかった。
以上の結果より、発光素子3の実施例1で分析を行ったサンプル2に含まれる臭素体を、発光素子4の実施例2で分析を行ったサンプル6のように検出限界にすることで、信頼性の高い素子を作製することが可能であることがわかった。
特に、発光層に隣接する層で、ハロゲン化物を検出限界とすることで、大幅に信頼性を向上させることができることがわかった。
(参考例1)
本参考例では、上記実施例1〜7で用いた下記構造式で表される4,4’,4”−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリジベンゾチオフェン(略称:DBT3P−II)の合成例について示す。
[4,4’,4”−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリジベンゾチオフェン(略称:DBT3P−II)の合成法]
100g(0.44mol)の4−ジベンゾチオフェンボロン酸と、46g(0.15mol)の1,3,5−トリブロモベンゼンと、3.03g(10mmol)のトリス(2−メチルフェニル)ホスフィン、449g(20mmol)の酢酸パラジウム(II)、3.10g(22.4mmol)の炭酸カリウムを2000mL三つ口フラスコに加えた。
この混合物へ500mLのトルエンと200mLのエタノールと、273mLの純水を加え、攪拌した。混合物を脱気し、110℃で12時間還流した。室温まで放冷後、反応容器内の液体を分液ロートにて有機層と水槽に分離し、有機層を水にて2回、飽和食塩水にて1回洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、濾過した。濾液を濃縮し、固体9.98gを得た。
得られたDBT3P−IIの固体6.99gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力2.3Pa、アルゴン流量10mL/minの条件で、DBT3P−IIを370℃で加熱して行った。昇華精製後DBT3P−IIの固体を5.57g、回収率79.7%で得た。
また、昇華精製を行ったDBT3P−IIの固体2.99gをトレインサブリメーション法により2回目の昇華精製を行った。昇華精製は、圧力2.0Pa、アルゴン流量10mL/minの条件で、DBT3P−IIを350℃で加熱して行った。昇華精製後DBT3P−IIの固体を2.12g、回収率70.8%で得た。
上記ステップの合成スキームを下記(a−1)に示す。
1100 基板
1101 第1の電極
1102 EL層
1103 第2の電極
1111 正孔注入層
1112 正孔輸送層
1113 発光層
1114 電子輸送層
1115 電子注入層

Claims (6)

  1. 有機ハロゲン化物を経由した発光素子用材料の合成において、
    昇華精製処理前に、超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)により特定されてなる、前記発光素子用材料中に含まれる反応副生成物や、前記発光素子用材料を合成するための原料となる臭素、ヨウ素および塩素のハロゲン化物の含有率が、3%以下であることを特徴とする発光素子用材料の合成方法。
  2. 有機ハロゲン化物を経由した発光素子用材料の合成において、
    昇華精製処理前に、超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)により特定されてなる、前記発光素子用材料中に含まれる反応副生成物や、前記発光素子用材料を合成するための原料となる臭素、ヨウ素および塩素のハロゲン化物の含有率が、2%以下であることを特徴とする発光素子用材料の合成方法。
  3. 請求項1〜2に記載の合成方法により合成された発光素子用材料において、
    前記発光素子用材料のハロゲン化物の含有率が0.1%以下であることを特徴とする発光素子用材料。
  4. 有機ハロゲン化物を経由した4,4’,4”−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリジベンゾチオフェン(略称:DBT3P−II)の合成において、
    昇華精製処理前に、超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析(UPLC/TOF−MS)により特定されてなる、目的物中に含まれる反応副生成物や原料の臭素、ヨウ素および塩素のハロゲン化物の含有率が、3%以下であることを特徴とする合成方法。
  5. 有機ハロゲン化物を経由した4,4’,4”−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリジベンゾチオフェン(略称:DBT3P−II)の合成において、
    昇華精製処理前に、UPLC/TOF−MS分析(超高速液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析)により特定されてなる、前記発光素子用材料中に含まれる反応副生成物や、前記発光素子用材料を合成するための原料となる臭素、ヨウ素および塩素のハロゲン化物の含有率が、2%以下であることを特徴とする合成方法。
  6. 請求項4〜5に記載の合成方法により合成された発光素子用材料において、
    前記発光素子用材料のハロゲン化物の含有率が0.1%以下であることを特徴とする発光素子用材料。
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