JP2013131676A - 圧粉成形体、リアクトル用コア、リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧粉成形体10は、軟磁性の鉄基粒子の外周に絶縁被膜が被覆された被覆軟磁性粒子を複数具える被覆軟磁性鉄基粉末を金型に充填してパンチで加圧成形してなる。圧粉成形体10における金型との摺接面31sの周方向の少なくとも一部に、電気抵抗率が1×100Ω・cm以上の高抵抗領域を具える。そして、圧粉成形体10におけるパンチでの加圧面31pの電気抵抗率が、1×101Ω・cm以上である。
【選択図】図1
Description
本発明の圧粉成形体は、被覆軟磁性鉄基粉末を金型に充填してパンチで加圧成形してなり、その特徴とするところは、圧粉成形体における金型との摺接面の特定の領域の電気抵抗率が高く、かつ圧粉成形体におけるパンチでの加圧面の電気抵抗率が高い点にある。この圧粉成形体を製造するにあたり、圧粉成形体の製造方法は、例えば、粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が1.0質量%以下の被覆軟磁性粉末を用意する原料準備工程を具える製造方法(I)、若しくは粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が1.5質量%以下の被覆軟磁性粉末を用意する原料準備工程を具える製造方法(II)が挙げられる。以下、製造方法(I)、製造方法(II)の順に説明する。
製造方法(I)は、具体的には、上記原料準備工程と、被覆軟磁性鉄基粉末を加圧成形する成形工程とを具える。本例では、本発明圧粉成形体を、成形工程時に特定の成形方法を施すこと、若しくは、成形工程で加圧成形後に特定の表面処理を施すことで製造できる。以下、各工程について順に説明する。
原料準備工程では、圧粉成形体を構成する被覆軟磁性鉄基粉末を用意する。被覆軟磁性鉄基粉末は、軟磁性の鉄基粒子の外周に絶縁被膜が被覆された被覆軟磁性鉄基粒子を複数具える。この工程では、後述する組成からなる軟磁性粒子を製造又は購入するなどして用意し、その軟磁性粒子の外周に後述する組成からなる絶縁被膜を被覆して被覆軟磁性粉末を製造してもよいし、予め製造された被覆軟磁性粉末を購入するなどしてもよい。前者のうち軟磁性粒子を製造する場合、以下に述べる軟磁性粒子の製法、及び絶縁被膜の被覆方法を経て被覆軟磁性粉末を製造することができる。
〈組成〉
軟磁性の鉄基粒子は、鉄を50質量%以上含有するものが好ましく、例えば、純鉄(Fe)が挙げられる。その他、鉄合金、例えば、Fe−Si系合金、Fe−Al系合金、Fe−N系合金、Fe−Ni系合金、Fe−C系合金、Fe−B系合金、Fe−Co系合金、Fe−P系合金、Fe−Ni−Co系合金、及びFe−Al−Si系合金から選択される少なくとも1種からなるものが利用できる。特に、透磁率及び磁束密度の点から、99質量%以上がFeである純鉄が好ましい。
軟磁性鉄基粒子の平均粒径は、圧粉成形体として低損失に寄与するサイズであればよい。つまり、特に限定することなく適宜選択することができるが、例えば、1μm以上100μm以下であれば好ましい。軟磁性鉄基粒子の平均粒径を1μm以上とすることによって、軟磁性粉末の流動性を落とすことがなく、軟磁性粉末を用いて製作された圧粉成形体の保磁力及びヒステリシス損の増加を抑制できる。逆に、軟磁性鉄基粒子の平均粒径を100μm以下とすることによって、1kHz以上の高周波域において発生する渦電流損を効果的に低減できる。より好ましい軟磁性鉄基粒子の平均粒径は、40μm以上75μm以下である。この平均粒径が40μm以上であれば、渦電流損の低減効果が得られると共に、被覆軟磁性鉄基粉末の取り扱いが容易になり、より高い密度の成形体とすることができる。なお、この平均粒径とは、粒径のヒストグラム中、粒径の小さい粒子からの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径をいう。
軟磁性鉄基粒子の形状は、アスペクト比が1.2〜1.8となるようにすると好ましい。このアスペクト比とは、粒子の最大径と最小径との比とする。上記範囲のアスペクト比を有する軟磁性鉄基粒子は、アスペクト比が小さな(1.0に近い)ものに比べて、圧粉成形体にしたときに反磁界係数を大きくでき、磁気特性に優れた圧粉成形体とすることができる。その上、圧粉成形体の強度を向上させることができる。
軟磁性鉄基粒子は、水アトマイズ法やガスアトマイズ法などのアトマイズ法で製造されたものが好ましい。水アトマイズ法で製造された軟磁性鉄基粒子は、粒子表面に凹凸が多いため、その凹凸の噛合により高強度の成形体を得やすい。一方、ガスアトマイズ法で製造された軟磁性鉄基粒子は、その粒子形状がほぼ球形のため、絶縁被膜を突き破るような凹凸が少なくて好ましい。軟磁性鉄基粒子の表面には、自然酸化膜が形成されていても良い。
絶縁被膜は、隣接する軟磁性鉄基粒子同士を絶縁するために、軟磁性鉄基粒子の外周に被覆される。軟磁性鉄基粒子を絶縁被膜で覆うことによって、軟磁性鉄基粒子同士の接触を抑制し、成形体の比透磁率を低く抑えることができる。その上、絶縁被膜の存在により、軟磁性鉄基粒子間に渦電流が流れるのを抑制して、圧粉成形体の渦電流損を低減できる。
絶縁被膜は、軟磁性鉄基粒子同士の絶縁を確保できる程度の絶縁性に優れるものであれば特に限定されない。例えば、絶縁被膜の材料は、リン酸塩、チタン酸塩、シリコーン樹脂、リン酸塩とシリコーン樹脂の2層からなるものなどが挙げられる。
絶縁被膜の平均厚さは、隣接する軟磁性鉄基粒子同士を絶縁することができる程度の厚みであればよい。例えば、10nm以上1μm以下であることが好ましい。絶縁被膜の厚みを10nm以上とすることによって、軟磁性鉄基粒子同士の接触の抑制や渦電流によるエネルギー損失を効果的に抑制することができる。一方、絶縁被膜の厚みを1μm以下とすることによって、被覆軟磁性鉄基粒子に占める絶縁被膜の割合が大きくなりすぎず、被覆軟磁性鉄基粒子の磁束密度が著しく低下することを防止できる。
軟磁性鉄基粒子に絶縁被膜を被覆する方法は、適宜選択するとよい。例えば、加水分解・縮重合反応などにより被膜することが挙げられる。軟磁性鉄基粒子と絶縁被膜を構成する原料とを配合して、その配合体を、加熱した状態で混合する。そうすることで、軟磁性鉄基粒子を被膜原料に十分に分散でき、個々の軟磁性鉄基粒子の外側に絶縁被膜を被覆することができる。
成形工程では、上記原料準備工程により用意された複数の被覆軟磁性鉄基粒子からなる被覆軟磁性鉄基粉末を加圧成形して圧粉成形体を作製する。
圧粉成形体10の摺接面31sに、上記成形工程で、金型との摺接により圧粉成形体10の表面に複数の露出した鉄基粒子の構成材料同士が展延してなる導通部が形成された場合、その導通部を分断または除去するための表面処理を施す。そうすれば、摺接面31sに電気抵抗率が1×100Ω・cm以上の高抵抗領域を形成できる。
上記表面処理としてレーザを照射する場合、レーザの種類は、圧粉成形体表面の導通部を分断できるレーザであればよい。具体的には、レーザの媒体が固体である固体レーザが挙げられ、例えばYAGレーザ、YVO4レーザ、及びファイバーレーザの中から選択される1種のレーザであることが好ましい。そうすることで、上記導通部を分断することができる。これらレーザの各々には、各レーザの媒体に種々の材料がドープされた公知のレーザも含む。つまり、上記YAGレーザは、その媒体にNd、Erなどをドープしてもよいし、上記YVO4レーザは、その媒体にNdなどをドープしてもよいし、上記ファイバーレーザは、その媒体であるファイバーのコアに希土類元素などがドープされており、例えば、Ybなどをドープすることが挙げられる。
上記表面処理として酸処理を行う場合、処理液の種類は、圧粉成形体表面の導通部を除去できる程度の処理液であればよい。例えば、pH1〜4程度の酸性の処理液であることが好ましく、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸などが挙げられ、特に濃塩酸を使用することが好ましい。
上記表面処理として電解処理を行う場合、圧粉成形体に接触させる電解液の種類としては、圧粉成形体表面を電解処理して当該表面の導通部を除去するのに利用することができる処理液であればよい。例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化ナトリウム、などの溶液が好ましい。そうすることで、上記導通部を除去できる。
上記表面処理としてウォータージェットを噴射する場合、その射出圧力は10MPa〜150MPaで、流量は0.1L/min〜10L/minであることが好ましい。そうすることで、上記導通部を除去し易い上に、導通部以外の箇所の被覆軟磁性鉄基粒子の絶縁被膜が損傷し難い。
〈熱処理工程〉
上記圧粉成形体には、成形工程で軟磁性鉄基粒子に導入された歪や転移などを除去するために成形体を加熱する熱処理を施してもよい。
製造方法(II)では、原料準備工程で粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が1.5質量%以下の被覆軟磁性粉末を用意する場合を説明する。製造方法(II)は、具体的には、上記原料準備工程と、上述の成形工程と、上述の表面処理工程とを具える。本例では、製造方法(I)と、用意する被覆軟磁性粉末における粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が異なることに加えて、加圧面にも表面処理を施す点が異なる。以下、製造方法(I)との相違点を中心に説明する。
粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が1.5質量%以下の被覆軟磁性粉末を用いて加圧成形した圧粉成形体10(図1)に表面処理を施す。ここでは、圧粉成形体10の加圧面31pを表面処理する。
本発明の圧粉成形体10は、被覆軟磁性鉄基粉末を金型に充填してパンチで加圧成形してなり、パンチでの加圧面31pの電気抵抗率が高い。例えば、図1に示すように直方体状の場合、両端面がパンチでの加圧面31pで、それ以外の4つ側面がダイとの摺接面31sである。圧粉成形体10におけるダイとの摺接面31pに電気抵抗率が、1×100Ω・cm以上の高抵抗領域を具える。そして、加圧面31pの電気抵抗率が、1×101Ω・cm以上である。抵抗は、四探針法を用いて測定する。
上述した圧粉成形体10によれば、パンチでの加圧面31pの電気抵抗率が1×101Ω・cm以上と高抵抗なので、リアクトル用コアに用いてリアクトルを組み立てた際に加圧面31pを磁束方向と直交するように配置すると、加圧面31pの表面に渦電流を流れ難くできる。その上、磁束方向を軸とする周方向の渦電流が摺接面31sから加圧面31pに迂回し難くできる。そして、摺接面31sに電気抵抗率が1×100Ω・cm以上の高抵抗領域を具えるので、磁束方向を軸とする周方向の渦電流をその高抵抗領域で遮断できる。従って、低損失なリアクトルを構築できる。一方、加圧面31pを磁束方向と平行するように配置すると、磁束方向を軸とする周方向の渦電流を加圧面31pで流れ難くすることができる。そのとき、磁束方向と直交する摺接面31soに上記高抵抗領域を具える場合は、当該摺接面31soの表面に流れる渦電流を高抵抗領域で遮断できる。また、磁束方向と平行な摺接面31spに上記高抵抗領域を具える場合は、磁束方向を軸とする周方向の渦電流を高抵抗領域で遮断できる。従って、渦電流損を小さくでき、低損失なリアクトルを構築できる。
実施形態2では、上述の圧粉成形体をリアクトル用コアに用いる場合を説明する。ここでは、リアクトル用コアは、パンチでの加圧面の電気抵抗率が1×101Ω・cm以上であることに加えて、ダイとの摺接面の少なくとも一部において、加圧方向全長に亘って電気抵抗率が1×100Ω・cm以上である高抵抗領域を具える圧粉成形体を具える。その説明をするにあたり、図2,3を参照して、そのリアクトル用コアを具えるリアクトルを例に説明する。
リアクトル1は、コイル2と、コイル2を励磁したときに閉磁路を形成するリアクトル用コア3とを具える。リアクトル用コア3は、コイル素子2a,2b内にそれぞれ挿入配置される一対の柱状の内側コア部31と、コイル2から露出され、一対の内側コア部31を連結して環状体を構成する露出コア部32とを具える。リアクトル用コア3は、主として、圧粉成形体からなる複数のコア片により構成されている。ここでは、リアクトル用コア3のうち内側コア部31を構成するコア片が本発明圧粉成形体10から構成される。内側コア部31を構成するコア片以外の構成は、公知のリアクトルの構成を利用することができ、図2,3に示す構成は一例である。もちろん、露出コア部32を本発明圧粉成形体から構成してもよい。
コイル2は、接合部の無い1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子2a,2bと、両コイル素子2a,2bを連結する連結部2rとを具える。各コイル素子2a,2bは、互いに同一の巻数の中空の筒状体であり、各軸方向が平行するように並列(横並び)され、コイル2の他端側(図2では右側)において巻線2wの一部がU字状に屈曲されて連結部2rが形成されている。この構成により、両コイル素子2a,2bの巻回方向は同一となっている。
リアクトル用コア3の説明は、図3を参照して行う。リアクトル用コア3は、各コイル素子2a,2b(図2)に覆われる一対の柱状の内側コア部31と、コイル2(図2)が配置されず、コイル2から露出される一対の露出コア部32とを有する。各内側コア部31はそれぞれ、各コイル素子2a,2bの内周形状に沿った外形を有する柱状体(ここでは、実質的に直方体)であり、各露出コア部32はそれぞれ、一対の台形状面を有する柱状体である。リアクトル用コア3は、離間して配置される内側コア部31を挟むように露出コア部32が配置され、各内側コア部31の端面と露出コア部32の内端面とを接触させて環状に形成される。
その他、コイル2とリアクトル用コア3との間の絶縁性を高めるために、絶縁性樹脂から構成されるインシュレータ(図示略)を具えたり、コイル2とリアクトル用コア3との組合体の外周を絶縁性樹脂で覆った一体化物としたり、組合体を金属材料などからなるケースに収納したり、ケースに収納した組合体を封止樹脂により覆ったりすることができる。
このリアクトル1は、内側コア部31の各コア片31mを本発明の圧粉成形体で構成することで、低損失である。上述のように圧粉成形体10(コア片31m)の加圧面31pを磁束方向と直交するように配置することで、その磁束方向と直交する面が、電気抵抗率が1×101Ω・cm以上である圧粉成形体10(コア片31m)の加圧面31pとなるため、この加圧面31pの表面に渦電流が流れ難くすることができる。その上、磁束方向を軸とする周方向に流れる渦電流が摺接面31sから加圧面31pに迂回し難い。この場合、磁束方向全長に亘って電気抵抗率が1×100Ω・cm以上である高抵抗領域を具える圧粉成形体10(コア片31m)の摺接面31sが、磁束方向と平行な面となるため、磁束方向を軸とする周方向に流れる渦電流を遮断することができる。また、圧粉成形体10(コア片31m)の加圧面31pを磁束方向と平行となるように配置してもよい。その場合は、磁束方向の周方向に渦電流を流れ難くすることができる。特に、摺接面31sのうち磁束方向と平行する面に高抵抗領域を具えれば、一層効果的である。また、摺接面31sのうち磁束方向と直交する面に高抵抗領域を具える場合は、その直交する面に流れる渦電流を上記高抵抗領域で遮断することができる。つまり、いずれの場合でも、渦電流損を低減できるので、低損失なリアクトル1を構築できる。
〔コンバータと電力変換装置〕
上述のリアクトルは、例えば、車両などに載置されるコンバータの構成部品や、このコンバータを具える電力変換装置の構成部品に利用することができる。
試験例として、圧粉成形体を作製し、得られた圧粉成形体を用いて圧粉磁心を作製し、この圧粉磁心を具える磁気部品の損失を調べた。
(原料準備工程)
圧粉成形体の構成材料として、鉄粉からなる軟磁性鉄基粒子の表面全体を実質的に覆うリン酸鉄からなる絶縁被膜を被覆した被覆軟磁性鉄基粉末に、ステアリン酸亜鉛からなる潤滑剤を含有した混合材料を用意した。上記鉄粉は、水アトマイズ法により作製され、純度が99.8%以上であった。鉄粉の平均粒径、及び含有される150μm以上の粒子の割合は、篩にかけて分級することで適宜調節可能である。各試料における軟磁性鉄基粒子の平均粒径、粒径が150μm以上の軟磁性鉄基粒子の含有量、絶縁被膜の平均膜厚、及び潤滑剤の含有量をまとめて表1に示す。
原料準備工程で準備した混合材料を所定の形状の金型内に注入し、圧力をかけて加圧成形して圧粉成形体を作製する。その際、試料1〜7、9〜13は、外部潤滑剤を使用せず金型を加熱せずに加圧成形した。試料8は、外部潤滑剤を使用して金型を加熱して加圧成形した。ここでは、730MPaの圧力をかけて加圧成形し、直方体状の圧粉成形体を複数作製した。
成形工程で作製した圧粉成形体に熱処理を施す。その際、試料1〜6、8〜13は、窒素雰囲気下で400℃×30分、熱処理し、試料7は、大気雰囲気下で530℃×30分、熱処理した。
熱処理工程を経た複数の直方体状の圧粉成形体を環状に組み合わせて、鉄損の評価用の試験を作製するにあたり、各試料のうち、試料No.2,4,6,10,12の表面の少なくとも一部に表面処理を施し、試料No.13は、表面全面(加圧面+摺接面)に表面処理を施した。ここで試料No.2,4,6,10,12は、圧粉成形体の表面のうち、後述する磁気特性の測定試験でコイルが配置される圧粉成形体の表面の一部に対して表面処理を施した。その際、ダイとの摺接面で、試料に生じる磁束方向と平行となる面(平行面)の磁束方向全長に亘る領域を表面処理した。これら試料に施す表面処理の種類とその処理領域を表2に示し、各処理条件を以下に示す。この処理領域は、磁束方向を軸とした圧粉成形体の周方向の全長lに対する表面処理の処理幅wの比率w/lを言う。また、コイルが配置されない圧粉成形体にも表面処理を施してもよい。その他の試料(試料No.1、3,5,7〜9,11)には表面処理を施していない。
種類:ファイバーレーザ
波長:1064nm
エネルギー密度U:123.6W/mm2
ビーム径に対する照射間隔の比率:0.07
パルス幅:120ns
ビーム径に対する走査間隔の比率:0.05
重ね回数:40回
(酸処理条件:試料No.13)
処理液:pH1の濃塩酸
液温度:26℃
処理時間:20分
処理液の攪拌の有無:有
[電気抵抗率]
各試料のパンチでの加圧面と、ダイとの摺接面とにおける電気抵抗率(Ω・cm)を、三菱化学株式会社製のロレスターGP(PSPプローブ:電極間隔1.5mm)を用いて、四探針法により測定した。その際、表面処理を施した試料2,4,6,10,12,13は、上記摺接面のうち表面処理を施した領域の電気抵抗率を測定した。
各試料をそれぞれ環状に組み合わせて試験用磁心を作製した。試験用磁心に巻線で構成したコイルを配して磁気特性を測定するための測定部材(磁気部品に相当)を作製し、以下の磁気特性値を評価した。
各測定部材について、AC−BHカーブトレーサを用いて、励起磁束密度Bm:1kG(=0.1T)、測定周波数:5kHzにおける試料のヒステリシス損Wh(W/kg)及び渦電流損We(W/kg)を求め、損失(W/kg)を算出した。
試料1〜6、8〜10、13の加圧面の電気抵抗率は1×101Ω・cm以上で、試料7,11,12の同電気抵抗率は1×101Ω・cm未満であった。また、試料4,6,8,10,12,13の摺接面の電気抵抗率は1×100Ω・cm以上で、試料1〜3,5,7,9,11の同電気抵抗率は1×100Ω・cm未満であった。特に、試料10は、試料4,6,8,12,13よりも摺接面の電気抵抗率が高かった。そして、試料4,6,8,10,13は、試料1〜3,5,7,9,11,12に比べて低損失であった。
2 コイル 2w 巻線 2a、2b コイル素子 2r 連結部
3 リアクトル用コア
31 内側コア部 31m コア片 31g ギャップ材 32 露出コア部
31p 加圧面 31s、31so、31sp 摺接面
1100 電力変換装置
1110 コンバータ 1111 スイッチング素子
1112 駆動回路 L リアクトル 1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ 1220 モータ 1230 サブバッテリ
1240 補機類 1250 車輪
Claims (7)
- 軟磁性の鉄基粒子の外周に絶縁被膜が被覆された被覆軟磁性鉄基粒子を複数具える被覆軟磁性鉄基粉末を金型に充填してパンチで加圧成形してなる圧粉成形体であって、
前記圧粉成形体における前記金型との摺接面の少なくとも一部に、電気抵抗率が1×100Ω・cm以上の高抵抗領域を具え、
前記圧粉成形体におけるパンチでの加圧面の電気抵抗率が、1×101Ω・cm以上であることを特徴とする圧粉成形体。 - 前記鉄基粒子が、純鉄であることを特徴とする請求項1に記載の圧粉成形体。
- 前記圧粉成形体における粒径が150μm以上の鉄基粒子数の割合が、1.5質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧粉成形体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧粉成形体を具えることを特徴とするリアクトル用コア。
- 巻線を巻回してなるコイルと、このコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを具えるリアクトルであって、
前記磁性コアの少なくとも一部が請求項4に記載のリアクトル用コアであることを特徴とするリアクトル。 - スイッチング素子と、前記スイッチング素子の動作を制御する駆動回路と、スイッチング動作を平滑にするリアクトルとを具え、前記スイッチング素子の動作により、入力電圧を変換するコンバータであって、
前記リアクトルは、請求項5に記載のリアクトルであることを特徴とするコンバータ。 - 入力電圧を変換するコンバータと、前記コンバータに接続されて、直流と交流とを相互に変換するインバータとを具え、このインバータで変換された電力により負荷を駆動するための電力変換装置であって、
前記コンバータは、請求項6に記載のコンバータであることを特徴とする電力変換装置。
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