JP2013131676A - 圧粉成形体、リアクトル用コア、リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 - Google Patents

圧粉成形体、リアクトル用コア、リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低損失な圧粉成形体、及びこの圧粉成形体を具えるリアクトル用コアを提供する。
【解決手段】圧粉成形体10は、軟磁性の鉄基粒子の外周に絶縁被膜が被覆された被覆軟磁性粒子を複数具える被覆軟磁性鉄基粉末を金型に充填してパンチで加圧成形してなる。圧粉成形体10における金型との摺接面31sの周方向の少なくとも一部に、電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を具える。そして、圧粉成形体10におけるパンチでの加圧面31pの電気抵抗率が、1×10Ω・cm以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、被覆軟磁性粉末を加圧成形してなる圧粉成形体、その圧粉成形体を具えるリアクトル用コア、そのリアクトル用コアを具えるリアクトル、そのリアクトルを具えるコンバータ、およびそのコンバータを具える電力変換装置に関するものである。特に、低損失な圧粉成形体に関するものである。
ハイブリッド自動車などは、モータへの電力供給系統に昇圧回路を備えている。この昇圧回路の一部品として、リアクトルが利用されている。リアクトルは、コアにコイルを巻回した構成である。コアを交流磁場で使用した場合、コアに鉄損と呼ばれるエネルギー損失が生じる。鉄損は、概ね、ヒステリシス損と渦電流損との和で表され、特に、高周波での使用において顕著に増加する。
リアクトルのコアにおける鉄損を低減するために、圧粉成形体でできたコアを用いることがある。圧粉成形体は、軟磁性粒子の表面に絶縁被膜を形成した被覆軟磁性粒子からなる被覆軟磁性粉末を加圧して成形され、軟磁性粒子同士が絶縁被膜により絶縁されているので、特に、渦電流損を低減する効果が高い。
しかし、圧粉成形体は、通常、相対的に移動可能な柱状の第一パンチと筒状のダイとでつくられるキャビティに被覆軟磁性粉末を充填し、第一パンチと柱状の第二パンチとによりキャビティ内の被覆軟磁性粉末を加圧成形して作製されるため、この加圧成形時の圧力や、成形体の脱型時におけるダイの内周面との摺接により被覆軟磁性粒子の絶縁被膜が損傷するおそれがある。絶縁被膜が損傷すると、軟磁性粒子が露出し展延することがあり、その結果、圧粉成形体における軟磁性粒子が導通して、略膜状の導通部を形成してしまい、渦電流損が増大する虞がある。
そこで、上記渦電流損を低減するために、例えば、特許文献1には、被覆軟磁性粉末(軟磁性粉末)を加圧して成形した成形体の表面を、濃塩酸で表面処理することが記載されている。具体的には、成形体を濃塩酸に浸漬して、成形体の表面における上記導通部を除去して圧粉成形体としている。
特開2006−229203号公報
上述のように圧粉成形体の表面を表面処理することで、一定の低損失化を図ることができる。このように、圧粉成形体の表面を表面処理してしまうと、上記導通部を除去することができるが、一方で、絶縁被膜が損傷していない被覆軟磁性粒子の絶縁被膜をも損傷させる可能性もある。その結果、損失低減効果が小さくなる虞がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、低損失な圧粉成形体を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記本発明の圧粉成形体を具えるリアクトル用コアを提供することにある。
本発明の別の目的は、上記リアクトル用コアを具えるリアクトルを提供することにある。
本発明の更に異なる目的は、上記リアクトルを具えるコンバータ、このコンバータを具える電力変換装置を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、圧粉成形体におけるダイ内周面との摺接による導通部の領域について着目した。その結果、圧粉成形体のパンチでの加圧面の電気抵抗率が特定の大きさを下回った場合、圧粉成形体の導通部を除去しても渦電流損を効果的に低減できず、低損失な圧粉成形体とすることができないとの知見を得た。上記知見に基づき、本発明では圧粉成形体における金型との摺接面の少なくとも一部の電気抵抗率、及び加圧面の電気抵抗率をそれぞれ特定の大きさ以上とすることを提案する。
本発明の圧粉成形体は、軟磁性の鉄基粒子の外周に絶縁被膜が被覆された被覆軟磁性鉄基粒子を複数具えてなる被覆軟磁性鉄基粉末を金型に充填してパンチで加圧してなり、圧粉成形体における金型との摺接面の少なくとも一部に、電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を具える。そして、この圧粉成形体におけるパンチでの加圧面の電気抵抗率が、1×10Ω・cm以上である。
本発明の圧粉成形体によれば、圧粉成形体の摺接面の少なくとも一部に高抵抗領域が形成されていることで、加圧面に直交する軸を中心とする周方向に流れる渦電流をその高抵抗領域で遮断することができ、渦電流損を低減することができる。加えて、圧粉成形体の上記加圧面の電気抵抗率が上記範囲であることで、効果的に渦電流損の少ない低損失な圧粉成形体とすることができる。圧粉成形体の金型との摺接面において、加圧面に直交する軸を中心とする周方向に渦電流が流れる場合、圧粉成形体の上記加圧面の電気抵抗率が低いと、上記高抵抗領域で渦電流を遮断しつつも、その渦電流が迂回して上記加圧面に流れる場合があると考えられる。しかし、圧粉成形体の上記加圧面が高抵抗であることで、渦電流が上記加圧面に迂回することを抑制できる。従って、上記高抵抗領域で加圧面に直交する軸を中心とする周方向に流れる渦電流を遮断でき、かつ渦電流の加圧面への迂回をも抑制できるので、渦電流損を低減でき、低損失な圧粉成形体とすることができる。
本発明の圧粉成形体の一形態として、上記鉄基粒子が、純鉄であることが挙げられる。
上記の構成によれば、鉄基粒子が純鉄であっても、損失低減に効果的な圧粉成形体とすることができる。純鉄は、軟らかいため加圧成形すると変形し易く、その変形に伴って被覆軟磁性鉄基粉末の絶縁被膜が損傷することがある。その結果、上記加圧面の電気抵抗率が下がり、渦電流が流れることで損失が増加することがある。しかし、圧粉成形体の上記摺接面に上記高抵抗領域を具え、その上、上記加圧面の電気抵抗率を上記範囲とすることで、当該加圧面に渦電流が発生し難く、鉄基粒子が純鉄であっても、低損失な圧粉成形体とすることができる。
本発明の圧粉成形体の一形態として、粒径が150μm以上の鉄基粒子数の割合が、1.5質量%以下であることが挙げられる。
上記の構成によれば、粒径が150μm以上の鉄基粒子数の割合を上記の範囲とすることで、加圧成形の際に金型に充填された粉末の表面側に突出してパンチの加圧面に接触し易い粒径の大きな鉄基粒子の含有量が少ないため、絶縁被膜が損傷し難い。そのため、上記加圧面の電気抵抗率の高い圧粉成形体とすることができる。
本発明のリアクトル用コアは、本発明の圧粉成形体を具える。
本発明圧粉成形体をリアクトル用コアに用いた場合、このコアを具えるリアクトルは、渦電流損が小さく低損失である。リアクトル用コアの一部、または全てに本発明圧粉成形体を用いることができる。リアクトルに具える磁心のうち、少なくともコイルが配置される箇所を本発明圧粉成形体で構成すると、渦電流損を効果的に低減できる。
本発明のリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、このコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを具え、磁性コアが本発明リアクトル用コアである。
本発明リアクトルは、損失低減効果に優れる圧粉成形体を具えることで、低損失なリアクトルとすることができる。
本発明リアクトルは、コンバータの構成部品に好適に利用することができる。本発明のコンバータは、スイッチング素子と、上記スイッチング素子の動作を制御する駆動回路と、スイッチング動作を平滑にするリアクトルとを具え、上記スイッチング素子の動作により、入力電圧を変換するものであり、上記リアクトルが本発明リアクトルである。この本発明コンバータは、電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。本発明の電力変換装置は、入力電圧を変換するコンバータと、上記コンバータに接続されて、直流と交流とを相互に変換するインバータとを具え、このインバータで変換された電力により負荷を駆動するための電力変換装置であって、上記コンバータが本発明コンバータである。
上記の構成によれば、磁性コアが低損失な圧粉成形体からなる本発明リアクトルを具えることで、低損失であり、車載部品などに好適に利用することができる。
本発明の圧粉成形体は、渦電流損を低減できて、低損失である。
本発明のリアクトル用コアは、低損失なリアクトルを構築できる。
本発明のリアクトルは、低損失である。
実施形態1に係る圧粉成形体の概略を示す斜視図である。 実施形態2に係るリアクトルの概略を示す斜視図である。 実施形態2に係るリアクトルに具わるリアクトル用コアを示す分解斜視図である。 ハイブリッド自動車の電源系統を模式的に示す概略構成図である。 本発明コンバータを具える本発明電力変換装置の一例を示す概略回路図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。まず、本発明の圧粉成形体を、その製造方法に従って説明し、その後、その圧粉成形体を具えるリアクトルの一例を説明する。
《実施形態1》
本発明の圧粉成形体は、被覆軟磁性鉄基粉末を金型に充填してパンチで加圧成形してなり、その特徴とするところは、圧粉成形体における金型との摺接面の特定の領域の電気抵抗率が高く、かつ圧粉成形体におけるパンチでの加圧面の電気抵抗率が高い点にある。この圧粉成形体を製造するにあたり、圧粉成形体の製造方法は、例えば、粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が1.0質量%以下の被覆軟磁性粉末を用意する原料準備工程を具える製造方法(I)、若しくは粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が1.5質量%以下の被覆軟磁性粉末を用意する原料準備工程を具える製造方法(II)が挙げられる。以下、製造方法(I)、製造方法(II)の順に説明する。
〔圧粉成形体の製造方法(I)〕
製造方法(I)は、具体的には、上記原料準備工程と、被覆軟磁性鉄基粉末を加圧成形する成形工程とを具える。本例では、本発明圧粉成形体を、成形工程時に特定の成形方法を施すこと、若しくは、成形工程で加圧成形後に特定の表面処理を施すことで製造できる。以下、各工程について順に説明する。
[原料準備工程]
原料準備工程では、圧粉成形体を構成する被覆軟磁性鉄基粉末を用意する。被覆軟磁性鉄基粉末は、軟磁性の鉄基粒子の外周に絶縁被膜が被覆された被覆軟磁性鉄基粒子を複数具える。この工程では、後述する組成からなる軟磁性粒子を製造又は購入するなどして用意し、その軟磁性粒子の外周に後述する組成からなる絶縁被膜を被覆して被覆軟磁性粉末を製造してもよいし、予め製造された被覆軟磁性粉末を購入するなどしてもよい。前者のうち軟磁性粒子を製造する場合、以下に述べる軟磁性粒子の製法、及び絶縁被膜の被覆方法を経て被覆軟磁性粉末を製造することができる。
(軟磁性鉄基粒子)
〈組成〉
軟磁性の鉄基粒子は、鉄を50質量%以上含有するものが好ましく、例えば、純鉄(Fe)が挙げられる。その他、鉄合金、例えば、Fe−Si系合金、Fe−Al系合金、Fe−N系合金、Fe−Ni系合金、Fe−C系合金、Fe−B系合金、Fe−Co系合金、Fe−P系合金、Fe−Ni−Co系合金、及びFe−Al−Si系合金から選択される少なくとも1種からなるものが利用できる。特に、透磁率及び磁束密度の点から、99質量%以上がFeである純鉄が好ましい。
〈粒径〉
軟磁性鉄基粒子の平均粒径は、圧粉成形体として低損失に寄与するサイズであればよい。つまり、特に限定することなく適宜選択することができるが、例えば、1μm以上100μm以下であれば好ましい。軟磁性鉄基粒子の平均粒径を1μm以上とすることによって、軟磁性粉末の流動性を落とすことがなく、軟磁性粉末を用いて製作された圧粉成形体の保磁力及びヒステリシス損の増加を抑制できる。逆に、軟磁性鉄基粒子の平均粒径を100μm以下とすることによって、1kHz以上の高周波域において発生する渦電流損を効果的に低減できる。より好ましい軟磁性鉄基粒子の平均粒径は、40μm以上75μm以下である。この平均粒径が40μm以上であれば、渦電流損の低減効果が得られると共に、被覆軟磁性鉄基粉末の取り扱いが容易になり、より高い密度の成形体とすることができる。なお、この平均粒径とは、粒径のヒストグラム中、粒径の小さい粒子からの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径をいう。
この平均粒径の範囲内において、粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量は1.0質量%以下であることが挙げられる。粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量を1.0質量%以下とすることで、金型に充填された粉末表面に突出してパンチの加圧面に接触し易い粒径の大きな鉄基粒子の割合が少ないため、パンチに強く圧接されて絶縁被膜が損傷することを抑制できる。また、粒径の大きい鉄基粒子は、小さい鉄基粒子に比べて変形する絶対量が大きく、加圧により絶縁被膜が損傷し易いが、粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量を1.0質量%以下とすることで、パンチでの加圧により粒子の形状が変形して絶縁被膜を損傷させ難くすることができる。そのため、成形された圧粉成形体の表面、特にパンチでの加圧面を電気抵抗率の高い面、具体的には、電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の面とすることができる。特に、鉄基粒子が純鉄の場合は、合金系の鉄基粒子に比べて軟質で変形し易いため、粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量を低減することで、変形に伴う絶縁被膜の損傷を抑制するのに効果的である。また、粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量を1.0質量%以下、特に0.5質量%以下、更には0.1質量%以下と少なくするほど、圧粉成形体におけるダイとの摺接面に後述する表面処理を施す場合、表面処理による上記摺接面の電気抵抗率の増加に効果的である。
〈形状〉
軟磁性鉄基粒子の形状は、アスペクト比が1.2〜1.8となるようにすると好ましい。このアスペクト比とは、粒子の最大径と最小径との比とする。上記範囲のアスペクト比を有する軟磁性鉄基粒子は、アスペクト比が小さな(1.0に近い)ものに比べて、圧粉成形体にしたときに反磁界係数を大きくでき、磁気特性に優れた圧粉成形体とすることができる。その上、圧粉成形体の強度を向上させることができる。
〈製法〉
軟磁性鉄基粒子は、水アトマイズ法やガスアトマイズ法などのアトマイズ法で製造されたものが好ましい。水アトマイズ法で製造された軟磁性鉄基粒子は、粒子表面に凹凸が多いため、その凹凸の噛合により高強度の成形体を得やすい。一方、ガスアトマイズ法で製造された軟磁性鉄基粒子は、その粒子形状がほぼ球形のため、絶縁被膜を突き破るような凹凸が少なくて好ましい。軟磁性鉄基粒子の表面には、自然酸化膜が形成されていても良い。
(絶縁被膜)
絶縁被膜は、隣接する軟磁性鉄基粒子同士を絶縁するために、軟磁性鉄基粒子の外周に被覆される。軟磁性鉄基粒子を絶縁被膜で覆うことによって、軟磁性鉄基粒子同士の接触を抑制し、成形体の比透磁率を低く抑えることができる。その上、絶縁被膜の存在により、軟磁性鉄基粒子間に渦電流が流れるのを抑制して、圧粉成形体の渦電流損を低減できる。
〈組成〉
絶縁被膜は、軟磁性鉄基粒子同士の絶縁を確保できる程度の絶縁性に優れるものであれば特に限定されない。例えば、絶縁被膜の材料は、リン酸塩、チタン酸塩、シリコーン樹脂、リン酸塩とシリコーン樹脂の2層からなるものなどが挙げられる。
特に、リン酸塩からなる絶縁被膜は変形性に優れるので、軟磁性材料を加圧して圧粉成形体を作製する際に軟磁性鉄基粒子が変形しても、この変形に追従して変形することができる。また、リン酸塩被膜は鉄系の軟磁性鉄基粒子に対する密着性が高く、軟磁性鉄基粒子表面から脱落し難い。リン酸塩としては、リン酸鉄やリン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウムなどのリン酸金属塩化合物を利用することができる。
シリコーン樹脂からなる絶縁被膜の場合は、耐熱性に優れるので、後述する熱処理工程で分解し難く、圧粉成形体の完成までの間、軟磁性鉄基粒子同士の絶縁を良好に維持することができる。
絶縁被膜が上記リン酸塩とシリコーン樹脂の2層構造からなる場合、リン酸塩を上記軟磁性鉄基粒子側に、シリコーン樹脂をリン酸塩の直上に被覆することが好ましい。リン酸塩の直上にシリコーン樹脂を被膜しているので、上述したリン酸塩及びシリコーン樹脂の両方の特性を具えることができる。
〈膜厚〉
絶縁被膜の平均厚さは、隣接する軟磁性鉄基粒子同士を絶縁することができる程度の厚みであればよい。例えば、10nm以上1μm以下であることが好ましい。絶縁被膜の厚みを10nm以上とすることによって、軟磁性鉄基粒子同士の接触の抑制や渦電流によるエネルギー損失を効果的に抑制することができる。一方、絶縁被膜の厚みを1μm以下とすることによって、被覆軟磁性鉄基粒子に占める絶縁被膜の割合が大きくなりすぎず、被覆軟磁性鉄基粒子の磁束密度が著しく低下することを防止できる。
上記絶縁被膜の厚さは、以下のようにして調べることができる。まず、組成分析(TEM−EDX:transmission electron microscope energy dispersive X−ray spectroscopy)によって得られる膜組成と、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS:inductively coupled plasma−mass spectrometry)によって得られる元素量とを鑑みて相当厚さを導出する。そして、TEM写真により直接、被膜を観察し、先に導出された相当厚さのオーダーが適正な値であることを確認して決定される平均的な厚さとする。
〈被覆方法〉
軟磁性鉄基粒子に絶縁被膜を被覆する方法は、適宜選択するとよい。例えば、加水分解・縮重合反応などにより被膜することが挙げられる。軟磁性鉄基粒子と絶縁被膜を構成する原料とを配合して、その配合体を、加熱した状態で混合する。そうすることで、軟磁性鉄基粒子を被膜原料に十分に分散でき、個々の軟磁性鉄基粒子の外側に絶縁被膜を被覆することができる。
上記加熱温度及び混合時間は適宜選択するとよい。加熱温度及び混合時間を選択することで、軟磁性鉄基粒子をより十分に分散させることができ、個々の粒子に絶縁被膜を被覆することが容易となる。
[成形工程]
成形工程では、上記原料準備工程により用意された複数の被覆軟磁性鉄基粒子からなる被覆軟磁性鉄基粉末を加圧成形して圧粉成形体を作製する。
成形工程では、代表的には、所定の形状のパンチとダイからなる成形金型内に被覆軟磁性鉄基粉末を注入し、加圧して押し固める。パンチとダイを使用する際、加圧により金型に成形体が焼き付くことや、被覆軟磁性鉄基粉末の絶縁被膜が破壊されることがないように被覆軟磁性鉄基粉末を加圧成形する。その手段として、外部潤滑成形方法、及び内部潤滑成形方法の少なくとも一方の方法が挙げられる。
外部潤滑成形方法は、パンチとダイの少なくとも一方の被覆軟磁性鉄基粉末と接触する箇所(内壁)に潤滑剤を塗布して被覆軟磁性鉄基粉末を加圧する。外部潤滑成形方法の場合、潤滑剤を上記内壁に塗布するので、被覆軟磁性鉄基粉末との摩擦を低減すると共に、高密度な圧粉成形体を成形することができる。ここでは、外部潤滑成形方法により圧粉成形体を作製する。それにより、圧粉成形体におけるダイとの摺接面の電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を形成することができる。一方、内部潤滑成形方法は、被覆軟磁性鉄基粉末に予め潤滑剤を混合させて混合物を作製しておき、その混合物を金型で加圧する。内部潤滑成形方法の場合、被覆軟磁性鉄基粉末の表面に付着した潤滑剤が被覆軟磁性鉄基粉末における粒子同士の摩擦を低減するため、潤滑剤の量が多いほど被覆軟磁性鉄基粒子の絶縁被膜が破れることを抑制することができる。但し、潤滑剤の量が多すぎると圧粉成形体の磁束密度が低下する。そのため潤滑剤の量は、0.3質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。内部潤滑成形方法により圧粉成形体を作製する場合、金型との摺接により圧粉成形体の表面に複数の露出した鉄基粒子の構成材料同士が展延してなる導通部が形成された際には、後述する表面処理を施すことで上記摺接面に上記高抵抗領域を形成できる。
潤滑剤は、ステアリン酸、ステアリン酸リチウムなどの金属石鹸、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミドなどの固体潤滑剤、固体潤滑剤を水などの液媒に分散させた分散液、液状潤滑剤、六方晶系の結晶構造を有する無機潤滑剤などが挙げられる。
加圧する際には、上記成形金型を加熱してから加圧成形してもよい。その際、潤滑剤の潤滑機能が低下して、成形体が金型に焼き付いたり、被覆軟磁性鉄基粉末の絶縁被膜が損傷したりしない程度の温度に加熱することが好ましい。例えば、成形金型温度を50〜200℃にすることが挙げられる。金型を加熱することで高密度な圧粉成形体を得ることができる。
加圧する圧力は、適宜選択することができるが、例えば、リアクトル用コアとなる圧粉成形体を製造するのであれば、490〜1470MPa、特に、588〜1079MPa程度とすることが好ましい。
この加圧により、例えば、図1に示す直方体状の圧粉成形体10を形成できる。この圧粉成形体10の形状は、加圧成形する際の金型の形状により適宜変更することができるため、直方体状の他に、台形状面を有する柱状体、またはU字状面を有するU字状体など種々の形状が挙げられる。このように圧粉成形体10が直方体状の場合、圧粉成形体10の両端面がパンチでの加圧面31pで、それ以外の4つの側面がダイとの摺接面31sである。上述の被覆軟磁性鉄基粒子を用いることで、この加圧面31pの電気抵抗率を1×10Ω・cm以上とすることができる。そして、上述の外部潤滑成形方法により、圧粉成形体10の摺接面31sは、電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を具えることができる。
この圧粉成形体10とコイルとを組み合わせて、そのコイルを励磁すれば、コイルの軸方向に沿った磁束が成形体内に形成される。そこで、例えば、図1に示すように圧粉成形体10が直方体であり、矢印(I)の方向を磁束方向、即ち、パンチでの加圧面31pが、磁束方向と直交する面(直交面)で、それ以外の4つの摺接面31sが、磁束方向の平行面となるように、圧粉成形体10をコイルと組み合わせる場合、摺接面31sに電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を具えることで、磁束方向を軸とする周方向に流れる渦電流を流れ難くできる。その上、加圧面31pを具えることで、磁束方向との直交面の表面が1×10Ω・cm以上の電気抵抗率を有する面となるので、その表面に渦電流が流れ難くできる。加えて、磁束方向を軸とする周方向に流れる渦電流が加圧面31pに迂回することを抑制できる。一方、矢印(II)の方向を磁束方向、即ち、パンチでの加圧面31pが、磁束方向との平行面となるように、圧粉成形体10とコイルとを組み合わせる場合、磁束方向を軸とする周方向の渦電流が加圧面31pで遮断されるため、その周方向に流れる渦電流を流れ難くすることができる。
(表面処理工程)
圧粉成形体10の摺接面31sに、上記成形工程で、金型との摺接により圧粉成形体10の表面に複数の露出した鉄基粒子の構成材料同士が展延してなる導通部が形成された場合、その導通部を分断または除去するための表面処理を施す。そうすれば、摺接面31sに電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を形成できる。
具体的に表面処理する圧粉成形体10の面は、導通部が形成され易いダイとの摺接面31sの少なくとも一部とすることが挙げられる。特に、製造された圧粉成形体10を磁心、例えばリアクトル用コアとして励磁した際、磁束方向に平行となる面(平行面)の少なくとも一部とすることが好ましい。圧粉成形体10とコイルとを組み合わせて、そのコイルを励磁すれば、コイルの軸方向に沿った磁束が成形体内に形成される。そこで、例えば、図1に示すように、圧粉成形体10が直方体であり、矢印(I)の方向を磁束方向、即ち、パンチでの加圧面31pが、磁束方向と直交する面(直交面)で、それ以外の4つの摺接面31sが、磁束方向の平行面となるように、圧粉成形体10をコイルと組み合わせる場合、表面処理を施す領域は、その平行面となる圧粉成形体10の表面の少なくとも一部でよい。そうすれば、加圧面31pの電気抵抗率が高いので、磁束方向と直交する加圧面31pの表面に流れる渦電流を流れ難くでき、磁束方向を軸とする周方向に流れる渦電流が加圧面31pに迂回することがない上に、磁束方向を軸とする周方向に流れる渦電流を表面処理した箇所で遮断できる。つまり、表面処理される領域が、ダイとの摺接面31sでかつ上記平行面となる面の少なくとも一部であれば、効果的に低損失な圧粉成形体10を製造できる。
一方、矢印(II)の方向を磁束方向、即ち、パンチでの加圧面31pが、磁束方向との平行面である場合、表面処理を施す領域は、磁束方向と直交する摺接面31soの少なくとも一部でよい。加圧面31pで磁束方向を軸とする周方向の渦電流を遮断できる上に、摺接面31soの表面に流れる渦電流を表面処理した箇所で遮断することができるため、渦電流損をより低減できる。加えて、磁束方向と平行となる摺接面31spの少なくとも一部に表面処理を施すことが好ましい。磁束方向を軸とする周方向の渦電流は加圧面31pで遮断されるため流れ難くでき、磁束方向を軸とする周方向の渦電流を遮断できる。
また、圧粉成形体が円柱である場合、磁束方向と直交する面がパンチでの加圧面であれば、磁束方向との平行面は円柱の円筒面となるので、表面処理を施す領域は、円筒面となる圧粉成形体の表面の少なくとも一部でよい。
表面処理される領域は、上記摺接面31sにおいて、パンチの加圧方向全長に亘る領域であることが好ましい。特に、上記平行面において、磁束方向全長に亘る領域となる圧粉成形体の表面であることがより好ましい。例えば、圧粉成形体が直方体であり、矢印(I)の方向を磁束方向となるように、圧粉成形体10をコイルと組み合わせる場合、表面処理する領域は、平行面において、一方の端面側から他方の端面側に亘る領域となる圧粉成形体10の表面とすることが好ましい。即ち、パンチでの加圧面31pが、磁束方向と直交する面(直交面)で、それ以外の4つの摺接面31sが、磁束方向の平行面となる場合、表面処理する領域は、平行面において、加圧方向全長(磁束方向全長)に亘る圧粉成形体10の表面とすることが好ましい。そうすれば、磁束方向を軸とする円周方向に流れる渦電流を上記全長に亘って遮断できる。つまり、表面処理される領域が、ダイとの摺接面31sでかつ上記平行面となる面で、磁束方向全長に亘る領域であれば、より一層効果的に低損失な圧粉成形体10を製造できる。
一方、矢印(II)の方向を磁束方向、即ち、パンチでの加圧面31pが、磁束方向との平行面である場合、表面処理を施す領域は、磁束方向と直交する摺接面31soの一方の端面側から他方の端面側に亘る領域、即ち、摺接面31soの長辺間や短辺間でよい。磁束方向を軸とする円周方向に流れる渦電流を上記全長に亘って遮断でき、摺接面31soの表面に流れる渦電流も遮断できると考えられる。加えて、磁束方向と平行となる摺接面31spの磁束方向全長に亘る領域に表面処理を施すことが好ましい。その場合、磁束方向を軸とする円周方向の渦電流を遮断し易い。
また、圧粉成形体が円柱である場合、磁束方向と直交する面がパンチでの加圧面であれば、磁束方向との平行面は円柱の円筒面となるので、表面処理を施す領域は、円筒面となる圧粉成形体の表面の加圧方向全長(磁束方向全長)に亘る領域であることが好ましい。
上記平行面において一方の端面側から他方の端面側に亘る領域に表面処理が施される場合、上記平行面において磁束方向と平行な方向の長さを縦t、磁束方向を軸とした圧粉成形体の周方向の全長をlとするとき、平行面の全面積はt×lで、当該平行面において実際に表面処理が施された領域の幅(磁束方向と直交する方向)を処理幅wとするとき、この領域はt×wと表される。この処理幅wは、被覆軟磁性鉄基粉末の平均粒径をdとするとき、d<w≦lを満たすことが好ましい。上記処理幅wを上記範囲とすることで、渦電流損の低減効果を効果的に得ることができる。より好ましくは、上記全長lに対する上記処理幅wの比率w/lは、30%以下、さらには20%以下、10%以下、特に5%以下とすることが挙げられる。
上記導通部の分断または除去が可能な表面処理としては、例えば、化学的、機械的、電気的、光学的、熱的、あるいは、これらの複合的な処理が挙げられる。具体的には、導通部を分断する処理に、熱・光学的な方法としてレーザ処理が挙げられる。レーザ処理では、導通部の溶融・流動により分断箇所を増加させることができる。また、導通部を除去する処理に、化学的な処理方法として酸処理が、電気化学的な処理方法として電解処理が、機械的な処理方法として切削、研削、またはウォータージェットがそれぞれ挙げられる。いずれの処理方法も導通部の除去が可能と考えられる。
これら各種の表面処理方法における処理条件としては、例えば、以下に示す〈A〉〜〈D〉の各処理条件が挙げられる。
〈A:レーザ処理の場合〉
上記表面処理としてレーザを照射する場合、レーザの種類は、圧粉成形体表面の導通部を分断できるレーザであればよい。具体的には、レーザの媒体が固体である固体レーザが挙げられ、例えばYAGレーザ、YVOレーザ、及びファイバーレーザの中から選択される1種のレーザであることが好ましい。そうすることで、上記導通部を分断することができる。これらレーザの各々には、各レーザの媒体に種々の材料がドープされた公知のレーザも含む。つまり、上記YAGレーザは、その媒体にNd、Erなどをドープしてもよいし、上記YVOレーザは、その媒体にNdなどをドープしてもよいし、上記ファイバーレーザは、その媒体であるファイバーのコアに希土類元素などがドープされており、例えば、Ybなどをドープすることが挙げられる。
レーザの波長は、上記軟磁性粒子(導通部)の波長吸収領域内であることがより好ましい。そうすることで、上記導通部を分断し易くなる上に、当該導通部以外を除去することを抑制することができる。このような波長としては、具体的には、532nm〜1064nm程度であることが好ましい。
レーザのエネルギー密度U(W/mm)は、レーザの平均出力をP(W)、レーザの照射面積(ビーム面積)をS(mm)とするとき、U=P/Sで表され、このエネルギー密度Uは、37.0W/mm≦U≦450.0W/mmを満たすことが好ましい。照射面積(ビーム面積)は、圧粉成形体の表面上でのレーザの面積を言う。エネルギー密度Uを37.0W/mm以上とすることで、導通部の分断箇所を確実に増加できる。一方、エネルギー密度Uを450.0W/mm以下とすることで、導通部の過剰溶融による軟磁性粒子同士の接触を十分に抑制できる。このエネルギー密度Uは、50.0W/mm以上300.0W/mm以下とすることがより好ましい。
レーザのビーム径に対する照射間隔の比率は、小さい方が好ましい。ビーム径は、圧粉成形体の表面上でのレーザの径を言う。照射間隔は、1パルスのレーザの照射時間にレーザのビームが走査方向に移動する距離を言う。レーザのビーム径に対する照射間隔の比率が小さければ、圧粉成形体の表面上にレーザを走査させた際、レーザが照射されない未処理領域を減少することができ、上記導通部を分断し易くなる。具体的には、上記比率は、0.35以下であることが好ましく、特に、0.30以下であることが好ましい。
また、レーザのビーム径に対する走査間隔の比率も、小さい方が好ましい。走査間隔は、レーザが走査するラインを隣接するラインに移動させる際の距離を言う。即ち、レーザのビーム径に対する走査間隔の比率が小さければ、上述と同様、レーザが照射されない領域を低減でき、上記導通部を分断し易くなる。
レーザの重ね回数は、複数回であることが好ましい。重ね回数は、同一領域をレーザで処理(走査)する回数を言う。そのため、レーザの重ね回数は、多いほど好ましい。そうすれば、上記導通部の分断を確実に行うことができる。具体的には、重ね回数を5回以上とすることが挙げられ、特に10回以上とすることが好ましい。
圧粉成形体の表面にレーザを照射する方法は、その表面の所望の箇所にレーザを照射できる方法であれば、特に問わない。
〈B:酸処理の場合〉
上記表面処理として酸処理を行う場合、処理液の種類は、圧粉成形体表面の導通部を除去できる程度の処理液であればよい。例えば、pH1〜4程度の酸性の処理液であることが好ましく、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸などが挙げられ、特に濃塩酸を使用することが好ましい。
処理液の温度は、適宜選択することができる。例えば、20℃〜50℃の処理液を使用することが挙げられる。上記の温度範囲であれば、表面処理を促進できる。
また、圧粉成形体を処理液に接触させる時間は、処理液の種類や温度、除去する領域などに合わせて適宜選択すればよい。特に処理液のpHが上記範囲である場合、1min〜40minであることが挙げられる。つまり、上記pHの範囲を満たす処理液で、上記範囲の時間圧粉成形体に接触させることで、上記導通部を除去し易くなるとともに、上記導通部以外の圧粉成形体の表面を除去しすぎることがない。
圧粉成形体を処理液に接触する方法は、所望の箇所に表面処理を施せる方法であれば、特に問わない。例えば、圧粉成形体を処理液の入った液槽に浸けるバッチ式が挙げられる。このバッチ式は、圧粉成形体側を液槽内に投入して、圧粉成形体を処理液に接触させてもよいし、圧粉成形体を固定し、液槽側を動かして処理液を圧粉成形体に接触させてもよい。処理液に接触させない領域には、マスキングなどを施して処理液に接触しないようにしておくとよい。このマスキングには、耐酸性に優れるものを使用すればよく、例えば、市販のPTFE製のテープなどが使用できる。
〈C:電解処理の場合〉
上記表面処理として電解処理を行う場合、圧粉成形体に接触させる電解液の種類としては、圧粉成形体表面を電解処理して当該表面の導通部を除去するのに利用することができる処理液であればよい。例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化ナトリウム、などの溶液が好ましい。そうすることで、上記導通部を除去できる。
電解処理する際、印加する電圧と通電する電流はそれぞれ、例えば20〜100V、20〜100Aであることが好ましい。そうすることで、上記導通部を除去し易い上に、表面処理を促進できる。
また、圧粉成形体表面を電解処理する時間(処理時間)は、電解液の種類、濃度、印加電圧、通電電流、あるいは除去する領域などに合わせて適宜選択すればよい。特に、印加電圧と通電電流が上記範囲である場合、上記処理時間は、0.5sec〜50secであることが挙げられる。つまり、上記印加電圧と通電電流で、上記範囲の時間成形体を電解処理することで、上記導通部を除去し易くなるとともに、上記導通部以外の圧粉成形体の表面を除去しすぎることがない。
圧粉成形体を電解処理する方法は、例えば、圧粉成形体を電解液に浸漬させて、電解処理させて導通部を除去する箇所に陽極の電極を2mm以下の間隔で設置し、陰極の電極を電解液中に浸漬させて、導通部を除去する圧粉成形体に接触させる。その状態で、上述した電圧を印加して上述した電流を通電させることが挙げられる。この陽極が接触もしくは近接している箇所が電解処理されて導通部が除去される。つまり、電極の形を調整することで、上記表面処理する領域を適宜変更することができる。この電極には、Ptなどを好適に利用することができる。
〈D:ウォータージェット処理の場合〉
上記表面処理としてウォータージェットを噴射する場合、その射出圧力は10MPa〜150MPaで、流量は0.1L/min〜10L/minであることが好ましい。そうすることで、上記導通部を除去し易い上に、導通部以外の箇所の被覆軟磁性鉄基粒子の絶縁被膜が損傷し難い。
圧粉成形体の表面にウォータージェットを噴射する方法としては、その表面の所望の箇所にウォータージェットを噴射して導通部を除去できる方法であれば、特に問わない。例えば、上記の噴射条件において、ノズルの噴射口と成形体との距離は、噴射圧力、流量、除去する領域などにより適宜選択すればよい。特に射出圧力と流量が上記範囲である場合、上記距離は、10mm〜150mmであることが挙げられる。このとき、圧粉成形体表面とノズルの軸方向の線とのなす角が90°の位置から噴射してもよいし、圧粉成形体表面に対して角度をつけて噴射してもよい。後者の場合、具体的な角度は、30°〜150°程度(90°を除く)が挙げられ、そうすれば、特に、導通部以外の箇所の被覆軟磁性鉄基粒子の絶縁被膜を損傷し難くできる。
これらの表面処理により圧粉成形体10の摺接面31sに電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を形成できる。
(その他の工程)
〈熱処理工程〉
上記圧粉成形体には、成形工程で軟磁性鉄基粒子に導入された歪や転移などを除去するために成形体を加熱する熱処理を施してもよい。
熱処理の温度が高いほど、歪の除去を十分に行うことができることから、熱処理温度は、300℃以上、特に400℃以上が好ましい。軟磁性粒子の歪などを除去する観点から、熱処理の上限は約800℃程度とする。このような熱処理温度であれば、歪の除去と共に、加圧時に軟磁性鉄基粒子に導入される転移などの格子欠陥も除去できる。それにより、圧粉成形体のヒステリシス損を効果的に低減することができる。
熱処理を施す時間は、成形工程で軟磁性鉄基粒子に導入された歪や転移などを十分に除去するように、上記熱処理温度及び圧粉成形体の体積に合わせて適宜選択すればよい。例えば、上記の温度範囲の場合、10分〜1時間であることが好ましい。
この熱処理を施す際の雰囲気は、大気中でも良いが、不活性ガス雰囲気内で施すと特に好ましい。それにより、大気中の酸素によって被覆軟磁性鉄基粒子が酸化されるのを抑制することができる。
この熱処理は、上記表面処理を施す場合、表面処理工程前における圧粉成形体に施してもよいし、表面処理工程後における圧粉成形体に施してもよい。
〔圧粉成形体の製造方法(II)〕
製造方法(II)では、原料準備工程で粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が1.5質量%以下の被覆軟磁性粉末を用意する場合を説明する。製造方法(II)は、具体的には、上記原料準備工程と、上述の成形工程と、上述の表面処理工程とを具える。本例では、製造方法(I)と、用意する被覆軟磁性粉末における粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が異なることに加えて、加圧面にも表面処理を施す点が異なる。以下、製造方法(I)との相違点を中心に説明する。
[表面処理工程]
粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が1.5質量%以下の被覆軟磁性粉末を用いて加圧成形した圧粉成形体10(図1)に表面処理を施す。ここでは、圧粉成形体10の加圧面31pを表面処理する。
圧粉成形体10の加圧面31pにおいて、表面処理する領域は、一方の端面側から他方の端面側に亘る領域、即ち、加圧面31pの長辺間や短辺間とすることが好ましい。例えば、矢印(I)の方向を磁束方向となるように、圧粉成形体10をコイルと組み合わせる場合、上記長辺間または短辺間のいずれかの領域を表面処理することで、加圧面31pの表面に渦電流を流れ難くできる。その上、磁束方向を軸とする周方向に流れる渦電流が迂回しても、その処理した領域で遮断できるので渦電流損を低減できる。一方、矢印(II)の方向を磁束方向となるように組み合わせる場合、表面処理する領域は、加圧面31pの長辺間に亘る領域とすることが好ましい。そうすれば、磁束方向を軸とする周方向の渦電流を磁束方向全長に亘って遮断できる。特に、加圧面31pの全面を処理すれば、より効果的に渦電流損を低減できて好ましい。
〔圧粉成形体〕
本発明の圧粉成形体10は、被覆軟磁性鉄基粉末を金型に充填してパンチで加圧成形してなり、パンチでの加圧面31pの電気抵抗率が高い。例えば、図1に示すように直方体状の場合、両端面がパンチでの加圧面31pで、それ以外の4つ側面がダイとの摺接面31sである。圧粉成形体10におけるダイとの摺接面31pに電気抵抗率が、1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を具える。そして、加圧面31pの電気抵抗率が、1×10Ω・cm以上である。抵抗は、四探針法を用いて測定する。
この圧粉成形体10は、粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が1.5質量%以下(若しくは1.0質量%以下)の被覆軟磁性鉄基粉末を原料とし、その原料を加圧成形してなるものである。そのため、形成された圧粉成形体10も、粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が1.5質量%以下(1.0質量%以下)である。圧粉成形体における粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が1.5質量%以下(1.0質量%以下)とは、圧粉成形体において、粒径が150μm以上の鉄基粒子の占める数が1.5質量%以下(1.0質量%以下)のことを言う。この数は、圧粉成形体を粉砕して篩にかけることで求めることができる。市販の粉砕機(例えば、株式会社三力製作所製小型粉砕機SF−2など)を利用して、成形された圧粉成形体を粉砕機で粉砕する。粉砕された圧粉成形体の粉末を篩にかけて、粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量を測定することにより求める。その値を粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量とする。この手段によれば、圧粉成形体において粒径が150μm以上の鉄基粒子の占める数をより精度よく求めることができる。圧粉成形体が粉砕し難いなどの事情により、上記の方法で粒径が150μm以上の鉄基粒子の占める数を求め難い場合は、断面をSEM(Scanning Electron Microscope)で観察することもできる。具体的には、圧粉形成体10の上記加圧面31pと平行な断面を10以上とり、各断面において適宜なサイズの検査視野を10以上とる。一つの検査視野としては、その一辺が150μmの粒子サイズの数倍以上のサイズが好ましく、例えば1.8mm×1.8mm角が挙げられる。この視野角において、円相当径における粒径が150μm以上の粒子数(Cc)と全ての粒子数(Ct)とを算出する。円相当径とは、粒子の輪郭を特定し、その輪郭で囲まれる面積Sと同一の面積を有する円の径とする。つまり、円相当径=2×{上記輪郭内の面積S/π}1/2で表される。各検査視野において、粒子数(Cc)を粒子数(Ct)で除した割合を算出し、観察した総断面における全検査視野の平均値を求め、その値を粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量とする。
《作用効果》
上述した圧粉成形体10によれば、パンチでの加圧面31pの電気抵抗率が1×10Ω・cm以上と高抵抗なので、リアクトル用コアに用いてリアクトルを組み立てた際に加圧面31pを磁束方向と直交するように配置すると、加圧面31pの表面に渦電流を流れ難くできる。その上、磁束方向を軸とする周方向の渦電流が摺接面31sから加圧面31pに迂回し難くできる。そして、摺接面31sに電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を具えるので、磁束方向を軸とする周方向の渦電流をその高抵抗領域で遮断できる。従って、低損失なリアクトルを構築できる。一方、加圧面31pを磁束方向と平行するように配置すると、磁束方向を軸とする周方向の渦電流を加圧面31pで流れ難くすることができる。そのとき、磁束方向と直交する摺接面31soに上記高抵抗領域を具える場合は、当該摺接面31soの表面に流れる渦電流を高抵抗領域で遮断できる。また、磁束方向と平行な摺接面31spに上記高抵抗領域を具える場合は、磁束方向を軸とする周方向の渦電流を高抵抗領域で遮断できる。従って、渦電流損を小さくでき、低損失なリアクトルを構築できる。
上述の製造方法によれば、粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が1.0質量%以下の被覆軟磁性鉄基粉末を用意して加圧成形することで、パンチに強く圧接されて絶縁被膜が損傷することを抑制できるので、パンチでの加圧面31pの電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の圧粉成形体10を製造することができる。一方、粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量が1.5質量%以下の被覆軟磁性粉末を用意して加圧成形した場合、加圧面31pを表面処理することで、加圧面31pの電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の圧粉成形体10を製造することができる。成形工程において上記外部潤滑成形方法で圧粉成形体を作製することで、摺接面に電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を具える圧粉成形体10を製造することができる。また、摺接面31sの少なくとも一部に表面処理を施すことで、金型との摺接により表面に形成された導通部を分断または除去できるので、電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を具える圧粉成形体10を製造することができる。以上から、上述の製造方法によれば、加圧面31pの電気抵抗率が1×10Ω・cm以上で、摺接面31sに電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を具える圧粉成形体10を製造することができる。従って、渦電流損が少なく低損失で、リアクトル用コアに好適に利用できる圧粉成形体10を製造することができる。
《実施形態2》
実施形態2では、上述の圧粉成形体をリアクトル用コアに用いる場合を説明する。ここでは、リアクトル用コアは、パンチでの加圧面の電気抵抗率が1×10Ω・cm以上であることに加えて、ダイとの摺接面の少なくとも一部において、加圧方向全長に亘って電気抵抗率が1×10Ω・cm以上である高抵抗領域を具える圧粉成形体を具える。その説明をするにあたり、図2,3を参照して、そのリアクトル用コアを具えるリアクトルを例に説明する。
〔リアクトル〕
リアクトル1は、コイル2と、コイル2を励磁したときに閉磁路を形成するリアクトル用コア3とを具える。リアクトル用コア3は、コイル素子2a,2b内にそれぞれ挿入配置される一対の柱状の内側コア部31と、コイル2から露出され、一対の内側コア部31を連結して環状体を構成する露出コア部32とを具える。リアクトル用コア3は、主として、圧粉成形体からなる複数のコア片により構成されている。ここでは、リアクトル用コア3のうち内側コア部31を構成するコア片が本発明圧粉成形体10から構成される。内側コア部31を構成するコア片以外の構成は、公知のリアクトルの構成を利用することができ、図2,3に示す構成は一例である。もちろん、露出コア部32を本発明圧粉成形体から構成してもよい。
(コイル)
コイル2は、接合部の無い1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子2a,2bと、両コイル素子2a,2bを連結する連結部2rとを具える。各コイル素子2a,2bは、互いに同一の巻数の中空の筒状体であり、各軸方向が平行するように並列(横並び)され、コイル2の他端側(図2では右側)において巻線2wの一部がU字状に屈曲されて連結部2rが形成されている。この構成により、両コイル素子2a,2bの巻回方向は同一となっている。
巻線2wは、銅やアルミニウム、その合金といった導電性材料からなる導体の外周に、絶縁材料からなる絶縁層(代表的には、ポリアミドイミドなどからなるエナメル層)を具える被覆線を好適に利用できる。巻線2wの導体は、断面円形状の丸線の他、断面矩形状の平角線を好適に利用できる。コイル素子2a,2bは、絶縁層を有する被覆平角線をエッジワイズ巻きして形成されたエッジワイズコイルである。
(リアクトル用コア)
リアクトル用コア3の説明は、図3を参照して行う。リアクトル用コア3は、各コイル素子2a,2b(図2)に覆われる一対の柱状の内側コア部31と、コイル2(図2)が配置されず、コイル2から露出される一対の露出コア部32とを有する。各内側コア部31はそれぞれ、各コイル素子2a,2bの内周形状に沿った外形を有する柱状体(ここでは、実質的に直方体)であり、各露出コア部32はそれぞれ、一対の台形状面を有する柱状体である。リアクトル用コア3は、離間して配置される内側コア部31を挟むように露出コア部32が配置され、各内側コア部31の端面と露出コア部32の内端面とを接触させて環状に形成される。
内側コア部31は、磁性材料からなるコア片31mと、インダクタンスの調整のため、コア片よりも透磁率が低い材料(例えばアルミナなどの非磁性材料)から構成されるギャップ材31gとを交互に積層して構成された積層体である。露出コア部32も磁性材料からなるコア片である。上記コア片同士の一体化やコア片31mとギャップ材31gとの一体化には、例えば、接着剤や粘着テープなどを利用できる。
内側コア部31の各コア片31mはいずれも、実施形態1で説明した本発明圧粉成形体により構成されている。特に、内側コア部31を構成するコア片31mはいずれも、圧粉成形体10(コア片31m)においてダイとの摺接面31sが、コイル素子2a,2b(図2)の内周面に対向するように配置される。換言すると、内側コア部31を構成するコア片31mはいずれも、圧粉成形体10(コア片31m)のパンチの加圧面31pがコイル素子2a,2bの軸方向に直交するようにコイル素子2a,2b内に挿入配置される。ギャップ材31gは、圧粉成形体10(コア片31m)の上記加圧面31pに接して配置される。
(その他の構成部材)
その他、コイル2とリアクトル用コア3との間の絶縁性を高めるために、絶縁性樹脂から構成されるインシュレータ(図示略)を具えたり、コイル2とリアクトル用コア3との組合体の外周を絶縁性樹脂で覆った一体化物としたり、組合体を金属材料などからなるケースに収納したり、ケースに収納した組合体を封止樹脂により覆ったりすることができる。
《作用効果》
このリアクトル1は、内側コア部31の各コア片31mを本発明の圧粉成形体で構成することで、低損失である。上述のように圧粉成形体10(コア片31m)の加圧面31pを磁束方向と直交するように配置することで、その磁束方向と直交する面が、電気抵抗率が1×10Ω・cm以上である圧粉成形体10(コア片31m)の加圧面31pとなるため、この加圧面31pの表面に渦電流が流れ難くすることができる。その上、磁束方向を軸とする周方向に流れる渦電流が摺接面31sから加圧面31pに迂回し難い。この場合、磁束方向全長に亘って電気抵抗率が1×10Ω・cm以上である高抵抗領域を具える圧粉成形体10(コア片31m)の摺接面31sが、磁束方向と平行な面となるため、磁束方向を軸とする周方向に流れる渦電流を遮断することができる。また、圧粉成形体10(コア片31m)の加圧面31pを磁束方向と平行となるように配置してもよい。その場合は、磁束方向の周方向に渦電流を流れ難くすることができる。特に、摺接面31sのうち磁束方向と平行する面に高抵抗領域を具えれば、一層効果的である。また、摺接面31sのうち磁束方向と直交する面に高抵抗領域を具える場合は、その直交する面に流れる渦電流を上記高抵抗領域で遮断することができる。つまり、いずれの場合でも、渦電流損を低減できるので、低損失なリアクトル1を構築できる。
《実施形態3》
〔コンバータと電力変換装置〕
上述のリアクトルは、例えば、車両などに載置されるコンバータの構成部品や、このコンバータを具える電力変換装置の構成部品に利用することができる。
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両1200は、図4に示すようにメインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ(負荷)1220とを具える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジンを具える。なお、図4では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを具える形態とすることもできる。
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V〜300V程度のメインバッテリ1210の直流電圧(入力電圧)を400V〜700V程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。また、コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される直流電圧(入力電圧)をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
コンバータ1110は、図5に示すように複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトルLとを具え、ON/OFFの繰り返し(スイッチング動作)により入力電圧の変換(ここでは昇降圧)を行う。スイッチング素子1111には、FET,IGBTなどのパワーデバイスが利用される。リアクトルLは、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。このリアクトルLとして、上述のリアクトルを具える。低損失なリアクトル100を具えることで、電力変換装置1100やコンバータ1110も全体として低損失化を図ることができる。
なお、車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を具える。コンバータ1110は、代表的には、DC−DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC−DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150の中には、DC−DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、上述のリアクトルなどと同様の構成を具え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用することができる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、上述のリアクトルなどを利用することもできる。
《試験例》
試験例として、圧粉成形体を作製し、得られた圧粉成形体を用いて圧粉磁心を作製し、この圧粉磁心を具える磁気部品の損失を調べた。
[試料No.1〜13]
(原料準備工程)
圧粉成形体の構成材料として、鉄粉からなる軟磁性鉄基粒子の表面全体を実質的に覆うリン酸鉄からなる絶縁被膜を被覆した被覆軟磁性鉄基粉末に、ステアリン酸亜鉛からなる潤滑剤を含有した混合材料を用意した。上記鉄粉は、水アトマイズ法により作製され、純度が99.8%以上であった。鉄粉の平均粒径、及び含有される150μm以上の粒子の割合は、篩にかけて分級することで適宜調節可能である。各試料における軟磁性鉄基粒子の平均粒径、粒径が150μm以上の軟磁性鉄基粒子の含有量、絶縁被膜の平均膜厚、及び潤滑剤の含有量をまとめて表1に示す。
Figure 2013131676
(成形工程)
原料準備工程で準備した混合材料を所定の形状の金型内に注入し、圧力をかけて加圧成形して圧粉成形体を作製する。その際、試料1〜7、9〜13は、外部潤滑剤を使用せず金型を加熱せずに加圧成形した。試料8は、外部潤滑剤を使用して金型を加熱して加圧成形した。ここでは、730MPaの圧力をかけて加圧成形し、直方体状の圧粉成形体を複数作製した。
(熱処理工程)
成形工程で作製した圧粉成形体に熱処理を施す。その際、試料1〜6、8〜13は、窒素雰囲気下で400℃×30分、熱処理し、試料7は、大気雰囲気下で530℃×30分、熱処理した。
(表面処理工程)
熱処理工程を経た複数の直方体状の圧粉成形体を環状に組み合わせて、鉄損の評価用の試験を作製するにあたり、各試料のうち、試料No.2,4,6,10,12の表面の少なくとも一部に表面処理を施し、試料No.13は、表面全面(加圧面+摺接面)に表面処理を施した。ここで試料No.2,4,6,10,12は、圧粉成形体の表面のうち、後述する磁気特性の測定試験でコイルが配置される圧粉成形体の表面の一部に対して表面処理を施した。その際、ダイとの摺接面で、試料に生じる磁束方向と平行となる面(平行面)の磁束方向全長に亘る領域を表面処理した。これら試料に施す表面処理の種類とその処理領域を表2に示し、各処理条件を以下に示す。この処理領域は、磁束方向を軸とした圧粉成形体の周方向の全長lに対する表面処理の処理幅wの比率w/lを言う。また、コイルが配置されない圧粉成形体にも表面処理を施してもよい。その他の試料(試料No.1、3,5,7〜9,11)には表面処理を施していない。
(レーザの照射条件:試料No.2,4,6,10,12)
種類:ファイバーレーザ
波長:1064nm
エネルギー密度U:123.6W/mm
ビーム径に対する照射間隔の比率:0.07
パルス幅:120ns
ビーム径に対する走査間隔の比率:0.05
重ね回数:40回
(酸処理条件:試料No.13)
処理液:pH1の濃塩酸
液温度:26℃
処理時間:20分
処理液の攪拌の有無:有
Figure 2013131676
〔評価1〕
[電気抵抗率]
各試料のパンチでの加圧面と、ダイとの摺接面とにおける電気抵抗率(Ω・cm)を、三菱化学株式会社製のロレスターGP(PSPプローブ:電極間隔1.5mm)を用いて、四探針法により測定した。その際、表面処理を施した試料2,4,6,10,12,13は、上記摺接面のうち表面処理を施した領域の電気抵抗率を測定した。
〔評価2〕
各試料をそれぞれ環状に組み合わせて試験用磁心を作製した。試験用磁心に巻線で構成したコイルを配して磁気特性を測定するための測定部材(磁気部品に相当)を作製し、以下の磁気特性値を評価した。
[磁気特性試験]
各測定部材について、AC−BHカーブトレーサを用いて、励起磁束密度Bm:1kG(=0.1T)、測定周波数:5kHzにおける試料のヒステリシス損Wh(W/kg)及び渦電流損We(W/kg)を求め、損失(W/kg)を算出した。
以上の試験から得られた特性値は、表3にまとめて記載する。
Figure 2013131676
<結果>
試料1〜6、8〜10、13の加圧面の電気抵抗率は1×10Ω・cm以上で、試料7,11,12の同電気抵抗率は1×10Ω・cm未満であった。また、試料4,6,8,10,12,13の摺接面の電気抵抗率は1×10Ω・cm以上で、試料1〜3,5,7,9,11の同電気抵抗率は1×10Ω・cm未満であった。特に、試料10は、試料4,6,8,12,13よりも摺接面の電気抵抗率が高かった。そして、試料4,6,8,10,13は、試料1〜3,5,7,9,11,12に比べて低損失であった。
試料4,6,8,10,13は、摺接面の電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を具えることで、磁束方向を軸とする周方向に流れる渦電流を高抵抗領域で遮断でき、加圧面の電気抵抗率が1×10Ω・cm以上であることで、加圧面の表面に渦電流が流れ難い上に、磁束方向を軸とする周方向の渦電流が加圧面に迂回することを抑制できたため、効果的に渦電流損を低減できたからだと考えられる。
具体的には、試料4,6,8,10は、粒径が150μm以上の粒子の含有量が1.0質量%以下の被覆軟磁性粉末を用いて作製したことで、加圧面の電気抵抗率を1×10Ω・cm以上にできた。また、試料4,6,10,13は、摺接面に表面処理を施すことで、電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を具えることができた。試料8は、摺接面に表面処理を施していないが、外部潤滑成形方法により作製したことで、導通部の形成が少なかったため、摺接面の電気抵抗率を1×10Ω・cm以上とすることができた。試料13は、粒径が150μm以上の粒子の含有量が1.0質量%超(1.5質量%以下)であるものの、加圧面を表面処理したことで、加圧面の電気抵抗率を1×10Ω・cm以上にできた。
一方、試料1〜3,5,7は加圧面の電気抵抗率が1×10Ω・cm以上であるものの、摺接面の電気抵抗率が1×10Ω・cm未満と低いため、磁束方向を軸とする周方向に流れる渦電流が発生したからだと考えられる。また、試料11は、加圧面も摺接面も電気抵抗率が低いからだと考えられる。試料12は、摺接面の電気抵抗率が1×10Ω・cm以上であるため、磁束方向を軸とする周方向に流れる渦電流を遮断し易いものの、加圧面の電気抵抗率が1×10Ω・cm未満であるため、その渦電流が加圧面に迂回したことで、渦電流を効果的に遮断できなかったからだと考えられる。
以上の結果から、以下のことが判明した。粒径が150μm以上の粒子の含有量が1.0質量%以下の被覆軟磁性粉末を用いて圧粉成形体を作製することで、加圧面の電気抵抗率を1×10Ω・cm以上とすることができる。加えて、上記粉末を使用して加圧成形する際、内部潤滑成形方法及び外部潤滑成形方法により作製することで、摺接面の電気抵抗率を1×10Ω・cm以上と高くできる。また、外部潤滑成形方法を行わずに圧粉成形体を作製した場合、摺接面に表面処理を施すことで、摺接面に電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を具えることができる。さらに、粒径が150μm以上の鉄基粒子の含有量を少なくするほど、表面処理による上記摺接面の電気抵抗率の増加に効果的である。一方、粒径が150μm以上の粒子の含有量が1.5質量%以下の被覆軟磁性粉末を用いて圧粉成形体を作製した場合、加圧面を表面処理することで、加圧面の電気抵抗率を1×10Ω・cm以上とすることができ、損失を低減できる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
本発明圧粉成形体は、各種の磁心(リアクトル、トランス、モータ、チョークコイルなどの磁心)の素材、特に、高周波特性に優れる磁心の素材に好適に利用することができる。本発明リアクトル用コアは、各種のリアクトル(車載部品、発電・変電設備の部品など)の磁性コアに好適に利用することができる。特に、本発明リアクトル用コアを具えるリアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車などの車両に搭載される車載用コンバータといった車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。
1 リアクトル 10 圧粉成形体
2 コイル 2w 巻線 2a、2b コイル素子 2r 連結部
3 リアクトル用コア
31 内側コア部 31m コア片 31g ギャップ材 32 露出コア部
31p 加圧面 31s、31so、31sp 摺接面
1100 電力変換装置
1110 コンバータ 1111 スイッチング素子
1112 駆動回路 L リアクトル 1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ 1220 モータ 1230 サブバッテリ
1240 補機類 1250 車輪

Claims (7)

  1. 軟磁性の鉄基粒子の外周に絶縁被膜が被覆された被覆軟磁性鉄基粒子を複数具える被覆軟磁性鉄基粉末を金型に充填してパンチで加圧成形してなる圧粉成形体であって、
    前記圧粉成形体における前記金型との摺接面の少なくとも一部に、電気抵抗率が1×10Ω・cm以上の高抵抗領域を具え、
    前記圧粉成形体におけるパンチでの加圧面の電気抵抗率が、1×10Ω・cm以上であることを特徴とする圧粉成形体。
  2. 前記鉄基粒子が、純鉄であることを特徴とする請求項1に記載の圧粉成形体。
  3. 前記圧粉成形体における粒径が150μm以上の鉄基粒子数の割合が、1.5質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧粉成形体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧粉成形体を具えることを特徴とするリアクトル用コア。
  5. 巻線を巻回してなるコイルと、このコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアとを具えるリアクトルであって、
    前記磁性コアの少なくとも一部が請求項4に記載のリアクトル用コアであることを特徴とするリアクトル。
  6. スイッチング素子と、前記スイッチング素子の動作を制御する駆動回路と、スイッチング動作を平滑にするリアクトルとを具え、前記スイッチング素子の動作により、入力電圧を変換するコンバータであって、
    前記リアクトルは、請求項5に記載のリアクトルであることを特徴とするコンバータ。
  7. 入力電圧を変換するコンバータと、前記コンバータに接続されて、直流と交流とを相互に変換するインバータとを具え、このインバータで変換された電力により負荷を駆動するための電力変換装置であって、
    前記コンバータは、請求項6に記載のコンバータであることを特徴とする電力変換装置。
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