JP2013130476A - 亜硝酸イオン定量用発色剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】検査水に含まれる亜硝酸イオンを高濃度の領域まで定量できるようにする。
【解決手段】亜硝酸イオンの定量用発色剤は、水を混和したジメチルスルホキシド等の、検査水と混和可能な溶媒と、当該溶媒に溶解した、1−アミノアントラキノンや2−ニトロアニリン等の、亜硝酸イオンとの反応によりジアゾニウム塩を生成可能でありかつオルト位若しくはパラ位にケトン基若しくはニトロ基を有する芳香族第一級アミン化合物とを含む。この発色剤を添加した検査水は、芳香族第一級アミン化合物により着色する。この着色強度は、亜硝酸イオンとの酸性下でのジアゾニウム塩の生成反応により芳香族第一級アミン化合物が消費されることで減退する。このため、芳香族第一級アミン化合物による検査水の着色強度に基づいて、亜硝酸イオン濃度を定量することができる。
【選択図】なし
【解決手段】亜硝酸イオンの定量用発色剤は、水を混和したジメチルスルホキシド等の、検査水と混和可能な溶媒と、当該溶媒に溶解した、1−アミノアントラキノンや2−ニトロアニリン等の、亜硝酸イオンとの反応によりジアゾニウム塩を生成可能でありかつオルト位若しくはパラ位にケトン基若しくはニトロ基を有する芳香族第一級アミン化合物とを含む。この発色剤を添加した検査水は、芳香族第一級アミン化合物により着色する。この着色強度は、亜硝酸イオンとの酸性下でのジアゾニウム塩の生成反応により芳香族第一級アミン化合物が消費されることで減退する。このため、芳香族第一級アミン化合物による検査水の着色強度に基づいて、亜硝酸イオン濃度を定量することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、発色剤、特に、検査水に含まれる亜硝酸イオンの定量のために用いられる発色剤に関する。
工場排水や環境水(例えば、海洋水、湖沼水、河川水および地下水等)などの検査水に含まれる亜硝酸イオンの公的な定量方法として、日本工業規格(JIS)において規定されたナフチルエチレンジアミン吸光光度法が知られている(非特許文献1)。この定量方法(以下、JIS法という。)は、検査水に含まれる亜硝酸イオンが酸性下でスルファニルアミドと反応して生成するジアゾニウム塩をナフチルエチレンジアミンとカップリング反応させ、それにより生成するアゾ化合物による検査水の着色(発色)を吸光光度法により測定することで亜硝酸イオンを定量するものである。
JIS法は、生成するアゾ化合物による検査水の着色が非常に鋭敏であって着色強度(モル吸光係数)が高まり過ぎることから、検査水における高濃度の亜硝酸イオンの正確な定量が困難であり、亜硝酸イオン濃度の測定可能範囲が0.06〜0.6mg[NO2 −]/Lに制限されている。この範囲の亜硝酸イオン濃度は、窒素換算濃度で0.02〜0.2mg[N]/L程度の微量範囲である。このことから、JIS法は、例えば、検査水の全窒素を定量する場合(この場合、検査水に含まれる窒素化合物を亜硝酸イオンへ変換するための前処理が必要なことから、検査水の亜硝酸イオン濃度が高濃度になり得る。)、適用が困難になる可能性がある。
JIS法に替わる亜硝酸イオンの定量方法として、特許文献1には、ポルフィン核にアミノ基を有するポルフィリン化合物を検査水へ添加し、当該ポルフィリン化合物と亜硝酸イオンとの反応により生成するジアゾ基を有するポルフィリン化合物の吸光度または励起時の蛍光強度を測定する方法が記載されている。この方法は、ポルフィリン化合物のソーレ吸収帯がジアゾ基の生成により減少することを利用したもので、必要な反応はポルフィリン化合物と亜硝酸イオンとの反応だけであるから、ジアゾニウム塩の生成反応とカップリング反応との二段階の反応が必要なJIS法に比べて簡単な操作で亜硝酸イオンを定量可能である。しかし、この定量方法は、特許文献1の記載(特に、段落0023)によると亜硝酸イオン濃度の測定可能範囲が0〜0.018mg[NO2 −]/L程度であり、この範囲の亜硝酸イオン濃度は窒素濃度換算で0〜0.006mg[N]/L程度の微量範囲でしかないことから、JIS法と同じく全窒素の定量に適用するのが困難である。しかも、この定量方法は、特許文献1の記載(特に、段落0023および図4)によると、ジアゾ基を有するポルフィリン化合物を生成させるために、検査水に含まれる亜硝酸イオンの2倍モル当量以上の多量のポルフィリン化合物を用いる必要があることから、不経済であり、亜硝酸イオン濃度の自動測定装置を実現する上で当該装置の小型化を図るのも困難である。
日本工業規格 JIS K 0102、工場排水試験方法(2008) 43.1.1
本発明の目的は、検査水に含まれる亜硝酸イオンを高濃度の領域まで定量できるようにすることにある。
本発明は、検査水に含まれる亜硝酸イオンの定量のために用いられる発色剤に関するものである。この発色剤は、検査水と混和可能な溶媒と、当該溶媒に溶解した、亜硝酸イオンとの反応によりジアゾニウム塩を生成可能でありかつオルト位若しくはパラ位にケトン基若しくはニトロ基を有する芳香族第一級アミン化合物とを含む。
本発明の発色剤において用いられる芳香族第一級アミン化合物は、例えば、1−アミノアントラキノン、2−ニトロアニリン、2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノン、2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム、4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウムおよび1−アミノ−4−ブロモアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムからなる群から選ばれたものである。
本発明の発色剤において用いられる溶媒は、例えば、水の混和したジメチルスルホキシドである。
本発明の発色剤の一例は、溶媒が水であり、上記芳香族第一級アミン化合物が任意の位置にスルホン酸基およびスルホン酸塩基のうちの少なくとも1つをさらに有するものである。この例において用いられる芳香族第一級アミン化合物は、例えば、2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム、4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウムおよび1−アミノ−4−ブロモアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムからなる群から選ばれたものである。
本発明の発色剤は、例えば、アルコール系化合物並びに次亜りん酸およびその塩からなる化合物群から選択された少なくとも1種の還元剤をさらに含む。この場合の発色剤の一形態において、還元剤は上記溶媒に溶解している。また、他の一形態において、発色剤は、芳香族第一級アミン化合物を含む上記溶媒からなる第1剤と、上記還元剤を含む第2剤とからなる。
他の観点に係る本発明は、同じく、検査水に含まれる亜硝酸イオンの定量のために用いられる発色剤に関するものであり、この発色剤は、亜硝酸イオンとの反応によりジアゾニウム塩を生成可能でありかつオルト位若しくはパラ位にケトン基若しくはニトロ基を有する芳香族第一級アミン化合物を含む。この発色剤において用いられる芳香族第一級アミン化合物は、例えば、任意の位置にスルホン酸基およびスルホン酸塩基のうちの少なくとも1つをさらに有するものである。
本発明に係る亜硝酸イオン定量用発色剤は、特定の芳香族第一級アミン化合物を含むことから、検査水への添加により検査水を着色することができる。この着色は、亜硝酸イオンと芳香族第一級アミン化合物との酸性下での反応により芳香族第一級アミン化合物が消費されるに従って徐々に強度が減退する。一方、検査水では、亜硝酸イオンと芳香族第一級アミン化合物との酸性下での反応によりジアゾニウム塩が生成し、当該ジアゾニウム塩による着色を呈するようになる。そして、ジアゾニウム塩による着色の強度は、ジアゾニウム塩の生成が進行するに従って徐々に高まる。したがって、本発明の発色剤を添加した検査水は、亜硝酸イオン濃度に応じ、芳香族第一級アミン化合物による着色強度または生成するジアゾニウム塩による着色強度に強弱が生じることから、その強弱に基づいて亜硝酸イオン濃度を定量することができる。
本発明に係る亜硝酸イオンの定量用発色剤は、特定の芳香族第一級アミン化合物を含むことから、検査水に含まれる亜硝酸イオンを高濃度の領域まで定量することができる。
本発明に係る亜硝酸イオン定量用発色剤は、検査水に含まれる亜硝酸イオンの定量のために用いられるものである。本発明に係る発色剤を用いて亜硝酸イオンを定量可能な検査水は、特に限定されるものではないが、通常は工場排水や生活排水等の窒素の排出規制が設けられている排水の他、海洋水、湖沼水、河川水および地下水等の環境水である。
本発明に係る亜硝酸イオン定量用発色剤は、特定の芳香族第一級アミン化合物を含むものである。ここで用いられる芳香族第一級アミン化合物は、亜硝酸イオンとの酸性下での反応によりジアゾニウム塩を生成可能でありかつオルト位若しくはパラ位にケトン基若しくはニトロ基を有するものであり、検査水への添加によりそれ自体で検査水を着色させることができるものである。このような芳香族第一級アミン化合物としては、例えば、1−アミノアントラキノン、2−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノン、2−アミノ−2’−フルオロ−5−ブロモベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4−フルオロ−2−ニトロアニリン、5−アミノ−2−ニトロベンゾトリフルオリド、4−アミノ−3−ニトロベンゾフェノン、2−アミノ−5−ニトロベンゾフェノンおよび4,6−ジニトロ−o−トルイジンを挙げることができる。
また、芳香族第一級アミン化合物は、上述のとおり亜硝酸イオンとの酸性下での反応によりジアゾニウム塩を生成可能でありかつオルト位若しくはパラ位にケトン基若しくはニトロ基を有するものであって、任意の位置、好ましくは空白のオルト位若しくはパラ位にスルホン酸基およびスルホン酸塩基のうちの少なくとも1つをさらに有するものであってもよい。このような芳香族第一級アミン化合物としては、例えば、2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム、4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウムおよび1−アミノ−4−ブロモアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムを挙げることができる。
本発明では、上述の芳香族第一級アミン化合物のうち、1−アミノアントラキノン、2−ニトロアニリン、2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノン、2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム、4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウムおよび1−アミノ−4−ブロモアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムからなる群から選択されたものを用いるのが特に好ましい。
本発明の発色剤は、実質的に上記芳香族第一級アミン化合物からなるもの、または、実質的に上記芳香族第一級アミン化合物と後記する還元剤とからなるものであってもよいが、通常、芳香族第一級アミン化合物を溶媒に溶解した溶液状のものとして提供されるのが好ましい。芳香族第一級アミン化合物を溶解するための溶媒としては、検査水と混和可能なものが用いられる。このような溶媒としては、通常、両親媒性溶媒または水が用いられる。
両親媒性溶媒は、親水性と親油性とを併せ持つ溶媒であり、本発明において好ましいものとして、例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン並びにメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ポリエチレングリコールおよびグリセリン等のアルコール類などが挙げられる。これらの両親媒性溶媒は、2種以上のものを適宜併用することもできる。両親媒性溶媒を溶媒として用いる場合、使用可能な芳香族第一級アミン化合物は、特に種類が限定されるものではなく、上述の各種のものを任意に選択して用いることができる。
なお、ジメチルスルホキシドを溶媒として用いた本発明の発色剤は、ジメチルスルホキシドの常圧下での融点(凝固点)が約18〜19℃と比較的高温であることから、寒冷な環境下で使用または保管したときに凝固する可能性がある。この場合、検査水の亜硝酸イオンを自動測定装置で定量しようとすると、検査水への発色剤の注入不良が発生し、定量結果の信頼性が損なわれる可能性がある。このため、ジメチルスルホキシドとしては、水の混和したものを用いるのが好ましい。ジメチルスルホキシドは、極性の高い両親媒性溶媒であることから、水と任意の割合で混和し得る。このことは、ジメチルスルホキシド分子と水分子との間の相互作用が大きいことを意味し、それは結果的にジメチルスルホキシドと水とが互いに大きな凝固点降下作用を示すことを意味する。したがって、水の混和したジメチルスルホキシドを溶媒として用いた発色剤は、寒冷環境下でも凝固しにくく、安定に使用することができる。
ジメチルスルホキシドに対する水の混和量は、特に限定されるものではないが、通常はジメチルスルホキシドに対して5〜20重量%程度に設定するのが好ましい。また、混和する水としては、逆浸透膜等により膜処理することで得られる純水、蒸留水およびイオン交換水等の精製水を用いるのが好ましい。
一方、芳香族第一級アミン化合物の溶媒として水を用いる場合、当該水としては上述の精製水を用いるのが好ましい。水を溶媒として用いる場合、使用可能な芳香族第一級アミン化合物は、水に溶解可能なものに種類が限定される。水に溶解可能な芳香族第一級アミン化合物としては、上述の任意の位置にスルホン酸基およびスルホン酸塩基のうちの少なくとも1つをさらに有するものが挙げられる。
本発明の発色剤は、還元剤をさらに含んでいてもよい。ここで使用可能な還元剤は、検査水に含まれる亜硝酸イオンと芳香族第一級アミン化合物との反応により生成するジアゾニウム塩について、そのジアゾニウムイオンのジアゾニオ基(−N2 +)を水素原子(−H)に還元可能なものであり、例えば、アルコール系化合物並びに次亜りん酸およびその塩からなる化合物群から選択された少なくとも1種の化合物である。還元剤として利用可能なアルコール系化合物としては、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、ポリエチレングリコールおよびグリセリンなどを挙げることができる。また、次亜りん酸塩としては、次亜りん酸ナトリウム、次亜りん酸カリウムおよび次亜りん酸カルシウム並びにこれら次亜りん酸塩の水和物などを挙げることができる。
なお、芳香族第一級アミン化合物の溶媒としてアルコール類を使用する場合、当該アルコール類が同時に上記還元剤として作用し得る。このため、アルコール類を溶媒として用いた本発明の発色剤は、さらに還元剤を用いる必要性は少ないが、アルコール類以外の上記還元剤をさらに含んでいてもよい。
本発明の発色剤が上記還元剤を含むものである場合、その発色剤の一形態のものは、芳香族第一級アミン化合物とともに還元剤が上述の溶媒に溶解しているものである。この場合、還元剤の使用量は、芳香族第一級アミン化合物と少なくとも等モルになるよう設定するのが好ましい。
また、上記還元剤を含む発色剤の他の形態のものは、芳香族第一級アミン化合物を含む上記溶媒からなる第1剤と、上記還元剤を含む第2剤とからなるものである。この場合、第2剤は、実質的に上記還元剤からなるものであってもよいし、上記還元剤を上記溶媒に溶解したものであってもよい。また、第2剤は、後記する亜硝酸イオンの定量操作時に検査水を酸性に設定可能な酸、例えば、塩酸や硫酸などの無機酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸若しくはコハク酸などの有機酸またはこれらの水溶液に溶解した溶液(好ましくは塩酸溶液)であってもよい。
次に、上述の発色剤を用いた亜硝酸イオンの定量方法を説明する。
検査水の亜硝酸イオンを定量するときには、先ず、所定量の検査水を採取し、この検査水へ発色剤を添加して反応させる(工程1)。ここで、検査水の全窒素を測定する場合は、発色剤を添加する前に検査水に含まれる窒素化合物を分解し、窒素化合物を亜硝酸イオンへ変換する前処理を実施する。例えば、検査水にペルオキソ二硫酸カリウム等の酸化剤を添加して加熱することで窒素化合物を酸化分解し、それにより生成する硝酸イオンをさらに還元して亜硝酸イオンへ変換する。
検査水の亜硝酸イオンを定量するときには、先ず、所定量の検査水を採取し、この検査水へ発色剤を添加して反応させる(工程1)。ここで、検査水の全窒素を測定する場合は、発色剤を添加する前に検査水に含まれる窒素化合物を分解し、窒素化合物を亜硝酸イオンへ変換する前処理を実施する。例えば、検査水にペルオキソ二硫酸カリウム等の酸化剤を添加して加熱することで窒素化合物を酸化分解し、それにより生成する硝酸イオンをさらに還元して亜硝酸イオンへ変換する。
このような前処理方法としては、例えば、日本工業規格 JIS K0102 「工場排水試験方法(2008)」の45.3に記載された「硫酸ヒドラジニウム還元法」や同45.4に記載された「銅・カドミウムカラム還元法」に記載の前処理方法を採用することができる。また、上記酸化分解により生成した硝酸イオンを酸性下で塩化バナジウム(III)により亜硝酸イオンへ還元する方法を採用することもできる。塩化バナジウム(III)を用いて酸性下で硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元可能なことは、下記の非特許文献2等の文献において知られている。また、前処理方法として、検査水に対して紫外線を照射する方法を採用することもできる。
郷康弘、分析化学、55巻、4号、259−262頁、2006年
検査水への発色剤の添加量は、検査水に含まれる亜硝酸イオンの全量が発色剤の芳香族第一級アミン化合物と反応することでジアゾニウム塩を生成するのに十分な量に設定する必要があり、検査水に含まれるものと想定される亜硝酸イオンに対し、芳香族第一級アミン化合物換算で少なくとも等モルに設定する必要がある。この点に関し、検査水中に含まれる窒素化合物から誘導される亜硝酸イオンを考慮すると、検査水に含まれる亜硝酸イオン濃度は一般的に0〜35mg[NO2 −]/L程度になるものと想定されることから、例えば、検査水の量を2.0mLとした場合の発色剤の添加量は、通常、芳香族第一級アミン化合物換算で1.5μmol以上になるよう設定するのが好ましい。但し、検査水の亜硝酸イオン濃度が35mg[NO2 −]/Lよりも大幅に低いことが判明している、または、想定されるような場合は、それを考慮して芳香族第一級アミン化合物換算での発色剤の添加量を1.5μmol未満に設定することもできる。
本発明の発色剤が既述のような第1剤と第2剤とからなる場合、検査水に対する第1剤の添加量は、上述の基準に従い、芳香族第一級アミン化合物換算による必要量に設定するのが好ましい。一方、第2剤の添加量は、還元剤換算での量が第1剤の芳香族第一級アミン化合物と少なくとも等モルになるよう設定するのが好ましい。第1剤と第2剤とは、検査水に対する添加順序が特に限定されるものではない。
この工程において、芳香族第一級アミン化合物と亜硝酸イオンとの反応は、酸性下で進行させる。具体的には、定量結果に影響する可能性がある窒素元素を含まずかつ芳香族第一級アミン化合物と亜硝酸イオンとの反応を阻害しない酸を検査水に添加することで検査水を酸性に調整し、その環境下で反応を進行させる。この反応により、検査水においてジアゾニウム塩が生成する。
酸としては、例えば、塩酸および硫酸などの無機酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸およびコハク酸などの有機酸並びにこれらの水溶液を用いることができるが、通常は塩酸またはその希釈水溶液を用いるのが好ましい。検査水に対する酸の添加時期は、発色剤を添加する前であってもよいし、発色剤の添加後であってもよい。発色剤が既述の第1剤と第2剤とからなり、しかも第2剤が酸に還元剤を溶解した溶液からなる場合、検査水は、この発色剤を添加することで酸性に調整することもできる。
検査水に対する酸の添加量は、検査水に含まれる亜硝酸イオンと発色剤の芳香族第一級アミン化合物との反応が安定に進行するように検査水を酸性に調整可能なように設定する必要があり、通常、検査水のpHが6.0以下になるように設定するのが好ましく、0〜4.0になるよう設定するのが特に好ましい。この観点から、第1剤と第2剤とからなる発色剤であって、第2剤が酸に還元剤を溶解した溶液からなる場合、当該第2剤は、還元剤換算での所要量を検査水へ添加したときに、当該検査水のpHが上述の好ましい範囲になるよう還元剤と酸との割合を調整するのが好ましい。
なお、検査水の全窒素を測定するために、検査水に含まれる窒素化合物を亜硝酸イオンへ変換するための上述の前処理をした結果、検査水が好ましいpH範囲の酸性にある場合、この検査水は、改めて酸を添加する必要はなく、発色剤の添加だけで上述の反応を進行させることができる。
この工程での反応は、通常、5〜40℃程度の室温で進行させることができる。反応に要する時間は、温度により変動するが、通常、1〜10分程度である。反応時間を短縮するために、検査水を適宜加熱することもできる。この場合、加熱温度は、40〜100℃に設定するのが好ましい。また、検査水が窒素化合物を亜硝酸イオンへ変換するための前処理が適用されたものである場合、当該前処理工程において、検査水は、通常、60℃以上に加熱されていることから、この工程は、その加熱状態を維持しながら実行することもできる。
この工程において、検査水は、添加した発色剤の芳香族第一級アミン化合物自体により着色する。また、検査水に含まれる亜硝酸イオンは、酸により調整された酸性下において芳香族第一級アミン化合物と反応し、ジアゾニウム塩を生成する。これにより、芳香族第一級アミン化合物により着色した検査水は、芳香族第一級アミン化合物が亜硝酸イオンとの反応のために消費されることで芳香族第一級アミン化合物自体による着色が退色(減退)するようになる。同時に、検査水は、上記反応により生成するジアゾニウム塩により、芳香族第一級アミン化合物によるものとは異なる別の波長域での着色が進行するようになる。
次に、工程1での反応後の検査水の吸光度を測定する(工程2)。ここで測定する吸光度は、検査水に残留している芳香族第一級アミン化合物が検査水に付与している着色の吸光度(以下、「吸光度A」と称することがある。)、または、亜硝酸イオンと芳香族第一級アミン化合物との反応により生成するジアゾニウム塩が検査水に付与している着色の吸光度(以下、「吸光度B」と称することがある。)である。
吸光度Aは、芳香族第一級アミン化合物そのものが検査水に付与する着色についてのものであり、この着色は芳香族第一級アミン化合物が検査水中の亜硝酸イオンとの反応で消費されるに従って着色強度が低下する。このため、吸光度Aと検査水における芳香族第一級アミン化合物濃度および亜硝酸イオン濃度とは相関性を有する。吸光度Aの測定波長は、芳香族第一級アミン化合物が検査水に付与する着色の極大吸収波長またはその付近の波長であり、発色剤において使用する芳香族第一級アミン化合物の種類により異なるため特定されるものではないが、通常は250〜600nmの範囲にある。
一方、吸光度Bは、反応により生成したジアゾニウム塩が検査水に付与する着色についてのものであり、この着色は反応の進行によりジアゾニウム塩濃度が高まるに従って着色強度が高まる。このため、吸光度Bと検査水におけるジアゾニウム塩濃度および亜硝酸イオン濃度とは相関性を有する。吸光度Bの測定波長は、生成するジアゾニウム塩が検査水に付与する着色の極大吸収波長またはその付近の波長であり、生成するジアゾニウム塩の種類(すなわち発色剤において使用する芳香族第一級アミン化合物の種類)により異なるため特定されるものではないが、通常は250〜600nmの範囲にある。
この工程では、吸光度Aまたは吸光度Bと亜硝酸イオン濃度との関係を予め調べて作成しておいた検量線に基づいて、吸光度Aまたは吸光度Bの測定値から検査水の亜硝酸イオン量を判定する。ここで作成する検量線は、亜硝酸イオン濃度と吸光度Aまたは吸光度Bとの間の直線関係が比較的高濃度の亜硝酸イオン濃度の範囲まで良好に成立することから、検査水に含まれる亜硝酸イオンの定量可能範囲がJIS法等の従来法で可能な範囲よりも広い0〜53mg/[NO2 −]/L(全窒素換算で0〜16mg[N]/L)の範囲になる。このため、本発明の発色剤は、亜硝酸イオンの含有量が多い検査水、例えば、全窒素の定量のために窒素化合物を既述の前処理により亜硝酸イオンへ変換したような検査水について亜硝酸イオンの定量をする場合に特に有効である。
工程2では、亜硝酸イオンの定量結果の信頼性を高めるために、吸光度Aと吸光度Bとの両方を測定し、各吸光度に基づいて検査水の亜硝酸イオン量を別々に判定することもできる。この場合、吸光度Aによる判定結果と吸光度Bによる判定結果とが実質的に一致していれば、定量結果の信頼性が高いものと判断することができる。
工程1において生成したジアゾニウム塩は、それを形成するジアゾニウムイオンのジアゾニオ基が容易に分解され、その基がヒドロキシル基(−OH)に変換された化合物(以下、変換化合物という場合がある。)を生成する傾向にある。例えば、芳香族第一級アミン化合物として1−アミノアントラキノンを用いた場合、そのジアゾニウムイオンのジアゾニオ基がヒドロキシル基に変換され、変換化合物として1−ヒドロキシアントラキノンが生成する。生成した変換化合物のヒドロキシル基は、芳香族第一級アミン化合物のアミノ基(−NH2)と同様に非共有電子対を有することから、それが結合している芳香族構造部分と共役系を形成する。このため、変換化合物は、芳香族第一級アミン化合物の極大吸収波長の近接波長に極大吸収波長を有する別の色素として検査水を着色し、工程2において測定する吸光度Aに影響する可能性がある。例えば、1−アミノアントラキノンによる着色の吸光スペクトルでは480nm付近が極大吸収波長になるが、変換化合物である1−ヒドロキシアントラキノンによる着色の吸光スペクトルでは極大吸収波長が400nm付近になる。変換化合物の生成は、検査水の温度が高い場合、例えば、工程2を適用する検査水が全窒素を定量するための前処理のために高温を維持している場合や工程1での反応を加熱下で実行した場合において、顕著である。
このため、工程2において吸光度Aを測定するときは、その測定精度を高め、それによって亜硝酸イオンの定量精度を高めるために、芳香族第一級アミン化合物の極大吸収波長付近の特定波長の光を検査水に対して照射可能な分光光度計を用いるのが好ましい。
これに対し、工程1で用いる発色剤として還元剤を含むものを用いた場合、工程1で生成したジアゾニウム塩のジアゾニウムイオンは、還元剤の作用を受けてジアゾニオ基が水素原子へ速やかに還元されることで変換化合物とは別の化合物に変換される。例えば、芳香族第一級アミン化合物が1−アミノアントラキノンの場合、この工程では、1−ヒドロキシアントラキノンの生成が抑えられ、代わりにアントラキノンが生成する。この別の化合物は、ジアゾニオ基の還元による水素原子が芳香族構造部分の共役系に関与しないことから検査水を着色しにくく、工程2での吸光度Aの測定に影響しにくい。
したがって、還元剤を含む発色剤を用いる場合は、分光光度計のような高価な光源に替えて、発光ダイオードのような波長幅を持った光を照射する安価な光源を用いることで吸光度Aを正確に測定することができる。結果的に、本発明の発色剤は、還元剤を含むものである場合、検査水における亜硝酸イオンの安価な自動測定装置の実現に貢献することができる。
工程2において吸光度Aを測定する場合、工程2の前に、工程1を経た検査水のpHが7より大きくなるよう調整するのが好ましい。吸光度Aは、検査水のpHが7以下のとき、pH値により数値が異なる場合があることから亜硝酸イオンの定量結果に多少の誤差を生じさせる可能性があるが、このような調整をすると、吸光度AはpHの影響による測定誤差が小さくなるため、亜硝酸イオン濃度の定量精度をより高めることができる。
検査水のpHは、通常、工程1の終了後の検査水へアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくは炭酸水素塩などのアルカリ化合物またはその水溶液を添加することで調整することができるが、通常は水酸化ナトリウム水溶液を添加することで調整するのが好ましい。
試薬および分光光度計
以下の実施例等で用いた試薬および分光光度計は次のものである。
亜硝酸性窒素標準液(イオンクロマトグラフ用):和光純薬工業株式会社 コード147−06341
10重量%塩酸:和光純薬工業株式会社 コード085−07535
1mol/L塩酸:和光純薬工業株式会社 コード083−01095
エタノール:和光純薬工業株式会社 コード052−00467
次亜りん酸ナトリウム一水和物:和光純薬工業株式会社 コード193−02225
0.2mol/L水酸化ナトリウム水溶液:和光純薬工業株式会社製の1mol/L水酸化ナトリウム溶液(コード192−02175)を蒸留水で希釈して濃度調整したもの。
1−プロパノール:和光純薬工業株式会社 コード162−04816
ジメチルスルホキシド(試薬特級):和光純薬工業株式会社 コード043−07216
1−アミノアントラキノン:東京化成工業株式会社 コードA0590
2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノン:東京化成工業株式会社 コードA0315
2−ニトロアニリン:東京化成工業株式会社 コードN0118
2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム:東京化成工業株式会社 コードN0371
4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム:東京化成工業株式会社 コードA0375
1−アミノ−4−ブロモアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム:東京化成工業株式会社 コードA0279
L−グルタミン酸:和光純薬工業株式会社 コード074−00505
硫酸アンモニウム:和光純薬工業株式会社 コード019−03435
ペルオキソ二硫酸カリウム:和光純薬工業株式会社 コード169−11891
水酸化ナトリウム−ペルオキソ二硫酸カリウム溶液:日本工業規格 JIS K0102「工場排水試験方法(2008)」の45.2「紫外吸光光度法」、a)試薬、4)の記載に従って調製したもの。ここで用いた水酸化ナトリウムは、和光純薬工業株式会社製の窒素測定用(コード191−08625)であり、また、ペルオキソ二硫酸カリウムは上記のものである。
塩化バナジウム(III):シグマアルドリッチジャパン株式会社 コード208272
ナフチルエチレンジアミン(窒素酸化物測定用):和光純薬工業株式会社 コード147−04141
分光光度計:株式会社島津製作所の商品名「UV−1600PC」
以下の実施例等で用いた試薬および分光光度計は次のものである。
亜硝酸性窒素標準液(イオンクロマトグラフ用):和光純薬工業株式会社 コード147−06341
10重量%塩酸:和光純薬工業株式会社 コード085−07535
1mol/L塩酸:和光純薬工業株式会社 コード083−01095
エタノール:和光純薬工業株式会社 コード052−00467
次亜りん酸ナトリウム一水和物:和光純薬工業株式会社 コード193−02225
0.2mol/L水酸化ナトリウム水溶液:和光純薬工業株式会社製の1mol/L水酸化ナトリウム溶液(コード192−02175)を蒸留水で希釈して濃度調整したもの。
1−プロパノール:和光純薬工業株式会社 コード162−04816
ジメチルスルホキシド(試薬特級):和光純薬工業株式会社 コード043−07216
1−アミノアントラキノン:東京化成工業株式会社 コードA0590
2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノン:東京化成工業株式会社 コードA0315
2−ニトロアニリン:東京化成工業株式会社 コードN0118
2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム:東京化成工業株式会社 コードN0371
4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム:東京化成工業株式会社 コードA0375
1−アミノ−4−ブロモアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム:東京化成工業株式会社 コードA0279
L−グルタミン酸:和光純薬工業株式会社 コード074−00505
硫酸アンモニウム:和光純薬工業株式会社 コード019−03435
ペルオキソ二硫酸カリウム:和光純薬工業株式会社 コード169−11891
水酸化ナトリウム−ペルオキソ二硫酸カリウム溶液:日本工業規格 JIS K0102「工場排水試験方法(2008)」の45.2「紫外吸光光度法」、a)試薬、4)の記載に従って調製したもの。ここで用いた水酸化ナトリウムは、和光純薬工業株式会社製の窒素測定用(コード191−08625)であり、また、ペルオキソ二硫酸カリウムは上記のものである。
塩化バナジウム(III):シグマアルドリッチジャパン株式会社 コード208272
ナフチルエチレンジアミン(窒素酸化物測定用):和光純薬工業株式会社 コード147−04141
分光光度計:株式会社島津製作所の商品名「UV−1600PC」
実施例1
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、2.0、4.0、6.0、8.0、10.0および12.0mg[N]/Lの7種類の亜硝酸イオン溶液を用意した。亜硝酸イオン濃度が0mg[N]/Lの亜硝酸イオン溶液は蒸留水をそのまま用い、また、他の亜硝酸イオン溶液は亜硝酸性窒素標準液を蒸留水で希釈することで亜硝酸イオン濃度を調整した。
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、2.0、4.0、6.0、8.0、10.0および12.0mg[N]/Lの7種類の亜硝酸イオン溶液を用意した。亜硝酸イオン濃度が0mg[N]/Lの亜硝酸イオン溶液は蒸留水をそのまま用い、また、他の亜硝酸イオン溶液は亜硝酸性窒素標準液を蒸留水で希釈することで亜硝酸イオン濃度を調整した。
(検量線の作成)
用意した7種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.0mLに対して1−アミノアントラキノンの1−プロパノール溶液(濃度0.2g/L)2.0mLを添加し、さらに10重量%塩酸0.5mLを添加してpHを0.6に設定した。この亜硝酸イオン溶液を25℃で15分間放置して反応させた後、反応液の282〜600nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図1に示す。
用意した7種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.0mLに対して1−アミノアントラキノンの1−プロパノール溶液(濃度0.2g/L)2.0mLを添加し、さらに10重量%塩酸0.5mLを添加してpHを0.6に設定した。この亜硝酸イオン溶液を25℃で15分間放置して反応させた後、反応液の282〜600nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図1に示す。
次に、測定した吸光スペクトルから1−アミノアントラキノンによる発色波長である480nmの吸光度(吸光度A)を抽出し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。また、測定した吸光スペクトルから反応により生成したジアゾニウム塩による発色波長である330nmの吸光度(吸光度B)を抽出し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。これらの結果を図2に示す。図2によると、作成した2種類の検量線は、いずれも、少なくとも亜硝酸イオン濃度が0〜12.0mg[N]/Lの範囲で高い直線性を示している。
実施例2
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、4.0、8.0、12.0および16.0mg[N]/Lの5種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、4.0、8.0、12.0および16.0mg[N]/Lの5種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(検量線の作成)
用意した5種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.5mLに対して2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノンのジメチルスルホキシド溶液(濃度0.5g/L)1.5mLを添加し、さらに1mol/L塩酸0.2mLを添加してpHを1.3に設定した。この亜硝酸イオン溶液を25℃で5分間放置して反応させた後、この反応液について2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノンによる発色波長である520nmの吸光度(吸光度A)を測定し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。また、反応液について、生成したジアゾニウム塩による発色波長である460nmの吸光度(吸光度B)を測定し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。これらの結果を図3に示す。図3によると、作成した2種類の検量線は、いずれも、少なくとも亜硝酸イオン濃度が0〜16.0mg[N]/Lの範囲で高い直線性を示している。
用意した5種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.5mLに対して2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノンのジメチルスルホキシド溶液(濃度0.5g/L)1.5mLを添加し、さらに1mol/L塩酸0.2mLを添加してpHを1.3に設定した。この亜硝酸イオン溶液を25℃で5分間放置して反応させた後、この反応液について2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノンによる発色波長である520nmの吸光度(吸光度A)を測定し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。また、反応液について、生成したジアゾニウム塩による発色波長である460nmの吸光度(吸光度B)を測定し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。これらの結果を図3に示す。図3によると、作成した2種類の検量線は、いずれも、少なくとも亜硝酸イオン濃度が0〜16.0mg[N]/Lの範囲で高い直線性を示している。
実施例3
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、2.0、4.0および6.0mg[N]/Lの4種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、2.0、4.0および6.0mg[N]/Lの4種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(検量線の作成)
用意した4種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.0mLに対して2−ニトロアニリンのジメチルスルホキシド溶液(濃度0.3g/L)0.5mLを添加し、さらに1mol/L塩酸水溶液に次亜りん酸ナトリウム一水和物を濃度(水和水を含む濃度)が10g/Lになるよう溶解した溶液0.2mLを添加してpHを1.2に設定した。この亜硝酸イオン溶液を25℃で10分間放置して反応させた後、反応液の315〜530nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図4に示す。
用意した4種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.0mLに対して2−ニトロアニリンのジメチルスルホキシド溶液(濃度0.3g/L)0.5mLを添加し、さらに1mol/L塩酸水溶液に次亜りん酸ナトリウム一水和物を濃度(水和水を含む濃度)が10g/Lになるよう溶解した溶液0.2mLを添加してpHを1.2に設定した。この亜硝酸イオン溶液を25℃で10分間放置して反応させた後、反応液の315〜530nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図4に示す。
次に、測定した吸光スペクトルから2−ニトロアニリンによる発色波長である415nmの吸光度(吸光度A)を抽出し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。結果を図5に示す。図5によると、作成した検量線は、少なくとも亜硝酸イオン濃度が0〜6.0mg[N]/Lの範囲で高い直線性を示している。
実施例4
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、4.0、8.0および12.0mg[N]/Lの4種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、4.0、8.0および12.0mg[N]/Lの4種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(検量線の作成)
用意した4種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.5mLに対し、2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウムのジメチルスルホキシド/蒸留水混合溶媒溶液(ジメチルスルホキシド(X)と蒸留水(Y)との体積混合割合(X:Y)が9:1の溶媒に濃度が0.5g/Lになるよう2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウムを溶解したもの)1.0mLを添加し、さらに10重量%塩酸1.0mLを添加してpHを0.2に設定した。各亜硝酸イオン溶液を室温(25℃)で20分間放置して反応させた後、反応液の300〜500nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図6に示す。
用意した4種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.5mLに対し、2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウムのジメチルスルホキシド/蒸留水混合溶媒溶液(ジメチルスルホキシド(X)と蒸留水(Y)との体積混合割合(X:Y)が9:1の溶媒に濃度が0.5g/Lになるよう2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウムを溶解したもの)1.0mLを添加し、さらに10重量%塩酸1.0mLを添加してpHを0.2に設定した。各亜硝酸イオン溶液を室温(25℃)で20分間放置して反応させた後、反応液の300〜500nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図6に示す。
次に、測定した吸光スペクトルから2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウムによる発色波長である400nmの吸光度(吸光度A)を抽出し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。結果を図7に示す。図7によると、作成した検量線は、少なくとも亜硝酸イオン濃度が0〜12.0mg[N]/Lの範囲で高い直線性を示している。
実施例5
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、4.0、8.0および12.0mg[N]/Lの4種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、4.0、8.0および12.0mg[N]/Lの4種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(検量線の作成)
用意した4種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.5mLを70℃に加熱し、それぞれに対して1−アミノアントラキノンのジメチルスルホキシド/蒸留水/エタノール混合溶媒溶液(ジメチルスルホキシド(X)、蒸留水(Y)およびエタノール(Z)の体積混合割合(X:Y:Z)が9:0.5:0.5の溶媒に濃度が0.6g/Lになるよう1−アミノアントラキノンを溶解したもの)1.0mLを添加し、さらに10重量%塩酸1.0mLを添加してpHを0.2に設定した。各亜硝酸イオン溶液を70℃で5分間反応させた後、反応液の350〜570nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図8に示す。
用意した4種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.5mLを70℃に加熱し、それぞれに対して1−アミノアントラキノンのジメチルスルホキシド/蒸留水/エタノール混合溶媒溶液(ジメチルスルホキシド(X)、蒸留水(Y)およびエタノール(Z)の体積混合割合(X:Y:Z)が9:0.5:0.5の溶媒に濃度が0.6g/Lになるよう1−アミノアントラキノンを溶解したもの)1.0mLを添加し、さらに10重量%塩酸1.0mLを添加してpHを0.2に設定した。各亜硝酸イオン溶液を70℃で5分間反応させた後、反応液の350〜570nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図8に示す。
次に、測定した吸光スペクトルから1−アミノアントラキノンによる発色波長である480nmの吸光度(吸光度A)を抽出し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。結果を図9に示す。図9によると、作成した検量線は、少なくとも亜硝酸イオン濃度が0〜12.0mg[N]/Lの範囲で高い直線性を示している。
実施例6
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、0.5、1.0、1.5および2.0mg[N]/Lの5種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、0.5、1.0、1.5および2.0mg[N]/Lの5種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(検量線の作成)
用意した5種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.0mLに対して4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウムの水溶液(濃度0.6g/L)0.2mLを添加し、さらに1mol/L塩酸0.2mLを添加してpHを1.1に設定した。この亜硝酸イオン溶液を25℃で10分間放置して反応させた後、この反応液について4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウムによる発色波長である370nmの吸光度(吸光度A)を測定し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。また、反応液について、生成したジアゾニウム塩による発色波長である260nmの吸光度(吸光度B)を測定し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。これらの結果を図10に示す。図10によると、作成した2種類の検量線は、いずれも、少なくとも亜硝酸イオン濃度が0〜2.0mg[N]/Lの範囲で高い直線性を示している。
用意した5種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.0mLに対して4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウムの水溶液(濃度0.6g/L)0.2mLを添加し、さらに1mol/L塩酸0.2mLを添加してpHを1.1に設定した。この亜硝酸イオン溶液を25℃で10分間放置して反応させた後、この反応液について4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウムによる発色波長である370nmの吸光度(吸光度A)を測定し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。また、反応液について、生成したジアゾニウム塩による発色波長である260nmの吸光度(吸光度B)を測定し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。これらの結果を図10に示す。図10によると、作成した2種類の検量線は、いずれも、少なくとも亜硝酸イオン濃度が0〜2.0mg[N]/Lの範囲で高い直線性を示している。
実施例7
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、4.0、8.0および12.0mg[N]/Lの4種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、4.0、8.0および12.0mg[N]/Lの4種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(検量線の作成)
用意した4種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.5mLに対して1−アミノ−4−ブロモアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムの水溶液(濃度1.0g/L)1.0mLを添加し、さらに10重量%塩酸水溶液に次亜りん酸ナトリウム一水和物を濃度(水和水を含む濃度)が10g/Lになるよう溶解した溶液0.5mLを添加してpHを0.5に設定した。この亜硝酸イオン溶液を60℃で10分間放置して反応させた後、反応液の330〜600nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図11に示す。
用意した4種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.5mLに対して1−アミノ−4−ブロモアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムの水溶液(濃度1.0g/L)1.0mLを添加し、さらに10重量%塩酸水溶液に次亜りん酸ナトリウム一水和物を濃度(水和水を含む濃度)が10g/Lになるよう溶解した溶液0.5mLを添加してpHを0.5に設定した。この亜硝酸イオン溶液を60℃で10分間放置して反応させた後、反応液の330〜600nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図11に示す。
次に、測定した吸光スペクトルから1−アミノ−4−ブロモアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムによる発色波長である480nmの吸光度(吸光度A)を抽出し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。結果を図12に示す。図12によると、作成した検量線は、少なくとも亜硝酸イオン濃度が0〜12.0mg[N]/Lの範囲で高い直線性を示している。
実施例8
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、2.0、4.0および6.0mg[N]/Lの4種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、2.0、4.0および6.0mg[N]/Lの4種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(検量線の作成)
用意した4種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.0mLに対し、2−ニトロアニリンのジメチルスルホキシド溶液(濃度0.3g/L)0.5mL、塩化バナジウム(III)の1mol/L塩酸溶液(塩化バナジウム(III)濃度10.0g/L)0.2mLおよび蒸留水0.4mLを添加し、pHを1.2に設定した。この亜硝酸イオン溶液を95℃で20分間加熱した後、反応液の315〜515nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図13に示す。
用意した4種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.0mLに対し、2−ニトロアニリンのジメチルスルホキシド溶液(濃度0.3g/L)0.5mL、塩化バナジウム(III)の1mol/L塩酸溶液(塩化バナジウム(III)濃度10.0g/L)0.2mLおよび蒸留水0.4mLを添加し、pHを1.2に設定した。この亜硝酸イオン溶液を95℃で20分間加熱した後、反応液の315〜515nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図13に示す。
次に、測定した吸光スペクトルから、2−ニトロアニリンによる発色波長である415nmの吸光度(吸光度A)を抽出し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。各濃度の亜硝酸イオン溶液の吸光度を表1に示し、また、表1に基づいて作成した検量線を図14に示す。表1において、吸光度の変化量は、亜硝酸イオン濃度が0.0mg[N]/Lの亜硝酸イオン溶液の吸光度を基準とした場合の変化量(減少量)である。図14によると、作成した検量線は、少なくとも亜硝酸イオン濃度が0〜6.0mg[N]/Lの範囲で高い直線性を示している。
(評価)
日本工業規格 JIS K0808 水質監視用全窒素自動計測器(2008)の6.2.4に記載された、L−グルタミン酸および硫酸アンモニウムを窒素換算濃度(mg[N]/L)で同量ずつ含む標準試料原液を調製し、これを希釈することで全窒素濃度が2.0および6.0mg[N]/Lの2種類の検査水試料を用意した。
日本工業規格 JIS K0808 水質監視用全窒素自動計測器(2008)の6.2.4に記載された、L−グルタミン酸および硫酸アンモニウムを窒素換算濃度(mg[N]/L)で同量ずつ含む標準試料原液を調製し、これを希釈することで全窒素濃度が2.0および6.0mg[N]/Lの2種類の検査水試料を用意した。
各検査水試料に含まれるL−グルタミン酸および硫酸アンモニウムを日本工業規格 JIS K 0102「工場排水試験方法(2008)」の45.2「紫外吸光光度法」に記載の方法により酸化分解した。より具体的には、同法の「c)操作」の1)〜4)に記載の方法により、水酸化ナトリウム−ペルオキソ二硫酸カリウム溶液を用い、各検査水試料のL−グルタミン酸および硫酸アンモニウムを120℃、30分の加熱条件で酸化分解した。そして、酸化分解処理後の各検査水試料2.4mLに対し、検量線の作成において用いたものと同じ2−ニトロアニリンのジメチルスルホキシド溶液0.5mLと塩化バナジウム(III)の1mol/L塩酸溶液0.2mLとを添加し、pHを1.2に設定した。なお、塩化バナジウム(III)は、酸化分解処理により生成した硝酸イオンを亜硝酸イオンへ還元するための還元剤として添加したものである。そして、各検査水試料を95℃で20分間加熱した後、反応液について415nmの吸光度(吸光度A)を測定し、この吸光度から作成した検量線に基づいて各検査水試料の亜硝酸イオン濃度を判定した。結果を表2に示す。
実施例9
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、4.0、8.0および12.0mg[N]/Lの4種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(亜硝酸イオン溶液の調製)
亜硝酸イオン濃度が0.0、4.0、8.0および12.0mg[N]/Lの4種類の亜硝酸イオン溶液を実施例1と同様の方法で用意した。
(検量線の作成)
用意した4種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.5mLに対し、1−アミノアントラキノンのジメチルスルホキシド溶液(濃度0.5g/L)1.0mL、塩化バナジウム(III)の10重量%塩酸溶液(塩化バナジウム(III)濃度10.0g/L)0.15mL、次亜りん酸ナトリウム一水和物の10重量%塩酸溶液(水和水を含めた次亜りん酸ナトリウム一水和物濃度5g/L)1.0mLおよび蒸留水0.5mLを添加し、pHを0.2に設定した。pHが上記のように設定された亜硝酸イオン溶液を95℃で10分間加熱した後、反応液の350〜600nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図15に示す。
用意した4種類の亜硝酸イオン溶液のそれぞれ2.5mLに対し、1−アミノアントラキノンのジメチルスルホキシド溶液(濃度0.5g/L)1.0mL、塩化バナジウム(III)の10重量%塩酸溶液(塩化バナジウム(III)濃度10.0g/L)0.15mL、次亜りん酸ナトリウム一水和物の10重量%塩酸溶液(水和水を含めた次亜りん酸ナトリウム一水和物濃度5g/L)1.0mLおよび蒸留水0.5mLを添加し、pHを0.2に設定した。pHが上記のように設定された亜硝酸イオン溶液を95℃で10分間加熱した後、反応液の350〜600nmの吸光スペクトルを測定した。結果を図15に示す。
次に、測定した吸光スペクトルから、1−アミノアントラキノンによる発色波長である480nmの吸光度(吸光度A)を抽出し、この吸光度から亜硝酸イオン濃度を判定するための検量線を作成した。各濃度の亜硝酸イオン溶液の吸光度を表3に示し、また、表3に基づいて作成した検量線を図16に示す。表3に表示した吸光度の変化量は、表1と同様のものである。図16によると、作成した検量線は、少なくとも亜硝酸イオン濃度が0〜12.0mg[N]/Lの範囲で高い直線性を示している。
(評価)
全窒素濃度が4.0および12.0mg[N]/Lの2種類の検査水試料を実施例8と同様にして用意した。
全窒素濃度が4.0および12.0mg[N]/Lの2種類の検査水試料を実施例8と同様にして用意した。
0.2mol/L水酸化ナトリウム水溶液にペルオキソ二硫酸カリウムを溶解し、ペルオキソ二硫酸カリウム濃度が30g/Lの溶液を調製した。各検査水試料2.5mLに対して調製した溶液を0.5mLずつ添加し、各検査水試料を95℃で60分間加熱した。続いて、検量線の作成において用いたものと同じ1−アミノアントラキノンのジメチルスルホキシド溶液1.0mL、塩化バナジウム(III)の10重量%塩酸溶液0.15mLおよび次亜りん酸ナトリウム一水和物の10重量%塩酸溶液1.0mLを添加し、pHを0.2に設定した。そして、各検査水試料を95℃で10分間加熱した後、反応液について480nmの吸光度を測定し、この吸光度から作成した検量線に基づいて各検査水試料の亜硝酸イオン濃度を判定した。結果を表4に示す。
比較例1
亜硝酸イオン濃度が0.0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9および1.0mg[N]/Lの11種類の亜硝酸イオン溶液を用意した。そして、各亜硝酸イオン溶液に対して日本工業規格 JIS K 0102、工場排水試験方法(2008)43.1.1(非特許文献1)に規定されたナフチルエチレンジアミン吸光光度法を適用し、540nmの吸光度と亜硝酸イオン濃度との関係を調べた。結果を図17に示す。
亜硝酸イオン濃度が0.0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9および1.0mg[N]/Lの11種類の亜硝酸イオン溶液を用意した。そして、各亜硝酸イオン溶液に対して日本工業規格 JIS K 0102、工場排水試験方法(2008)43.1.1(非特許文献1)に規定されたナフチルエチレンジアミン吸光光度法を適用し、540nmの吸光度と亜硝酸イオン濃度との関係を調べた。結果を図17に示す。
図17によると、亜硝酸イオン濃度の定量可能範囲は0〜0.3mg[N]/Lの範囲に止まり、本法で高濃度の亜硝酸イオンを定量することはできないことがわかる。
実施例10
次の3種類の溶媒を用意した。
(a)ジメチルスルホキシドのみからなるもの。
(b)ジメチルスルホキシド(X)と次亜りん酸ナトリウム一水和物水溶液(水和水を含めた次亜りん酸ナトリウム一水和物濃度10g/L(Y))とを体積比X:Yで95:5になるよう混合したもの。
(c)ジメチルスルホキシド(X)と次亜りん酸ナトリウム一水和物水溶液((b)で用いたものと同じもの(Y))とを体積比X:Yで90:10になるよう混合したもの。
次の3種類の溶媒を用意した。
(a)ジメチルスルホキシドのみからなるもの。
(b)ジメチルスルホキシド(X)と次亜りん酸ナトリウム一水和物水溶液(水和水を含めた次亜りん酸ナトリウム一水和物濃度10g/L(Y))とを体積比X:Yで95:5になるよう混合したもの。
(c)ジメチルスルホキシド(X)と次亜りん酸ナトリウム一水和物水溶液((b)で用いたものと同じもの(Y))とを体積比X:Yで90:10になるよう混合したもの。
各溶媒に1−アミノアントラキノンを濃度が0.5g/Lになるよう溶解し、薬液を調製した。調製された各薬液をそれぞれ100mLずつ個別のガラス容器に入れ、これらを冷凍庫内で一晩放置して完全に凍結させた後、冷凍庫から取出して融解し始めるまで室温(25℃)で放置した。そして、融解した薬液量と凝固している薬液量がおおよそ1:1の割合になった段階で、融解した薬液の温度(固液平衡温度)をアルコール温度計で測定した。結果を表5に示す。
表5によると、ジメチルスルホキシドは、水を混和することで凝固点が大きく低下することが判る。
Claims (10)
- 検査水に含まれる亜硝酸イオンの定量のために用いられる発色剤であって、
前記検査水と混和可能な溶媒と、
前記溶媒に溶解した、前記亜硝酸イオンとの反応によりジアゾニウム塩を生成可能でありかつオルト位若しくはパラ位にケトン基若しくはニトロ基を有する芳香族第一級アミン化合物と、
を含む亜硝酸イオン定量用発色剤。 - 前記芳香族第一級アミン化合物は、1−アミノアントラキノン、2−ニトロアニリン、2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノン、2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム、4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウムおよび1−アミノ−4−ブロモアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムからなる群から選ばれたものである、請求項1に記載の亜硝酸イオン定量用発色剤。
- 前記溶媒が水の混和したジメチルスルホキシドである、請求項1または2に記載の亜硝酸イオン定量用発色剤。
- 前記溶媒が水であり、前記芳香族第一級アミン化合物が任意の位置にスルホン酸基およびスルホン酸塩基のうちの少なくとも1つをさらに有するものである、請求項1に記載の亜硝酸イオン定量用発色剤。
- 前記芳香族第一級アミン化合物が2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム、4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウムおよび1−アミノ−4−ブロモアントラキノン−2−スルホン酸ナトリウムからなる群から選ばれたものである、請求項4に記載の亜硝酸イオン定量用発色剤。
- アルコール系化合物並びに次亜りん酸およびその塩からなる化合物群から選択された少なくとも1種の還元剤をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の亜硝酸イオン定量用発色剤。
- 前記還元剤が前記溶媒に溶解している、請求項6に記載の亜硝酸イオン定量用発色剤。
- 前記芳香族第一級アミン化合物を含む前記溶媒からなる第1剤と、前記還元剤を含む第2剤とからなる、請求項6に記載の亜硝酸イオン定量用発色剤。
- 検査水に含まれる亜硝酸イオンの定量のために用いられる発色剤であって、
前記亜硝酸イオンとの反応によりジアゾニウム塩を生成可能でありかつオルト位若しくはパラ位にケトン基若しくはニトロ基を有する芳香族第一級アミン化合物を含む、
亜硝酸イオン定量用発色剤。 - 前記芳香族第一級アミン化合物が任意の位置にスルホン酸基およびスルホン酸塩基のうちの少なくとも1つをさらに有するものである、請求項9に記載の亜硝酸イオン定量用発色剤。
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JP2011280133A JP2013130476A (ja) | 2011-12-21 | 2011-12-21 | 亜硝酸イオン定量用発色剤 |
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Cited By (1)
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CN104614370B (zh) * | 2015-01-20 | 2017-08-04 | 河南工程学院 | 一种基于纳米金的快速检测亚硝酸根的方法 |
-
2011
- 2011-12-21 JP JP2011280133A patent/JP2013130476A/ja active Pending
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