JP2013130318A - 自立壁式の排気冷却ユニット及び電子機器冷却方法 - Google Patents

自立壁式の排気冷却ユニット及び電子機器冷却方法 Download PDF

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Abstract


【課題】一群の電子機器を収容する架台又は筐体の仕様、形状等による構造上又は機能上の制約を受け難く、しかも、各架台又は筐体に収容された一群の電子機器の単位で熱負荷を個別処理することができる自立壁式の排気冷却ユニット及び電子機器冷却方法を提供する。
【解決手段】自立壁式の排気冷却ユニット(10)は、架台又は筐体(9)内に収容された複数の電子機器(2)を除熱すべく、電子機器と熱交換して昇温した室内空気を冷却し、冷却後の室内空気を室内空間に流出せしめる。排気冷却ユニットは、昇温後の室内空気の流動方向下流側に架台又は筐体から間隔を隔てて立設され且つ建築物の構成要素によって支持された複数の支柱(11)と、支柱間に開閉可能に支持され、架台又は筐体の背面と対向する開閉扉(12)とを有する。開閉扉には、架台又は筐体の背面(7)から排気された昇温後の室内空気を冷却して室内空間(5)に流出せしめる熱交換器(20)が組込まれる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自立壁式の排気冷却ユニット及び電子機器冷却方法に関するものであり、より詳細には、サーバ等の電子機器を除熱すべく電子機器の排気を一群の電子機器単位で冷却する自立壁式の排気冷却ユニット及び電子機器冷却方法に関するものである。
多数のサーバ機器、ルーター、IT機器、通信機器等の高負荷電子機器を収容するデータセンタ、IT機器管理施設又は携帯電話基地局のサーバ室、電算室又は通信機器室等の建設が近年急増している。この種の施設は、多量の顕熱を発熱する多数の電子機器を室内に収容することから、電子機器の顕熱を除熱するための高負荷対応の空調システムを必要としている。
例えば、データセンタ等におけるサーバ機器の高集積化・高密度化が近年殊に進んでおり、サーバ室内において大量の顕熱が発生する結果として、サーバ室の冷却に要する電力消費量が急速に増加する傾向が生じている。サーバ機器の多くは、前面から冷気の吸込みを行い、背面から暖気を排気する構造を有する。一般に、一群のサーバ機器がサーバラック又はキャビネット等の架台又は筐体内に収容される。
このようなサーバ室においては、サーバラック前面の吸気面を対向配置して吸気面間にコールドアイルを形成し、サーバラック背面の排気面を対向配置して排気面間にホットアイルを形成したホットアイル・コールドアイル方式のレイアウトが、熱効率向上のために一般に採用されている。このようなホットアイル・コールドアイル方式のサーバ室の空調システムは、例えば、特開2009-140421号公報(特許文献1)、特開2006-208000号公報(特許文献2)及び特開2004-184070号公報(特許文献3)に記載されている。
図17は、従来技術に係るサーバ室の空調システムの構成を概念的且つ模式的に示す縦断面図である。図において、空調システムは、サーバ室、プレナムチャンバ、空調機及び熱交換器等の相対的な位置関係によって示されており、空調空気循環回路を循環する空気流の流れが、矢印によって概念的に示されている。
複数のサーバを収容したサーバラック100がサーバ室111内に配列される。サーバ室は、天井119、床構造体110及び壁体113によって画成される。床構造体110は、フリーアクセスフロア又はネットワークフロア等の二重床構造のものであり、給気(サプライ側)プレナムチャンバ112が、床面構成材118とコンクリートスラブ等の床版117との間に形成される。
各サーバラック100は、操作面を構成する筐体前面101から冷気を取り込み、筐体背面102からサーバ室111の室内に熱排気するためのファン(図示せず)を内蔵する。サーバラック100は、この種のサーバ室において一般に採用される前述のホットアイル・コールドアイル方式に配置されている。ホットアイル・コールドアイル方式のレイアウトにおいては、給気を要する筐体前面101同士が対向配置され、筐体前面101の間にコールドアイルCが形成されるとともに、熱排気を行う筐体背面102同士が対向配置され、筐体背面102の間にホットアイルHが形成される。コールドアイルCを室内上部空間から遮蔽する遮蔽板105が、隣り合うサーバラック100の上部を架橋するように配置される。コールドアイルCの床面構成材118には、冷却空気を上方に吹出す給気口(図示せず)が配設される。
循環空気冷却用の熱交換器(冷却コイル)115及び送風機116を内蔵した空調機107が空調機械室114内に配置される。空調機械室114は、間仕切壁120によってサーバ室111から区画される。空調機107は、床下の給気プレナムチャンバ112に冷却空気(冷気)を送風する。冷気は、コールドアイルCの給気口を介してコールドアイルCに上向きに吹出し、サーバラック100の吸気面(筐体前面101)からサーバラック100内に吸引される。サーバラック100内のサーバ機器を除熱して昇温した空気(暖気)は、サーバラック100の排気面(筐体背面102)からホットアイルH及び室内上部空間に排気され、実線矢印で示すように天井裏の還気チャンバ121を介して空調機107に還流し、或いは、破線矢印で示すように室内上部空間を介して空調機107に還流する。
このようなホットアイル・コールドアイル方式の空調システムは、サーバ室全体を空調する空調機によってサーバ室内の全サーバ機器を冷却する構成のものであるが、各サーバラック単位でサーバ機器を個別に冷却する技術として、サーバラックの後部ドアに熱交換器を組込んだ構成の冷却装置が知られている。図18は、このように後部ドアに熱交換器を組込んだサーバラックの構成を概略的に示す縦断面図である。なお、図18には、空気流の流れが、矢印によって概念的に示されている。
図18には、複数のサーバ機器210(破線で示す)を収容した背面排気方式のサーバラック200が示されている。サーバ室211の室内空間は、床面構成材218、天井構造体219及び隔壁(図示せず)によって区画されており、サーバラック200は、床面構成材218上に設置される。サーバラック200は、筐体前面201から室内空気を取り込み、サーバラック200内の空気を筐体背面の通気性後部ドア202を介して室内空間に排気するファン208を備える。後部ドア202は、プレートフィン型熱交換器203を備える。床下配線・配管スペース212が、床面構成材218と床版217との間に形成される。冷水又は冷媒の熱源機器(図示せず)に連結された冷水又は冷媒の供給管204及び還流管205が熱交換器203に連結される。熱源機器の冷水又は冷媒は、熱交換器203、供給管204及び還流管205を含む冷水又は冷媒の循環回路を循環する。サーバ機器と熱交換して昇温したサーバラック200内の空気は、熱交換器203を循環する冷水又は冷媒と熱交換して降温し、矢印で示すように室内空間に流出した後、筐体前面201からサーバラック200内に再び流入する。
このように熱交換器を後部ドアに一体的に組込んだ形式のサーバラックは、例えば、特開2009-133544号公報(特許文献4)、特開2009-133561号公報(特許文献5)、米国特許出願公開US2006/0232945号公報(特許文献6)及び米国特許出願公開US2008/0232069号公報(特許文献7)に記載されている。
特開2009-140421号公報 特開2006-208000号公報 特開2004-184070号公報 特開2009-133544号公報 特開2009-133561号公報 米国特許出願公開US2006/0232945号公報 米国特許出願公開US2008/0232069号公報
しかしながら、ホットアイル・コールドアイル方式の空調システムを備えた前述のサーバ室(図17)においては、サーバ機器を除熱して昇温した暖気は、主に室内上部空間を流動して空調機に還流し、或いは、天井裏の還気チャンバを介して空調機に還流するように構成されているので、還気流路を構成する室内上部空間又は天井裏還気チャンバを形成すべく、比較的大きな天井高又は階高を確保する必要が生じる。天井高又は階高の増大は、建物全体の高さ、建設費、工期等を増大又は延長する要因となるので、このような天井高又は階高の増大を回避する対策が望まれる。
また、この形式の空調システムにおいては、サーバラックの背面側に流出した相対的に高温の空気がサーバラックの前面側にショートサーキットし、サーバラックに流入する空気流の温度が局部的又は過渡的に上昇し易い傾向があるので、このような暖冷気混合に起因した冷却負荷の増大に適応すべく、サーバラック前面の空気吸込み温度(設計条件)を若干高い温度に設定するとともに、空調機の冷気送風温度(設計条件)を若干低い温度に設定する必要が生じる。このような暖冷気の混合を防止する手段として、コールドアイルを室内上部空間から遮蔽する遮蔽板を設置する対策が前述のとおり知られているが、このような遮蔽板の設置は、サーバラックのレイアウト、構造、形状及び寸法等の設計自由度を制約する傾向がある。
更に、サーバ機器の高集積化・高密度化に起因する多量の発熱を除熱するには、空調機の送風量を増大する必要があることから、送風動力増大に伴う消費電力の増大、空調空気搬送路の断面寸法及び断面積の増大、熱負荷制御の応答性又は制御性の低下等の問題が生じる。
他方、熱交換器を後部ドアに一体的に組込んだ形式のサーバラックにおいては、各サーバラック単位で熱負荷を処理し得るので、このような問題は生じ難いが、サーバラックの後部ドアに組込んだ熱交換器は、その構造及び機能がサーバラックの構造及び機能と密接に関連するので、熱交換器をサーバラック構成部品として予め工場製作せざるを得ない事情がある。このため、この形式のサーバラックを採用する場合、サーバラックの製造者、機種、仕様、形状、構造、寸法等が予め限定されてしまうので、サーバラックの選択自由度、汎用性、互換性、拡張性等の点において難点がある。また、このように熱交換器を後部ドアに一体的に組込んだサーバラックは、価格的にも高価であり、しかも、熱源の種類がサーバラックの仕様に相応して限定されてしまうので、建築物全体の空調熱源との関係で最適な熱源を任意に選択し難く、従って、このような熱交換器組込み型サーバラックの採用は、建築物全体のエネルギー効率又は熱効率の最適化や、サーバ機器冷却手段の冗長化等を困難にする傾向がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一群の電子機器を収容する架台又は筐体の仕様、形状等による構造上又は機能上の制約を受け難く、しかも、各架台又は筐体に収容された一群の電子機器の単位で熱負荷を個別処理することができる自立壁式の排気冷却ユニット及び電子機器冷却方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成すべく、架台又は筐体内に収容された複数の電子機器を除熱すべく、前記電子機器と熱交換して昇温した室内空気を冷却し、冷却後の室内空気を室内空間に流出せしめる自立壁式の排気冷却ユニットであって、
昇温後の前記室内空気の流動方向下流側に前記架台又は筐体から間隔を隔てて立設され且つ建築物の構成要素によって支持された複数の支柱と、
該支柱によって支柱間に開閉可能に支持され、前記架台又は筐体の背面と対向する開閉扉とを有し、
該開閉扉には、前記架台又は筐体の背面から排気された昇温後の前記室内空気を冷却して前記室内空間に流出せしめる熱交換器が組込まれたことを特徴とする自立壁式の排気冷却ユニットを提供する。
好ましくは、上記排気冷却ユニットは、支柱及び扉と架台又は筐体との間に形成された排気流動領域から昇温後の室内空気が流動方向側方に流出するのを阻止する遮風手段を有する。更に好ましくは、遮風手段は、支柱に支持され且つ架台又は筐体に向かって延びる遮風板からなり、遮風板は、架台又は筐体と支柱との間の隙間を閉塞する。
本発明は又、架台又は筐体内に収容された複数の電子機器を除熱すべく該架台又は筐体内に室内空気を流入せしめ、前記電子機器と熱交換して昇温した室内空気を冷却し、冷却した室内空気を室内空間に排気する電子機器冷却方法において、
昇温後の前記室内空気の流動方向下流側に前記架台又は筐体から間隔を隔てて複数の支柱を立設し且つ該支柱を建築物の構成要素によって支持し、
熱交換器を組込んだ開閉扉を前記支柱の間に開閉可能に取付け且つ該支柱によって支持し、前記支柱及び開閉扉と前記架台又は筐体との間に排気流動領域を形成し、
前記電子機器を冷却して昇温し且つ前記架台又は筐体の背面から前記排気流動領域に排気された前記室内空気を前記熱交換器によって冷却して室内空間に流出せしめることを特徴とする電子機器冷却方法を提供する。
好ましくは、上記排気流動領域に流出した空気流が排気流動領域から流動方向側方に流出するのを阻止する気流制御手段が設けられ、気流制御手段は、空気流を熱交換器に案内する。更に好ましくは、気流制御手段は、支柱から架台又は筐体に向かって延びる遮風板からなり、遮風板は、架台又は筐体と支柱との間の隙間を閉塞する。所望により、支柱から突出する遮風板の寸法の相違、或いは、支柱に対する遮風板の角度の変化によって、支柱と架台又は筐体との相対位置又は離間距離等の相違が補償される。
本発明の上記構成によれば、自立壁式の排気冷却ユニットは、サーバラック等の架台又は筐体から間隔を隔てて立設された支柱と、支柱によって支持され且つ熱交換器を備えた開閉扉とを備える。支柱及び扉は、架台又は筐体の背後に間隔を隔てて配置される。支柱及び扉は、架台又は筐体から独立し、従って、架台又は筐体の仕様、形状等による構造上又は機能上の制約を受けることなく排気冷却ユニットを設計することができる。また、支柱間の領域を選択的に開放可能な開閉扉は、架台又は筐体の背面側からの電子機器の維持・管理又は操作を可能にする。更に、各架台又は筐体の背面から排気された比較的高温の室内空気は、開閉扉に組込まれた熱交換器によって冷却されるので、各架台又は筐体に収容された一群の電子機器の単位で熱負荷を個別処理することができる。
本発明によれば、一群の電子機器を収容する架台又は筐体の仕様、形状等による構造上又は機能上の制約を受け難く、しかも、各架台又は筐体に収容された一群の電子機器の単位で熱負荷を個別処理し得る排気冷却ユニット及び電子機器冷却方法を提供することができる。また、本発明によれば、建築物全体の空調熱源との関係で最適な熱源を熱交換器の熱源として任意に選択し得るので、建築物全体のエネルギー効率の向上や、電子機器冷却手段の冗長化等を比較的容易に実施することができる。
図1は、本発明の好適な実施例に係る自立壁式の排気冷却ユニットの構成を示す縦断面図である。 図2は、図1に示す排気冷却ユニットの横断面図である。 図3は、図1に示す排気冷却ユニットの概略斜視図である。 図4は、サーバラック及び排気冷却ユニットを配設したサーバ室の全体構成を示す縦断面図及び平面図である。 図5は、サーバラック及び排気冷却ユニットを配設したサーバ室の他の構成を示す縦断面図である。 図6は、複数のサーバラック及び排気冷却ユニットをサーバ室内に配列した構成を示す平面図である。 図7は、図6のI−I線における縦断面図である。 図8は、図6のII−II線における縦断面図である。 図8は、図6のIII−III線における縦断面図である。 図10は、熱交換器の熱源系統の構成を概略的に示すシステム構成図である。 図11は、排気冷却ユニットの使用例を示すサーバ室の平面図である。 図12は、排気冷却ユニットの他の使用例を示すサーバ室の平面図である。 図13は、排気冷却ユニットの更に他の使用例を示すサーバ室の平面図である。 図14は、排気冷却ユニットの更に他の使用例を示すサーバ室の平面図である。 図15は、図6〜図9に示す開閉扉の下部に設けられたドレン受け装置の構成を示す部分拡大斜視図である。 図16は、図6〜図9に示す開閉扉に付加的に設けられた補助圧送装置の構成を示す開閉扉の縦断面図である。 図17は、従来技術に係るサーバ室の空調システムの構成を概念的且つ模式的に示す縦断面図である。 図18は、サーバ機器を冷却する他の従来技術の構成を概念的且つ模式的に示す断面図である。
本発明の好適な実施形態によれば、上記開閉扉は、支柱と平行な軸線を中心に回動可能に支柱に枢支される。所望により、支柱は、開閉扉の上方に位置する建築物の天井構造体に延び、天井構造体と開閉扉との間に形成された空間を閉鎖する幕板が支柱又は天井構造体によって支持される。
好ましくは、複数の熱交換器が、空気流の流動方向に直列に配置され、各々の熱交換器には、別系統の冷熱源の冷水又は冷媒が供給される。このような構成によれば、電子機器冷却手段を比較的容易に冗長化することができる。
更に好ましくは、排気冷却ユニットは、架台又は筐体に流入する室内空気、排気流動領域の室内空気(昇温後の室内空気)、或いは、熱交換器から流出した室内空気の空気温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段の検出結果に基づいて熱交換器の冷却能力を可変制御する冷却制御手段とを有する。
本発明の好適な実施形態において、上記開閉扉は、熱交換器から滴下した結露水を受入れるドレン受け具と、ドレン受け具内に滞留した結露水を昇温後の室内空気によって気化させる蒸発手段とを有する。熱交換器から滴下した結露水は、開閉扉の下部ドレン受け具に受入れられ、ドレン受け具内に滞留した結露水は、昇温後の室内空気によって気化する。このような構成によれば、ドレン配管の施工を省略することが可能となる。
本発明の他の好適な実施形態において、上記開閉扉は、熱交換器を通過する空気流の圧力損失を補償し、或いは、空気流を昇圧する空気搬送手段を有する。このような構成によれば、十分な室内空気循環風量を比較的容易に確保することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
図1、図2及び図3は、本発明の好適な実施例に係る自立壁式排気冷却ユニットの構成を示す縦断面図、横断面図及び概略斜視図である。図4は、図1〜図3に示す排気冷却ユニットを室内全域に整列配置したサーバ室の全体構成を示す縦断面図及び平面図である。なお、図1〜図4を含む以下の各図には、気流の流れが矢印で概念的に示されている。
図1には、床構造体50、天井構造体59及び壁体53(図4)によって区画されたサーバ室5が示されている。床構造体50は、サーバ室5の床面を形成する非通気性の床面構成材58と、サーバ室5を下層階等に対して水平区画する床版57とから構成される。床面構成材58及び床版57の間には、サーバ室5の電気配線、制御配線、通信配線、熱媒体配管、制御配管等を配線・配管するための配管・配線スペース52が画成される。
床面構成材58の上面、即ち、床面51には、空冷式サーバラック1が配置される。サーバラック1の筐体9内には、破線で示すように複数のサーバ機器2が実装される。サーバラック1は、筐体9にヒンジ連結された片開き式の後部ドア3を筐体背面7に備える。図2に破線で示すように後部ドア3を外側(後方)に開放することにより、サーバラック1内の領域を開放し、サーバ機器2の維持・管理、改修、増設、撤去等の作業を行うことができる。操作面を構成するサーバラック1の筐体前面6は、室内空気が容易に流通可能な通気性を有し、後部ドア3も又、室内空気が容易に流通可能な通気性を有する。サーバラック1は、排熱面を構成する後部ドア3の筐体背面7からサーバ機器2の熱排気を行う複数の内蔵ファン8(破線で示す)を備える。サーバラック1は、内蔵ファン8の誘引圧力下に筐体前面6から室内空気(冷気)を取り込み、内蔵ファン8の吐出圧力下にサーバラック1内の空気を筐体後方に強制排気する。
図1〜図3に示す如く、自立壁式の排気冷却ユニット10がサーバラック1の背後に配置される。排気冷却ユニット10は、サーバラック1の後方(室内空気の流動方向下流側)に立設された左右一対の鉛直支柱11と、支柱11の間に配置された開閉扉12と、開閉扉12の上方域を閉鎖する幕板13とを有する。支柱11は、正方形断面の金属管材、例えば、角形鋼管、アルミニウム製又はステンレス製の角形管材等からなる。
支柱11は、支柱11の下端部に固定されたベースプレート14をアンカーボルト(図示せず)によって床版57に係留することにより所定位置に立設される。支柱11は、床面構成材58を貫通して鉛直上方に延びる。支柱11の上端部は、天井構造体59に固定され、或いは、天井構造体59を貫通して上階の床版57(図4)に固定される。
開閉扉12は、上下方向に離間した複数の丁番(蝶番)又はヒンジ15(図2)によって片側の支柱11に枢着され、図2に破線で示す如く支柱11廻りに回動可能に支持される。丁番(蝶番)又はヒンジ15は、上下方向に間隔を隔てて支柱11に取付けられる。開閉扉12の表面及び裏面は、通気性を有する面材16によって形成される。面材16として、例えば、パンチングメタル、金属製メッシュ材等を好適に使用し得る。伝熱コイルを有するパネル形態のプレートフィン型熱交換器20が表裏の面材16の間に収容され、開閉扉12内に内装される。熱交換器20の冷却能力は、伝熱コイルの列数及び密度等の設定によって任意に設定される。後部ドア3と対峙する開閉扉12の裏面は、筐体背面7から所定間隔を隔てて配置されており、排気流動領域30がサーバラック1と開閉扉12との間に形成される。
図1に示す如く、冷水又は冷媒の熱源に連結された熱媒体給送管21及び熱媒体還流管22が、熱交換器20の熱媒体流入ポート20a及び熱媒体流出ポート20bに接続されるとともに、熱交換器20の結露水を排出するためのドレン管23(破線で示す)が開閉扉12の下端部に接続される。好ましくは、開閉扉12の回動を容易にするために、熱媒体給送管21、熱媒体還流管22及びドレン管23は、少なくとも部分的に可撓管により形成される。なお、所望により、熱媒体給送管21及び熱媒体還流管22を室内上部空間等に配管することも可能である。
冷水又は冷媒等の熱媒体流体を給排制御するための流量制御弁24、25が、熱媒体給送管21及び熱媒体還流管22に介装される。流量制御弁24、25は、制御信号線(図1に一点鎖線で示す)によって制御ユニット40に接続される。制御ユニット40は、制御信号線(図1に一点鎖線で示す)によって温度検出器41、42に接続される。温度検出器41は、例えば、サーバラック1の筐体前面6に配設され、サーバラック1の吸込み空気温度を検出する。温度検出器42は、例えば、支柱11の室内側部分に配設され、排気冷却ユニット10から室内に流出する冷却空気の温度を検出する。
排気冷却ユニット10は更に、排気流動領域30を区画するための上部遮風板31及び側部遮風板32を備える。遮風板31は、ヒンジ33(図1)によって幕板13に枢着され、水平軸線を中心に回動する。遮風板31は、幕板13とサーバラック1との間に架設され、排気流動領域30の空気が上方に流出するのを阻止する。左右一対の遮風板32は、ヒンジ34(図2)によって左右の支柱11に夫々枢着され、鉛直軸線を中心に回動する。遮風板32は、支柱11とサーバラック1との間に配置され、排気流動領域30の空気が側方に流出するのを阻止するとともに、排気流動領域30に流出した空気流を熱交換器20に向かって案内する気流制御手段として機能する。所望により、開閉扉12と筐体背面7との離間距離設定又は相対位置設定の可変性又は設計自由度を向上すべく、遮風板31、32を寸法調節可能な伸縮構造、例えば、スライド式構造、入れ子式構造等に設計しても良い。また、遮風板31、32同士の間、或いは、遮風板31、32と筐体9との間に形成される僅かな隙間を適切に閉塞するための可撓材、フラップ、シール手段等を遮風板31、32に設けても良い。
図1〜図3に矢印で示すように、サーバラック1は、内蔵ファン8の作動によって室内空気を筐体前面6から筐体9内に吸引する。室内空気は、サーバ機器2を除熱して昇温した後、内蔵ファン8の吐出圧力下に排気流動領域30に流出する。排気流動領域30は、遮風板31、32によって区画されているので、排気流動領域30に流入した空気は、開閉扉12の熱交換器20を通過して室内空間に流出する。熱交換器20を流通する空気は、熱交換器20を循環する冷水又は冷媒と熱交換して冷却する。温度降下して室内空間に流出した空気は、室内空間を介して筐体前面6からサーバラック1内に再び吸引される。かくして、サーバ機器2は、サーバラック1を循環する室内空気により除熱され、室内空気は、熱交換器20を循環する冷水又は冷媒によって冷却される。
一般に、サーバラック1の排気温度は、約25〜35℃であり、従って、遮風板31、32によって区画された排気流動領域30の雰囲気温度は、約25〜35℃である。熱交換器20の出口空気温度(目標値)は、18〜22℃の範囲内の温度に設定される。熱交換器20によって冷却された冷却空気は、室内空間を循環してサーバラック1の筐体前面6からサーバラック1内に吸い込まれるが、室内の熱負荷等により若干温度上昇するので、サーバラック1の吸込み空気温度(目標値)は、20〜25℃の範囲内の温度に設定される。なお、排気流動領域30が遮風板31、32によって区画され、従って、サーバラック1の排気の一部がサーバラック1の筐体前面6に直に吸い込まれるショートサーキットを確実に防止することができるので、熱交換器20の出口空気温度(目標値)を20〜25℃の範囲内の温度に設定することも可能である。また、サーバ室5の室内空間には、外調機で調温・調湿された外気が導入され、サーバラック1を循環する空気に混合するので、必要に応じて外気混合の影響を更に考慮することが望ましい。
制御ユニット40は、温度検出器41、42の検出結果に基づいて流量制御弁24、25の開度又は開閉等を可変制御し、熱交換器20の出口空気温度(冷却空気温度)およびサーバラック1の吸込み空気温度を温度設定値(目標値)に制御する。
図4(A)及び図4(B)は、サーバラック1及び排気冷却ユニット10を室内全域に配置したサーバ室5の全体構成を示す縦断面図及び平面図である。
複数のサーバ機器2(図1)を内装した多数のサーバラック1を並列配置したサーバ室5の全体構成が図4(A)及び図4(B)に示されている。サーバ室5は、床構造体50、天井構造体59及び壁体53によって区画されている。サーバラック1は、従来のホットアイル・コールドアイル方式のラック配列と同様、給気を要する筐体前面6同士を対向配置した状態に配列される。各々のサーバラック1に対応する排気冷却ユニット10が、各サーバラック1の筐体背面7に沿って配置される。対向する排気冷却ユニット10の間に形成されたメンテナンス通路Eは、排気流路を構成する。対向する筐体前面6の間に形成されたメンテナンス通路Sは、給気流路を構成する。
サーバ室5の室内空気は、サーバラック1の内蔵ファン8の吸引圧力下にサーバラック1内に吸引され、サーバ機器2を除熱して昇温した後、排気冷却ユニット10によって冷却され、メンテナンス通路Eに排気される。不使用(従って、内蔵ファン8の作動を停止中)のサーバラック1に並設された排気冷却ユニット10は、熱交換器20に対する冷水又は冷媒の供給を停止される。しかしながら、各サーバラック1の除熱機能は、対応する排気冷却ユニット10の冷却能力に依存する。即ち、使用中の各サーバラック1におけるサーバ除熱機能は、他のサーバラック1の使用・不使用の影響を受けない。また、一部のサーバラック1の不使用に伴ってサーバ室全体の循環空気量は低減するが、使用中の各サーバラック1におけるサーバ除熱機能は、サーバ室全体の循環空気量の低減による影響を実質的に受けない。かくして、サーバラック1の内蔵ファン8による室内空気の循環と、排気冷却ユニット10の熱交換器20の冷却作用とによる各サーバラック単位の個別空調が実現し、これにより、各サーバラック1内のサーバ機器2は、各サーバラック単位で除熱される。
図5は、サーバラック1及び排気冷却ユニット10を並列配置したサーバ室5の他の構成を示す縦断面図である。
図1〜図4に示すサーバ室5においては、サーバ室5の階高低減を重視し、室内空間において室内空気循環を行うように構成されているが、図5に示すサーバ室5は、給気(サプライ側)プレナムチャンバ54を床面構成材58と床版57との間に形成した構成を有し、メンテナンス通路Eの冷却空気は、床面排気口(図示せず)を介して給気プレナムチャンバ54に流入し、床面給気口(図示せず)を介してメンテナンス通路Sに供給される。このような構成によれば、図1〜図4に示すサーバ室5に比べて、サーバ室5の階高は増大するが、床下空間に配置された配線・配管の発熱を除去するために室内空間の冷却空気を用いることができる。
図6は、複数のサーバラック1及び排気冷却ユニット10をサーバ室5内に配列した構成を示す平面図であり、図7、図8及び図9は、図6のI−I線、II−II線及びIII−III線における断面図である。
図6〜9には、サーバ機器2(図1)を内装した多数のサーバラック1を床面51上に2列に配列してなるサーバ室5の構成が示されている。各々のサーバラック1に対応する排気冷却ユニット10が、熱排気を行うサーバラック1の筐体背面7に沿って配置される。将来的なサーバラック1の増設を考慮した予備の排気冷却ユニット10を図6に示すように付加的に設置しても良く、この場合、サーバラック1の数よりも多い数量の排気冷却ユニット10がサーバ室5内に配設される。図5に示すサーバ室5と同じく、メンテナンス通路Eの冷却空気は、床面排気口55(図9)を介して給気プレナムチャンバ54に流入し、床面給気口56(図9)を介してメンテナンス通路Sに供給される。
なお、図1〜図5に示す排気冷却ユニット10は、パネル単体からなる幕板13を備えるが、図6〜9に示す排気冷却ユニット10においては、幕板13は、支柱11の頂部11aを架橋する横架材17と、横架材17と天井構造体59との間に嵌め込まれたパネル材18とによって形成される。支柱11の頂部11aは、連結具11bによって天井構造体59に連結され、遮風板31は、水平軸線を中心に回動可能に横架材17に枢着される。
また、図1〜図5に示す排気冷却ユニット10においては、開閉扉12は、単一の熱交換器20を内装した構造を有するが、図6〜9に示す開閉扉12は、熱交換器20の外側(又は内側)に熱交換器60を更に内装した複式構造を有する。重畳配置又は重合配置された熱交換器20、60は、通過気流に対して直列に位置するので、排気冷却ユニット10の最大冷却能力は大幅に増大し又は倍増する。
図10は、熱交換器20、60の熱源系統の構成を概略的に示すシステム構成図(配管系統図)である。図10において、熱交換器20の熱源系統は実線で示され、熱交換器60の熱源系統は破線で示されている。
熱交換器20、60は、互いに独立した冷熱源系70、80を有する。冷熱源系70は、ターボ冷凍機等の冷熱源機器71と、冷水を循環する冷水循環ポンプ72と、冷水及び冷媒の熱交換器75と、冷水給送管73及び冷水還流管74を含む冷水循環回路とから構成される。冷熱源系80は、ターボ冷凍機等の冷熱源機器81と、冷水を循環する冷水循環ポンプ82と、冷水及び冷媒の熱交換器85と、冷水給送管83及び冷水還流管84を含む冷水循環回路とから構成される。冷熱源機器71の冷水は、冷水循環ポンプ72の圧力下に冷水給送管73、熱交換器75及び冷水還流管74の循環回路を循環し、冷熱源機器81の冷水は、冷水循環ポンプ82の圧力下に冷水給送管83、熱交換器85及び冷水還流管84の循環回路を循環する。
熱交換器75には、熱媒体給送管21及び熱媒体還流管22が連結され、熱媒体給送管21及び熱媒体還流管22は、分岐管21a、21b、22a、22b等を介して各排気冷却ユニット10の熱交換器20に連結される。熱交換器85には、熱媒体給送管61及び熱媒体還流管62が連結される。熱媒体給送管61及び熱媒体還流管62は、分岐管61a、61b、62a、62b等を介して各熱交換器60に連結される。熱交換器20、75、熱媒体給送管21及び熱媒体還流管22(分岐管を含む)は、例えば、冷媒自然循環システム(VCS(登録商標))を構成し、熱交換器75において凝縮した冷媒(熱媒体流体)は、熱媒体給送配管21内を重力下に流下して熱交換器20の蒸発器26に供給され、蒸発器26において気化した冷媒は、熱媒体還流管22内を上昇し、熱交換器75に還流する。同様に、熱交換器60、85、熱媒体給送管61及び熱媒体還流管62(分岐管を含む)も又、例えば、冷媒自然循環システム(VCS(登録商標))を構成し、熱交換器85において凝縮した冷媒は、熱媒体給送管61内を重力下に流下して熱交換器60の蒸発器66に供給され、蒸発器66において気化した冷媒は、熱媒体還流管62内を上昇し、熱交換器85に還流する。このような冷媒自然循環システム(VCS)については、例えば、特開平11−230577号公報等に詳細に記載されているので、更なる詳細な説明は、省略する。
熱交換器20に対する冷媒の供給量は、制御ユニット40(図1)の制御下に流量制御弁24によって調整又は調節され、熱交換器60に対する冷媒の供給量は、制御ユニット40(図1)の制御下に流量制御弁64によって調整又は調節される。例えば、冷熱源機器71、81の冷水供給温度は約5℃に設定され、冷熱源機器71、81の冷水還流温度は約10℃に設定される。熱交換器75、85の冷媒凝縮温度は約11℃に設定され、熱交換器20、60の冷媒気化(蒸発)温度は14℃に設定される。開閉扉12を通過するサーバラック1の排気は、熱交換器20、60を循環する冷媒と熱交換して冷却する。サーバラック1の排気温度は約35℃に設定され、開閉扉12の出口温度は約20℃に設定される。
図6〜10に示す各排気冷却ユニット10は、このように二重配列された熱交換器20、60を有し、各熱交換器20、60は、独立の冷熱源系70、80に接続されており、従って、開閉扉20の最大冷却能力を増大し得るのみならず、熱源系統の二重化によるサーバラック冷却系の冗長化が実現する。
図11〜14は、排気冷却ユニット10の使用例を示すサーバ室の平面図である。
排気冷却ユニット10は、サーバラック1から独立した構造を有するので、排気冷却ユニット10及びサーバラック1は、任意に配置することができる。例えば、図11に示すように排気冷却ユニット10を規則的に2列に整列配置する一方、サーバラック1を不規則に配置し、将来的に増設されるサーバラック1のスペースを任意の位置に残すことができる。また、図12に示すように、将来的にサーバラック1を増設すべきスペースには排気冷却ユニット10を設置せず、サーバラック1の増設時に同時に排気冷却ユニット10を増設するようにしても良い。更に、図13に示すように、寸法及び形状が相違するサーバラック1を配列することも可能である。このような使用例においては、例えば、支柱11に対して複数又は特殊形状の遮風板32を取付け、或いは、幕板13に複数又は特殊形状の遮風板31を取付けるような設計が考慮される。更には、将来的にサーバラック1を増設すべきスペースCを図14に示すようにパネル材等の間仕切壁19によって区画し、スペースCを倉庫等の収納空間として利用しても良い。また、スペースCを外気導入チャンバとして利用し、或いは、スペースCを排気チャンバ等の用途に利用しても良い。前者の場合、スペースCに導入された外気は、熱交換器20、60によって調温及び/又は調湿された後、開閉扉12を介して室内空間に供給される。
図15は、図6〜図9に示す開閉扉12の下部に設けられたドレン受け装置90の構成を示す部分拡大斜視図である。
図15には、熱交換器20、60の結露水を受入れるドレン受け装置90が図示されている。ドレン受け装置90は、熱交換器20、60の全幅に亘って延在する金属製又は樹脂製の樋状ドレン受け具91と、熱交換器20、60の下端部から垂下した繊維質可撓面材94とから構成される。ドレン受け具91は、左右の側壁頂部を開閉扉12の四周枠27に係止することにより開閉扉12の下側に取付けられる。ドレン受け具91の側壁には、円形通気孔92、93が穿設される。円形通気孔92は排気流動領域30に連通し、通気孔93は室内空間に連通する。面材94の下部は、ドレン受け具91の底部に滞留した液溜Wに浸漬され、ドレン受け具91内の領域は、面材94によって分割される。
熱交換器20、60から滴下した結露水は、液溜Wとしてドレン受け具91の底部に滞留し、面材94の毛管力により面材94に吸い上げられる。排気流動領域30に流出した比較的高温の排気は、図15に破線の矢印で示す如く通気孔92からドレン受け具91内に流入し、面材94を通過して通気孔92から室内空間に流出する。サーバ室5は、一般に潜熱負荷が比較的小さいので、排気流動領域30内に排気された比較的高温・低湿の室内空気は、面材94の毛管力により吸い上げられた液溜Wの結露水を気化する。このため、液溜Wの結露水は、排気冷却ユニット10の継続運転に伴って消失する。このようなドレン受け装置90を用いた場合、ドレン管23(図1)の配管を省略することが可能となる。
なお、熱交換器20、60の伝熱面温度を室内空気の露点温度以上の温度に設定して結露水を発生させず、或いは、結露水の発生を防止する手段を採用することが一般に望ましいが、サーバラック1の熱負荷と熱交換器20、60の伝熱面積との関係で熱交換器20、60の伝熱面温度を室内空気の露点温度以下に設定しなければならない場合、このようなドレン受け装置90の採用は、有利である。
図16は、図6〜図9に示す開閉扉12に付加的に設けられた補助圧送装置95の構成を示す開閉扉12の縦断面図である。
前述の各実施例は、サーバラック内蔵ファン8によって室内空気を循環するように構成したものであるが、コイル列数の増大等に起因して熱交換器20、60の圧力損失が増大した場合、内蔵ファン8の静圧(全圧)によっては、室内空気循環風量を十分に確保し難い条件が生じ得る。図16には、このような条件において開閉扉12の表面(室内側面)に装着可能な補助圧送装置95が示されている。
補助圧送装置95は、開閉扉12の四周枠28に固定された金属製又は樹脂製の排気ダクト96と、ダクト96内に配設されたラインファン97とから構成される。排気ダクト96は、開閉扉12の通気性面材16を全体的に覆う。排気ダクト96の排気流路98は、面材16から流出した排気をラインファン97の吸引口に案内する。ラインファン97は、制御ユニット40(図1)を介して外部電源に接続される。ラインファン97の吐出口は、排気ダクト96の排気チャンバ99に開口する。排気流路98の空気は、ラインファン97の圧力下に排気チャンバ99から室内空間に流出する。
このような補助圧送装置95を空気搬送手段として備えた排気冷却ユニット10によれば、サーバラック内蔵ファン8の静圧(全圧)の不足をラインファン97の静圧(全圧)によって補い、十分な室内空気循環流量を確保することができる。なお、サーバラック内蔵ファン8の停止時においても所望の室内空気循環風量を確保し得る十分な静圧(全圧)の送風機を補助圧送装置95に設け、補助圧送装置95をフェイルセーフ機構として用い、或いは、内蔵ファンを備えないサーバラックを採用することも可能である。
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において種々の変更又は変形が可能であり、かかる変更又は変形例も又、本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
例えば、上記実施例では、熱交換器は、フィンチューブ型熱交換器であるが、他の伝熱構造を有する熱交換器を採用しても良い。
また、上記実施例では、支柱は、天井構造体まで延びるが、支柱頂部を開閉扉の上枠レベルに位置決めし、支柱頂部を横架材によって相互連結しても良い。このような構成において上部の遮風板が必要な場合には、遮風板は、横架材とサーバラックとの間に架設される。
更に、上記実施例では、幕板等とサーバラックとの間に上部遮風板を架設しているが、サーバラックの高さが天井高と実質的に同じ場合には、上部遮風板を省略することも可能である。
本発明に係る排気冷却ユニット及び電子機器冷却方法は、多数又は大容量の電子機器、IT機器、電算機、通信機器等を室内に収容したサーバ室、データセンタ、IT機器管理施設、携帯電話基地局等において、各架台又は筐体に収容された電子機器を冷却するのに使用される。殊に、本発明の排気冷却ユニット及び電子機器冷却方法は、多数のサーバ機器を実装したサーバラックを収容するデータセンタ等のサーバ室において、サーバ機器を冷却する手段として好適に使用し得る。本発明の排気冷却ユニット及び電子機器冷却方法によれば、一群の電子機器を収容する架台又は筐体の仕様、形状等による構造上又は機能上の制約を受け難く、しかも、各架台又は筐体に収容された一群の電子機器の単位で熱負荷を個別処理することができるので、その実用的価値は、顕著である。
1 サーバラック
2 サーバ機器
3 後部ドア
5 サーバ室
6 筐体前面
7 筐体背面
8 サーバラック内蔵ファン
9 筐体
10 排気冷却ユニット
11 鉛直支柱
12 開閉扉
13 幕板
16 通気性面材
20 熱交換器
30 排気流動領域
31、32 遮風板
40 制御ユニット
41、42 温度検出器

Claims (6)

  1. 架台又は筐体内に収容された複数の電子機器を除熱すべく、前記電子機器と熱交換して昇温した室内空気を冷却し、冷却後の室内空気を室内空間に流出せしめる自立壁式の排気冷却ユニットであって、
    昇温後の前記室内空気の流動方向下流側に前記架台又は筐体から間隔を隔てて立設され且つ建築物の構成要素によって支持された複数の支柱と、
    該支柱によって支柱間に開閉可能に支持され、前記架台又は筐体の背面と対向する開閉扉とを有し、
    該開閉扉には、前記架台又は筐体の背面から排気された昇温後の前記室内空気を冷却して前記室内空間に流出せしめる熱交換器が組込まれたことを特徴とする自立壁式の排気冷却ユニット。
  2. 前記支柱及び扉と前記架台又は筐体との間に形成された排気流動領域から流出した昇温後の前記室内空気が流動方向側方に流出するのを阻止する遮風手段を有することを特徴とする請求項1に記載の排気冷却ユニット。
  3. 前記支柱は、開閉扉の上方に位置する建築物の天井構造体に延び、該天井構造体と前記開閉扉との間に形成された空間を閉鎖する幕板が前記支柱又は前記天井構造体によって支持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気冷却ユニット。
  4. 架台又は筐体内に収容された複数の電子機器を除熱すべく該架台又は筐体内に室内空気を流入せしめ、前記電子機器と熱交換して昇温した室内空気を冷却し、冷却した室内空気を室内空間に排気する電子機器冷却方法において、
    昇温後の前記室内空気の流動方向下流側に前記架台又は筐体から間隔を隔てて複数の支柱を立設し且つ該支柱を建築物の構成要素によって支持し、
    熱交換器を組込んだ開閉扉を前記支柱の間に開閉可能に取付け且つ該支柱によって支持し、前記支柱及び開閉扉と前記架台又は筐体との間に排気流動領域を形成し、
    前記電子機器を冷却して昇温し且つ前記架台又は筐体の背面から前記排気流動領域に排気された前記室内空気を前記熱交換器によって冷却して室内空間に流出せしめることを特徴とする電子機器冷却方法。
  5. 前記排気流動領域に流出した空気流が該排気流動領域から流動方向側方に流出するのを気流制御手段によって阻止するとともに、該気流制御手段によって前記空気流を前記熱交換器に案内することを特徴とする請求項4に記載の電子機器冷却方法。
  6. 前記支柱から突出する前記遮風板の寸法の相違、或いは、前記支柱に対する前記遮風板の角度の変化によって、前記支柱と前記架台又は筐体との相対距離又は相対位置の相違を補償することを特徴とする請求項4又は5に記載の電子機器冷却方法。
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