以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。ターボ分子ポンプは、ポンプシステムとして、真空排気を行うポンプユニットと、ポンプユニットを駆動制御するコントロールユニットとを備えている。図1は、ポンプユニット1の概略構成を示す断面図である。図1に示したターボ分子ポンプは磁気軸受式のポンプであり、ロータ30は、5軸制御型磁気軸受を構成する磁気軸受37,38によって非接触支持される。磁気軸受37,38によって回転自在に磁気浮上されたロータ30は、モータ36により回転駆動される。モータ36には、例えば、DCブラシレスモータが用いられる。ロータ30の回転数は回転数センサ23によって検出される。回転数センサ23には、例えばインダクタンス式のセンサが用いられる。
ロータ30には、排気機能部として、複数段の回転翼32と円筒状のネジロータ31とが形成されている。一方、固定側には、排気機能部として、軸方向に対して回転翼32と交互に配置された複数段の固定翼33と、ネジロータ31の外周側に設けられたネジステータ39が設けられている。各固定翼33は、それぞれ一対のスペーサリング35によって軸方向上下から挟持されるように積層され、ベース20上に載置されている。吸気口フランジ21が形成されたポンプケーシング34をベース20に固定すると、積層されたスペーサリング35がベース20とポンプケーシング34との間に挟持され、各固定翼33が位置決めされる。
ベース20には排気ポート22が設けられ、この排気ポート22にバックポンプが接続される。ロータ30を磁気浮上させつつモータ36により高速回転駆動することにより、吸気口側の気体分子は排気ポート22側へと排気される。
図2は各磁気軸受37,38の電磁石の配置を示す図であり、ロータ30の回転軸30aをz軸方向とした。磁気軸受37,38は5軸制御型磁気軸受を構成している。すなわち、磁気軸受37Aは回転軸30aを挟んで対向配置された1組の電磁石37Axと1組の電磁石37Ayとを有し、磁気軸受37Bは回転軸30aを挟んで対向配置された1組の電磁石37Bxと1組の電磁石37Byとを有し、磁気軸受38はスラストディスク30bを挟んで対向配置された1組の電磁石38zを有している。5軸制御型磁気軸受の場合、5組10個の電磁石を有している。
図3は、コントロールユニットの概略構成を示すブロック図である。外部からのAC入力は、コントロールユニットに設けられたAC/DCコンバータ40によってDC電圧に変換される。そのDC電圧はDC/DCコンバータ41に入力され、そこでモータ用のDC電圧と磁気軸受用のDC電圧とが生成され、それらはモータ用のDC電源42Aおよび磁気軸受用のDC電源42Bにそれぞれ入力される。
DC電源42A,42Bは出力電圧が可変な電源である。モータ36を駆動するインバータ43には、DC電源42AのDC電圧が印加される。また、磁気軸受37,38を構成する電磁石に励磁電流を供給する複数の励磁アンプ100には、DC電源42BのDC電圧が印加される。10個の磁気軸受電磁石200は、図2に示した10個の電磁石に対応するものであり、各磁気軸受電磁石200毎に励磁アンプ100が設けられている。
制御部44はモータおよび磁気軸受の制御を行うデジタル演算器であり、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)などが用いられる。制御部44は、DC電源42A,42Bに対しては出力電圧を設定するための出力電圧制御信号401,402を出力し、状況に応じて異なる電圧(例えば、高電圧VHおよび低電圧VL)をDC電源42A,42Bから出力させる。また、制御部44は、インバータ43および各励磁アンプ100を制御する制御部としても機能し、インバータ43および各励磁アンプ100のスイッチング素子を駆動するためのPWM信号403,404を各々に出力する。詳細は後述する。
なお、インバータ43にPWM信号を出力する機能と各励磁アンプ100にPWM信号を出力する機能とを個別にIC出力するように構成すると、それらのために広い基板面積が必要となる。また、各々のPWM信号を決めるためのデューティ比に基づいてDC電源42A,42Bの電圧制御を行っているので、多数の配線パターンが必要となる。PWM信号はデジタル演算器で処理が容易なので、本実施の形態ではデジタル演算器としてFPGA等を使用し、PWM信号生成機能もデジタル演算器内部で行わせるように構成することで、複数のICやそれらに関する配線パターンを省略することができ、回路基板の小型化が図れる。
図4はインバータ43を示す図である。インバータ43には、複数のスイッチング素子SW1〜SW6が設けられている。スイッチング素子SW1〜SW6には、MOSFETやIGBTなどのパワー半導体素子が用いられる。D1〜D6は環流ダイオードである。モータステータ361に設けられたU,V,W相コイルに流れる電流は、電流センサ45U,45V,45Wによってそれぞれ検出される。
制御部44は、電流センサ45U,45V,45Wによって検出された電流値および回転数センサ23によって検出された回転数に基づいて、スイッチング素子SW1〜SW6をオンオフ制御するためのPWM信号を生成する。PWM信号により各スイッチング素子SW1〜SW6をオンオフすることにより、U,V,W相コイルにモータ駆動電流が供給される。
図5は、励磁アンプ100の構成を示す図である。図5に示した磁気軸受電磁石200は、一軸の磁気軸受を構成する一対の電磁石の一方に対応している。そのため、5軸磁気軸受では、磁気軸受電磁石200を合計で10個備えている。励磁アンプ100は各磁気軸受電磁石200に対して設けられる。励磁アンプ100は、直列接続されたスイッチング素子とダイオードとを直列接続したものを、さらに2つ並列接続したものである。磁気軸受電磁石200は、スイッチング素子SW10およびダイオードD10の中間と、スイッチング素子SW11およびダイオードD11の中間との間に接続される。
スイッチング素子SW10,SW11には、制御部44からPWM信号が入力される。スイッチング素子SW10,SW11は同時にオンオフされ、両方ともオンの場合には実線矢印で示すように電流が流れ、両方ともオフの場合には破線矢印で示すように電流が流れる。
(モータ駆動の説明)
図6は、120度通電(矩形波駆動)でモータ36を駆動する場合の励磁シーケンスを示す図である。図6では、各スイッチング素子SW1〜SW6のオンオフタイミング、および、U相電流,V相電流,W相電流を示した。丸で囲った1〜12の数字はステップ順を示している。スイッチング素子SW1〜SW6は、High信号でオンされ、Low信号でオフされる。例えば、ステップ1では、図4のスイッチング素子SW1およびSW5がオンされ、U相コイルに正方向の電流が流れ、V相コイルに負方向の電流が流れる。続くステップ2では、スイッチング素子SW1およびSW6がオンされ、U相コイルに正方向の電流が流れ、W相コイルには負方向の電流が流れる。
図6に示すような手順でスイッチング素子SW1〜SW6をオンオフすることにより、モータステータ361に回転磁界が形成され、その回転磁界によってモータロータが回転駆動される。モータロータの回転速度(すなわち回転数)は、スイッチングの周期を変えることにより可変とされる。また、図6に示すHigh信号の区間におけるPWM信号のデューティ比を変えることによって、モータ電流の制御、すなわちモータ電力の制御が行われる。デューティ比を大きくするとモータ電流は大きくなり、逆に、デューティ比を小さくするとモータ電流が小さくなる。
上述のように、モータ回転速度(すなわち回転数)は図6に示すスイッチングの周期によって決まり、スイッチング周期を短くすれば回転速度は速くなり、逆に、スイッチング周期を長くすれば回転速度は遅くなる。しかし、ガス負荷等が加わってモータ負荷が増大した場合、そのときのモータ電力が小さいとスイッチング周期で決まる回転数を維持できなくなって、モータの回転数が減少する。
一般に、ターボ分子ポンプを使用する場合には、モータ回転は一定の目標回転数(通常は定格回転数)とされ、その目標回転数に維持できる程度の電力で回転駆動されている。そのため、ガス流入量ゼロの状態からガス流入が開始されてモータ負荷が増加した場合には、モータ電流を増加させてモータ回転数を定格回転数に維持するようにしている。すなわち、デューティ比を制御して定格回転数が維持されるようにしている。ガス流入が停止されて再び無負荷状態となると、モータ電力が大きいままだと回転数が上昇傾向となるので、回転数が一定に維持されるようにデューティ比を変化させる制御が働き、再びデューティ比は低下する。
従来のターボ分子ポンプではインバータ入力電圧が一定値に固定されているため、上述したモータ電力の調整はPWM信号のデューティ比を変化させることで行っている。図7は、PWM制御時の相コイルの電圧波形(PWM電圧波形)と電流波形とを示したものである。図7(a),(b)はガス流量がゼロの無負荷定格回転(低負荷)の場合を示し、図7(c),(d)はモータ負荷が高負荷の場合を示す。高負荷の場合、モータ電流を大きくするようにデューティ比Dが大きな値に設定され、そのときのPWM電圧波形は図7(c)に示すようになる。図7(c)に示す例では、デューティ比DはD2=Δt2/Δtとなっている。図7(d)は、図7(c)に示すPWM電圧波形の場合の電流波形を示す。
一方、無負荷定格回転時には、回転を維持するために必要なモータ電力は非常に小さくて済む。従来のターボ分子ポンプにおいては、インバータ入力電圧はモータの最大負荷に合わせた電圧に設定されている。そのため、無負荷定格回転時のデューティ比Dは、図7(a)に示すように小さな値D1(=Δt1/Δt)となる。
ところで、電流波形におけるPWMスイッチングリップルの傾きはV/L(Vはインバータ入力電圧、Lはコイルのインダクタンス)に依存するが、インバータ入力電圧は負荷の大小に関わらず一定に保たれている。そのため、低負荷の場合も高負荷の場合も、PWMスイッチングリップルの傾きは同じになる。PWMスイッチングリップルは高調波成分の原因となり、傾きが大きいほど高調波成分が増加する。そのため、鉄損(渦電流損)が大きくなり、エネルギーロスが大きくなる。
そこで、本実施の形態では、電力的に余裕のある低負荷時には、インバータ入力電圧を低くすることでPWMスイッチングリップルの傾きが緩やかになるようにし、高調波成分の発生を低減するようにした。すなわち、インバータ入力電圧であるDC電源42Aの出力電圧を上述のように可変とすることで、モータ負荷が低い場合には、モータ負荷が高い場合よりも低いインバータ入力電圧に設定するようにした。
図8はモータ負荷に応じたインバータ入力電圧の制御例の一例を示したものであり、高負荷時にはインバータ入力電圧を高電圧VHとし、低負荷時にインバータ入力電圧を低電圧VLに変更するようにした。図8(a),(b)は高負荷時、例えばガス負荷が大きい場合におけるPWM電圧波形と電流波形とを示したものである。一方、図8(c),(d)は低負荷時、例えばガス負荷が比較的小さい場合や無負荷時におけるPWM電圧波形と電流波形とを示したものである。ここでは、無負荷定格回転時における状況を示した。
高電圧VHは、従来のターボ分子ポンプにおけるインバータ入力電圧と同程度に設定される。そのため、図8(a)に示すように、高負荷時におけるデューティ比Dは図7(c)に示す場合のデューティ比D2の場合と同様に大きくなる。
一方、低電圧VLは、無負荷定格回転時におけるデューティ比Dが、図7(a)に示す従来の無負荷定格回転時におけるデューティ比D1よりも大きくなるように設定されている。図7(a),(b)に示す状態から図8(c),(d)に示す状態に切り換える場合、低電圧VLとなった場合のデューティ比D3(=Δt3/Δt)は、モータに供給される電力がインバータ入力電圧の設定切換前後でほぼ等しくなるように設定される。すなわち、図7(a),(b)の場合の電力と図8(c),(d)に示す場合の電力とがほぼ等しくなるように設定される。言い換えると、無負荷時には、インバータ入力電圧が低電圧VLの場合にはデューティ比D1で定格回転数N0に維持され、インバータ入力電圧が高電圧VHの場合にはデューティ比D3で定格回転数N0に維持される。
電圧切り換え後のインバータ入力電圧VLは切り換え前の電圧VHよりも低いので、図8(d)に示すように電流波形の立ち上がりが緩やかになり、モータ電流に含まれる高調波成分が小さくなる。
図9は、本実施の形態におけるインバータ入力電圧およびデューティ比の制御の一例を説明するフローチャートである。図9に示す制御は、ロータ30が磁気軸受により磁気浮上され、モータ回転指令が制御部44に入力されるとスタートする。ステップS110では、インバータ入力電圧Vを高電圧VHに設定し、モータ駆動を開始する。
ステップS110の処理によりモータ駆動を開始したならばステップS120に進み、モータ回転数を定格回転数N0まで上昇させる加速制御が開始される。すなわち、回転数センサ23により検出された回転数に基づいて、モータ回転数が目標回転数である定格回転数N0となるように、検出された回転数をフィードバックしてPWM信号のデューティ比Dを設定する。
例えば、定格回転数N0と検出回転数Nとの差分(=N0−N)が所定値ΔN以上の場合にはデューティ比を増加させ、差分が−ΔN以下であった場合にはデューティ比を減少させる。そして、|差分|<ΔNの場合、すなわち定格回転数範囲内となった場合にはデューティ比を変化させず維持させるようにする。また、ステップS110の初期値D0を1とし、デューティ比D=1で加速を開始し、回転数Nが予め定めた回転数N1(<N0)よりも大きくなったならば、上述のように差分に応じてデューティ比制御を行うようにしても良い。
図10は、モータ駆動開始後のデューティ比D、インバータ入力電圧および回転数の時間的変化の一例を示したものである。時刻t1にモータの回転駆動を開始すると、デューティ比Dは初期値D0から徐々に増加する。図10に示す例では時刻t2の時点でD=1となる。その後、回転数Nが定格回転数N0に近付くとデューティ比Dは減少しはじめ、最終的には無負荷定格回転を維持できる値(ここではD1)まで減少する。デューティ比D1においてはモータ負荷とモータ供給電力とが釣り合って回転数(=定格回転数N0)が一定となる。図10に示す例では、デューティ比DがD1となった後に回転数Nが定格回転数N0に達しているが、デューティ比Dの制御の仕方によっては、いったん定格回転数N0を越えた後に減少してN=N0となる場合もある。
図9のステップS130では、回転数センサ23により検出された回転数Nが定格回転数N0となったか否かを判定し、定格回転数N0と判定されるとステップS140へ進んで加速制御を停止する。続くステップS150では、回転数Nが定格回転数N0に維持されるようなデューティ比制御(速度フィードバック制御)を開始する。すなわち、検出される回転数Nが定格回転数N0よりも低下したならばデューティ比Dを増加させ、逆に、回転数Nが定格回転数N0よりも大きくなった場合にはデューティ比Dを減少させる。
ステップS160では、デューティ比Dが所定の値D4以下であるか否かを判定する。ここで、デューティ比D4はインバータ入力電圧を高電圧VHから低電圧VLへと切り替える閾値であって、モータ電流の高調波成分が問題となり始めるデューティ比D1よりもやや大きめに設定される。
ところで、モータ負荷が大きいか小さいかを判定する場合には、負荷情報としてのモータ電流値から判定する方法がある。しかし、モータ電流値を監視しながらインバータ入力電圧を制御する場合、大きな電流値が検出されても、それがノイズにより流れた電流なのか制御部44からの指令に応じて流れた電流なのか分かりづらい。また、そのようなことを避けるために、ノイズなどの影響をなくすために電流値をフィルタ処理した場合には、フィルタによる時間遅れが出てしまうことがある。
そこで、本実施の形態では、モータ電流を流すための指令値であるPWM信号に着目し、PWM信号の変化を監視しながらインバータ入力電圧を変更するようにした。PWM信号を用いる場合、スイッチングリップルやノイズの影響も無く、フィルタを用いる場合のように時間遅れもない。もちろん、電流センサ45U,45V,45Wによって検出されたモータ電流に基づいてモータ負荷を判定するようにしても良い。
ステップS160においてデューティ比DがD4以下と判定されるとステップS170へ進み、インバータ入力電圧を高電圧VHから低電圧VLに切り替える動作を開始する。なお、インバータ入力電圧が変化すると電流値が変化して回転数が変化するが、上述したように、回転数Nが定格回転数N0に維持されるような速度フィードバック制御が行われているので、回転数を元に戻すようにデューティ比Dが変更される。そのため、ステップS170における高電圧VHから低電圧VLへの切り替えは、回転数の変化にデューティ比Dの変化が追従できる程度に徐々に変化させる。
図10に示す例では、ステップS130で回転数が定格回転数N0であると判定された時点では、既にデューティ比DはD1であってD4よりも小さくなっている。そのため、ステップS160でD≦D4と判定されてインバータ入力電圧が低電圧VLに切り替えられる。切り替え前のPWM電圧波形およびモータ電流波形は図7(a),(b)に示す状態であるが、インバータ入力電圧が最終的に低電圧VLになると、図8(c),(d)に示すような状態となる。その結果、電流波形の立ち上がりが緩やかになり、モータ電流中の高調波成分の比率が減少する。なお、図10においては、時刻t3においてデューティ比DがD1からD3へ変化するように記載されているが、実際には上述したように徐々に変化する。後述する、時刻t6,t8における切替の場合も同様である。
図9のステップS180では、デューティ比Dが値D5(D3<D5≦1)以上となったか否かを判定し、D≧D5と判定されるとステップS190へ進む。ステップS190では、インバータ入力電圧を低電圧VLから高電圧VHへと切り替える。この場合も、ステップS170の場合と同様に、インバータ入力電圧を徐々に変化させる。ステップS190の処理が終了したら、ステップS160へ戻る。
図10では、時刻t3から時刻t4まではガス負荷=0であって無負荷定格回転状態なので、定格回転数N0に保つためにデューティ比DはD3のまま一定に保持される。そして、時刻t4においてガス流入量の比較的小さい低ガス負荷状態となると、その直後は回転数Nが低下する。しかし、ステップS150の処理によって、回転数Nを定格回転数N0に維持するようにデューティ比Dが変更される。すなわち、図10に示すように、時刻t4直後にデューティ比Dが増加し、回転数Nが定格回転数N0になるとデューティ比Dは一定となる。
さらに、時刻t5においてガス流入量が増えて高ガス負荷状態となると、再び回転数Nが定格回転数N0に維持されるようにデューティ比Dを増加させる。その後、時刻t6にデューティ比DがD≧D5となると、図9のステップS190の処理によってインバータ入力電圧が低電圧VLから高電圧VHに切り替えられる。インバータ入力電圧切り替え後も、回転数Nが定格回転数N0となるようにデューティ比Dを増加され、回転数Nが定格回転数N0となったところでデューティ比は一定とされる。
その後、図10の時刻t7においてガス流入が停止されて無負荷状態となると、回転数Nが定格回転数N0に維持されるようにデューティ比Dを減少させる。デューティ比Dが減少して時刻t8にD≦D4となると、図9のステップS170の処理によりインバータ入力電圧が高電圧VHから低電圧VLに切り換えられる。切り替え後のデューティ比Dは上述したD3よりも大きくなるが、その後も回転数Nが定格回転数N0となるようにデューティ比Dの減少が継続される。そして、無負荷定格回転N0におけるデューティ比D3となったところで、デューティ比Dは一定となる。
図11(a)は、図9,10で説明した電圧切り替えの場合の、モータ負荷とデューティ比Dとの関係を示す図である。横軸はモータ負荷であり、無負荷と記した位置はガス負荷がゼロとなる所である。ラインL1はインバータ入力電圧が高電圧VHの場合を示し、ラインL2はインバータ入力電圧が低電圧VLの場合を示す。無負荷状態(無負荷定格回転状態)では、ラインL1の場合にはデューティ比D1となり、ラインL2の場合にはデューティ比D3となる。
インバータ入力電圧を高電圧VHから低電圧VLへと切り換える場合には、デューティ比DがD4以下となった時点で切り替わり、インバータ入力電圧を低電圧VLから高電圧VHへと切り換える場合には、デューティ比DがD5以上となった時点で切り替わる。すなわち、モータ負荷が減少する場合と上昇する場合とでは切換時のモータ負荷が異なっている。そのため、切り替わり点の近辺でモータ負荷が変動するようなことがあっても、高電圧VHと低電圧VLとの間で頻繁に切り替わるという不都合を避けることができ。
図11(a)に示す例では、上述したようにモータ電流の高調波成分が問題となるデューティ比D1よりもやや大きなデューティ比D4において、インバータ入力電圧を高電圧VHから低電圧VLへと切り換えてデューティ比Dを大きくするようにした。一方、図11(b)に示す例では、モータ負荷を高負荷と低負荷とに区分し、モータ負荷がその境界を越えたときにインバータ入力電圧を切り換えるようにした。その境界におけるデューティ比Dは、ラインL1の場合にはD6となり、ラインL2の場合にはD7となる。図11(b)の場合も、図11(a)に示すように切り換えの方向によってモータ負荷が異なる、いわゆるヒステリシスを設けるようにしても良い。
上述した例では、インバータ入力電圧を高電圧VHと低電圧VLとの間で切り換える場合について説明したが、3種類以上の設定電圧を設けて3段階以上で切り換える場合にも同様に適用することができる。図12に、インバータ入力電圧をV1,V2,V3の三種類に区分して、3段階で切り換える場合の一例を示した。ラインL11は高電圧V1の場合を、ラインL12は中電圧V2の場合を、ラインL13は低電圧V3の場合をそれぞれ示す。
ここでは、低負荷、中負荷および高負荷の区分は、電圧V1,V2,V3におけるデューティ比Dが等しい値D8となるように設定した。高電圧V1から中電圧V2へ切り換えるとデューティ比DはD8からD9へと大きくなり、中電圧V2から低電圧V3へ切り換えるとデューティ比DはD8からD10へと大きくなる。この例の場合には、デューティ比Dは、モータ電流の高調波成分が問題となるデューティ比D1よりも十分に大きなD8以上に設定されることになる。
(磁気軸受制御の説明)
前述したように、励磁アンプ100は、スイッチング素子SW10,SW11のオンオフをPWM制御することにより、磁気軸受電磁石200の電流を制御している。通常、安定状態では、支持対象であるロータ30は、磁気軸受によって所定の支持位置に支持されている。ロータ30の位置が変化して磁気軸受電磁石200とロータ30との距離が小さくなると、励磁アンプ100は磁気軸受電磁石200の電流を小さくして吸引力を弱くする。逆に、磁気軸受電磁石200とロータ30との距離が大きくなると、励磁アンプ100は磁気軸受電磁石200の電流を大きくして吸引力を強くする。
図13は、ロータ位置とPWM信号との関係を説明する図である。また、図14は、図13に示すPWM信号が励磁アンプ100に入力された場合の、磁気軸受電磁石200に流れる電磁石電流Imを説明する図である。PWM信号S5は、制御信号S1とキャリア信号S4とを比較することにより生成される。制御信号S1のレベルがキャリア信号S4のレベル以上である場合には、PWM信号S5はオン状態(ハイレベル)となり、制御信号S1のレベルがキャリア信号S4のレベルよりも低い場合には、PWM信号S5はオフ状態(ローレベル)となる。
図13(a)は、ロータ30が所定支持位置に支持されているときの制御信号S1およびPWM信号S5を示したものである。ロータ30が所定支持位置(中立位置)に支持されているときは、電磁石電流Imは変更されず一定の値に維持される。この場合、制御信号S1のレベルはキャリア信号S4の最大値Vcの1/2に設定される。その結果、デューティ比(=T1/T0)が50%のPWM信号S5が生成される。
PWM信号S5がオンの場合には、図5の実線矢印のように電流が流れる。このときの電流の傾きは、DC電源42Bの電圧をV、磁気軸受電磁石200のインダクタンスをLとすると、V/Lに比例している。一方、PWM信号S5がオフの場合には、スイッチング素子SW10,SW11はオフ状態(開状態)となる。このとき、電磁石コイルには電磁エネルギーが蓄積されているため、そのエネルギーの放電により、電磁石電流Imは破線矢印のように流れ、その大きさは時間の経過と共に減少する。このときの電流の傾きも、V/Lに比例することになる。このように、PWM信号S5のオンオフが繰り返されることにより、小刻みに上下する電流が発生する。モータ電流の場合と同様に、この小刻みな変化はスイッチングリップルと呼ばれるもので、高調波成分の発生の原因となる。
一方、図13(b)および図14(b)は、ロータ30が所定支持位置から磁気軸受電磁石200に近づいた場合の制御信号S1、PWM信号S5、電磁石電流Imを示している。この場合には、図13(b)に示すように制御信号S1のレベルはVc/2よりも小さく設定され、PWM信号S5のデューティ比は50%よりも小さくなる。図14(b)に示すように、PWM信号S5のオフ状態の方が長いと、電磁石電流Imは小刻みな増減を繰り返しながらも平均値は徐々に減少する。すなわち、ロータ30が磁気軸受電磁石200に近づくと電磁石電流Imは減少し、吸引力が減少する。
逆に、ロータ30が磁気軸受電磁石200から遠ざかると、制御信号S1のレベルは図13(c)に示すようにVc/2よりも大きく設定される。その結果、PWM信号S5のデューティ比は50%よりも大きくなり、図14(c)に示すように電磁石電流Imの平均値は増加する。すなわち、ロータ30が磁気軸受電磁石200から遠ざかると、磁気軸受電磁石200の吸引力は増加する。
図2に示したように磁気軸受は支持対象(ロータ30の回転軸30aまたはスラストディスク30b)を挟んで一対の電磁石が配置されており、支持対象が所定位置から変位すると、一方の電磁石に近づくと共に他方の電磁石から遠ざかる。上述したように、近づいた方の電磁石の電流は減少し、遠ざかった方の電磁石の電流は増加するため、支持対象は所定位置に戻されることになる。
ところで、モータ36の場合には、負荷の小さいときにはDC電源42Aからインバータ43に出力される電圧を下げて、スイッチングリップルの傾きを緩やかにして高調波成分の発生を抑制し、渦電流発生によるエネルギーロスを低減するようにした。
磁気軸受制御の場合には、定格回転数において外部から外力が作用しない状態が、モータ制御の場合の低負荷に対応する。一方、地震、装置振動などに伴う外乱(外部振動)に耐えるために、電磁石力生成に必要な励磁電流が大幅に増大するときが、モータ制御の高負荷に対応する。
従来、励磁アンプ100に電力を供給するDC電源の電圧は、外乱時にも対応できるように設定されている。そのため、安定状態における電力供給に関しては余裕をもった電圧設定となっている。そこで、磁気軸受制御の場合には、例えば、従来の設定電圧を上述した電圧VHとし、従来の設定電圧よりも低い電圧を電圧VLに設定する。そして、低負荷に対応する安定状態においてはDC電源42Bの電圧設定をVLとし、外乱時には電圧設定をVHとする。また、安定状態か外乱時かの判定は、PWM信号S5のデューティ比によって判断する。安定状態ではデューティ比は0.5(50%)程度であるので、判定用閾値Dthは0.5よりもやや大きめ(例えば、Dth=0.55)に設定する。
なお、モータ負荷の場合と同様に、電流センサ101A,101Bで検出された電流値およびDC電源42Bの出力電圧値とに基づいて、磁気軸受負荷が高負荷(外乱時)か低負荷(安定状態)かを判定するようにしても良い。ただし、磁気軸受の場合、ポンプの設置向きにより、ロータ30に左右する重力を支えるための浮上力を生成する直流の励磁電流を電磁石に流す必要があり、一概に電流が大きいから外乱が大きいとは判断できない。例えば、大電流であっても一定であれば(直流成分)、デューティ比は50%付近にある。そのため、上述したように、PWM信号を用いるのが好ましい。
図15は、磁気軸受制御におけるDC電源42Bの出力電圧の切替動作を説明するフローチャートである。図15に示す制御は、例えば、コントロールユニットの電源スイッチがオンされるとスタートする。ステップS200では、DC電源42Bの出力電圧を電圧VHに設定する。全ての励磁アンプ100には電圧VHが入力される。次いで、ステップS210において磁気浮上を開始する。その後、モータ駆動が開始される。ステップS220では、ロータ30の回転数が定格回転数となったか否かを判定し、定格回転数と判定されるとステップS230へ進む。
ステップS230では、制御部44は、各励磁アンプ100へ出力しているPWM信号のデューティ比Dが閾値Dth以下であるか否かを判定する。ここでは、上述したモータ制御の場合と同様に、PWM信号の変化に基づいてDC電源42Bの出力電圧を変更するようにした。ステップS230でD≦Dthと判定されると、ステップS240へ進んでDC電源42Bの出力電圧を高電圧VHから低電圧VLへと設定変更する。そのため、各励磁アンプ100の入力電圧は全て低電圧VLとなる。
なお、モータ制御の場合には、DC電源42Aの出力電圧を変更した際に、電圧変更に対応させてPWM信号のデューティ比を変更することで、電力の変化による回転数の変化を防止するようにした。一方、磁気軸受制御の場合には、電圧変更の前後でPWM信号のデューティ比の変更を行わない。そのため、デューティ比50%で所定位置に磁気支持されている状態であっても、高電圧VHの場合と低電圧VLの場合とでは外乱変動への応答性が異なることになる。
ステップS250では、PWM信号のデューティ比Dが閾値Dthを超えたか否かを判定する。ロータ30が安定して所定位置に支持されている場合には、デューティ比Dは50%となり電磁石電流は一定値に維持されている。しかし、ポンプに外乱などが作用し、磁気軸受の変位センサによりロータ変位が検出されると、制御部44はPWM信号のデューティ比Dを50%よりも大きくして電磁石電流を増加させる。その結果、ポンプに外乱などが作用すると、ステップS250でD>Dthと判定され、ステップS260へ進む。
ステップS260では、外乱に対応できるように即座に電圧を低電圧VLから高電圧VHへと設定変更する。高電圧VHへ変更することにより磁気軸受制御の応答性が高まり、外乱に対してエネルギー(電圧)が足りない状態とならないようにする。ステップS260の処理を実行したならば、ステップS220へ戻る。
このように、磁気軸受制御の場合も、低負荷と高負荷とで電圧を切り替えることで低負荷時における高調波成分の低減が図れ、渦電流が発生することによるエネルギーロスを抑えることができる。また、ロータ温度の上昇を低減することができる。なお、磁気軸受制御の場合も、上述したモータ制御の場合と同様に、低負荷(安定状態)および高負荷(外乱時)の2つの状態だけでなく、高負荷を2以上の状態に分類し、DC電源42Bの電圧値設定を3つ以上としても良い。
(正弦波駆動)
上述したモータ制御においては矩形波駆動の場合を例に説明したが、本発明は矩形波駆動に限らず正弦波駆動の場合にも同様に適用することができる。正弦波駆動は、モータロータの回転位置に応じて固定子コルの電圧を正弦波状に変化させる駆動方法であり、120deg位相をずらした正弦波電圧が各相に印加される。矩形波駆動ではPWM信号のデューティ比は時間的に変化せず一定であったが、正弦波駆動の場合にはデューティ比を正弦波的に変化させることにより、正弦波電圧を生成するようにしている。
図16は正弦波駆動の場合のPWM信号を説明する図であり、3相の内の1つの相について示したものである。PWM信号S5を生成するための制御信号S1は正弦波的に変化し、正弦波の振幅値を大きくしたり小さくしたりすることで相コイルに流れる電流の大きさが制御される。また、正弦波の周期を変更することで、モータの回転周期を変更するようにしている。
図16(a)において、振幅の小さな制御信号S1はモータ電流が小さな低負荷時を示しており、振幅の大きな制御信号S1’はモータ電流が大きな高負荷時を示している。制御信号S1とキャリア信号S4とを比較することにより、図16(b)に示すPWM信号S5が生成される。一方、制御信号S1’とキャリア信号S4とを比較することにより、図16(b)に示すPWM信号S5’が生成される。なお、インバータ43のU相に図16(b)に示すようなPWM信号S5が入力される場合には、この信号を±120degだけ位相をずらした信号がV相、W相に入力されることになる。
図16(b)、(c)に示すように、PWM信号S5が与えられると電流Imが相コイルに流れ、PWM信号S5’が与えられると電流Im’が相コイルに流れる。電流ImおよびIm’はいずれも正弦波的に変化し、電流Im’の振幅の方が電流Imの振幅よりも大きい。図16(b)と図16(c)との比較から分かるように、モータ負荷が低負荷の場合には電流値が小さいので、PWM信号S5のデューティ比は50%近辺で正弦波的に変化している。逆に、高負荷の場合には、デューティ比が正弦波的に変化する際の変化の度合いが、低負荷の場合に比べて大きい。
このような正弦波駆動の場合も、上述した矩形波駆動の場合と同様にDC電源42Aの電圧切換を行うことができる。その結果、低負荷時の高調波成分の低減が図れ、渦電流損を低減することによるモータ省電力化が図れる。また、渦電流損の低減により、ロータ温度の上昇を抑えることができる。
なお、DC電源42A,42Bの電圧切換を行う場合には、図17に示すように行うのが好ましい。図17では、Ta+Tbの期間がD>Dthとなる期間であり、Taが「低負荷→高負荷」と負荷状態が変化したときの電圧上昇時間である。ガス負荷増加や外乱などにより「低負荷→高負荷」と負荷状態が変化した場合には、モータ制御の場合には脱調や失速、磁気軸受制御の場合にはロータタッチダウンなどの異常事態が生じるおそれがある。そのため、「低負荷→高負荷」の時には、そのような異常事態を避けるために比較的速く電圧を上げる必要がある。ターボ分子ポンプの場合、モータ制御における電圧上昇時間は1秒以内、望ましくは0.1sec程度に設定するのが良い。また、磁気軸受制御に電圧上昇時間は0.1sec前後、望ましくは10msec程度に設定するのが良い。
なお、Tbは電圧が高電圧VHに維持されている期間である。ガス負荷増によるモータ負荷が高負荷となる状況では、Tbはガス負荷が高負荷となっている期間であり、ガス負荷が高負荷である間は高電圧VHに維持されることになる。一方、磁気軸受制御における外乱のような場合、外乱が治まってロータ変位が小さくなればD<Dthとなるので、Tbは比較的短時間である。
一方、「高負荷→低負荷」と負荷状態が変化した場合、高電圧VHの状態は余裕のある状態なので、比較的ゆっくり電圧を下げることができる。なお、この場合にはガス負荷変動や外乱などが再度発生することも考慮し、余裕を持って(数十秒から数十分かけて)電圧を下げるのが好ましい。
(1)上述した実施の形態では、モータ制御および磁気軸受制御の両方に関して負荷の大小に応じた電圧設定を行ったが、モータ制御および磁気軸受制御のいずれか一方にのみに適用しても良い。また、負荷状態を複数に分類して電圧を複数段階に設定したが、負荷の大小に応じて連続的に電源電圧を変化させるようにしても良い。すなわち、真空ポンプは、排気機能部が形成されたロータ30と、ロータ30を回転駆動するモータ36と、ロータ30を磁気浮上支持する磁気軸受37,38と、磁気軸受37,38に駆動電流を供給する励磁アンプ100と、励磁アンプ100にPWM信号を出力してPWM制御を行う磁気軸受制御部としての制御部44と、出力電圧が可変なDC電源42Bと、軸受負荷の大小を判定し、その軸受負荷が小さい場合ほどDC電源42Bの出力電圧をより低く設定する軸受用電圧設定部と、としての制御部44と、を備える。例えば、図17のD>Dthという高負荷範囲では高電圧VHに設定され、D≦Dthという低負荷範囲では低電圧VLに設定される。
その結果、低負荷時においてはPWM制御による電流リップルの傾きが緩やかになり、磁気軸受電流の高周波成分が低減される。その結果、高調波成分に起因する渦電流損が低減され、省電力化およびロータ発熱の低減を図ることができる。さらに、磁気軸受の電磁力に起因する振動やノイズも低減することができる。
(2)さらに、モータ36を駆動するインバータ43と、インバータ43にPWM信号を出力してPWM制御を行うモータ制御部としての制御部44と、出力電圧が可変なDC電源42Aと、モータ負荷の大小を判定し、そのモータ負荷が小さい場合ほどDC電源42Aの出力電圧をより低く設定するモータ用電圧設定部としての制御部44と、をさらに備えるようにしても良い。
その結果、磁気軸受を備えた磁気浮上式の真空ポンプにおいて、低負荷時にモータ電流および磁気軸受電流に含まれる高周波成分が低減され、省電力化(渦電流損の低減)およびロータ発熱の低減を図ることができる。さらに、モータおよび磁気軸受の電磁力に起因する振動やノイズも低減することができる。
(3)また、モータ負荷や軸受負荷の大小判定を、制御部44からインバータ43および励磁アンプ100に出力されるPWM信号(デューティ比)に基づいて行うようにするのが好ましい。それにより、正確に大小判定を行うことができる。
もちろん、モータ電流や磁気軸受電流に基づいてモータ負荷や軸受負荷を判定することもできるが、前述したように、大きな電流値が検出されても、それがノイズにより流れた電流なのか制御部44からの指令に応じて流れた電流なのか分かりづらい。また、そのようなことを避けるために、ノイズなどの影響をなくすために電流値をフィルタ処理した場合には、フィルタによる時間遅れが出てしまうことがある。一方、制御部44で生成されるPWM信号を用いることで、スイッチングリップルやノイズの影響が無く、フィルタを用いる場合のように時間遅れも生じない。
(4)励磁アンプ100にPWM信号を出力する磁気軸受制御部と、インバータ43にPWM信号を出力するモータ制御部とを、図3の制御部44のように一つのデジタル演算器(例えばFPGA)で構成しても良い。そのような構成とすることで、回路基板の小型化を図ることができる。
(5)また、図3の符号46で示すように、コントロールユニットに、制御部44によるDC電源42A,42Bの電圧設定を無効とし、DC電源42A,42Bを所望の出力電圧設定に設定する指令の入力が可能な指令入力部(例えば、入力操作部や外部入端子)を備えるようにしても良い。これにより、ポンプ使用環境が特別な場合(例えば、外乱リスクが極めて低く省エネ重視の場合、あるいは、逆に外乱リスクが大きく省エネメリットが小さい場合)にも、状況に応じた適切な設定が可能となる。
上述した各形態はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施形態での効果を単独あるいは相乗して奏することができるからである。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。例えば、磁気浮上式のターボ分子ポンプを例に説明したが、ターボ分子ポンプ以外の真空ポンプにも適用することができる。