JP2013129697A - 着色組成物、及び画像表示構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビスアゾ系色素が良好に溶解含有されており、画像表示(特に、エレクトロウェッティング法や電気泳動法の原理で動作する表示装置での画像表示)に好適な着色組成物及び画像表示構造を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表され、25℃、0.1MPaにおけるn−ヘキサンへの溶解度が1質量%以上であるビスアゾ系色素と、非極性溶媒とを含む着色組成物。 一般式(1)中、AおよびBは、それぞれ独立に、芳香族基または複素環基を表す。Rは、水素原子、シアノ基、アルキル基、芳香族基または複素環基を表す。Xは、−C(R)=、または窒素原子を表し、Xが−C(R)=である場合のRは、水素原子、シアノ基、アルキル基、芳香族基、または複素環基を表す。

【選択図】図1

Description

本発明は、ビスアゾ系色素を含有する着色組成物、及び画像表示構造に関する。
近年、ディスプレイ材料、光記録媒体、インクジェット用材料等に有機色素が数多く用いられている。色素を塗布プロセスやインクジェットプロセスに使用する場合、着色効率を上げるため、高いモル吸光係数を有していることに加え、溶媒への高い溶解性をそなえていることが求められる。
新たな画像表示技術として、最近では、エレクトロウェッティング法を利用したディスプレイ(EWD)が注目されている(例えば、非特許文献1参照)。このディスプレイは、基板上に親水性媒体と油性着色インクの2相で満たされた複数のピクセルを配し、ピクセルごとに電圧印加のオン(ON)/オフ(OFF)によって親水性媒体/油性着色インク界面の親和性を制御し、油性着色インクを基板上に展開/変形させることによって行なう画像表示方式である。このようなエレクトロウェッティング法によるディスプレイに用いられる色素には、炭化水素系溶媒への高い溶解性が求められる。
エレクトロウェッティング法によるディスプレイに用いられる色素としては、ベンゾチアゾリルモノアゾ系色素(下記構造D−101、例えば、特許文献1参照。)、ピラゾールジスアゾ系色素(下記構造D−102、例えば、特許文献2参照。)などが提案されている。
また、スルホ基およびカルボキシル基を置換したチアゾリル環を有するビスアゾ系染料等が、インクジェット用インク等に用いられる色素として知られている(例えば、特許文献3参照。)。
国際公開第2008/142086号パンフレット 特開2009−138189号公報 特開2009−40861号公報
Nature(London),425,383(2003)
しかしながら、上記のように従来から提案されているエレクトロウェッティング法によるディスプレイに用いられる色素、およびその他の用途に用いられている色素では、色相が不十分であり色再現性に劣るものであり、また、非極性溶媒への溶解性、特にデカンやヘキサン等の炭化水素系溶媒への溶解性を充分に確保することができない。そのため、例えばエレクトロウェッティング法や電気泳動法の原理を利用した画像表示に適用しようとすると、画像の表示切換(光シャッター)に支障を来たす等、更なる改善が求められていた。
本発明は、ビスアゾ系色素が良好に溶解含有されており、画像表示(特に、エレクトロウェッティング法や電気泳動法の原理で動作する表示装置での画像表示(例えば画像表示時のオン/オフ性(光シャッター特性)))に好適な着色組成物及び画像表示構造を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表され、25℃、0.1MPaにおけるn−ヘキサンへの溶解度が1質量%以上であるビスアゾ系色素と、非極性溶媒とを含む着色組成物。
一般式(1)中、AおよびBは、それぞれ独立に、芳香族基または複素環基を表す。Rは、水素原子、シアノ基、アルキル基、芳香族基または複素環基を表す。Xは、−C(R)=、または窒素原子を表し、Xが−C(R)=である場合のRは、水素原子、シアノ基、アルキル基、芳香族基、または複素環基を表す。A、B、R、およびRの少なくとも1つは炭素数7〜30のアルキル基を有する。
<2> 前記AおよびBの少なくとも一方が、置換基として、少なくとも1つのアルキルアミノ基を有する<1>に記載の着色組成物。
<3> 前記一般式(1)で表される色素が、下記一般式(2)、または一般式(3)で表される色素である<1>または<2>に記載の着色組成物。
一般式(2)および(3)中、Rは、水素原子、シアノ基、アルキル基、芳香族基または複素環基を表す。Rは、水素原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、またはアリールオキシ基を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキル置換フェニルアミノ基、ジアルキル置換フェニルアミノ基、トリアルキル置換フェニルアミノ基、アリール基、またはアリールオキシ基を表す。R、R、およびR〜Rの少なくとも1つは炭素数7〜30のアルキル基を有する。
<4> 前記アルキルアミノ基のアルキル部位の炭素数が7〜30である<2>または<3>に記載の着色組成物。
<5> 20℃における粘度が0.01mPa・s〜10mPa・sである<1>〜<4>のいずれか1項に記載の着色組成物。
<6> エレクトロウェッティング法の原理または電気泳動法で動作する表示装置の画像表示材料に用いられる<1>〜<5>のいずれか1項に記載の着色組成物。
<7> 表面が疎水性である疎水性ポリマー層と、前記表面に接触させて配置され、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の着色組成物を用いて形成されたオイル層と、前記オイル層に接触させて配置された親水性液層と、を有する画像表示構造。
本発明においては一般式(1)で表されるビスアゾ系色素は、分子中に−SOH、−PO、−COH、−OH等の解離性基(NHを含まない)を有していない色素であり、非極性溶媒に溶解しやすく、非極性溶媒に溶解して着色組成物を調製することができる。
特に、一般式(1)で表されるビスアゾ系色素は、炭素数7〜30の長鎖アルキル基、分岐アルキル基を有しているので、これによって非極性溶媒への溶解性が優れるものとなっている。一般式(1)で表されるビスアゾ系色素のSP値(溶解性パラメーター)が本発明で使用される非極性溶媒のSP値に近い為、非極性溶媒との混合性が良化したものと推定している。前記D−101、D−102等のSP値は溶剤のSP値と異なるために溶解性が低いものと考えられる。
本発明によれば、ビスアゾ系色素が良好に溶解含有されており、画像表示(特に、エレクトロウェッティング法や電気泳動法の原理で動作する表示装置での画像表示(例えば画像表示時のオン/オフ性(光シャッター特性)))に好適な着色組成物及び画像表示構造が提供される。
エレクトロウェッティング法の原理で動作する表示装置の構成例を示す概略断面図である。
以下、本発明の着色組成物、及びこれを用いた画像表示構造について、詳細に説明する。
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、以下に示す一般式(1)で表され、25℃、0.1MPaにおけるn−ヘキサンへの溶解度が1質量%以上であるビスアゾ系色素と、非極性溶媒とを含んで構成されている。また、本発明の着色組成物は、必要に応じて、更にビスアゾ系色素以外の色素や極性溶媒、紫外線吸収剤等の添加剤などの他の成分を用いて構成されてもよい。
ビスアゾ系色素は、従来から広く知られ、画像用途でも例えばインクジェット分野において使用されてはいたものの、従来のビスアゾ系色素は、非極性溶媒に対する溶解性が低く、非極性溶媒で構成される液体組成物の着色剤には一般に用いられるに至っていない。
本発明においては、非極性溶媒で構成される着色組成物の着色剤として、炭素数7以上のアルキル基を有する特定構造のビスアゾ系色素を用いることで、析出を起こし難い良好な溶解性が保たれ、画像表示(特に、エレクトロウェッティング法や電気泳動法の原理で動作する表示装置での画像表示)が良好になる。特に、画像表示する際のオン/オフ性(光シャッター特性)に優れ、鮮明で色相の良好な画像表示が可能になる。
−ビスアゾ系色素−
本発明の着色組成物は、下記一般式(1)で表され、25℃、0.1MPaにおけるn−ヘキサンへの溶解度が1質量%以上であるビスアゾ系色素の少なくとも一種を含有する。この色素は、非極性溶媒への溶解性に優れているので、ディスプレイ等、中でもエレクトロウェッティング法の原理で動作する表示装置や、電気泳動法で動作するディスプレイに用いる色素として好適である。
以下、一般式(1)で表されるビスアゾ系色素について詳細に説明する。
一般式(1)中、AおよびBは、それぞれ独立に、芳香族基または複素環基を表す。Rは、水素原子、シアノ基、アルキル基、芳香族基または複素環基を表す。Xは、−C(R)=、または窒素原子を表し、Xが−C(R)=である場合のRは、水素原子、シアノ基、アルキル基、芳香族基、または複素環基を表す。A、B、R、およびRの少なくとも1つは炭素数7〜30のアルキル基を有する。
なお、本発明における一般式(1)で表されるビスアゾ系色素は、解離性基(NHを含まない)を有さないものである。
一般式(1)において、AおよびBが表す基としては、それぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香族基(例えばアリール基)または置換基を有してもよい複素環基を表す。ただし、前記複素環基は脂肪族環、芳香環または他の複素環が縮合していてもよい。
また、一般式(1)における2つのアゾ基のチアゾリル環上の置換位置、および芳香族基、複素環基が有する置換基の種類とその置換位置については限定されない。
AおよびBが表す基の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環、および5〜6員の複素環のいずれかから一個の水素原子を取り除いた一価の基が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環、ベンゾピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾイソチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアジアゾール環、ピロール環、ベンゾピロール環、インドール環、イソオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ピラン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、シンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、およびキノクサリン環のいずれかから一個の水素原子を取り除いた一価の基が好ましい。
AおよびBが表す基の好ましい具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピリミジル基、3−ピリダジノ基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、5−ピラゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、5−イミダゾリル基、3−ピリダゾリル、4−ピリダゾリル基、5−ピリダゾリル基、4−トリアゾリル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基、2−(1,3,4−チアジアゾリル)基、3−(1,2,4−チアジアゾリル)基、または5−(1,2,4−チアジアゾリル)基であり、さらに好ましくは、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−ピリジル基、5−ピラゾリル基、5−イミダゾリル基、3−イソチアゾリル基、3−(1,2,4−チアジアゾリル)基、または5−(1,2,4−チアジアゾリル)基である。これらの基は更に置換基を有してもよい。
AおよびBが表す芳香族基または複素環基が有してもよい置換基としては、水素原子、シアノ基、アルキル基(メチル基、エチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基など)、アルコキシ基(ペントキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基など)、アルコキシカルボニル基(オクトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基など)、アルキルアミノ基(オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基など)、ジアルキルアミノ基(ジオクチルアミノ基、ビス(2−エチルヘキシル)アミノ基、ジヘキシルアミノ基など)、アルキル置換フェニルアミノ基(4−オクチルフェニルアミノ基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルアミノ基など)、ジアルキル置換フェニルアミノ基(3,4−ジブチルフェニルアミノ基など)、トリアルキルフェニルアミノ基(2、4、6−トリメチルフェニルアミノ基など)、 アリール基(フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、1−ナフトキシ基など)等が挙げられる。
これらの置換基のうち好ましくは、炭素数が7〜30のアルキル基を有する置換基であり、炭素数が7〜20であるアルキル基を有する置換基が好ましい。
また、Aが表す基としては、芳香族基または複素環基であり、且つ、Bが表す基としては、複素環基であることが好ましい。複素環基として最も好ましくは5〜6員の複素環基である。
Aが表す好ましい基としては、芳香族基、または5〜6員の複素環基である。より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環、ピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、およびベンゾチアゾール環等の複素環のいずれかから一個の水素原子を取り除いた一価の基である。
Aが表す基として特に好ましくは、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−ピリジル基、5−ピラゾリル基、5−イミダゾリル基、3−イソチアゾリル基、3−(1,2,4−チアジアゾリル)基、または5−(1,2,4−チアジアゾリル)基である。これらの基には上記した置換基を更に有してもよい。
Bが表す好ましい複素環基としては、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、ピラゾール環、ベンゾピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イソチアゾール環、ベンズイソチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアジアゾール環、ピロール環、ベンゾピロール環、インドール環、イソオキサゾール環、ベンズイソオキサゾール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ピラン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、シンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、およびキノクサリン環のいずれかから一個の水素原子を取り除いた一価の基である。より好ましくは、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環、およびピリジン環のいずれかから一個の水素原子を取り除いた一価の基である。更に好ましくは、3−ピリジル基、5−ピラゾリル基、5−イミダゾリル基、3−イソチアゾリル基、3−(1,2,4−チアジアゾリル)基または5−(1,2,4−チアジアゾリル)基である。これらの基には上記した置換基を更に有してもよい。
一般式(1)中、Rで表されるアルキル基は置換基を有してもよく、炭素数1から30のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、ノルマルブチル基、第3ブチル基、1−メチルシクロプロピル基、3−ヘプチル基、ノルマルオクチル基、ノルマルノニル基、ノルマルウンデシル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、エトキシカルボニルメチル基、パーフルオロアルキル基(パーフルオロメチル基等)などが好ましい。中でも炭素数7〜30のアルキル基が好ましく、ノルマルヘキシル基、ノルマルオクチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基などが好ましい。
で表わされる芳香族基および複素環基としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環および5〜6員の複素環のいずれかから一個の水素原子を取り除いた一価の基が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環、ベンゾピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾイソチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアジアゾール環、ピロール環、ベンゾピロール環、インドール環、イソオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ピラン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、シンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、およびキノクサリン環のいずれかから一個の水素原子を取り除いた一価の基である。
これらの芳香族基、および複素環基は、置換基を有してもよく、置換基としては炭素数6から30のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−(2−エチルヘキサノイルオキシ)フェニル基、4−ヘキシルフェニル基などが好ましい。
一般式(1)中、Rで表されるアルキル基は置換基を有してもよく、炭素数1から30のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、ノルマルブチル基、第3ブチル基、1−メチルシクロプロピル基、3−ヘプチル基、ノルマルオクチル基、ノルマルノニル基、ノルマルウンデシル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、エトキシカルボニルメチル基、パーフルオロアルキル基(パーフルオロメチル基等)などが好ましい。中でも炭素数7〜30のアルキル基が好ましく、ノルマルヘプチル基、ノルマルオクチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基などが好ましい。
で表わされる芳香族基および複素環基としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環および5〜6員の複素環のいずれかから一個の水素原子を取り除いた一価の基が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環、ベンゾピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾイソチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアジアゾール環、ピロール環、ベンゾピロール環、インドール環、イソオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ピラン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、シンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、およびキノクサリン環のいずれかから一個の水素原子を取り除いた一価の基である。
これらの芳香族基、および複素環基は、置換基を有してもよく、置換基としては炭素数6から30のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−(2−エチルヘキサノイルオキシ)フェニル基、4−ヘキシルフェニル基などが好ましい。
本発明における一般式(1)で表されるビスアゾ系色素は、一般式(1)におけるA、B、R、およびRの少なくとも1つは、炭素数7〜30のアルキル基を有する。炭素数7〜30のアルキル基を有することによって、ビスアゾ系色素の非極性溶媒への溶解性が向上する。
特に好ましくは、一般式(1)におけるAもしくはBが、炭素数7〜30のアルキル基を有することであり。また、炭素数7〜20のアルキル基を有することによって、さらに非極性溶媒への溶解性が向上する。また、炭素数7〜30のアルキル基を2個以上有することが好ましい。
本発明における一般式(1)で表されるビスアゾ系色素は、下記一般式(2)、および一般式(3)で表されるビスアゾ系色素であることが好ましい。
一般式(2)および(3)中、Rは一般式(1)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同様である。Rは、水素原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、またはアリールオキシ基を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキル置換フェニルアミノ基、ジアルキル置換フェニルアミノ基、トリアルキル置換フェニルアミノ基、アリール基、またはアリールオキシ基を表す。R、R、およびR〜Rの少なくとも1つは炭素数7〜30のアルキル基を有する。
一般式(2)および(3)中、Rが表すアルキル基としては、炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルキル基であり、メチル基、エチル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられる。好ましくはペンチル基、2−エチルヘキシル基である。
また、Rが表すアルコキシ基としては、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基部位を有するアルコキシ基であり、具体例としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−メチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられ、好ましくはペントキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基である。
が表すアルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基部位を有するアルコキシカルボニル基であり、具体例としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペントキシカルボニル基、オクトキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基などが挙げられ、好ましくはオクトキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基である。
一般式(2)および(3)中、R〜Rが表すアルキル基としては、前記Rが表すアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、R〜Rが表すアルコキシ基としては、前記Rが表すアルコキシ基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
〜Rが表すアルコキシカルボニル基としては、前記Rが表すアルコキシカルボニル基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
〜Rが表すアルキルアミノ基としては、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基部位を有するアルキルアミノ基であり、具体例として、2−エチルヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、ドデシルアミノ基などが挙げられる。好ましくはオクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基である。
〜Rが表すジアルキルアミノ基としては、炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルキル基部位を有するジアルキルアミノ基であり、具体例としてはビス(2−エチルヘキシル)アミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルアミノ基などが挙げられる。好ましくはジオクチルアミノ基、ビス(2−エチルヘキシル)アミノ基である。
〜Rが表すアルキル置換フェニルアミノ基としては、炭素数7〜20の直鎖または分岐のアルキル基部位を有するアルキル置換フェニルアミノ基であり、具体例としては4−(2−エチルヘキシル)フェニルアミノ基、4−オクチルフェニルアミノ基、3−ノニルフェニルアミノ基、2−ドデシルフェニルアミノ基などが挙げられ、好ましくは4−(2−エチルヘキシル)フェニルアミノ基、4−オクチルフェニルアミノ基である。
〜Rが表すジアルキル置換フェニルアミノ基としては、炭素数8〜30の直鎖または分岐のアルキル基部位を有するジアルキル置換フェニルアミノ基であり、具体例としては、2,4−ジオクチルフェニルアミノ基、3,5−ビス(2−エチルヘキシル)フェニルアミノ基などが挙げられる。好ましくは、3,5−ビス(2−エチルヘキシル)フェニルアミノ基、3,5−ジブチルフェニルアミノ基である。
〜Rが表すトリアルキル置換フェニルアミノ基としては、炭素数9〜30の直鎖または分岐のアルキル基部位を有するトリアルキルフェニルアミノ基であり、具体例としては、2、4、6−トリブチルフェニルアミノ基、2、4、6−トリメチルフェニルアミノ基、2、4、6−トリオクチルフェニルアミノ基などが挙げられる。好ましくは、2、4、6−トリメチルフェニルアミノ基である。
また、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物は、光学活性な炭素原子を有する化合物であってもよい。光学活性な炭素原子を有する化合物の混合物(立体異性体の混合物)であると、本発明におけるビスアゾ系色素の非極性溶媒への溶解性がさらに向上し、しかも得られた溶液の粘度が小さい着色組成物が得られる。
本発明におけるビスアゾ系色素に含まれる光学活性な炭素原子の数は、特に制限がないが、分子中に1個以上含まれることが好ましく、3個以上含むことによって、非極性溶媒への溶解性が大幅に向上し、しかも粘度が小さい着色組成物を得ることができる。
一般式(2)または一般式(3)においては、いずれも、R、R、およびR〜Rの少なくとも1つの基が、炭素数が7〜30のアルキル基を有する置換基であり、炭素数が7〜20であるアルキル基を有する置換基であることが、非極性溶媒への溶解性の観点から好ましい。
一般式(2)および一般式(3)においては、いずれも、R、RおよびRの少なくともいずれかが炭素数が7〜30のアルキル基を有する置換基であることが好ましく、R、およびRの少なくともいずれかが炭素数が7〜30のアルキル基を有する置換基であることがより好ましく、Rが炭素数が7〜30のアルキル基を有する置換基であることが最も好ましい。
下記に、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物の具体例を示す。本発明はこれらの具体例によって制限されるものではない。
なお、下記において、「t−Bu」はtert−ブチル基、「Me」はメチル基、「Ph」はフェニル基、「Et」はエチル基を表す。
一般式(1)で表されるビスアゾ系色素は、25℃、0.1MPaにおけるn−ヘキサンへの溶解度が1質量%以上であり、非極性溶媒への溶解性、特に炭化水素系溶媒への溶解性に優れたものである。溶解度が1質量%以上であることは、エレクトロウェッティング法の原理で動作するディスプレイや電気泳動法で動作するディスプレイを製造するための部材(例えば、カラーフィルタ)に適用しうることを示す。
なお、以下において、色素の「25℃、0.1MPaにおけるn−ヘキサンに対する溶解度」を、単に「溶解度」とも称する。
本発明におけるビスアゾ系色素を、エレクトロウェッティング法の原理で動作するディスプレイや電気泳動法で動作するディスプレイを製造するための画像表示材料〔例えば、画像表示構造(例:ピクセルのオン/オフ状態(画像表示/非表示の状態)を切替える光シャッターや、電気泳動法で動作する表示装置のカラー表示層(カラーフィルタ))等の表示用部材〕に適用する場合には、溶解度は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。溶解度は高ければ高いほど好ましいが、通常は80質量%以下程度である。
本発明におけるビスアゾ系色素の合成は、例えば、細田豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日技報堂発行)、A.V.Ivashchenko著、Dichroic Dyes for Liquid Crystal Displays、CRC Press、1994年に記載されている方法等により合成することができる。
また、分子中に炭素数7〜30のアルキル基を有するビスアゾ系色素の合成は、例えば、特開2005−213484号公報、欧州特許出願公開第98,522号明細書、英国特許第2,120,674号明細書などに記載の方法により合成することができる。
本発明の着色組成物は、ビスアゾ系色素を1種のみ含む態様のほか、2種以上を含む態様であってもよく、2種以上のビスアゾ系色素を含む場合はその色素の比率も任意である。
前記一般式(1)で表されるビスアゾ系色素の着色組成物中における含有量は、特に制限されるものではなく、その目的に応じて任意の濃度で調製することができる。ビスアゾ系色素の含有量は、色相の観点から、着色組成物全質量に対して20質量%以上が好ましく、より好ましくは色相や色濃度の観点から高濃度に含有される。具体的には、同様の理由から、30質量%以上が好適であり、更には40質量%以上が好適であり、特に50質量%以上が好適である。また、着色組成物の粘度が小さくできるという点で、50質量%以上が望ましい。
ビスアゾ系色素がエレクトロウェッティング法の原理で動作する表示ディスプレイ用の色素として用いられる場合、通常0.2質量%以上の濃度とされ、必要とされるεC値(εは着色組成物の吸光係数)に応じて非極性溶媒により希釈して用いられる。
また、本発明の着色組成物は、前記一般式(1)で表されるビスアゾ系色素のみを用いて構成されてもよいが、所望の色調とするため、該ビスアゾ系色素以外の他の色素を含んでもよい。例えば、本発明におけるビスアゾ系色素と、該ビスアゾ系色素とは異なる構造の赤色、青色の色素とを混合し、黒色組成物としてもよい。
−他の色素−
本発明の着色組成物が含んでもよい他の色素としては、非極性溶媒に対して溶解性、分散性を有する色素の中から、本発明の効果を損なわない範囲で任意に選択することができる。
例えば、本発明の着色組成物を、エレクトロウェッティング法を利用したディスプレイに用いる場合、他の色素として、脂肪族炭化水素系溶媒などの非極性溶媒に溶解するものの中から任意の色素を選択すればよく、具体例として、Oil Blue N(アルキルアミン置換アントラキノン)、Solvent Green、Sudan Red、Sudan Blackなどが挙げられる。
−非極性溶媒−
本発明の着色組成物は、非極性溶媒の少なくとも一種を含有する。非極性溶媒とは、誘電率の値が小さい溶媒(いわゆる無極性溶媒)をいう。好ましくは、比誘電率が1以上5以下の値である溶媒である。
本発明における非極性溶媒は、前記ビスアゾ系色素を溶解する溶媒であり、例えば、n−ヘキサン、n−デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒(好ましくは、炭素数6〜30、より好ましくは、炭素数7〜15)が挙げられる。
本発明の着色組成物は、非極性溶媒を含有するが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、非極性溶媒に該当しない他の溶媒を含んでもよい。
本発明においては、非極性溶媒の本発明の着色組成物における含有量は、溶媒全量に対して、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。非極性溶媒の含有量が70質量%以上であることで、ビスアゾ系色素の溶解性がより良好に保たれ、また本発明の着色組成物を例えばエレクトロウェッティング法又は電気泳動法の原理で動作する表示装置に適用した場合に、より優れた光シャッター特性及び表示コントラストを発現させることができる。本発明において、更に好ましくは、溶媒成分として非極性溶媒のみ(全溶媒量中の非極性溶媒の比率が100質量%)を用いた組成である。
−その他成分−
その他、本発明の着色組成物は、必要に応じて任意の紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
添加剤の含有量に特に制限はないが、通常、着色組成物の総量に対して20質量%以下程度で用いられる。
本発明におけるビスアゾ系色素、及び、必要に応じて用いる他の色素は、既述の脂肪族炭化水素系溶媒などの非極性溶媒に溶解することにより、エレクトロウェッティング法の原理で動作する表示装置用の着色溶液(例:インク)とすることができる。
本発明の着色組成物中における本発明のビスアゾ系色素の濃度(C)については、その目的に応じて任意の濃度で調製される。エレクトロウェッティング法の原理で動作する表示装置ディスプレイ用の色素として用いる場合、通常0.2質量%以上の濃度で、必要とされるεC値(εは着色組成物の吸光係数)に応じて非極性溶媒に希釈して用いられる。
本発明の着色組成物の粘度としては、20℃での動的粘度で10mPa・s以下であることが好ましい。中でも、該動的粘度は、0.01mPa・s以上が好ましく、更には0.01mPa・s以上8mPa・s以下がより好ましい。着色組成物の粘度が10mPa・s以下であることで、エレクトロウェッティング法の原理又は電気泳動法で動作する表示装置の画像表示材料用途に好適であり、特にエレクトロウェッティング法の原理で動作する画像表示の際の光シャッターに適用する場合に、粘度の大きい組成に比べ、応答速度が速くより低い電圧で駆動させ得る点で好ましい。
なお、前記動的粘度は、色素のデカン10質量%溶液を、粘度計(500型、東機産業(株)製)を用いて20℃に調整して測定される値である。
本発明の着色組成物は比誘電率が小さいことが好ましく、2.0〜10.0であることが好ましい。この範囲で本発明の着色組成物をエレクトロウェッティング法の原理又は電気泳動法で動作する表示装置の画像表示材料用途に好適であり、特にエレクトロウェッティング法の原理で動作する画像表示の際の光シャッターに適用する場合に、比誘電率の大きい組成に比べ、応答速度が速くより低い電圧で駆動させ得る点で好ましい。
比誘電率は、着色組成物をセルギャップ10μmのインジウムスズオキサイド透明電極付きガラスセルに注入し、得られたセルの電気容量を測定(エヌエフ株式会社製、型式2353LCRメーター、測定周波数1kHz)を用いて20℃40RH%で測定する。
<画像表示構造及び表示装置>
本発明の着色組成物は、含有されるビスアゾ系色素が非極性溶媒、特に炭化水素系溶媒への溶解性に優れるため、ディスプレイ等の表示装置、中でもエレクトロウェッティング法の原理で動作する表示装置(ディスプレイ)や電気泳動法で動作する表示装置(ディスプレイ)に用いられる画像表示材料として有用である。したがって、本発明の着色組成物は、これらの表示装置における画像表示を担う画像表示構造の作製に好適に用いられる。
エレクトロウェッティング法の原理は、国際公開第2005−098524号パンフレットに記載されている。この原理は、疎水性表面をもつポリマー上に配置された疎水性オイル層が電圧印加により変形する現象を利用する。疎水液(油滴)及びポリマー固体(例えばポリマー層)は、親水液(例えば水)で取り囲まれた状態にある。この原理で動作するディスプレイは、はじめ水に馴染まない疎水性の表面をもつ物質を例えばディスプレイの観察面から遠い側の基板に用い、該基板と観察面に近い電極との間を親水液(例えば水)及び着色した油滴(疎水液)で満たした状態にして電圧をかける。親水液と電極との間に印加される電圧により電圧差が発生し、それに起因して親水液と電極の間にクーロン的相互作用が現われ、互いに近づこうとする。それにより、疎水液は、ピクセル底部を完全には覆わずに、その一部分だけを覆うように変形する。前記疎水性表面をもつポリマー層は、好ましくは透明性を呈しており、疎水液で覆われなくなった部分は透明状態となる。最大電圧が印加された場合及び電圧が印加されない場合の疎水液の形状変化が、観察者にはピクセルの「オン」又は「オフ」の状態として認識され得る。この原理で動作するディスプレイは、透過型と反射型の2通りが考えられる。透過型では、「オン」状態では、疎水性の基板面を覆っていた油滴が移動して親水液を通して光が観えるためピクセルは「透明」に観え、「オフ」状態ではカラー又は黒色に観えることで、光学的印象が生じる。反射型では、用いるポリマー固体が白色である場合、さらには電極の下部に反射層を用いる場合などが挙げられる。反射型では、「オン」状態では、疎水性の基板面を覆っていた油滴が移動してポリマー固体が剥き出しになってその白色が親水液を通して観えるためピクセルは「白」に観え、「オフ」状態ではカラー又は黒色に観えることで、光学的印象が生じる。
以上のように、疎水液である油滴の着色に用いる化合物は、油滴を構成する非極性溶媒への溶解性が良好であることが求められる。本発明の着色組成物は、メチン系色素の非極性溶媒への溶解性が良好であり、前記エレクトロウェッティング法を利用した表示方法に好適である。
具体的な例として、表面が疎水性であるポリマー層と、ポリマー層の前記表面に接触させて配置され、既述の本発明の着色組成物を用いて形成されたオイル層と、前記オイル層に接触させて配置された親水性溶液層とが少なくとも設けられた画像表示構造に好適に構成することができる。このような画像表示構造を備えた表示装置の例として、図1に示すエレクトロウェッティング素子であってもよい。
図1に示すように、エレクトロウェッティング素子50は、光が入射する入射面21a、入射面21aに対向配置され、光が出射する出射面21b、及び複数の側面21c,21dにより取り囲まれたセル21と、セル内に配された電極14と、電極14上に配置された絶縁層(ポリマー層)13と、絶縁層13に接触させてセル内に充填されたオイル層12と、オイル層12に接触させてセル内に充填された親水性溶液層11と、親水性溶液層11と電極14とを電気的に接続する電源25とを備えている。また、この素子は、電源25をオン/オフするためのスイッチSW26、及びセル21の外部に配置され、セル21に照射する光源27が取り付けられている。
絶縁層13は、疎水性材質を用いて形成されるため、スイッチSW26がオフのときには、オイル層12が絶縁層13の表面に接し、このオイル層12によって親水性溶液層11と絶縁層13とは隔離されている。逆に、スイッチSW26がオンされると、電極と親水性溶液層11が帯電するため互いにクーロン的相互作用が生じ、電極14と親水性溶液層11との親和性が増し、オイル層12は絶縁層13との接触面が最小になる方向に移動する。ここで、オイル層12は、既述の本発明の着色組成物を用いて形成されるため、スイッチSW26がオフのときはオイル層12の色相に、スイッチSW26がオンされたときには透明表示がなされる。このとき、親水性溶液層11が赤色、緑色、青色等の所望の色相に着色されていてもよく、オイル層及び水溶液相からなる色相と親水性溶液相の色相とによる2色表示が可能である。更に、親水性溶液層とオイル層との色相を種々組み合わせて所望の色相(例えばRGB3原色)を呈する複数のセルを1つの画素に配置し、このセル単位で選択的に電圧供給することでカラー画像の表示も可能である。また、オイル層12の色相が黒色の場合、スイッチSW26がオフのときに遮光され、オンされたときに光源27から出射された光は出射面21bに到達して白表示されることになり、白黒表示が可能である。
ディスプレイにおけるエレクトロウェッティング技術は、他のディスプレイ技術に比べて少ないエネルギー消費や、ビデオの使用にとって必須である、ピクセル状態の迅速な切り替え時間など、多くの利点を有している。さらに、疎水液中に溶解された着色材によってピクセルの彩色性が保証されるので、ディスプレイのピクセルは様々な色を呈することが可能である。着色材は親水液に不溶でなければならない。それによって、赤(R)、緑(G)、青(B)及び黒を基調にした透過型ディスプレイ、又はシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び黒を基調にした反射型ディスプレイを実現できる。
疎水液の表面張力の変化は印加電圧に比例する。したがって、電圧に応じてピクセル中に様々なグレースケールを表現することができ、ディスプレイにおいて高品質の画像を生成することができる。
エレクトロウェッティングは、ディスプレイの他、光学フィルター、適応レンズ、及びラボオンチップ技術にも利用できる。
また、電気泳動法は、溶媒中に分散された電荷を帯びた粒子が、電界によって移動する現象を利用した原理であり、省消費電力で、視野角依存性がないという利点を有する。
電気泳動法の原理で動作するディスプレイは、着色溶液中に電荷を帯びた粒子を添加し分散させてなる分散液を対向する基板間に配置させ、基板間に数ボルト程度の電圧を印加することにより、液相中を粒子が移動して画像表示を行うものである。例えば、着色溶液として本発明の着色組成物を用い、これに電荷を帯びた粒子が分散された分散液をマイクロカプセル化したものを、対向する基板間に配置して構成されたディスプレイが考えられる。本発明の着色組成物は、ビスアゾ系色素の非極性溶媒への溶解性が良好であり、前記電気泳動法を利用した表示方法に好適である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
〔実施例1〜8〕
前記した例示化合物D−2、D−7、D−9、D−11、D−20、D−8、D−12、およびD−18で示される各色素と、溶媒(n−hexane〔n−ヘキサン〕)とを混合して、ビスアゾ系色素の3質量%n−ヘキサン溶液(着色組成物)を調製し、実施例1〜8の各着色組成物を得た。
得られた着色組成物について、着色組成物の色、吸収極大波長(λmax)、吸光係数(ε)を下記方法により評価した。また、デカンに対する各色素の溶解度(質量%)を評価した。
さらに、着色組成物の粘度を評価した。評価結果をまとめて表1に示す。
−各物性判断手法−
1.溶液の色
着色組成物の色は、目視で判断した。
2.着色組成物の吸収極大波長、吸光度、及び吸光係数
着色組成物の吸収極大波長(λmax)、および吸光度(abs)を、可視光吸光度計(島津製 UV−1800PC)で測定した。また、ランベルト・ベールの法則に基づいて、吸光度から吸光係数(ε)を算出した。
3.n−ヘキサンへの溶解度
n−ヘキサンに対する各色素の溶解度は、次のようにして測定した。
50℃に加熱したn−ヘキサンに各色素を溶解して飽和溶液を調製し、得られた飽和溶液を、25℃、0.1MPa環境下に1時間放置し、析出した色素を濾過し、析出量を測定することにより、25℃、0.1MPaにおける各色素のn−ヘキサンに対する溶解度(質量%)を算出した。
4.粘度の測定
各色素のデカン2質量%の溶液を作製し、R型粘度計(東機産業社製、型式500型)を用いて、20℃における各色素溶液の粘度を測定した。
〔比較例1〕
実施例1において、色素として例示化合物D−2を用いる代わりに、下記化合物D−101をそれぞれ用いた他は実施例1と同様にして着色組成物を調製した。
得られた各着色組成物を用いて、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
表1から以下のことがわかる。本発明におけるビスアゾ系色素は、炭化水素系溶媒であるn−ヘキサンに対し、高い溶解度を示した。また、作製した着色溶液(着色組成物)は、吸光係数の大きいものであった。
したがって、本発明の着色組成物は、エレクトロウェッティング法の原理で動作する表示装置や電気泳動法で動作する表示装置の用途に好適であり、ディスプレイに適用した場合に優れた画像の表示のオン/オフ性(いわゆる光シャッター特性)が期待できる。
また、本発明におけるビスアゾ系色素は、低い粘度を示した。本発明の着色組成物は、高い色素濃度としながらも、低粘度であることから、本発明の着色組成物は、エレクトロウェッティング法又は電気泳動法の原理で動作する表示装置のカラーフィルタの用途に好適である。
〔実施例9〜16〕
図1に示すように、ITO電極12とフッ素ポリマー(サイトップ、旭硝子(株)製)からなる絶縁層13とが順次配されたセルを用意し、このセル内に実施例1〜8で作製した着色組成物の各々を充填し、その上に塩化ナトリウム水溶液もしくはエチレングリコール(親水性液)を充填することで、エレクトロウェッティング素子を作製する。
作製されたエレクトロウェッティング素子は、画像表示する際の表示のオン/オフ性(いわゆる光シャッター特性)に優れる。
本発明の着色組成物は、ディスプレイ等の表示装置、中でも、エレクトロウェッティング法の原理で動作する表示装置や、電気泳動法で動作する表示装置に好適に用いられる。
50・・・エレクトロウェッティング素子
21・・・セル
14・・・電極
13・・・絶縁層(ポリマー層)
12・・・オイル層
11・・・親水性液層

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表され、25℃、0.1MPaにおけるn−ヘキサンへの溶解度が1質量%以上であるビスアゾ系色素と、非極性溶媒とを含む着色組成物。

    一般式(1)中、AおよびBは、それぞれ独立に、芳香族基または複素環基を表す。Rは、水素原子、シアノ基、アルキル基、芳香族基または複素環基を表す。Xは、−C(R)=、または窒素原子を表し、Xが−C(R)=である場合のRは、水素原子、シアノ基、アルキル基、芳香族基、または複素環基を表す。A、B、R、およびRの少なくとも1つは炭素数7〜30のアルキル基を有する。
  2. 前記AおよびBの少なくとも一方が、置換基として、少なくとも1つのアルキルアミノ基を有する請求項1に記載の着色組成物。
  3. 前記一般式(1)で表される色素が、下記一般式(2)、または一般式(3)で表される色素である請求項1または請求項2に記載の着色組成物。


    一般式(2)および(3)中、Rは、水素原子、シアノ基、アルキル基、芳香族基または複素環基を表す。Rは、水素原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、またはアリールオキシ基を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキル置換フェニルアミノ基、ジアルキル置換フェニルアミノ基、トリアルキル置換フェニルアミノ基、アリール基、またはアリールオキシ基を表す。R、R、およびR〜Rの少なくとも1つは炭素数7〜30のアルキル基を有する。
  4. 前記アルキルアミノ基のアルキル部位の炭素数が7〜30である請求項2または請求項3に記載の着色組成物。
  5. 20℃における粘度が0.01mPa・s〜10mPa・sである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色組成物。
  6. エレクトロウェッティング法の原理または電気泳動法で動作する表示装置の画像表示材料に用いられる請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色組成物。
  7. 表面が疎水性である疎水性ポリマー層と、
    前記表面に接触させて配置され、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の着色組成物を用いて形成されたオイル層と、
    前記オイル層に接触させて配置された親水性液層と、
    を有する画像表示構造。
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