JP2013128975A - レーザ溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1層目でレーザビームLBの集光直径をキーホール型レーザ溶接に対応する値と熱伝導型レーザ溶接に対応する値との閾値より小さくしてキーホール型レーザ溶接を行った後、第2層目以降ではレーザビームLBの集光直径を上記閾値より大きくして熱伝導型レーザ溶接を行う。
【選択図】図2
Description
近年、このような突合わせ継手溶接や角継手溶接において、レーザビームによるレーザ溶接がアーク溶接に代えて採用される傾向にある。また、最近では、アーク溶接とレーザ溶接とを組み合わせて行うレーザアークハイブリッド溶接も開発されている。
ところで、レーザ溶接により継手にキーホール型溶接を行う場合、ポロシティと呼ばれる欠陥が生成され易く、継手の溶接品質が損なわれるという問題がある。
また、例えば溶接金属の30%以上がオーステナイト組織で占められる場合に、化学成分を調整することでポロシティの発生を抑制する技術も考えられている(特許文献2参照)。
また、上記特許文献2に開示された技術は、橋梁等の大型の鋼構造物で一般に用いられるような炭素鋼(構造用鋼 JIS G 3101)には適用することができない。
これより、レーザ溶接或いはレーザアークハイブリッド溶接により多層溶接を行う場合において、如何にポロシティの発生を防止するかが課題となる。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、多層溶接を行う場合においてポロシティの発生を防止可能なレーザ溶接方法を提供することにある。
図1(a)には、本発明に係るレーザ溶接方法に適用されるレーザアークハイブリッド溶接装置が第1層目の溶接を行っている状態で示されている。
同図に示すように、レーザアークハイブリッド溶接装置1は、アーク溶接装置10とレーザ溶接装置20から構成されている。
一方レーザ溶接装置20は、レーザ発生装置(図示せず)から供給されるレーザビームLBがレーザ照射ヘッド22で集光されて被溶接部材S、Sの溶接部(開先)に照射させるよう構成されている。ここに、レーザ照射ヘッド22はレーザビームLBの集光直径を適宜調節可能である。
このように構成されたレーザアークハイブリッド溶接装置1では、被溶接部材S、Sは、被溶接部材S、Sの溶接部の連続する溶接線が溶接ワイヤ14の先端とレーザビームLBの集光点とを結ぶ線に沿うようにセットされる。
図1(c)を参照すると、第1層目の溶接により形成された溶接金属Wが図1(a)のB−B線に沿う溶接断面として示されているが、第1層目の溶接では、同図に示すように、キーホール型レーザ溶接によってルート部において裏波が形成されるよう溶接が実施される。
第2層目の溶接を行うときには、図中の矢印方向に送られてアーク溶接、レーザ溶接の順に溶接が施工される。この際、レーザ溶接装置20のレーザ照射ヘッド22は、例えば同図に示すように、レーザビームLBの集光直径が溶接部にてキーホール型レーザ溶接に対応する値と熱伝導型レーザ溶接に対応する値との閾値より大きくなるように調節される。即ち、第2層目の溶接では、熱伝導型レーザ溶接が実施される。
図2(b)を参照すると、第2層目の溶接により形成された溶接金属Wが図2(a)のC−C線に沿う溶接断面として示されているが、第2層目の溶接では、同図に示すように、アーク溶接と熱伝導型レーザ溶接とによって第1層目に第2層目が重ねられて溶接金属Wが形成される。
なお、ここでは第2層目について説明しているが、第3層目以降においても、アーク溶接とともに熱伝導型レーザ溶接を実施することで、やはりポロシティの発生が抑制される。即ち、第2層目以降のレーザ溶接を熱伝導型レーザ溶接とすることで、ポロシティの発生を好適に抑制することができる。
被溶接部材S、Sとして、それぞれ板厚12mmの炭素鋼(SS400)を用意した。これら被溶接部材S、Sにおいて、上記図1(b)に示すように、ルート部を有したレ型開先を形成するようにして溶接部が構成されている。
アーク溶接装置10としては、アーク電源(ダイヘン社製 DP350)と溶接ワイヤ(神戸製鋼所製 MG−S50)を用い、溶接ワイヤの突き出し長を20mm、溶接トーチのトーチ角度を60°とした。
また、アーク溶接の溶接部とレーザ溶接の溶接部との間の距離は3mmとした。
そして、第1層目については、キーホール型レーザ溶接のみを行った。第2層目については、熱伝導型レーザ溶接とアーク溶接とを行った。このときの溶接条件は下記のとおりである。
レーザパワー:5kW、溶接速度:1m/min、焦点外し距離:0mm
・第2層目溶接条件
レーザパワー:4kW、溶接速度:0.8m/min、焦点外し距離:+40mm、アーク電流 :250A
ここに、焦点外し距離は溶接部からレーザビームLBの焦点までの距離であり、焦点外し距離が0mmとはレーザビームLBの焦点が溶接部に一致して集光直径が最小である場合を示しており、焦点外し距離が大きいほどレーザビームLBの焦点が溶接部から遠退いて集光直径が大きいことを示している。例えば、集光直径のキーホール型レーザ溶接に対応する値と熱伝導型レーザ溶接に対応する値との閾値は、例えば集光直径3mmの場合、焦点外し距離が40mmに対応している。
同図に示すように、第1層目についてはキーホール型レーザ溶接を行い、第2層目においてアーク溶接とともに熱伝導型レーザ溶接を実施することで、レ型開先において溶接金属Wが高温割れもなく扁平にして良好に形成され、ポロシティが一切発生しないことがわかる。
比較例1では、実施例1に対し、第2層目溶接条件のうち焦点外し距離を第1層目溶接条件と同じく0mmとした。
即ち、第1層目については、キーホール型レーザ溶接のみを行い、第2層目については、熱伝導型レーザ溶接ではなくキーホール型レーザ溶接とアーク溶接とを行った。
同図に示すように、第1層目とともに第2層目においてもキーホール型レーザ溶接を行うことにより、ポロシティが発生してしまうことがわかる。このようにポロシティが発生してしまうと、継手の溶接品質が損なわれ、好ましいことではない。
被溶接部材S、Sとして、それぞれ板厚25mmの炭素鋼(SS400)を用意した。これら被溶接部材S、Sにおいて、上記図1(b)に示すように、ルート部を有したレ型開先を形成するようにして溶接部が構成されている。
そして、被溶接部材S、Sが板厚25mmと厚いことから、ここでは溶接を第1層から第5層までの5層で行うようにした。
第1層目については、キーホール型レーザ溶接のみを行った。第2層目から第4層目については、熱伝導型レーザ溶接とアーク溶接とを行った。第5層目についてはアーク溶接のみを行った。このときの溶接条件は下記のとおりである。
レーザパワー:7kW、溶接速度:0.8m/min、焦点外し距離:0mm
・第2層目、第3層目溶接条件
レーザパワー:5kW、溶接速度:0.8m/min、焦点外し距離:+70mm、アーク電流 :200A
・第4層目溶接条件
レーザパワー:5kW、溶接速度:0.4m/min、焦点外し距離:+70mm、アーク電流 :200A
・第5層目溶接条件
溶接速度:0.18m/min、アーク電流 :200A
同図に示すように、被溶接部材S、Sが板厚25mmと厚く、溶接を2層よりも多い多層溶接で行う場合であっても、第1層目についてはキーホール型レーザ溶接を行い、第2層目から第4層目においてアーク溶接とともに熱伝導型レーザ溶接を実施し、第5層目についてはアーク溶接を行うことで、レ型開先において溶接金属Wが高温割れもなく扁平にして良好に形成され、ポロシティが一切発生しないことがわかる。
例えば、上記実施例1、2では、被溶接部材S、Sの板厚が例えば12mmである場合と25mmである場合とについて説明したが、被溶接部材S、Sの板厚はこれらに限定されるものではない。
また、上記実施例1、2では、被溶接部材S、Sの板厚が12mmである場合には溶接を2層とし、25mmである場合には溶接を5層としたが、板厚に拘わらず溶接が2層以上であれば本発明を好適に適用可能である。
また、上記実施形態では、被溶接部材S、Sが鋼板である場合を例に説明したが、本発明は、被溶接部材S、Sが金属部材であれば、アルミ部材その他の溶接可能な部材にも適用可能である。
10 アーク溶接装置
20 レーザ溶接装置
22 レーザ照射ヘッド
Claims (2)
- 金属部材同士の溶接接合をレーザ溶接により多層溶接で行うレーザ溶接方法であって、
第1層目では、レーザビームの集光直径をキーホール型レーザ溶接に対応する値と熱伝導型レーザ溶接に対応する値との閾値より小さくしてキーホール型レーザ溶接を行い、
第2層目以降では、前記集光直径を前記閾値より大きくして熱伝導型レーザ溶接を行うことを特徴とするレーザ溶接方法。 - 前記レーザ溶接には合わせてアーク溶接を行うレーザアークハイブリッド溶接を含み、
前記第1層目では、前記キーホール型レーザ溶接のみを行い、
前記第2層目以降では、前記熱伝導型レーザ溶接とともにアーク溶接を行うことを特徴とする、請求項1に記載のレーザ溶接方法。
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