JP2013127284A - ステンレス鋼製ボルト締結方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塩害環境下におけるステンレス鋼製締結部では、腐食環境(Cl ̄濃度)、素材(材質)、応力(引張荷重・締結力)の3条件が揃うことで、応力腐食割れを発生させる。応力腐食割れが発生するとステンレス鋼製締結部に亀裂が発生し、最終的には破断まで至る可能性がある。ステンレス鋼製締結部に亀裂が発生し、その締結力を失うと、隣接する2個の被締結体をそれぞれ固定できなくなるという課題がある。
【解決手段】ステンレス鋼製のボルト締結方法において、ボルト3の円筒部に所定の長さの熱収縮チューブ7aを装着し、平ワッシャー4を通した後、締結箇所にボルト3を通し、ボルト3のネジ部側に平ワッシャー4、ナット5を装着して締結した後、ボルト3、平ワッシャー4、ナット5のそれぞれの接触部分にシリコン系シーリング材6を充填することで、ステンレス鋼製締結部の応力腐食割れ防止方法を提供することを目的とする。
【選択図】図1
【解決手段】ステンレス鋼製のボルト締結方法において、ボルト3の円筒部に所定の長さの熱収縮チューブ7aを装着し、平ワッシャー4を通した後、締結箇所にボルト3を通し、ボルト3のネジ部側に平ワッシャー4、ナット5を装着して締結した後、ボルト3、平ワッシャー4、ナット5のそれぞれの接触部分にシリコン系シーリング材6を充填することで、ステンレス鋼製締結部の応力腐食割れ防止方法を提供することを目的とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、塩害環境下内構造物において隣接する2個の被締結体を締結するステンレス鋼製締結部の応力腐食割れ防止構造に関するものである。
塩害環境下におけるステンレス鋼製締結部では、腐食環境(塩素イオン濃度、以降Cl ̄濃度)、素材(材質)、応力(引張荷重・締結力)の3条件が揃うことで、応力腐食割れを発生させる。応力腐食割れが発生するとステンレス鋼製締結部に亀裂が発生し、最終的には破断まで至る可能性がある。ステンレス鋼製締結部に亀裂が発生し、その締結力を失うと、隣接する2個の被締結体をそれぞれ固定できなくなるので、ステンレス鋼製締結部の応力腐食割れを防止する構造が必要である。このような隣接する2個の被締結体について、図1を用いて説明する。ボルトは一般的な締結手段であるが、塩害環境下内構造物においても構成部材を相互に締結するために使用されている。被締結体2aと被締結体2bがボルト3とナット5によって締結されている。この構造では、ボルト3をナット5で必要な締付けトルクを加えることにより被締結体2aと2bが締結されている。前述のボルト3を使用する締結構造では、ボルト3の内部に弾性伸びに対応する引張応力が発生している。機械工学上、引張応力が発生する部分に形状不連続があると、応力集中が発生し高応力が発生する。ボルトを使用する以上ある程度の応力集中は甘受せねばならない。塩害環境下では、腐食成分であるCl ̄濃度が非常に高い。
従って、隣接する2個の被締結体のステンレス鋼製締結部1では応力腐食割れ対策が必要となっている。
ステンレス鋼製締結部1などの応力腐食割れ対策については、オーステナイト系ステンレス鋼材のボルトにイオン注入処理を施す技術が開示されている。
しかしながら、上記の使用環境下ではオーステナイト系ステンレス鋼製のものなどを用いても応力腐食割れが発生することを避けることができず、ステンレス鋼製締結部に亀裂が発生し、その締結力を失うと、隣接する2個の被締結体をそれぞれ固定できなくなるという課題がある。
そこで本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、塩害環境下内構造物において、応力腐食割れを防止することにより、ステンレス鋼製締結部の締結力が保持できる構造を提供することを目的とする。
そして、この目的を達成するために、本発明は、ステンレス鋼製のボルト締結方法において、ボルト円筒部に所定の長さの熱収縮チューブを装着し、平ワッシャーを通した後、締結箇所にボルトを通し、前記ボルトのネジ部側に平ワッシャー、ナットを装着して締結した後、前記ボルト、前記平ワッシャー、前記ナットのそれぞれの接触部分にシリコン系シーリング材を充填するステンレス鋼製ボルト締結方法であり、これにより所期の目的を達成するものである。
本発明によれば、ステンレス鋼製のボルト締結方法において、ボルト円筒部に所定の長さの熱収縮チューブを装着し、平ワッシャーを通した後、締結箇所にボルトを通し、前記ボルトのネジ部側に平ワッシャー、ナットを装着して締結した後、前記ボルト、前記平ワッシャー、前記ナットのそれぞれの接触部分にシリコン系シーリング材を充填するステンレス鋼製ボルト締結方法により、応力腐食割れを防止することができ、ステンレス鋼製締結部の締結力が保持できる構造という効果を得ることが出来る。
本発明の請求項1記載のステンレス鋼製締結部の応力腐食割れ防止方法は、ステンレス鋼製のボルト締結方法において、ボルト円筒部に所定の長さの熱収縮チューブを装着し、平ワッシャーを通した後、締結箇所にボルトを通し、前記ボルトのネジ部側に平ワッシャー、ナットを装着して締結した後、前記ボルト、前記平ワッシャー、前記ナットのそれぞれの接触部分にシリコン系シーリング材を充填するステンレス鋼製ボルト締結方法としたものであり、塩害環境下内構造物において、応力腐食割れを防止することにより、ステンレス鋼製締結部の締結力が保持できる構造が実現可能であるという作用を有する。
また、ステンレス鋼製のボルト締結方法において、ボルト円筒部に所定の長さのゴム製スペーサを装着し、平ワッシャーを通した後、締結箇所にボルトを通し、前記ボルトのネジ部側に平ワッシャー、ナットを装着して締結した後、前記ボルト、前記平ワッシャー、前記ナットのそれぞれの接触部分にシリコン系シーリング材を充填するステンレス鋼製ボルト締結方法としたものであり、塩害環境下内構造物において、応力腐食割れを防止することにより、ステンレス鋼製締結部の締結力が保持できる構造が実現可能であるという作用を有する。
また、前記ボルトのネジ部を袋状のステンレス鋼製ナットとゴム製ワッシャーでシーリングする請求項1又は2の記載のステンレス鋼製ボルト締結方法としたものであり、塩害環境下内構造物において、応力腐食割れを防止することにより、ステンレス鋼製締結部の締結力が保持できる構造が実現可能であるという作用を有する。
また、前記ナットは緩み止めナットとした請求項1〜3いずれか一つに記載のステンレス鋼製ボルト締結方法としたものであり、塩害環境下内構造物において、応力腐食割れを防止することにより、ステンレス鋼製締結部の締結力が保持できる構造が実現可能であるという作用を有する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
従来の技術(図1)で示したように、ボルトは一般的な締結手段であるが、塩害環境下内構造物においても構成部材を相互に締結するために使用されている。被締結体2aと被締結体2bがボルト3とナット5によって締結されている。この構造では、ボルト3をナット5で必要な締付けトルクを加えることにより被締結体2aと2bが締結されている。前述のボルト3を使用する締結構造では、ボルト3の内部に弾性伸びに対応する引張応力が発生している。
従来の技術(図1)で示したように、ボルトは一般的な締結手段であるが、塩害環境下内構造物においても構成部材を相互に締結するために使用されている。被締結体2aと被締結体2bがボルト3とナット5によって締結されている。この構造では、ボルト3をナット5で必要な締付けトルクを加えることにより被締結体2aと2bが締結されている。前述のボルト3を使用する締結構造では、ボルト3の内部に弾性伸びに対応する引張応力が発生している。
そして、応力腐食割れ防止構造が必要なステンレス鋼製締結部1は、被締結体2aと被締結体2bの加工した穴を貫通している。このステンレス鋼製締結部1の応力腐食割れ防止構造には、まず、ボルト3に熱収縮チューブ7aを熱風加工機を用いてボルト3の円筒部に取付ける。なお、熱収縮チューブ7aは、円筒部だけでなく、一部ネジ部にかかってもよい。その際にボルト頭と熱収縮チューブ7aの接する部分に隙間が発生しないように取付ける。その後、ボルト3に平ワッシャー4を取付け、被締結体2b側から前記組合せのボルト3を挿入する。次に被締結体2a側から平ワッシャー4を取付けて、ナット5にて所定のトルクにて固定する。その後、ボルト3、平ワッシャー4、ナット5、被締結体2a、被締結体2bの接触部位にシリコン系シーリング材6で充填するのである。
前述したように、応力腐食割れが発生するのは、塩素イオン、素材(材質)、応力の3つの条件が揃った状態で発生する。上記構成によれば、熱収縮チューブ7aによって、応力のかかりやすいボルト頭と円筒部の接続部分に塩素イオンの付着を防止することができる。シリコン系シーリング材6は、ボルト3、平ワッシャー4、ナット5の各隙間から塩素イオンの浸入を防止することができる。すなわち、このような方法によって、応力のかかりやすい部分への塩素イオンの浸入を防ぎ、ステンレス鋼製締結部1を応力腐食割れから防止できる構造を可能にする。
また、図2に示すように、ボルト3の円筒部を覆う構造として、ゴム製スペーサ7bとしても良い。ゴム製スペーサ7bは円筒状でボルトが通る部分は空洞になっており、平ワッシャー4にて上下を締め付けた際に圧縮されて、その際にボルト3の円筒部に密着される。その後、ボルト3、平ワッシャー4、ナット5、被締結体2bの接触部位にシリコン系シーリング材6で充填するのである。すなわち、ゴム製スペーサ7bによってもボルト頭と円筒部との接続部分に塩素イオンの付着を防止し、ステンレス鋼製締結部1を応力腐食割れから防止できる。
さらに、図3に示すように、ボルト3のネジ部端部側に袋状ステンレス鋼製ナット8とゴム製ワッシャー9でシーリングしても良い。すなわち、ナット5にて所定のトルクにて固定した後、ゴム製ワッシャー9を取付けその後、袋状ステンレス鋼製ナット8を締付ける。さらに、ボルト3、平ワッシャー4、ナット5、被締結体2bの接触部位にシリコン系シーリング材6で充填するのである。このような方法によれば、ボルト3のネジ部、円筒部を覆うことになるので、塩素イオンの付着を防いでステンレス鋼製締結部1を応力腐食割れから防止できる。
また、ナット5は緩み止めナットを使用することで、ボルト3のネジ部の溝と緩み止めナットのネジ部の溝が機械的に密着することで隙間を発生させない構造となる。すなわち、塩素イオンの浸入しにくい構造となる。
本発明によれば、塩害環境下内構造物において隣接する2個の被締結体において、ボルトの円筒部においては、熱収縮チューブで覆い、ボルト、ナット、ベースの接触部位にシリコン系シーリング材で充填することにより、応力腐食割れを防止することができ、ステンレス鋼製締結部の締結力が保持できる構造という効果を得ることが出来る。従って、塩害環境下内構造物において隣接する2個の被締結体を締結するステンレス鋼製締結部において、メンテナンスが実施される期間までに応力腐食割れが発生するのを防止することができる構造が得られることから有用である。
1 ステンレス鋼製締結部
2a 被締結体
2b 被締結体
3 ボルト
4 平ワッシャー
5 ナット
6 シリコン系シーリング材
7a 熱収縮チューブ
7b ゴム製スペーサ
8 袋状ステンレス鋼製ナット
9 ゴム製ワッシャー
2a 被締結体
2b 被締結体
3 ボルト
4 平ワッシャー
5 ナット
6 シリコン系シーリング材
7a 熱収縮チューブ
7b ゴム製スペーサ
8 袋状ステンレス鋼製ナット
9 ゴム製ワッシャー
Claims (4)
- ステンレス鋼製のボルト締結方法において、
ボルト円筒部に所定の長さの熱収縮チューブを装着し、
平ワッシャーを通した後、締結箇所にボルトを通し、
前記ボルトのネジ部側に平ワッシャー、ナットを装着して締結した後、
前記ボルト、前記平ワッシャー、前記ナットのそれぞれの接触部分にシリコン系シーリング材を充填するステンレス鋼製ボルト締結方法。 - ステンレス鋼製のボルト締結方法において、
ボルト円筒部に所定の長さのゴム製スペーサを装着し、
平ワッシャーを通した後、締結箇所にボルトを通し、
前記ボルトのネジ部側に平ワッシャー、ナットを装着して締結した後、
前記ボルト、前記平ワッシャー、前記ナットのそれぞれの接触部分にシリコン系シーリング材を充填するステンレス鋼製ボルト締結方法。 - 前記ボルトのネジ部を袋状のステンレス鋼製ナットとゴム製ワッシャーでシーリングする請求項1又は2の記載のステンレス鋼製ボルト締結方法。
- 前記ナットは緩み止めナットとした請求項1〜3いずれか一つに記載のステンレス鋼製ボルト締結方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011276796A JP2013127284A (ja) | 2011-12-19 | 2011-12-19 | ステンレス鋼製ボルト締結方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2013127284A true JP2013127284A (ja) | 2013-06-27 |
Family
ID=48777927
Family Applications (1)
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JP2011276796A Pending JP2013127284A (ja) | 2011-12-19 | 2011-12-19 | ステンレス鋼製ボルト締結方法 |
Country Status (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015019691A1 (ja) * | 2013-08-08 | 2015-02-12 | 株式会社水道技術開発機構 | 伸縮可撓管及び伸縮可撓管の組立方法 |
JP2017203555A (ja) * | 2017-08-28 | 2017-11-16 | 株式会社水道技術開発機構 | 伸縮可撓管及び伸縮可撓管の組立方法 |
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2011
- 2011-12-19 JP JP2011276796A patent/JP2013127284A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2015019691A1 (ja) * | 2013-08-08 | 2015-02-12 | 株式会社水道技術開発機構 | 伸縮可撓管及び伸縮可撓管の組立方法 |
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