JP2013127105A - 平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電解エッチングによる表面の粗面化処理の均一性を向上するとともに、平版印刷に好適な材料強度を有する平版印刷版用アルミニウム合金板を製造することができる平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、Fe:0.2〜0.6%、Si:0.02〜0.2%、Cu:0.001〜0.02%、Zn:0.01〜0.1%、Mg:0.01%以上0.1%未満、Ti:0.001〜0.05%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金鋳塊に対し、550℃を超える温度に加熱することなく熱間圧延を開始し、300℃未満の温度で前記熱間圧延を終了して板厚2〜6mmのアルミニウム合金板を得、前記熱間圧延後のアルミニウム合金板に対し、中間焼鈍を施すことなく冷間圧延率80%以上の冷間圧延を実施して所定の最終板厚に仕上げる。
【選択図】図1

Description

本発明は、平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法に関するものである。
平版印刷では、予め感光層が形成され、現像処理した後に、そのまま或いは感光層の焼き付け(バーニング)処理をして用いられるPS版が幅広く使用されており、該PS版は、感光剤が塗布される粗面を有している。
このPS版は、アルミニウム合金を用いて所定の製造工程を経て製造されるものであるが、上記感光剤の塗布に先立っては表面処理が施されている。この表面処理は、電解エッチングによって印刷版表面を粗面化処理した後、所望により陽極酸化処理するものである。
ところで、大量に印刷物を作成する新聞印刷や商業印刷においては、印刷工程の機械化や高速化が進んでいる。このため、平版印刷版には、そのような機械化や高速化に耐え得る材料強度が求められている。一方、印刷品質の面では、高い解像度での印刷を実現するべく、平版印刷版には、粗面化処理が施された表面が微細で均一な砂目形状を有していることが求められている。
これまで、電解エッチングによる粗面化処理の均一性を向上したり、平版印刷に好適な材料強度を実現することを目的として、種々の平版印刷版用アルミニウム合金板やその製造方法が提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。
特開2011−157628号公報 特開2010−053410号公報 特開2005−330588号公報 特開2005−042187号公報
しかしながら、従来の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法では、電解エッチングによる粗面化処理の均一性の向上および材料強度の好適化をともに実現することは困難であるという問題がある。
本発明の目的は、上記事情を背景としてなされたものであり、電解エッチングによる表面の粗面化処理の均一性を向上するとともに、平版印刷に好適な材料強度を有する平版印刷版用アルミニウム合金板を製造することができる平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法のうち、第1の本発明は、質量%で、Fe:0.2〜0.6%、Si:0.02〜0.2%、Cu:0.001〜0.02%、Zn:0.01〜0.1%、Mg:0.01%以上0.1%未満、Ti:0.001〜0.05%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金鋳塊に対し、550℃を超える温度に加熱することなく熱間圧延を開始し、300℃未満の温度で前記熱間圧延を終了して板厚2〜6mmのアルミニウム合金板を得、前記熱間圧延後のアルミニウム合金板に対し、中間焼鈍を施すことなく冷間圧延率80%以上の冷間圧延を実施して所定の最終板厚に仕上げることを特徴とする。
第2の本発明の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法は、前記第1の本発明において、前記最終板厚が0.1〜0.4mmであることを特徴とする。
第3の本発明の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法は、前記第1または第2の本発明において、前記最終板厚のアルミニウム合金板の引張り強度が180MPa〜220MPaであることを特徴とする。
すなわち、本発明によれば、エッチングピットの均一化に寄与するFeおよびSi、電解性の向上に寄与するCu、カソード域での反応性の向上に寄与するZn、エッチング性の向上に寄与するMg、ならびに結晶粒の微細化に寄与するTiをそれぞれ適量含有する。また、前記組成を有するアルミニウム合金の鋳塊に対して、550℃を超える温度に加熱することなく熱間圧延を開始するので、金属間化合物が粗大化して密度が減少することを抑制することができる。したがって、本発明によれば、電解エッチングによる表面の粗面化処理の均一性を向上することができ、微細で均一な砂目形状の表面を有する平版印刷版用アルミニウム合金板を得ることができる。
また、本発明によれば、固溶により材料強度および耐熱軟化性の向上に寄与するMgを適量含有する。また、300℃未満の温度で熱間圧延を終了するので、Feの固溶量を適切に確保することができる。したがって、平版印刷版用アルミニウム合金板の材料強度を向上することができる。また、熱間圧延により板厚2〜6mmのアルミニウム合金板を得るとともに、冷間圧延率を80%以上とするので、製品板厚まで冷間圧延した際に適切な材料強度を得ることができる。また、複数回の冷間圧延の間に中間焼鈍を行わないため、材料強度を確保することができる。したがって、本発明によれば、平版印刷に好適な材料強度を有する平版印刷版用アルミニウム合金板を得ることができる。
以下に、本発明に規定する成分、製造条件などの限定理由について説明する。なお、成分含有量は、いずれも質量%で示される。
Fe:0.2〜0.6%
Feは、適量の含有により微細析出物であるAlFe系晶析出物(金属間化合物)を形成してエッチングピットの均一化に寄与する元素であり、適量の金属間化合物粒子を得るためには0.2%以上の含有が必要である。Feの含有量が0.2%未満であると、晶析出物の形成が不十分となり、エッチングピット開始点が少なく、エッチングピットが不均一となる結果、所望のエッチング性を得ることができない。一方、Feの含有量が0.6%を超えると、巨大晶析出物の形成によりエッチングピットを不均一化する。このため、Feの含有量は、0.2〜0.6%の範囲に定める。なお、同様の理由により、下限を0.2%、上限を0.5%に定めるのが望ましい。
Si:0.02〜0.2%
Siは、適量の含有によりアルミニウムマトリクス中に析出して結晶粒を微細化することでエッチングピットの均一化に寄与する元素である。ただし、Siの含有量が0.02%未満であると、結晶粒の微細化が不十分となり、エッチングピット開始点が少なく、エッチングピットが不均一となる結果、所望のエッチング性を得ることができない。また、Siの含有量を0.02%未満にまで低下させると高純度地金の使用によりコストが増し、工業性の点で問題が発生する。一方、Siの含有量が0.2%を超えると、Si系の巨大晶析出物が形成されてエッチングピットを不均一化し、また、インキ汚れの一因にもなる。このため、Siの含有量は、0.02〜0.2%の範囲に定める。なお、同様の理由により、下限を0.05%、上限を0.15%に定めるのが望ましい。
Cu:0.001〜0.02%
Cuは、適量の含有により電解エッチングにおける電解性の向上に寄与し、エッチングピットを形成しやすくして均一なエッチングピットの形成を可能にする元素である。ただし、Cuの含有量が0.001%未満であると、電解エッチングによるエッチングピットの形成に大電流が必要となり、通常の条件では、形成されるエッチングピットが浅いか、エッチングピットが形成され難くなる。一方、Cuの含有量が0.02%を超えると、エッチングピットの深さは増すが局部的に電解エッチングされるようになり、大きなエッチングピットが不均一に形成される。このため、Cuの含有量は、0.001〜0.02%の範囲に定める。なお、同様の理由により、下限を0.001%、上限を0.01%に定めるのが望ましい。
Zn:0.01〜0.1%
Znは、適量の含有により電解エッチングにおけるカソード域での反応性を向上することでエッチング性の向上に寄与する元素である。ただし、Znの含有量が0.01%未満であると、カソード域での反応性が不足し、エッチング性を十分に向上することが困難となる。一方、Znの含有量が0.1%を超えると、使用済みの平版印刷版のリサイクルを阻害する一因となる。このため、Znの含有量は、0.01〜0.1%の範囲に定める。なお、同様の理由により、下限を0.025%、上限を0.08%に定めるのが望ましい。
Mg:0.01%以上0.1%未満
Mgは、適量の含有によりアルミニウム結晶中に固溶して材料強度および耐熱軟化性の向上に寄与するとともに、形成される酸化皮膜が酸性の電解液に対して活性に作用することによりエッチング性の向上に寄与する元素である。ただし、Mgの含有量が0.01%未満であると、材料強度およびバーニング後の強度が不足するとともに、エッチング性が低下する。一方、Mgの含有量が0.1%以上であると、材料強度が高くなり過ぎて曲げ加工性が不足する結果、印刷時に版胴への巻き付けが困難となる。このため、Mgの含有量は、0.01%以上0.1%未満の範囲に定める。なお、同様の理由により、下限を0.02%、上限を0.04%に定めるのが望ましい。
Ti:0.001〜0.05%
Tiは、適量の含有により結晶粒の微細化に寄与する元素である。ただし、Tiの含有量が0.001%未満であると、結晶粒を微細化することができない。一方、Tiの含有量が0.05%を超えると、巨大晶析出物の形成によりエッチングピットを不均一化する。このため、Tiの含有量は、0.001〜0.05%の範囲に定める。なお、同様の理由により、下限を0.005%、上限を0.02%に定めるのが望ましい。
アルミニウム合金の鋳塊は、上記成分を含有するほか、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有するものであり、常法により鋳造することができる。なお、不可避的不純物としては、Mn、Y、Sn、Zr、Ga、Ni、Inなどを例示することができ、これらの不純物の含有量は、個々に0.03質量%以下に抑えることが望ましい。
また、上記組成を有するアルミニウム合金の鋳塊に対しては、均質化処理を行わずに、または550℃以下の温度で均質化処理を行ってから以下に述べる熱間圧延を開始することができる。均質化処理を省略しまたは均質化処理の温度を550℃以下とするのは、金属間化合物が粗大化して密度が減少するのを抑制するためである。均質化処理を省略した場合であっても、電解エッチングの均一性に寄与する微細な金属間化合物の数が減らないため不都合はない。
熱間圧延
熱間圧延は、上記組成を有するアルミニウム合金の鋳塊に対して、550℃を超える温度に加熱することなく行う。550℃を超える温度に加熱することなく熱間圧延を開始するので、金属間化合物の粗大化を抑制することができ、これにより均一なエッチングピットを形成することができる。熱間圧延を開始する前に550℃を超える温度に加熱する熱処理が行われていると、金属間化合物が粗大化してエッチングピットが不均一なものとなる。
また、熱間圧延は、300℃未満の温度で終了する。このように熱間圧延の仕上温度を300℃未満とすることにより、Feの固溶量を適切に確保して材料強度を向上することができる。熱間圧延の仕上温度が300℃以上であると、Feの析出量が増大してFeの固溶量が減少する結果、材料強度が低下することになる。なお、熱間圧延の仕上温度の下限は、圧延時の温度が低いと圧延荷重が高くなって圧延性が悪くなるため、220℃とするのが望ましい。
上記条件での熱間圧延により、板厚2〜6mmのアルミニウム合金板を得る。このように熱間圧延による仕上板厚を2〜6mmとすることで、その後の冷間圧延により製品板厚まで圧延した際に適切な材料強度を得ることができる。なお、仕上板厚が2mm未満では、加工硬化が不足して十分な材料強度を得ることができず、また、仕上板厚が6mmを超えると、その後の冷間圧延のパス回数が増加して生産性が低下することになる。
冷間圧延
上記熱間圧延後のアルミニウム合金板に対しては、冷間圧延を中間焼鈍を介することなく実施する。中間焼鈍を行うと、バーニングでの軟化を抑制することができるが、材料強度が低下することになる。バーニングでの軟化については、上記のようにMgを含有することにより耐熱軟化性を向上してバーニングでの軟化を抑制することができる。
また、冷間圧延におけるパス数は本発明としては特に限定されるものではないが、冷間圧延率は、80%以上とする。冷間圧延率が80%未満では、加工硬化が不足して十分な材料強度を得ることができない。冷間圧延率を80%以上とすることにより、十分な材料強度を得ることができる。
上記冷間圧延後のアルミニウム合金板は、好適には、板厚が0.1〜0.4mmであり、引張り強度が180MPa〜220MPaである。このような板厚および引張り強度を有することで、機械搬送や高速での輪転機の回転によって生じる高い応力に対しても変形を防止できるとともに、種々の版胴に適用可能な加工性を有するため、平版印刷版用アルミニウム合金板として好適に使用することができる。ただし、本発明としては、上記板厚や引張り強度に限定されるものではない。
以上説明したように、本発明の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法によれば、質質量%で、Fe:0.2〜0.6%、Si:0.02〜0.2%、Cu:0.001〜0.02%、Zn:0.01〜0.1%、Mg:0.01%以上0.1%未満、Ti:0.001〜0.05%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金鋳塊に対し、550℃を超える温度に加熱することなく熱間圧延を開始し、300℃未満の温度で前記熱間圧延を終了して板厚2〜6mmのアルミニウム合金板を得、前記熱間圧延後のアルミニウム合金板に対し、中間焼鈍を施すことなく冷間圧延率80%以上の冷間圧延を実施して所定の最終板厚に仕上げるので、電解エッチングによる表面の粗面化処理の均一性を向上するとともに、平版印刷に好適な材料強度を有する平版印刷版用アルミニウム合金板を製造することができる。
本発明の一実施形態の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法を示すフロー図である。
以下、本発明の一実施形態の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法について図1に基づいて説明する。
まず、平版印刷版用アルミニウム合金板の材料となるアルミニウム合金の鋳塊は、常法により鋳造することができ、本発明の成分範囲となるように成分調整し、鋳造することにより得ることができる(ステップs1)。
次いで、得られたアルミニウム合金の鋳塊に対して表層の不均一部分を除去する面削と、所望により550℃以下の温度で均質化処理を実施する(ステップs2)。均質化処理の温度を550℃以下とするのは、金属間化合物の粗大化を抑制するためである。なお、均質化処理を省略するものとしてもよい。均質化の省略によって均質化加熱による金属間化合物の粗大化を回避できる。なお、面削と均質化処理をそれぞれ行う場合、これら処理の先後は限定されない。
均質化処理の後、熱間圧延を実施する(ステップs3)。熱間圧延は、上記の均質化処理を含めて550℃を超える温度に加熱することなく開始する。550℃を超える温度に加熱することなく熱間圧延を開始することにより、熱間圧延中にも550℃を超えることはなく金属間化合物の粗大化を抑制することができる。このため、後述する電解エッチングによる粗面化処理において、均一なエッチングピットを形成することができる。
上記熱間圧延は、300℃未満の温度で終了して板厚2〜6mmのアルミニウム合金板を得る。熱間圧延の仕上温度を300℃未満とすることにより、Feの固溶量を適切に確保して材料強度を向上することができる。また、熱間圧延による仕上板厚を2〜6mmとすることで、その後の冷間圧延により製品板厚まで圧延した際に適切な材料強度を得ることができる。
上記熱間圧延後のアルミニウム合金板に対して、冷間圧延を中間焼鈍を実施することなく冷間圧延を実施する(ステップs4)。冷間圧延の間に中間焼鈍を実施しないことにより、中間焼鈍による材料強度の低下を回避して十分な材料強度を得ることができる。また、中間焼鈍に代わり、Mgを上記範囲で含有することにより、バーニングでの軟化を抑制することができる。
なお、冷間圧延のパス数は、1回のみに限定されるものではなく、平版印刷版用アルミニウム合金板に要求される特性などに応じて2回以上に適宜設定することができる。
こうして、中間焼鈍を介さない複数回の冷間圧延により、冷間圧延率80%以上で所定の板厚にアルミニウム合金板を仕上げる。冷間圧延率を80%以上とすることにより、加工硬化が不足することなく十分な材料強度を得ることができる。
上記複数回の冷間圧延後のアルミニウム合金板は、例えば、板厚が0.1〜0.4mmであり、引張り強度が180MPa〜220MPaである。
上記のようにして得られたアルミニウム合金板は、表面清浄、粗面化処理、陽極酸化皮膜の形成、および感光剤の塗布を経て、PS版として供給することができる。以下、これらの工程を参考として説明する。なお、以下の工程は、本発明を規定するものではない。
合金板では、通常は、感光剤の塗布に先立って表面清浄がなされる。表面清浄では、一般に、表面に付着している油、汚れなどの除去を目的に洗浄がなされる。この洗浄は、通常は苛性ソーダを用いた苛性処理によってなされる。ただし、本発明としては酸処理、その他の処理を含むものであってもよく、また苛性処理を含まない処理からなるものであってもよく、要は洗浄を目的とする処理過程であればよい。なお、洗浄に用いる溶液や洗浄の手順、条件等については本発明としては特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。また、上記洗浄工程と合わせて、または上記洗浄工程を経ることなく機械研磨によって表面清浄を行うものであってもよい。
表面の清浄化がなされたアルミニウム合金板は、その後、表面を粗面化するために粗面化処理がなされる。この粗面化処理は、通常は、電解エッチングにより行われる。この粗面化は後述する感光剤を印刷版表面に強固に固定すること及び印刷時の非画像部に付く湿し水の保水性向上を目的として行われる。本発明では、電解エッチングを含むエッチングの条件は特に限定されるものではなく、例えば常法により行うことができる。
本発明の材料は、エッチング性に優れており、該エッチングによって、未エッチング部が少なく、均一なエッチングピットが形成された粗面が得られる。
さらに、上記印刷版では通常、粗面化処理後に、防食、耐摩耗、親水性のために陽極酸化皮膜を形成する。この皮膜処理は常法により行うことができ、本発明として製造条件、皮膜の性状について特に限定されるものではなく、陽極酸化皮膜を形成しない選択も可能である。陽極酸化皮膜形成後には、その表面に所望の感光剤を塗布する。この感光剤の種別も本発明としては限定されるものではなく、公知の感光剤を使用することができる。また、感光剤の塗布に用いられる装置や塗布方法、塗布量についても適宜選定される。感光剤の塗布後はPS版として供給される。
以下に、本発明の実施例について説明する。
まず、表1に示す組成(残部がAlと不可避不純物)のアルミニウム合金を溶解鋳造してスラブを得た。次いで、均質化処理として、表1に示すスラブ加熱温度で4時間スラブを加熱した。さらに、表1に示す製造条件で熱間圧延および冷間圧延を順次行い、表1に示す最終板厚を有するアルミニウム合金板を得た。
なお、唯一中間焼鈍を行った比較例10では、板厚1mm、温度420℃で中間焼鈍を実施し、その後、冷間圧延率70%で板厚0.3mmまで冷間圧延を実施した。
上記のようにして得られた各アルミニウム合金板について、JIS Z2201によって引張り強度を測定し、また、電解エッチングを行ってその均一性を評価した。
また、電解エッチングの均一性は、次のようにして評価した。すなわち、25℃の2%塩酸中で、交流周波数50Hz、電流密度60A/dm、および電解時間30秒の条件でアルミニウム合金板に対して電解エッチングを行った後、アルミニウム合金板の表面を走査電子顕微鏡(SEM)により観察した。観察の結果、表面における未エッチング部の面積率が2%未満のものを「◎」、2%以上5%未満のものを「○」、5%以上10%未満のものを「×」、10%以上のものを「××」と評価した。
表1に、引張り強度の測定結果および電解エッチングの均一性の評価結果を示す。
Figure 2013127105
表1に示すように、本発明材は、平版印刷に好適な引張り強度を有するとともに、電解エッチングの均一性に優れるものとなった。一方、本発明の上記条件を満たさない比較材は、引張り強度が平版印刷に不適なもの又は電解エッチングの均一性に劣るものとなった。

Claims (3)

  1. 質量%で、Fe:0.2〜0.6%、Si:0.02〜0.2%、Cu:0.001〜0.02%、Zn:0.01〜0.1%、Mg:0.01%以上0.1%未満、Ti:0.001〜0.05%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金鋳塊に対し、550℃を超える温度に加熱することなく熱間圧延を開始し、300℃未満の温度で前記熱間圧延を終了して板厚2〜6mmのアルミニウム合金板を得、前記熱間圧延後のアルミニウム合金板に対し、中間焼鈍を施すことなく冷間圧延率80%以上の冷間圧延を実施して所定の最終板厚に仕上げることを特徴とする平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法。
  2. 前記最終板厚が0.1〜0.4mmであることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法。
  3. 前記最終板厚のアルミニウム合金板の引張り強度が180MPa〜220MPaであることを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法。
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