JP2013125205A - 積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の製造方法は、基材11上にパターン配向層12を形成する工程と、このパターン配向層上に重合性液晶組成物からなる位相差層形成用層13’を形成し、この位相差層形成用層13’の層厚を均一にした後、重合性液晶組成物を配向パターンに沿って配列させて位相差層13を形成する工程とを含み、位相差層13を形成する工程では、位相差層形成用層13’を形成した後、基材11を除電してから、重合性液晶組成物を乾燥する。除電は、位相差層形成用層13’を形成した後、積層体がローラ50を通過するまでの間に行うことが好ましく、位相差層形成用層13’の表面と基材11に帯電した静電気を除電する導電線37aとの距離は20mm以下であることが好ましい。
【選択図】図2
Description
図1は、本実施形態の製造方法によって得られる積層体1を示す図である。この積層体1は、パターン位相差フィルムであり、以下「パターン位相差フィルム1」ともいう。なお、以下では「パターン位相差」を「位相差」と略記するが、特に断りがない限り、「位相差」は、「パターン位相差」と同義である。位相差フィルム1は、基材11上にパターン配向層12が形成され、このパターン配向層12上に、重合性液晶組成物を含む位相差層13が形成されることによって得られる。
基材11は、透明フィルム材であり、パターン配向層12を支持する機能を有し、長尺に形成されている。
パターン配向層12は、2種類の配向パターンを交互に有する。この配向パターンは、凹凸形状を有する金型を用いて当該凹凸形状を転写する賦型UV方式よって形成されてもよいし、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を用いて光照射によって配向させる光配向方式によって形成されてもよい。賦型UV方式によってパターン配向層12を形成する場合、パターン配向層12は、広く一般に用いられるエネルギー線硬化性樹脂(紫外線硬化樹脂等)を含有するものであれば、どのようなものであってもよい。一方、光配向方式によってパターン配向層12を形成する場合、パターン配向層12は、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を含有する必要がある。
図1に戻り、位相差層13は、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する棒状化合物を含む。位相差層13は、上記配向パターンに沿って形成されるため、右目用の領域に対応する第1位相差領域13Aと、左目用の領域に対応する第2位相差領域13Bとを有する。
以下では、賦型UV方式によって形成する場合における位相差フィルム1の製造方法について説明するが、位相差フィルム1は、光配向方式によって形成されたものであってもよい。
まず、ロール31に巻き取った長尺フィルムから基材11を提供し、この基材11上にパターン配向層用組成物32を塗工する組成物塗工処理を行う。
基材11は、透明フィルム材であり、パターン配向層12を支持する機能を有し、長尺に形成されている。
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。Re値は、例えば、位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器社製)を用い、平行ニコル回転法により測定することができる。また、本明細書においては、特に別段の記載をしない限り、Re値は波長589nmにおける値を意味するものとする。
基材11の提供にあたっては、長尺フィルムを連続的に搬送できるものであれば、特に限定されるものではなく、一般的な搬送手段を用いる方法を用いることができる。具体的には、ロール状の長尺フィルムを供給する巻き出し機及び長尺フィルムを巻き取る巻き取り機等を用いる方法、ベルトコンベア、搬送用ロール等を用いる方法を挙げることができる。また、エアの吐出と吸引とを行うことにより、長尺配向膜形成用フィルムを浮上させた状態で搬送する浮上式搬送台を用いる方法であっても良い。
賦型UV方式によってパターン配向層12を形成する場合、パターン配向層12は、広く一般に用いられるエネルギー線硬化性樹脂(紫外線硬化樹脂等)であれば、どのようなものであってもよく、例えば、紫外線硬化型のポリオール(メタ)アクリレート類、エポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類が挙げられる。
パターン配向層用組成物32を塗工するにあたり、本実施形態では、グラビアコートの手法を適用してパターン配向層用組成物32を塗工しているが、これに限るものではない。具体的には、グラビアコート法のほか、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等を用いることができる。
溶剤除去処理では、乾燥機33を用いてパターン配向層用組成物32を乾燥させて溶剤除去する。この処理では、図示しない反転ローラにより基材11の上下を逆転させた後、乾燥機33に導き、ここでパターン配向層用組成物32を溶剤除去した後、半乾きの状態で次の工程に送出する。
続いて、転写用金型の表面に形成された微細な凹凸形状をパターン配向層形成用層12’の表面に転写する賦型処理を行う。賦型処理において、円筒形状によるロール版34が転写用金型であり、このロール版34の表面に転写に供する微細な凹凸形状が形成されている。ここでこの転写用金型の微細な凹凸形状は、ラビング等の手法により原盤の表面にスジ状の模様を密に作製して形成され、このスジの延長方向が、右目用及び左目用の領域A及びBで、90度異なる方向となるように、かつ各領域の延長方向に対して45度傾くように形成される。なおこの各領域の延長方向に対する傾きにあっては、基材2のリタデーションが無視できない程度に大きい場合には、リタデーション値に応じて、適宜、増減される。賦型処理では、押圧ローラ35を用いてパターン配向層形成用層12’をロール版20に押圧し、この状態で紫外線照射装置36から紫外線を基材11側から照射し、パターン配向層用組成物32を硬化させる。また剥離ローラ37によりロール版20から基材11を剥離した後、紫外線照射装置38から紫外線をパターン配向層形成用層12’側より照射し、未硬化のパターン配向層用組成物32を硬化させる。
図2に戻り、位相差層形成用塗工液塗工処理について説明する。本実施形態では、位相差層形成用塗工液の供給装置39から位相差層形成用塗工液を塗工している。具体的な塗工の方法としては、パターン配向層12上に位相差層形成用塗工液からなる塗膜を安定的に形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、(A)組成物塗工処理で説明したものと同じものを例示できる。
位相差層形成用塗工液は、1種又は2種以上の重合性液晶化合物を含有する。以下、このことについて詳しく説明する。
重合性液晶化合物は、屈折率異方性を有し、賦型処理によって発現される配向パターンに沿って規則的に配列することにより、所望の位相差性を付与する機能を有する。重合性液晶化合物として、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料が挙げられるが、他の液晶相を示す液晶化合物と比較して規則的に配列させることが容易である点で、ネマチック相を示す液晶化合物を用いることがより好ましい。
上記した重合性液晶化合物は、通常溶媒に溶かされている。溶媒は、重合性液晶化合物を均一に分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン(以下「CHN」という。)等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(以下「IPA」という。)等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、溶媒は、1種類であってもよいし、2種類以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
重合性液晶組成物は、必要に応じて他の化合物を含むものであっても良い。他の化合物は、上記した重合性液晶化合物の配列秩序を害するものでなければ特に限定されるものではなく、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤及びシランカップリング剤等を挙げることができる。
重合開始剤として、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本実施形態では、これらの光重合開始剤を1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合禁止剤は、重合性液晶組成物の保存安定性を高めるために用いられる。重合禁止剤として、例えば、ジフェニルピクリルヒドラジド、トリ−p−ニトロフェニルメチル,p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、ピクリン酸、塩化銅、メチルハイドロキノン、メトキノン、tert−ブチルハイドロキノン等の反応の重合禁止剤を用いることができるが、保存安定性の点から、ハイドロキノン系重合禁止剤が好ましく、メチルハイドロキノンを用いるのが特に好ましい。
界面活性剤は、重合性液晶組成物の動的表面張力を調整し、位相差層の横スジムラを抑制するために用いられる。
位相差層13は棒状化合物が含有されることにより、位相差性を発現するものになっているところ、当該位相差性の程度は棒状化合物の種類及び位相差層13の厚さに依存して決定されるものである。したがって、位相差層形成用層の厚さは、所定の位相差性を達成できる範囲内とするものであれば特に限定されるものではなく、位相差フィルム1の用途等に応じて適宜決定されるものである。
続いて、除電装置40を用いて、基材11を除電する除電処理を行う。従来、基材11、パターン配向層12及び位相差層形成用層13’を含む積層体は、例えば図3に示すように、複数のゴムローラ50A,50B,50C,・・・を用いてレベリング装置41に搬送されている。しかし、位相差層形成用層13’に含まれる重合性液晶組成物は誘電率異方性を有し、電圧を加えられると配向が変化する。そのため、図4に示すように、パターン配向層12で規定された配向方向に沿って配向していた位相差層形成用層13’中の重合性液晶組成物14が、図3に示す基材11と複数のゴムローラ50A,50B,50C,・・・との摩擦による静電気によって、図5に示すように、電界方向に沿って配向される。
続いて、レベリング装置41を用いて、位相差層形成用層の層厚を均一にするレベリング処理を行う。位相差層形成用塗工液からなる位相差層形成用層の厚さは、その後に形成される位相差層13の面内位相差がλ/4分に相当するような範囲内となるように塗布することが好ましい。これにより、第1位相差領域13A及び第2位相差領域13Bを通過する直線偏光を、互いに直交関係にある円偏光にすることができ、結果として、より精度良く三次元映像を表示できるためである。
続いて、位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる棒状化合物を、上記パターン配向層12に含まれる第1配向領域12A及び第2配向領域12Bの異なる配向方向に沿って、棒状化合物を配列させる。棒状化合物を配列させる方法としては、所望の方向に配列させることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、乾燥機42を用いて棒状化合物を液晶相形成温度以上に加温することが挙げられる。
その後、冷却機43を用いて、基材11/パターン配向層12/位相差層13からなる積層体を冷却する冷却処理を行う。冷却処理は、積層体が室温になる程度まで行えばよい。
続いて、重合性棒状化合物を重合し硬化させる硬化処理を行う。重合性棒状化合物を重合させる方法としては、重合性棒状化合物が有する重合性官能基の種類に応じて任意に決定すればよいが、適量の重合開始剤を加えて、活性放射線の照射により硬化させる方法が好ましい。活性放射線としては、重合性棒状化合物を重合することが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光又は可視光を使用することが好ましく、具体的には、パターン配向層12を形成する際に用いた紫外線と同様とすることができる。このような硬化処理を経ることにより、互いに重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができるため、列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた位相差層13を形成できる。
上記位相差フィルム1は、三次元表示用のフラットパネルディスプレイに用いることが好適であり、三次元表示用のフラットパネルディスプレイに用いることで、光配向性に優れるという格別の効果を奏する。
図2で説明した製造工程を経て実施例及び比較例に係る位相差フィルムを得た。その際、基材は、表面に防眩処理が施されたTAC基材(商品名:TD60UL−P,厚さ:60μm,富士フィルム社製)を用い、搬送速度は12m/minとした。
まず、除電直後の積層体について、ウェブ上の帯電量を測定した。帯電量は、デジタル静電電位測定器MODEL KSD−2000(春日電機社製)を用い、添付の取扱説明書の指示に従い、帯電量を測定した。結果を表2に示す。
また、位相差フィルムの外観を評価した。外観の評価は、位相差フィルムの両面に偏光板(商品名:HCL2−5618HCS,サンリッツ社製)をクロスニコル配置となるように貼り合わせ、貼り合わせた部材を液晶用バックライトに設置し、部材正面の白濁の程度を暗室下にて目視で観察した。白濁がほとんどなく、配向不良が認められない場合を“○”とし、少し白濁はあるが、配向不良が認められるほどではない場合を“△”とし、白濁の程度が高く、配向不良が認められる場合を“×”とした。結果を表2に示す。
11 基材
12 パターン配向層
13 位相差層
Claims (6)
- 基材に、重合性液晶組成物からなる層を形成する工程と、
前記重合性液晶組成物を重合することによって前記重合性液晶組成物からなる層を硬化する工程とを含む積層体の製造方法であって、
前記重合性液晶組成物からなる層を硬化する工程において、前記重合性液晶組成物を塗布した後であって乾燥前に、前記重合性液晶組成物が塗布された塗布基材を除電する工程を備える、積層体の製造方法。 - 前記除電は、塗布面側から行われる請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 前記除電は、前記重合性液晶組成物を塗布した後であって、最初の搬送ローラを通過するまでの間に行われる、請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
- 前記除電は、導電性繊維を紐状又は糸状とした導電繊維線を電極支持体に直線状に張架して除電電極とし、これに交流高電圧を印加するとともに、この導電繊維線に対し、前記積層体を非接触で交差させることによって行われ、
前記重合性液晶組成物からなる層の表面と前記導電繊維線との距離は20mm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の積層体の製造方法。 - 前記積層体は、パターン位相差フィルムであり、
前記重合性液晶組成物からなる層を形成する工程は、基材上に配向パターンを付与してパターン配向層を形成する工程の後、このパターン配向層上に重合性液晶組成物からなる位相差層形成用層を形成することによって行われ、
前記重合性液晶組成物からなる層を硬化する工程は、前記重合性液晶組成物を前記配向パターンに沿って配列させて位相差層を形成することによって行われる、請求項1から4のいずれかに記載の積層体の製造方法。 - 前記配向パターンを形成する際に設定した配向軸と、前記位相差層の配向軸との角度差の絶対値で定義される配向ズレ角度が2度以内である、請求項5に記載の積層体の製造方法。
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