JP2013122690A - Icカード、携帯可能電子装置、および、icカードの制御方法 - Google Patents

Icカード、携帯可能電子装置、および、icカードの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電源電圧の状態に応じた処理が行えるICカードを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、ICカードは、インターフェースと、制御部と、検知部と、記憶部と、設定部とを有する。インターフェースは、外部装置と接続する。制御部は、インターフェースを介して外部装置から供給される電源電圧により動作する。検知部は、インターフェースを介して外部装置から供給される電源電圧値を検知する。記憶部は、ICカードが動作可能な範囲において基準電圧値よりも低い電圧値に対応づけて実行を制限するコマンドを示す情報を記憶する。設定部は、外部装置から電源供給を受けてリセット処理を実行する場合、検知部が検知した電源電圧値に応じて実行を制限するコマンドを記憶部に記憶した情報に基づいて設定する。
【選択図】図1

Description

この発明に係る実施形態は、ICカード、携帯可能電子装置、および、ICカードの制御方法に関する。
従来、携帯可能電子装置の一例としてのICカードは、供給される電源電圧が十分でなくても動作範囲内であれば、負荷の少ない初期応答などの動作が可能となる。しかしながら、供給されている電源電圧が十分でなければ、初期応答などを実行できたICカードであっても、負荷の大きい処理を実行できないことがある。
ISO/IEC 7816−3
この発明の一形態は、電源電圧の状態に応じた処理を行えるICカード、携帯可能電子装置および携帯可能電子装置の制御方法を提供することを目的とする。
この発明の一形態としてのICカードは、インターフェースと、制御部と、検知部と、記憶部と、設定部とを有する。インターフェースは、外部装置と接続する。制御部は、インターフェースを介して外部装置から供給される電源電圧により動作する。検知部は、インターフェースを介して外部装置から供給される電源電圧値を検知する。記憶部は、ICカードが動作可能な範囲において基準電圧値よりも低い電圧値に対応づけて実行を制限するコマンドを示す情報を記憶する。設定部は、外部装置から電源供給を受けてリセット処理を実行する場合、検知部が検知した電源電圧値に応じて実行を制限するコマンドを記憶部に記憶した情報に基づいて設定する。
図1は、実施の形態に係る携帯可能電子装置としてのICカードの構成例を示すブロック図である。 図2は、ICカードと通信する端末装置の構成例を示す図である。 図3は、ランク設定テーブルの構成例を示す図である。 図4は、ATRの構成例を示す図である。 図5は、ATRにおけるヒストリカルバイトの構成例を示す図である。 図6は、ヒストリカルバイトにおけるコンパクトTLVのデータオブジェクトの定義例を示す図である。 図7は、ICカードにおける起動処理の流れを説明するためのフローチャートである。 図8は、ICカードにおけるコマンド処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。
以下、実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、携帯可能電子装置としてのICカード1と端末装置2とを有するICカードシステムの構成例を示すブロック図である。
図1に示すICカードシステムは、ICカード1と端末装置2とが双方向にデータの送受信を行う通信システムである。たとえば、ICカードシステムは、端末装置2がICカード1を装着した状態で運用される形態を想定するものとする。このような運用形態において、ICカード1と端末装置2とは、たとえば、SWP通信などの全2重通信によりデータ通信を行う。
ICカード1は、端末装置2から供給される電源電圧、および、動作用のクロック信号により動作する。たとえば、上記ICカード1は、上記端末装置2と物理的、電気的に接触して通信を行う接触式の携帯可能電子装置(接触式ICカード)である。ただし、上記ICカード1は、アンテナ及び変復調回路などを含む無線通信部によって、上記端末装置2と非接触の状態で無線通信を行う非接触式の携帯可能電子装置(非接触式ICカード)であっても良い。さらには、上記ICカード1は、非接触式ICカードとしての通信機能と接触式ICカードとしての通信機能とを有する複合型のICカード(デュアルインターフェースICカード)であっても良い。なお、本実施の形態では、主として、ICカードが接触式ICカードであることを想定して説明する。ただし、非接触式ICカードと接触式ICカードとは、端末装置2との通信方式等が異なるだけである。このため、以下に説明する実施の形態は、非接触式ICカードにも同様に適用できる。
端末装置2からの電源電圧及び動作用のクロック信号により動作可能となったICカード1は、端末装置2から供給されるコマンドに応じて種々の処理を行う。言い換えると、端末装置2は、ICカード1が動作可能となる電源電圧及び動作クロックを供給しつつ、用途あるいは運用形態などに応じた処理を要求するコマンドをICカード1に対して供給する。ICカード1は、端末装置2から供給されたコマンドに応じた処理を実行し、実行した処理結果などを示すデータをレスポンスとして端末装置2へ送信する。
図1に示すように、上記ICカード1は、プロセッサ(CPU)11、プログラムメモリ12、ワーキングメモリ13、データメモリ14、通信制御部15、電源部16、電圧検知部17、コプロセッサ18、および、インターフェース20などを有する。
上記ICカード1は、カード状の本体Cにより構成される。上記ICカード1を形成するカード状の本体Cには、1つあるいは複数のICチップ1aとインターフェース20とが内蔵される。上記ICチップ1aは、プロセッサ(CPU)11、プログラムメモリ12、ワーキングメモリ13、データメモリ14、通信制御部15および電源部16などを有している。上記ICチップ1aと上記インターフェース20とは、接続された状態でモジュール化される。ICチップ1aとインターフェース20とを有するモジュールMは、当該ICカード1を形成するカード状の本体C内に埋設される。
上記CPU11は、ICカード1全体の制御を司る。上記CPU11は、制御部として機能するプロセッサである。上記CPU11は、上記プログラムメモリ12あるいはデータメモリ14に記憶されている制御プログラムおよび制御データなどに基づいて動作する。たとえば、上記CPU11は、上記プログラムメモリ12に記憶されている制御プログラムを実行することにより、端末装置2との通信制御を行ったり、端末装置2から与えられるコマンドに応じた処理を行ったりする。
上記プログラムメモリ12は、読み出し専用のメモリ(ROM:リードオンリーメモリ)により構成される。上記プログラムメモリ12は、当該ICカード1の仕様に応じた動作を司る制御プログラムおよび制御データなどを記憶する。
上記ワーキングメモリ13は、揮発性のメモリ(RAM;ランダムアクセスメモリ)により構成される。上記ワーキングメモリ13は、データを一時保管するバッファメモリとして機能する。例えば、上記ワーキングメモリ13には、端末装置2との通信処理において、送受信されるデータを一時的に保管する通信バッファとして利用可能である。また、上記ワーキングメモリ13は、種々の書込みデータなどを一時的に保持するメモリとしても利用される。
上記データメモリ(不揮発性メモリ)14は、データの書き込みが可能な不揮発性のメモリである。上記データメモリ14は、例えば、EEPROMあるいはフラッシュメモリなどにより構成される。上記データメモリ14には、当該ICカード1の使用目的に応じた種々の情報(アプリケーションプログラムおよび運用データなど)が書込まれる。当該ICカード1が複数の使用目的に使用される場合、上記データメモリ14には、各使用目的に応じた複数のアプリケーションが記憶される。また、データメモリ14は、設定データなども記憶される。たとえば、後述するランク設定テーブル14aは、データメモリ14内に設けられる。
上記通信制御部15は、上記インターフェース20を介して端末装置2とのデータ通信を制御するものである。当該ICカード1が接触式ICカードである場合、通信制御部15は、端末装置2と物理的・電気的に接触するコンタクト部としてのインターフェース20を介してデータを送受信する。なお、非接触型のICカードであれば、上記通信制御部15は、インターフェース20としてのアンテナにより送受信するデータを変調あるいは復調する。
上記電源部16は、当該ICカード1の各部を動作させるための電力およびクロックパルスを供給する。当該ICカード1が接触型のICカードである場合、上記電源部16は、インターフェース20を介して外部装置から直接的に供給される電力およびクロックパルスを各部へ供給する。なお、当該ICカードが非接触型のICカードである場合、上記電源部16は、上記インターフェース20としてのアンテナにより受信した電波から電力およびクロックパルスを生成し、当該ICカード内の各部に供給する。
電圧検知部17は、電源部16が各部に供給する電源電圧を検知する。たとえば、電圧検知部17は、たとえば、所定の基準電圧値に対して+10%〜−10%の範囲(最低限の動作が可能な範囲)で電源の電圧値を検知する。CPU11は、電圧検知部17の検知結果に基づいてICカードの動作用の基準電圧値を設定する。また、CPU11は、電圧検知部17が検知する電源電圧値に応じて実行可能なコマンドを制限する制御も行う。
コプロセッサ18は、各種データの暗号化・復号化を行うものである。コプロセッサ18による暗号化・複合化の処理は、負荷の大きい処理であって、所定の基準電圧値よりも低い電圧値であれば、エラーとなる可能性が高い処理である。
次に、端末装置2の構成について説明する。
上記端末装置2は、ICカード1を動作させるための電源を供給するとともに、当該ICカード1とのデータ通信を行う。たとえば、本実施の形態に係る端末装置2は、携帯電話機などの電子装置が想定される。ただし、端末装置2は、携帯電話機に限定されるものではなく、ICカード1の通信方式に対応するカードリーダライタを具備する電子装置であれば良い。たとえば、端末装置2は、ICカード1の通信方式に対応するカードリーダライタを具備するコンピュータなどであっても良い。
たとえば、端末装置2としての携帯電話機は、各ユーザが所持するICカード1を装着した状態で携帯電話機としての通信が利用可能となる運用形態が想定される。また、ICカード1は、端末装置2としての携帯電話機に設けられたICカード用のソケットに装着される。携帯電話機のICカード用のソケットに装着された状態で、携帯電話機のインターフェースとしてのコンタクト部とICカード1のインターフェースとが接触してデータ通信が可能となる。また、端末装置2は、ICカード1に物理的に接触しているコンタクト部を介して当該ICカード1に動作用の電力およびクロックパルスを供給する。
図2は、端末装置2の一例としての携帯電話機の構成例を示すブロック図である。
図2に示す構成例では、端末装置2としての携帯電話機は、制御部31、RAM32、ROM33、不揮発性メモリ34、ICカード用のインターフェース(ICカードインターフェース)35、アンテナ37、通信部38、音声部39、振動部40、表示部41、操作部42および電源部43などを有する。
上記制御部31は、端末装置2全体の制御を司るものである。上記制御部31は、CPU、内部メモリ、各種のインターフェースなどを有する。また、上記制御部31は、上記表示部41の表示を制御する表示制御機能、PLL(Phase Locked Loop)回路、データストリーム経路切換え、DMA(Direct Memory Access)コントローラ、割り込みコントローラ、タイマ、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、秘匿、HDLC(High-level Data Link Control procedure)フレーミング、ディバイスコントローラなどの機能を有する。
上記RAM32は、作業用のデータを記憶するための揮発性メモリである。RAM32は、ICカード1との通信設定情報として、通信確立処理において設定する設定データを記憶する。たとえば、RAM32は、ICカード1との通信に適用するウインドウサイズの設定値などの通信設定値を記憶する。また、RAM32は、端末装置2がICカード1に対して指定したデータの再送回数およびデータの再送間隔などの情報を記憶しても良い。上記ROM33は、制御プログラムおよび制御データなどが記憶されている不揮発性メモリである。上記制御部31は、上記ROM33に記憶されている制御プログラムを実行することにより、当該端末装置2の制御を実現している。
上記不揮発性メモリ34は、種々のデータが記憶される書き換え可能な不揮発性メモリである。上記不揮発性メモリ34には、種々のアプリケーションプログラム(アプリケーション)、制御データ、および、ユーザデータなどが記憶される。上記制御部31は、上記不揮発性メモリ34に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
上記ICカードインターフェース35は、ICカード1が装着されるインターフェースである。上記ICカードインターフェース35は、上記制御部31に接続されている。これにより、上記制御部31は、上記ICカードインターフェース35を介して上記ICカード1とのデータ通信が可能となっている。
上記通信部38は、通信用のアンテナ37を介して通話データあるいはデータ通信用のデータを電波で送受信する。上記音声部39は、音声の入出力を行う。上記振動部40は、当該端末装置2全体を振動させる振動機構により構成される。上記表示部41は、上記制御部31により表示の表示内容などが制御される。上記操作部42は、キーボードなどにより構成され、ユーザによる操作指示が入力される。上記電源部43は、バッテリーなどにより構成され、当該端末装置2内の各部に電源を供給する。また、上記電源部43は、上記ICカードインターフェース35を介して接続されたICカード1にも電源を供給する機能も有している。
次に、ICカード1が端末装置2から供給される電源電圧について説明する。
ICカード1の電源部16は、端末装置2から印加された電圧を電源電圧としてICカード1内の各部へ供給する。電圧検知部17は、電源部16が供給する電源電圧の値を検知する。たとえば、ICカード1は、規定の電圧値(基準電圧値)を動作電圧として動作するものとする。ICカード1が動作する基準電圧値は、複数種類であっても良い。本実施形態では、ICカード1の動作用の基準電圧値(所定の基準電圧値)は、第1基準値(クラスA:例えば、5.0v)、第2基準値(クラスB:例えば、3.0v)、および、第3基準値(クラスC:例えば、1.8v)の3つがあるものを想定する。
また、ICカード1の各部は、基準電圧値に対して+10%〜−10%の範囲の電圧値で動作が可能であるものとする。ただし、基準電圧値に対して−3%までの電圧値が正常値であり、各種の処理の動作が保証されるものとする。これに対し、電源電圧値が所定の基準電圧値から−3%〜−10%の電圧値では、負荷の小さい処理は、実行可能であるか、負荷の大きい処理は、電圧値が低ければ低いほど、エラーとなる可能性が高くなるものとする。
電圧検知部17は、少なくとも各基準電圧値に対して、+10%〜−10%の範囲の電圧値が検知できるものとする。従って、ICカード1のCPU11は、電圧検知部17が検知する電源部16の電圧値によって、基準電圧値(クラス)を設定できる。CPU11は、起動処理(リセット処理)において、電圧検知部17が検知する電圧値に対応する基準電圧値を動作電圧としてセット(クラス設定)し、電源電圧のクラスを示す情報を端末装置2へのレスポンス(ATR:Answer to Reset)として出力する。また、電源電圧が基準電圧値の−10%よりも低ければ、ICカード1内の各部が動作しないため、CPU11は、起動処理に対するレスポンス(ATR)を出力しない(無応答となる)。
端末装置2は、ICカード1からのATRを受信すると、ATRに付加されている情報から基準電圧値の設定(クラス設定)を確認し、ICカード1に印加している電圧と同一であれば起動完了し、コマンド処理などの動作を続行する。また、ICカード1からのATRが受信できない場合、端末装置2は、ICカード1に印加する電圧を変更するなどしてICカード1に対して起動処理をリトライさせる。
また、ICカード1のCPU11は、電源電圧が基準電圧値に対して−10%までの値であれば、リセット処理を実行し、ATRを出力する。ただし、実際の電源電圧が基準電圧値よりも低い電圧値(例えば、基準電圧値から−3%〜−10%の電圧値)である場合、ATRを出力することはできても、負荷の大きい処理を実施できないことがある。このため、CPU11は、電圧検知部17が検知する電源電圧の値をランク分けし、ランクに応じて特定のコマンドの実行を制限する。電源電圧値のランクに応じて制限されるコマンドは、ランク設定テーブル14aにより設定しておくものとする。
次に、ランク設定テーブル14aについて説明する。
図3は、ランク設定テーブル14aの例を示す図である。
図3に示すように、ランク設定テーブル14aは、電源電圧の状態をランク分けで表している。各ランクは、基準電圧値を基準とした減少率によって分けられている。ここでは、ICカード1が基準電圧値に対して−10%まで低電圧で動作するものとする。図3に示すランク設定テーブル14aでは、電源電圧が基準電圧値から−3%までの電圧値である場合、電源電圧の状態は、正常な状態としてランク外とする。電源電圧の状態がランク外(正常値)である場合、ICカード1は、処理の実行制限がなく、端末装置2から与えられる全てのコマンドに対して処理が実行可能となる。
電源電圧が基準電圧値の−3%〜−6%までの電圧値である場合、電源電圧の状態は、負荷の高い一部の処理の実行を制限するランクAとする。電源電圧の状態がランクAである場合、ICカード1は、端末装置2から与えられるコマンドのうち、ランクAに対応づけた各コマンドに対する処理を実行不可とする。たとえば、図3に示すランク設定テーブル14aの例では、ランクAに対応づけてコプロ系のコマンドに対する処理が実行不可となるように設定されている。
また、電源電圧が基準電圧値の−6%から−9%までの電圧値である場合、電源電圧の状態は、ランクAで制限される処理とランクAで制限される処理よりも負荷が小さい処理とを含む各処理の実行を制限するランクBとする。電源電圧の状態がランクBである場合、ICカード1は、端末装置2から与えられるコマンドのうち、ランクBに対応づけた各コマンドに対する処理を実行不可とする。たとえば、図3に示すランク設定テーブル14aの例では、ランクBに対応づけてコプロ系のコマンドとライト系のコマンドとに対する処理が実行不可となるように設定されている。
また、電源電圧が基準電圧値の−9%から−10%までの電圧値である場合、電源電圧の状態は、ランクA及びランクBで制限される処理とランクBで制限される処理よりも負荷の小さい処理とを含む各処理の実行を制限するランクCとする。電源電圧の状態がランクCである場合、ICカード1は、端末装置2から与えられるコマンドのうち、ランクCに対応づけた各コマンドに対する処理を実行不可とする。たとえば、図3に示すランク設定テーブル14aの例では、ランクCに対応づけてリード系以外のコマンドに対する処理が実行不可となるように設定されている。
なお、ランク設定テーブル14では、特定のランク(例えば、ランクC)に対応づけて、全てのコマンドに対する処理の実行を制限するようにしても良い。これは、実質的にICカードが全ての処理を不可とするものであり、端末装置との通信そのものをICカードから遮断するようにしても良い。この場合、ICカードは、ATRの出力自体は可能な状態を想定している。このため、ICカードは、電源電圧の状態により処理が不能である旨のレスポンスを端末装置に通知してから通信を遮断するようにしても良い。
次に、ICカード1がリセット処理の終了時に端末装置2へ送信するレスポンスとしてのATR(Answer to Reset)について説明する。
図4は、ATRの構成(フォーマット)例を示す図である。
ATRは、ICカード1が端末装置2へリセット処理の完了を通知するためのレスポンスである。したがって、ICカードにおける電源電圧の状態を示す情報をATRに付加すれば、ICカード1は、リセット処理の完了通知とともに、ICカード内の電源電圧の状態を示す情報を端末装置2へ通知できる。本実施形態では、ICカード1は、リセット処理の完了を示すATRに、ICカード内の電源電圧の状態を示す情報(ランク情報)を付加して端末装置2へ送信するようになっている。
図4に示す構成例において、ATRのフレームは、「TS」、「T0」、「インターフェースバイト(Interface bytes)」、「ヒストリカルバイト(Historical bytes)」、「TCK(Check byte)」により構成される。「TS」は、イニシャルキャラクター(Initial character)を示すものであり、ATRに必須の情報である。「T0」は、フォーマットバイト(Format byte)を示す情報であり、ATRに必須の情報である。「インターフェースバイト」は、ICカードの特性を示す値を提示するものである。たとえば、「インターフェースバイト」には、プロトコルに依らない特性を示す情報と指示されたプロトコルの特定を示す情報とがある。「ヒストリカルバイト」は、主として、カード操作方法を主体としたカードの特徴を示す情報が含まれる。たとえば、本実施形態では、「ヒストリカルバイト」には、電源電圧のランクを示す情報(ランク情報)が付加される。「TCK」は、チェックバイトである。たとえば、「TCK」は、T0からヒストリカルバイトの最終バイトまでの各バイトの排他的論理和である。
図5は、ヒストリカルバイトの構成(フォーマット)例を示す図である。
図5に示す構成例では、ヒストリカルバイトのフレームは、「T1」、「T2」、「T3」で構成されている。ヒストリカルバイトは、たとえば、「T1」から「Tk」(例えば、kの最大値は15とする)までの各バイトで構成される。図5に示す例において、「T1」はカテゴリインディケーター(Category Indicator)である。図5に示す例では、「T1」が「80」になっている。「T2」がコンパクトTLV(COMPACT-TLV)のデータオブジェクト(data object)列であり、「T3」がスタータスインフォメーション(Status information)である。
図6は、図5の「T2」に格納するコンパクトTLVのデータオブジェクトの定義例を示す図である。たとえば、図5に示す例では、ATRにおけるヒストリカルバイトの「T2」が「81」であれば、ヒストリカルバイトの「T3」がLCS(ライフサイクルステータス:Life Cycle Status)を示す情報となる。本実施形態では、LCSに電源電圧の基準電圧値に対するランク付けを示すランク情報を追加する例を想定して説明する。
たとえば、図5に示す例では、ATRにおいて、ヒストリカルバイトの「T2」が「81」となり、ヒストリカルバイトの「T3」には、電源電圧の状態が正常(ランク外)であれば、電源電圧値が正常(ランク外)であることを示す「00」を追加する。また、電源電圧の状態が第1基準値(クラスA)であれば、ヒストリカルバイトの「T3」には電源電圧値がクラスAであることを示す「0A」を追加する。また、電源電圧の状態が第2基準値(クラスB)であれば、ヒストリカルバイトの「T3」には電源電圧値がクラスBであることを示す「0B」を追加する。また、電源電圧の状態が第3基準値(クラスC)であれば、ヒストリカルバイトの「T3」には電源電圧値がクラスCであることを示す「0C」を追加する。
なお、上述した例では、ATRには、ICカードにおける電源電圧の状態を示すランク情報をヒストリカルバイトに付加するものとしたが、ランク情報の代わりに実行を制限するコマンドを示す情報をATRに付加するようにしても良い。この場合であっても、電源電圧の状態に応じて実行を制限するコマンドは、ランク設定テーブル14aを参照することにより設定可能である。
次に、ICカード1における起動(リセット)処理について説明する。
図7は、ICカード1における起動処理の流れを説明するためのフローチャートである。
端末装置2から電源電圧の供給が開始されると、ICカード1では、電源部16が端末装置2から供給された電圧を各部に電源電圧として供給することにより電源を投入する(ステップS11)。
電源が投入されると、ICカード1のCPU11は、端末装置2からインターフェース20を介して供給される電圧に応じて、電源部16が各部へ供給している電源電圧の値を電圧検知部17により検知する(ステップS12)。電圧検知部17により電源電圧値を検知すると、CPU11は、電圧検知部17が検知した電圧値と所定の基準電圧値とを比較することにより、電源電圧値がICカードを起動させることが可能な電圧値であるか否かを判断する(ステップS13)。
たとえば、電源電圧値が複数の基準電圧値(例えば、3つの基準電圧値)のうち何れかの基準電圧値に対して所定の動作許容範囲(例えば、+10%〜−10%の範囲)内の値であると判断した場合、CPU11は、電源電圧値が動作許容範囲となる基準電圧値を選択し、選択した基準電圧値での起動が可能であると判断する。電源電圧値が各基準電圧値の所定の動作許容範囲外であると判断した場合、CPU11は、電源電圧値が起動処理を実行できない電圧値であると判断する。
電源電圧値が起動できない電圧値であると判断した場合(ステップS13、NO)、CPU11は、起動処理のリトライが可能か否かを判断する(ステップS14)。たとえば、CPU11は、リセット処理として所定回数分のリトライを行うようにしても良い。また、CPU11は、電源電圧の安定性によりリセット処理をリトライするかリセット処理を中断するかを判断するようにしても良い。この場合、CPU11は、リセット処理をリトライする際の電源電圧値をメモリ(例えば、ワーキングメモリ13)に記憶しておき、繰り返し実施するリセット処理における電源電圧値の変動が大きい場合(電源電圧が不安定な場合)に、リセット処理のリトライを行わないようにすれば良い。
また、リセット処理のリトライを実行しない場合(つまり、リセット処理を中断する場合)、CPU11は、端末装置2に対して無応答であっても良いし、リセット処理が実行できない理由を含むレスポンスを端末装置2へ送信するようにしても良い。後者の場合、ICカード1は、たとえば、電源電圧値が基準電圧値でない旨、あるいは、電源電圧が不安定である旨などのリセット処理を中断する理由を示す情報を付加したレスポンスを端末装置2へ通知するようにすれば良い。これにより、端末装置2から供給される電源電圧値が基準電圧値の動作許容範囲でない場合、あるいは、端末装置2から供給される電源電圧が不安定である場合、ICカード1がICカード自身の判断でリセット処理を中断し、端末装置2との通信を遮断するようにできる。
電源電圧値が起動可能な電圧値(電源の電圧値が基準電圧値の動作許容範囲内)であると判断した場合(ステップS13、YES)、CPU11は、電源電圧値に応じて選択した基準電圧値を基準として、電源電圧の状態を示すランクを判定する(ステップS15)。CPU11は、電圧検知部17が検知する電源の電圧値とランク設定テーブル14aに記憶した各ランクの判定基準とにより、電源電圧の状態を示すランクを決定する。
たとえば、ランク設定テーブル14aが図3に示すような判定基準である場合、電源電圧値が基準電圧値から−3%までの電圧値であれば、CPU11は、電源電圧の状態をランク外(正常)と判断する。また、電源電圧が基準電圧値の−3%〜−6%までの電圧値であれば、CPU11は、電源電圧の状態をランクAと判断する。また、電源電圧が基準電圧値の−6%から−9%までの電圧値であれば、CPU11は、電源電圧の状態をランクBと判断する。また、電源電圧が基準電圧値の−9%から−10%までの電圧値であれば、CPU11は、電源電圧の状態をランクCと判断する。
電源電圧の状態を示すランクを決定すると、CPU11は、当該ランクを示すランク情報を付加したATRを作成する(ステップS16)。たとえば、CPU11は、電源電圧の状態を示すランク情報を、図5に示すようなATRのヒストリカルバイトに追加する。ランク情報を付加したATRを作成すると、CPU11は、インターフェース20を介して端末装置2へ作成したATRを送信する(ステップS17)。
このATRを受信した端末装置2では、ICカード1に印加した電源電圧値とICカード1が指定したクラスの基準電圧値とが一致するか否かなどを確認する。また、ATRを受信した端末装置2は、ICカード1から通知された電源電圧の状態を示すランクにより、当該ICカード1が実行を制限しているコマンドを特定できる。たとえば、端末装置2では、ICカード1における電源電圧の状態を示すランクに対応づけて実行が制限されるコマンドを示す情報を不揮発性メモリ34に記憶しておくことにより、ICカード1から通知されるランクに応じて実行が制限されるコマンドを特定できる。
端末装置2へATRを正常に出力できた場合(ステップS18、YES)、ICカード1のCPU11は、電圧検知部17による検知した電圧値に基づいて選択した基準電圧値を動作用の電圧値と確定し、当該基準電圧値を動作用の電圧値として設定する(ステップS19)。さらに、CPU11は、当該基準電圧値に対する電源電圧の状態を示すランクに応じて実行を制限すべき処理(コマンド)が存在するか否かを判断する(ステップS20)。たとえば、ランク外である場合、CPU11は、実行を制限するコマンドを設定することなく、リセット処理を終了する。また、ランクA、B又はCである場合、CPU11は、ランク設定テーブル14aを参照して、電源電圧値に対するランクに応じて実行を制限するコマンドを設定し(ステップS21)、リセット処理を終了する。
以上の処理によれば、ICカードは、基準電圧値よりも低い電源電圧値に対するランク付けと各ランクに応じて実行を制限するコマンドとを示す設定情報をメモリに設定しておき、端末装置から電源供給を受けてリセット処理を実行する場合、電圧検知部により検知した電源電圧値とメモリに記憶した設定情報とに基づいて電源電圧値の状態に応じて実行を制限するコマンドを設定する。
これにより、電源電圧値が低いために負荷の大きいコマンドに対応する処理が実行不能となって、ICカードが無応答となるなどの不安な状態になることを事前に防止でき、端末装置との通信を安定化させることができる。
また、ICカードは、電源電圧値の状態を示すランクに応じて実行を制限するコマンドを設定した場合、電源電圧の状態を示すランク情報を端末装置へのレスポンスに付加して通知する。これにより、端末装置側でも、ICカードにおける電源電圧の状態を判別することができる。また、端末装置では、電源電圧の状態を示すランク情報によって、当該ICカードが実行を制限しているコマンドが判るようにすることもできる。
また、ICカードは、リセット処理を行うごとに端末装置から供給される電源電圧値を検知し、リセット処理を連続して実行した場合に、端末装置から供給される電源電圧値の変動を判断することにより、端末装置から供給される電源電圧値が不安定な場合にリセット処理を強制的に終了したり、端末装置との通信をICカード側から遮断したりすることができる。
なお、上述したような電源電圧値の検知結果に応じたランク判定とランクに応じたコマンドの実行制限の設定とは、リセット処理においてだけでなく、適宜行うようにしても良い。つまり、電源状態に応じて実行を制限したコマンドが存在する場合であっても、リセット処理後、電源電圧の状態が改善すれば(例えば、電源電圧値が正常になれば)、コマンドの実行制限を解除するようにでき、逆に、電源電圧値が低下すればその電圧値に応じて新たにコマンドの実行制限を設定することもできる。
次に、ICカード1におけるコマンド処理について説明する。
図8は、ICカード1におけるコマンド処理の流れを概略的に説明するためのフローチャートである。
以下に説明するコマンド処理は、上述したリセット処理などにより電源電圧の状態を示すランクに応じて実行が制限されるコマンドが設定されるICカードであることを想定するものとする。すなわち、端末装置2からコマンドを受信した場合(ステップS31、YES)、CPU11は、コマンドの実行制限が設定されているか否かを判断する(ステップS32)。コマンドの実行制限が設定されている場合(ステップS32、YES)、CPU11は、受信したコマンドが実行を制限されているコマンドであるか否かを判断する(ステップS33)。
コマンドの実行制限が設定されていない場合(ステップS32、NO)、あるいは、端末装置2から受信したコマンドが実行を制限されているコマンドでないと判断した場合(ステップS33、NO)、CPU11は、受信したコマンドに応じて処理を実行し(ステップS34)、受信したコマンドの実行結果を示すレスポンスを端末装置2へ送信する(ステップS35)。
また、端末装置2から受信したコマンドが実行を制限されているコマンドであると判断した場合(ステップS33、YES)、CPU11は、端末装置2から受信したコマンドの実行を中止する(ステップS36)。コマンドの実行制限に基づいて受信したコマンドの実行を中止した場合、CPU11は、受信したコマンドが電源電圧の状態により実行を制限しているコマンドであるため実行を終始した旨のレスポンスを端末装置2へ送信する(ステップS37)。
以上の処理によれば、ICカードは、受信したコマンドが電源電圧の状態に応じて実行が制限されたコマンドであれば、当該コマンドの実行を中止し、電源電圧の状態に応じた動作制限により動作を中止したことをレスポンスとして端末装置へ返す。この結果として、ICカードは、電源電圧の状態が原因でコマンドが実行不能となって無応答などの不安な状態に陥らず、端末装置との通信を安定して継続することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…ICカード、C…本体、M…モジュール、1a…ICチップ、2…端末装置、11…プロセッサ(CPU)、12…プログラムメモリ、13…ワーキングメモリ、14…データメモリ、14a…ランク設定テーブル、15…通信制御部、16…電源部、17…電圧検知部、18…コプロセッサ、20…インターフェース。

Claims (8)

  1. 外部装置から供給される電源電圧により動作するICカードであって、
    外部装置と接続するインターフェースと、
    前記インターフェースを介して前記外部装置から供給される電源電圧により動作する制御部と、
    前記インターフェースを介して前記外部装置から供給される電源電圧値を検知する検知部と、
    当該ICカードが動作可能な範囲において基準電圧値よりも低い電圧値に対応づけて実行を制限するコマンドを示す情報を記憶する記憶部と、
    前記外部装置から電源供給を受けてリセット処理を実行する場合、前記検知部が検知した電源電圧値に応じて実行を制限するコマンドを前記記憶部に記憶した情報に基づいて設定する設定部と、
    を有することを特徴とするICカード。
  2. 前記設定部により実行を制限するコマンドを設定した場合、前記検知部により検知した電源電圧の状態を示す情報を含む応答を前記外部装置へ送信する送信部を有する、
    ことを特徴とする前記請求項1に記載のICカード。
  3. 前記リセット処理後に前記インターフェースにより端末装置から受信するコマンドが前記設定部により実行を制限することが設定されたコマンドである否かを判断する判断部と、
    前記判断部が受信したコマンドが実行を制限するコマンドであると判断した場合、当該コマンドの処理を実行せずに、電源電圧による動作制限のため動作不可である旨を端末装置へ通知する処理手段と、を有する、
    ことを特徴とする前記請求項1又は2の何れかに記載のICカード。
  4. 前記リセット処理を繰り返し実行した場合、前記検知部が検知する電源電圧値が不安定であれば、前記リセット処理を終了する、
    ことを特徴とする前記請求項1乃至3の何れか1項に記載のICカード。
  5. 前記リセット処理を繰り返し実行した場合に前記検知部が検知する電源電圧値が不安定であれば、前記外部装置へ電源電圧が不安定であるため前記リセット処理を終了する旨を通知する、
    ことを特徴とする前記請求項4に記載のICカード。
  6. 外部装置から供給される電源電圧により動作するICカードであって、
    外部装置と接続するインターフェースと、前記インターフェースを介して前記外部装置から供給される電源電圧により動作する制御部と、前記インターフェースを介して前記外部装置から供給される電源電圧値を検知する検知部と、当該ICカードが動作可能な範囲において基準電圧値よりも低い電圧値に対応づけて実行を制限するコマンドを示す情報を記憶する記憶部と、前記外部装置から電源供給を受けてリセット処理を実行する場合、前記検知部が検知した電源電圧値に応じて実行を制限するコマンドを前記記憶部に記憶した情報に基づいて設定する設定部とを具備するモジュールと、
    前記モジュールを有する本体と、
    を有することを特徴とするICカード。
  7. 外部装置から供給される電源電圧により動作する携帯可能電子装置であって、
    外部装置と接続するインターフェースと、
    前記インターフェースを介して前記外部装置から供給される電源電圧により動作する制御部と、
    前記インターフェースを介して前記外部装置から供給される電源電圧値を検知する検知部と、
    当該携帯可能電子装置が動作可能な範囲において基準電圧値よりも低い電圧値に対応づけて実行を制限するコマンドを示す情報を記憶する記憶部と、
    前記外部装置から電源供給を受けてリセット処理を実行する場合、前記検知部が検知した電源電圧値に応じて実行を制限するコマンドを前記記憶部に記憶した情報に基づいて設定する設定部と、
    を有することを特徴とする携帯可能電子装置。
  8. 外部装置から供給される電源電圧により動作するICカードの制御方法であって、
    当該ICカードの制御部が動作可能な範囲において基準電圧値よりも低い電圧値に対応づけて実行を制限するコマンドを示す情報を記憶部に記憶しておき、
    前記外部装置から電源供給を受けてリセット処理を実行する場合、前記外部装置から供給される電源電圧値を検知し、
    前記検知した電源電圧値に応じて実行を制限するコマンドを前記記憶部に記憶した情報に基づいて設定する、
    を有することを特徴とするICカードの制御方法。
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