JP2013122610A - 偏光依存型光アイソレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】構成が簡易で、光及び熱による損傷を防止でき且つ高い消光比を得ることができる偏光依存型光アイソレータを提供する。
【解決手段】入射側から出射側に向けて入射側レンズ(第1レンズ)5、第1複屈折部7、ファラディ回転子9、第2複屈折部11、及び出射側レンズ(第2レンズ)15が配置され、入射側と出射側に各々光ファイバー3、17を接続する偏光依存型光アイソレータ1であって、第1複屈折部7のくさび角度θ1と第2複屈折部11のくさび角度θ2とが異なっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光通信、光計測、光加工等に用いられる偏光依存型光アイソレータに関する。
特許文献1には、偏光無依存型光アイソレータとして、入射側に設けた第1複屈折部と出射側に設けた第2複屈折部との間にファラディ回転子を設けた構成が公知である。
この特許文献1の光アイソレータでは、第1複屈折部で分離した常光及び異常光を共に出射側光ファイバーのコア端面に集束している。
また、偏光依存型アイソレータとして、ファラディ回転子の入射側と出射側に偏光子を設けて、偏光面が特定方向のみの光を通過させ他方向の偏光面の光を吸収するようにしたことが公知である。
特開昭57−100410号公報
しかし、光ファイバーを伝搬する光として、レーザ光等のハイパワー出力の偏光を用いることがあり、例えば、レーザ光は通常の通信用光(0.1mW〜100mW)の出力に対して1W〜1KWの出力を有する偏光である。
係るハイパワー出力の偏光にあっては、従来の偏光子を用いた偏光依存型アイソレータでは、偏光子の向きに高い精度が要求され、僅かなズレが生じた場合には、偏光子を通過する特定の偏光面と異なる偏光面の光を偏光子が吸収してしまうので、ファイバーレーザなどの光強度が大きい光が透過するシステムにおいて偏光子が高温になって損傷するおそれがある。
一方、特許文献1の偏光無依存型光アイソレータでは、特定の偏光面の偏光のみを選択して伝搬することができないので、出射光で高い消光比(特定の偏光面の光軸と直交する偏光面の偏光を除去する率)が得られないという問題がある。
そこで、本発明は、構成が簡易で、ハイパワーの偏光を用いた場合でも熱による損傷を防止でき且つ高い消光比を得ることができる偏光依存型光アイソレータの提供を目的とする。
本発明は、光学部品からなる入射手段と、光学部品からなる出射手段と、前記入射手段と前記出射手段との間に配置された偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニットと、から成る偏光依存型光アイソレータであって、
前記偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニットは、
第1複屈折部と、第2複屈折部と、第1複屈折部と第2複屈折部の間に配置されたファラディ回転子とを備え、第1複屈折部と第2複屈折部との屈折角度が異なっており、
前記出射手段は光導波路を含み、常光と異常光の各々の出射位置に前記光導波路が配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、屈折角度が異なる第1及び第2複屈折部を用いるだけであるから、構成が簡易である。また、複屈折を利用しており、偏光板のような光の吸収が無いので、伝搬する光としてハイパワー偏光を用いた場合でも熱による損傷を防止できる。第1及び第2複屈折部の屈折角度を変えることにより、主偏光(常光)に対して直交する偏光面の偏光(異常光)は常光の出射位置からずれた位置に出射することにより分離除去することができるので、高い消光比を得て安定な偏光にすることができる。尚、主偏光は異常光でも良く、常光を異常光の出射位置からずれた位置に出射して除去するものであっても良い。
また、入射手段及び出射手段として光ファイバーやレンズを使用すれば、光ファイバーとレンズとを追加することで光ファイバーのコアに入射する光のみを使用することとなり、より高い消光比を得ることができる。
光導波路を配置する場合、前記出射手段を構成する光導波路構造として、例えばファイバーが常光と異常光とをそれぞれ装置の外に出射するようにすることで、光を装置内部に閉じ込めず、装置の温度上昇を防ぐ効果が生じる。
また、装置外に出射した光の強度を計測モニタすることで、使用する光ファイバーレーザ装置の動作状況の把握、故障予知及び故障検知、光量レベルの安定化などに使用できる。
第1実施例に係る偏光依存型光アイソレータの各構成部材の配置図であり、(a)は入射光の作用を示し、(b)は回帰光の作用を示す図であり、(c)は消光比を説明する図である。 第2実施例に係る偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニットの各構成部材の配置図である。 第3実施例に係る偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニットの各構成部材の配置図である。 第4実施例に係る偏光依存型光アイソレータの各構成部材の配置図であり、(a)は入射光の作用を示し、(b)は回帰光の作用を示す図である。 第5実施例に係る偏光依存型光アイソレータの各構成部材の配置図であり、(a)は入射光の作用を示し、(b)は回帰光の作用を示す図である。
1 偏光依存型光アイソレータ
3 入射側光ファイバー
5 第1レンズ(入射側レンズ)
7 第1複屈折部
9 ファラディ回転子
11 第2複屈折部
13 角度補正用屈折部
15 第2レンズ(出射側レンズ)
17 出射側光ファイバー
21 偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニット
101 波長フィルタ
102 波長板
以下に、添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。先ず、図1を参照して本発明の第1実施例を説明する。
第1実施例に係る偏光依存型光アイソレータ1は、光の光源側にある入射側光ファイバー3と、第1レンズ(入射側レンズ)5と、出射側光ファイバー17と、第2レンズ15(出射側レンズ)と、第1レンズ5と第2レンズ15との間に配置された偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニット21とから構成されている。
偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニット21は、入射側から出射側に沿って、第1複屈折部材7と、ファラディ回転子9と、第2複屈折部材11と、角度補正用部材13とをこの順序で備えている。
本実施例では、入射側光ファイバー3から出射側光ファイバー17にレーザ光が伝搬されるが、これらのファイバーは各々偏波保持ファイバー(PANDA)を用いている。
光ファイバー及びレンズの組み合わせは入射又は出射の一方のみであっても良い。
また、図1では凸レンズを図示しているが、凹面鏡で反射しつつ集光する構成やフレネルレンズ、周辺部の屈折率よりも中央部の屈折率が高い屈折率分布型レンズなど集光作用を持つ光学素子なら何でもよい。
第1及び第2複屈折部7、11は、共にくさび型複屈折結晶であり、ルチルや方解石等が用いられている。第1複屈折部7は、くさびのテーパ面7aを入射側に向けて配置され、第2複屈折部11は、テーパ面11aを出射側に向けて配置されている。
ここで、複屈折部材等の光学部品において、その入射面と出射面とで成す角度をくさび角度θと称することとする。第1複屈折部7のくさび角度θ1と、第2複屈折部材11のくさび角度θ2とは異なっており、本実施例では、θ1は4度、θ2は8度である。ここでθ2は2枚の4度の複屈折部材で構成しても良い。また、他の具体例として、θ1は4度でθ2は7度、θ1は4度でθ2は6度としても良い。また、逆にθ1は8度、θ2は4度としても良い。
くさび角度θが異なることで、所望の偏光方向の光のみ所定の位置に光を通過させて、偏光依存型の光アイソレータが構成できる。
くさび角度θ1及びθ2は異なっていれば、常光と異常光との比つまり消光比を高めることができるのであるが、くさび角度θ1とθ2との差が大きい方が消光比をより高めることができる。
消光比は以下の式で計算できる。
消光比(dB)=−10log(exp(−(ΔX/W)2))・・・式1
式1において、ΔXはファイバー端面での常光と異常光の位置ずれ量であり、以下の式2で表わされる。また、Wはモードフィード半径である。
ΔX=f×tan│Δφ2-Δφ1│ ・・・式2
ここで、fはレンズの焦点距離、Δφ1は第1複屈折部での常光の屈折角φ1oと異常光の屈折角度φ1eとの差、Δφ2は第2複屈折部での常光の屈折角度φ2oと異常光の屈折角度φ2eとの差である。
一例として、複屈折結晶としてルチル(TiO2)、レンズの焦点距離を4mm、モードフィールド直径(2W)を5μmとすると、Δφ1とΔφ2の差が0.05度の時、消光比は8.5dBとなる。
また、この場合、第1、第2複屈折部共、くさび角度を0.3度以上とすることでアイソレーションを20dB以上とすることができる。アイソレーションが20dB以上となることで、本発明の偏光依存型光アイソレータを応用する一例としての光ファイバーレーザにおいて光が増幅される率は20dB程度であり、消光比の向上などの特性の向上が図れる。
20dBのアイソレーションを本装置が持つことで、本装置の前段に戻る光量が順方向の-20dB(100分の1)になるため、図示しない前段の光増幅器が20dB増幅しても、増幅器に入射する光と同じ光量になるので、光ファイバーレーザは安定動作する。
本実施例では、複屈折結晶としてルチル(TiO2)、レンズの焦点距離を1.8mm、モードフィールド直径(2W)を5μm、くさび角度θ1を4度、θ2を8度としているので、消光比、アイソレーション共に40dB以上と非常に良好な特性を得ることができる。
角度補正用屈折部13は、プリズムであり、出射側レンズ15に入る光線の角度を補正するものであるが、空間と異なる屈折率を有する透明体であれば良く、例えば石英ガラス、Bk7などの光学ガラスやプラスチックなど様々な物質が使用可能である。
また、赤外線の波長ではゲルマニウムやシリコンなども透明であるので使用可能である。
更には、角度補正用屈折部13として、ルチル、YVO4又は蛍石などの複屈折材料を用いてもよい。
複屈折材料を用いることで2つの直交した偏光を分離するタイプの偏光子では、光の吸収が無いため、発熱の危険が無く安全性が極めて高い。そのため、1W以上の大きな光強度の光が入射する用途でも安心して使用可能である。
即ち、偏波依存型光アイソレータ1において、ファラディ回転子9の前後に透過方向と直交した偏光を吸収する機能の偏光子、例えば、高分子フィルムを延伸させたものや金属微粒子を析出させた後延伸させたものを用いた場合には、透過方向の偏光は透過率が高いが、透過方向と直交する方向の偏光の光は偏光子内部で光が吸収され、吸収された光は熱に変換されてしまう。入射する光の強度が10Wで入射光の消光比が20dBの時、吸収される偏光方向の光の強度は0.1Wになる。0.1Wの光を吸収するとガラスを延伸させた偏光子では100℃を超える温度に達し、故障又は重大な機能不良が発生するおそれがあり、高分子フィルムによる偏光子では熱により融け、火災などの危険性もある。
しかし、本実施例では、ファラディ回転子9の前後に第1複屈折部7と第2複屈折部11とを設けて、上述の透過方向と直交した偏光を吸収する偏光子を用いていないので、火災の危険が無く安全性が極めて高い。
次に、第1実施例に係る偏光依存型光アイソレータ1の作用及び効果について説明する。
一般に、レーザ光は、図1(c)に示すように、特定偏光面Aの光(常光)に対して直交する偏光面Bの光(異常光)を有している。本実施例では、このような異常光Bを除去して消光比を高めようとするものである。
図1(a)に示すように、入射側光ファイバー3から出射されたハイパワー出力の偏光は、第1複屈折部材7により、常光Aと異常光Bとに分離され、これらの常光Aと異常光Bとは、ファラディ回転子9により偏光面を回転し、常光Aは第2複屈折部材11で屈折されて屈折角度を角度補正用部材13により調整された後、第2レンズ15により出射側光ファイバー17のコア端面に集束する。
一方、ファラディ回転子9を通過した後の異常光Bは、第2複屈折部材11の屈折角度θ2が第1複屈折部材7の屈折角度θ1と異なっているから、第2複屈折部材11を通過した常光Aと異常光Bとは平行光にならず、異常光Bは常光Aと異なる角度を形成することになる。
従って、常光Aに対して出射側光ファイバー17のコア端面に集光させている第2レンズ15に異常光Bが入射すると、常光Aと入射角度の異なる異常光Bは出射側光ファイバー17のコア端面からずれた位置に向けて出射される。これにより、出射側光ファイバー17に入射される異常光Bを除去できるので、消光比B/Aを高めることができる。本実施例では、40dB以上に消光比を高めることができる。
一方、上記光の進行方向とは逆の回帰光の場合、図1(b)に示すように、常光Aと異常光Bとは第2複屈折部11でそれぞれ異なった屈折角度で屈折し、ファラディ回転子9を透過すると同時に偏光面を回転した後、第1複屈折部7で常光Aと異常光Bとで異なった屈折角度で屈折する。
常光Aと異常光Bとはそれぞれ異なった角度及び位置で出射し、尚且つ、図1(a)の入射光の位置、角度とは異なる。つまり、回帰光が入射光と一致しないため、回帰光は元の位置に戻らないこととなる。
尚、ここでいう屈折角度とは入射面、出射面での各界面での屈折角度を指すのでは無く、第1複屈折部7と第2複屈折部11の全体での屈折角度をいう。
従って、第1複屈折部7がくさび型のプリズム1個で構成している場合、入射面と出射面でのそれぞれの屈折角度の合計が第1複屈折部7の屈折角度である。
また、第1複屈折部7が複数のプリズムからなる場合、屈折角度とは複数のプリズムの各々の屈折角度を全て併せた角度である。
本実施例によれば、上記のように、ファラディ回転子9以外の部品で偏光の回転をさせること無く光アイソレータの機能を持たせることができ、部品点数の削減が図れると共に、使用する複屈折部材として用いるルチルプリズムは通常の光アイソレータで使用する結晶軸方向の部材を使用できるため特殊な冶具、特殊な測定装置が不要であるため、低コスト化に役立つ。
一方、上記出射側光ファイバー17から出射される回帰光は、図1(b)に示すように、第2複屈折部材11により、常光Aと異常光Bとに分離され、これらの常光Aと異常光Bとは、ファラディ回転子9により偏光面を回転し、常光Aは第1複屈折部材7で屈折されて第1レンズ5により入射側光ファイバー3のコア端面からずれた位置に向けて射出される。同様に、異常Bも第1複屈折部材7で屈折されて第1レンズ5により入射側光ファイバー3のコア端面からずれた位置に向けて射出される。これにより、入射側光ファイバー3への回帰光の取り込みが防止される。
本実施例に係る偏光依存型光アイソレータ1によれば、一般的な偏光無依存型光アイソレータと略同様な構成で、且つ第1及び第2複屈折部材7、11に屈折角度が異なるものを用いるだけであるから、構成が簡易である。
第1複屈折部材7及び第2複屈折部材11の各複屈折率部のくさび角度又は複屈折率を変更することで第1複屈折部材7と第2複屈折部材11とでそれぞれの屈折角度を変えることができる。
互いに屈折角度が異なる第1複屈折部材7及び第2複屈折部材11を用いることで、偏光において常光と異常光とを吸収すること無く、光エネルギーを本発明の装置内部で閉じ込めること無く外部に放出しやすくする構成にできるため、局所的な温度上昇や光エネルギーによる装置の損傷を防ぐことができる。
第1複屈折部7と第2複屈折部11とで常光と異常光の屈折率の差が異なる場合、くさび角度が異ならなくとも屈折角度が異なるため、同様の効果を生じることができる。具体的には第1複屈折部7と第2複屈折部11との材料を変更すればよい。一例として、第1複屈折部にルチルを用い、第2複屈折部にYVO4や水晶を使用する。
これら材料の組み合わせは複屈折率が異なる材料であればどのような組み合わせであってもよい。
本実施例に係る偏光依存型光アイソレータ1によれば、一般的な偏光無依存型光アイソレータと略同様な構成で、且つ第1及び第2複屈折部材7、11に屈折角度が異なるものを用いるだけであるから、構成が簡易である。
偏光子(第1及び第2複屈折部材)として、複屈折を利用しており偏光板のような光の吸収が無いので、レーザ光等のハイパワー偏光を用いた場合でも熱による損傷を防止できる。
第1及び第2複屈折部材7、11の屈折率を変えることにより、異常光は出射側光ファイバー17のコア端面からずれた位置に向けて出射して除去することができるので、高い消光比で安定な偏光を得ることができる。
第1及び第2複屈折部材7、11に、一般的な偏光無依存型光アイソレータで用いるくさび型ルチルを使用でき、そのテーパ角度を変えるだけであるから、簡易な構成で製造コストを安価にできる。
第1及び第2複屈折部材7、11のテーパ角度をθ2−θ1=4°として、両者の屈折角度を大きく異ならせているので、光軸方向の寸法を小さくして装置の小型化を図ることができる。
ファラディ回転子以外の部品で偏光の回転させること無く光アイソレータの機能を持たせることができ、部品点数の削減が図れると共に、使用する複屈折部材として用いるルチルプリズムは通常の光アイソレータで使用する結晶軸方向の部材を使用できるため特殊な冶具、特殊な測定装置が不要であるため、低コスト化に役立つ。
尚、本発明の偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニット21の使用用途の一例に光ファイバーレーザがある。
光ファイバーレーザ装置はファイバーを光が伝搬しながら光の強度が増幅する原理のレーザ装置である。光ファイバーレーザ装置での光の増幅率は10〜100倍(10〜20dB)であるので本発明の偏光依存型光アイソレータでのアイソレーションは10dB以上が必要となる。
係る光ファイバーレーザ装置に、偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニット21を用いた場合にも光ファイバーレーザ装置の回帰光を遮断し、ファイバー中で増幅された強度の強い光が戻ることにより光学部品が破損することを保護する機能を持つ。
更に、偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニット21は、光増幅用の光ファイバーに光が戻ると、戻った光が増幅されるため、本来増幅すべき光が増幅されにくくなる弊害を除去する機能も持つ。
更に、光ファイバーレーザ装置は一般に光強度が強い特長を持つ。この光強度が強い光が外部から入射すると本発明の偏光依存型光アイソレータにとり過大な光強度であるため、偏光依存型光アイソレータが破損するが、本実施例の偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニット21を用いることにより、光増幅用ファイバーやミラー半導体レーザなどの高価な光学部品が破損することを防ぐ効果も有する。
本発明を用いることで、上記構成及び作用を説明したように、特殊な偏光板などの光学系を必要とせず、1つの偏光のみの光を透過させる光アイソレータと同様の簡素な構成で実現できる。
以下に、本発明の他の実施例について説明するが、以下に説明する実施例において、上述した第1実施例と同一の作用効果を奏する部分には、同一の符号を付することによりその部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では上述した第1実施例と主に異なる点を説明する。
図2を参照して、本発明の第2実施例を説明する。この第2実施例では、偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニット21の入射側に波長フィルタ101を配置していることが第1実施例と異なっている。
波長フィルタ101は、透過させたい波長を透過させ、透過させたく無い波長を反射又は吸収させる機能を持つ。
波長フィルタ101は誘電体多層光学膜(反射防止光学膜)をコートしたものやガラス材料に吸収する物質を含有したカラーフィルタを用いてもよい。
尚、波長フィルタ101を配置する場所は、図2のように入射側である必要は無く、各光学部品の間、又は出射側の位置に置くことでも同様の目的を果たす。
この第2実施例では、図示しない光ファイバーレーザの励起用光源の光と光ファイバーレーザで出力するレーザ光とが偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニット21に入射する。前記励起用光源の光(波長800〜980nm)と光ファイバーレーザで出力するレーザ光(1030〜1090nm)との2つの光は波長が一般に異なる。2つの波長の光が光ファイバーレーザ装置から出力されるとレーザ加工やレーザ溶接するためにレンズで焦点を結ばせると、レンズの色収差特性により回折限界に近い結像が得られない。回折限界に近い結像が得られないことはレーザ加工装置において、微細加工が困難であることや無駄なエネルギーとなることなどの応用上の大きな問題である。
そこで、本実施例では、本装置に内像した波長フィルタで光ファイバーレーザの励起光と出力光とを分離し、装置の外に出力光のみを出射させている。
即ち、図2において励起光C及び出力光A+Bが入射する。波長フィルタ101で励起光Cが反射され、出力光A+Bが透過する。波長フィルタ101を透過した出力光A+Bは実施例1と同様に第1複屈折部7、ファラディ回転子9、第2複屈折部11、角度補正用屈折部13を透過し、常光Aと異常光Bとに分離し、位置と角度が異なった光束が出射される。
波長フィルタ101での励起光Cが反射すること以外は第1実施例と同様である。
尚、波長フィルタの位置が入射側であるように図示しているが、その他の場所にあっても同様に励起光Cが波長フィルタ101で反射する機能は同様である。
図3を参照して、本発明の第3実施例を説明する。この第3実施例では、出射側に波長板102を配置しており、出射光の偏光方向を90度回転させることで、外部の光学部品の偏光依存性を配慮した設計が可能となる。
尚、波長板102を配置する場所は図4に示すように出射側である必要は無く、各光学部品の間、又は入射側の位置に置くことでも同様の目的を果たすことができる。
この第3実施例では、入射光は第1複屈折部7、ファラディ回転子9、第2複屈折部11、角度補正用屈折部13を透過し、常光Aと異常光Bとに分離する。位置と角度が異なった光束が出射された常光Aと異常光Bとはそれぞれは2分の1波長板102に入射する。2分の1波長板102において常光A及び異常光Bがそれぞれ入射し、2分の1波長板102で偏光方向を90度回転させることができる。
この第3実施例においても、第2実施例と同様に、波長板102の挿入場所はどの場所であってもよい。
図4を参照して、本発明の第4実施例を説明する。図4は本発明の第4実施例に係る偏光依存型光アイソレータ1は、第1実施例形態の出射側光ファイバー17に変えて出力ファイバー103及び104を配置した点が第1実施例と異なっている。
出射側に常光と異常光の光をそれぞれ出射するための光導波路の一例として光ファイバーを配置する。使用する光が常光の場合、異常光は不要である。不要な光を効率的に装置外へ放出する。
光導波路構造には光ファイバーの他、ガラスなどの透明体の屈折率を変化させる構造や活性層を持つ半導体レーザなどが考えられる。
第4実施例は、放出した光の光量レベルを検出するために供することもできる。
この第4実施例では、入射光の場合はレンズ15を透過するまでの機能及び作用は第1の実施例と同じである。
入射ファイバー3から入射した光はレンズ5を透過し、第1複屈折部7、ファラディ回転部9、第2複屈折部11、角度補正用屈折部13を透過し、常光Aと異常光Bとの2つの偏光により異なった位置と角度の光束が出力される。レンズ15を透過することで常光Aの光を出力ファイバー103に入射させる位置と角度に配置し、異常光Bの光を出力ファイバー104に入射させる位置と角度に配置している。
常光Aの光をファイバー103に伝搬させて応用する場合、異常光Bの光をファイバー104に伝搬させ、図示しない受光素子に導き光の特性を測定することで、光ファイバーレーザ装置システムの健全性検証、光量を安定化のための光量モニタ、波長モニタなどを行う。光量を安定化させるため励起光源用LDの注入電流を調節し、出射光量を調節するなどのフィードバックをかけるために供せられる。
図示しない受光素子で測定する光の特性には光量、波長、パルス幅、パルス間隔、パルス波形などがある。モニタした光の特性の情報を光ファイバーレーザなどの装置を安定化させるために使用する場合の他、故障診断や劣化状態の把握、故障予測などの健全性検証に使用することもできる。更に、パルス幅やパルス波形を所望の形状とするために使用することも可能である。
また、主に使用する光を光ファイバー103から出射させる場合、光ファイバー104から使用しない光を本発明の偏光依存型光アイソレータ1の外に出し、光が出力しない光が装置内部で吸収され、熱に変換され、装置内部の温度上昇を招くことを防ぐことができる。
図5を参照して本発明の第5実施例を説明する。この第5実施例では、第1複屈折部7、ファラディ回転子9と、第2複屈折部11と、角度補正用屈折部13とからなる偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニット21を光軸方向に2つ直列に配置している点が第1実施例と異なっている。この第5実施例によれば、第1実施例よりも、常光Aと異常光Bとの分離角度を大きくとれるから、消光比を更に高めることができる。
本発明は、上述した実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、本発明は、レーザ光を用いた光通信や光計測の他に、レーザ光を用いた光加工や医療用装置、ファイバーレーザ内蔵発振安定用光アイソレータに用いるものであっても良い。光ファイバー3、17は、偏波保持ファイバーに限らず、通常の光ファイバーであっても良い。第1及び第2複屈折部7、11は、テーパ角度が同じであって常光と異常光との屈折率の差が異なる材質のものを用いても良い。例えばテーパ角度を同じにして第1複屈折部7はルチルを用い、第2複屈折部11は水晶を用いるものであっても良い。

Claims (1)

  1. 光学部品からなる入射手段と、光学部品からなる出射手段と、前記入射手段と前記出射手段との間に配置された偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニットと、から成る偏光依存型光アイソレータであって、
    前記偏光依存型光アイソレータ用非相反ユニットは、
    第1複屈折部と、第2複屈折部と、第1複屈折部と第2複屈折部の間に配置されたファラディ回転子とを備え、第1複屈折部と第2複屈折部との屈折角度が異なっており、
    前記出射手段は光導波路を含み、常光と異常光の各々の出射位置に前記光導波路が配置されていることを特徴とする偏光依存型光アイソレータ。
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