JP2013122449A - 放射性セシウムの除去方法、及び、焼成物の製造方法 - Google Patents

放射性セシウムの除去方法、及び、焼成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放射性セシウムで汚染された廃棄物から放射性セシウムを、より低い温度で揮発させて、容易に、かつ高い除去率で除去する方法を提供する。
また、放射性セシウムで汚染された廃棄物を原料として用いて、無害な焼成物を製造する製造方法を提供する。
【解決手段】放射性セシウムで汚染された廃棄物を還元雰囲気下で加熱して、上記廃棄物中の放射性セシウムを揮発させる放射性セシウムの除去方法。
放射性セシウムで汚染された廃棄物を還元雰囲気下で加熱して、上記廃棄物中の放射性セシウムを揮発させて焼成物を得る、焼成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、放射性セシウムで汚染された廃棄物から放射性セシウムを除去するための方法、及び、放射性セシウムで汚染された廃棄物を原料として用いて、無害な焼成物を製造するための方法に関する。
原子力発電所の大きな事故によって外部の環境中に放出された放射性セシウムが廃棄物又は土壌中に含まれている場合があるという問題が起きている。放射性セシウム(セシウム137)は、半減期が30年であり、長期間に亘って人体に悪影響を与えうるため、廃棄物等からの放射性セシウムの除去を求められる場合が多い。
放射性セシウムを除去する方法として、例えば、硝酸塩の形態で存在する放射性廃棄物を、外部に周回する通電コイルを備えたスリットを有する冷却された容器内で電磁誘導加熱により溶解し、硝酸塩が分解して生成した金属酸化物を容器周囲に、還元された白金属元素を電磁ピンチ力によって容器中央部に集積させ、次いで冷却・凝結後に、生成した固化体を回収することからなる、放射性廃棄物の処理方法において、電磁誘導加熱中に放射性廃棄物から揮発したセシウム等の長寿命核種を分離・回収する方法が記載されている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1の方法は、事故によって外部の環境中に放出された放射性セシウムを対象とするものではなく、原子力発電所等の限定された区域内で発生する放射性廃棄物を対象とするものであるため、膨大な量の汚染土壌等の処理に適したものではなく、また、装置が複雑で高価であり、高コストであるという問題があった。
一方、セメント産業では、産業廃棄物や一般廃棄物をセメント原料として再資源化している。例えば、(A)塩素含有廃棄物を原料として製造したセメントクリンカーであって、フッ素の含有量が400〜2000mg/kg、SO含有量が0.5〜2.5質量%、塩素の含有量が50〜250mg/kgであるセメントクリンカーの粉砕物と、(B)塩素含有物と、(C)石膏を含有することを特徴とするセメント組成物が提案されている(特許文献2)。
特開平5−157897号公報 特開2009−161412号公報
本発明は、放射性セシウムで汚染された廃棄物から放射性セシウムを、より低い温度で揮発させて、容易に、かつ高い除去率で除去することができる方法を提供することを目的とする。
本発明は、また、放射性セシウムで汚染された廃棄物を原料として用いて、無害な焼成物を製造するための方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、放射性セシウムで汚染された廃棄物を還元雰囲気下で加熱することで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[9]を提供するものである。
[1] 放射性セシウムで汚染された廃棄物を還元雰囲気下で加熱して、上記廃棄物中の放射性セシウムを揮発させることを特徴とする、放射性セシウムの除去方法。
[2] 可燃性物質を燃焼することで、還元雰囲気下にする前記[1]に記載の放射性セシウムの除去方法。
[3] 上記廃棄物に炎を直接接触させることで、還元雰囲気下にする前記[1]または[2]に記載の放射性セシウムの除去方法。
[4] 加熱に用いる燃料を理論空気量よりも少ない空気量で燃焼することで、還元雰囲気下にする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の放射性セシウムの除去方法。
[5] 加熱に使用する装置内を不活性ガスで置換する、または加熱に使用する装置内に不活性ガスを流通させることで、還元雰囲気下にする前記[1]に記載の放射性セシウムの除去方法。
[6] さらに、上記廃棄物と共に、CaO源及びMgO源の少なくともいずれか一方を加熱する前記[1]〜[5]のいずれかに記載の放射性セシウムの除去方法。
[7] 放射性セシウムで汚染された廃棄物を還元雰囲気下で加熱して、上記廃棄物中の放射性セシウムを揮発させて、焼成物を得ることを特徴とする、焼成物の製造方法。
[8] 前記[7]に記載の製造方法によって得られた焼成物からなる土工資材。
[9] 前記[7]に記載の製造方法によって得られた焼成物を粉砕して得られるセメント混合材。
本発明の放射性セシウムの除去方法によれば、放射性セシウムで汚染された廃棄物から放射性セシウムを、より低い温度で揮発させて、容易に、かつ高い除去率で除去することができる。
また、本発明の焼成物の製造方法によれば、放射性セシウムが除去された無害な焼成物を得ることができる。この焼成物は、土工資材として使用することができる。また、この焼成物を粉砕することによって、セメント混合材として使用することもできる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の処理対象物は、放射性セシウムで汚染された廃棄物である。
ここで、放射性セシウムで汚染された廃棄物とは、例えば、土壌や、下水汚泥乾粉、都市ごみ焼却灰、ごみ由来の溶融スラグ、貝殻、草木等の一般廃棄物や、下水汚泥、下水スラグ、浄水汚泥、建設汚泥等の産業廃棄物や、がれき等の災害廃棄物であって、放射性セシウムを含むものである。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、放射性セシウムをほとんど含まない部分(例えば、土壌の場合、砂、石)を予め取り除いて得られる、放射性セシウムが濃縮されたもの(中間処理物)も、本発明における「放射性セシウムで汚染された廃棄物」の概念に含まれるものとする。
本発明において、放射性セシウムとは、セシウムの放射性同位体であるセシウム134及びセシウム137を意味する。これらの放射性セシウムは、原子力発電所の事故によって外部の環境中に放出される放射性物質であり、半減期がそれぞれ約2年と約30年のものである。
本発明において、除去対象物である放射性セシウムは、事故を起こした原子力発電所から、ヨウ化セシウム等の形態で放射性ヨウ素と共に外部の環境中に放出され、上空から地表面に降下したものである。ヨウ化セシウムは、沸点が1200℃以上であり、沸点が700℃程度であるセシウム単体に比べて、揮発し難い性質を有する。そのうえ、地表面に降下した放射性セシウムは、土壌に含まれる粘土鉱物中に閉じ込められて、土壌から離れにくい状態となり、また、形態が変化する場合もある。また、がれき等の災害廃棄物に付着したり、地表面に降下した放射性セシウムが雨によって流され、下水処理の過程で濃縮されることによって、高濃度の放射性セシウムを含む下水汚泥等が生じることがある。さらに、土壌に含まれる放射性セシウムを吸収することによって、草木が放射能に汚染され、これら放射能に汚染された草木を含むものを焼却して生じた焼却灰においては、ガラスなどに放射性セシウムが閉じ込められていることもある。本発明では、これらの処理し難い状態になっている放射性セシウム化合物を分離し回収しようとするものである。
本発明の除去方法において、放射性セシウムで汚染された廃棄物と共に、CaO源及びMgO源の少なくともいずれか一方を加熱してもよい。
すなわち、還元雰囲気下において、放射性セシウムで汚染された廃棄物を加熱した場合、セシウムの溶融温度が低下するため、上記廃棄物が炉に付着してしまい、炉の運転が困難となる場合がある。また、上記廃棄物が炉に付着することによって、加熱温度が低下し、放射性セシウムの揮発率が求める揮発率に達しない場合がある。このように、加熱温度が低下し(例えば1000℃以下)、上記廃棄物が炉に付着して運転が困難となった場合、または、炉の運転が可能であっても目標とする放射性セシウムの揮発率に達しない場合、CaO源及びMgO源の少なくともいずれか一方を、上記廃棄物と共に加熱することが好ましい。
上記廃棄物と共に、CaO源及びMgO源の少なくともいずれか一方を加熱することで、焼成物の溶融温度が上昇し、放射性セシウムで汚染された廃棄物が炉に付着することを防ぐことができ、より高温で加熱することができる。
CaO源としては、例えば炭酸カルシウム、石灰石、生石灰、消石灰、石灰石、ドロマイト、高炉スラグ等が挙げられる。MgO源としては、例えば炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、蛇紋岩、フェロニッケル合金スラグ等が挙げられる。これらの例示物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
CaO源及びMgO源は、これら両方を用いてもよいし、いずれか一方のみを用いてもよいが、後述するセメント混合材としての活性を高めるためにCaO源のみを混合することが好ましい。また、CaO源およびMgO源は、粉砕された粉状物を使用することが好ましい。
また、上記放射性セシウムで汚染された廃棄物と、CaO源及びMgO源の少なくともいずれか一方は、これらの混合物中の酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、及び二酸化珪素(SiO)の各々の質量が、下記式(1)を満たすように、前記廃棄物とCaO源及び/又はMgO源の種類及び配合割合を定めたうえで混合することが好ましい。下記一般式(1)を満たすように混合することで、加熱によって得られる焼成物をセメント混合材として使用することができる。
((CaO+1.39×MgO)/SiO)=1.0〜2.2 ・・・(1)
(式中、CaO、MgO、SiOは、各々、カルシウムの酸化物換算の質量、マグネシウムの酸化物換算の質量、珪素の酸化物換算の質量を表す。)
上記式(1)の右辺の数値は好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.1〜1.9、特に好ましくは1.2〜1.8である。
なお、CaOの1モルの質量は、MgOの1.39モルの質量に相当することから、上記式(1)において、MgOの質量に1.39を乗じている。
上記放射性セシウムに汚染された廃棄物は、後述する加熱装置にそのまま投入して加熱すればよい。また、上記廃棄物に、後述する可燃性物質、CaO源、及びMgO源からなる群より選ばれる1種以上を添加する場合、混合を兼ねて解砕、粉砕等を行ったり、あるいは、解砕機もしくは粉砕機と、混合機を組み合わせて、2段階の処理を行ってもよい。後述するロータリーキルンを用いて焼成する場合は、ロータリーキルン内で各材料が回転混合されるので、上記廃棄物、可燃性物質、CaO源、またはMgO源等の一部をそのままキルン窯尻に投入してもよい。また、セシウムが多量には含まれていない5mm以上の石などを、水洗を行いながら予め取り除いてもよい。
本発明の放射性セシウムの除去方法は、上述した放射性セシウムで汚染された廃棄物を還元雰囲気下で加熱して、上記廃棄物中の放射性セシウムを揮発させるものである。
還元雰囲気下で加熱することで、セシウムが揮発する温度が低下し、より低い温度で放射性セシウムを揮発させることができる。また、放射性セシウムの除去率を高くすることができる。
また、上記廃棄物中にクロムが含まれていても、還元雰囲気下で加熱することから、酸化雰囲気下で生じ易い6価クロム(Cr6+)の生成を防止することができ、かつ、廃棄物を加熱する工程において、廃棄物が一時的に酸化雰囲気下で加熱されることで6価クロムが生成しても、3価クロム(Cr3+)に還元されることから、得られた焼成物を土工資材、及びセメント混合材等として安全に使用することができる。
加熱手段としては、還元雰囲気下で加熱することができれば特に限定されるものではなく、連続式とバッチ式のいずれも用いることができる。
連続式の加熱手段の例としては、ロータリーキルン(内熱式、外熱式)等が挙げられる。
バッチ式の加熱手段の例としては、焼却炉、電気炉、マイクロ波加熱装置等が挙げられる。
中でも、連続式の加熱手段は、処理の効率を高める観点から、本発明で好ましく用いられる。特に、ロータリーキルンは、放射性セシウムの揮発に適する加熱温度及び廃棄物の滞留時間を容易に与えることができるので、好ましい。
加熱に用いられる主燃料(バーナーの燃料)としては、重油、微粉炭、再生油、LPG、NPG、可燃性廃棄物等が挙げられ、空間中で燃焼するように粒度を調整したものが用いられる。
また、ロータリーキルンで焼成する際には、燃料代替廃棄物として、例えば、廃油、廃タイヤ、廃プラスチック等を使用することができる。
放射性セシウムで汚染された廃棄物の加熱温度は、好ましくは500℃以上、より好ましくは800〜1400℃、さらに好ましくは1000〜1350℃、特に好ましくは1100〜1300℃である。
上記温度範囲内で加熱することで、廃棄物に含まれる放射性セシウムを効率的に揮発させることができる。加熱温度が500℃未満では、放射性セシウムの揮発率が小さくなる。1400℃を超えると、液相が形成されることで放射性セシウムが取り込まれて揮発しにくくなる傾向がある。
放射性セシウムで汚染された廃棄物の加熱時間は、放射性セシウムの十分な揮発量を得る観点から、好ましくは15分間以上、より好ましくは20分間以上、特に好ましくは30分間以上である。加熱時間の上限は特に限定されないが、好ましくは180分間以下、より好ましくは120分間以下である。加熱時間が180分間を超えると、処理効率が低下するとともに、混合物中の放射性セシウムと共にカリウムやナトリウムの揮発量が多くなる場合がある。ロータリーキルン等を用いた場合には、原料が転動するので、ガスと放射性セシウムとの接触が活発となり、熱伝導率も良くなるため、静置した条件よりも短い焼成時間で、高い揮発率を得ることができる。
以下、本発明の放射性セシウムの除去方法、及び、焼成物の製造方法について、より具体的に説明する。
還元雰囲気下で、放射性セシウムで汚染された廃棄物を加熱する方法の一例として、上記廃棄物を加熱する際に、可燃性物質を燃焼する方法が挙げられる。可燃性物質を燃焼することで、廃棄物の周辺を還元雰囲気に保つことができる。また、上記廃棄物中にクロムが含まれていても、6価クロムの生成を防止することができ、かつ、廃棄物を加熱する工程において、6価クロムが生成していても、3価クロム(Cr3+)に還元される。
ここで、可燃性物質とは、例えば、石炭、コークス、活性炭、廃木材、廃プラスチック、重油スラッジ、都市ゴミ等の廃棄物を圧縮及び/または固形化した廃棄物固形塊等が挙げられる。
可燃性物質を供給する方法としては、放射性セシウムで汚染された廃棄物にあらかじめ混合してもよく、加熱に使用する装置として、ロータリーキルンを使用する場合、可燃性物質を、廃棄物の入口側、出口側、または、ロータリーキルンの途中から供給してもよい。
可燃性物質を原料にあらかじめ混合する場合、加熱によって得られる焼成物中に可燃性物質が未燃焼状態で残存しない範囲であれば、可燃性物質の混合量は多い方が好ましく、可燃性物質の粒径も大きい方が好ましい。
ここで、可燃性物質を、ロータリーキルンの廃棄物の入口側、またはロータリーキルンの途中で供給する場合について説明する。
この場合、可燃性物質は還元雰囲気を長時間維持することができるものが好ましい。具体的には、例えば、ロータリーキルンの主燃料に比べて、燃焼速度の遅いもの、または、主燃料と同様の燃焼速度を有し、主燃料よりも粗い粒である可燃性物質が挙げられる。具体的には、石油コークス、石炭コークス、無煙炭等が挙げられる。燃焼速度が遅いほど、可燃性物質を細かくできるので好ましい。
可燃性物質の平均粒径は、好ましくは0.5〜20mm、より好ましくは1〜5mmである。該平均粒径が0.5mm未満であると、燃焼中のごく初期で燃えきってしまうため、還元雰囲気を長時間維持できなくなる場合がある。該平均粒径が20mmを超えると、得られた焼成物に未燃焼状態の可燃性物質が多量に残存するため、供給した可燃性物質が無駄となり、また、該焼成物を、セメント混合材またはコンクリート骨材として用いる場合において、残存する未燃炭素がAE剤を吸着することで、モルタルコンクリートの空気連行性が悪化する、あるいは、締め固めした場合に未燃炭素が表面に現れ、モルタルコンクリートの外観が悪化する等の問題が生じる場合がある。
可燃性物質の量は、加熱によって得られる焼成物1000kgあたり、好ましくは5〜40kg、より好ましくは10〜40kg、特に好ましくは12〜40kgである。該量が5kg未満であると、還元雰囲気とすることによる効果が小さく、揮発率が減少する場合がある。該量が40kgを超えると、得られる焼成物に未燃焼状態の可燃性物質が多量に残存し、該焼成物をセメント混合材またはコンクリート骨材として用いる場合において、モルタルコンクリートの空気連行性や外観が悪化する場合がある。
なお、可燃性物質は、ロータリーキルンの途中で供給する場合には、ロータリーキルン内で最も高温となる位置から、廃棄物の入口側までの途中で供給することが好ましい。
可燃性物質を燃焼する際の、炉内の酸素(O)濃度は、可燃性物質をすぐに消失させないという観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
上述した条件と、滞留時間等を調整することで、放射性セシウムの揮発率が大きく、かつ、可燃性物質が残存しないようにすることができる。また、得られた焼成物をセメント混合材またはコンクリート骨材として使用する場合には、モルタルコンクリートの空気連行性や外観に悪影響を与えないように、上述した条件と、滞留時間等を調整する。
次に、可燃性物質を、廃棄物の出口側から供給する場合について説明する。
可燃性物質は空気を用いて廃棄物の出口側から炉内に向かって容易に圧送することができる。また、ロータリーキルンの出口側に専用の投入口を設けても良い。さらに、粗い可燃性物質(平均粒径が1〜10mm程度のもの)を主バーナーの燃料の一部として落下させても良い。
可燃性物質は、廃棄物の入口側、またはロータリーキルンの途中で供給する場合よりも強い還元状態にできるものが好ましい。具体的には、例えば、ロータリーキルンの主燃料に比べて、燃焼速度が速い可燃性物質が挙げられる。燃焼速度が速い可燃性物質としては、例えば、廃木材、廃プラスチック、重油スラッジ、及び都市ゴミ等の廃棄物を圧縮及び/または固形化した廃棄物固形塊等が挙げられる。
可燃性物質の平均粒径は、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは1〜5mmである。該平均粒径が0.1mm未満であると、焼成中のごく初期で燃えきってしまうため還元雰囲気を維持できなくなる場合がある。該平均粒径が10mmを超えると、得られた焼成物に未燃焼状態の可燃性物質が多量に残存して供給した可燃性物質が無駄となり、また、該焼成物をセメント混合材またはコンクリート骨材として用いる場合において、モルタルコンクリートの空気連行性や外観が悪化する場合がある。なお、還元雰囲気を維持できる時間は、可燃性物質の平均粒径により調整することができる。例えば、燃焼速度が速い可燃性物質は、平均粒径を大きく(粗く)することで還元雰囲気を維持できる時間を長くすることができる。
可燃性物質の熱量は、主バーナーに用いられる燃料全体の熱量に対して、通常、2〜40%となるように使用することができる。可燃性物質の熱量が2%未満であると、還元雰囲気とすることによる効果が小さく揮発率が減少する場合がある。可燃性物質の熱量が40%を超えると、得られた焼成物中に未燃焼状態の可燃性物質が多量に残存して供給した可燃性物質が無駄となり、該焼成物をセメント混合材またはコンクリート骨材として用いる場合において、モルタルコンクリートの空気連行性や外観が悪化する場合がある。
上述した可燃性物質を廃棄物の入口側またはロータリーキルンの途中で供給する場合と比べて、廃棄物の出口側から供給する場合は、ロータリーキルン内で還元雰囲気となるのは炉内の一部分であるため、還元雰囲気を長時間維持するとともに、放射性セシウムが揮発する高い温度帯で還元雰囲気となるように、可燃性物質の供給位置(落下位置)をロータリーキルン内で最高温度となる位置よりも廃棄物の入口側に調整することが好ましい。供給位置は好ましくは、通常、キルンの内径をDとして、キルンの出口から4Dの地点より、奥が好ましい。また、主バーナー等の設定条件により、キルン内の最高温度となる位置がより出口側になった場合には、キルンの出口から3Dの地点より、奥が好ましい。供給位置(落下位置)は、可燃性物質の投入口の角度、投入口の位置、可燃性物質を投入する速度、可燃性物質の粒度、及び、可燃性物質の密度で調整することが好ましい。
可燃性物質を添加する場合における、炉内の酸素(O)濃度は、可燃性物質をすぐに消失させないという観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
廃棄物の滞留時間は、可燃性物質の燃焼だけで放射性セシウムの除去を行う場合、還元雰囲気が炉内の一部であることから、好ましくは30分間以上である。
廃棄物の焼成温度は、可燃性物質の燃焼だけで放射性セシウムの除去を行う場合、還元雰囲気が炉内の一部であることから、好ましくは800℃以上である。焼成温度が低くなると(通常500℃未満)、放射性セシウムの揮発率が小さくなる。
上述した条件を調整することで、放射性セシウムの揮発率が大きく、かつ、可燃性物質が残存しないようにすることが好ましい。
還元雰囲気下で、放射性セシウムで汚染された廃棄物を加熱する他の方法としては、上記廃棄物に炎を直接接触させる方法が挙げられる。
具体的には、内部燃焼型の装置(内熱式ロータリーキルン等)において、加熱中(焼成中)の放射性セシウムで汚染された廃棄物等と、バーナーの炎が直接接するように焼成する(以下、「炎膜焼成」ともいう。)。内熱式ロータリーキルンを用いて炎膜焼成を行う方法としては、(a)加熱用主バーナーを下部に設置して、炎が廃棄物等をなめるように加熱(焼成)する、(b)燃料量や空気速度を調整することで炎を発散させて、炎が廃棄物等をなめるように加熱(焼成)する、(c)主バーナーの角度を下に向けることで炎を長くして、炎が廃棄物等をなめるように加熱(焼成)する、等の方法が挙げられる。また、加熱用主バーナー以外に炎膜焼成用の補助バーナーを設置してもよい。各条件の調整によって、廃棄物等と炎の接触時間が長くなるほど、セシウムの揮発率が向上する。また、上記廃棄物中にクロムが含まれていても、6価クロムの生成を防止することができ、かつ、廃棄物を加熱する工程において、6価クロムが生成していても、3価クロム(Cr3+)に還元される。
炎膜焼成を行う際の酸素濃度は、より多くの炎膜を発生させる観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
廃棄物の滞留時間は、炎膜焼成だけで放射性セシウムの除去を行う場合、還元雰囲気が炉内の一部であることから、好ましくは30分間以上である。
廃棄物の焼成温度は、炎膜焼成だけで放射性セシウムの除去を行う場合、還元雰囲気が炉内の一部であることから、好ましくは800℃以上である。焼成温度が低くなると(通常500℃未満)、放射性セシウムの揮発率が小さくなる。
上述した条件を調整することで、放射性セシウムの揮発率をより大きくすることができる。なお、上述した可燃性物質の燃焼と、炎膜焼成を併用してもよい。
また、加熱する際の雰囲気を調整することで、還元雰囲気下とすることもできる。
例えば、還元雰囲気下で、放射性セシウムで汚染された廃棄物を加熱する他の方法として、加熱に用いる燃料を理論空気量よりも少ない空気量で燃焼する方法が挙げられる。
具体的には、内部燃焼型の装置(内熱式ロータリーキルン等)において、炉内の空気比(理論空気量に対する供給空気量の割合)を0.8〜1.0、炉内の酸素濃度を1質量%以下、または、一酸化炭素濃度を0.1〜1.0質量%にして、上記燃料を燃焼する。
空気比が0.8未満、または一酸化炭素濃度が1.0質量%を超える場合、加熱に必要な燃焼が困難となる場合がある。空気比が1.0を超える場合、酸素濃度が1質量%を超える場合、または一酸化炭素濃度が0.1質量%未満の場合、還元性雰囲気が弱くなり、放射性セシウムの除去率が小さくなる。
加熱に用いる燃料とは、主燃料(バーナーの燃料)として、重油、微粉炭、再生油、LPG、NPG、及び可燃性廃棄物等が挙げられ、空間中で燃焼するように粒度を調整したものが用いられる。
さらに、上述した可燃性物質の燃焼及び/または炎膜焼成と併用することもできる。
また、加熱に使用する装置(外熱式ロータリーキルン、電気炉等)内を、窒素ガス等の不活性ガスで置換、または流通させる方法が挙げられる。さらに、前記不活性ガスに、一酸化炭素ガス等の還元性ガスを混合したものを置換、または流通させても良い。
上記加熱する際の雰囲気を調整する場合の、還元雰囲気下で加熱する滞留時間は、好ましくは15〜180分間である。
滞留時間が15分間未満であると、セシウムの揮発率が低くなる。滞留時間が180分間を超えると、処理できる量が少なくなり、コストが悪くなる。
上述した、放射性セシウムの除去方法によって生じた排ガス中の揮発した放射性セシウムは、冷却されて固体になった後、集塵機またはスクラバー等で回収することができる。また、キルンにプレヒーターが取り付けられている場合は、揮発した放射性セシウムを高濃度で含む排ガスの一部を抽気して、冷却することによって、固体となった放射性セシウムを回収することもできる。回収した放射性セシウムは、必要に応じて水洗、吸着などにより、さらなる減容化処置をした後、コンクリート製の容器などに密閉して保管することができる。これにより、放射性物質を含む廃棄物を外部に漏洩することなく、減容化し、保管することができる。
加熱後に得られた焼成物は、土工資材(骨材、埋め戻し材、盛土材、路盤材等)として用いることができる。
また該焼成物を粉砕することによりセメント混合材として用いることもできる。粉砕に用いるミルとしては、ボールミル、ロールミルなどが上げられる。セメント混合材に用いる場合の該焼成物の粉砕物のブレーン比表面積は好ましくは1500〜6000cm/g、より好ましくは2500〜5000cm/gである。

Claims (9)

  1. 放射性セシウムで汚染された廃棄物を還元雰囲気下で加熱して、上記廃棄物中の放射性セシウムを揮発させることを特徴とする、放射性セシウムの除去方法。
  2. 可燃性物質を燃焼することで、還元雰囲気下にする請求項1に記載の放射性セシウムの除去方法。
  3. 上記廃棄物に炎を直接接触させることで、還元雰囲気下にする請求項1または2に記載の放射性セシウムの除去方法。
  4. 加熱に用いる燃料を理論空気量よりも少ない空気量で燃焼することで、還元雰囲気下にする請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射性セシウムの除去方法。
  5. 加熱に使用する装置内を不活性ガスで置換する、または加熱に使用する装置内に不活性ガスを流通させることで、還元雰囲気下にする請求項1に記載の放射性セシウムの除去方法。
  6. さらに、上記廃棄物と共に、CaO源及びMgO源の少なくともいずれか一方を加熱する請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射性セシウムの除去方法。
  7. 放射性セシウムで汚染された廃棄物を還元雰囲気下で加熱して、上記廃棄物中の放射性セシウムを揮発させて、焼成物を得ることを特徴とする、焼成物の製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法によって得られた焼成物からなる土工資材。
  9. 請求項7に記載の製造方法によって得られた焼成物を粉砕して得られるセメント混合材。
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