JP2013122376A - 放射線遮蔽函 - Google Patents

放射線遮蔽函 Download PDF

Info

Publication number
JP2013122376A
JP2013122376A JP2011253857A JP2011253857A JP2013122376A JP 2013122376 A JP2013122376 A JP 2013122376A JP 2011253857 A JP2011253857 A JP 2011253857A JP 2011253857 A JP2011253857 A JP 2011253857A JP 2013122376 A JP2013122376 A JP 2013122376A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
radiation shielding
lid
radioactive waste
shielding box
main body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011253857A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Yamakoshi
幸一 山腰
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ATSUMI CO Ltd
Original Assignee
ATSUMI CO Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ATSUMI CO Ltd filed Critical ATSUMI CO Ltd
Priority to JP2011253857A priority Critical patent/JP2013122376A/ja
Publication of JP2013122376A publication Critical patent/JP2013122376A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Refuse Receptacles (AREA)

Abstract

【課題】 より高い放射線遮蔽能力を有するとともに、ハンドリング性も備えた放射線遮蔽函を提供する。
【解決手段】 放射線遮蔽函1は、直方体状の箱状本体10と、蓋体20とからなる。この本体10と蓋体20とで囲まれる直方体状の空間S(内室)に、廃棄物が収容されたコンテナCが収容される。本体10及び蓋体20は、見掛け比重が2.6以上のコンクリート又は岩石で作製される。また、本体10及び蓋体20の厚さが70mm以上であることが好ましい。これらの場合、より十分な放射線遮蔽性を得られる。蓋体20には、気体抜き路27が形成されている。気体抜き路27は上方に傾斜した傾斜路27aと下降路7bとからなり、水の侵入を防ぎつつ気体抜きできる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、原子力発電所等で発生する高レベルあるいは低レベルの放射性廃棄物を保管する放射線遮蔽函に関する。
原子力発電所や原子燃料サイクル施設で発生する高レベルあるいは低レベルの放射性廃棄物(使用済み燃料や廃液など)は、再び取り出されることを前提として保管されている。このような廃棄物を保管する容器としては、例えば、内面に特殊なコンクリート層が形成された、容積が200リットルのドラム缶が使用される。このドラム缶内に、セメント固化やアスファルト固化(低レベル廃棄物の場合)、ガラス固化(高レベル廃棄物の場合)した廃棄物が充填される。さらに、廃棄物が充填されたドラム缶は、炭素鋼やコンクリートで作製された蓋付きの容器に収容されて、中間処理場や適切な施設で保管される。
この容器として、放射線遮蔽性と密閉性とを得るために多重構造とした容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。あるいは、容器の吊り下げ強度を挙げるために、放射線遮蔽機能を有する内容器と、吊り下げ強度を有する外側容器とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−1004389 特開2008−261723
本発明は、良好な放射線遮蔽能力を有するとともに、長期保管性やハンドリング性も備えた放射線遮蔽函を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様の放射線遮蔽函は、 放射性廃棄物又は放射性廃棄物が充填された容器を収容する内室を有し、 コンクリート又は岩石からなり、 前記内室の天井部分の蓋部材に、屈折した気体抜き路が形成されており、 該気体抜き路が、 前記蓋部材の側面に開口し、外側から内側に向かって上方に傾斜する傾斜路、及び、 該傾斜路から下方に延びて前記蓋部材の下面に開口する下降路、を有することを特徴とする。
コンクリート又は岩石で作製することにより、廃棄物から放射される放射線を遮蔽できるとともに、比較的安価に製造できる。さらに、上記の形状の気体抜き路を形成することにより、外部の水の内室への侵入を防ぎつつ、気体抜きをできる。
さらに、函を積み上げた際に、気体抜き路の外端が蓋体部材の側面に開口しているので、気体抜き路が塞がらない。
本発明の第2の態様の放射線遮蔽函は、 放射性廃棄物又は放射性廃棄物が充填された容器を収容する内室を有し、 コンクリート又は岩石からなり、比重が2.6以上であることを特徴とする。
後述する実施例で説明するように、比重が高いほど遮蔽性がよい。比重は、2.7以上がより好ましい。ただし、後述する実施例で説明するように、2.4程度でも一定程度の遮蔽性を発揮できる場合もある。
以下に、天然岩石の一般的な比重を示す。黒御影石(斑レイ岩:比重約2.8〜3.2、閃緑岩:比重約2.7〜3.0)、花崗岩(比重約2.5〜2.9)、安山岩(比重約2.2〜2.9)、玄武岩(比重約2.7〜3.2)、結晶片岩(比重約2.6〜3.0)、かんらん岩(比重約2.9〜3.3)であり、これらのうち、比重2.6以上、好ましくは2.7以上のものを使用すれば、より良好な遮蔽効果が得られる。これらの天然岩は、そのまま石材として遮蔽函の側壁・蓋とすることができる。また、砕石としてコンクリート中に骨材として混ぜることもできる。砕石の混合量は、1m当たり1300〜1600kgとすることができる。例えば、砕石50%の場合、比重が2.6のものでは1300kg、比重が3.2のものでは1600kgとできる。
本発明の第3の態様の放射線遮蔽函は、 放射性廃棄物又は放射性廃棄物が充填された容器を収容する内室を有し、 コンクリート又は岩石からなり、 外側が、耐候性のある帯体で緊縛されていることを特徴とする。
耐候性を有する材料として、ガラス繊維、炭素繊維、ステンレスワイヤーなどを挙げることができる。このような帯体で外側を緊縛することにより、函の割れの危険性を下げることができる。また、函が本体と蓋体とで構成されている場合、本体と蓋体との分離を防止できる。
本発明の第4の態様の放射線遮蔽函は、 放射性廃棄物又は放射性廃棄物が充填された容器を収容する内室を有し、 コンクリート又は岩石からなり、 底壁及び側壁を有する本体と、蓋体と、を有し、 前記蓋体に、上に積まれる函の底部が係合し、上の函の本体の前記側壁部が下の函の本体の前記側壁部と上下方向に重なるように形成された係合部を有することを特徴とする。
函を積み重ねた際、下側の函の蓋体の係合部に、上側の函の本体の下部が嵌り込むので、ぐらつかないように積み重ねることができる。さらに積み重ねた状態では、上下の函の側壁が縦に並ぶので、上側の函の重量を安定的に支持することができる。
本態様においては、 前記係合部が、前記本体の底が嵌合する凹部であり、 該凹部の周辺には、立ち上がる段部が形成されており、 該段部は、前記本体側壁よりも外側に張り出していることとできる。
さらに、 前記凹部の端に、前記蓋体を貫通するスリットが形成されており、 該スリットに、前記本体と蓋体とを緊縛する帯体を通すことが可能であることが好ましい。
この場合、帯体を横ずれしないように固定できる。また、蓋体の立ち上がり段部を通さずに帯体を配設できるので、帯体の浮きを防止できる。このため、函を積み重ねた際に、上側の函を安定に載置できる。
さらに、 前記スリットの真下に当たる前記本体底壁に、フォークリフトの爪の入る溝が形成されていることが好ましい。
この場合、函をフォークリフトで安定に搬送できる。
さらに、この溝に帯体を通せば、帯体の横ずれを防止できる。このように、蓋体のスリットの本体の溝とで、帯体の横ずれを防止できるので、本体と蓋体とをより強固に緊縛できる。さらには、フォークリフトの爪は本体の底板に直接接触せず、帯体に接触することになる。したがって、爪によって本体が傷付くことを防止できる。
さらに、前記蓋体が平面形状矩形であり、前記スリットが、前記蓋体の四辺寄りの左右両側の位置に形成されていることとすれば、帯体を函の全体に渡って配設できるので、クラックや割れの防止効果がより高くなる。
なお、本願発明の上記各特徴の2以上を相互に組み合わせることも好ましい。
本発明においては、 前記内室の周囲の部材の厚さが70mm以上であることとすれば、より高い遮蔽効果が得られる。より好ましくは、厚さは100mm以上、あるいは150mm以上である。厚さが厚いほど、遮蔽効果が高くなるので、所望の遮蔽効果が得られるように厚さを選択する。
本発明の放射線遮蔽函の製造方法は、 放射性廃棄物又は放射性廃棄物が充填された容器を収容する内室を有し、 岩石からなる放射線遮蔽函の製造方法であって、 塊の岩石をボーリングやサンドブラスト等で掘り込んで前記内室を形成することを特徴とする。
天然岩石はコンクリートに比べて耐久性が良好(半永久的)であるので、岩石を掘り込んで製造することが好ましい。
本発明の放射性廃棄物の保管方法は、 放射性廃棄物又は放射性廃棄物入りの容器を前記のいずれかの放射線遮蔽函に保管することを特徴とする。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、岩石又はコンクリートを使用することにより、土嚢以上の放射線遮蔽能力を有する放射線遮蔽函を提供できる。さらに、外部からの水の侵入を防ぎつつ、廃棄物から発生する有機性気体(メタンや臭素などのガス、あるいは放射性のガス)や水蒸気などを排出することができるので、長期保管にも適している。
図1(A)は、本発明の第1の実施の形態に係る放射線遮蔽函の全体の構造を説明する図であり、図1(B)は蓋体に形成された気体抜き路を説明する図である。 図1の放射線遮蔽函の全体を示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る放射線遮蔽函の構造を説明する図である。 図3の放射線遮蔽函の全体を示す斜視図である。 図3の放射線遮蔽函の本体の底板と側板の連結方法の変形例を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る放射線遮蔽函を説明する図であり、図6(A)は断面図、図6(B)は函のみの斜視図である。 図6の放射線遮蔽函の全体を示す斜視図である。 岩石及びコンクリートの放射線遮蔽効率を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1、2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る放射線遮蔽函の全体の構造を説明する。
放射線遮蔽函1は、放射性廃棄物が充填されたフレキシブルコンテナを収容する内室を有する。
図1を参照して、放射性遮蔽函1の構造を説明する。
放射線遮蔽函1は、直方体状の箱状本体10と、蓋体20とからなる。この本体10と蓋体20とで囲まれる直方体状の空間S(内室)に、1個あるいは複数個(この例では1個)のフレキシブルコンテナCが収容される。本体10及び蓋体20は、比重が2.6以上のコンクリートで作製される。なお、図示省略してあるが、本体10及び蓋体20の厚さ方向の中央には、ワイヤーメッシュ(径6mm、メッシュ間隔150mm)が配筋されている。コンクリートは、例えば、斑レイ岩や玄武岩等の岩石を粒度40mm程度に粉砕した骨材(砕石)をセメントで結合したものである。砕石の混合量は1m当たり1300〜1600kgである。コンクリートの成分及び比重と放射線遮蔽能力との関係については実施例にて後述する。比重は、乾燥後の試料の重量(g)を体積(cm)で割った値である。一般に、比重が高いほど放射線遮蔽性が高くなる。
この例では、本体10は、底板11と、底板の四方から立設する長方形状の側板12とを有し、底板11と側板12とは一体に成形されている。
底板11の下面には、2本の平行な溝15が形成されている。この溝15は、函1の搬送時にフォークリフトのフォークが入り込むためのものである。
蓋体20は、底板11よりも一回り大きい平面形状を有する。蓋体20の下面には、本体10の各側板12の内面で囲まれる中空部に嵌合する平坦な凸部21が形成されている。蓋体20を本体10の上面開口に被せると、蓋体20の凸部21が本体10に嵌合する。これにより、本体10と蓋体20で囲まれた直方体状の空間S(内室)が形成される。
なお、本体10の各側壁12の上面に漆喰を塗って、この漆喰を介して蓋体20を被せてもよい。これにより、本体10と蓋体20との気密性を向上できる。
また、蓋体20の上面には、本体10の平面寸法とほぼ同じ寸法の、比較的浅い凹部(係合部)22と、その周辺の立ち上がる段部23が形成されている。段部23は、本体10の各側壁12から外方向に張り出している。函1を積み重ねた際、下側の函1の蓋体20の凹部22に、上側の函1の本体10の下部が嵌り込むので、ぐらつかないように積み重ねることができる。さらに積み重ねた状態では、上下の函10の側板12が縦に並ぶので、上側の函1の重量を安定に支持することができる。
蓋体20の上面の各段部23の中央には、後述する帯30を通すための切り欠き24が形成されている。
図1(B)に示すように、蓋体20には、気体抜き路27が形成されている。気体抜き路27は、放射性廃棄物から発生するガス体(有機ガス体、放射性ガス体)や水蒸気などを排気するためのもので、蓋体20の側面に開口し、外側から内側に向かって上方に傾斜する傾斜路27a、及び、傾斜路から下方に延びて蓋体20の下面に開口する下降路27bとを有する。内室S内で発生したガス体(気体)は気体抜き路27を通って外部に排出される。また、外部の水が気体抜き路27に入り込んでも、水は傾斜路27aに沿って落下して外部に排出されるので、水が内室に入り込むことを防ぎつつ気体抜きできる。さらに、函1を上下に積み重ねても側面の開口が塞がらない。
このような気体抜き路27は、例えば、蓋体20の成形時に、型の中に気体抜き路27と同じ形状のフレキシブルパイプ(金属製あるい樹脂製)を固定した後、コンクリートを流し込むことにより形成できる。
なお、蓋体20の上面に複数本のホールインアンカーを固定して、同アンカーに吊り下げ用の部材を取り付けることもできる。
次に、図2を参照して遮蔽函1の外側を緊縛する帯30を説明する。
帯30は、ある程度の幅を有する耐候性、耐久性を有する材料(例えばガラス繊維、炭素繊維、ステンレスワイヤーステンレス製)で作製された複数のバンド31で作製される。バンド31の寸法は、一例で、幅が100mm以上、厚さが5〜10mm以上である。この例では、2本のバンド31が、函1の全周囲(全側面、底面及び上面)に沿って縦方向に巻き付けられて締め付け固定されている。各バンド31は、蓋体20の上面においては、同面の段部23に形成された切り込み部24を通っている。各バンド31の両端は固定されている。
この帯30は、内室Sに放射性廃棄物を収容した後で、函1の周囲に巻き回す。
このように本体10と蓋体20とを帯30で締め付け固定することにより、本体10と蓋体20との間を分離しないように連結できる。また、何らかの力が遮蔽函1にかかった時に遮蔽函1が割れる危険性を低減できる。
バンド31の一部に、取っ手(吊りピースなど)を固定することもできる。この取っ手は、函1の吊り下げ時や搬送時などに搬送機(クレーン車、フォークリフト等)と係合する。
この例の放射線遮蔽函1(容量1mのフレキシブルコンテナを1個を収容)の寸法例を示す。
本体10の外寸:高さ1200mm×幅1200mm×奥行き1200mm、
本体10の内寸:高さ1000mm×幅1000mm×奥行き1000mm、
本体10の底板11の厚さ:200mm、
本体10の底板11の平行溝12の寸法:高さ100〜150mm×幅200mm。
各側板12の厚さ:100mm、
蓋体20の外寸:幅1300mm×奥行き1300mm×厚さ130mm、
蓋体20の厚さ:100mm、
蓋体20の下面の凸部21の厚さ:10〜50mm、
蓋体20の上面の凹部22の深さ:50mm、
蓋体20の段部23の幅:50mm。
気体抜き路27の寸法例を示す。
径:10〜30mm、
傾斜路27aの水平面に対する角度θ:3〜10°。
本体10や蓋体20の板厚は、廃棄物の放射線濃度によって変更することができる。濃度が高い場合は、板厚を厚くする。あるいは、比重の高い岩石を使用することでも対応できる。
このように、函1をコンクリートで作製することにより、後述の実施例で説明するように、相当程度以上の放射線遮蔽能力を有する放射線遮蔽函を提供できる。さらに、本例の函1と同じ寸法の函を炭素鋼等で作製した場合に比べて、価格を70%程度削減できる。
搬送時には、本体10の平行溝15にフォークリフトのフォークを差し込み、函1を保管場所に搬送する。
図3、4、5を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る放射線遮蔽函の全体の構造を説明する。
この例の放射線遮蔽函1Aは、放射性廃棄物が充填されたドラム缶を収容する内室を有する。
この放射線遮蔽函1Aも、直方体状の箱状本体10と、蓋体20とからなる。この本体10と蓋体20とで囲まれる直方体状の空間S(内室)に、1本あるいは複数本(この例では2本)のドラム缶Dが収容される。ドラム缶Dは、一般に、径が600mm、高さが800mmである。本体10及び蓋体20は、比重が2.6以上の岩石で作製される。岩石としては斑レイ岩、深成岩、花崗岩等を挙げることができる。
この例では、本体10は、長方形の底板11と、底板11の四方から立設する長方形状の長側板12と短側板13を有する。図3(A)に示すように、底板11と側板12、13とは凹凸嵌合により連結されている。この例では、底板11の上面の周囲に枠状の凸部11aが形成されており、側板12、13の下面に、同凸部11aが嵌合する凹部(図3(A)では凹部13aのみ図示)が長さ方向に延びるように形成されている。
さらに、隣接する側板12、13間も、図3(B)に示すように、凹凸嵌合により連結されている。この例では、長側板12の両側面に長さ方向に延びる凸部12bが形成され、短側板13の内面の左右方向の両端部に、同凸部12bが嵌合する凹部13bが形成されている。
底板11と各側板12、13間、及び、隣接する側板12、13間は、接着剤により固定されている。
蓋体20は、図1の放射線遮蔽函1の蓋体20と同じ構造である。蓋体20を本体10の上面開口に被せると、蓋体20の凸部21が本体10に嵌合する。これにより、本体10と蓋体20で囲まれた直方体状の空間S(内室)が形成される。
図3(A)に示すように、蓋体20には、図1の函1と同様の気体抜き路27が形成されている。この気体抜き路27も、蓋体20の側面に開口し、外側から内側に向かって上方に傾斜する傾斜路27a、及び、傾斜路から下方に延びて蓋体20の下面に開口する下降路27bとを有する。このような気体抜き路27は、例えばドリルで掘削することにより形成できる。
また、蓋体20の上面に複数本のホールインアンカーを固定して、同アンカーに吊り下げ用の部材を取り付けることもできる。
図5を参照して、本体10の底板11と側板13との連結方法の変形例を説明する。
図5(A)に示すように、底板11の上面の周囲に凹部11cを形成し、側板12、13の下面の、同凹部11cに対向する位置に、凹部(図5(A)では凹部13cのみ図示)を長さ方向に延びるように形成する。そして、両凹部11c、13c間に連結プレート15を嵌合させる。
図5(B)に示すように、底板11の上面の周囲に凹部11cを形成し、側板12、13の下面の、同凹部11cに嵌合する凸部(図5(B)では凸部13dのみ図示)を長さ方向に延びるように形成する。
なお、この例では本体10を組立式としたが、塊の岩石をボーリングやサンドブラスト等で掘り込んで内室Sを作製することもできる。なお、コンクリートの耐久性は50〜60年であり、天然岩石の耐久性は半永久的である。
次に、図4を参照して遮蔽函1Aの外側を緊縛する帯30を説明する。
この帯30も、ある程度の幅を有する耐候性、耐久性を有する材料(例えばガラス繊維、炭素繊維、ステンレスワイヤーステンレス製)で作製された複数のバンド31で作製される。バンド31の寸法は、一例で、幅が100mm以上、厚さが5〜10mm以上である。この例では、2本のバンド31が、函1の周囲(全側面、底面及び上面)に沿って縦方向に巻き付けられて締め付け固定されている。各バンド31の両端は止め具で固定されている。図示しないが、バンドを本体10の周囲(全側面)に沿って横方向に巻き付けて締め付け固定してもよい。
このように本体10と蓋体20とを帯30で締め付け固定することにより、本体10と蓋体20との間、本体10の底板11と側板12、13との間、及び、隣接する側板12、13間を分離しないように連結できる。
さらに、縦方向に巻き回したバンド31の一部には、取っ手35が固定されている。この取っ手35は、函1の吊り下げ時や搬送時などに搬送機(クレーン車、フォークリフト等)と係合する。
この例の放射線遮蔽函1A(ドラム缶2本を収容)の寸法例を示す。
本体10の平面形状:縦1000mm×横1750mm、
本体10の高さ:1230mm、
本体10の底板11及び各側板12、13の厚さ:200mm、
蓋体20の厚さ:170mm、
蓋体20の下面の凸部21の厚さ:30mm。
本体10や蓋体20の板厚は、廃棄物の放射線濃度によって変更する。濃度が高い場合は、板厚を厚くする。あるいは、比重の高い岩石を使用することでも対応できる。
この寸法例の函1Aに2本のドラム缶Dを収容した場合、ドラム缶D間の距離、及び、ドラム缶Dと各側板12、13の距離は50mm、ドラム缶Dと蓋体20間の距離は100mmとなる。
なお、ドラム缶Dを本体10に収容した後、ドラム缶Dの周囲に岩石粉モルタルやベントナイトを充填してもよい。この場合、ドラム缶Dを安定に位置決めできるとともに、放射線遮蔽効果が高まる。ただし、ドラム缶Dの上方は、廃棄物の取り出しが可能なように空間としておくことが好ましい。
この例の函1Aも、後述する実施例で説明するが、相当程度以上の放射線遮蔽能力を有する。
次に、図6、図7を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る放射線遮蔽函を説明する。
この放射線遮蔽函1Bも、箱状本体10と、蓋体20とからなる。本体10及び蓋体20は、図1の放射線遮蔽函1と同様に、比重が2.6以上のコンクリートで作製される。図示省略してあるが、本体10及び蓋体20の厚さ方向の中央には、ワイヤーメッシュ(径6mm、メッシュ間隔150mm)が配筋されている。本体10及び蓋体20の外形は図1の放射線遮蔽函1ほぼ同じであるが、帯体30の緊縛方法が異なる。以下、帯体30の緊縛方法に関連した相違点のみ説明する。
本体部10の底板11の下面には、2本の平行な溝15が、縦方向及び横方向に延びるように形成されている。各溝15は、底板11の側縁寄りの位置に形成されている。この溝15は、函1の搬送時にフォークリフトのフォークが入り込むためのものである。
蓋体20の凹部22の端には、蓋体20を上下方向に貫通するスリット29が辺に沿って形成されている。各スリット29の位置は、本体10の底板11に形成された溝15の真上であって、図6(A)に示すように、本体10の外壁12の外側の位置である。具体的には、各スリット29は、凹部22の4つの各周縁に沿った左右両側寄りの位置に形成されている。
次に、図7を参照して遮蔽函1の外側を緊縛する帯30を説明する。
この例の帯30も、ある程度の幅を有する耐候性、耐久性を有する材料(例えばガラス繊維、炭素繊維、ステンレスワイヤー製)で作製された複数のバンド31で作製される。この例では、2本のバンド31が、函1の全周囲(全側面、底面及び上面)に沿って縦方向に巻き付けられて締め付け固定され、他の2本のバンド31が、直交する縦方向に巻き付けられ締め付け固定されている。各バンド31は、蓋体20においては、凹部22に形成されたスリット29を通り、本体10においては底板11に形成された溝15を通っている。各バンド31の両端は、本体10の側板12の表面において止め具32で固定されている。
このように本体10及び蓋体20のバンド31を通す位置が決められているので、バンド31の横ずれを防止できる。また、蓋体20においては、バンド31が、立ち上がる段部23を通らずに配設されているため、バンド31の浮きを防止できる。これにより、函を積み重ねた際に上の函を安定に乗せることができるとともに、本体10と蓋体20とをより強固に連結できる。また、バンド31は各方向において函1の周縁寄りの位置に配設されているので、函1を全体に渡って緊縛できる。これらのことにより、函体のクラックや割れの防止効果が大きくなる。
また、本体10の溝15を直交するように形成したので、いずれの方向からでもフォークリフトで取扱いできる。
さらに、フォークリフトの爪は、本体10の底板11に直接接触せず、バンド31に接触することになる。このため、爪で本体10を傷つけることを防止できる。
この例の函1Bも、図1の例と同等の放射線遮蔽効果を期待できる。
以下、本出願人らが行った各種岩石及びコンクリートの放射線遮蔽試験について説明する。
まず、サンプルとして天然岩石のブロックとコンクリートブロックを準備した。各サンプルの成分と比重を以下に示す。
サンプルA:天然石(黒石:福島県で産出される黒御影岩(斑レイ岩))のブロック、比重:3.06、
サンプルB:天然石(丸森:宮城県で産出される花崗岩)のブロック、比重:2.66、
サンプルC:黒石骨材のコンクリートブロック(粒度40mmの黒石の骨材をセメントで結合させたもの、1m当たりの骨材混入量:1400kg)、比重:2.77
サンプルD:一般骨材のコンクリートブロック(一般的な砕石(骨材)をセメントで結合させたもの、1m当たりの骨材混入量:1200kg)、比重:2.42。
各ブロックの寸法は縦300mm×横300mm、厚さは50及び100mmである。このブロックを重ねて、厚さを50mm、100mm及び150mm(サンプルAに関しては200mm)に変更して測定を行った。
比較例として、種々の土嚢用砂礫を準備した。各砂礫の成分と比重を以下に示す。
サンプルE:土嚢用砂礫(天然黒石)、比重:1.82
サンプルF:土嚢用砂礫(静岡産の砂)、比重:1.60
サンプルG:土嚢用砂礫(青森産の砂)、比重:1.55
サンプルH:土嚢用砂礫(日影:福島産の砂)、比重:1.33
各砂礫を、空木箱(外寸:320×320、厚さ:120mm、及び、外寸:320×320、厚さ:70mmの大小2種類、板厚10mm)に充填した。大きい方の空木箱に充填した各砂礫の重量は、サンプルEから順に、17kg、14kg、14.4kg及び12kgである(小さい方の空木箱に充填した重量はその半分)。この箱を重ねて、厚さを50mm及び100mmに変更して測定を行った。
サンプルA〜Dの測定条件を説明する。
測定器:AE−133V ∧1(電離箱)、
使用線源:137Cs 11.1TBa、
照射線量率:50mSv/h程度、
測定器と線源間の距離:1.0m、
サンプルの位置:測定器の実行中心から10cm離して設置。
遮蔽効率の算出方法:(I−I)/I×100(%)、
ただし、I≧IBG、I≧IBG
:サンプルなしでの出力電圧、
I:サンプル有りでの出力電圧、
BG:バックグラウンドでの出力電圧。
サンプルE〜Hの測定条件を説明する。
測定器:AE−133V ∧1(電離箱)、
使用線源:137Cs 11.1TBa、
照射線量率:50mSv/h程度、
測定器と線源間の距離:1.0m、
サンプルの位置:測定器の実行中心から10cm離して設置。
遮蔽効率の算出方法:(I−I)/I×100(%)、
サンプルのみ(空木箱の影響を排除したもの)の遮蔽効率の算出方法:
空木箱の厚さが70mmの場合:(I−I70mm)/I×100(%)、
空木箱の厚さが120mmの場合:(I−I120mm)/I×100(%)、
:サンプルなしでの出力電圧、
I:サンプル有り(空木箱に各サンプルを充填した状態)での出力電圧、
70mm:厚さ70mmの空木箱の出力電圧、
120mm:厚さ120mmの空木箱の出力電圧。
各サンプルの測定結果を図8のグラフに示す。グラフの縦軸は遮蔽効率(%)、横軸はサンプルの厚さ(cm)を示す。グラフ中のA〜Hの右に記されているかっこ内の数字は比重を示す。
グラフからわかるように、本願発明のサンプルA〜Dは、厚さが一定の条件において、比較例の土嚢用砂礫よりも遮蔽効果が高い。特に、厚さが厚くなるほど、及び、比重が高くなるほど遮蔽効率が高くなっている。
最も効果が高かったものは、サンプルAの天然黒石で作製されたものであり、厚さが10cmで約75%、15cmで約90%、20cmで、約95%の遮蔽効率を得られる。
なお、今回の試験に用いた放射線源は、50mSv/hと相当高線量のものであった。しかし、放射線工学の常識として、放射線量が変化しても遮蔽効率は変化しないと言われており、中〜低レベルの放射線廃棄物の放射線遮蔽においても、本試験と同等の遮蔽率を達成できると考えられる。
本願発明においては、比重は2.6以上であることが好ましいが、サンプルDからわかるように、比重が2.6以下でも適度な遮蔽効果を得られる場合もある。
1、1A、1B 放射線遮蔽函
10 本体 11 底板
12、13 側板 15 溝
20 蓋体 21 凸部
22 凹部 23 段部
24 切り欠き 27 気体抜き路
30 帯 31 バンド
35 取っ手

Claims (11)

  1. 放射性廃棄物又は放射性廃棄物が充填された容器を収容する内室を有し、
    コンクリート又は岩石からなり、
    前記内室の天井部分の蓋部材に、屈折した気体抜き路が形成されており、
    該気体抜き路が、
    前記蓋部材の側面に開口し、外側から内側に向かって上方に傾斜する傾斜路、及び、
    該傾斜路から下方に延びて前記蓋部材の下面に開口する下降路、
    を有することを特徴とする放射線遮蔽函。
  2. 放射性廃棄物又は放射性廃棄物が充填された容器を収容する内室を有し、
    コンクリート又は岩石からなり、比重が2.6以上であることを特徴とする放射線遮蔽函。
  3. 放射性廃棄物又は放射性廃棄物が充填された容器を収容する内室を有し、
    コンクリート又は岩石からなり、
    外側が、耐候性のある帯体で緊縛されていることを特徴とする放射線遮蔽函。
  4. 放射性廃棄物又は放射性廃棄物が充填された容器を収容する内室を有し、
    コンクリート又は岩石からなり、
    底壁及び側壁を有する本体と、蓋体と、を有し、
    前記蓋体に、上に積まれる函の底部が係合し、上の函の本体の前記側壁部が下の函の本体の前記側壁部と上下方向に重なるように形成された係合部を有することを特徴とする放射線遮蔽函。
  5. 前記係合部が、前記本体の底が嵌合する凹部であり、
    該凹部の周辺には、立ち上がる段部が形成されており、
    該段部は、前記本体側壁よりも外側に張り出していることを特徴とする請求項4に記載の放射線遮蔽函。
  6. 前記凹部の端に、前記蓋体を貫通するスリットが形成されており、
    該スリットに、前記本体と蓋体とを緊縛する帯体を通すことが可能であることを特徴とする請求項4又は5に記載の放射線遮蔽函。
  7. 前記スリットの真下に当たる前記本体底壁に、フォークリフトの爪の入る溝が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の放射線遮蔽函。
  8. 前記蓋体が平面形状矩形であり、前記スリットが、前記蓋体の四辺寄りの左右両側の位置に形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の放射線遮蔽函。
  9. 前記内室の周囲の部材の厚さが70mm以上であることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の放射線遮蔽函。
  10. 放射性廃棄物又は放射性廃棄物が充填された容器を収容する内室を有し、
    岩石からなる放射線遮蔽函の製造方法であって、
    塊の岩石をボーリングやサンドブラスト等で掘り込んで前記内室を形成することを特徴とする放射線遮蔽函の製造方法。
  11. 放射性廃棄物又は放射性廃棄物入りの容器を前記1〜9のいずれか1項に記載の放射線遮蔽函に保管することを特徴とする放射性廃棄物の保管方法。
JP2011253857A 2011-11-09 2011-11-21 放射線遮蔽函 Pending JP2013122376A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011253857A JP2013122376A (ja) 2011-11-09 2011-11-21 放射線遮蔽函

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011245320 2011-11-09
JP2011245320 2011-11-09
JP2011253857A JP2013122376A (ja) 2011-11-09 2011-11-21 放射線遮蔽函

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013122376A true JP2013122376A (ja) 2013-06-20

Family

ID=48774416

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011253857A Pending JP2013122376A (ja) 2011-11-09 2011-11-21 放射線遮蔽函

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013122376A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018066584A (ja) * 2016-10-17 2018-04-26 バサルトジャパン株式会社 放射線遮蔽剤、放射線遮蔽部材及び放射線遮蔽方法
JP2019039719A (ja) * 2017-08-23 2019-03-14 太平洋セメント株式会社 容器のベント構造

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018066584A (ja) * 2016-10-17 2018-04-26 バサルトジャパン株式会社 放射線遮蔽剤、放射線遮蔽部材及び放射線遮蔽方法
JP2019039719A (ja) * 2017-08-23 2019-03-14 太平洋セメント株式会社 容器のベント構造

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100198834B1 (ko) 핵폐기물의 저장모듈과 그 저장방법
KR101537090B1 (ko) 폐기물 매설 공법 및 폐기물 수용 컨테이너
JP2007297898A (ja) 地下シェルターおよび地下シェルター耐力間仕切壁形成方法
JP2013122376A (ja) 放射線遮蔽函
JP3178715U (ja) 放射性物質を含む廃棄物の保管ボックス
JP6111032B2 (ja) コンクリート製ボックス
JP2022105195A (ja) 遮蔽壁
JP3192884U (ja) プレキャストコンクリート製構造体
JP2013057556A (ja) 放射性物質を含む下水汚泥の保管施設
JP2013170890A (ja) 放射線遮蔽容器
JP2013152164A (ja) 放射性廃棄物の保管容器
JPS5871498A (ja) 放射性廃棄物封入のコンクリ−ト構造体
JPS6221100A (ja) 放射性廃棄物の地中処分方法
KR101722342B1 (ko) 방사성 폐기물 저장용기 및 이의 제조방법
JP6099122B2 (ja) 放射性廃棄物収容装置、およびそれを用いた土木構造物
KR102414774B1 (ko) 조립식 프리캐스트 와플 슬래브를 이용한 방사성폐기물 표층처분시설의 처분용기 적층 내력 확보 공법
JP2013170891A (ja) 放射線防護体
JP5984000B2 (ja) 廃棄物収納容器の製造方法
RU98844U1 (ru) Контейнер для захоронения и/или транспортирования радиоактивных отходов
JP2013170889A (ja) 放射線遮蔽容器
KR100562480B1 (ko) 폐기물 저장용 용기
JPH0743677Y2 (ja) 放射性廃棄物の地層処分構造
JP6695168B2 (ja) 放射性汚染物の保管用鉄筋コンクリート容器
JP2013083513A (ja) 低レベル放射性廃棄物収納容器
KR20120046569A (ko) 불교란 시료용 충격완화 운반장치

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140710

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150311

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150317

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150707