JP2013121833A - 軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】弾性蓋と通気弁の隙間からの洗浄液の侵入を防止する。
【解決手段】車軸と、車軸の軸端に取り付けられる軸箱と、軸箱の内部と外部とを仕切る弾性蓋5を備えた軸受装置において、弾性蓋の頂部には、外部と内部を貫通する貫通穴16が設けられている。貫通穴に、外部と内部の圧力を調整する通気弁17が嵌合されている。通気弁の頭部外周面19が外側開口穴37内に納められている。したがって、洗浄液を弾性蓋にかけて洗浄しても、弾性蓋に直接洗浄液がかかり、通気弁の外周面に直接洗浄液はかかることはなく通気弁の外周面の一部めくれを防止し、軸箱内に洗浄液が侵入するのを防止する。
【選択図】図3
【解決手段】車軸と、車軸の軸端に取り付けられる軸箱と、軸箱の内部と外部とを仕切る弾性蓋5を備えた軸受装置において、弾性蓋の頂部には、外部と内部を貫通する貫通穴16が設けられている。貫通穴に、外部と内部の圧力を調整する通気弁17が嵌合されている。通気弁の頭部外周面19が外側開口穴37内に納められている。したがって、洗浄液を弾性蓋にかけて洗浄しても、弾性蓋に直接洗浄液がかかり、通気弁の外周面に直接洗浄液はかかることはなく通気弁の外周面の一部めくれを防止し、軸箱内に洗浄液が侵入するのを防止する。
【選択図】図3
Description
本発明は、鉄道車両の軸受装置に関し、特に軸箱の内部と外部とを仕切る弾性蓋と通気弁を有する軸受装置に関する。
従来、鉄道車両の軸受装置では、車軸を支承する車軸軸受の軸箱への防水、防塵を目的とした弾性蓋が設けられている。軸受を内蔵した軸箱は、車両の走行による発熱で温度が上昇する。このとき軸端位置が弾性蓋で完全閉鎖されていると、軸箱内部は車両の走行による発熱で温度が上昇し、空気の膨張により内圧が高まり、潤滑材として塗布されているグリースが漏れるという問題があった。そこで、弾性蓋に通気弁を取り付け、軸箱外内部の圧力差を調整している。
また、軸箱を洗浄する場合にあっても、洗浄液が軸箱内に入ると軸受に悪影響を及ぼすため、弾性蓋により密封させる。台車洗浄では、高温高圧の洗浄液を用いるので軸箱内部の温度が上昇する。この場合も軸受装置が弾性蓋により完全に閉鎖されていると、空気の膨張により内圧が高まり、潤滑材として塗布されているグリースが漏れるという問題があった。さらに、高温高圧による台車洗浄後、軸受装置は外気で冷却されて内部の温度が下がり、軸箱内部が減圧となった場合、外部から洗浄液が浸入するという問題があった。
そこで、特許文献1では、軸箱内部の温度上昇を防止するために車軸の前ブタ(弾性蓋)中央に貫通穴が穿設されている。この貫通穴に通気穴ブリーザ(通気弁頭部)が接着剤等により取り付けられている。また、特許文献2においては、多量の洗浄液を弾性蓋に噴射した場合でも軸箱内部の洗浄液の侵入を防止するために、通気弁の外表面を覆う弾性被覆部材を設けた弾性蓋が開示されている。
しかし、軸受装置を洗浄する際、弾性蓋に高温高圧の洗浄液を四方八方から吹き付けて洗浄するため、通気弁や通気弁と弾性蓋との隙間から軸箱の内部に洗浄液が入ってしまうという問題があった。
例えば、特許文献1では、通気弁と弾性蓋との隙間から洗浄液が進入する。また、特許文献2では、洗浄の際、通気弁を覆う弾性被覆部材に設けられた空気穴に向かって洗浄液が噴き付けられた場合には、空気孔から洗浄液が入り込んでしまう。そして、空気孔から入り込んだ洗浄液が通気弁を通過し軸箱に入り込んでしまい、軸受に悪影響をおよぼしてしまうという問題があった。さらに、弾性被覆部材は、通気弁全体を覆うので、コストもかかるという問題があった。
本発明の課題は、前述した問題点に鑑みて、弾性蓋と通気弁との隙間から、あるいは弾性被覆部材からの洗浄液の侵入を防止する軸受装置を提供することである。
本発明者等は鋭意研究の結果、図7に示すように、通気弁17の外周面19に洗浄液31が付着すると、冷却時に、通気弁17と弾性蓋5との隙間32から軸箱内へ洗浄液31が侵入してしまうことを知得した。さらに、洗浄液34によって通気弁17の頭部18の外周面19の一部33がめくれ、めくれた一部33に洗浄液34がたまり、頸部20に弾性蓋5との隙間35に洗浄液34が入ってしまうということを知得した。
この知得に基づき、本発明においては、鉄道車両の車軸の軸端位置に取り付けられる軸箱と、前記軸箱の内部と外部とを仕切る弾性蓋と、前記弾性蓋に設けられた貫通穴に嵌合された通気弁と、を備えた鉄道車両用の車軸の軸受装置において、前記貫通穴は、外側開口穴と、小径穴とが順次設けられており、前記通気弁は、頭部と、頸部と、を有し、前記通気弁頸部が前記貫通穴小径穴に嵌合されており、前記頭部の外周面が前記外側開口穴内に納められている軸受装置を提供することにより、前述した課題を解決した。
即ち、通気弁の頭部の外周面が外側開口穴内に納められているので、洗浄液が通気弁頭部外周面に直接あたることがなく、外周面の一部がめくれることがない。頭部外周面と外側開口穴とは、0.5mm以下の微小すきま或いは隙間なしにされる。
また、請求項2に記載の発明においては、前記頭部の軸方向長さが前記外側開口穴深さと同じであることとした。
また、請求項3に記載の発明においては、前記外側開口穴端縁部を前記弾性蓋端面より突出させ、環状凸部を形成した。即ち、弾性蓋端面に通気弁を内包する環状凸部を形成する。これにより、開口穴端縁部を除いて、弾性蓋の厚みを薄くできる。
さらに、請求項4の記載の発明においては、前記環状凸部の外側形状を多角柱又は円柱とした。これにより、環状凸部の形状が単純形状となる。
また、請求項5に記載の発明においては、前記環状凸部の外側形状を円錐台又は多角錐台とした。これにより、洗浄液が環状凸部に当たっても、洗浄液が錐面に沿って外方へ逃げる。
また、請求項6に記載の発明においては、前記環状凸部は前記弾性蓋と別部材であるとした。これにより、環状凸部を強化素材とすることもできる。
本発明によれば、通気弁の頭部外周面が外側開口穴内に納められている。すなわち、高温高圧の洗浄液を弾性蓋にかけて洗浄しても、通気弁と弾性蓋との隙間から洗浄液が侵入しないので、軸受内部への洗浄液の侵入を防止する。さらに、洗浄液が直接通気弁の外周面に当たらず、外周面の一部が液圧によってめくられることがないので、外周面から頸部に洗浄液が入り込むことがないという効果を奏するものとなった。
さらに台車洗浄後、軸受装置は外気にさらされ急激に冷めても、頭部外周面や頸部の隙間に洗浄液の付着がほとんどないため、軸箱内部に洗浄液が入り込むことはない。
通気弁の外部からの干渉を少なくできる(請求項2)。
開口穴端縁部が弾性蓋端面より突出させ、環状凸部を形成させたので、弾性蓋を薄くできるので、弾性蓋の材料費を少なくできる。(請求項3)。
又、環状凸部は、外周形状を多角柱等の筒状形状の単純形状としたので、加工しやすく、経済性を高めることとなった(請求項4)。
環状凸部を円錐台又は多角錐台とし、洗浄液が錐面に沿って外部へ逃げ易くしたので、通気弁への洗浄液の付着が少なくなり、防水効果を高めるものとなった(請求項5)。
環状凸部を弾性蓋と別部材としたので、弾性蓋は容易に加工ができ、加工工数の削減と経済性を高める(請求項6)。なお、環状凸部を弾性蓋とを一体とした場合は、環状凸部がはがれることがなく、長時間の使用が可能なものとなる。
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1(a)は本発明の実施の形態を示す軸受装置の部分断面図であり、(b)は(a)の矢印Aからみた弾性蓋の正面図である。図2は、図1(b)の弾性蓋のB−B部分断面図、図3は、図2(a)の弾性蓋の拡大断面図、図4は、(a)は通気弁の拡大断面図あり、(b)は(a)の矢印Cからみた通気弁の正面図である。
図1(a)、(b)に示すように、本発明における軸受装置1には、鉄道車両における車軸2と、車軸2の軸端3に取り付けられる軸箱4と、軸箱4の内部と外部とを仕切る弾性蓋5を備えている。軸箱4には、軸端3と、軸端3を支承する軸受6と、軸受6を固定する軸ナット7と、軸ナット7を固定する廻り止め座金8と、廻り止め座金8を固定する六角ナット9と、シール10が備えられている。この構造は、弾性蓋5を有する軸受装置としては一般的なものであり、詳細については省略する。
図1又は図2に示すように、弾性蓋5は薄い円錐台の外観であり、断面形状は台形である。弾性蓋5には、頂部11と、テーパ部12と、円筒部13と、つば部14とが順次設けられている。さらに、円筒部13及びつば部14の弾性蓋内側には嵌合部15が設けられている。嵌合部15と、軸箱4内のシール10とが嵌合して、弾性蓋5により軸箱4を密閉する。さらに、弾性蓋5の頂部11の中央には、外部と内部を貫通する貫通穴16が設けられている。貫通穴16には、外側開口穴37と、小径穴38と、内側開口穴39とが順次設けられている。
貫通穴16には、外部と内部の圧力を調整する通気弁17が嵌合されている。通気弁17には図3に示すように、つば状の頭部18、くびれ形状の頸部20、本体21が順次形成されている。本体21には筒状の胴部22とテーパのある脚部23が形成されている。通気弁17は弾性蓋5の貫通穴16に外側から内側に向けて嵌合される。貫通穴16の小径穴38に通気弁17の頸部20を嵌合した後は、胴部22と頭部18とで弾性蓋縁部36をはさみ、貫通穴5から抜け落ちないようにされ、通気弁17が貫通穴16に固定される。なお、図では、内側開口穴39に嵌合さているが、内側開口穴39を設けずに弾性蓋5の内側面に係止させてもよい。
さらに、通気弁17の頭部18の外周面19に沿って弾性蓋端面40より突出している外側開口端縁部41が弾性蓋5側に設けられている。外側開口穴端縁部41は円柱の環状凸部24を形成している。通気弁17が弾性蓋5に嵌合された後は、外周面19と環状凸部24の外側開口穴37とは密着又は微小な隙間となる。隙間は頭部直径10mm程度で0.5mm以下が好ましい。
通気弁17は、図4に詳細に示すように、頭部18の中央にスリット25の切り込みが軸方向に貫通して形成されている。このスリット25は常時は通気弁17の弾力で閉じられており、軸箱4と軸箱外部の圧力差が所定以上となったときに、通気弁17の弾力に抗してスリット25が開かれて、空気が吸入又は排出される。
かかる実施の形態において、その作用について説明すると、図3に示すように、洗浄液を弾性蓋7にかけて洗浄しても、環状凸部24によって、外周面19に直接洗浄液はかかることはない。したがって、洗浄液が外周面19に付着することはない。さらに、外周面19の一部が洗浄液によってめくられることがなく、洗浄液が頭部18から頸部20に入ることもない。弾性蓋5と環状凸部24を一体に形成すれば、部品点数が少なくてすむ。また、図中、点線で示すように別体としてもよい。
次に本発明の他の実施の形態について説明する。図5は、他の実施の形態を示す図1(b)の弾性蓋のB−B線相当部分断面図、図6は図5の弾性蓋の通気弁取り付け部の拡大断面図である。図5、6に示すように、環状凸部24を形成することなく、通気弁17の頭部18の外周面19が、弾性蓋端面40に開けられた外側開口穴37に納められている。その他については、前述したのと同様であるので、説明を省略する。
以上本発明の実施の形態について述べたがこれはあくまで例示であり、環状凸部24の形状は円柱に変えて、多角錐、円錐、多角柱でもよい。さらに、環状凸部24は頭部18とほぼ同じ高さでも、頭部18以上の高さでもよい。
さらに、例えば場合によって弾性蓋5の材質をゴムやプラスチックその他の材質と成すことも可能であり、環状凸部24と弾性蓋5と異なる部材であってもよい。本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
1 軸受装置
2 車軸
3 軸端
4 軸箱
5 弾性蓋
16 貫通穴
17 通気弁
18 頭部
19 頭部の外周面
20 頸部
24 環状凸部
37 外側開口穴
38 小径穴
40 弾性蓋端面
41 外側開口穴端縁部
2 車軸
3 軸端
4 軸箱
5 弾性蓋
16 貫通穴
17 通気弁
18 頭部
19 頭部の外周面
20 頸部
24 環状凸部
37 外側開口穴
38 小径穴
40 弾性蓋端面
41 外側開口穴端縁部
Claims (6)
- 鉄道車両の車軸の軸端位置に取り付けられる軸箱と、前記軸箱の内部と外部とを仕切る弾性蓋と、前記弾性蓋に設けられた貫通穴に嵌合された通気弁と、を備えた鉄道車両用の車軸の軸受装置において、
前記貫通穴は、外側開口穴と、小径穴とが順次設けられており、
前記通気弁は、頭部と、頸部と、を有し、
前記通気弁頸部が前記貫通穴小径穴に嵌合されており、前記頭部の外周面が前記外側開口穴内に納められていること特徴とする軸受装置。 - 前記頭部の軸方向長さが前記外側開口穴深さと同じであることを特徴とする請求項1に記載の軸受け装置。
- 前記外側開口穴端縁部が前記弾性蓋端面より突出し、環状凸部を形成していることを特徴とする請求項1または2に記載の軸受装置。
- 前記環状凸部の外側形状が多角柱又は円柱を形成していることを特徴とする請求項3に記載の軸受装置。
- 前記環状凸部の外側形状が円錐台又は多角錐台であることを特徴とする請求項3に記載の軸受装置。
- 前記環状凸部は前記弾性蓋と別部材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012245769A JP2013121833A (ja) | 2011-11-08 | 2012-11-07 | 軸受装置 |
Applications Claiming Priority (3)
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JP2011244680 | 2011-11-08 | ||
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JP2012245769A JP2013121833A (ja) | 2011-11-08 | 2012-11-07 | 軸受装置 |
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JP2012245769A Pending JP2013121833A (ja) | 2011-11-08 | 2012-11-07 | 軸受装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102018125104A1 (de) * | 2018-10-11 | 2020-04-16 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Radlagereinheit |
-
2012
- 2012-11-07 JP JP2012245769A patent/JP2013121833A/ja active Pending
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DE102018125104A1 (de) * | 2018-10-11 | 2020-04-16 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Radlagereinheit |
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