JP2013120224A - 光接続器 - Google Patents

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浩久 神原
Nobutake Koshobu
信建 小勝負
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Kota Shikama
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Abstract

【課題】製造が容易且つ安価で高精度のPLC/光ファイバの光接続器を提供すること。
【解決手段】本発明に係るPLC/光ファイバの光接続器は、繊維強化複合材料を含有する。前記光接続器が含有する繊維強化複合材料は、線熱膨張係数が、0.05×10-5-1乃至5×10-5-1であり、曲げ強度は、30MPa以上であり、曲げ弾性率は、0.1GPa乃至100GPaである。これにより、ファイバブロックフィルムの面方向の熱膨張を抑制することができ、温度変化に伴う光結合位置の位置ずれを防止することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、光接続器及び光接続器を用いた光接続方法に関し、具体的には、光通信分野等で用いられる石英系プレーナ光波回路(PLC)と光ファイバアレイとを光接続するために用いられる光ファイバアレイ用V溝基板、V溝基板の製造方法、及びV溝基板を用いたPLCと光ファイバとの光接続に関する。
光装置の高機能化に伴い、装置内のプリントボード上やボード間で光ファイバの輻輳を解決する技術が必要となってきている。このことは、光ボード実装の高密度化、経済化を目的とするファイバマネジメント(FMOB:Fiber Management On Board)技術の開発が求められているゆえんである。折しもフォトニックネットワークのキーデバイスである石英系プレーナ光波回路(PLC)では、スプリッタ、光スイッチ、及び光カップラ等が実用化の段階を迎えており、光ファイバとの低損失且つ高信頼な接続を省スペースで実現することが不可欠となっている。
PLCと光ファイバとを省スペースで接続する方法は幾つかあるが、その一つとして、石英ガラス等をベースとしたV溝ファイバブロックフィルムを用いる接続法がある(図1参照)。この方法では、例えば、狭ピッチ(高密度型)PLC103に対して、127μm狭ピッチのV溝を設けた石英ガラス製ファイバブロックフィルム102を用い、このファイバブロックフィルム102に30心程度の数の光ファイバを並べ(101)、一気にPLC103と接続するということが行われている。
しかしながら、石英ガラス製のV溝ファイバブロックフィルムを用いる場合は、石英ガラス材料の精密切削加工によってV溝を形成するため、ファイバブロックフィルムの作製に手間がかかりコストも嵩むという問題がある。V溝ファイバブロックフィルムの作製をプレス加工によった場合でも、2000℃程度の高温下での加工が必要となるので、成形機や金型が高温対応となるべきことから、同様に高コストとなるという問題がある(特許文献1参照)。
一方、V溝ファイバブロックフィルムを樹脂により作製する方法も提案されているが、出来上がったV溝の精度の面に問題がある。即ち、PLCや光ファイバを構成する石英ガラスとファイバブロックフィルムを構成する樹脂との線熱膨張係数が夫々、0.0ppm/℃〜0.1ppm/℃及び50ppm/℃〜60ppm/℃と大きく異なることから、作製当初にはPLCや光ファイバのコア部との位置を一致させていても、その後、デバイスを動作させた場合に温度環境が変化してしまい、石英ガラスと樹脂との線熱膨張係数の相違に起因して、PLCと光ファイバのコアとの位置ずれが生じてくるという問題を有している。樹脂の線熱膨張係数の温度依存性が大きいことは、V溝ファイバブロックフィルムの反りや形状変化も起こり易いという問題を有していた。
特開2006−30637号公報 特開2008−058531号公報
本発明は、従来型のV溝ファイバブロックフィルムを用いる光接続法の抱える問題を解決するためのものである。即ち、高温下で作製せざるを得ないプロセスの困難性及び材料の線熱膨張係数の相違に基づくコアの位置ずれの問題を同時に解決しようとするものである。本発明は、製造が容易且つ安価で高精度の光ファイバアレイ用V溝基板及びPLC/光ファイバの光接続部品を提供することを目的とする。
本発明は、互いに端部を対向させて配置された単心または多心からなる第一の光学素子と第二の光学素子とを相互に光軸を合わせて接続する光接続器であって、繊維強化複合材料を含有することを特徴とする。
本発明の一実施形態において、第一の光学素子は、石英系プレーナ光波回路であり、第二の光学素子は、光ファイバであることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、繊維強化複合材料は、アラミド繊維から構成されることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、繊維強化複合材料の線熱膨張係数は、0.05×10-5-1乃至5×10-5-1であることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、繊維強化複合材料の曲げ強度は、30MPa以上であることを特徴とする。
本発明の一実施形態において、繊維強化複合材料の曲げ弾性率は、0.1GPa乃至100GPaであることを特徴とする。
本発明に係る低線熱膨張性V溝ファイバブロックフィルムは、繊維強化複合材料からなるフィルムを用いる。これにより、その低線熱膨張性(線熱膨張係数が0.05×10-5〜5×10-5-1)に基づいて、PLCと光ファイバの光接続時において、ファイバブロックフィルムの低線熱膨張性により、ファイバブロックフィルムの面方向の熱膨張を抑制することができ、温度変化に伴う光結合位置の位置ずれを防止して、光信号を確実に送受信することができる。
本発明に係る導波路を用いたV溝ファイバブロックフィルムは、高精度且つ高安定な光接続を簡便なプロセス且つ低コストで実現することができる。また、本発明に係る導波路を用いたV溝ファイバブロックフィルムを用いて、PLCと光ファイバとの光接続のみならず、光ファイバ同士の光接続を行うことができる。更に、フレキシブルスタンパ技術を適用するおかげで、直線的な接続でなく曲線部を含む接続にも応用が可能であることから、光情報処理や光通信分野で重用されるものとなりうる。
PLCと光ファイバとを接続する方法を説明するための概念図である。 ソフトスタンパ技術を用いてV溝ファイバブロックフィルムを作成する工程を説明するための断面概念図である。 本発明に係る繊維強化複合材料を作製するための概念図である。 本発明の一実施形態に係る光接続モジュールの光接続直後の接続損失を調べた結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る光接続モジュールに対し、ヒートサイクル試験を行った結果を示すグラフである。 従来型の光接続モジュールを用いてヒートサイクル試験後の接続損失を調べた結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施した低線熱膨張性V溝ファイバブロックフィルムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の特徴は、低線熱膨張係数を有するポリマーを利用してV溝ファイバブロックフィルムを作製することである。即ち、アラミドポリマーフィルムやポリイミドフィルム等を用いることから、V溝ファイバブロックフィルムの作製において、高温下という困難な作業する必要がない。また、石英ガラスと樹脂ポリマーとの線熱膨張係数の相違によるコアの位置ずれが起こりにくくなるという利点がある。更に、ポリマーの線熱膨張係数の値自体が小さいということは、温度変化によるV溝ファイバブロックフィルムの反りや形状変化が起こりにくいという利点もある。
本発明に係る低線熱膨張性V溝ファイバブロックフィルムは、平均繊維径が4nm〜200nmの繊維及びマトリクス材料を含有し、フィルム上に直接形成されたV溝を有することを特徴とする。また、繊維はアラミド繊維であることが好ましい。
本発明の別の特徴は、V溝ファイバブロックフィルムを作製する際に、導波路パターン転写時に押圧分布の影響を受けにくくV溝ファイバブロックフィルムの大面積化も容易なソフトスタンパ技術(特許文献2参照)を用いてポリマー導波路を作製することである。
例えば、図2に示すとおり、V溝の金型201を用意しておき、この上にアラミド繊維(後述の含浸工程後の繊維)のフィルムシート202を載せる(図2(a))。次いで、この上にプラスティック製の剥離フィルム203を被せた後、スタンパ技術により、ラミネート工程を経れば(図2(b))、アラミド繊維フィルムシート202が金型201と剥離フィルム203とに挟まれた形となる。次いで、UV光照射によってアラミド繊維フィルムシート202を固化させる(図2(c))。次いで、金型201と剥離フィルム203とを取り除くと、金型201のV溝が転写されたアラミド繊維のファイバブロックフィルムができあがる(図2(d))。スタンパ技術を用いれば、大面積(長さ10センチ以上)で、様々なV溝形状を有するファイバブロックフィルムを提供することができる。
本発明に係る低線熱膨張性V溝ファイバブロックフィルムは、繊維強化複合材料からなる基板フィルムと、この基板フィルム上に形成されたV溝とから構成される。好ましくは基板フィルム上に直接V溝が形成される。必要に応じて、基板フィルムと積層したクラッドに設けられたV溝とから形成される。本発明に係る低線熱膨張性V溝ファイバブロックフィルムは、繊維強化複合材料からなる基板フィルムを下部層として備え、基板フィルム上にV溝が設けられた上部層を備える。
繊維強化複合材料に含まれる繊維は、単繊維が引き揃えられることなく、且つ相互間にマトリクス材料が入り込むように十分に離隔して存在するものであってもよい。この場合、繊維の平均径(以下、「平均繊維径」と称する。)は単繊維の平均径となる。また、この繊維は、複数(多数であってもよい)本の単繊維が束状に集合して1本の糸条を構成しているものであってもよい。この場合、平均繊維径は1本の糸条の径の平均値として定義される。
繊維強化複合材料に含まれる繊維の平均径(平均繊維径)は4nm〜500nmであり、好ましくは4nm〜300nmであり、より好ましくは4nm〜100nmである。
平均繊維径が500nmを超えて荒くなると、後述する精密加工技術による原版の精度に適応できなくなり、この繊維強化複合材料からなる基板フィルムを低線熱膨張性V溝ファイバブロックフィルムの基板として適用することが困難になる。一方、平均繊維径が4nm未満の繊維は製造が困難である。本発明で用いられる繊維として好適な後述のアラミド繊維の単繊維径は4nm程度である。
なお、繊維強化複合材料に含まれる繊維は、平均繊維径が4nm〜500nmの範囲外の繊維を含んでもよいが、その割合は繊維全体量の30重量%以下であることが好ましい。繊維強化複合材料に含まれる全ての繊維の繊維径は500nm以下、特に300nm以下、とりわけ100nm以下であることが望ましい。
繊維の長さについては特に限定されないが、長さは平均で100nm以上が好ましい。繊維の平均の長さが100nm未満の場合、繊維による補強効果が低く、繊維強化複合材料の強度が不十分となるおそれがある。繊維中には繊維長さ100nm未満のものが含まれていてもよいが、その割合は繊維全体量の30重量%以下であることが好ましい。
上述のような繊維として好ましい繊維は、アラミド繊維である。アラミド繊維を用いると、後述するように、得られる繊維強化複合材料の線熱膨張係数をより小さくすることができる。
アラミド繊維フィルムは、その培養条件やその後の水分除去時の加圧、加熱条件などによっても異なるが、通常、嵩密度1.1kg/m3〜1.3kg/m3程度、厚み40μm〜60μm程度のシート状をなしている。繊維強化複合材料は、この1枚のアラミド繊維シート、または、積層した複数枚(二枚以上)のアラミド繊維シートに、マトリクス材料からなる含浸用液状物を含浸させてなるものである。
本発明で用いられるアラミド繊維は、嵩密度1.2kg/m3、且つ、厚み40μmのシート状であって、JIS P 8117に規定されている方法に従って測定した透気度が80000sec/100cc以上であることが好ましく、10000sec/100cc以上であることが特に好ましく、15000sec/100cc以上であることがとりわけ好ましい。透気度が上記の範囲内にあるアラミド繊維シートは、繊維強化複合材料の透明性を高める。透明性が高まると、コアの位置合わせの際の作業性が高まるという利点がある。
本発明で用いられるアラミド繊維は、化学修飾及び物理修飾して機能性を高めたものであってもよい。化学修飾としては、エーテル化、エステル化、イソシアネート化などによって、アセチル基、メタクリロイル基、プロパノイル基、ブタノイル基、iso−ブタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピパロイル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基などを付加させることなどが挙げられる。化学修飾の方法としては、例えば、アラミド繊維シートを無水酢酸中に浸漬して加熱し、アセチル化する方法が挙げられる。このように、アラミド繊維シートをアセチル化することにより、光線透過率を低下させることなく、これらのシートの吸水性の低下、耐熱性の向上を図ることができる。
物理修飾としては、金属やセラミック原料を、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどの物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)、無電解メッキや電解メッキなどのメッキ法などにより表面被覆させる方法が挙げられる。
本発明では、上述した様々な種類の繊維強化複合材料の繊維が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
繊維強化複合材料における繊維の含有率は、10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることが特に好ましく、50重量%以上であることがとりわけ好ましく、且つ、99重量%以下であることが好ましく、95重量%以下であることが特に好ましい。繊維強化複合材料における繊維の含有率が上記範囲内であれば、アラミド繊維などの繊維による繊維強化複合材料の曲げ強度及び曲げ弾性率の向上、または、線熱膨張係数の低減の効果が十分となるとともに、マトリクス材料による繊維間の接着、または、繊維間の空間の充填が十分となり、繊維強化複合材料の強度や透明性、表面の平坦性が向上する。
本発明に係る繊維強化複合材料を作製するためには、アラミド繊維等の繊維フィルム301に加えて、繊維に含浸させるマトリクス材料302が必要である(図3参照)。
マトリクス材料としては、有機高分子、無機高分子、または有機高分子と無機高分子とのハイブリッド高分子などの1種、または、2種以上が好適に用いられる。以下に本発明に好適なマトリクス材料を例示するが、本発明で用いるマトリクス材料は以下のものに限定されない。
有機高分子としては、天然高分子や合成高分子が挙げられる。無機高分子としては、ガラス、シリケート材料、チタネート材料などのセラミックスなどが挙げられ、これらは例えばアルコラートの脱水縮合反応により形成されるものである。
天然高分子としては、再生セルロース系高分子が挙げられ、再生セルロース系高分子としては、例えばセロハン、トリアセチルセルロースなどが挙げられる。合成高分子としては、ビニル系樹脂、重縮合系樹脂、重付加系樹脂、付加縮合系樹脂、開環重合系樹脂などが挙げられる。
ビニル系樹脂としては、ポリオレフイン、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などの汎用樹脂や、ビニル重合によって得られるエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。これらのビニル系樹脂は、各樹脂内において構成される各単量体の単独重合体や共重合体であってもよい。
ポリオレフインとしては、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジェン、ブテン、イソプレン、クロロプレン、イソプチレン、イソプレンなどの単独重合体または共重合体、あるいは、ノルポルネン骨格を有する環状ポリオレフインなどが挙げられる。
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの単独重合体または共重合体が挙げられる。
酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルの加水分解体であるポリビニルアルコール、酢酸ビニルに、ホルムアルデヒドやn−ブチルアルデヒドを反応させたポリビニルアセタール、ポリビニルアルコールやプチルアルデヒドなどを反応させたポリビニルブチラールなどが挙げられる。
フッ素樹脂としては、テトラクロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、クロロトリフロロエチレン、フッ化ビリニデン、フッ化ビニル、ペルフルオロアルキルビニルエーテルなどの単独重合体または共重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類などの単独重合体または共重合体が挙げられる。本願明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリルまたはメタクリルのいずれか一方」あるいは「アクリル及びメタクリルの両方」を意味する。
(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸またはメタクリル酸が挙げられる。
(メタ)アクリロニトリルとしては、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられる。
シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミドなどのN置換(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
重縮合系樹脂としては、アミド系樹脂やポリカーボネートなどが挙げられる。
アミド系樹脂としては、6,6−ナイロン、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、4,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロンなどの脂肪族アミド系樹脂や、フェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンと塩化テレフタロイルや塩化イソフタロイルなどの芳香族ジカルボン酸またはその誘導体からなる芳香族ポリアミドなどであってもよい。
ポリカーボネートとは、ビスフェノールAやその誘導体であるビスフェノール類と、ホスゲンまたはフェニルジカーボネートとの反応物のことである。
重付加系樹脂としては、エステル系樹脂、Uポリマー、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ウレタン樹脂などが挙げられる。
エステル系樹脂としては、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。
芳香族ポリエステルとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの後述するジオール類とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸との共重合体が挙げられる。
脂肪族ポリエステルとしては、後述するジオール類とコハク酸、吉草酸などの脂肪族ジカルボン酸との共重合体や、グリコール酸や乳酸などのヒドロキシカルボン酸の単独重合体または共重合体、後述するジオール類、上記の脂肪族ジカルボン酸及び上記のヒドロキシカルボン酸の共重合体などが挙げられる。
不飽和ポリエステルとしては、後述するジオール類、無水マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸、及び、必要に応じてスチレンなどのビニル単量体との共重合体が挙げられる。
Uポリマーとしては、ビスフェノールAやその誘導体であるビスフェノール類、テレフタル酸及びイソフタル酸などからなる共重合体が挙げられる。
液晶ポリマーはとしては、P−ヒドロキシ安息香酸と、テレフタル酸、P,P’−ジキシジフェノール、P−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、ポリテレフタル酸エチレンなどとの共重合体が挙げられる。
ポリエーテルケトン類としては、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンや4,4’−ジヒドロベンゾフェノンなどの単独重合体や共重合体が挙げられる。
ポリエーテルエーテルケトンとしては、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンとハイドロキノンなどとの共重合体が挙げられる。
アルキド樹脂としては、ステアリン酸、パルチミン酸などの高級脂肪酸と無水フタル酸などの二塩基酸、及び、グリセリンなどのポリオールなどからなる共重合体が挙げられる。
ポリイミド系樹脂としては、無水ポリメリト酸や4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの共重合体であるピロメリト酸型ポリイミド、無水塩化トリメリト酸やp−フェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンや、後述するジイソシアネート化合物などからなる共重合体であるトリメリト酸型ポリイミド、ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、P−フェニレンジアミンなどからなるビフェニル型ポリイミド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸や4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどからなるベンゾフェノン型ポリイミド、ビスマレイイミドや4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどからなるビスマレイイミド型ポリイミドなどが挙げられる。
ポリスルホンとしては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンやビスフェノールAなどの共重合体が挙げられる。
ポリフェニレンスルフィドとしては、P−ジクロロベンゼンや硫化ナトリウムなどの共重合体が挙げられる。
ポリエーテルスルホンとしては、4−クロロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンの重合体が挙げられる。
ウレタン樹脂としては、ジイソシアネート類とジオール類との共重合体が挙げられる。
ジイソシアネート類としては、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロへキシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
ジオール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの比較的低分子量のジオールや、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
付加縮合系樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
フェノール樹脂としては、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの単独重合体または共重合体が挙げられる。
尿素樹脂やメラミン樹脂としては、ホルムアルデヒドや尿素、メラミンなどの共重合体が挙げられる。
開環重合系樹脂としては、ポリアルキレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂などが挙げられる。
ポリアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどの単独重合体または共重合体が挙げられる。
ポリアセタールとしては、トリオキサン、ホルムアルデヒド、エチレンオキシドなどの共重合体が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、エチレングリコールなどの多価アルコールとエピクロロヒドリンとからなる脂肪族系エポキシ樹脂、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとからなる脂肪族系エポキシ樹脂などが挙げられる。
このようなマトリクス材料の中でも、特に、透明性に優れ、高耐久性の繊維強化複合材料を形成する上では、非晶質且つガラス転移温度(Tg)の高い合成高分子が好ましい。このようなマトリクス材料の非晶質の程度としては、結晶化度が10%以下であることが好ましく、5%以下であることが特に好ましい。また、マトリックス材料のガラス転移温度は110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることが特に好ましく、130℃以上であることがとりわけ好ましい。
マトリックス材料の結晶化度が10%を超えると、繊維強化複合材料の透明性が低下し、マトリックス材料の結晶化度が高くなり過ぎると、繊維強化複合材料の可視光の透過率が低下する。なお、結晶化度は、非晶質部と結晶質部の密度から結晶化度を算定する密度法により求められる。
マトリックス材料のガラス転移温度が110℃未満では、例えば、繊維強化複合材料が沸騰水に接触した場合に変形するなど、透明部品、光学部品などとしての用途において、耐久性に問題が発生する。なお、ガラス転移温度は示差走査熱量測定法(DSC法)による測定により求められる。
本発明において、マトリックス材料をなす好ましい透明なマトリクス樹脂としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ノボラック樹脂、ユリア樹脂、グアナミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化型ポリイミド、スチリルピリジン系樹脂、トリアジン系樹脂などの熱硬化樹脂が挙げられ、これらの中でも特に透明性の高いアクリル樹脂、メタクリル樹脂が好ましい。これらのマトリクス材料は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
次に、図3を参照しながら、繊維強化複合材料の製造方法について説明する。
本発明に係る繊維強化複合材料を製造するためには、上述のようなマトリクス材料を用いた含浸用液状物を調製し、この含浸用液状物を上記の繊維に含浸させた後、この含浸用液状物を硬化させる必要がある。含浸用液状物としては、流動状のマトリクス材料、流動状のマトリクス材料の原料、マトリクス材料を流動化させた流動化物、マトリクス材料の原料を流動化させた流動化物、マトリクス材料の溶液、及び、マトリクス材料の原料の溶液から選ばれる1種または2種以上が用いられる。
流動状のマトリクス材料としては、マトリクス材料そのものが流動状であるものなどが挙げられる。流動状のマトリクス材料の原料としては、例えば、プレポリマーやオリゴマーなどの重合中間体などが挙げられる。マトリクス材料を流動化させた流動化物としては、例えば、熱可塑性のマトリクス材料を加熱溶融させた状態のものなどが挙げられる。マトリクス材料の原料を流動化させた流動化物としては、例えば、プレポリマーやオリゴマーなどの重合中間体が固形状の場合、これらを加熱溶融させた状態のものなどが挙げられる。
マトリクス材料の溶液やマトリクス材料の原料の溶液としては、マトリクス材料やマトリクス材料の原料を溶媒などに溶解させた溶液が挙げられる。ここで用いられる溶媒は、溶解対象のマトリクス材料やマトリクス材料の原料に応じて適宜決定されるが、後工程でこれを除去するに当たり、蒸発除去する場合、マトリクス材料やマトリクス材料の原料が分解しない程度の温度以下の沸点を有するものが好ましい。
繊維強化複合材料を製造するには、上述のような含浸用液状物を、繊維の集合体、好ましくは上述のようなアラミド繊維シートの単層体、または、アラミド繊維シートを複数枚(二枚以上)積層した積層体に含浸させて、繊維間に含浸用液状物を十分に浸透させる。この含浸工程は、その一部または全部を、圧を変化させた状態で行うのが好ましい。この圧を変化させる方法としては、減圧雰囲気下または加圧雰囲気下で含浸工程を行う方法が挙げられる。減圧雰囲気下または加圧雰囲気下で含浸工程を行うことにより、繊維間に存在する空気を上記の含浸用液状物と置き換えることが容易となり、繊維間に気泡が残存するのを防止することができる。
減圧条件としては、雰囲気の圧力(気圧)を0.133kPa(1mmHg)〜93.3kPa(700mmHg)とすることが好ましい。雰囲気の圧力(気圧)が93.3kPa(700mmHg)を超えると、繊維間の空気の除去が不十分となり、繊維間に空気が残存することがある。雰囲気の圧力(気圧)は0.133kPa(1mmHg)より低くてもよいが、減圧設備が過大となりすぎる傾向がある。
減圧下における含浸工程の処理温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。この処理温度が0℃より低いと、繊維間の空気の除去が不十分となり、繊維間に空気が残存することがある。さらに、処理温度の上限は、例えば含浸用液状物に溶媒を用いた場合、その溶媒の沸点(減圧下での沸点)が好ましい。処理温度が溶媒の沸点を超えると、溶媒の揮発が激しくなり、かえって、繊維間に気泡が残存しやすくなる傾向がある。
加圧条件としては、雰囲気の圧力(気圧)を1.1MPa〜10MPaとすることが好ましい。雰囲気の圧力(気圧)が1.1MPa未満では、繊維間の空気の除去が不十分となり、繊維間に空気が残存することがある。雰囲気の圧力(気圧)は10MPaを超えてもよいが、加圧設備が過大となりすぎる傾向がある。
加圧下における含浸工程の処理温度は、0℃〜300℃が好ましく、10℃〜100℃がより好ましい。この処理温度が0℃未満では、繊維間の空気の除去が不十分となり、繊維間に空気が残存することがある。一方、処理温度が300℃を超えると、マトリクス材料が変性するおそれがある。
繊維に含浸させた含浸用液状物を硬化させるためには、その含浸用液状物の硬化方法に従って硬化させればよい。即ち、含浸用液状物が流動状のマトリクス材料の場合は、架橋反応、鎖延長反応などによって硬化させる。含浸用液状物が流動状のマトリクス材料の原料の場合は、重合反応、架橋反応、鎖延長反応などによって硬化させる。含浸用液状物がマトリクス材料を流動化させた流動化物の場合は、冷却などによって硬化させる。含浸用液状物がマトリクス材料の原料を流動化させた流動化物の場合は、冷却などと、重合反応、架橋反応、鎖延長反応などとの組合せによって硬化させる。含浸用液状物がマトリクス材料の溶液の場合は、溶液中の溶媒の蒸発や風乾などによる除去などによって硬化させる。含浸用液状物がマトリクス材料の原料の溶液の場合は、溶液中の溶媒の除去などと、重合反応、架橋反応、鎖延長反応などとの組合せによって硬化させる。蒸発除去には、常圧下における蒸発除去だけでなく、減圧下における蒸発除去も含まれる。
繊維強化複合材料の線熱膨張係数は、0.05×10-5〜5×10-5-1が好ましく、0.2×10-5〜2×10-5-1がより好ましく、0.3×10-5〜1×10-5-1が特に好ましい。繊維強化複合材料の線熱膨張係数は0.05×10-5-1より小さくてもよいが、セルロース繊維などの線熱膨張係数を考慮すると、実現が難しいことがある。一方、線熱膨張係数が5×10-5-1を超えると、繊維強化複合材料に含まれる繊維による繊維補強効果が発現せず、ガラスや金属材料との線熱膨張係数との違いから、雰囲気温度により、繊維強化複合材料を用いて形成された低熱膨張性光導波路フィルムの結像性能や屈折率が劣化することがある。
繊維強化複合材料の曲げ強度は、30MPa以上であることが好ましく、100MPa以上であることがより好ましい。繊維強化複合材料の曲げ強度が30MPa未満では、十分な強度が得られず、繊維強化複合材料を用いて形成された低熱膨張性光導波路フィルムを力の加わる用途に適用することに影響を与えることがある。曲げ強度の上限は、通常、600MPa程度であるが、繊維の配向を調整するなどの改良手法により、1GPa、さらには1.5GPa程度の高い曲げ強度を実現することも期待される。
繊維強化複合材料の曲げ弾性率は、0.1GPa〜100GPaであることが好ましく、1GPa〜40GPaであることがより好ましい。繊維強化複合材料の曲げ弾性率が0.1GPa未満では、十分な強度が得られず、繊維強化複合材料を用いて形成された低線熱膨張性V溝ファイバブロックフィルムを力の加わる用途に適用することに影響を与えることがある。一方、曲げ弾性率が100GPaを超えるものは実現が困難である。
繊維強化複合材料の比重は、1.0〜2.5であることが好ましい。より具体的には、マトリクス材料としてガラスなどのシリケート化合物や、チタネート化合物、アルミナなどの無機高分子以外の有機高分子や、無機高分子であっても多孔質材料を用いる場合には、繊維強化複合材料の比重は、1.0〜1.8が好ましく、1.2〜1.5がより好ましく、1.3〜1.4がさらに好ましい。ガラス以外のマトリクス材料の比重は、一般的に1.6未満であり、且つ、アラミド繊維の比重が1.5程度であるので、繊維強化複合材料の比重を1.0よりも小さくしようとすると、アラミド繊維などの含有率が低下し、アラミド繊維などによる強度向上が不十分となる傾向がある。一方、比重が1.8を超えると、得られる繊維強化複合材料の重量が大きくなり、ガラス繊維強化材料と比較して、軽量化を目的とする用途に使用することが不利となる。
また、マトリクス材料としてガラスなどのシリケート化合物や、チタネート化合物、アルミナなどの無機高分子(多孔質材料を除く)を用いる場合には、繊維強化複合材料の比重は、1.5〜2.5が好ましく、1.8〜2.2がより好ましい。ガラスの比重は、一般的に2.5以上であり、且つ、アラミド繊維の比重が1.5程度であるので、繊維強化複合材料の比重を2.5よりも大きくしようとすると、アラミド繊維などの含有率が低下し、アラミド繊維などによる強度向上が不十分となる傾向がある。一方、比重が1.5未満では、繊維間の空隙へのマトリックス材料の充填が不十分となるおそれがある。
本発明において、繊維強化複合材料の線熱膨張係数は、繊維強化複合材料を50℃から150℃に昇温させた際の線熱膨張係数であり、ASTM D 696に規定されている条件下で測定した値である。また、繊維強化複合材料の曲げ強度は、JIS K 7203に規定されている方法に従って測定した値である。また、繊維強化複合材料の比重は、20℃において、単位体積当たりの質量を測定して密度を求め、水の密度(1.004g/cm3(20℃))とから換算して求めた値である。
このような繊維強化複合材料は、透明性などに優れ、さらに繊維とマトリクス材料との複合化で様々な優れた機能性を有するため、低線熱膨張性V溝ファイバブロックフィルムに好適に用いることができる。低線熱膨張性V溝ファイバブロックフィルムの作製法は、図2に示した方法と同様である。
以下、本発明の実施例に基づき、低線熱膨張性V溝ファイバブロックフィルムの作製工程、及びそのファイバブロックを用いて光接続した後の、PLCと光ファイバの接続の光学特性について説明する。
(実施例1)
「低線熱膨張性V溝ファイバブロックフィルム」
本実施例では、デュポン社のケブラーからなるアラミド繊維を用い、これに対してアクリル樹脂を含浸させた。次いで、含浸後のアラミド繊維フィルムを、V溝が設けられた金型上に三枚重ねてリンテック社の剥離フィルムによりラミネート押圧成形した。
金型は、外径127μmの光ファイバ16心を並べられるようにするべく、16個のV溝をピッチ間隔127μmで設けた。金型のV溝は、サブミクロンの精度が確約されたナノ精密機械加工技術により切削・研磨を行うことにより作製した。出来上がった金型はレーザ顕微鏡で観測すると、0.1μm以下の精度でV溝が出来上がっていることが確認することができた。金型の材料は、加工時にバリの発生しにくい金属あるいは合金であればなんでもよく、バリが小さければアルミニウムであってもよい。また、シリコンウェハや、これにエポキシ樹脂等を塗布・硬化したものであってもよい。
押圧成形されたアラミド繊維フィルムは、紫外(UV)光を照射して、反応硬化させ、その後、剥離フィルムと金型とを剥がして所定のV溝ファイバブロックフィルムとした。本実施例に係るV溝ファイバブロックフィルムでは、そのサイズがミクロンオーダで転写できていることを確認することができた。
(実施例2)
「PLCと光ファイバアレイとの光接続」
本実施例では、PLCと光ファイバとを実施例1で作製したV溝ファイバブロックフィルムにより光接続した。PLCは、Si基板上に火炎堆積法で作製し、Δ値は0.75%、回路寸法は、70mm×70mm、コアサイズは6μm×6μmとした。コア数は16である。光ファイバは、16心のアレイとしたが、光ファイバの外形は127μm、コア径は6μmとし、波長1.3μm零分散ファイバとした。
本実施例では、PLCを固定後、V溝ファイバブロックフィルムに光ファイバアレイを載せ、PLCと光ファイバの光軸を自動調心装置によって精密に合わせた。調心後、UV硬化樹脂あるいは二液混合接着剤によって固定した。本実施例では、光接続モジュールを10個用意した。
図4に、光接続直後の光接続モジュールの接続損失を調べた結果を示す。測定波長は1.3μmとした。モジュールが10個なので、全部で160ポートを調べた。図4から、接続損失の平均値は0.55dBであることが分かった。モードフィールドの不整合にとると考えられる損失が0.35dBであるから、光軸ズレ等に起因する損失は0.20dBである。この0.20dBという値は十分に低い値であり、今回作製したV溝ファイバブロックフィルムの精度が高いことを示す結果となった。
高温高湿試験も行ったが、75℃、90%雰囲気下において、100時間経過後も損失の変動量はすべての光接続モジュールに対して0.15dB以下であった。
(実施例3)
「光接続モジュールの環境試験」
実施例2で作製した光接続モジュールに対して、環境温度75℃を1時間、0℃を1時間とすることを1サイクルとする4サイクルのヒートサイクル試験を行った。試験結果を図5に示す。損失の変動量の平均値は0.11dBであった。最も大きな変動を示したポートでも0.3dBであった。
本発明の利点を確認するために、本実施例では、V溝ファイバブロックフィルムをアクリル樹脂のみで作製し、そのブロックフィルムを用いて同様の光接続モジュール(従来型)も10個作製した。作製直後の接続損失を調べたところ、図4と同様の結果となり、V溝ファイバブロックフィルムの加工精度と調心精度とを確認することができた。
しかしながら、ヒートサイクル試験を行うと、そのヒートサイクル試験後の接続損失の測定結果は、本発明型と従来型とで大きく異なることとなった。光接続モジュール(従来型)を用いてヒートサイクル試験後の接続損失を調べた結果を図6に示す。損失の変動量の平均値は0.20dB増大し、最も大きな変動を示したポートでは0.5dBを記録した。アラミド繊維による線熱膨張を抑える効果が如実に示された。
線熱膨張係数を調べる実験を行っても、アラミド繊維の適用の利点が分かった。今回、温度領域10℃〜80℃の領域で、アラミド繊維を含有するアクリル樹脂フィルム(含有フィルム)と、アラミド繊維を含有しないアクリル樹脂だけからなるフィルム(非含有フィルム)とを作製し、両者の線熱膨張係数を調べた。サンプル数は10個ずつとした。測定した線熱膨張係数は、含有フィルムがは12ppm/℃に止まるのに対して、非含有フィルムでは60ppm/℃となった。
高温高湿試験についても、光接続モジュール(従来型)では、75℃、90%雰囲気下において、100時間経過後は、損失の変動量が0.20dBに増大した。
(実施例4)
「第1の他の光接続モジュールの作製、作製した光接続モジュールの評価」
本実施例では、用いる光ファイバの外径を小さくして、光接続の高密度化を図った。通常の石英製光ファイバを用意し、これをHF溶液(17重量%)に室温下3時間浸すことにより、光ファイバの外径を127μmから50μmに減少させた。これに合わせて。金型のV溝の間隔も50μmに縮小した。用いる光ファイバの数は変えずに1セット16本とした。光接続モジュールの作製方法は、実施例1と同様の工程によった。光接続モジュールは10個用意した。
接続損失の平均値は、調心直後で0.60dB、ヒートサイクル実験後に0.13dB増加するに止まることが分かり、光学特性を大きく劣化させることなく、2.5倍の高密度化を実現することができた。
(実施例5)
「第2の他の光接続モジュールの作製、作製した光接続モジュールの評価」
本実施例では、デュポン社のケブラーからなるアラミド繊維に対してエポキシ樹脂で含浸させたものを用いてV溝ファイバブロックフィルムを作製した。また、帝人社製のアラミド繊維に対してアクリル樹脂及びエポキシ樹脂で含浸させたものも用いてV溝ファイバブロックフィルムを作製した。光接続モジュールを作製したところ、調心直後及びヒートサイクル実験後において、実施例1〜3と同様の良好な結果を得ることができた。接続損失の平均値は、調心直後に0.53-0.58dB、ヒートサイクル実験後に0.11〜0.13dB増加するに止まった。
アラミド繊維のほか、ポリイミドを用いてもV溝ファイバブロックフィルムを作製したが、光接続モジュールの接続損失の平均値は、調心直後に0.54dB、ヒートサイクル実験後に0.16dB増加するに止まることが分かった。
101 光ファイバアレイ
102 V溝ファイバブロックフィルム
103 PLC
201 金型
202 アラミド繊維フィルムシート
203 剥離フィルム
204 アラミド繊維
205 樹脂
301 繊維フィルム
302 マトリクス材料

Claims (6)

  1. 互いに端部を対向させて配置された単心または多心からなる第一の光学素子と第二の光学素子とを相互に光軸を合わせて接続する光接続器であって、繊維強化複合材料を含有することを特徴とする光接続器。
  2. 前記第一の光学素子は、石英系プレーナ光波回路であり、前記第二の光学素子は、光ファイバであることを特徴とする請求項1に記載の光接続器。
  3. 前記繊維強化複合材料は、アラミド繊維から構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の光接続器。
  4. 前記繊維強化複合材料の線熱膨張係数は、0.05×10-5-1乃至5×10-5-1であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光接続器。
  5. 前記繊維強化複合材料の曲げ強度は、30MPa以上であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の光接続器。
  6. 前記繊維強化複合材料の曲げ弾性率は、0.1GPa乃至100GPaであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の光接続器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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