JP2013120080A - 磁場測定方法及び磁場測定装置 - Google Patents

磁場測定方法及び磁場測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】試料の表面にセンサを接触させることなく、試料の磁場の分布を高い精度で測定することができる磁場測定方法及び磁場測定装置を提供する。
【解決手段】一の絶縁層を強磁性体で挟持したTMRセンサ1と、測定時にTMRセンサ1が中心に位置するよう配置された、環状のフィードバックコイル7とを備える。TMRセンサ1の出力が一定となるようにフィードバックコイル7へ供給する電流値を制御し、TMRセンサ1の出力が一定となった時点の電流値を検出磁場として取得する。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料が発する磁場の分布を高い精度で測定することができる磁場測定方法及び磁場測定装置に関する。
記録媒体である磁性体へ記録する記録密度は年々増大しており、磁性体が発する磁場の分布を正しく評価することが求められている。例えば特許文献1では、磁気力顕微鏡(Magnetic Force Microscopy:以下、MFM)を用いて試料が発する磁場の分布を評価する方法が開示されている。
特許文献1では、カンチレバーの端部に磁性体をコーティングすることにより探針を形成している。探針を試料に接近させることで発生する磁気力の大きさに応じて、カンチレバーの先端の位置が変化するので、カンチレバーの先端の位置を測定することにより試料が発する磁場の分布を評価することができる。
試料からの高さz=z1におけるxy平面上の磁場の分布と、試料からの高さz=z0(=z1+Δz)における磁場の分布とを測定して評価する。両測定面における磁場の分布を境界条件として、任意の高さzにおける磁場の分布を理論的に求めることができる。
また、非特許文献1には、GMR(Giant Magneto Resistive)センサを用いて被測定物の表面の磁場を測定する磁場の測定方法が開示されている。非特許文献1では、GMRセンサを、内部に電流パスが存在する被測定物の表面に押し当ててxy平面上を走査して磁場を測定する。図13は、従来のGMRセンサの構成を示す模式図である。図13に示すように、板ばね112の先端部分にGMRセンサ111が装着されており、GMRセンサ111と被測定物113との間の距離が0(ゼロ)となるように押し当てることにより、被測定物113の表面の磁場を測定する。
国際公開2008/123432号(公報)
エム ヘクテル(インフィネオン テクノロジーズ エージーミュンヘン、ドイツ)「バックサイド GMR マグネチック マイクロスコーピー フォー フリップ チップ アンド リレイテッド マイクロエレクトロニック デバイスイズ」、第15回 IEEE プロシーディング IPFA−2008(M.Hechtl(Infineon Technologies AG Munich, Germany),"Backside GMR Magnetic Microscopy for Flip Chip and Related Microelectronic Devices",IEEE Proceedings of 15th IPFA−2008)
特許文献1では、探針を試料に接触させることなく磁場の分布を測定している。しかし、測定面の試料からの高さは300nm〜400nmであり、試料の表面に凹凸が存在する場合には試料からの高さを適切に維持することが困難であり、磁場の分布を正確に測定することが困難であるという問題点があった。また、カンチレバーの端部に磁性体をコーティングすることにより探針を形成しているので、磁性体が探針の先端だけではなく比較的広範囲にコーティングされてしまう。したがって、探針直下以外の領域における磁場の分布も含めて評価されるので、評価精度を高めることが困難であるという問題点もあった。
また非特許文献1では、被測定物の内部の電流パスに電流が流れた場合に発生する磁場を測定している。被測定物から距離が離れるほど磁場を正確に測定することが困難になるので、GMRセンサを被測定物の表面に押し当てて測定している。
しかし、GMRセンサを被測定物に押し当てて測定する場合、GMRセンサの走査速度を抑える必要があるので、測定時間を短縮することができないという問題点があった。また、被測定物の表面に沿ってGMRセンサを移動させるので、測定ノイズを拾いやすいという問題点もある。さらに、被測定物の表面に凹凸が存在する場合、GMRセンサを押し当てつつ移動させることが困難であるのでGMRセンサを表面から離して測定せざるを得ず、高い精度で磁場を測定することができないという問題点もあった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、試料の表面にセンサを接触させることなく、試料が発する磁場の分布を高い精度で測定することができる磁場測定方法及び磁場測定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る磁場測定方法は、一の絶縁層を強磁性体で挟持したTMRセンサと、測定時に該TMRセンサが中心に位置するよう配置された、環状のフィードバックコイルとを備えた磁場測定装置で磁場を測定する磁場測定方法であって、前記TMRセンサの出力が一定となるように前記フィードバックコイルへ供給する電流値を制御し、前記TMRセンサの出力が一定となった時点の電流値を検出磁場として取得することを特徴とする。
上記構成では、TMRセンサの出力が一定となるようにフィードバックコイルへ供給する電流値を制御し、TMRセンサの出力が一定となった時点の電流値を検出磁場として取得するので、被測定物との相対位置によらず磁場を測定することができるとともに、TMRセンサのヒステリシス特性の誤差を確実に排除することができるので、高い精度で磁場の分布を測定することが可能となる。
また、本発明に係る磁場測定方法は、前記TMRセンサは、x軸方向、y軸方向、z軸方向に移動することが可能であり、被測定物がxy平面上に載置され、前記TMRセンサをx軸方向及びy軸方向に走査させて、高さの異なる二の測定面における磁場の分布を取得することが好ましい。
上記構成では、TMRセンサは、x軸方向、y軸方向、z軸方向に移動することが可能であり、被測定物がxy平面上に載置され、TMRセンサをx軸方向及びy軸方向に走査させて、高さの異なる二の測定面における磁場の分布を取得するので、任意の高さの測定面における磁気の分布を確実に取得することができ、TMRセンサと試料とが非接触であることから、比較的短時間で磁場の分布を取得することが可能となる。
また、本発明に係る磁場測定方法は、前記TMRセンサは、xy平面上の矩形領域内を往復して移動しながらジグザグ状に走査することが好ましい。
上記構成では、TMRセンサは、xy平面上の矩形領域内を往復して移動しながらジグザグ状に走査するので、任意の高さの測定面における磁気の分布を漏れなく、比較的短時間で取得することが可能となる。
次に、上記目的を達成するために本発明に係る磁場測定装置は、一の絶縁層を強磁性体で挟持したTMRセンサと、測定時に該TMRセンサが中心に位置するよう配置された、環状のフィードバックコイルとを備えた磁場測定装置であって、前記TMRセンサの出力が一定となるように前記フィードバックコイルへ供給する電流値を制御し、前記TMRセンサの出力が一定となった時点の電流値を検出磁場として取得することを特徴とする。
上記構成では、TMRセンサの出力が一定となるようにフィードバックコイルへ供給する電流値を制御し、TMRセンサの出力が一定となった時点の電流値を検出磁場として取得するので、被測定物との相対位置によらず磁場を測定することができるとともに、TMRセンサのヒステリシス特性の誤差を確実に排除することができるので、高い精度で磁場の分布を測定することが可能となる。
また、本発明に係る磁場測定装置は、前記TMRセンサは、x軸方向、y軸方向、z軸方向に移動することが可能であり、被測定物がxy平面上に載置され、前記TMRセンサをx軸方向及びy軸方向に走査させて、高さの異なる二の測定面における磁場の分布を取得することが好ましい。
上記構成では、TMRセンサは、x軸方向、y軸方向、z軸方向に移動することが可能であり、被測定物がxy平面上に載置され、TMRセンサをx軸方向及びy軸方向に走査させて、高さの異なる二の測定面における磁場の分布を取得するので、任意の高さの測定面における磁気の分布を確実に取得することができ、TMRセンサと試料とが非接触であることから、比較的短時間で磁場の分布を取得することが可能となる。
上記構成により、TMRセンサの出力が一定となるようにフィードバックコイルへ供給する電流値を制御し、TMRセンサの出力が一定となった時点の電流値を検出磁場として取得するので、被測定物との相対位置によらず磁場を測定することができるとともに、TMRセンサのヒステリシス特性の誤差を確実に排除することができるので、高い精度で磁場の分布を測定することが可能となる。
本発明の実施の形態1に係る磁場測定装置の構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る磁場測定装置に用いるTMRセンサの構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る磁場測定装置に用いるTMRセンサの回路構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る磁場測定装置に用いる制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る磁場測定方法におけるTMRセンサの移動経路を示す模式図である。 試料として採用したプリント基板の例示図である。 本発明の実施の形態1に係る磁場測定装置で測定した結果を示す磁場の分布図である。 本発明の実施の形態1に係る磁場測定装置で測定した、試料の表面から0.2mmの高さにおける磁場の分布図である。 図6と図8とを重ね合わせた比較図である。 本発明の実施の形態2に係る磁場測定装置のTMRセンサの配置を示す模式図である。 本発明の実施の形態2に係る磁場測定装置で用いるプリント基板の例示図である。 本発明の実施の形態2に係る磁場測定装置で測定した結果を示す磁場の分布図である。 従来のGMRセンサの構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態では、磁場を検出するセンサとしてTMR(Tunnel Magnetoresistive)センサを用いた例について説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る磁場測定装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、TMRセンサ1をアーム部2の一端に取り付けてある。アーム部2は、高さ方向(Z軸方向)へ移動することが可能なZステージ3に取り付けてあり、Zステージ3は、左右方向(Y軸方向)へ移動することが可能なYステージ4に、Yステージ4は、前後方向(X軸方向)へ移動することが可能なXステージ5に、それぞれ取り付けてある。したがって、TMRセンサ1は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向それぞれに移動させることができる。
TMRセンサ1は、一の絶縁層を強磁性体で挟持して構成されている。図2は、本発明の実施の形態1に係る磁場測定装置に用いるTMRセンサ1の構成を示す模式図である。図2に示すように、TMRセンサ1は、極薄い(数nm〜数十nm)絶縁膜(絶縁層)11を2枚の強磁性膜(強磁性体)12で挟んで積層膜を形成し、基板13に取り付けてある。測定時には、積層膜の直下に、測定対象となる試料(被測定物)6を載置する。積層膜に対して垂直となる方向に電流を流した場合、2枚の強磁性膜12の磁気モーメントが平行であるときには抵抗は小さく、平行でない場合には抵抗が大きくなり、電流計15で測定する電流値が変動する。
本実施の形態1に係る磁場測定装置は、TMRセンサ1の出力が一定となるように、フィードバックコイル7へ供給する電流値を制御し、TMRセンサ1の出力が一定となった時点の電流値を検出磁場として取得する制御装置10を備えている。これにより、TMRセンサ1のヒステリシス特性の誤差を確実に排除することができるので、高い精度で磁場を測定することが可能となる。
図3は、本発明の実施の形態1に係る磁場測定装置に用いるTMRセンサ1の回路構成を示す模式図である。図3に示すように、本実施の形態1に係る磁場測定装置は、測定時にTMRセンサ1が中心に位置するよう配置された、環状のフィードバックコイル7を備えている。TMRセンサ1は、FLL(Flux Locked Loop)回路22へ接続されており、制御装置10は、TMRセンサ1の出力値が0(ゼロ)又は一定値となるよう、フィードバック回路21からフィードバックコイル7へ供給する電流値を制御する。
TMRセンサ1の出力値が0(ゼロ)又は一定値となった時点の電流値は、ロックインアンプ23で増幅され、制御装置10へ送られる。フィードバックコイル7へ供給される電流値は、試料6の発する磁場に比例する値であり、TMRセンサ1の出力が一定となった時点の電流値を検出磁場として取得することができる。
図4は、本発明の実施の形態1に係る磁場測定装置に用いる制御装置10の構成を示すブロック図である。図4に示すように、制御装置10は、少なくともCPU(中央演算装置)101、メモリ102、記憶装置103、I/Oインタフェース104、ビデオインタフェース105、可搬型ディスクドライブ106、通信インタフェース107及び上述したハードウェアを接続する内部バス108で構成されている。
CPU101は、内部バス108を介して制御装置10の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置103に記憶された基本プログラム100に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。メモリ102は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、基本プログラム100の実行時にロードモジュールが展開され、基本プログラム100の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
記憶装置103は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置103に記憶された基本プログラム100は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体90から、可搬型ディスクドライブ106によりダウンロードされ、実行時には記憶装置103からメモリ102へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース107を介して接続されている外部コンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
通信インタフェース107は内部バス108に接続されており、TMRセンサ1、フィードバックコイル7等へ指示信号を送信するとともに、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部コンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。
I/Oインタフェース104は、キーボード201、マウス202等の入力装置と接続され、データの入力を受け付ける。ビデオインタフェース105は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示装置203と接続され、所定の画像を表示する。
以下、上述した磁場測定装置を用いた磁場測定方法について説明する。まず試料6からの高さの異なる2平面、すなわち高さz=z1のxy平面と高さz=z0のxy平面とにおける矩形領域内の磁場の分布を測定する。
高さの異なる二の測定面における矩形領域内で、それぞれ64×64個の格子点上の磁場を測定する。図5は、本発明の実施の形態1に係る磁場測定方法におけるTMRセンサ1の移動経路を示す模式図である。
図5に示すように、まずTMRセンサ1を高さz=z1のxy平面上へ移動させ、矩形領域51の一のコーナーへ移動させる。次に、Y軸方向に移動させながら、等間隔で64個の格子点上の磁場を測定する。このとき、各格子点で測定される磁場の値が一定になるようにフィードバックコイル7へ供給する電流を制御し、TMRセンサ1の出力が一定となった時点の電流値を検出磁場として取得する。
次に、X軸方向に格子点間の間隔と同じだけ移動させ、Y軸方向に前回と逆方向に移動させながら、等間隔で64個の格子点上の磁場を測定する。このように磁場の測定作業を繰り返し、矩形領域51内のすべての格子点における磁場を測定することで、高さz=z1のxy平面における磁場の分布を取得する。
次に、TMRセンサ1を高さz=z0のxy平面上へ移動させ、矩形領域52の一のコーナーへ移動させる。次に、Y軸方向に移動させながら、等間隔で64個の格子点上の磁場を測定する。ここでも、各格子点で測定される磁場の値が一定になるようにフィードバックコイル7へ供給する電流を制御し、TMRセンサ1の出力が一定となった時点の電流値を検出磁場として取得する。
次に、X軸方向に格子点間の間隔と同じだけ移動させ、Y軸方向に前回と逆方向に移動させながら、等間隔で64個の格子点上の磁場を測定する。このように磁場の測定作業を繰り返し、矩形領域52内のすべての格子点における磁場を測定することで、高さz=z0のxy平面における磁場の分布を取得する。
図6は、試料6として採用したプリント基板の例示図である。例えば、プリント基板の表面のP1及びP2に低電流直流電圧を印加して、100mAの直流電流を流した状態で磁場を測定する。
図7は、本発明の実施の形態1に係る磁場測定装置で測定した結果を示す磁場の分布図である。図7(a)はプリント基板の表面から3mmの高さ(z=z0)における磁場の分布を示しており、図7(b)はプリント基板の表面から2.5mmの高さ(z=z1)における磁場の分布を示している。図6のプリント基板の配線パターンと比較すればわかるように、電流が流れている部分に強い磁場が生じていることがわかる。
図7(a)及び図7(b)に示すような、高さの異なる二の測定面において取得した磁場の分布を境界条件として、特許文献1に開示してある方法を用いて任意の高さzのxy平面における磁場の分布を求めることができる。
試料6を構成する強磁性体の存在に起因して、試料6の周囲又は内部に様々な3次元スカラ場が形成される。形成された3次元スカラ場はラプラス方程式を満たしている。ラプラス方程式を満たす場を示す場関数をψ(x、y、z)(ただし、x、y、zは互いに垂直なX軸方向、Y軸方向、Z軸方向にて規定される直交座標系の座標パラメータを示す。)とすると、ψ(x、y、z)はラプラシアンΔを用いて(式1)のように表すことができる。
(式1)に示す方程式の一般解は、xyz直交座標系においてZ軸方向に指数関数的に減衰する項と指数関数的に増大する項との和として(式2)のように表すことができる。
ただし、(式2)において、kx 、ky はX軸方向及びY軸方向の波数であり、a(kx 、ky )、b(kx 、ky )はkx 、ky で表される関数である。さらに、(式2)の両辺をzで1回微分し、(式3)を得る。
ここで、z=0を満たすxy平面に平行な面におけるψ(x、y、z)、すなわちψ(x、y、0)は(式4)で表すことができる。
同様に、(式3)にz=0を代入することによりψz (x、y、0)は(式5)で表すことができる。
したがって、ψ(x、y、0)とψz(x、y、0)とをそれぞれフーリエ変換したψ(kx 、ky )|z=0及びψz (kx 、ky )|z=0(以下、単にψ(kx 、ky )、ψz (kx 、ky )と表す。)は、(式6)及び(式7)で表すことができる。
(式6)及び(式7)から、a(kx 、ky )及びb(kx 、ky )を求めることができ、(式8)及び(式9)で表すことができる。
ここで、(式2)に(式8)及び(式9)のa(kx 、ky )及びb(kx 、ky )を代入することにより、ψ(x、y、z)を(式10)で表すことができる。
以上より、試料6の外部に設定されたz=0を満たす測定面での測定によりディリクレ型境界条件であるψ(x、y、0)及びノイマン型境界条件であるψz (x、y、0)が得られる場合、これらをフーリエ変換することによって(式10)に示すようにψ(x、y、z)をx及びyに関してフーリエ変換した式を導くとともに逆フーリエ変換を行うことにより、ψ(x、y、z)を取得することができ、任意の高さzにおける3次元スカラ場を厳密に求めることができる。なお、試料6の内部において測定が可能である場合は(例えば、細胞内にプローブを挿入して測定する等の場合)、測定面は試料6の内部に設定しても良い。
図8は、本発明の実施の形態1に係る磁場測定装置で測定した、プリント基板の表面から0.2mmの高さにおける磁場の分布図であり、図9は、図6と図8とを重ね合わせた比較図である。プリント基板の電流が流れている部分に強い磁場が生じていることがわかる。
以上のように本実施の形態1によれば、TMRセンサ1の出力が一定となるようにフィードバックコイル7へ供給する電流値を制御し、TMRセンサ1の出力が一定となった時点の電流値を検出磁場として取得するので、TMRセンサ1と試料6との相対位置によらず磁場を測定することができるとともに、TMRセンサ1のヒステリシス特性の誤差を確実に排除することができるので、高い精度で磁場の分布を測定することが可能となる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る磁場測定装置の構成は実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。本実施の形態2は、TMRセンサ1を用いて、試料6からの高さの異なる2平面、すなわち高さz=z1のxy平面と高さz=z0のxy平面とにおける矩形領域内の磁場の分布を測定するのではなく、互いに対向する試料6に挟まれた空間内をTMRセンサ1が移動する点で実施の形態1と相違する。
図10は、本発明の実施の形態2に係る磁場測定装置のTMRセンサ1の配置を示す模式図である。図10に示すように、2枚のプリント基板(試料)6はxy平面に平行に互いに対向するように配置されており、TMRセンサ1は、互いに対向する2枚のプリント基板6に挟まれた空間内を移動する。
図11は、本発明の実施の形態2に係る磁場測定装置で用いるプリント基板6の例示図である。図11(a)は、一方のプリント基板6の配線を、図11(b)は、他方のプリント基板6の配線を、それぞれ示している。図11に示すように、プリント基板6の配線は互いに異なっている。
本実施の形態2では、図11(a)に示すプリント基板6の端子P3とP4との間、図11(b)に示すプリント基板6の端子P5とP6との間に、それぞれ直流電圧を印加し、100mAの直流電流を流した状態での磁場を測定する。すなわち、2枚のプリント基板間の中央の高さをz=z0とし、中央から1mm、一方のプリント基板6側へ寄った位置をz=z1とし、実施の形態1と同様の方法で磁場を測定することにより、任意の位置における磁場の分布を求めることができる。
図12は、本発明の実施の形態2に係る磁場測定装置で測定した結果を示す磁場の分布図である。図12(a)は、図11(a)に示すプリント基板6の表面から0.2mmの高さにおける磁場の分布を示しており、図12(b)は、図11(b)に示すプリント基板6の表面から0.2mmの高さにおける磁場の分布を示している。図11の2枚のプリント基板6の配線パターンと比較すればわかるように、電流が流れている部分に生じている強い磁場を測定することができている。
以上のように本実施の形態2によれば、互いに対向する試料6に挟まれた空間内をTMRセンサ1が移動する場合には、TMRセンサ1を複数回走査させることなく、1回の走査により両側の試料6から生じる磁場の分布を高い精度で求めることが可能となる。
その他、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。
1 TMRセンサ
6 試料(被測定物)
7 フィードバックコイル
10 制御装置

Claims (5)

  1. 一の絶縁層を強磁性体で挟持したTMRセンサと、
    測定時に該TMRセンサが中心に位置するよう配置された、環状のフィードバックコイルと
    を備えた磁場測定装置で磁場を測定する磁場測定方法であって、
    前記TMRセンサの出力が一定となるように前記フィードバックコイルへ供給する電流値を制御し、前記TMRセンサの出力が一定となった時点の電流値を検出磁場として取得することを特徴とする磁場測定方法。
  2. 前記TMRセンサは、x軸方向、y軸方向、z軸方向に移動することが可能であり、
    被測定物がxy平面上に載置され、
    前記TMRセンサをx軸方向及びy軸方向に走査させて、高さの異なる二の測定面における磁場の分布を取得することを特徴とする請求項1記載の磁場測定方法。
  3. 前記TMRセンサは、xy平面上の矩形領域内を往復して移動しながらジグザグ状に走査することを特徴とする請求項1又は2記載の磁場測定方法。
  4. 一の絶縁層を強磁性体で挟持したTMRセンサと、
    測定時に該TMRセンサが中心に位置するよう配置された、環状のフィードバックコイルと
    を備えた磁場測定装置であって、
    前記TMRセンサの出力が一定となるように前記フィードバックコイルへ供給する電流値を制御し、前記TMRセンサの出力が一定となった時点の電流値を検出磁場として取得することを特徴とする磁場測定装置。
  5. 前記TMRセンサは、x軸方向、y軸方向、z軸方向に移動することが可能であり、
    被測定物がxy平面上に載置され、
    前記TMRセンサをx軸方向及びy軸方向に走査させて、高さの異なる二の測定面における磁場の分布を取得することを特徴とする請求項4記載の磁場測定装置。
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