JP2013119952A - 冷蔵庫 - Google Patents

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愼一 堀井
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Abstract

【課題】除霜ヒータを用いた冷蔵庫の省エネ性向上と大容量化に対し、冷却器周辺の構成を適切にすることで、省エネルギーに利用可能な冷蔵庫を提供すること。
【解決手段】冷蔵庫背面側に設けられ冷気を生成する冷却器107と、冷却器の下方に設けられたガラス管ヒータ132と冷気戻り口135を有する冷却器カバー120を備え、ガラス管ヒータ132の中心は冷凍室下面よりも上方であり、冷凍室下面には庫内側に突出した突起部材136が配置され、冷気戻り口下端と突起部材の上端とは高さ方向でラップさせたことで、ガラス管ヒータ132の赤熱が見えることなく、且つ、無効空間を低減できるため庫内容量UPが可能となる。また、風路の通風抵抗を下げることで循環風量させることが出来るため、冷凍サイクル効率の向上による省エネ性の高い冷蔵庫を提供することが出来る。
【選択図】図3

Description

本発明は、除霜ヒータを備えた冷蔵庫に関するものである。
近年、冷蔵庫の省エネルギー化が進む中、冷蔵庫の消費電力量を低減するには冷却効率を高めるため入力の大きい圧縮機の効率向上や、冷却器に付着した霜を溶かす際の除霜効率を向上させる方法がある。
その中で、冷蔵庫の消費電力量を低減する従来の冷蔵庫としては、冷却風路の通風抵抗を低減し、冷却風量を上げて冷却効率を高めたものが開示されている(例えば特許文献1参照)。また、除霜時の熱対流を促進させたものが開示されている(例えば特許文献2参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来の冷蔵庫を説明する。
図9は特許文献1に記載されている冷蔵庫の冷却器周囲の側面断面詳細図を示すものである。冷却器7は、冷凍室14と冷却器室23との間を区画する冷却器カバー20と、冷蔵庫本体1の内箱25を構成する背面壁の間に設置されている。冷却器7の前面下側には、冷却器カバー20にて構成される冷気戻り口35が開口しており、冷気戻り口35の開口は、上端が冷却器7の下面よりも上方に位置し、冷気戻り口開口の下面は冷却器7の下面よりも下方に位置させ、冷気戻り口35の開口部を大きくすることで冷気の循環効率を向上し、冷却性能の向上を図っている。
また、冷却器カバー20の冷気戻り口35の開口内部には、上向きにガイド部21を設けており、除霜時に加熱された除霜ヒータ32からの熱が庫内に流入するのを抑制すると共に、ガイド部21の角度を冷却器側の水平方向に対して一定の角度θを有することで冷凍室14からの戻り冷気をスムーズに冷却器7に流入させ熱交換効率を向上させている。
また、冷却器7の下方には、冷却器7に付着した霜を融解する除霜ヒータ32が配置されている。このとき、除霜ヒータ32を配置するため冷凍室14と野菜室6を区画する仕切り部13の背面側を凹形状とし、凹内部に除霜ヒータ32を配置することで、冷凍室14からの戻り冷気の流れを阻害することなく冷却器7に導くようにし、熱交換効率の向上を図るようにしている。
本構成により、冷却器内へ流れる冷気の対流を改善することで熱交換効率の向上を図り、冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
また、図10は特許文献2に記載されている冷蔵庫の冷却器周囲の側面断面詳細図である。
冷蔵庫の冷凍室背面側に、冷却器7と、冷却器7を覆い風路を設けた冷却器カバー20を配置し、冷却器7の下方には冷却器7に付着した霜を溶かす除霜ヒータ32を配置した構成であって、除霜ヒータ32の上側に除霜ヒータ32を覆うカバーヒータ33を配置してある。
カバーヒータ33は前後方向で傾きを設けており、庫内側に対して背面側のカバーヒータ33の端面と背面壁との間隔が大きくなるように背面端面を上げた構成としている。こ
れにより、除霜時に除霜ヒータ32から発生した熱を背面断熱壁側で上昇させることが出来るため、冷凍室14の温度上昇を抑制することが出来、更に、除霜ヒータ32によって発生した熱を、冷却器7のパイプを中心に付着している霜に効率的に当てることができる。更には、冷却器カバー内の冷凍室側の冷気は、冷凍室14で冷やされ除霜ヒータ付近まで下がるため、冷却器カバー内で対流が起きて除霜を安定させる効果がある。また、庫内に対しては、カバーヒータ33によって除霜ヒータ自体が隠れる構成となっており、除霜時のヒータ赤熱が見えることも無い。
特開2007−71487号公報 特開2011−127850号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されている従来例の冷蔵庫では、冷気戻り口の開口を大きくし、冷却器を通過する風量を増加させ冷却効率を向上させて省エネを行う効果はあるものの、ガイド部の角度を一定の角度θで固定しているため、概ねφ10〜20mmの除霜ヒータが、見る角度によってガイド部間の隙間よりヒータ赤熱が見えるといった問題が発生する。
また、近年の冷蔵庫業界の小スペース・大容量化の傾向では、約10年前と比べて同等の外形寸法で、庫内容量は100L程度増加している。これは冷蔵庫の無効スペースを無くす取り組みや、本体の断熱性能を向上させつつ壁厚の薄壁化をしているためである。上記従来例のように、仕切り部背面を凹形状とし凹部に除霜ヒータを仕切り部内に収まるように配置すると、無効空間が増え、内容積の減少となるだけでなく、冷蔵庫を製造する工程で、外箱と内箱の内部とに密着してなる硬質ウレタンフォームを発泡する際に変形しやすく成形性が悪いという問題があった。さらに、変形に伴って、冷気戻り口の開口部を大きくした冷却器カバーを設置したときに、冷気戻り口の寸法が規制されず、取り付け時の作業性が困難になり歩留まりの低下や開口部面積の減少が発生し、十分な冷却効果が発揮できないという問題があった。
また、上記特許文献2に記載されている従来例の冷蔵庫では、除霜時における熱の対流促進で除霜効率を向上させる効果はあるものの、カバーヒータの傾きによって、冷却器の前面側への着霜量が増加する。除霜時は冷却器の背面側を中心に除霜するため、着霜量の多い冷却器前面側の除霜は遅れ、全体の除霜時間は延びる事となる。この結果、除霜ヒータの熱が庫内に影響することで庫内温度の上昇を引き起こすだけでなく、除霜時間中は冷却しないため、冷蔵庫外部からの熱侵入による庫内温度上昇が増加し、特に冷凍食品への悪影響を起すといった問題があった。
また、省エネに対して冷却器のパフォーマンスは高く、近年では、大型化やパイプ本数、冷却フィン増加といった空気側の表面積を増加させることで省エネを低コストで実現する取り組み事例もなされている。このとき、除霜時の熱はカバーヒータの傾きによって冷却器の外周を対流するが、冷却器中心部は対流効果を受けにくく、上記従来例のように2列パイプの冷却器では効果があるものの、省エネの為、パイプ本数を増加させて3列とした冷却器の場合は、中央のパイプに冷媒が滞留し除霜しにくくなるといった問題が発生する。
このようなことから、本発明は、上記課題に鑑み、無効空間を抑制した大容量の冷蔵庫で且つ、高い冷却能力を有するため省エネ性能の高い冷蔵庫を提供するものである。
上記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫内で冷凍温度帯の冷凍室と、前記冷凍室の背面側に設けられ冷気を生成する冷却器と前記冷却器の下方に設けられた除霜ヒータと前記除霜ヒータ下方にあり前記冷却器に付着した霜が解けて落下する除霜水を受けるドレンパンとを備えた冷却室と、前記冷凍室を冷却した冷気が前記冷却器へ戻るための冷気戻り口を備え前記冷却器を覆う冷却器カバーとを備えたものであって、前記除霜ヒータの中心は水平方向において冷凍室下面よりも上方であり、前記冷凍室下面には庫内側に突出した突起部材が配置され、前記冷気戻り口下端と前記突起部材の上端とは高さ方向でラップさせたものである。
これによって、冷気戻り口下端と突起部材の重なり代を設けたことで除霜時の除霜ヒータからの赤熱の外部への漏れを防止できるとともに、冷気戻り口下端と突起部材の間隔が空くことで庫内から冷却器への戻り冷気は、戻り口前面だけでなく冷却器下側からの対流も確保することが出来るため、冷却器での熱交換面積を大きく取ることができると共に、戻り冷気の通風抵抗を下げることで循環風量も増加でき、冷却器での熱交換量が増えて蒸発温度が上昇し、冷凍サイクル効率の向上によって省エネを図ることができる。
また、冷却器の熱交換量の向上と循環風量の増加によって、庫内を冷却する時間を減らすことができるため、冷却運転時間の短縮による冷却器への着霜量も減らすことができる。これによって、冷却器の霜を溶かすための定期的な除霜周期を延ばす事が可能となり、除霜ヒータの入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する電力入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
また、風路の改善により冷却器の熱交換面積を大きく取れることは、冷却器に着霜させることができる面積を大きくすることである。このとき、冷却器への庫内からの流れが改善でき、冷却器の着霜は冷却器に均一に着霜させることが出来ることから、着霜時の冷却能力の劣化も抑制することができる。これによって、冷蔵庫を運転し除霜を必要とするまでの時間である除霜周期を延ばす事が可能となり、除霜ヒータの入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
本発明の冷蔵庫は、冷却器を覆う冷却器カバーの下側に開口した冷気戻り口の下端と、冷凍室下面の庫内側に突出した突起部材と、除霜ヒータの中心が冷凍室下面よりも上方で配置された冷蔵庫で、冷気戻り口下端と突起部材の上端とは高さ方向でラップさせたことで、除霜ヒータの赤熱が見えにくい冷蔵庫で、且つ、庫内から冷却器への戻り冷気の通風抵抗を下げることで循環風量させることが出来るため、冷凍サイクル効率の向上による省エネ性の高い冷蔵庫を提供することが可能となる。
本発明の実施の形態1における冷蔵庫の斜視図 本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図 本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面図 本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面詳細図 本発明の実施の形態1における冷気送風ファンの抵抗曲線イメージ図 本発明の実施の形態2における冷却器周辺の縦断面詳細図 本発明の実施の形態3における冷却器周辺の縦断面詳細図 本発明の実施の形態4における冷却器周辺の縦断面詳細図 従来技術による冷蔵庫を説明する冷蔵庫の冷却器周辺の側面断面詳細図 従来技術による冷蔵庫を説明する冷蔵庫の冷却器周辺の側面断面詳細図
第1の発明は、冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫内で冷凍温度帯の冷凍室と、前記冷凍室の背面側に設けられ冷気を生成する冷却器と前記冷却器の下方に設けられた除霜ヒータと前記除霜ヒータ下方にあり前記冷却器に付着した霜が解けて落下する除霜水を受けるドレンパンとを備えた冷却室と、前記冷凍室を冷却した冷気が前記冷却器へ戻るための冷気戻り口を備え前記冷却器を覆う冷却器カバーとを備えたものであって、前記除霜ヒータの中心は水平方向において冷凍室下面よりも上方であり、前記冷凍室下面には庫内側に突出した突起部材が配置され、前記冷気戻り口下端と前記突起部材の上端とは高さ方向でラップさせたものである。
これによって、除霜時の除霜ヒータからの赤熱を見えにくくできるため、冷蔵庫の除霜時に冷凍室ドアを開けた場合にも除霜ヒータの赤熱による使用者への不安感を与えることがない。
また、冷気戻り口下端と突起部材の間隔が空いていることで、庫内から冷却器への戻り冷気は、戻り口前面だけでなく冷却器下側からの対流も確保することが出来るため、冷却器での熱交換面積を大きく取ることができると共に、戻り冷気の通風抵抗を下げることで循環風量も増加でき、冷却器での熱交換量が増えて蒸発温度が上昇し、冷凍サイクル効率の向上によって省エネを図ることができる。
また、冷却器の熱交換量の向上と循環風量の増加によって、庫内を冷却する時間を減らすことができるため、冷却運転時間の短縮による冷却器への着霜量も減らすことができる。これによって、冷却器の除霜周期を延ばす事が可能となり、除霜ヒータの入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
また、風路の改善により冷却器の熱交換面積を大きく取れることは、冷却器に着霜させる面積を大きくすることであるため、着霜時の冷却能力の劣化も抑制することができる。これによって、冷蔵庫を運転し除霜を必要とするまでの時間を延ばす事が可能となり、除霜ヒータの入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記突起部材と前記冷気戻り口下端との空間距離を前記突起部材の高さよりも大きくしたものである。
これにより、庫内から冷却器への戻り冷気の開口面積が大きく取れ、通風抵抗を更に下げることが出来るため、同一ファン電圧の場合に循環風量が増加され、冷却器での熱交換量が増えて更なる省エネを図ることが出来る。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記突起部材を前記冷気戻り口下端と前記除霜ヒータの間に配置したものである。
これにより、風路改善による省エネ効果、着霜耐力向上に加え、庫内への赤熱も見えなくするとともに、庫内側から見たときに突起部材は冷却器カバーの冷気戻り口下端に隠れるため、見栄えも良く外観品位の向上に繋がる。
第4の発明は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記突起部材を、前記冷気戻り口下端を構成する前記冷却器カバーの一部に接触させたものである。
これにより、冷気戻り口を大きく開口した場合に変形しやすい冷気戻り口外周を固定することが出来るため、冷気戻り口の寸法が規制され、開口部面積の確保と十分な冷却効果を発揮できる。また、取り付け時にも作業者が突起部材を目印に突起部材に対して当てるように作業することとなるため、作業性が向上すると共に作業時間の短縮が図れる。故に、歩留まりの良化や、製品バラツキの抑制が可能となり、安定した冷却性能を確保することが出来る。
第5の発明は、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記冷凍室下面はドレンパンと一体で構成したものである。
これによって、突起部材を作成する材料費と金型費を削減できると共に、製造工程での工数も削減できる。また、突起部材とドレンパンの2部品の管理から1部品の管理となるため、管理費用も低減でき、製品としてのコストダウンを図れ、販売価格の低下にも繋がり、販売率の向上を図ることが出来る。
第6の発明は、第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記冷気戻り口内には複数のスリットが設けられ、前記スリットのそれぞれの奥端と前記除霜ヒータの中心を結ぶ線上よりも、前記スリットの上方にある各スリットの奥端を高い位置としたものである。
これによって、庫内から見ると除霜ヒータに対して各スリットが重なるように見えるため、冷蔵庫の除霜時に冷凍室ドアを開けた場合にも除霜ヒータの赤熱は見えない。また、除霜時に除霜ヒータからの輻射熱の庫内流入を抑制する効果もあり、庫内の温度上昇を抑える。このとき、各スリットによって除霜時の輻射熱による暖気は冷却器側に流れるため、除霜効率の向上も図れ、除霜時間短縮による省エネ効果も図れる。
第7の発明は、第1から第6の発明のいずれかにおいて、前記冷気戻り口内には複数のスリットが設けられ、複数の前記スリットは、前記除霜ヒータ側において、上部スリットより下部スリットを長くしたものである。
これによって、冷気戻り口の通風抵抗を低減させての冷却能力向上を図れるだけでなく、除霜時の除霜ヒータからの輻射熱による庫内への暖気流入を抑制しやすくなる。
第8の発明は、第1から第7の発明のいずれかにおいて、前記冷気戻り口内には複数のスリットが設けられ、複数の前記スリットの庫内側の端面を結ぶ線は、庫内のケース背面と略並行としたものである。
これによって、庫内ケースと冷気戻り口との間隔を一定以上に確保することができ、局部的に狭くなることがないため風路の通風抵抗増加による風量の低下がない。よって、冷却能力の低下を招くこともない。また、冷気の循環を妨げることがないため、湿度の高い外気の侵入によって表面が着霜してもよどみが無いため昇華しやすい。また、近年の実内容積増加傾向から、庫内ケースをできるだけ大きくすることが販売の向上に繋がるが、庫内ケースを成型する際の抜き勾配とスリットの庫内側端面を結ぶ線が並行としているため、無効空間を削減した最大限の実内容積となる。
第9の発明は、第1から第8の発明のいずれかにおいて、前記除霜ヒータ側の冷気戻り口と前記除霜ヒータ外郭の最短距離を60mm以上としたものである。
これによって、除霜時の除霜ヒータからの輻射熱によって、冷気戻り口を構成する冷却器カバー自体の温度上昇を抑制することが出来るため、着霜時など過度に除霜時間が延び
た場合でも輻射熱による温度影響での変形等が発生することはない。また、最短距離を60mm以上としているため、除霜時のヒータからの暖気は冷却器側に流れ、庫内への流入を抑制しやすくする効果がある。
第10の発明は、第1から第9の発明のいずれかにおいて、前記突起部材を前記冷却器カバーと一体で構成したものである。
これによって、突起部材を作成する材料費と金型費を削減できると共に、製造工程での工数も削減できる。また、管理費用も低減でき、製品としてのコストダウンを図れ、販売価格の低下にも繋がり、販売率の向上を図ることが出来る。
第11の発明は、第1から第9の発明のいずれかにおいて、前記突起部材を前記冷凍室下面と一体で構成したものである。
これによって、突起部材を作成する材料費と金型費を削減できると共に、製造工程での工数も削減できる。また、管理費用も低減でき、製品としてのコストダウンを図れ、販売価格の低下にも繋がり、販売率の向上を図ることが出来る。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成及び差異がない部分については、詳細な説明を省略する。また、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の斜視図である。図2は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の縦断面図である。図3は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面図である。図4は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面詳細図である。
図1から図4に示すように、冷蔵庫本体101は、前方に開口する金属製(例えば鉄板)の外箱124と硬質樹脂製(例えばABS)の内箱125と、外箱124と内箱125の間に発泡充填された硬質ウレタンフォームからなる断熱本体で、この冷蔵庫本体101の上部に設けられた冷蔵室102と、冷蔵室102の下に設けられた上段冷凍室103と、冷蔵室102の下で上段冷凍室103に並列に設けられた製氷室104と、本体下部に設けられた野菜室106と、並列に設置された上段冷凍室103及び製氷室104と野菜室106の間に設けられた下段冷凍室105で構成されている。上段冷凍室103と製氷室104と下段冷凍室105と野菜室106の前面部は引き出し式の図示しない扉により開閉自由に閉塞されると共に、冷蔵室102の前面は、例えば観音開き式の図示しない扉により開閉自由に閉塞される。
冷蔵室102は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。野菜室106は冷蔵室102と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にすれば葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。
上段冷凍室103と下段冷凍室105は冷凍保存のために通常−22から−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30から−25℃の低温で設定されることもある。
冷蔵室102や野菜室106は庫内をプラス温度で設定されるので、冷蔵温度帯を呼ば
れる。また、上段冷凍室103や下段冷凍室105や製氷室104は庫内をマイナス温度で設定されるので、冷凍温度帯を呼ばれる。また、上段冷凍室103は切替室として、ダンパ機構等を用いることで、冷蔵温度帯から冷凍温度帯まで選択可能な部屋としても良い。
冷蔵庫本体101の天面部は、冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けて機械室119があり、第一の天面部108と第二の天面部109で構成されている。この階段状の凹部に配置された圧縮機117と、水分除去を行うドライヤ(図示せず)と、コンデンサ(図示せず)と、放熱用の放熱パイプ(図示せず)と、キャピラリーチューブ118と、冷却器107とを順次環状に接続してなる冷凍サイクルに冷媒を封入し、冷却運転を行う。前記冷媒には近年、環境保護のために可燃性冷媒を用いることが多い。なお、三方弁や切替弁を用いる冷凍サイクルの場合は、それらの機能部品を機械室内に配設することも出来る。
また、冷蔵室102と製氷室104および上段冷凍室103とは第一の断熱仕切り部110で区画されている。また、製氷室104と上段冷凍室103とは第二の断熱仕切り部111で区画されている。また、製氷室104および上段冷凍室103と、下段冷凍室105とは第三の断熱仕切り部112で区画されている。
第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112は、冷蔵庫本体101の発泡後組み立てられる部品であるため、通常断熱材として発泡ポリスチレンが使われるが、断熱性能や剛性を向上させるために硬質ウレタンフォームを用いてもよく、更には高断熱性の真空断熱材を挿入して、仕切り構造のさらなる薄型化を図ってもよい。
また、ドアフレームの稼動部を確保して第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112の形状の薄型化や廃止を行うことで、冷却風路を確保でき冷却能力の向上を図ることもできる。また、第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112の内部をくりぬき、風路とすることで材料の低減にもつながりコストダウンが可能となる。
また、下段冷凍室105と野菜室106とは第四の仕切り部113で区画されている。
次に、本実施の形態での冷却器周辺の構成について説明する。
冷蔵庫本体101の背面には冷却室123が設けられ、冷却室123内には、代表的なものとしてフィンアンドチューブ式の冷気を生成する冷却器107が断熱仕切壁である第二および第三の仕切り部111、112の後方領域を含めて下段冷凍室105の背面に上下方向に縦長に配設されている。冷却室123の前面庫内側には、冷凍室を冷却した冷気が冷却器へ戻るための冷気戻り口135を備えた冷却器107を覆う冷却器カバー120が配置されている。また、冷却器107の材質は、アルミや銅が用いられる。
冷却器カバー120の下部に冷気戻り口135を備え、冷気戻り口135にはスリット122が設けられている。このスリット122の間隔は、5mm以上であり、指の侵入防止や、金型及び冷却器カバー120の強度確保に配慮している。
冷却器107の近傍(例えば上部空間)には強制対流方式により冷蔵室102、製氷室104、上段冷凍室103、下段冷凍室105、野菜室106の各貯蔵室に冷却器107で生成した冷気を送風する冷気送風ファン116が配置され、冷却器107の下方には冷却時に冷却器107や冷気送風ファン116に付着する霜を除霜する除霜ヒータとしてガラス管製のガラス管ヒータ132が設けられている。ガラス管ヒータ132の上方には、ガラス管ヒータ132を覆うカバーヒータ133が配置され、除霜時に冷却器107から
滴下した水滴が除霜によって高温になったガラス管表面に直接落ちることで、ジュージューといった音が発生しないようにガラス管径および幅と同等以上の寸法としている。
ガラス管ヒータ132の下方には、冷却器107に付着した霜が解けて落下する除霜水を受ける冷凍室下面である第四の仕切り部113の上面と一体となったドレンパン134が配置されている。
ここで、第四の仕切り部113の上面と一体となったドレンパン134には、冷凍室下面に庫内側に向かって突出した突起部材136を配置している。さらに、突起部材136は、冷気戻り口135の下端とガラス管ヒータ132の間に配置されている。これによって、庫内への赤熱も見えなくするとともに、庫内側から見たときに突起部材136は冷却器カバー120の冷気戻り口下端に隠れるため、見栄えも良く外観品位の向上に繋がる。
ガラス管ヒータ132の中心は第四の仕切り部113の上面よりも上方とした位置に配置している。これにより、冷凍室下面と一体となったドレンパン134の形状を、略水平とすることが出来、ガラス管ヒータ132を設置するための無効空間を減少させることが可能となり内容積の増加を図ることが出来る。また、ドレンパン134の深さを浅く出来ることは、構成する部品を成型する際の金型費用を抑えることが出来るため、コストダウンにも繋がる。また、冷蔵庫本体101の外箱124と内箱125の内部とに密着してなる硬質ウレタンフォーム126を発泡する際の変形も抑えることができ、製品歩留まりを向上させ、廃棄費用の削減となるだけでなく、取り付け時の作業性も向上するので外観品位の良い冷蔵庫を提供することが出来る。
ここで、近年の冷凍サイクルの冷媒としては、地球環境保全の観点から地球温暖化係数が小さい可燃性冷媒であるイソブタンが使用されている。この炭化水素であるイソブタンは空気と比較して常温、大気圧下で約2倍の比重である(2.04、300Kにおいて)。これにより従来に比して冷媒充填量を低減でき、低コストであると共に、可燃性冷媒が万が一に漏洩した場合の漏洩量が少なくなり安全性をより向上できる。
本実施の形態では、冷媒にイソブタンを用いており、防爆対応として除霜時のガラス管ヒータ132の外郭であるガラス管表面の最大温度を規制している。そのため、ガラス管表面の温度を低減させるため、ガラス管を2重に形成された2重ガラス管ヒータを採用している。このほか、ガラス管表面の温度を低減させる手段としては、ガラス管表面に放熱性の高い部材(例えばアルミフィン)を巻きつけることも出来る。このとき、ガラス管を1重とすることで、ガラス管ヒータ132の外形寸法を小さく出来る。
除霜時の効率を向上させる手段としては、ガラス管ヒータ132に加えて、冷却器107に密着したパイプヒータを併用しても良い。この場合、パイプヒータからの直接の伝熱によって冷却器107の除霜は効率的に行われると共に、冷却器107の周囲のドレンパン134や冷気送風ファン116に付着した霜をガラス管ヒータ132で溶かすことが出来るため、除霜時間の短縮が図れ、省エネや除霜時間における庫内温度の上昇を抑制することが出来る。
なお、ガラス管ヒータ132とパイプヒータを組み合わせた場合、お互いのヒータ容量を適正化することで、ガラス管ヒータ132の容量を低くすることが可能となる。ヒータ容量を低くすると除霜時のガラス管ヒータ132の外郭の温度も低くすることが出来るため、除霜時の赤熱も抑制できる。
次に冷蔵庫の冷却について説明する。例えば下段冷凍室105が外気からの侵入熱およびドア開閉などにより、庫内温度が上昇して冷凍室センサ(図示せず)が起動温度以上に
なった場合に、圧縮機117が起動し冷却が開始される。圧縮機117から吐出された高温高圧の冷媒は、最終的に機械室119に配置されたドライヤ(図示せず)まで到達する間、特に外箱124に設置される放熱パイプ(図示せず)において、外箱124の外側の空気や庫内の硬質ウレタンフォーム126との熱交換により、冷却されて液化する。
次に液化した冷媒はキャピラリーチューブ118で減圧されて、冷却器107に流入し冷却器107周辺の庫内冷気と熱交換する。熱交換された冷気は、近傍の冷気送風ファン116により庫内に冷気が送風され庫内を冷却する。この後、冷媒は加熱され、ガス化して圧縮器117に戻る。庫内が冷却されて冷凍室センサ(図示せず)の温度が停止温度以下になった場合に圧縮機117の運転が停止する。
冷気送風ファン116は、内箱125に直接配設されることもあるが、発泡後に組み立てられる第二の仕切り部111に配設し、部品のブロック加工を行うことで製造コストの低減を図ることもできる。
次に、冷蔵庫の除霜時について説明する。
冷蔵庫を冷却運転すると、時間経過と共に、ドア開閉時に侵入した空気中の水分や、庫内に投入された食品に付着している水分、さらに野菜室106に保存されている野菜からの水分等で冷却器107には、霜が付着する。この霜が成長を遂げると冷却器107と循環冷気との間で熱交換効率が低下し庫内を十分に冷却できず、最終的に不冷状態となる。よって、冷蔵庫では、冷却器に付着した霜を定期的に除霜する必要がある。
本実施の冷蔵庫でも、冷蔵庫を運転し、一定時間経過後に自動的に除霜を行っている。除霜時には、圧縮機117、冷気送風ファン116の運転を停止し、除霜ヒータであるガラス管ヒータ132を通電する。冷却器107は、冷却器107の内部に滞留している冷媒や冷却器107に付着した霜の融解によって、概ね、−30℃から0℃への顕熱変化、0℃での潜熱変化、0℃からの顕熱変化を介し、昇温していく。ここで、冷却器に107は、除霜センサー(図示せず)が取り付けられており、所定の温度になるとガラス管ヒータ132の通電を停止するようにしている。本実施の形態では、除霜センサーが10℃を検知した時点でガラス管ヒータ132の通電を停止するようにしている。
このとき、ガラス管ヒータ132の通電によって、ガラス管表面が高温となり、輻射熱によって冷却器107や冷却器周囲の冷却器107の周囲のドレンパン134や冷気送風ファン116に付着した霜を溶かすことで、冷却器107をリフレッシュしている。
なお、例えば5℃程度の低外気では、冷却器107の霜が十分に除霜されていても、外気の影響で除霜時に除霜センサーの温度が十分に昇温しにくく、除霜時間が長くなる傾向にある。この場合には、0℃以上の顕熱変化の状態をみて、一定時間以上経過していれば除霜を終了する制御を組み合わせることも出来る。これによって、十分に除霜されているにもかかわらず、低外気での冷却器107の昇温不足で除霜時間が長くなってしまい、不必要なヒータ入力や庫内への輻射熱での昇温、更には、除霜時の冷却停止による昇温を抑制することが出来る。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用について説明する。
本実施の形態のように、野菜室106が下方に設置され、真ん中に下段冷凍室105が設置され、冷蔵室102が上方に設置された冷蔵庫のレイアウト構成が使い勝手と省エネの観点からよく用いられている。また、使い勝手の観点から、下段冷凍室105や野菜室106の庫内引き出し代を大きく取るフルオープン機構の構成とした冷蔵庫も発売されて
いる。
このとき、下段冷凍室105の引き出し代を全開したときには、従来庫内ケース背面によって見難かった冷却器カバー120や冷却器カバー120の下部にある冷気戻り口135が見えることとなる。
その中で、本実施の形態では、冷凍室下面に庫内側に向かって突出した突起部材136を配置している。図4で構成を説明すると、第四の仕切り部113の上面を基準に、冷気戻り口135の下端までの距離をA、突起部材136上面までの高さをB、ガラス管ヒータ132中心までの距離をCとすると、冷気戻り口下端と突起部材136の高さ方向の重なり代を0mm以上としている。即ち、A≦Bの関係としている。このとき、A≧Cであり、B≧A≧Cの関係であれば、除霜時のガラス管ヒータ132からの赤熱を見えなくできるため、冷蔵庫の除霜時に冷凍室ドアを開けた場合にもガラス管ヒータ132の赤熱による使用者への不安感を与えることがない。
また、冷気戻り口下端と突起部材136の間の空間距離をDとすると、本実施の形態では、関係をB≦Dとしている。これによって、庫内から冷却器107への戻り冷気は、冷気戻り口前面のスリット122部分だけでなく庫内の下側からの対流も確保することが出来るため、戻り冷気の通過する面積が大きく取れ、通風抵抗を更に下げることが出来る。この結果、循環風量も増加でき、冷却器107での熱交換量が増えて蒸発温度が上昇し、冷凍サイクル効率の向上によって省エネを図ることができる。
また、冷却器107の熱交換量の向上と循環風量の増加によって、庫内を冷却する時間を減らすことができるため、冷却運転時間の短縮による冷却器107への着霜量も減らすことができる。これによって、冷却器107の除霜周期を延ばす事が可能となり、ガラス管ヒータ132の入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
また、風路の改善により冷却器107の熱交換面積を大きく取れることは、冷却器107に着霜させる面積を大きくすることであるため、着霜時の冷却能力の劣化も抑制することができる。これによって、冷蔵庫を運転し除霜を必要とするまでの時間を延ばす事が可能となり、ガラス管ヒータ132の入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
なお、通風抵抗が低減されると、冷気送風ファン116は同一ファン電圧の場合に循環風量が増加される。図5に通風抵抗と風量の特性イメージ図を示す。図5のように、冷蔵庫の冷却性能において、ファンの特性より、通風抵抗が点1→点2のP1→P2に低減されると循環風量がQ1→Q2へと増加する。
更に、同一風量で性能が確保できる場合には、冷気送風ファン116のファン回転数を低減させることで同一風量を得ることが出来る。この場合、特性は、点2→点3に移動し、ファン回転数低下分の入力低減となり、電気入力としての省エネを図ることが出来る。更には、ファン回転数の低下によって冷気送風ファン116の風切り音の低減も図ることが出来るため、夜間等の周囲騒音が低く静寂な環境であっても、騒音を気にすることはない。
さらに、本実施の形態では、冷気戻り口135の形状を規制し、開口面積の確保を目的として、突起部材136を冷気戻り口下端を構成する冷却器カバー120の外周に接触させている。
これにより、冷気戻り口135を大きく開口した場合に変形しやすい冷気戻り口外周を固定することが出来るため、冷気戻り口135の寸法が規制され、開口部面積の確保と十分な冷却効果を発揮できる。また、取り付け時にも作業者が突起部材136を目印に、冷却器カバー120を突起部材136に対して当てるように作業することとなるため、作業性が向上すると共に作業時間の短縮が図れる。故に、歩留まりの良化や、製品バラツキの抑制が可能となり、安定した冷却性能を確保することが出来る。
なお、突起部材136を、第四の仕切り部113の上面で構成すると、突起部材136を作成する材料費と金型費を削減できると共に、製造工程での工数も削減できる。また、突起部材136と第四の仕切り部113の上面の2部品の管理から1部品の管理となるため、管理費用も低減でき、製品としてのコストダウンを図れ、販売価格の低下にも繋がり、販売率の向上を図ることが出来る。
この場合、冷却器カバー120の外周に接触する突起部材136にあたる部分については、冷却器カバー120の外周の高さ寸法をEとすると、B≦Eであれば、庫内への赤熱は見えない。このとき、突起部材136もしくは第四の仕切り部113の上面で構成した場合の突起部材136の幅寸法は庫内の幅を大きく取る必要も無く、数箇所で良い。これによって、材料費の低減や部品製造時の歩留まり向上を図ることが可能となる。
さらに、本実施の形態での冷気戻り口135内のスリット122形状について説明する。
スリット122は庫内側かられ背面冷却器側に伸びる形状となっており、戻り上部のスリット122から戻り下部のスリット122に対しての形状をガラス管ヒータ側に長くしている。
これによって、冷気戻り口135の通風抵抗を低減させての冷却能力向上を図れるだけでなく、除霜時のガラス管ヒータ132からの輻射熱による庫内への暖気流入を抑制しやすくできる効果がある。暖気流入を低減できると、除霜時の庫内温度の上昇を抑制でき、除霜終了後の冷却において低入力、短時間での庫内温度復帰が可能となり、食品への温度変動抑制による食品品質劣化の抑制による長期保存が出来る。更に、省エネも実現できる。
また、スリットのそれぞれの奥端とガラス管ヒータ132の中心を結ぶ線上よりも、スリットの上方にある上部スリットの奥端を高い位置といる。
これによって、庫内から見るとガラス管ヒータ132に対して各スリットが重なるように見えるため、冷蔵庫の除霜時に冷凍室ドアを開けた場合にもガラス管ヒータ132の赤熱は見えない。また、除霜時にガラス管ヒータ132からの輻射熱の庫内流入を抑制する効果もあり、庫内の温度上昇を抑える働きがある。このとき、各スリットによって除霜時の熱による暖気は冷却器側に流れるため、除霜効率の向上も図れ、除霜時間短縮による省エネ効果も図れる。
加えて、庫内への暖気流入の抑制には、庫内への着霜防止も効果的である。庫内への暖気流入が多いと、特に庫内との連通になっている部分や、庫内天面への着霜が著しく発生し、長期使用時の時間経過と共に除霜時毎に着霜部分が滴下して、庫内ケースに落ちる可能性がある。本実施の形態の形状であれば、庫内への暖気流入の抑制が図れるため、冷蔵庫の概ね10年以上の使用時においても、着霜による信頼性を防止することが出来、品質の高位な冷蔵庫を提供することが出来る。
また、冷気戻り口上部のスリット122から冷気戻り口下部のスリット122に対して、庫内側端面を結ぶ線を、庫内ケース背面の抜き勾配形状と並行としているため、庫内ケースと冷気戻り口135との間隔を一定以上に出来、局部的に狭くなることがなく、風路の通風抵抗増加による風量の低下がない。よって、冷却能力の低下を招くこともない。
また、近年の大容量化トレンドにおいて、庫内ケースをできるだけ大きくすることが販売の向上に繋がるが、庫内ケースを成型する際の抜き勾配とスリット122の庫内側端面を結ぶ線が並行としているため、庫内ケースの成型時に無効空間を削減した最大限の実内容積が実現できると共に、大容量化した場合でも、スリット122と庫内ケースが当たることがないので、実使用時に庫内ケースがスリット122に当たっての割れや、接触音がするといったことも無くなる。
更に、スリット122のガラス管ヒータ132側の端面とガラス管ヒータ132のガラス管外郭との最短距離を60mm以上としたことで、除霜時のガラス管ヒータ132からの輻射熱によって、冷気戻り口135を構成する冷却器カバー自体の温度上昇を抑制することが出来るため、着霜時など過度に除霜時間が延びた場合でも輻射熱による温度影響による変形等が発生することはない。また、最短距離を60mm以上としているため、除霜時のガラス管ヒータ132からの暖気は冷却器側に流れ、庫内への流入を抑制しやすくする効果がある。
なお、本実施の形態では、冷媒の種類をイソブタンとしているため、除霜時のガラス管ヒータ132のガラス管表面の温度は、摂氏394℃以下と規制している。また、本実施の形態で使用した冷却器カバー120およびスリット122の材料は安価なPP(ポリプロピレン)を用いており、PPの耐熱溶融温度は、摂氏約200℃、発火温度は摂氏約440℃のものである。しかしながら、実使用時を考慮し、耐熱温度を摂氏135℃と設定している。即ち、最悪条件として考えて、ガラス管表面の温度:摂氏394℃、材料をPPとして耐熱温度の摂氏135℃以下となる寸法を計算し、上記の最短距離60mm以上としている。上記の計算には、ステファン=ボルツマンの法則をもって導いた。
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2による冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面詳細図である。
なお、実施の形態1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図6に示すように、冷蔵庫本体の背面に設けられ冷気を生成する冷却器207と、冷却器207の下方に設けられたガラス管ヒータ232と、ガラス管ヒータ232下方にあり冷却器207に付着した霜が解けて落下する除霜水を受ける冷凍室下面と一体となったドレンパン234と、冷凍室205を冷却した冷気が冷却器207へ戻るための冷気戻り口235を備えた冷却器207を覆う冷却器カバー220を備えたものであって、ガラス管ヒータ232の中心は冷凍室下面の第四の仕切り部213の上面よりも上方に配置している。
その中で、本実施の形態では、冷凍室下面に庫内側に向かって突出した突起部材236を配置している。第四の仕切り部213上面を基準に、冷気戻り口235の下端までの距離をA、突起部材236上面までの高さをB、ガラス管ヒータ232中心までの距離をC1とすると、冷気戻り口下端と突起部材236の高さ方向の重なり代を0mm以上としている。即ち、A≦Bの関係としている。このとき、A≦C1であり、C1≧B≧Aの関係であれば、除霜時のガラス管ヒータ232からの赤熱を見えなくできるため、冷蔵庫の除霜時に冷凍室ドアを開けた場合にもガラス管ヒータ232の赤熱による使用者への不安感を与えることがない。
(実施の形態3)
図7は本発明の実施の形態3による冷蔵庫の冷却器周辺の縦断面詳細図である。
なお、実施の形態1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図7に示すように、冷蔵庫本体の背面に設けられ冷気を生成する冷却器307と、冷却器307の下方に設けられたガラス管ヒータ332と、ガラス管ヒータ332下方にあり冷却器307に付着した霜が解けて落下する除霜水を受ける冷凍室下面と一体となったドレンパン334と、冷凍室305を冷却した冷気が冷却器307へ戻るための冷気戻り口335を供えた冷却器307を覆う冷却器カバー320を備え、冷却器カバー320の下部に冷気戻り口335を備え、冷気戻り口335にはスリット322が設けられており、ガラス管ヒータ332の中心は第四の仕切り部313の上面よりも上方に配置している。また、冷凍室下面に庫内側に向かって突出した突起部材336を配置している。
その中で、本実施の形態では、この突起部材336を、冷却器カバー320と一体とし、冷凍室下面との接触部(図示せず)と接触固定することで、庫内への赤熱も見えなくするとともに、冷気戻り口335を大きく開口した場合に変形しやすい冷気戻り口外周を固定することが出来るため、冷気戻り口335の寸法が規制され、開口部面積の確保と十分な冷却効果を発揮できる。また、取り付け時にも作業者が接触部を目印に接触部に対して当てるように作業することとなるため、作業性が向上すると共に作業時間の短縮が図れる。故に、歩留まりの良化や、製品バラツキの抑制が可能となり、安定した冷却性能を確保することが出来る。
(実施の形態4)
図8は本発明の実施の形態4による冷蔵庫の冷却室詳細断面図である。
なお、実施の形態1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図8に示すように、冷蔵庫本体の背面に設けられ冷気を生成する冷却器407と、冷却器407の下方に設けられたガラス管ヒータ432と、ガラス管ヒータ432下方にあり冷却器407に付着した霜が解けて落下する除霜水を受ける冷凍室下面と一体となったドレンパン434と、冷凍室405を冷却した冷気が冷却器407へ戻るための冷気戻り口435を備えた冷却器407を覆う冷却器カバー420を備え、冷却器カバー420の下部に冷気戻り口435を備え、冷気戻り口435にはスリット422が設けられており、ガラス管ヒータ432の中心は第四の仕切り部413の上面よりも上方に配置している。また、冷凍室下面に庫内側に向かって突出した突起部材436を配置している。
ガラス管ヒータ432の上方には、ガラス管ヒータ432を覆うカバーヒータ433が配置され、除霜時に冷却器407から滴下した水滴が除霜によって高温になったガラス管表面に直接落ちることで、ジュージューといった音が発生しないようにガラス管径および幅と同等以上の寸法としている。
本実施の形態では、カバーヒータ433は前後方向で傾きを設けており、庫内側に対して背面側のカバーヒータ433端面を上げた構成としている。また、冷却器407は、パイプパターンを千鳥配列とし、庫内側に冷却パイプが傾くように冷却器407を取り付けている。
これにより、冷却運転時には、冷気戻り口435からスリット422を介して冷却器407に戻る冷気は、カバーヒータ433の傾きに沿って冷却器側に流れやすくなるため、
ガラス管ヒータ432周囲に巻き込み流れにはなり難い。よって、冷却器407にスムーズに効率よく戻り冷気が流れるため、熱交換効率の向上が図れ、冷却能力が向上する。この結果、省エネ性に優れた冷蔵庫を提供できる。
また、除霜時には、従来例の特許文献2の課題でも述べたが、冷却器407の前面側への着霜量が増加するため、カバーヒータ433を傾けたことによる背面側中心の除霜では、着霜量の多い冷却器前面側の除霜は遅れ、全体の除霜時間は延びる問題がある。
この問題を解決するため、本実施の形態では、従来例の特許文献2で用いているインラインパイプパターンの冷却器407ではなく、千鳥パイプパターンの冷却器407を用いた。千鳥パイプパターンの冷却器407を庫内側にパイプが傾くように取り付けているため、除霜時の暖気はパイプ傾きによって庫内側へ向かう流れとなる。更には、カバーヒータ433の寸法をガラス管径および幅と同等以上としているため、庫内側にガラス管ヒータ432を覆うほどではなく、ガラス管ヒータ432の暖気は庫内側からも冷却器407に向けて流れる構成となる。
これによって、冷却器407を部分的に除霜することなく、全体を効率よく除霜できるため、除霜の部分遅れや、全体の除霜時間が延びることは無い。この結果、除霜時のガラス管ヒータ432による庫内への熱影響で庫内温度の過度な上昇を引き起こすこともない。
即ち、冷却器407の偏着霜による除霜時間の延長を招くことも無く、冷却性能の向上による省エネ性の高い冷蔵庫を提供することが出来る。
なお、カバーヒータ433の背面側を、上部に傾けることで、除霜効率の向上が図れる。
以上のように、本発明にかかる冷蔵庫は、冷却器を覆う冷却器カバーの下側に開口した冷気戻り口の下端と、冷凍室下面の庫内側に突出した突起部材と、除霜ヒータの中心が冷凍室下面よりも上方で配置された冷蔵庫で、冷気戻り口下端と突起部材の高さ方向の重なり代が0mm以上としたことにより、除霜ヒータの赤熱が見えにくく、無効容積を削減して庫内容量UPに伴う省スペース大容量や、省エネ性の向上を目的とする家庭用冷蔵庫などに利用ができる。
101 冷蔵庫本体
105 下段冷凍室
107、207、307、407 冷却器
120、220、320、420 冷却器カバー
122、222、322、422 スリット
123 冷却室
132、232、332、432 ガラス管ヒータ
134、234、334、434 ドレンパン
135、235、335、435 冷気戻り口
136、236、336、436 突起部材

Claims (11)

  1. 冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫内で冷凍温度帯の冷凍室と、前記冷凍室の背面側に設けられ冷気を生成する冷却器と前記冷却器の下方に設けられた除霜ヒータと前記除霜ヒータ下方にあり前記冷却器に付着した霜が解けて落下する除霜水を受けるドレンパンとを備えた冷却室と、前記冷凍室を冷却した冷気が前記冷却器へ戻るための冷気戻り口を備え前記冷却器を覆う冷却器カバーとを備えたものであって、前記除霜ヒータの中心は水平方向において冷凍室下面よりも上方であり、前記冷凍室下面には庫内側に突出した突起部材が配置され、前記冷気戻り口下端と前記突起部材の上端とは高さ方向でラップさせたことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記突起部材と前記冷気戻り口下端との空間距離を前記突起部材の高さよりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 前記突起部材を前記冷気戻り口下端と前記除霜ヒータの間に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
  4. 前記突起部材を、前記冷気戻り口下端を構成する前記冷却器カバーの一部に接触させたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  5. 前記冷凍室下面はドレンパンと一体で構成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  6. 前記冷気戻り口内には複数のスリットが設けられ、前記スリットのそれぞれの奥端と前記除霜ヒータの中心を結ぶ線上よりも、前記スリットの上方にある各スリットの奥端を高い位置としたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  7. 前記冷気戻り口内には複数のスリットが設けられ、複数の前記スリットは、前記除霜ヒータ側において、上部スリットより下部スリットを長くしたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  8. 前記冷気戻り口内には複数のスリットが設けられ、複数の前記スリットの庫内側の端面を結ぶ線は、庫内のケース背面と略並行としたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  9. 前記除霜ヒータ側の冷気戻り口と前記除霜ヒータ外郭の最短距離を60mm以上としたことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  10. 前記突起部材を前記冷却器カバーと一体で構成したことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  11. 前記突起部材を前記冷凍室下面と一体で構成したことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
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