JP2013119053A - 液晶パネルのリサイクル方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】亜臨界水処理条件として、処理温度、薬剤濃度を最適化することにより、液晶材料を劣化・分解させることなく液晶パネルから分離することにより、液晶材料を回収し、効率的な液晶パネルのリサイクル方法を提供する。
【解決手段】液晶パネルからの液晶材料および有機膜の剥離性、液晶材料および有機膜の分解性、液晶材料および有機膜の溶解性の少なくともいずれかを向上させる薬剤および水を混合し、薬剤の濃度を調整する工程と、薬剤と水との混合物を亜臨界状態とし、液晶パネルを第1段階の亜臨界水処理する工程と、液晶パネルから剥離した前記液晶材料を回収する工程と、再度前記薬剤と前記水との混合物を再度亜臨界状態とし、液晶パネルを第2段階の亜臨界水処理する工程と、液晶パネルから剥離した前記ガラス、金属および有機膜の少なくともいずれかを回収する工程とを含む液晶パネルのリサイクル方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶テレビ、パソコン、その他液晶パネルを使用した廃製品、新品製造過程で発生する不良品や端切れをリサイクルする方法に適用される。
近年、社会における生産・消費活動全般について一般廃棄物や産業廃棄物が増加し、不法投棄や埋立地逼迫などの地球環境問題が注目を集め、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済システムから資源循環型経済システムへの転換が社会的に重要な課題となってきている。
このような状況を受け、たとえば、2001年4月より家電リサイクル法が施行された。家電リサイクル法においては、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の家電4品目のリサイクルが義務付けられ、また、それぞれの製品の再商品化率については、エアコン70%以上、ブラウン管式テレビ55%以上、薄型テレビ50%以上、冷蔵庫60%以上、洗濯機65%以上の法定基準値が定められている。
これら家電4品目においては、関係者の鋭意努力のもと、法律施行当初に比べリサイクルが格段に進んでいる。テレビにおいては、CRT(Cathode Ray Tube)のガラスを切断して電子銃や蛍光体を除去した後、ガラスカレットとして元のCRT用ガラスに再生使用するリサイクル技術が既に実用化されている。
ところで、近年、表示部品として液晶パネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELパネル、電界放出型ディスプレイパネルなどの薄型パネルを搭載した薄型テレビの需要が、省電力、省スペース、軽量かつデジタル放送の受像に適するといった特性から、近年の地球環境問題への関心の高まり、ならびにテレビ放送のデジタル化と相俟って、急激に増加している。特に、大型の薄型パネルを搭載した大画面薄型テレビの需要が劇的に拡大している。これに伴い、製造工程で排出される不良パネルの増加や今後、使用済みの薄型テレビの廃棄量も今後急激に増加していくことが予想され、リサイクル活動などの環境活動において、リサイクル性向上などの要求が高くなってきている。
現在、薄型テレビのパネル(薄型パネル)は、比較的新しい製品であること、また、廃棄物の量としては少ないこともあり、廃棄物の処理施設にて製品ごと破砕された後、焼却処理されている。
特に液晶パネルのリサイクルにおいて考慮すべき点は、ガラス、インジウムなどの材料の再生である。液晶パネルの基材は、主にガラス基板が用いられている。ガラスは製品重量の大半を占めるため、リサイクル率向上の観点からも再資源化が望ましく、再度同一製品のガラス原料として再生するなど高品位なリサイクルを行なうことがより望ましい。また、基材には透明電極のITO(Indium Tin Oxide)など、インジウムなどの金属化合物が加工されているものがある。このような金属は、昨今の薄型パネル市場拡大も影響し高騰してきており、回収、リサイクルが模索されている。
上述の観点から、液晶パネル中のガラス、金属の回収/リサイクルは必要不可欠であるが、課題も多い。
特開2007−014832号公報(特許文献1)には、超臨界流体によって液晶材料を抽出し減圧加熱によって回収する方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されたような方法を用いた場合、超臨界流体や減圧加熱といった処理に多大なコストを要することになる。また、超臨界流体で液晶材料を処理すると液晶材料自体が分解してしまい、液晶材料本来の用途に使用することが困難になる。
さらに特開2001−235718号公報(特許文献2)には、亜臨界流体によって液晶材料を高分子化させ処理を行なう方法が開示されている。しかしながら、このような特許文献2に開示されたような方法も、液晶材料自体が分解してしまい、液晶材料本来の用途に使用することが困難になる。
特開2007−014832号公報 特開2001−235718号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、亜臨界水処理条件として、処理温度、薬剤濃度を最適化することにより、液晶材料を劣化・分解させることなく液晶パネルから分離させ、さらに有機膜を液晶パネルから分離させることで有機膜上あるいは有機膜内に形成された希少金属を同時に液晶パネルから分離させることにより、液晶材料と希少金属の両者を連続して回収する、効率的な液晶パネルのリサイクル方法を提供することである。
本発明は、液晶パネルを複数段階の温度域で亜臨界水処理し、前記液晶パネルを構成する液晶材料、ガラス、金属および有機膜からなる群から選ばれる少なくともいずれかをリサイクルする液晶パネルのリサイクル方法であって、前記液晶パネルからの前記液晶材料および前記有機膜の剥離性、前記液晶材料を分解劣化させない性質、前記有機膜の分解性、ならびに、前記液晶材料および前記有機膜の溶解性からなる群から選ばれる少なくともいずれかを向上させる薬剤および水を混合する工程と、前記薬剤と前記水との混合物を亜臨界状態とし、前記液晶パネルを第1段階の亜臨界水処理する工程と、前記液晶パネルから剥離した前記液晶材料を回収する工程と、前記薬剤と前記水との混合物を再度亜臨界状態とし、前記液晶パネルを第2段階の亜臨界水処理する工程と、前記ガラス、前記金属および前記有機膜からなる群から選ばれる少なくともいずれかを前記液晶パネルから回収する工程とを含むことを特徴とする(以下、当該方法を「本発明の第1のリサイクル方法」と呼称する。)。
本発明の第1のリサイクル方法において、前記第1段階の亜臨界水処理工程は、前記第2段階の亜臨界水処理工程よりも低い温度域で行なわれることが、好ましい。
本発明の第1のリサイクル方法において、前記第1段階の亜臨界水処理工程は、前記薬剤と前記水との混合物の温度を373K以上かつ473K未満、圧力を前記温度の飽和蒸気圧以上に調整して行なわれ、前記第2段階の亜臨界水処理工程は、前記薬剤と前記水との混合物の温度は473K以上かつ593K以下、圧力を前記温度の飽和蒸気圧以上に調整して行なわれることが、好ましい。
本発明の第1のリサイクル方法における前記薬剤は塩基性であることが好ましく、アルカリ金属の水酸化物であることがより好ましく、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることが特に好ましい。前記薬剤が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである場合、前記水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと前記水との混合物の濃度は0.01N以上かつ10N以下に調整されることが特に好ましい。
本発明の第1のリサイクル方法における第1段階の亜臨界水処理における亜臨界水の誘電率は15以上かつ50以下であることが好ましい。
本発明の第1のリサイクル方法は、前記液晶パネルを破砕する工程をさらに含むことが好ましく、この場合、前記液晶パネルの破砕物と前記薬剤と前記水とを混合する工程をさらに含むことがより好ましい。
本発明の第1のリサイクル方法は、前記液晶パネルを第2段階の亜臨界水処理をした後の液体を回収する工程をさらに含み、回収した前記液体を繰り返し利用することが好ましい。
本発明の第1のリサイクル方法において前記液晶パネルを亜臨界水処理する時間は、第1段階の亜臨界水処理、第2段階の亜臨界水処理のいずれにおいても0.5分間以上かつ60分間以下であることが好ましい。
本発明はまた、液晶パネルを亜臨界水処理し、前記液晶パネルを構成する液晶材料をリサイクルする液晶パネルのリサイクル方法であって、前記液晶パネルからの前記液晶材料の剥離性、液晶材料を分解劣化させない性質および前記液晶材料の溶解性の少なくとも1つを向上させる薬剤と水を混合する工程と、前記薬剤と前記水との混合物の温度を373K以上かつ473K未満、圧力を前記温度の飽和蒸気圧以上とし、前記液晶パネルを亜臨界水処理する工程と、前記液晶パネルから前記液晶材料を回収する工程とを含む、液晶パネルのリサイクル方法についても提供する(以下、当該方法を「本発明の第2のリサイクル方法」と呼称する。)。
本発明の第2のリサイクル方法における前記薬剤は塩基性であることが好ましく、アルカリ金属の水酸化物であることがより好ましく、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることが特に好ましい。前記薬剤が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである場合、前記水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと前記水との混合物の濃度は0.01N以上かつ10N以下に調整されることが特に好ましい。
本発明の第2のリサイクル方法における亜臨界水の誘電率は15以上かつ50以下であることが好ましい。
本発明の第2のリサイクル方法は、前記液晶パネルを破砕する工程をさらに含むことが好ましく、この場合、前記液晶パネルの破砕物と前記薬剤と前記水とを混合する工程をさらに含むことがより好ましい。
本発明の第2のリサイクル方法は、前記液晶パネルを亜臨界水処理した後、前記薬剤と前記水との混合物を回収する工程をさらに含み、回収した前記薬剤と前記水との混合物を繰り返し利用することが好ましい。
本発明の第2のリサイクル方法において前記亜臨界水処理する時間は、0.5分間以上かつ60分間以下であることが好ましい。
本発明によれば、効率的に液晶材料を液晶パネルから分離回収するために、処理温度、薬剤濃度を最適化した亜臨界水処理を行なう液晶パネルのリサイクル方法を提供することができる。
本発明の液晶パネルのリサイクル方法の好ましい一例を示すフローチャートである。 本発明のリサイクル方法に好適に供される一般的な構造のTFT液晶パネル100を模式的に示す図である。 実験例1において、液晶材料を水のみおよび0.1Nの濃度に調整した水酸化ナトリウム水溶液の亜臨界水によって処理した後の水溶液の各温度におけるTOCを示すグラフであり、縦軸はTOC濃度(mg/L)、横軸は処理温度(K)である。 実験例2において、水のみを用いて亜臨界水処理を行なった後のガラス、メンブレンフィルタ、ろ液から抽出した液晶材料の量を示すグラフであり、縦軸は液晶の存在量(mg/g−LCD)、横軸は処理温度(K)である。 図4の結果をもとに、水のみを用いて亜臨界水処理を行なった後のメンブレンフィルタとろ液から得られた液晶材料の量と誘電率の関係を示すグラフであり、縦軸は液晶の存在割合(フィルタ+ろ液)(%)、横軸は誘電率である 0.1Nに濃度を調整した水酸化ナトリウム水溶液を用いて亜臨界水処理を行なった後のガラス、メンブレンフィルタ、ろ液から抽出した液晶材料の量を示すグラフであり、縦軸は液晶の存在量(mg/g−LCD)、横軸は処理温度(K)である。 図4と図6の結果から、メンブレンフィルタ側の液晶材料の液晶の存在割合からを液晶材料の回収率を算出し表したグラフであり、縦軸は液晶の回収率(%)、横軸は処理温度(K)である。 水のみを用いて亜臨界水処理を行なった後のガラス、メンブレンフィルタ、ろ液から抽出したインジウムの量を示すグラフであり、縦軸はインジウム量(mg/kg)、横軸は処理温度(K)である。 0.1Nに濃度を調整した水酸化ナトリウム水溶液を用いて亜臨界水処理後のガラス、メンブレンフィルタ、ろ液から検出されたインジウム量を示すグラフであり、縦軸はインジウム量(mg/kg)、横軸は処理温度(K)である。
図1は、本発明の液晶パネルのリサイクル方法の好ましい一例を示すフローチャートである。本発明は、液晶パネルを複数段階の温度域で亜臨界水処理し、液晶パネルを構成する液晶材料、ガラス、金属および有機膜からなる群から選ばれる少なくともいずれかを液晶パネルから分離し、回収するリサイクル方法である。図1には、液晶パネルからの前記液晶材料および前記有機膜の剥離性、前記液晶材料を分解劣化させない性質、前記有機膜の分解性、ならびに、前記液晶材料および前記有機膜の溶解性からなる群から選ばれる少なくともいずれかを向上させる薬剤の濃度を調整する工程(薬剤濃度調整工程)(ステップS1)と、液晶パネルを破砕する工程(液晶パネル破砕工程)(ステップS2)と、当該薬剤と水との混合物に熱と圧力を加え亜臨界状態とし、液晶パネルを亜臨界水処理する工程(第一段階の亜臨界水処理工程)(ステップS3)と、液晶材料を回収する工程(液晶材料回収工程)(ステップS4)と、再度当該薬剤と水との混合物に熱と圧力を加え亜臨界状態とし、液晶パネルを亜臨界水処理する工程(第二段階の亜臨界水処理工程)(ステップS5)と、透明電極等の金属や有機膜を回収する工程(透明電極材料回収工程)(ステップS6)と、ガラスを回収する工程(ガラス回収工程)(ステップS7)と、処理後の液体(処理液)を回収する工程(処理液回収工程)と(ステップS8)を含む例が示されている。本発明の液晶パネルのリサイクル方法のうち、上述した「本発明の第1のリサイクル方法」は、図1に示した各工程のうち、薬剤濃度調整工程(ステップS1)、第一段階の亜臨界水処理工程(ステップS3)、液晶材料回収工程(ステップS4)および第二段階の亜臨界水処理工程(ステップS5)と、透明電極材料回収工程(ステップS6)およびガラス回収工程(ステップS7)の少なくともいずれかとを必須の工程として含んでいればよいが、図1に示す手順にて行なわれることが好ましい。また、本発明の液晶パネルのリサイクル方法のうち、上述した「本発明の第2のリサイクル方法」は、図1に示した各工程のうち、薬剤濃度調整工程(ステップS1)、第一段階の亜臨界水処理工程(ステップS3)および液晶材料回収工程(ステップS4)を必須の工程として含んでいればよい。なお、本発明の第1のリサイクル方法、本発明の第2のリサイクル方法のいずれにおいても、上述した必須の工程をそれぞれ含んでいるならば、図1に示した手順の一部が省略されていても順序が入れ替わっていてもよく、また本発明の効果を阻害しない範囲で適宜の他の工程が追加されていてもよい。
ここで、図2は、本発明のリサイクル方法に好適に供される一般的な構造のTFT(Thin Film Transistor)液晶パネル100を模式的に示す図である。一般的なTFT液晶パネル100の構造は、TFT基板1上にマトリックス状に透明電極である画素電極(ITO膜2(Indium Tin Oxide))が形成され、この画素電極毎にTFT3が形成される。画素電極(ITO膜2)はインジウム(In)と錫(Sn)の酸化物により構成される。TFT3は、Alなどの金属導電体膜で形成した走査信号線4およびデータ信号線に接続されており、TFT基板1の画素電極(ITO膜2)の間に格子状に形成されている。TFT基板1と画素電極(ITO膜2)との間には、アクリルなどの樹脂で形成される有機膜20が、存在する。
また、TFT基板1に対向してCF(Color Filter)基板6が配置され、CF基板6のTFT基板1に対向する面には、カラーフィルタ7および対向電極(ITO膜8)が形成されている。また、TFT基板1およびCF基板6の周囲はUV硬化樹脂などのシール剤21が充填され、TFT基板1およびCF基板6の間に液晶9を封入している。また、CF基板6、TFT基板1の液晶9と反対の面には、それぞれ偏光板10が設けられている。偏光板10は、PVA(Poly Vinyl Alcohol)などの有機物により構成される。また、所定の分子配向を得るために、CF基板6の液晶9側にポリイミドなどの有機高分子膜である配向膜23が形成されている。
本発明は、液晶パネル100から、TFT基板1、CF基板6を構成するガラス、液晶9である液晶材料、およびITO膜2、ITO膜8を構成する金属からなる群から選ばれる少なくともいずれかを、2段階の亜臨界水処理を行なうことで分離回収する。また、CF基板6、JAS(紫外線および/または熱硬化アクリル系樹脂)の有機物で構成された有機膜20と同時にITO膜2、ITO膜8を回収してもよい。また、TFT3の構成材料として酸化物半導体、例えばIGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)などを含む場合、TFT3を構成する希少金属を、ITO膜2、ITO膜8を構成する希少金属と共に回収してもよい。
以下、図1に示す例を参照しながら、本発明について詳細に説明する。
〔1〕薬剤濃度調整工程
薬剤濃度調整工程ではまず、液晶パネル100からの液晶材料および有機膜の剥離性、液晶材料を分解劣化させない性質、有機膜の分解性、ならびに、液晶材料および有機膜の溶解性からなる群から選ばれる少なくともいずれかを向上させる薬剤を水と混合し、薬剤の濃度を調整する(ステップS1)。このような薬剤としては、塩基性の薬剤またはアルコールが好適に用いられる。酸性の薬剤は、金属などに対する腐食性が高いため好ましくない。塩基性の薬剤としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ土類金属の炭酸水素塩、アンモニア、アミン系薬剤などが挙げられ、また、アルコールとしては、エタノール、メタノールなどが挙げられる。中でも、有機膜の剥離性および/または分解性の高い強塩基が好ましく、アルカリ金属の水酸化物、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましく、中でも低コストであることから水酸化ナトリウムが特に好ましい。
薬剤が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである場合、液晶パネル100からの有機物の剥離性および有機物の分解性を向上させる効果が特に顕著となることから、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと水との混合物の濃度は、0.01N以上かつ10N以下の範囲内であることが好ましく、0.05N以上かつ1.0N以下の範囲内であることがより好ましい。水酸化ナトリウムの濃度が0.01N未満である場合には、液晶材料および有機膜の剥離性、有機物の分解性、ならびに、液晶材料および有機膜の溶解性からなる群から選ばれる少なくともいずれかが低下する傾向にあり、また、10Nを超える場合には、液晶材料および有機膜の剥離性、有機物の分解性、ならびに、液晶材料および有機膜の溶解性からなる群から選ばれる少なくともいずれかが過剰に向上するとともに液晶材料を分解劣化させない性質が低下し、ガラスに対する溶解性が向上するという傾向にある。
当該工程における薬剤の濃度調整は、たとえば、上述した薬剤として水酸化ナトリウムを用いる場合、pH(イオン濃度)センサをタンク内に装着し、pHが一定値に満たない場合には、水酸化ナトリウムを薬剤タンクより供給するようにして行なう。薬剤は、水に溶解しない状態で薬剤タンクに直接保管するようにしてもよいし、薬剤の高濃度の水溶液を予め調整し、これを薬剤タンクに保管するようにしてもよい。またpHが一定値以上の場合は、水を供給し水溶液のイオン濃度を一定にする。
なお、後述する処理液回収工程(ステップS8)で回収された処理液を当該工程における薬剤の濃度調整に用いるようにしてもよい。
〔2〕液晶パネル破砕工程
本発明において、処理に供する液晶パネル100は、破砕されたものであることが好ましい。図2に示す通り液晶パネル100はCF基板6とTFT基板1の端部をシール剤21によって貼り合わされた構造をしている。したがって液晶パネル100を破砕することで、液晶9を中心にCF基板6とTFT基板1を分割させ、これにより効率的に亜臨界水を浸透させることができる。すなわち、本発明においては、第一段階の亜臨界水処理工程(ステップS3)の前に、液晶パネル100を破砕する工程(図1に示す例では、液晶パネル破砕工程(ステップS2))をさらに含む事が好ましい。
〔3〕第一段階の亜臨界水処理工程
上述のように薬剤と水との混合物に混ぜられたパネル破砕品は、ポンプなどの輸送手段によって搬送され、亜臨界水処理を行なうための反応容器にその投入口から供され、第一段階の亜臨界水処理が行なわれる(ステップS3)。当該工程では、まず、ポンプなどの加圧手段によって、薬剤と水とパネル破砕物との混合物を収容した反応容器内を加圧する。次に、加熱手段を用いて、加圧した反応容器内の薬剤と水とパネル破砕物との混合物を加熱し、前記混合物中の水を亜臨界水状態とする。ここで、水は、22.1MPaの圧力をかけると374℃(647K)まで液体の状態を保ち、これ以上の温度、圧力の水は「超臨界水」と呼ばれるが、「亜臨界水」とは、通常の状態の水とこの超臨界水の状態の水との中間の状態の水を指す。即ち、温度が100℃(273K)以上でも圧力が飽和蒸気圧以上である水は液体の状態を保ち、この状態の水を亜臨界水と呼ぶ。
上述した薬剤と水とパネル破砕品との混合物は、投入口を介して、反応容器内に導入される。
本発明の液晶パネルのリサイクル方法において、液晶を劣化させることなく、液晶材料のみを選択的および効率的に回収するためには、前記第1段階の亜臨界水処理工程は、前記第2段階の亜臨界水処理工程よりも低い温度域で行なわれることが好ましい。
本発明の第1のリサイクル方法の場合には、第一段階の亜臨界水処理工程において、373K以上かつ473K未満の温度、圧力はその温度に対する飽和蒸気圧以上の条件で加熱および加圧を行なうことが好ましい。また、本発明の第2のリサイクル方法の場合には、当該工程において、前記薬剤と前記水との混合物の温度を373K以上かつ473K未満、圧力を前記温度の飽和蒸気圧以上とし、前記液晶パネルを亜臨界水処理する。この亜臨界水処理工程における温度が373K未満である場合には、液晶材料の剥離性および液晶材料の溶解性からなる群から選ばれる少なくともいずれかが低下する虞があり、また、473K以上である場合には、液晶材料の分解性が向上し、液晶材料自体が劣化してしまう虞があるためである。そのため、液晶材料の剥離性および液晶材料の溶解性からなる群から選ばれる少なくともいずれかを向上させ、液晶パネルから液晶材料を剥離および/または溶解する処理を行ない、かつ、劣化させずに効率的に回収するためには、393K以上かつ453K以下の温度、ならびに、当該温度に対する飽和蒸気圧以上の圧力で加熱および加圧を行なうことが特に好ましい。
薬剤が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである場合、液晶パネルからの液晶材料の剥離性を向上させる効果が特に顕著となることから、上述のように水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと水との混合物の濃度は0.01N以上かつ10N以下の範囲内であることが好ましく、0.05N以上かつ1.0N以下の範囲内であることがより好ましい。
第一段階の亜臨界水処理工程を行なう時間は特に制限されないが、0.5分間以上かつ60分間以下の範囲内であることが好ましく、0.5分間以上かつ10分間以下の範囲内であることがより好ましい。第一段階の亜臨界水処理工程を行なう時間が0.5時間未満である場合には、液晶材料の剥離性、ならびに、液晶材料の溶解性からなる群から選ばれる少なくともいずれかが低下する傾向にあるためであり、また、60分間を超える場合には、液晶材料を分解劣化させない性質が低下し、液晶材料自体が劣化してしまう傾向にあるためである。
本発明における第一段階の亜臨界水処理工程においては、上述した温度条件と水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと水との混合物の濃度によって亜臨界水処理することで、液晶パネルから液晶材料を劣化させることなく効果的に分離することができる。
〔4〕液晶材料回収工程
第一段階の亜臨界水処理工程において、液晶材料は液晶パネルから分離しており、水溶液中にはほとんど溶解せず油層やエマルジョンの状態で水溶液中に浮遊している。そのため、第一段階の亜臨界水処理の条件を最適にし、油層やエマルジョンを回収することでほとんどの液晶材料を回収できる(ステップS4)。液晶材料の回収方法としては、疎水性の有機溶媒などを用いて溶媒抽出してもよいし、フィルタを利用して捕捉、回収を行なうのがよい。フィルタの細孔径は0.1μm以上かつ30μm以下の範囲が好ましく、0.1μm以上かつ10μm以下の範囲が特に好ましい。
当該工程で分離・回収された液晶材料は精製し、再度液晶材料として使用することができる。その用途としては、ディスプレイなどの表示機器、シャッターやブラインドなどを挙げることができる。
〔5〕第二段階の亜臨界水処理工程
前記第一段階の亜臨界水処理によって液晶材料を分離し、液晶材料回収工程で液晶材料を回収した後、上記第一段階の亜臨界水処理工程同様の方法によってパネル破砕品は第二段階の亜臨界水処理工程(ステップS5)に供される。
ここで、第二段階の亜臨界水処理工程を行う反応容器は前記第一段階の亜臨界水処理工程で使用したものでもよいし、別途反応容器を設けてもよい。このように、反応容器を複数個設けることにより昇温にかかる時間を短縮することができる。
第二段階の亜臨界水処理工程においては、473K以上かつ593K以下の温度、ならびに、当該温度に対する飽和蒸気圧以上の圧力の条件で加熱および加圧を行なうことが好ましい。第二段階の亜臨界水処理工程における温度が473K未満である場合には、有機膜の剥離性、有機膜の分解性、ならびに、有機膜の溶解性からなる少なくともいずれかが低下するためITOの回収効率が低下する虞があり、また、593Kを超える場合には、有機膜の剥離性、有機膜の分解性、ならびに、有機膜の溶解性からなる群から選ばれる少なくともいずれかが過剰に向上するとともにガラスに対する溶解性が向上し、ITOの回収効率が低下する虞がある。有機膜の剥離性、有機膜の分解性、ならびに、有機膜の溶解性からなる群から選ばれる少なくともいずれかを向上させ、液晶パネルから有機膜を剥離、分解および溶解から選ばれる少なくともいずれかの処理を行ない、ITOを効率的に回収するためには、493K以上かつ553K以下の温度、ならびに、当該温度に対する飽和蒸気圧以上の圧力の条件で加熱および加圧を行なうことが特に好ましい。
また、薬剤が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである場合、液晶パネルからの有機物の剥離性および有機物の分解性を向上させる効果が特に顕著となることから、上述のように水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと水との混合物の濃度は0.01N以上かつ10N以下の範囲内であることが好ましく、0.05N以上かつ1.0N以下の範囲内であることがより好ましい。
本発明における第一段階の亜臨界水処理工程においては、上述した温度条件と水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと水との混合物の濃度によって亜臨界水処理することで、液晶パネルからガラス(基板)、有機膜(CFおよびJAS膜)および金属(ITO)を効果的に分離することができる。
〔6〕透明電極材料回収工程
第二段階の亜臨界水処理工程において、金属(ITO)は水溶液中にほとんど溶解せず、SS(浮遊物:Suspended Solids)として水溶液中に浮遊している。そのため、第二段階の亜臨界水処理の条件を最適にし、SSを回収することでほとんどの希少金属(ITO)を回収できる(ステップS6)。SSの回収方法としては、亜臨界水の反応容器内が流動層式の場合、SSとガラスの比重差を利用し、SSのみを流動化させることで容易に分離することができる。攪拌式の場合、亜臨界水中に浮遊したSSを反応器上部から液とともに排出することにより分離できる。また、遠心分離器などを利用するのがよい。分離後のSSはフィルタなどで捕集し、このときのフィルタのメッシュサイズは、0.1μm以上かつ30μm以下の範囲が好ましく、SSの大きさを考慮すると0.5μm程度がよい。なお、当該工程には液晶パネルより剥離した有機膜(CF、JAS膜)とITOが密着した状態でも浮遊しているが、金属(ITO)と分離してもかまわないし、同時に回収してもよい。
〔7〕ガラス回収工程
次に、第二段階の亜臨界水処理工程を行なった反応容器の排出口から、ガラス(基板)および透明電極材料回収工程で回収しきれなかった有機膜(CFおよびJAS膜)、金属(ITO)を含むSSと薬剤の水溶液から、まずはガラスを分離し、回収する(ステップS7)。ガラスの分離には、攪拌機によって水溶液を攪拌させることで、SSのみを浮上させ上澄み液をフィルタなどの捕集手段によって容易にガラスとSSを分離回収することができる。また、トロンメルや振動篩、遠心分離機などの目の粗いフィルタを利用して、ガラスとSSを分離し、ガラスを回収する。またエアーリフト方式の比重分離装置を利用して、ガラスを分離回収してもよい。
当該工程で分離・回収されたガラスは、水の入った容器に収容され、水を硫酸などで中和させ、その後、塩分を洗い流し液晶パネルの原料として再利用したり、水洗いせずに発泡ガラスなどに加工され、建材などに好適に利用することができる。
当該工程で分離・回収されたSS(ITO、有機膜)は、精錬工程場でインジウムに分離され再利用される。
〔8〕処理液回収工程
上述したようにSSを分離・回収した後、固液分離されて残った液体(好適には、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液)は、処理液として回収される(ステップS8)。回収された処理液は、上述した薬剤濃度調整工程(ステップS1)に戻され、最適な濃度に調整され、循環され、再利用することができる。また複数回の使用で処理液中に回収し切れなかった有機膜が多く含まれるようになった場合、液晶パネルを投入せず処理液のみで亜臨界水処理工程に供し、有機膜を分解後、再利用することも可能である。
なお、本発明の第2のリサイクル方法の場合には、373K以上かつ473K未満の温度、当該温度の飽和蒸気圧以上の圧力での上述した亜臨界水処理(ステップS3)を行なった後、上述したステップS4〜S7を飛ばして、当該工程にて前記薬剤と前記水との混合物を回収し、回収した前記薬剤と前記水との混合物を繰り返し利用するようにすることが、好ましい。
以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実験例1>
液晶材料の亜臨界水処理による挙動を確認するため、液晶材料のみの亜臨界水処理を行なった。反応容器をSUS316L BA製(外径:3/4inch、内径:16mm、長さ:150mm、内容積:30×10−6)パイプに両端をSwagelok社製キャップ(SS−1210−C)で密閉し作製した(実験例には同様の反応容器を使用)。熱媒体であるシリコーンオイル(TSF−458−100、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製を使用)をオイルバス(T−305、トーマス科学器械株式会社製)に投入し熱源の調整を行なった。作製した反応容器の一方のキャップを開け反応容器内に液晶材料100mgと、0.1Nに濃度を調整した水酸化ナトリウム水溶液20mlを充填した後、空隙部の空気をアルゴンガスで置換しキャップを閉じ密閉反応容器とした。密閉反応容器を所定の温度に加熱したオイルバス内へ投入することで、密閉容器内の水溶液が上昇し亜臨界状態となり、亜臨界水処理を行なうことができる。なお、亜臨界水温度はオイルバスのオイルの温度とした。
実験条件は、温度条件を常温(298K)、または、453K以上かつ553K以下の亜臨界水温度(圧力はその温度における飽和蒸気圧である)とし、処理時間は5分間とした。また、比較のために水酸化ナトリウム水溶液に代えて水を用いた以外は同様にした実験も行なった。
亜臨界水処理後の密閉反応容器を冷却後、内部の水溶液をトルエン溶液10mlと混合し、十分攪拌させトルエン部分と水溶液を分液ロートによって分離した。分離後の水溶液のTOC(Total Organic Carbon)を測定した。TOCの測定には全有機体炭素計(TOC−VCPH、島津製作所製)を使用した。ここで、図3は、液晶材料を水のみおよび0.1Nの濃度に調整した水酸化ナトリウム水溶液の亜臨界水によって処理した後の水溶液の各温度におけるTOCを示すグラフであり、縦軸はTOC濃度(mg/L)、横軸は処理温度(K)である。図3から、523K以上からTOC濃度が急激に上昇していることが確認できる。これは、液晶材料の一部が水酸化ナトリウム水溶液に可溶化しているためである。一般的に液晶材料は疎水性であるため、ほとんど水には溶解しない。この結果は、亜臨界水処理(523K以上)を行なうことによって液晶材料が劣化(酸化、加水分解など)していることを示している。この結果からも、液晶材料を劣化させることなく回収するためには、523K以下の亜臨界水で処理を行なう必要がある。
<実験例2>
ここでは、液晶パネルからの液晶材料の回収を検討した。液晶パネルを適当なサイズ破砕(<10mm)し、CF基板とTFT基板とに分割した。反応容器内にCF基板3gとTFT基板3gの合計6gと水のみ、または、0.1Nに濃度を調整した水酸化ナトリウム水溶液を20ml投入し、空隙部をアルゴンガスによって置換しキャップを閉じ密閉反応容器とした。密閉反応器を373K以上かつ673K以下の範囲内の温度で5分間、亜臨界水処理(一部超臨界水処理)を行なった。処理後、密閉容器を冷却後、反応容器の内容物をガラスと処理液とに分離した。さらに分離した処理液をメンブレンフィルタ(Advantec社製、細孔径:1.0μm、材質:PTFE)によってろ過し、メンブレンフィルタとろ液に分離した。分離したガラス、メンブレンフィルタ、ろ液それぞれにトルエンに浸漬させ液晶材料の抽出を行なった。抽出した液晶はガスクロマトグラフィー(GC)によって定量した。GCはGC−14A(島津製作所製)を用いた。
図4は、水のみを用いて亜臨界水処理を行なった後のガラス、メンブレンフィルタ、ろ液から抽出した液晶材料の量を示すグラフであり、縦軸は液晶の存在量(mg/g−LCD)、横軸は処理温度(K)である。図4から、453Kまでは、ガラス上液晶材料が多く含まれており、573K以上からはほとんど検出されていない。一方、メンブレンフィルタ側からの液晶材料はガラスに含まれる液晶材料よりも少ない。
ここで、図5は、図4の結果をもとに、水のみを用いて亜臨界水処理を行なった後のメンブレンフィルタとろ液から得られた液晶材料の量と誘電率の関係を示すグラフであり、縦軸は液晶の存在割合(フィルタ+ろ液)(%)、横軸は誘電率である。図5から、誘電率が25〜35のときに高い値を示していることが分かる。これは、亜臨界状態になることで水の誘電率が変化するが、その誘電率の範囲では液晶材料がガラスから分離しやすいことを表している。
また図6は、0.1Nに濃度を調整した水酸化ナトリウム水溶液を用いて亜臨界水処理を行なった後のガラス、メンブレンフィルタ、ろ液から抽出した液晶材料の量を示すグラフであり、縦軸は液晶の存在量(mg/g−LCD)、横軸は処理温度(K)である。図6から、373K以上かつ473K以下の範囲内の温度において液晶材料はほとんどメンブレンフィルタ側に存在することが分かり、ガラス側やろ液側にはほとんど液晶材料が存在しないことが分かる。一方、473K以上からメンブレンフィルタ側の液晶材料は減少しろ液側が上昇し始める。
図7は、図4と図6の結果から、メンブレンフィルタ側の液晶材料の液晶の存在割合からを液晶材料の回収率を算出し表したグラフであり、縦軸は液晶の回収率(%)、横軸は処理温度(K)である。図7から、濃度を0.1Nに調整した水酸化ナトリウム水溶液を用いて亜臨界水処理を行なった場合は、373Kで液晶材料の回収率約90%、413K〜473Kではほぼ100%を示していることが分かる。一方、水のみで亜臨界水処理を行なった場合の液晶材料の回収率は20%程度であり、また温度も比較的高くなる。特に実験例1にも示したが、亜臨界水処理温度は低いことが好ましく、523K以下が特に好ましい。
よって、本発明により、低エネルギーコストで効率よく液晶材料をフィルタによって捕集するなどの手段によって容易に回収できることを示した。つまり、亜臨界水を用いて液晶パネルをリサイクル処理し、液晶材料を液晶パネルから分離し、回収しリサイクルするためには、水酸化ナトリウム水溶液は0.01N以上かつ10N以下の範囲内に調整することが好ましく、0.05N以上かつ1.0N以下の範囲内に調整することがより好ましい。温度は373K以上かつ473K以下の範囲内が好ましく、393K以上かつ473K以下の範囲内がより好ましい。処理時間は0.5分間以上かつ60分間以下が好ましく、0.5分間以上10分間以下がより好ましい。なお、当検討に0.1Nの濃度に調整した水酸化カリウム水溶液を用いて行なった実験においても、水酸化ナトリウムで処理したものと同様の結果を得た(図示せず)。
<実験例3>
ここでは、液晶パネルからの透明電極材料(ITO:Indium Tin Oxide)に含まれるインジウムの回収を検討した。実験例2と同様の破砕した液晶パネルを使用し、反応容器内にCF基板3gとTFT基板3gの計6gと水のみ、または、0.1Nに濃度を調整した水酸化ナトリウム水溶液を20ml投入し、空隙部をアルゴンガスによって置換しキャップを閉じ密閉反応容器とした。密閉反応器を373K以上かつ673K以下の範囲内の温度で5分間、亜臨界水処理(一部超臨界水処理)を行なった。処理後、密閉容器を冷却後、反応容器の内容物をガラスと水溶液に分離した。さらに分離した水溶液をメンブレンフィルタ(Advantec社製、細孔径:1.0μm、材質:PTFE)によってろ過し、メンブレンフィルタとろ液に分離した。メンブレンフィルタ、ガラスを7%調整HCl溶液に浸漬させITOを十分溶解させた。HClに溶解したITOからのインジウム濃度を測定することで、インジウムの回収率を評価した。インジウムの測定にはICP発光分析装置(ICPE−9000、島津製作所製)使用した。
図8は、水のみを用いて亜臨界水処理を行なった後のガラス、メンブレンフィルタ、ろ液から抽出したインジウムの量を示すグラフであり、縦軸はインジウム量(mg/kg)、横軸は処理温度(K)である。図8から、処理前の液晶パネルに含まれているインジウムの量は約330mg/kgであった。373K以上かつ503K以下の範囲内の温度においてインジウムはほとんどガラスから検出されていることが分かる。これは、ITOが液晶パネル上にほとんど残っていることを表しており、亜臨界水処理による効果がほとんど表れていない。503K以上の温度から次第にガラス上のインジウム量が減少すると同時にメンブレンフィルタからインジウムが検出され始めている。これは、亜臨界水処理によってガラス上のITOが剥離し、メンブレンフィルタによって補足、つまり回収できたことを表している。しかし、メンブレンフィルタに捕捉されたインジウム量は最大で150mg/kgであった。これは、液晶パネルに含まれているインジウムの量の半分に満たない量である。なお、ろ液からはインジウムは全く検出されなかった。
また図9は、0.1Nに濃度を調整した水酸化ナトリウム水溶液を用いて亜臨界水処理後のガラス、メンブレンフィルタ、ろ液から検出されたインジウム量を示すグラフであり、縦軸はインジウム量(mg/kg)、横軸は処理温度(K)である。図9から処理前の液晶パネルに含まれているインジウムの量は約350mg/kgであった。373K以上かつ503K以下の範囲内の温度においてガラス上のインジウムは減少し、503K以上かつ553K以下の範囲内の温度でインジウムは検出されなかった。逆に、373K以上かつ503K以下の範囲内の温度においてメンブレンフィルタのインジウム量は増加し、503K以上かつ553K以下の範囲内の温度においてはほぼ全量のインジウムが検出された。逆に553Kを超えて温度を上げると、再びガラス上からインジウムが検出され始め、メンブレンフィルタからは減少した。なお、ろ液からはインジウムは全く検出されなかった。
したがって、低エネルギーコストで効率よく金属をフィルタによって捕集するなどの手段によって容易に回収できることが示された。つまり、亜臨界水を用いて液晶パネルをリサイクル処理し、金属及び有機膜を液晶パネルから分離し、回収しリサイクルするためには、水酸化ナトリウム水溶液は0.01N以上かつ10N以下の範囲内の濃度に調整することが好ましく、0.05N以上かつ1.0N以下の範囲内の濃度に調整することがより好ましい。温度は473K以上かつ593K以下の範囲内が好ましく、493K以上かつ553K以下の範囲内がより好ましい。処理時間は0.5分間以上かつ60分間以下が好ましく、0.5分間以上かつ10分間以下がより好ましい。なお、当検討に0.1Nの濃度に調整された水酸化カリウム水溶液を用いて行なった実験においても、水酸化ナトリウムで処理したものと同様の結果を得た(図示せず)。
今回開示された実施の形態及び実験例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および請求内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 TFT基板、2 ITO膜、3 TFT、4 走査信号線、6 CF基板、7 カラーフィルタ、8 ITO膜、9 液晶、10 偏光板、20 有機膜、21 シール剤、23 配向膜、100 液晶パネル。

Claims (22)

  1. 液晶パネルを複数段階の温度域で亜臨界水処理し、前記液晶パネルを構成する液晶材料、ガラス、金属および有機膜からなる群から選ばれる少なくともいずれかをリサイクルする液晶パネルのリサイクル方法であって、
    前記液晶パネルからの前記液晶材料および前記有機膜の剥離性、前記液晶材料を分解劣化させない性質、前記有機膜の分解性、ならびに、前記液晶材料および前記有機膜の溶解性からなる群から選ばれる少なくともいずれかを向上させる薬剤および水を混合する工程と、
    前記薬剤と前記水との混合物を亜臨界状態とし、前記液晶パネルを第1段階の亜臨界水処理する工程と、
    前記液晶パネルから剥離した前記液晶材料を回収する工程と、
    前記薬剤と前記水との混合物を再度亜臨界状態とし、前記液晶パネルを第2段階の亜臨界水処理する工程と、
    前記ガラス、前記金属および前記有機膜からなる群から選ばれる少なくともいずれかを前記液晶パネルから回収する工程とを含む、液晶パネルのリサイクル方法。
  2. 前記第1段階の亜臨界水処理工程は、前記第2段階の亜臨界水処理工程よりも低い温度域で行なわれる、請求項1に記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  3. 前記第1段階の亜臨界水処理工程は、前記薬剤と前記水との混合物の温度を373K以上かつ473K未満、圧力を前記温度の飽和蒸気圧以上に調整して行なわれ、
    前記第2段階の亜臨界水処理工程は、前記薬剤と前記水との混合物の温度は473K以上かつ593K以下、圧力を前記温度の飽和蒸気圧以上に調整して行なわれる、請求項1または2に記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  4. 前記薬剤は、塩基性である、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  5. 前記塩基性の薬剤はアルカリ金属の水酸化物である、請求項4に記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  6. 前記アルカリ金属の水酸化物は水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである、請求項5に記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  7. 前記水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと前記水との混合物の濃度は、0.01N以上かつ10N以下に調整される、請求項6に記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  8. 前記第1段階の亜臨界水処理における亜臨界水の誘電率は15以上かつ50以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  9. 前記液晶パネルを破砕する工程をさらに含む、請求項1〜8のいずれかに記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  10. 前記液晶パネルの破砕物と前記薬剤と前記水とを混合する工程をさらに含む、請求項9に記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  11. 前記液晶パネルを第2段階の亜臨界水処理をした後の液体を回収する工程をさらに含み、回収した前記液体を繰り返し利用する、請求項1〜10のいずれかに記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  12. 前記液晶パネルを亜臨界水処理する時間は、第1段階の亜臨界水処理、第2段階の亜臨界水処理のいずれにおいても0.5分間以上かつ60分間以下である、請求項1〜11のいずれかに記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  13. 液晶パネルを亜臨界水処理し、前記液晶パネルを構成する液晶材料をリサイクルする液晶パネルのリサイクル方法であって、
    前記液晶パネルからの前記液晶材料の剥離性、液晶材料を分解劣化させない性質および前記液晶材料の溶解性の少なくとも1つを向上させる薬剤と水を混合する工程と、
    前記薬剤と前記水との混合物の温度を373K以上かつ473K未満、圧力を前記温度の飽和蒸気圧以上とし、前記液晶パネルを亜臨界水処理する工程と、
    前記液晶パネルから前記液晶材料を回収する工程とを含む、液晶パネルのリサイクル方法。
  14. 前記薬剤は、塩基性である、請求項13に記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  15. 前記塩基性の薬剤はアルカリ金属の水酸化物である、請求項14に記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  16. 前記アルカリ金属の水酸化物は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである、請求項15に記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  17. 前記水酸化ナトリウムと前記水との混合物の濃度は、0.01N以上かつ10N以下に調整される、請求項16に記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  18. 前記亜臨界水の誘電率は15以上かつ50以下である請求項14〜17のいずれかに記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  19. 前記液晶パネルを破砕する工程をさらに含む、請求項14〜18のいずれかに記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  20. 前記液晶パネルの破砕物と前記薬剤と前記水とを混合する工程をさらに含む、請求項19に記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  21. 前記液晶パネルを亜臨界水処理した後、前記薬剤と前記水との混合物を回収する工程をさらに含み、回収した前記薬剤と前記水との混合物を繰り返し利用する、請求項14〜20のいずれかに記載の液晶パネルのリサイクル方法。
  22. 前記亜臨界水処理する時間は、0.5分間以上かつ60分間以下である、請求項14〜21のいずれかに記載の液晶パネルのリサイクル方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104646395A (zh) * 2015-01-30 2015-05-27 上海交通大学 亚/超临界水法从废弃液晶面板中回收乙酸的装置及方法

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