JP2013116431A - 反応装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】集塵機で捕集された固体触媒を反応容器の外部に円滑に排出することが可能な反応装置を提供する。
【解決手段】本発明の反応装置は、反応容器20と、反応容器20の内部に配置された固体触媒からなる流動層と、流動層から吹き上げられた固体触媒を捕集し、捕集された固体触媒を流動層に排出する集塵機23A〜23Dと、反応容器20の側壁に設けられた固体触媒の触媒排出口28と、を備え、集塵機23A〜23Dは、複数のサイクロン(第1サイクロン100、第2サイクロン110、第3サイクロン120)を直列に接続したサイクロン式集塵機であり、複数のサイクロンは、それぞれ捕集された固体触媒を流動層に排出する排出口を備え、集塵機23A〜23Dを構成する複数のサイクロンのうち最も後段側のサイクロン120の排出口は最も前段側のサイクロン100の排出口よりも反応容器20の触媒排出口28までの距離が短い。
【選択図】図2

Description

本発明は、反応装置に関する。
流動層を利用した反応装置として、特許文献1に記載の反応装置が知られている。特許文献1の反応装置は、反応容器内の設置した固体触媒に原料ガスを噴射して流動化し、固体触媒と原料ガスとの接触効率を向上させて、目的の化学反応を行わせる反応装置である。粉体状の固体触媒が原料ガスの流れによって流動状態となったものを流動層という。流動層を利用した反応装置は、固体触媒と原料ガスとの接触効率が良好で、目的とする化学反応が円滑に行われることから、触媒反応の分野において広く利用されている。
特開2010−168331号公報
流動層を用いた触媒反応プロセスでは、コーク成分(炭素質物質)が固体触媒の表面に付着し、触媒活性が経時的に低下する。そのため、反応容器中の固体触媒を連続的に抜き出し再生器に移送するとともに、再生済みの固体触媒を再生器から反応容器に同量連続的に戻すことで、触媒活性を維持する循環式の反応装置が提案されている。一方、固体触媒の一部は反応ガスに巻き上げられて反応ガスとともに集塵機で捕集され、反応ガスから分離されて集塵機の排出口から流動層に戻される。触媒反応プロセスで用いられる固体触媒には、少なからず平均粒径よりも小さな粒子と平均粒径よりも大きな粒子とが含まれ、ある程度の粒径分布を有する。集塵機で気―固分離され、反応容器内に留まる程度の粒径の小さな軽い固体触媒は粒径の大きい固体触媒に比べて、触媒層の上部や反応容器の上部に存在する確率が高く、一部の粒径の小さな固体触媒は反応容器内に長期滞留すると考えられる。よって、このような固体触媒が再生器で再生されないまま反応容器に溜まっていくと、触媒反応プロセスが阻害され、十分な反応成績が得られなくなる。
本発明の目的は、集塵機で捕集された固体触媒を反応容器の外部に円滑に排出することが可能な反応装置を提供することにある。
本発明の反応装置は、反応容器と、前記反応容器の内部に配置された固体触媒からなる流動層と、前記流動層から吹き上げられた前記固体触媒を捕集し、捕集された前記固体触媒を前記流動層に排出する集塵機と、前記反応容器の側壁に設けられた前記固体触媒の触媒排出口と、を備え、前記集塵機は、複数のサイクロンを直列に接続したサイクロン式集塵機であり、前記複数のサイクロンは、それぞれ捕集された前記固体触媒を前記流動層に排出する排出口を備え、前記集塵機を構成する複数のサイクロンのうち最も後段側のサイクロンの排出口は最も前段側のサイクロンの排出口よりも前記反応容器の触媒排出口までの距離が短い。
前記集塵機は、2以上のサイクロンを直列に接続したサイクロン式集塵機であり、前記複数のサイクロンは、前記反応容器の内壁に沿って弧を描くように配置されていてもよい。
前記集塵機を構成する複数のサイクロンのうち最も後段側のサイクロンの排出口は最も前段側のサイクロンの排出口よりも前記反応容器の内壁までの距離が短くてもよい。
前記集塵機を構成する複数のサイクロンの配列は特に限定されないが、前記反応容器の内壁に沿って複数設けられることが好ましい。また、前記反応容器の触媒排出口は、前記複数の集塵機のそれぞれに対応して設けられていてもよい。
前記反応容器の複数の触媒排出口は、前記反応容器の中心軸を対称軸として、回転対称に配置されていてもよい。
前記反応容器の触媒排出口から排出された前記固体触媒を酸素含有ガスの雰囲気下で加熱して触媒活性が回復するよう再生する再生器と、前記再生器に向けて酸素含有ガスを送り出すことにより、前記反応容器の触媒排出口から排出された前記固体溶媒を前記再生器に移送する触媒移送機構と、前記再生器で再生された前記固体触媒を前記反応容器に戻す再生触媒移送機構と、を備えていてもよい。
前記反応容器の側壁には、前記再生器で再生された前記固体触媒を前記反応容器に流入させる前記固体触媒の触媒流入口が設けられており、前記反応容器の触媒流入口は、前記反応容器の中心軸方向から見て、前記反応容器において互いに隣接する2つの前記触媒排出口の間の位置に設けられていてもよい。
本発明によれば、集塵機で捕集された固体触媒を反応容器の外部に円滑に排出することが可能な反応装置が提供される。
第1実施形態の反応装置の模式図である。 反応器の平面図である。 第1サイクロンの概略構成を示す斜視図である。 第2実施形態の反応器の平面図である。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の反応装置1の模式図である。反応装置1は、例えば、固体触媒10aと低級アルコールの共存化でシクロヘキサノンオキシムをベックマン転位反応させてε−カプロラクタムを製造するものである。
反応装置1は、反応器2と、再生器3と、触媒移送機構6と、再生触媒移送機構8と、を含んで構成されている。
反応器2は、反応容器20と、原料ガス導入部21と、反応ガス排出部22と、気固分離装置としての集塵機23と、冷却部24と、触媒排出口28と、触媒流入口29と、を備えている。
反応容器20は、円筒状の直胴部20aを有する容器であるが、直胴部20aの上方には、直胴部20aよりも内径の大きい円筒状の拡大部が接続されていてもよい。直胴部20aの下部には、内径が漸減する円錐状のコーン部20cが接続されているが、直胴部20aの下部が円錐状のコーン形状でなくても構わない。直胴部20aとコーン部20cとの境界には、多数の孔が分散して形成された分散板25が設けられている。分散板25上には固体触媒10aの粉体からなる粉体層10が形成されている。
コーン部20cには、原料ガスG1を導入する原料ガス導入部21が接続されている。原料ガス導入部21により、シクロヘキサノンオキシムを含む原料ガスG1がコーン部20cの内部に導入されるようになっている。原料ガスG1は、分散板25に形成された多数の孔を介して粉体層10の底部に噴射される。粉体層10は、分散板25から鉛直上方に吹き上げられた原料ガスG1の流れによって流動化し、流動層となる。原料ガスG1は、流動層となった粉体層10の内部を均一に流れ、固体触媒10aと接触してベックマン転位する。これにより、ε−カプロラクタムを含む反応ガスG2が生成される。
固体触媒10aとしては、例えば、ホウ酸触媒、シリカ・アルミナ触媒、リン酸触媒、複合金属酸化物触媒、ゼオライト触媒等が挙げられる。中でもゼオライト触媒が好ましく、さらに好ましくはペンタシル型ゼオライト、特に好ましくはMFIゼオライトである。
ゼオライト触媒は、その骨格が実質的にケイ素及び酸素のみから構成される結晶性シリカであってもよいし、骨格を構成する元素としてさらに他の元素を含む結晶性メタロシリケート等であってもよい。結晶性メタロシリケート等である場合、ケイ素及び酸素以外に存在しうる元素としては、例えば、Be、B、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Sb、La、Hf、Bi等が挙げられ、これらの2種以上が含まれていてもよい。これら元素に対するケイ素の原子比は、通常5以上であり、好ましくは50以上、さらに好ましくは500以上である。なお、この原子比は、原子吸光法や蛍光X線法等により測定することができる。
ゼオライト触媒は、例えば、ケイ素化合物、4級アンモニウム化合物、水、及び必要に応じて金属化合物等を原料として水熱合成に付し、得られた結晶を乾燥、焼成した後、アンモニアやアンモニウム塩で接触処理し、次いで乾燥することにより、好適に調製することができる。
固体触媒10aの粒径は0.001〜5mmであるのが好ましく、さらに好ましくは0.01〜3mmである。また、固体触媒10aは、例えば、実質的に触媒成分のみからなる成形体であってもよいし、触媒成分を担体に担持したものであってもよい。
固体触媒10aを用いたシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応は、気相条件下で行うことができる。反応温度は通常250〜500℃、好ましくは300〜450℃である。反応圧力は通常0.01〜0.5MPa、好ましくは0.02〜0.2MPaである。また、触媒1kgあたりの原料シクロヘキサノンオキシムの供給速度(kg/h)、すなわち空間速度WHSV(h−1)は、通常0.5〜20h−1、好ましくは1〜10h−1である。
シクロヘキサノンオキシムは、低級アルコールとともに反応容器20に導入される。なお、シクロヘキサノンオキシム単独で反応系内に導入してもよいし、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスと共に導入してもよい。
ここで用いられるアルコールとしては炭素数6以下の低級アルコールが好ましい。例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、n−アミルアルコール、n−ヘキサノール、2,2,2−トリフルオロエタノール等の1種または2種以上用いることができる。特にメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールを1種または2種以上用いればε−カプロラクタムの選択率および触媒寿命の改良に著しい効果を示し、より好ましい。中でもメタノールまたはエタノールは著しい効果を示し、工業的観点から最も好ましいものである。
低級アルコールの量は、シクロヘキサノンオキシムに対して重量比で、通常0.1〜20倍が適当である。好ましくは10倍以下がよく、さらに好ましくは0.3〜8倍の範囲がよい。
希釈ガスとしてベンゼン、シクロヘキサン、トルエン等のような反応に不活性な化合物の蒸気あるいは窒素、二酸化炭素等の不活性ガスを共存させることもできる。反応温度は通常250℃〜500℃の範囲がよい。250℃未満の温度では反応速度が十分でなく、またε−カプロラクタムの選択率も低下する傾向がある。一方、500℃を越えるとシクロヘキサノンオキシムの熱分解が無視できなくなるためにε−カプロラクタムの選択率が低下する傾向がある。特に好ましい温度範囲は300℃〜450℃であり、最も好ましい温度範囲は300℃〜400℃である。原料シクロヘキサノンオキシムの空間速度は、WHSV=0.5〜20hr−1 (すなわち触媒1kg当りのシクロヘキサノンオキシム供給速度0.5〜20kg/hr)である。好ましくは1〜10hr−1の範囲から選ばれる。反応混合物からのε−カプロラクタムの分離は、通常の方法で実施できる。例えば反応生成ガスを冷却して凝縮させ、次いで抽出、蒸留あるいは晶析等により精製されたε−カプロラクタムを得ることができる。
反応器2は、粉体層10を冷却する冷却部24を備えている。冷却部24は、冷媒を流通させる複数の除熱管24aを備えている。除熱管24aの少なくとも一部は粉体層10の内部に埋設されている。粉体層10の内部にこもった反応熱は、除熱管24aを通る冷媒によって回収され、反応容器20の外部に排出される。反応容器20内の反応温度は、冷却部24によって所定の温度範囲を超えないように調整される。冷媒としては、例えば、水が用いられる。図1では、除熱管24aは粉体層10の一部のみに設置されているように図示されているが、除熱管24aは粉体層10の全面に設置する方が局所的な温度上昇が抑制され、反応容器20内の反応温度が均一に制御できるため、好ましい。
反応容器20の内部には、粉体層10から吹き上げられた固体触媒10aを含む反応ガスG2を、反応容器20の内部に開放されたガス流入口104から流入させ、反応ガスG2から固体触媒10aを分離して捕集する集塵機23が設けられている。集塵機23は、例えば、第1サイクロン100と第2サイクロン110と第3サイクロン120とを直列に接続した多段式のサイクロン式集塵機が考えられるが、直列に接続するサイクロン数は特に限定されない。
第1サイクロン100は、ガス流入口104およびガス排出口106を含むサイクロン本体部101と、サイクロン本体部101で捕集した固体触媒10aを粉体層10に排出する排出管103と、を備えており、捕集された固体触媒10aは排出管103の先端部から粉体層10に排出される。排出口には、原料ガスG1の圧力によって固体触媒10aがサイクロン本体部側に逆流することを抑制するための邪魔板を設けてもよい。排出口が設けられた排出管103の先端部は、粉体層10の内部に配置されている。
第2サイクロン110は、ガス流入口114およびガス排出口116を含むサイクロン本体部111と、サイクロン本体部111で捕集した固体触媒10aを粉体層10に排出する排出管113と、を備えている。ガス流入口114は、第1サイクロン100のガス排出口106と接続されている。サイクロン本体部111には、第1サイクロン100で固体触媒10aが一部除去された反応ガスG2が流入される。排出管113の先端部には、固体触媒10aの排出口が設けられており、排出口は、トリクル弁やフラッパ弁などの、所定の大きさ以上の負荷が作用すると開放する重量弁を設けてもよい。排出口が設けられた排出管113の先端部は、粉体層10の内部に配置されている。
第3サイクロン120は、ガス流入口124およびガス排出口126を含むサイクロン本体部121と、サイクロン本体部121で捕集した固体触媒10aを粉体層10に排出する排出管123と、を備えている。ガス流入口124は、第2サイクロン110のガス排出口116と接続されている。サイクロン本体部121には、第2サイクロン110で固体触媒10aが一部除去された反応ガスG2が流入される。排出管123の先端部には、固体触媒10aの排出口が設けられており、排出口は、トリクル弁やフラッパ弁などの重量弁でもよい。排出口が設けられた排出管123の先端部は、粉体層10の内部に配置されている。ガス排出口126は、反応容器10の反応ガス排出部22に接続されている。
本実施形態では、3つのサイクロンを直列に接続し、前段側のサイクロンで粒径の比較的大きい固体触媒10aを捕集し、後段側のサイクロンで、前段側のサイクロンで捕集されなかった粒径の比較的小さい固体触媒10aを捕集している。これにより、大小様々な粒径を有する固体触媒10aを漏れなく捕集し、固体触媒10aの捕集効率を向上させている。図1では、3つのサイクロンを直列に接続した3段式のサイクロン式集塵機が用いられているが、集塵機23の構成はこれに限られない。例えば、2つ若しくは4つ以上のサイクロンを直列に接続した多段式のサイクロン式集塵機を用いてもよく、2つ若しくは4つ以上のサイクロンを直列に接続した多段式のサイクロン式集塵機を複数系列設置しても構わない。また、サイクロンのように遠心力によって固体触媒10aと反応ガスG2とを分離する遠心力集塵機に限らず、他の方式、例えば、反応ガスG2の流れる向きを変化させ、慣性で固体触媒10aと反応ガスG2とを分離する慣性力集塵機などを用いてもよい。
集塵機23で固体触媒10aと分離されたε−カプロラクタムを含む反応ガスG2は、反応ガス排出部22を介して反応容器20の外部に排出される。反応ガス排出部22から排出された反応ガスG2は、図示略の蒸留装置あるいは晶析装置などに導入され、高純度のε−カプロラクタムに精製される。
反応器2には、再生器3が接続されている。再生器3は、反応器2で使用された固体触媒10aを再生処理し、触媒活性を再生するものである。本実施形態の反応装置1は、反応器2中の固定触媒を連続的に抜き出し再生器3に移送するとともに、再生済みの固体触媒10aを再生器3から反応器2に同量連続的に戻すことで、触媒活性を維持する循環式の反応装置となっている。なお、再生器3は直列あるいは並列に複数備えていても構わない。
反応器2と再生器3との間には、触媒移送機構6が設けられている。触媒移送機構6は、再生器3に向けて空気などの空送ガスを送り出すことにより、反応器2で使用されて触媒活性の低下した固体触媒10aの一部を再生器3に移送するものである。
固体触媒10aの存在下にシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応を行うと、反応時間が経過するにつれて(触媒単位重量あたりのシリロヘキサノンオキシムの通算処理量が増えるにつれて)、シクロヘキサノンオキシムやε−カプロラクタムの重合などにより、いわゆるコーク成分(炭素質物質)が固体触媒10aに徐々に付着する。これにより、固体触媒10aの触媒活性が経時的に低下する。すなわち、シクロヘキサノンオキシムの転化率が徐々に低下する。
再生器3は、再生容器50と、排気ガス排出部52と、を備えている。再生器3は、反応器2で触媒活性が低下した固体触媒10aの一部を酸素含有ガスの雰囲気下で加熱して触媒活性が十分に回復するよう再生するものである。再生器3においては、反応器2において触媒として使用し得る程度に十分に触媒活性が回復するような再生が行われる。再生器3では、固体触媒10aの表面に付着したコーク成分を燃焼し、反応ガスE(排気ガス)を排出する。
再生容器50は、円筒状の直胴部50aを有する容器である。直胴部50aには、触媒移送機構6のラインの他端が接続されている。反応器2により触媒活性が低下した固体触媒10aの一部が再生容器50に導入される。
再生器3の直胴部50aの下部には、例えば、内径が漸減する円錐状のコーン部50cが接続されているが、再生器下部の形状には特に制限はない。直胴部50aとコーン部50cとの境界には、多数の孔が分散して形成された分散板27が設けられており、分散板27上には固体触媒10aの粉体からなる粉体層12が形成されている。粉体層12には、反応器2において触媒活性が低下した固体触媒10aの一部と再生器3により再生されて十分に触媒活性が回復した固体触媒10aとが含まれている。
コーン部50cには、例えば、空気などの酸素含有ガスを導入する再生ガス導入部41が接続されている。再生ガス導入部41により、酸素含有ガスがコーン部50cの内部に導入されるようになっている。酸素含有ガスは、分散板27に形成された多数の孔を介して粉体層12の底部に噴射される。粉体層12は、分散板27から鉛直上方に吹き上げられた酸素含有ガスの流れによって流動化し、流動層となる。酸素含有ガスは、流動層となった粉体層12の内部を均一に流れ、固体触媒10aの表面のコーク成分を効率的に燃焼させる。
直胴部50aの内部には、粉体層12から吹き上げられた固体触媒10aを反応ガスE(排気ガス)から分離して捕集し、捕集した固体触媒10aを粉体層12に排出する集塵機を設けることが好ましい。その場合、集塵機は、例えば、複数のサイクロンを直列に接続した多段式のサイクロン式集塵機であってもよい。複数のサイクロンを直列に接続することにより、固体触媒10aの捕集効率を向上させることができる。また、サイクロンのように遠心力によって固体触媒10aと反応ガスEとを分離する遠心力集塵機に限らず、他の方式、例えば、反応ガスEの流れる向きを変化させ、慣性で固体触媒10aと反応ガスEとを分離する慣性力集塵機などを用いてもよい。
反応ガスEは、直胴部50aの上部に接続された排気ガス排出部52を介して再生器3の外部に排出される。
再生器3と反応器2との間には、再生触媒移送機構8が設けられている。再生触媒移送機構8は、再生器3で再生された固体触媒10aの一部を反応器2に移送するものである。再生触媒移送機構8は、再生器3で再生された固体触媒10aの一部が自重により反応器2に移動するように構成されている。
なお、再生触媒移送機構8における固体触媒10aの流動性を良くするため、再生触媒移送機構8のラインに窒素ガスなどの不活性ガスを供給する不活性ガス供給機構が設けられていてもよい。
本実施形態の反応装置1では、粉体層10と粉体層12の各上面の位置を比較すると、粉体層10の上面の位置が低く、粉体層12の上面の位置が高い位置となっている。そのため、再生器3から反応器2への固体触媒10aの移動は、固体触媒10aの自重のみで行うことができる。何らの圧送手段も用いないので、経済的であり、空気のような圧送媒体が反応器2に流入しないので、目的とする化学反応が阻害されないというメリットがある。
例えば、反応器2と再生器3との配置関係を本実施形態とは逆にすると、粉体層10の上面の位置が粉体層12の上面の位置よりも高くなるので、再生器3から反応器2への固体触媒10aの移動は、固体触媒10aの自重のみで行うことができない。よって、圧送手段が必要となる。圧送媒体としては、空気を用いることがコストの面で有利となるが、圧送媒体である空気が反応器2に流入すると、反応器2において目的とする化学反応が阻害される惧れがある。化学反応の実行を阻害しない媒体、例えば、不活性ガスや原料ガスG1に含まれる低級アルコールと同じ低級アルコールを圧送媒体として用いることも考えられるが、その場合には、空気よりもコストが高くなるので、不経済である。本実施形態のように圧送空気で反応器2から再生器3に固体触媒を移送する場合には、もともと空気が再生器3において燃焼用のガスとして用いられているので、再生器3で行われる再生処理には大きな影響はない。なお、上述したような問題が生じない場合は、反応器2と再生器3の粉体層の位置が、反応器2が高く、再生器3が低くなっても構わない。
なお、本明細書において、「粉体層の上面の位置」は、次のようにして規定される。粉体層は、原料ガスG1または空気により流動状態に置かれている固体触媒10aを濃厚に含む濃厚層と、濃厚層の鉛直上方に配置され、固体触媒10aと反応ガス(反応ガスG2または反応ガスE)とが共存し、固体触媒10aが勢いよく跳ね上がっている希薄層とを含む。希薄層の上方は、固体触媒10aを殆ど含まず反応ガスを主体とするフリーボード部となっている。固体触媒10aの密度(kg/m)を横軸、分散板からの鉛直方向の高さを縦軸として、固体触媒10aの密度分布を測定すると、ある高さまでは固体触媒10aの密度は上に凸の曲線を描き、それ以上高くなると、下に凸の曲線を描くS字状のカーブが得られる。このS字状のカーブの変曲点の位置が粉体層の上面の位置である。
図2は、反応器2を反応容器20の中心軸Axの方向から見た平面図である。
反応容器20の内部には、気固分離装置としての複数の集塵機23が反応容器20の内壁に沿って設置されている。図2では、第1集塵機23A、第2集塵機23B、第3集塵機23Cおよび第4集塵機23Dからなる4つの集塵機23が反応容器20の内部に設置されているが、集塵機23の数はこれに限らない。例えば、1つ、2つ、3つ、あるいは、5つ以上の集塵機23が反応容器20の内壁に沿って設置されていてもよい。
複数の集塵機23(第1集塵機23A、第2集塵機23B、第3集塵機23Cおよび第4集塵機23D)の構成は全く同じである。複数の集塵機23は、反応容器20の中心軸Axの周りに輪を描くように配置されている。複数の集塵機23は、反応容器20の中心軸Axを対称軸として、回転対称(4回対称)に配置されている。
第1集塵機23A、第2集塵機23B、第3集塵機23Cおよび第4集塵機23Dは、それぞれ第1サイクロン100、第2サイクロン110および第3サイクロン120からなる3つのサイクロンによって構成されている。第1サイクロン100、第2サイクロン110および第3サイクロン120は、反応容器20の内壁に沿って弧を描くように配置されている。第1サイクロン100のサイクロン本体部101の中心軸をA、第2サイクロン110のサイクロン本体部111の中心軸をB、第3サイクロン120のサイクロン本体部121の中心軸をCとすると、中心軸Aと中心軸Bとを結ぶ仮想線は、中心軸Bと中心軸Cとを結ぶ仮想線と鈍角をなして交差している。中心軸Aと中心軸Axとの距離は、中心軸B中心軸Axとの距離および中心軸Cと中心軸Axとの距離よりも短い。よって、第2サイクロン110および第3サイクロン120は第1サイクロン100よりも反応容器20の内壁に近い位置に配置されている。
反応容器20の側壁には、使用済みの固体触媒を再生器に向けて排出する触媒排出口28が、第1集塵機23A、第2集塵機23B、第3集塵機23Cおよび第4集塵機23Dのそれぞれに対応して4つ設けられている。4つの触媒排出口28(第1触媒排出口28A、第2触媒排出口28B、第3触媒排出口28C、第4触媒排出口28D)は、反応容器20の中心軸を対称軸として、回転対称(4回対称)に配置されている。4つの触媒排出口28は、それぞれ対応する集塵機23を構成する複数のサイクロンのうち最も後段側のサイクロンとの距離が最も前段側のサイクロンとの距離よりも短くなる位置に配置されている。「反応容器の排出口とサイクロンとの距離」は、反応容器の中心軸の方向から見たときの、反応容器の排出口の開口面の中心と、サイクロンの排出管の排出口の開口面の中心との距離で規定される。この距離は、反応容器の排出口の開口面の中心と、サイクロンのサイクロン本体部の中心軸との距離と概ね一致する。例えば、第1集塵機23Aと第1触媒排出口28Aとの関係でいうと、第1サイクロン100のサイクロン本体部101の中心軸Aと第1触媒排出口28Aの開口面の中心との距離をLA、第2サイクロン110のサイクロン本体部111の中心軸Bと第1触媒排出口28Aの開口面の中心との距離をLB、第3サイクロン120のサイクロン本体部121の中心軸Cと第1触媒排出口28Aの開口面の中心との距離をLCとすると、LA>LB>LCの関係を満たすように構成されている。
すなわち、第1集塵機23Aに対応する第1触媒排出口28Aは、第1集塵機23Aの第1サイクロン100よりも第1集塵機23Aの第3サイクロン120に近い位置に設置されている。第2集塵機23Bに対応する第2触媒排出口28Bは、第2集塵機23Bの第1サイクロン100よりも第2集塵機23Bの第3サイクロン120に近い位置に設置されている。第3集塵機23Cに対応する第3触媒排出口28Cは、第3集塵機23Cの第1サイクロン100よりも第3集塵機23Cの第3サイクロン120に近い位置に設置されている。第4集塵機23Dに対応する触媒第4排出口28Dは、第4集塵機23Dの第1サイクロン100よりも第4集塵機23Dの第3サイクロン120に近い位置に設置されている。
本実施形態の反応装置では、集塵機23を構成する複数のサイクロンのうち最も後段側の第3サイクロン120の排出管の排出口は最も前段側の第1サイクロン100の排出管の排出口よりも、反応容器20の中心軸Axの方向から見て、反応容器20の触媒排出口28までの距離が短い。そのため、第3サイクロン120から排出された粒径の小さい固体触媒をより円滑に反応容器20の外部に排出することができる。
反応ガスG2とともに第1サイクロン100のガス流入口104に流入した固体触媒は、粒径(重量)に応じて分級され、粒径の比較的大きい固体触媒は前段側の第1サイクロン100で捕集され、粒径の比較的小さい固体触媒は後段側の第2サイクロン110および第3サイクロン120で捕集される。反応容器内に留まる程度の粒径の小さな軽い固体触媒は粒径の大きい固体触媒に比べて、触媒層の上部や反応容器の上部に存在する確率が高く、触媒排出口28から再生器へ移送されにくく、一部の粒径の小さな固体触媒は反応容器内に長期滞留すると考えられる。よって、このような固体触媒が再生器で再生されないまま反応容器20に溜まっていくと、反応容器20の触媒反応プロセスが阻害され、十分な反応成績が得られなくなる。そのため、本実施形態の反応装置では、触媒排出口28の位置を、第1サイクロン100よりも第2サイクロン110および第3サイクロン120に近い位置に設置している。これにより、粒径が小さく流動性の小さい(すなわち排出されにくい)固体触媒を反応容器20の外部に円滑に排出することができる。
反応容器20の触媒排出口28から再生器へ移送された固体触媒は再生器内で酸素含有ガスの雰囲気下で加熱して触媒活性が十分に回復するよう再生される。再生器においては、反応器2において固体触媒として使用し得る程度に十分に触媒活性が回復するような再生が行われる。再生器で再生され触媒活性が回復された固体触媒は反応器2へ移送されるが、再生された固体触媒が直ちに再生器へ移送されないような反応器2の位置に再生された固体触媒を戻す必要がある。上述の点から、再生器から反応器2へ固体触媒を戻す位置、すなわち、触媒流入口29の位置は、反応容器20において互いに隣接する2つの触媒排出口28の間の位置(例えば、ちょうど中間の位置)が好ましい。触媒流入口29の数は複数ある方が反応器内で均一になりやすいが、一箇所でも構わない。反応器2に設けられるサイクロン系列の数が増えると、反応器2の触媒排出口28の数も増やす必要があるが、その場合、触媒排出口28の間隔が狭くなる。よって、その中間点に触媒流入口29を設けても、反応器2へ戻された再生済みの固体触媒が直ちに再生器へ移送されることを防ぐことが困難である。よって、そのような場合には、サイクロン系列に対応して設けられる触媒排出口の一つからの触媒排出を取りやめて、触媒流入口29として利用しても構わない。
各集塵機23には、それぞれ第1サイクロン100に原料ガスG1を流入させる筒状のガス流入口104が設けられている。ガス流入口104は、反応容器20の中心軸Axの方向から見て、円形をなすサイクロン本体部101の接線方向に延びている。ガス流入口104は、例えば、流入側が広く流出側が狭いベルマウス形状を有している。
各集塵機23のガス流入口104は、複数の集塵機23で囲まれた領域の内側を向いて開口している。そのため、反応容器20の中心部を吹き上げられた固体触媒が効率よく捕集される。なお、「ガス流入口が、複数の集塵機3で囲まれた領域の内側を向いて開口している」とは、ガス流入口104が接続されたサイクロン本体部101の中心軸をA、サイクロン本体部101の中心軸Aと反応容器20の中心軸Axとを結ぶ第1仮想線をK1、サイクロン本体部101の中心軸Aを通って第1仮想線K1と直交する第2仮想線をK2としたときに、ガス流入口104の開口面104aが第2仮想線K2よりも反応容器20の中心軸Ax側に配置されていることを意味する。
本実施形態の場合、ガス流入口104の向きは、第1仮想線K1と概ね平行な方向であって、反応容器20の中心部を向く向きとされているが、ガス流入口104の向きはこれに限定されない。ガス流入口104の向きは、当該ガス流入口104が形成されたサイクロンと隣接する他のサイクロンと干渉しない向きであることが好ましい。これにより、ガス流入口104に効率よく反応ガスG2が流入し、固体触媒の捕集効率が向上する。なお、「ガス流入口の向きが、隣接する他のサイクロンと干渉しない向きである」とは、ガス流入口104の開口面104aの中心を通り、ガス流入口104の外側に向かってガス流入口104の延在方向と平行に延びる第3仮想線をK3とすると、第3仮想線K3上に、当該ガス流入口104が形成されたサイクロンと隣接する他のサイクロンが存在しないことを意味する。
本実施形態では、複数の集塵機23のガス流入口104は、全て第3仮想線K3が第1仮想線K1と概ね平行となる向きに設置されているが、各集塵機のガス流入口104の向きは、これに限定されない。第3仮想線K3と第1仮想線K1とのなす角度は、全ての集塵機23で等しくてもよく、一部の集塵機23で異なっていてもよく、全ての集塵機23で異なっていてもよい。
また、本実施形態では、複数の集塵機23のガス流入口104は、反応容器20の中心軸Axの方向から見たときに、全て複数の集塵機23で囲まれた領域の内側を向いて開口しているが、各集塵機のガス流入口104の向きは、これに限定されない。複数の集塵機23のうちの一部または全部の集塵機のガス流入口104が、反応容器20の中心軸Axの方向から見たときに、複数の集塵機23で囲まれた領域の外側を向いて開口していてもよい。例えば、複数の集塵機23のガス流入口104が、全て複数の集塵機23で囲まれた領域の外側を向いて開口している場合、反応容器20の中心部を上昇した反応ガスG2は直ぐにはガス流入口104に流入せず、反応容器20の中心部を通って天井部まで上昇した後反応容器20の内壁に沿って下降する際にガス流入口104に流入する。そのため、反応容器20の中心部に、安定した反応ガスG2の流れが形成される。なお、「ガス流入口が、複数の集塵機で囲まれた領域の外側を向いて開口している」とは、ガス流入口104が第2仮想線K2よりも反応容器20の中心軸Axとは反対側に配置されていることを意味する。
図3は、第1サイクロン100の概略構成の一例を示す斜視図であるが、サイクロンの構成はこれに限定されない。なお、本実施形態の反応器および再生器で用いられるサイクロンの基本構成は全て同じである。よって、ここでは、第1サイクロン100の構成を例に挙げて、本実施形態で用いられるサイクロンの基本構成を説明する。
第1サイクロン100は、ガス流入口104およびガス排出口106を含むサイクロン本体部101と、サイクロン本体部101の下端部に接続されたダストボックス102と、ダストボックス102の下端部に接続された排出管103と、を備えている。
サイクロン本体部101は、上部が円筒状の直胴部101a、下部が下方に向けて縮径する円錐状のコーン部101bとなっており、直胴部101aの上面が天板部101cとなっている。直胴部101aの側壁の上端部には、固体触媒10aを含んだ反応ガスG2を直胴部101aの接線方向に流入させる開口部H1が設けられている。開口部H1には、直胴部101aの接線方向に延びる筒状のガス流入口104が接続されている。天板部101cの中央部には、サイクロン本体部101で分離された反応ガスG2を排出する開口部H2が設けられている。開口部H2には、筒状のガス排出口106が接続されており、ガス排出口106の一部が直胴部101aの内部に挿入されている。開口部H2とガス排出管106は、直胴部101aと同心状に配置されている。直胴部101aの中心軸Dはサイクロン本体部101の中心軸Aと一致する。以下の説明では、サイクロン本体部の中心軸を便宜上サイクロンの中心軸と呼ぶことがある。
コーン部101bの下端部には、サイクロン本体部101で捕集した固体触媒10aを溜め置くダストボックス102が接続されている。ダストボックス102は、上部が円筒状の直胴部102a、下部が下方に向けて縮径する円錐状のコーン部102bとなっている。コーン部102bの下端部には、ダストボックス102に溜まった固体触媒10aを排出する排出管103が接続されている。排出管103は、コーン部102bから鉛直下方に延びる細長い配管として構成されており、排出管103の下端部は、図1に示した粉体層10の内部に埋設されている。
固体触媒10aを含んだ反応ガスG2は、ガス流入口104からサイクロン本体部101の直胴部101aに流入する。反応ガスG2は、直胴部101aの接線方向に流入し、旋回流となって直胴部101aおよびコーン部101bの内部を旋回しながら下降する。固体触媒10aは、反応ガスG2の旋回に伴う遠心力によって直胴部101aおよびコーン部101bの内壁に押し付けられ、当該内壁との摩擦によって減速する。摩擦によって減速した固体触媒10aは、直胴部101aおよびコーン部101bの内壁に沿って降下し、コーン部101bの下端部に接続されたダストボックス102に流入する。直胴部101aおよびコーン部101bの内部を旋回しながら下降した反応ガスG2は、コーン部101bにおいて反転し、コーン部101bおよび直胴部101aの中心部を上昇する。そして、固体触媒10aの一部が除去された反応ガスG2が、ガス排出口106から排出される。
ダストボックス102に溜まった固体触媒10aは、ダストボックス102の下端部に接続された排出管103の内部を降下し、排出管103の排出口から反応容器20の内壁近傍の位置に排出される。反応容器20の内壁近傍の位置に排出された固体触媒10aは、粉体層10の流動によって、反応容器20の側壁に設けられた触媒排出口28に向けて移動し、触媒排出口28から触媒移送機構6に設けられた触媒移送配管を通じて再生器3に供給される。
本実施形態の反応装置1によれば、次のような効果が得られる。
(1)集塵機23を構成する複数のサイクロンのうち最も後段側の第3サイクロン120の固体触媒の排出口は最も前段側の第1サイクロン100の固体触媒の排出口よりも反応容器20の触媒排出口28までの距離が短い。そのため、粒径が小さく反応器へ長期滞留している触媒活性の小さい固体触媒10aを反応容器20の外部に円滑に排出することができる。
(2)集塵機23を構成する複数のサイクロンが、反応容器20の内壁に沿って弧を描くように配置されている。そのため、複数のサイクロンの排出管の位置を反応容器20の触媒排出口28に近い位置に配置することができる。これにより、サイクロンで捕集された固体触媒10aを反応容器20の外部に円滑に排出することができる。
(3)反応容器20の側壁には、複数の触媒排出口28が、複数の集塵機23のそれぞれに対応して設けられている。そのため、各集塵機23で捕集された粒径の小さい固体触媒10aを円滑に反応容器20の外部に排出することができる。
(4)複数の触媒排出口28は、反応容器20の中心軸Axを対称軸として、回転対称に配置されている。そのため、複数の集塵機23で捕集された固体触媒10aを概ね偏りなく排出することができる。
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の反応装置に用いられる反応器200を反応容器201の中心軸Axの方向から見た平面図である。本実施形態の反応装置において第1実施形態の反応装置1と異なる点は、反応器200の構成である。よって、ここでは、反応器200の構成を中心に説明し、第1実施形態と共通する構成については、詳細な説明を省略する。
反応容器201の内部には、第1サイクロン210、第2サイクロン220および第3サイクロン230を1組とする2組のサイクロン式集塵機203が反応容器201の内壁に沿って設置されている。2つの集塵機203(第1集塵機203Aおよび第2集塵機203B)の構成は全く同じである。2つの集塵機203は、反応容器201の中心軸Axの周りに輪を描くように配置されている。2つの集塵機203は、反応容器201の中心軸Axを対称軸として、回転対称(2回対称)に配置されている。
第1サイクロン210、第2サイクロン220および第3サイクロン230は、反応容器201の内壁に沿って弧を描くように配置されている。第1サイクロン210のサイクロン本体部の中心軸をA、第2サイクロン220のサイクロン本体部の中心軸をB、第3サイクロン230のサイクロン本体部の中心軸をCとすると、中心軸Aと中心軸Bとを結ぶ仮想線は、中心軸Bと中心軸Cとを結ぶ仮想線と鈍角をなして交差している。中心軸Aと中心軸Axとの距離は、中心軸B中心軸Axとの距離および中心軸Cと中心軸Axとの距離よりも短い。よって、第2サイクロン220および第3サイクロン230は第1サイクロン210よりも反応容器201の内壁に近い位置に配置されている。
反応容器201の側壁には、使用済みの固体触媒を再生器に向けて排出する触媒排出口208(第1触媒排出口208A、第2触媒排出口208B)が、第1集塵機203Aおよび第2集塵機203Bのそれぞれに対応して2つ設けられている。2つの触媒排出口208は、それぞれ対応する集塵機203を構成する複数のサイクロンのうち最も後段側のサイクロンとの距離が最も前段側のサイクロンとの距離よりも短くなる位置に配置されている。
すなわち、第1集塵機203Aに対応する第1触媒排出口208Aは、第1集塵機203Aの第1サイクロン210よりも第1集塵機203Aの第3サイクロン230に近い位置に設置されている。第2集塵機203Bに対応する第2触媒排出口208Bは、第2集塵機203Bの第1サイクロン210よりも第2集塵機203Bの第3サイクロン230に近い位置に設置されている。これにより、粒径が小さく反応器へ長期滞留している触媒活性の小さい固体触媒を反応容器201の外部に円滑に排出することができる。また、触媒流入口209が触媒排出口208Aと208Bの中間に配置されており、再生器で再生された触媒が直ちに触媒排出口208から排出されることを防いでいる。本実施形態では、触媒流入口209は一箇所であるが、複数箇所設置されていても構わない。
本実施形態の反応装置では、集塵機203を構成する複数のサイクロンのうち最も後段側の第3サイクロン230の排出管の排出口は最も前段側の第1サイクロン210の排出管の排出口よりも、反応容器201の中心軸Axの方向から見て、反応容器201の触媒排出口208までの距離が短い。そのため、第3サイクロン230から排出された粒径の小さい固体触媒をより円滑に反応容器201の外部に排出することができる。
各集塵機203には、それぞれ第1サイクロン210に反応ガスG2を流入させる筒状のガス流入口204が設けられている。ガス流入口204は、反応容器201の中心軸Axの方向から見て、円形をなすサイクロン本体部211の接線方向に延びている。ガス流入口204の向きは、当該ガス流入口204が形成されたサイクロンと隣接する他のサイクロンと干渉しない向きであることが好ましい。ガス流入口204は、例えば、流入側が広く流出側が狭いベルマウス形状を有している。
各集塵機203のガス流入口204は、複数の集塵機203(第1集塵機203Aおよび第2集塵機203B)で囲まれた領域の内側を向くように開口している。これにより、反応ガスG2の滞留時間が短くなり、反応ガスG2と固体触媒とが速やかに分離される。
本実施形態の反応装置では、反応容器201の内部に設置する集塵機203の数が第1実施形態の反応装置に比べて少ない。よって、サイクロン1個あたりの大きさは、第1実施形態のものに比べて大きくなるが、サイクロンの大きさがそれほど問題にならなければ、本実施形態の構成も利用可能である。サイクロンの大きさが問題となる場合は、例えば、サイクロンの少なくとも一部を反応器の外部へ配置しても構わない。
[変形形態]
上記実施形態では、反応装置の一例として、固体触媒10aと低級アルコールの共存化でシクロヘキサノンオキシムをベックマン転位反応させてε−カプロラクタムを製造する反応装置を説明した。しかし、本発明の反応装置は、これに限らない。本発明は、種々の化学反応を生じさせる反応装置に対して広く適用可能である。
1…反応装置、2…反応器、3…再生器、6…触媒移送機構、8…再生触媒移送機構、10…反応器粉体層(流動層)、10a…固体触媒、12…再生器粉体層、20…反応容器、20a…反応容器直胴部、20c…反応容器コーン部、21…原料ガス導入部、22…反応ガス排出部、23,23A,23B,23C,23D…集塵機(気固分離装置)、24…冷却部、24a…除熱管、25…反応器分散板、27…再生器分散板、28,28A,28B,28C,28D…触媒排出口、29…触媒流入口、41…再生ガス導入部、50…再生容器、50a…再生容器直胴部、50c…再生容器コーン部、52…排気ガス排出部、100…第1サイクロン、101…第1サイクロン本体部、102…第1サイクロンダストボックス、103…第1サイクロン排出管、104…第1サイクロンガス流入口、104a…第1サイクロンガス流入口の開口面、106…第1サイクロンガス排出口、110…第2サイクロン、111…第2サイクロン本体部、113…第2サイクロン排出管、114…第2サイクロンガス流入口、116…第2サイクロンガス排出口、120…第3サイクロン、121…第3サイクロン本体部、123…第3サイクロン排出管、124…第3サイクロンガス流入口、126…第3サイクロンガス排出口、200…反応器、201…反応容器、203,203A,203B…集塵機(気固分離装置)、204…第1サイクロンガス流入口、208,208A,208B…触媒排出口、209…触媒流入口、210…第1サイクロン、211…第1サイクロン本体部、220…第2サイクロン、230…第3サイクロン、Ax…反応容器の中心軸、G1…原料ガス、G2…反応ガス、K1…第1サイクロンの中心軸と反応容器の中心軸とを結ぶ第1仮想線、K2…第1サイクロンの中心軸を通って第1仮想線と直交する第2仮想線、K3…第1サイクロンガス流入口の開口面の中心を通り、該ガス流入口の外側に向かって該ガス流入口の延在方向と平行に延びる第3仮想線、A…第1サイクロンの中心軸、B…第2サイクロンの中心軸、C…第3サイクロンの中心軸、D…サイクロン本体部の直胴部の中心軸、H1…サイクロン本体部入口開口部、H2…サイクロン本体部出口開口部

Claims (7)

  1. 反応容器と、
    前記反応容器の内部に配置された固体触媒からなる流動層と、
    前記流動層から吹き上げられた前記固体触媒を捕集し、捕集された前記固体触媒を前記流動層に排出する集塵機と、
    前記反応容器の側壁に設けられた前記固体触媒の触媒排出口と、を備え、
    前記集塵機は、複数のサイクロンを直列に接続したサイクロン式集塵機であり、
    前記複数のサイクロンは、それぞれ捕集された前記固体触媒を前記流動層に排出する排出口を備え、
    前記集塵機を構成する複数のサイクロンのうち最も後段側のサイクロンの排出口は最も前段側のサイクロンの排出口よりも前記反応容器の触媒排出口までの距離が短い反応装置。
  2. 前記集塵機は、2以上のサイクロンを直列に接続したサイクロン式集塵機であり、
    前記複数のサイクロンは、前記反応容器の内壁に沿って弧を描くように配置されている請求項1に記載の反応装置。
  3. 前記集塵機を構成する複数のサイクロンのうち最も後段側のサイクロンの排出口は最も前段側のサイクロンの排出口よりも前記反応容器の内壁までの距離が短い請求項2に記載の反応装置。
  4. 前記集塵機は、前記反応容器の内壁に沿って複数設けられ、
    前記反応容器の触媒排出口は、前記複数の集塵機のそれぞれに対応して設けられている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の反応装置。
  5. 前記反応容器の複数の触媒排出口は、前記反応容器の中心軸を対称軸として、回転対称に配置されている請求項4に記載の反応装置。
  6. 前記反応容器の触媒排出口から排出された前記固体触媒を酸素含有ガスの雰囲気下で加熱して触媒活性が回復するよう再生する再生器と、
    前記再生器に向けて酸素含有ガスを送り出すことにより、前記反応容器の触媒排出口から排出された前記固体溶媒を前記再生器に移送する触媒移送機構と、
    前記再生器で再生された前記固体触媒を前記反応容器に戻す再生触媒移送機構と、を備えている請求項4又は5に記載の反応装置。
  7. 前記反応容器の側壁には、前記再生器で再生された前記固体触媒を前記反応容器に流入させる前記固体触媒の触媒流入口が設けられており、
    前記反応容器の触媒流入口は、前記反応容器の中心軸方向から見て、前記反応容器において互いに隣接する2つの前記触媒排出口の間の位置に設けられている請求項6に記載の反応装置。
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