JP2013113151A - エンジンの暖機装置 - Google Patents

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崇 発田
Kenichi Yamada
賢一 山田
Takayuki Iwakawa
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Abstract

【課題】昇温対象部への蒸気の供給と、昇温対象部で凝縮した凝縮水の回収とをコンパクトな構成で効率よく行うことを課題とする。
【解決手段】エンジンの暖機装置は、凝縮した状態の冷媒をエンジンの廃熱により蒸気化させる蒸気発生部の上流側に配置された凝縮水流通部と、前記蒸気発生部の下流側に配置された蒸気流通部と、前記凝縮水流通部と前記蒸気流通部とを接続し、前記蒸気流通部から昇温対象部へ蒸気を供給するとともに、前記昇温対象部で凝縮した凝縮水を前記凝縮水流通部へ戻す複合流通部とを有する冷媒循環経路と、を備える。前記蒸気流通部と前記複合流通部とを接続する第1接続部を前記凝縮水流通部と前記複合流通部とを接続する第2接続部よりも高い位置に設け、前記複合流通部内の凝縮水を前記凝縮水流通部へ向かって流下させる。
【選択図】図2

Description

本発明はエンジンの暖機装置に関する。
従来、エンジンの廃熱を利用し、冷媒を蒸発させ、この蒸気をシリンダ等の昇温対象部へ供給することで、エンジンの暖機を促進する暖機装置が知られている。例えば、特許文献1には、蒸発部で排気熱により気化した熱媒体を凝縮部へ流通させる蒸気通路と、熱交換により凝縮した熱媒体を凝縮部から蒸発部へ流通させる液体通路とを備えたエンジンの暖機装置が開示されている。
また、特許文献2には、内部にウィックを備えたパイプを採用し、凝縮水通路と蒸気通路を共用するヒートパイプが開示されている。
特開2008−255944号公報 特公平6−29551号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された構成を採用した場合、液体通路と蒸気通路とを別個に設けているため、車両への搭載スペース上、不利になりやすい。また、上記特許文献2に開示されたヒートパイプを採用した場合には、同一パイプ内を凝縮水と蒸気が流通するため、凝縮水が蒸気の流通を阻害し、暖機効率が低下する恐れがある。
そこで本明細書開示のエンジンの暖機装置は、昇温対象部への蒸気の供給と、昇温対象部で凝縮した凝縮水の回収とをコンパクトな構成で効率よく行うことを課題とする。
上記課題を解決するために本明細書開示のエンジンの暖機装置は、凝縮した状態の冷媒をエンジンの廃熱により蒸気化させる蒸気発生部の上流側に配置された凝縮水流通部と、前記蒸気発生部の下流側に配置された蒸気流通部と、前記凝縮水流通部と前記蒸気流通部とを接続し、前記蒸気流通部から昇温対象部へ蒸気を供給するとともに、前記昇温対象部で凝縮した凝縮水を前記凝縮水流通部へ戻す複合流通部とを有する冷媒循環経路と、を備え、前記蒸気流通部と前記複合流通部とを接続する第1接続部を前記凝縮水流通部と前記複合流通部とを接続する第2接続部よりも高い位置に設け、前記複合流通部内の凝縮水を前記凝縮水流通部へ向かって流下させることを特徴とする。
複合流通部内に蒸気と凝縮水を流通させることにより、配管数を削減してコンパクトな構成とすることができる。また、第1接続部を第2接続部よりも高い位置に設けたので、凝縮水が蒸気の流通を妨げることなく複合流通部内を流下し、昇温対象部の効率よい昇温を行うことができる。
本明細書開示のエンジンの暖機装置は、前記凝縮水流通部と前記複合流通部とを接続する他の接続部を備えることができる。凝縮水流通部と複合流通部との接続部を複数設けることで効率よく複合流通部から凝縮水を排出することができる。これにより、複合流通部内の蒸気のエネルギ損失が抑制される。この結果、昇温対象部を効率よく昇温させ、暖機速度を向上させることができる。これにより、冷間始動のエンジンのフリクションが早期に低減するため、燃費が向上する。
本明細書開示のエンジンの暖機装置は、前記複合流通部から分岐して前記昇温対象部へ延びる枝管を備え、前記枝管の中心軸線を前記複合流通部の軸方向に沿う中心軸線よりも高い位置に設けることができる。
凝縮水は、各配管内の底部を流れる。これに対し、蒸気は、各配管内の上方(天側)を流れる。そこで、枝管の中心軸線を複合流通部の中心軸線よりも高い位置に設定することにより、凝縮水の流れが蒸気の流れを阻害しにくい状態とする。この結果、配管内を蒸気が効率よく流通し、昇温対象部を早期に昇温させ、暖機を促進することができる。
本明細書に開示されたエンジンの暖機装置によれば、昇温対象部への蒸気の供給と、昇温対象部で凝縮した凝縮水の回収とをコンパクトな構成で効率よく行うことができる。
図1は実施例1のエンジンの暖機装置を側面側からみた状態を示す概念図である。 図2は実施例1のエンジンの暖機装置を正面側からみた状態を示す概念図である。 図3は図2におけるA−A線断面図である。 図4は実施例2のエンジンの暖機装置を正面側からみた状態を示す概念図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。
実施例1のエンジンの暖機装置(以下、単に「暖機装置」という)1について図1乃至3を参照しつつ説明する。図1は、実施例1の暖機装置1を側面側からみた状態を示す概念図である。図2は、実施例1の暖機装置1を正面側からみた状態を示す概念図である。図3は、図2におけるA−A線断面図である。
暖機装置1は、冷媒循環経路2を備える。図1において、一点鎖線で囲まれた部分が冷媒循環経路2に相当する。冷媒循環経路2には、蒸気発生部3が設けられている。この蒸気発生部3には、エンジンの排気管4が引き込まれている。冷媒循環経路2内を循環する冷媒は、この蒸気発生部3においてエンジンの排気と熱交換することにより凝縮した液体状態から蒸気となる。すなわち、蒸気発生部3は、凝縮した状態の冷媒をエンジンの廃熱により蒸気化させる。蒸気化した冷媒は、エンジン各部の昇温、暖機に用いられる。本実施例では、昇温対象部をクランクキャップ10a〜10eとした場合について説明するが、昇温対象部は、これに限定されず、他の箇所を選定することもできる。クランクキャップ10a〜10eは、クランクシャフト11を支持するもので、それぞれが分離したブロック状となっている。このため、それぞれのクランクキャップ10a〜10eに対して蒸気を導入する枝管9a〜9eを備えている。この枝管9a〜9eについては後に詳述する。
冷媒循環経路2において、蒸気発生部3の上流側には、凝縮水流通部5が配置されている。また、蒸気発生部3の下流側には、蒸気流通部6が配置されている。凝縮水流通部5には、リザーブタンク7が設けられている。
冷媒循環経路2は、複合流通部8を備える。複合流通部8は、凝縮水流通部5と蒸気流通部6とを接続する。そして、複合流通部8は、蒸気流通部6から導入された蒸気を昇温対象部である個々のクランクキャップ10a〜10eへ供給する。さらに、複合流通部8は、クランクキャップ10a〜10eで凝縮した凝縮水を凝縮水流通部5へ戻す。このように、複合流通部8には、クランクキャップ10a〜10eへ向かって流通する蒸気と、クランクキャップ10a〜10eから戻される凝縮水とが同一の配管内を流通する。
図2を参照すると、蒸気流通部6と複合流通部8とを接続する第1接続部C1は、凝縮水流通部5と複合流通部8とを接続する第2接続部C2よりも高い位置に設けられている。すなわち、複合流通部8の中心軸線AX1は、水平線LLに対して傾斜しており、複合流通部8内の凝縮水を凝縮水流通部5へ向かって流下させるようになっている。これにより、凝縮水が凝縮水流通部5へ戻され、再び蒸気発生部3へ供給される。複合流通部8において、凝縮水は複合流通部8を形成する配管の底部を流れ、一方、蒸気は、天側を流れるため、両者は互いに流通することができる。この結果、配管数を削減したコンパクトな構成とすることができる。
複合流通部8からは、各クランクキャップ10a〜10eへ接続される枝管9a〜9eが分岐している。最も上流側に位置する枝管9aは、第1接続部C1と一致する箇所から分岐している。そして、下流側に向かって順に枝管9b、9cが分岐し、枝管9dは、第2接続部C2と一致する箇所から分岐している。そして、クランクキャップ10eへ接続されている枝管9eは、延長部8aを介して複合流通部8から分岐している。このように、枝管への最初の分岐点となる第1接続部C1と最下流の分岐点となる第2接続部C2とを結ぶ複合流通部8は、第1接続部C1から第2接続部C2へ向かう下り傾斜となる。延長部8aは、複合流通部8と傾斜方向が異なっているが、複合流通部8と同様に、内部に蒸気と凝縮水とが流通する。なお、延長部8aにおいて、蒸気は、その流通方向に対して登り斜面となるが、蒸気は、高圧であることから、クランクキャップ10eまで供給される。
ここで、枝管9a〜9dと複合流通部8との接合について図3を参照しつつ説明する。図3は、図2におけるA−A線断面図である。すなわち、枝管9cの中心軸線AX2に沿った断面である。図3から明らかなように、枝管9cの中心軸線AX2は、複合流通部8の流通方向に沿う中心軸線AX1よりも高い位置に設けられている。なお、図3中、ハッチングで示した部分は、凝縮水を表している。
中心軸線AX1、AX2をこのように配置し、枝管9cを形成する配管が複合流通部を形成する配管の中心線よりも上部側に接合させることにより、複合流通部8内を流通する蒸気は、枝管9cに流入し易い。また、凝縮水の流れが蒸気の流れを阻害しにくくなる。この結果、クランクキャップ10cを効率よく昇温することができ、エンジンの暖機速度を向上させることができる。これにより、早期にエンジン内のフリクションを低減することができるので、燃費を向上させることができる。
他の枝管9a、9b、9dにおいても、各枝管の中心軸線AX2は、複合流通部8の中心軸線AX1と同様の位置関係を有している。また、枝管9eと延長部8aとの接続部においても、同様に中心軸をずらした構成が採用されている。
本実施例の暖機装置1では、複数の昇温対象部となる各クランクキャップ10a〜10eに対して枝管9a〜9eを介して蒸気の供給と凝縮水の回収が行われる。すなわち、昇温対象部に接続される個別の蒸気ループが不要となる。個別の蒸気ループを設ける場合、これを形成する配管が必要となり、装置は大型化する。また、配管が多くなると、それだけ、熱容量や外部への伝熱面積が増大することになり、放熱が増加する。この結果、昇温対象部へ効率的に伝熱することが困難となる。また、蒸気ループを構築するための加工等も大掛かりなものとなるため、コスト面でも不利となる。本実施例の暖機装置1では、枝管9a〜9eを採用したことにより、昇温対象部へ接続される個別の蒸気ループ(凝縮水を回収するための専用の配管)が不要となるため、これらの点で有利である。
本実施例の暖機装置であれば、複合流通部8、さらに、枝管9a〜9eにおいて蒸気と凝縮水を同一の配管内を流通させ、しかも、その配管を傾斜させて設けて凝縮水を回収するようにしたため、効率よく昇温対象部を昇温することができる。
また、凝縮水を回収するための専用の配管が不要であるため、配管の配管の総全長を短くすることができるので、コスト面や車両への搭載性を改善することができる。また、複合流通部8が傾斜しているので、凝縮水を流し易く、効率的な回収が可能となる。
つぎに、図4を参照して、実施例2について説明する。実施例2の暖機装置50は、以下の点において実施例1の暖機装置1と異なる。すなわち、実施例2の暖機装置50は、凝縮水流通部6と複合流通部8とを接続する他の接続部、すなわち、第3接続部C3を備えている。具体的に、一端が第3接続部C3で複合流通部8に接続されるとともに、他端が凝縮水流通部6に設けられたリザーブタンク7へ接続された短絡管51を備えている。凝縮水は、複合流通部8を形成する配管の底部を流れるため、短絡管51は、複合流通部8を形成する配管の底部へ接続されていることが望ましい。なお、実施例1と共通する構成要素については、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
短絡管51を備えることで、複合流通部8から凝縮水を効率よく排出することができる。すなわち、蒸気と凝縮水との接触をできるだけ抑制することにより、蒸気の流れを阻害することを抑制し、また、蒸気の温度低下を抑制することができる。この結果、蒸気のエネルギ損失が抑制され、効率よく昇温対象部を暖め、暖機速度を向上させることができる。短絡管の数は一本に限られず、さらに多くの本数を設けることもできる。
上記実施例は本発明を実施するための一例にすぎない。よって本発明はこれらに限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
1、50 暖機装置
2 冷媒循環経路
3 蒸気発生部
4 排気管
5 凝縮水流通部
6 蒸気流通部
7 リザーブタンク
8 複合流通部
8a 延長部
9a〜9e 枝管
10a〜10e クランクキャップ(昇温対象部)
11 クランクシャフト
C1 第1接続部
C2 第2接続部
C3 第3接続部(他の接続部)
LL 水平線
AX1 複合流通部の中心軸線
AX2 枝管の中心軸線

Claims (3)

  1. 凝縮した状態の冷媒をエンジンの廃熱により蒸気化させる蒸気発生部の上流側に配置された凝縮水流通部と、前記蒸気発生部の下流側に配置された蒸気流通部と、前記凝縮水流通部と前記蒸気流通部とを接続し、前記蒸気流通部から昇温対象部へ蒸気を供給するとともに、前記昇温対象部で凝縮した凝縮水を前記凝縮水流通部へ戻す複合流通部とを有する冷媒循環経路と、を備え、
    前記蒸気流通部と前記複合流通部とを接続する第1接続部を前記凝縮水流通部と前記複合流通部とを接続する第2接続部よりも高い位置に設け、前記複合流通部内の凝縮水を前記凝縮水流通部へ向かって流下させるエンジンの暖機装置。
  2. 前記凝縮水流通部と前記複合流通部とを接続する他の接続部を備えた請求項1記載のエンジンの暖機装置。
  3. 前記複合流通部から分岐して前記昇温対象部へ延びる枝管を備え、前記枝管の中心軸線を前記複合流通部の軸方向に沿う中心軸線よりも高い位置に設けた請求項1又は2記載のエンジンの暖機装置。
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