JP2013103444A - ガスバリア性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、酸素や水蒸気などに対するガスバリア性に優れると共に、優れたガスバリア性を長期間に亘って維持することが可能なガスバリアフィルムを提供する。
【解決手段】分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)と水とを混合することにより、上記アルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基が形成されてなる加水分解物を得、この加水分解物にウレタン(メタ)アクリレート(B)及び分子中にウレタン結合を有していない多官能(メタ)アクリレート(C)を添加して塗工用組成物を得、この塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、ラジカル重合を行った後又は行いながら、上記加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行うことにより形成されてなるガスバリア性樹脂層が、合成樹脂フィルム上に積層一体化されてなることを特徴とするガスバリア性フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素や水蒸気などに対するガスバリア性に優れたガスバリア性フィルム、及びその製造方法に関する。
ガスバリア性フィルムは、内容物の品質を変化させる原因となる酸素や水蒸気などの影響を防止するために、食品や医薬品の包装袋に用いられている。また、ガスバリア性フィルムは、太陽電池モジュール、液晶表示パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンス )表示パネルなどに使用される素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを防止するために、製品構成体の一部として或いはそれら素子のパッケージ材料としても用いられている。
このようなガスバリア性フィルムとして、ポリビニルアルコールフィルムやエチレンビニルアルコール共重合体フィルムも用いられているが、これらは水蒸気バリア性が不充分であり、高湿度条件下においては酸素バリア性が低下するといった問題点を有している。
そこで、プラスチックシート上に、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの金属酸化物の蒸着層と、シランカップリング剤及び合成樹脂若しくは合成樹脂のモノマーを含む組成物を硬化させてなるガスバリア性樹脂層とが積層一体化されたガスバリア性フィルムが提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
特許第3403882号公報 特許第3974219号公報
しかしながら、特許文献1及び2で開示されるガスバリア性フィルムでは、ガスバリア性樹脂層を用いてガスバリア性フィルムを厚くすることによりガスバリア性の向上を図っているのみであり、またガスバリア性樹脂層に用いられるシランカップリング剤はガスバリア性樹脂層とこれと隣接する他の層との接着性の向上を図ったにすぎない。このため、特許文献1及び2のガスバリア性フィルムでは依然として酸素や水蒸気などのガスバリア性が不充分であるといった問題点を有している。また、特許文献1及び2のガスバリア性フィルムでは、ガスバリア性樹脂層の接着性も不十分であり、ガスバリア性フィルムを長期間に亘って使用するとガスバリア性樹脂層の剥離が生じ、ガスバリア性フィルムのガスバリア性が低下する問題もあった。
したがって、本発明の目的は、酸素や水蒸気などに対するガスバリア性に優れると共に、優れたガスバリア性を長期間に亘って維持することが可能なガスバリアフィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明のガスバリア性フィルムは、分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部と水5〜50重量部とを混合することにより、上記アルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基が形成されてなる上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を得、このアルコキシシラン(A)の加水分解物に、ウレタン(メタ)アクリレート(B)100〜2000重量部、及び分子中にウレタン結合を有していない多官能(メタ)アクリレート(C)1〜50重量部を添加して塗工用組成物を得、この塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基と、上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)が有する(メタ)アクリロキシ基と、上記多官能(メタ)アクリレート(C)が有する(メタ)アクリロキシ基とのラジカル重合を行った後又は行いながら、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行うことにより形成されてなるガスバリア性樹脂層が、合成樹脂フィルム上に積層一体化されてなることを特徴とする。
さらに、本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部と水5〜50重量部とを混合することにより、上記アルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基が形成されてなる上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を得、このアルコキシシラン(A)の加水分解物に、ウレタン(メタ)アクリレート(B)100〜2000重量部、及び分子中にウレタン結合を有していない多官能(メタ)アクリレート(C)1〜50重量部を添加して塗工用組成物を得、この塗工用組成物を合成樹脂フィルム上に塗工した後、上記塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基と、上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)が有する(メタ)アクリロキシ基と、上記多官能(メタ)アクリレート(C)が有する(メタ)アクリロキシ基とのラジカル重合を行った後又は行いながら、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行うことにより、ガスバリア性樹脂層を形成する工程を有することを特徴とする。
本発明のガスバリア性フィルムに用いられるガスバリア性樹脂層は、酸素や水蒸気などのガスの透過を高く防止することができると共に優れた接着性をも有する。したがって、上記ガスバリア性樹脂層を含むガスバリア性フィルムは、優れたガスバリア性を長期間に亘って維持することができる。さらに、ガスバリア性樹脂層は、優れた透明性を長期間に亘って維持することも可能である。
本発明の一実施形態であるガスバリア性フィルムの模式断面図を示す。 本発明の他の一実施形態であるガスバリア性フィルムの模式断面図を示す。
本発明のガスバリア性フィルムは、合成樹脂フィルムと、この合成樹脂フィルム上に積層一体化されてなるガスバリア性樹脂層とを有する。
[合成樹脂フィルム]
本発明のガスバリア性フィルムに用いられる合成樹脂フィルムの材料は、ガスバリア性フィルムが用いられる用途に応じて決定すればよいが、透明な熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。透明な熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンなどのポリエーテル系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6などのポリアミド系樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物などのビニル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリエーテルスルフォン;ポリスルフォン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルケトンケトンなどが使用できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独重合体であっても共重合体であってもよい。また、これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上を併用することもできる。
なかでも、合成樹脂フィルムの材料としては、ガスバリア性樹脂層との接着性に優れることから、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレナフタレートがより好ましい。
合成樹脂フィルムには、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの公知の添加剤が含有されていてもよい。また、合成樹脂フィルムの表面に、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理などの表面改質処理を施してガスバリア性樹脂層や後述する無機化合物膜との接着性を向上させてもよい。合成樹脂フィルムの厚みは、3〜300μmが好ましく、12〜300μmがより好ましく、50〜200μmが特に好ましい。
[ガスバリア性樹脂層]
本発明のガスバリア性フィルムに用いられるガスバリア性樹脂層は次の方法によって製造することができる。すなわち、分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部と水5〜50重量部とを混合することにより、上記アルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基が形成されてなる上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を得、このアルコキシシラン(A)の加水分解物に、ウレタン(メタ)アクリレート(B)100〜2000重量部、及び分子中にウレタン結合を有していない多官能(メタ)アクリレート(C)1〜50重量部を添加して塗工用組成物を得、この塗工用組成物を合成樹脂フィルム上に塗工した後、上記塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基と、上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)が有する(メタ)アクリロキシ基と、上記多官能(メタ)アクリレート(C)が有する(メタ)アクリロキシ基とのラジカル重合を行った後又は行いながら、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行うことにより、ガスバリア性樹脂層を形成することができる。このガスバリア性樹脂層の製造方法を以下に順を追って説明する。
ガスバリア性樹脂層の製造では、初めに、分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部と水5〜50重量部とを混合することにより、上記アルコキシ基を加水分解させてシラノール基が形成されてなる上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を得る。なお、シラノール基とは、ケイ素原子に直接結合しているヒドロキシ基(≡Si−OH)を意味する。
(アルコキシシラン(A))
アルコキシシラン(A)は、分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有する。
本発明において、ラジカル重合性基は、ラジカルによって付加重合することが可能な基を意味する。アルコキシシラン(A)のラジカル重合性基としては、不飽和二重結合を有している基が挙げられ、具体的には、アリル基、イソプロペニル基、マレオイル基、スチリル基、ビニルベンジル基、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリロキシアルキル基及びビニル基などが挙げられる。なお、(メタ)アクリロキシ基とは、アクリロキシ基(CH2=CHC(O)O−)又はメタクリロキシ基(CH2=C(CH3)C(O)O−)を意味する。
アルコキシシラン(A)が有するラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリロキシアルキル基、及びビニル基が好ましく挙げられる。(メタ)アクリロキシアルキル基としては、(メタ)アクリロキシメチル基、2−(メタ)アクリロキシエチル基、及び3−(メタ)アクリロキシプロピル基などの炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基が好ましく挙げられる。(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリロキシアルキル基、又はビニル基を有するアルコキシシラン(A)は、ラジカル重合反応性に優れ高度に重合することができ、緻密な網目構造を有する高分子鎖を形成してガスバリア性に優れたガスバリア性樹脂層を形成することができる。
アルコキシシラン(A)としては、下記一般式(1)で示されるアルコキシシランが好ましく挙げられる。
Figure 2013103444

(式中、R1は炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基又はビニル基を表し、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜4のアルキル基を表し、且つnは0又は1である。)
上記一般式(1)のR1において、炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基としては、(メタ)アクリロキシメチル基、2−(メタ)アクリロキシエチル基、及び3−(メタ)アクリロキシプロピル基などが好ましく挙げられる。
また、上記一般式(1)のR2は炭素数1〜8のアルキル基であり、このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。
一般式(1)で示されるアルコキシシランとして具体的には、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。これらのアルコキシシラン(A)は一種単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。なかでも、ラジカル重合反応性に優れることから、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及び3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく挙げられる。
(水)
アルコキシシラン(A)を水と混合することにより、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応を進めることができる。
アルコキシシラン(A)と混合する水の量は、アルコキシシラン(A)100重量部に対して、5〜50重量部に限定されるが、10〜40重量部が好ましい。アルコキシシラン(A)に対する水の混合比が少な過ぎる場合、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応を十分に行うことができない虞れがある。また、アルコキシシラン(A)に対する水の混合比が多過ぎる場合、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応後に反応に寄与しなかった過剰量の水が存在することとなり、この水が後工程におけるアルコキシシラン(A)の加水分解物に由来するシラノール基の脱水縮合反応を阻害する虞れがある。
(酸触媒)
また、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応を促進させるために、アルコキシシラン(A)に、水の他、さらに酸触媒を混合することが好ましい。酸触媒としては、塩酸、硫酸、及び硝酸などの無機酸、並びにギ酸、及び酢酸などの有機酸が挙げられる。なかでも、上記アルコキシ基の加水分解反応を適度に促進させることができることから、硝酸を用いるのが好ましい。
酸触媒を用いることにより、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応をより促進させることができるが、本発明では、初めに、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基を優先的に形成し、次に、アルコキシシラン(A)の加水分解物と、ウレタン(メタ)アクリレート(B)と、多官能(メタ)アクリレート(C)とのラジカル重合を行った後に、シラノール基の脱水縮合反応を行うことが好ましい。したがって、シラノール基の脱水縮合反応が早期に生じるのを抑制するために、酸触媒の量は少ない方が望ましい。
アルコキシシラン(A)と混合する酸触媒の量は、アルコキシシラン(A)100重量部に対して、0.0001〜0.1重量部が好ましく、0.0005〜0.01重量部がより好ましい。アルコキシシラン(A)に対する酸触媒の混合比が多過ぎると、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応後に、所望しないシラノール基の脱水縮合反応が早期に生じ、得られるガスバリア性樹脂層に十分なガスバリア性を付与できない虞れがある。
アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応は、好ましくは、アルコキシシラン(A)及び水、並びに必要に応じて酸触媒を混合して混合物(I)を得、この混合物(I)を十分に撹拌することにより行われる。この時、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基のうち少なくとも1個のアルコキシ基の加水分解反応が行われればよいが、アルコキシシラン(A)が有する全てのアルコキシ基の加水分解反応が行われるのが好ましい。
アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応を十分に行うために、混合物(I)の撹拌時間は、1〜24時間が好ましく、3〜10時間がより好ましい。また、上記混合物(I)を撹拌する際に、混合物(I)の温度は、室温であるのが好ましく、15〜35℃がより好ましく、20〜30℃が特に好ましい。混合物(I)の温度が35℃を超えると、混合物(I)中に含まれている水が蒸発してアルコキシシラン(A)の加水分解を十分に行えなくなったり、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基の加水分解反応により生じたシラノール基が脱水縮合反応する虞れがある。
アルコキシシラン(A)及び水、並びに必要に応じて酸触媒を混合することにより、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基を加水分解させてシラノール基が形成される。シラノール基の形成を確認するには、アルコキシシラン(A)及び水を含む混合物(I)について赤外吸収スペクトルを測定することにより行うことができる。赤外吸収スペクトルでは、波数812cm-1、1088cm-1、2840cm-1の付近に、アルコキシシラン(A)のSi−O−C部分に由来する吸収ピークが現れる。したがって、アルコキシシラン(A)が有しているアルコキシ基の加水分解反応前後で混合物(I)の赤外吸収スペクトルを測定し、アルコキシシラン(A)のSi−O−C部分に由来する吸収ピークが減少していれば、アルコキシシラン(A)が有しているアルコキシ基は加水分解反応によって減少し、これによってシラノール基が形成されていると判定することができる。
次に、ガスバリア性樹脂層の製造では、上述の通りにして得られたアルコキシシラン(A)の加水分解物に、ウレタン(メタ)アクリレート(B)100〜2000重量部、及び分子中にウレタン結合を有していない多官能(メタ)アクリレート(C)1〜50重量部を添加して塗工用組成物を調製する。
(ウレタン(メタ)アクリレート(B))
ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、分子中に1個以上のウレタン結合(−NH−CO−O−)と、1個以上の(メタ)アクリロキシ基とを有している(メタ)アクリレートを意味する。
ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、これに含まれているウレタン結合の極性によって、得られるガスバリア性樹脂層に優れた接着耐久性を付与することができる。このようなガスバリア性樹脂層によれば、合成樹脂フィルムや後述する無機化合物膜などと剥離することなく強固に接着することができ、優れたガスバリア性を長期間に亘って維持することができるガスバリア性フィルムを提供することができる。
ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、分子中に(メタ)アクリロキシ基を2個以上有していることが好ましい。このようなウレタン(メタ)アクリレート(B)によれば、得られるガスバリア性樹脂層中で複雑な網目構造を有する高分子鎖を形成することができ、ガスバリア性樹脂層のガスバリア性を向上させることができる。ウレタン(メタ)アクリレート(B)中における(メタ)アクリロキシ基の数は、2個以上が好ましいが、2〜20個がより好ましく、3〜10個が特に好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート(B)としては、先ず、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させることによりイソシアネート基を含有するウレタンオリゴマーを得た後、このウレタンオリゴマーと活性水素原子を含有する基を有している(メタ)アクリレートとを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレート(B1)が好ましく挙げられる。
ポリオール化合物とは、分子中に2個以上のヒドロキシ基を有している化合物である。ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールは、好ましくは、分子中にカルボキシ基(−COOH)を2個有しているジカルボン酸と、分子中にヒドロキシ基を2個以上有している多価アルコールとを重縮合させることにより得られる。
ポリエステルポリオールに用いられるジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びシクロヘキサン1,4−ジカルボン酸などが挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、二種以上を併用することもできる。
また、ポリエステルポリオールに用いられる多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメチロール、シクロヘキサンジメチロール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAポリエトキシグリコール、ポリカーボネートポリオール、ペンタエリスルトール、ソルビトール、スクロース、クオドロール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、水添ダイマージオールペンタエリトリトール、及びトリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、二種以上を併用することもできる。
ポリエーテルポリオールは、好ましくは、分子中にヒドロキシ基を2個以上有している多価アルコールに環状エーテルを開環重合させることにより得られる。
ポリエーテルポリオールに用いられる環状エーテルとしては、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、及びオキセタンなどが挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、二種以上を併用することもできる。
また、ポリエーテルポリオールに用いられる多価アルコールとしては、ポリエステルポリオールに用いられる多価アルコールとして上述したものと同じものが挙げられる。
ポリカプロラクトンポリオールは、好ましくは、分子中にヒドロキシ基を2個以上有している多価アルコールにラクトンを開環重合させることにより得られる。
ポリカプロラクトンポリオールに用いられるラクトンとしては、α−カプロラクトン、β−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、及びβ−メチル−ε−カプロラクトンなどが挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、二種以上を併用することもできる。
また、ポリカプロラクトンポリオールに用いられる多価アルコールとしては、ポリエステルポリオールに用いられる多価アルコールとして上述したものと同じものが挙げられる。
次に、上述したポリオール化合物と反応させてウレタンオリゴマーを形成するために用いられるポリイソシアネート化合物とは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有している化合物である。
ポリイソシアネート化合物としては、エチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2、4−トリレンジイソシアネート、2、6−トリレンジイソシアネート、4、4−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネート、1、5−ナフチレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4、4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及び1、3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサンなどのジイソシアネートが挙げられる。また、ポリイソシアネート化合物としては、上述したジイソシアネートのイソシアヌレート体、及びビューレット体などを挙げることもできる。これらは、単独で用いられてもよく、二種以上を併用することもできる。
イソシアヌレート体は、例えば、3molのジイソシアネートを自己縮合させることにより得られるものである。ビューレット体は、例えば、2molのジイソシアネートを反応させてウレア結合を形成してなるジイソシアネートウレアを得、このジイソシアネートウレアと1molのジイソシアネートとを反応させて、ジイソシアネートウレアが有するウレア結合にジイソシアネートが有するイソシアネート基が付加することにより得られる。
そして、上述したウレタンオリゴマーと反応させてウレタン(メタ)アクリレート(B1)を形成するために用いられる(メタ)アクリレートは、活性水素原子を含有する基を有している。
活性水素原子とは、炭素原子以外の原子、例えば、酸素原子、窒素原子、イオウ原子等に直接結合した水素原子を意味する。このような活性水素原子を含有する基は、イソシアネート基に対して反応性を有する。活性水素原子を含有する基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基、及びアミド基などが得られる。
活性水素原子を含有する基を有している(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、及び2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリレート;並びに(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、及びN−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、特にヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物が好ましく用いられる。これらは、単独で用いられてもよく、二種以上を併用することもできる。
そして、上述したウレタンオリゴマーが有しているイソシアネート基と、(メタ)アクリレートが有している活性水素原子を含有する基とを反応させることにより、分子中に1個以上のウレタン結合(−NH−CO−O−)と、1個以上の(メタ)アクリロキシ基とを有しているウレタン(メタ)アクリレート(B1)が得られる。
また、ウレタン(メタ)アクリレート(B)としては、上述したものの他にも、活性水素原子を含有する基を有している(メタ)アクリレートと、ポリイソシアネート化合物とを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレート(B2)も好ましく挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレート(B2)に用いられる活性水素原子を含有する基を有している(メタ)アクリレート及びポリイソシアネート化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート(B1)において上述したものと同様のものが用いられる。
そして、上述した(メタ)アクリレートが有している活性水素原子を含有する基と、ポリイソシアネート化合物が有しているイソシアネート基とを反応させることにより、分子中に1個以上のウレタン結合(−NH−CO−O−)と、1個以上の(メタ)アクリロキシ基とを有しているウレタン(メタ)アクリレート(B2)が得られる。
このようなウレタン(メタ)アクリレート(B2)としては、下記一般式(2)で示されるウレタン(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
Figure 2013103444

(式中、R4〜R7は、それぞれ相互に独立して且つ同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はメチル基を表し、R8は、アルキレン基を表す。)
上記一般式(2)で示されるウレタン(メタ)アクリレート(B2)は、エチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物と、グリセロールジ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。
ウレタン(メタ)アクリレート(B)として、市販されているウレタン(メタ)アクリレートを用いることができる。市販品としては、共栄社化学社製 AH−600(フェニルグリシジルエーテルアクリレートへキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー)、AT−600(フェニルグリシジルエーテルアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー)、UA−306H(ペンタエリスリトールトリアクリレートへキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー)、UA−306T(ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー)、UA−306I(ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー)、及びUA−510H(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートへキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー);新中村化学工業社製 U−4HA、U−6HA、U−6LPA、U−53H、及びUA−122P、ダイセル・サイテック社製 Ebecryl 284、Ebecryl 285、Ebecryl 294/25HD、Ebecryl 4820、Ebecryl 4858、Ebecryl 8402、Ebecryl 8405、Ebecryl 9270、Ebecryl 8311、Ebecryl 8701、Ebecryl 230、Ebecryl 244、Ebecryl 245、Ebecryl 264、Ebecryl 265、Ebecryl 270、Ebecryl 280/15IB、Ebecryl 1259、Ebecryl 5129、Ebecryl 8210、Ebecryl 8301、Ebecryl 8307、Ebecryl 8411、Ebecryl 8804、Ebecryl 8807、Ebecryl 9227EA、Ebecryl 9250、KRM 8200、KRM 7735、KRM 8296、KRM 8452、Ebecryl 204、Ebecryl 205、Ebecryl 210、Ebecryl 215、Ebecryl 220、及びEbecryl 6202;日本合成化学工業社製 UV−1700B、UV−6300B、UV−7550B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7610B、UV−7620EA、UV−7630B、UV−7640B、及びUV−7650B等;第一工業製薬社製 R−1214、R−1220、R−1301、R−1304、R−1306X、R−1308、R−1602、及びR−1150D;並びに、根上工業社製 UN−3320HA、UN−3320HC、UN−3320HS、UN−901T、UN−255、UN−6060PTM、UN−6060P、UN−9000PEP、及びUN−9200Aなどが挙げられる。
アルコキシシラン(A)の加水分解物に添加するウレタン(メタ)アクリレート(B)の量は、上記加水分解物の原料に用いたアルコキシシラン(A)100重量部に対して、100〜2000重量部に限定されるが、100〜1800重量部が好ましく、130〜1800重量部がより好ましく、200〜1000重量部が特に好ましい。上記加水分解物の原料に用いたアルコキシシラン(A)に対するウレタン(メタ)アクリレート(B)の添加量が、少な過ぎると、得られるガスバリア性樹脂層に充分な接着耐久性を付与できなくなる虞れがあり、多過ぎると、得られるガスバリア性樹脂層のガスバリア性が低下する虞れがある。
(多官能(メタ)アクリレート(C))
アルコキシシラン(A)の加水分解物には、上述したウレタン(メタ)アクリレート(B)の他に、多官能(メタ)アクリレート(C)を添加する。多官能(メタ)アクリレート(C)によれば、得られるガスバリア性樹脂層のガスバリア性及び透明性を向上させることができる。
多官能(メタ)アクリレート(C)とは、分子中に2個以上の(メタ)アクリロキシ基とを有している(メタ)アクリレートを意味する。また、多官能(メタ)アクリレート(C)は分子中にウレタン結合を有していない。
多官能(メタ)アクリレート(C)中における(メタ)アクリロキシ基の数は、2個以上であるが、2〜10個が好ましく、2〜6個がより好ましい。このような多官能(メタ)アクリレート(C)によれば、得られるガスバリア性樹脂層中で複雑な網目構造を有する高分子鎖を形成することができ、ガスバリア性樹脂層のガスバリア性を向上させることができる。
多官能(メタ)アクリレート(C)としては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、及びテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの2官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能(メタ)アクリレート;テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、二種以上を併用することもできる。
なかでも、多官能(メタ)アクリレート(C)としては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレート(C)によれば、ガスバリア性樹脂層の透明性及びガスバリア性を向上させることができる。
アルコキシシラン(A)の加水分解物に添加する多官能(メタ)アクリレート(C)の量は、上記加水分解物の原料に用いたアルコキシシラン(A)100重量部に対して、1〜50重量部に限定されるが、5〜45重量部が好ましく、20〜40重量部がより好ましい。上記加水分解物の原料に用いたアルコキシシラン(A)に対する多官能(メタ)アクリレート(C)の添加量が、少な過ぎると、優れたガスバリア性を長期間に亘って維持することができるガスバリア性樹脂層が得られない虞れがあり、多過ぎると、塗工用組成物の成膜性が低下して、これを用いて得られるガスバリア性樹脂層のガスバリア性が低下する虞れがある。
本発明では、上述したアルコキシシラン(A)の加水分解物に、ウレタン(メタ)アクリレート(B)及び多官能(メタ)アクリレート(C)を添加することにより塗工用組成物を得、その後、この塗工用組成物を合成樹脂フィルム上に塗工し、上記塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基と、ウレタン(メタ)アクリレート(B)が有する(メタ)アクリロキシ基と、多官能(メタ)アクリレート(C)が有する(メタ)アクリロキシ基とのラジカル重合を行う。
合成樹脂フィルム上に塗工用組成物を塗工するには、ロールコーター法、スピンコーター法、ディッピング法、バーコーター法、フローティングナイフコーター法、ダイコーター法、グラビアコーター法、カーテンコーター法、ブレードコーター法、及びスプレー法など公知の方法を用いて行えばよい。
合成樹脂フィルム上に塗工した塗工用組成物に照射する活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線、及びγ線などが挙げられる。なかでもラジカル重合を行うのに十分なエネルギーを有することから、電子線が好ましく挙げられる。
塗工用組成物に電子線を照射する場合、電子線の加速電圧は、100〜300kVが好ましく、150〜200kVがより好ましい。また、電子線の照射量は、50〜200kGyが好ましく、100〜175kGyがより好ましい。
そして、合成樹脂フィルム上に塗工した塗工用組成物に活性エネルギー線を照射した後に、上記塗工用組成物に含まれているアルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行う。
このアルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行うには、合成樹脂フィルム上に塗工した塗工用組成物に活性エネルギー線を照射した後に、活性エネルギー線を照射した塗工用組成物を、好ましくは40〜150℃、より好ましくは40〜100℃に加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基同士の脱水縮合反応を生じさせることができる。加熱時間は、0.1〜10時間が好ましく、0.5〜3時間がより好ましい。
ガスバリア性樹脂層の製造では、上述した通り、初めに、アルコキシシラン(A)が有するアルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基を形成し、次に、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基と、ウレタン(メタ)アクリレート(B)が有する(メタ)アクリロキシ基と、多官能(メタ)アクリレート(C)が有する(メタ)アクリロキシ基とのラジカル重合を行った後又は行いながら、シラノール基の脱水縮合反応を行う。シラノール基の形成後、上述したラジカル重合を行っている間にも、シラノール基の一部が脱水縮合反応を生じている可能性もある。しかしながら、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合の反応速度は非常に遅い。このため、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応よりも、上述したラジカル重合が優先的に生じる。したがって、上述したラジカル重合を行っている間に生じるシラノール基の脱水縮合反応はほとんど生じておらず無視することができ、上述したラジカル重合を行った後に、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の大部分が脱水縮合することとなる。
本発明の方法により得られるガスバリア性樹脂層では、アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基と、ウレタン(メタ)アクリレート(B)が有する(メタ)アクリロキシ基と、多官能(メタ)アクリレート(C)が有する(メタ)アクリロキシ基とのラジカル重合によって得られた重合体の主鎖間を架橋するようにして、ラジカル重合体が有しているアルコキシシラン(A)の加水分解物に由来するシラノール基の脱水縮合反応によるシロキサン結合(−Si−O−Si−)が形成されており、最終的に得られる重合体が複雑な網目構造を形成している。
また、アルコキシシラン(A)の加水分解物と、ウレタン(メタ)アクリレート(B)と、多官能(メタ)アクリレート(C)とのラジカル重合体を優先的に高分子量化することによって、相互に隣接する重合体の主鎖同士を近接させた状態とすることができ、このようにして重合体の主鎖同士を近接させた状態で、この重合体が有するシラノール基の脱水縮合反応を行うことができ、ラジカル重合体の主鎖間をシロキサン結合が架橋した緻密な網目構造を形成することができる。
このように本発明の方法により形成されるガスバリア性樹脂層は、複雑且つ緻密な網目構造を有している重合体によって形成されてなることから、酸素や水蒸気などのガスの透過を高く防止することができ、優れたガスバリア性を有する。
また、上述したアルコキシシラン(A)、ウレタン(メタ)アクリレート(B)、及び多官能(メタ)アクリレート(C)を用いてなるガスバリア性樹脂層は、優れた透明性も有している。
さらに、ガスバリア性樹脂層を構成している重合体がウレタン(メタ)アクリレート(B)に由来するウレタン結合を含んでいることによって、合成樹脂フィルムや後述する無機化合物膜などに対するガスバリア性樹脂層の接着力を向上させることができると共に、上記重合体の劣化を高く低減してガスバリア性樹脂層の耐久性を向上させることができる。したがって、上記ガスバリア性樹脂層は、優れたガスバリア性及び透明性を長期間に亘って維持することができる。
[無機化合物膜]
本発明のガスバリア性フィルムは、合成樹脂フィルムとガスバリア性樹脂層とを有しているが、無機化合物膜をさらに有しているのが好ましい。無機化合物膜を用いることにより、ガスバリア性フィルムのガスバリア性を向上させることができる。
無機化合物膜を構成している材料としては、金属酸化物又は金属窒化物が挙げられる。具体的には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及び酸化チタンなどの金属酸化物、並びに窒化ケイ素、及び窒化チタンなどの金属窒化物が挙げられる。なかでも、優れたガスバリア性を有する無機化合物膜を形成できることから、金属酸化物が好ましく、酸化ケイ素、酸化アルミニウムがより好ましく、酸化ケイ素が特に好ましい。
酸化ケイ素を含む無機化合物膜は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、チタン、ジルコニウム、イットリウムなどの他の金属原子や、炭素原子、ホウ素原子、窒素原子、フッ素原子などの非金属原子を含んでいてもよい。
無機化合物膜は、単一層であっても、ガスバリア性を向上させるために複数層を積層一体化させたものであってもよい。無機化合物膜が複数層を積層一体化させてなるものである場合、各層を構成している材料は、同種類であっても異種類であってもよい。
無機化合物膜の厚みが薄過ぎると、酸素や水蒸気に対して十分なガスバリア性を有するガスバリア性フィルムを提供できない虞れがある。また、無機化合物膜の厚みが厚過ぎると無機化合物膜を形成する際に合成樹脂フィルムやガスバリア性樹脂層などの隣接する層との間における収縮率の差に起因してクラックが生じ易くなり、ガスバリア性フィルムの酸素や水蒸気に対するバリア性が低下する虞れがある。したがって、無機化合物膜の厚みは、5nm〜10μmが好ましく、10nm〜5μmがより好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムにおいて、合成樹脂フィルム上での無機化合物膜及びガスバリア性樹脂層の積層順序は特に制限されない。例えば、図1に示すように、合成樹脂フィルム10上に無機化合物膜20及びガスバリア性樹脂層30がこの順で積層一体化されていてもよく、図2に示すように合成樹脂フィルム10上にガスバリア性樹脂層30及び無機化合物膜20がこの順で積層一体化されていてもよい。
合成樹脂フィルム上に無機化合物膜及びガスバリア性樹脂層を形成する順序も特に制限されない。例えば、合成樹脂フィルム上に無機化合物膜を形成した後、この無機化合物膜上に上記の通りにしてガスバリア性樹脂層を形成してもよく、合成樹脂フィルム上に上記の通りにしてガスバリア性樹脂層を形成した後、このガスバリア性樹脂層上に無機化合物膜を形成してもよい。
合成樹脂フィルム又はガスバリア性樹脂層上に無機化合物膜を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD)や、化学的気相成長法(CVD)などが挙げられる。
無機化合物膜は、合成樹脂フィルム又はガスバリア性樹脂層上で直接作製されてもよい。また、無機化合物膜を合成樹脂フィルム及びガスバリア性樹脂層とは別に作製した後、この無機化合物膜を合成樹脂フィルム又はガスバリア性樹脂層にラミネート用接着剤などを用いて貼着することによって合成樹脂フィルム又はガスバリア性樹脂層上に無機化合物膜を積層一体化してもよい。ラミネート用接着剤としては、公知の接着剤を用いることができ、例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、及びポリエーテル系接着剤などを用いることができる。
本発明のガスバリア性フィルムが用いられる用途としては、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装などの用途が挙げられる。また、このような包装用用途の他にも、本発明のガスバリア性フィルムは、太陽電池モジュール、液晶表示パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルなどに使用される素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを防止するために、製品構成体の一部として或いはそれら素子のパッケージ材料として用いることができる。
なかでも、本発明のガスバリア性フィルムは、優れた透明性及びガスバリア性を長期間に亘って維持することができることから、太陽電池モジュールの裏面側保護シート又は受光面側保護シートとして用いられるのが好ましい。裏面側保護シート及び受光面側保護シートは、太陽電池モジュールにおいて発電素子とエチレン−酢酸ビニル共重合体などの封止樹脂とを保護するために用いられる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
[実施例1]
(ガスバリア性樹脂層の作製)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)100重量部に、硝酸水溶液(硝酸0.0045重量%含有)23重量部を添加して混合物(I)を得、この混合物(I)を25℃で3時間撹拌することにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)が有しているメトキシ基を加水分解反応させてシラノール基を形成させることにより、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物を含む混合物(I')を得た。
次に、混合物(I')の全量に、4個のアクリロキシ基を有しているウレタンアクリレート(B1)[新中村化学社製 製品名「U−4HA」]137重量部、及びトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(C1)14重量部を添加することにより、塗工用組成物を得た。
しかる後、合成樹脂フィルムとして透明のポリエチレンテレナフタレートフィルム(厚み75μm)を用意し、このポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面上に、塗工用組成物をグラビアコーターにより直接塗工し、塗工した塗工用組成物に電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)が有しているメタクリロキシ基と、ウレタンアクリレート(B1)が有しているアクリロキシ基と、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(C1)が有しているアクリロキシ基とのラジカル重合を行うことによりラジカル重合体を得た。
そして、電子線が照射された塗工用組成物を一面上に有するポリエチレンテレナフタレートフィルムを、オーブン中、60℃の温度で1時間加熱することにより、電子線が照射された塗工用組成物に含まれているラジカル重合体が有している3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A1)の加水分解物に由来するシラノール基同士を脱水縮合反応させて、ラジカル重合体間を架橋するシロキサン結合を形成し、ガスバリア性樹脂層(厚み5μm)を作製した。
(無機化合物膜の作製)
RFマグネトロンスパッタにより、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルム及びガスバリア性樹脂層の温度を60℃に維持した状態で、ケイ素酸化物からなるターゲットを用いて、上記で作製したガスバリア性樹脂層の一面に酸化ケイ素からなる膜(厚み20nm)を直接形成した。これにより、ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面上に、ガスバリア性樹脂層及び酸化ケイ素膜がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
[実施例2〜5及び比較例1〜3、5]
ガスバリア性樹脂層の作製に用いた各成分の配合量を表1に示した通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
[実施例6]
ウレタンアクリレート(B1)に代えて、6個のアクリロキシ基を有しているウレタンアクリレート(B2)[ダイセル・サイテック社製 製品名「Ebecryl 5129」]500重量部を用い、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(C1)に代えて、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(C2)20重量部用いた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
[実施例7]
(ガスバリア性樹脂層の作製)
ビニルトリメトキシシラン(A2)100重量部に、硝酸水溶液(硝酸0.0045重量%含有)38重量部を添加して混合物(I)を得、この混合物(I)を25℃で3時間撹拌することにより、ビニルトリメトキシシラン(A2)が有しているメトキシ基を加水分解反応させてシラノール基を形成させることにより、ビニルトリメトキシシラン(A2)の加水分解物を含む混合物(I')を得た。
次に、混合物(I')の全量に、4個のアクリロキシ基を有しているウレタンアクリレート(B1)[新中村化学社製 製品名「U−4HA」]833重量部、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(C2)20重量部を添加することにより、塗工用組成物を得た。
しかる後、合成樹脂フィルムとして透明のポリエチレンテレナフタレートフィルム(厚み75μm)を用意した。このポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面上に、塗工用組成物をグラビアコーターにより直接塗工し、塗工した塗工用組成物に電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって、ビニルトリメトキシシラン(A2)が有しているビニル基と、ウレタンアクリレート(B1)が有しているアクリロキシ基と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(C2)が有しているアクリロキシ基とのラジカル重合を行うことによりラジカル重合体を得た。
そして、電子線が照射された塗工用組成物を一面上に有するポリエチレンテレナフタレートフィルムを、オーブン中、60℃の温度で1時間加熱することにより、電子線が照射された塗工用組成物に含まれているラジカル重合体が有しているビニルトリメトキシシラン(A2)の加水分解物に由来するシラノール基同士を脱水縮合反応させて、ラジカル重合体間を架橋するシロキサン結合を形成し、ガスバリア性樹脂層(厚み5μm)を作製した。
(無機化合物膜の作製)
上記で作製したガスバリア性樹脂層の一面に、実施例1と同様にして、酸化ケイ素からなる膜(厚み20nm)を直接形成した。これにより、ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面上に、ガスバリア性樹脂層及び酸化ケイ素膜がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
[実施例8]
ガスバリア性樹脂層の作製において、ウレタンアクリレート(B1)の配合量を1750重量部とし、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(C2)に代えてトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(C1)38重量部用いた以外は、実施例7と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
[比較例4]
ガスバリア性樹脂層の作製において、ウレタンアクリレート(B1)の配合量を80重量部とし、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(C1)に代えてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(C2)40重量部用いた以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
[比較例6]
ガスバリア性樹脂層の作製に用いた各成分の配合量を表1に示した通りに変更した以外は、実施例7と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
[比較例7]
ガスバリア性樹脂層の作製において、ウレタンアクリレート(B1)の配合量を3000重量部とし、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(C2)に代えてトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(C1)40重量部用いた以外は、実施例7と同様にしてガスバリア性フィルムを作製した。
[比較例8]
合成樹脂フィルムとして透明のポリエチレンテレナフタレートフィルム(厚み75μm)を用意し、RFマグネトロンスパッタにより、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの温度を60℃に維持した状態でケイ素酸化物からなるターゲットを用いて、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素からなる膜(厚み20nm)を直接形成した。これによりポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素膜が積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
[評価]
上記で得られたガスバリア性フィルムの水蒸気透過率及び全光線透過率を下記手順に従って測定した。結果を表1及び2に示す。
[水蒸気透過率]
ガスバリア性フィルムの水蒸気透過率(g/m2・day)を、JIS K7126(差圧法)に準拠した差圧式のガスクロマトグラフ法によって、ガス・蒸気透過率測定装置(GTRテック社製 装置名:GTR−300XASC)を用いて、測定時間1時間、温度40℃、相対湿度90%の条件下で測定した。
[全光線透過率]
ガスバリア性フィルムの厚み方向の全光線透過率(%)を、JIS K7105に準拠した方法によって、ヘーズ測定器(日本電色工業社製 装置名:濁度計NDH 2000)を用いて測定した。
さらに、ガスバリア性フィルムに下記の条件で促進耐候試験を500時間及び1000時間行い、促進耐候試験を500時間及び1000時間行った後の各ガスバリア性フィルムについて上記と同様の手順にしたがって水蒸気透過率及び全光線透過率を測定した。
促進耐候試験:
ガスバリア性フィルムに、カーボンアークランプ式促進耐候性試験機(スガ試験機社製 サンシャインウェザーメーター S300試験機)を用いて、ブラックパネル温度を63℃とし、相対湿度50%とし、JIS K 7350−4に準拠したガラスフィルターI型を使用して、波長300nm〜700nmの光を放射照度258W/m2で連続照射しながら、18分間の水噴霧後、102分間の水噴霧停止を1サイクルとし、このサイクルを繰り返す促進耐候試験を行った。
なお、比較例3、4及び6のガスバリア性フィルムでは、促進耐候試験を1000時間行った後に、ガスバリア性樹脂層がポリエチレンテレナフタレートフィルムや酸化ケイ素膜から剥離した箇所が発生したため、水蒸気透過率及び全光線透過率の測定を行わなかった。
Figure 2013103444
Figure 2013103444
10 合成樹脂フィルム
20 無機化合物膜
30 ガスバリア性樹脂層

Claims (2)

  1. 分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部と水5〜50重量部とを混合することにより、上記アルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基が形成されてなる上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を得、このアルコキシシラン(A)の加水分解物に、ウレタン(メタ)アクリレート(B)100〜2000重量部、及び分子中にウレタン結合を有していない多官能(メタ)アクリレート(C)1〜50重量部を添加して塗工用組成物を得、この塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基と、上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)が有する(メタ)アクリロキシ基と、上記多官能(メタ)アクリレート(C)が有する(メタ)アクリロキシ基とのラジカル重合を行った後又は行いながら、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行うことにより形成されてなるガスバリア性樹脂層が、合成樹脂フィルム上に積層一体化されてなることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 分子中に2個以上のアルコキシ基と1個以上のラジカル重合性基とを有するアルコキシシラン(A)100重量部と水5〜50重量部とを混合することにより、上記アルコキシ基を加水分解反応させてシラノール基が形成されてなる上記アルコキシシラン(A)の加水分解物を得、このアルコキシシラン(A)の加水分解物に、ウレタン(メタ)アクリレート(B)100〜2000重量部、及び分子中にウレタン結合を有していない多官能(メタ)アクリレート(C)1〜50重量部を添加して塗工用組成物を得、この塗工用組成物を合成樹脂フィルム上に塗工した後、上記塗工用組成物に活性エネルギー線を照射することにより、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有するラジカル重合性基と、上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)が有する(メタ)アクリロキシ基と、上記多官能(メタ)アクリレート(C)が有する(メタ)アクリロキシ基とのラジカル重合を行った後又は行いながら、上記アルコキシシラン(A)の加水分解物が有しているシラノール基の脱水縮合反応を行うことにより、ガスバリア性樹脂層を形成する工程を有することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
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