JP2013101294A - 走査型投射装置および走査型画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の画面を重ね合わせることによって一つの画面を構成する光ビーム走査型投射装置において、簡単な光学系構成で、安全規格に準拠しつつ画面の高輝度化を図ることを目的とする。
【解決手段】レーザ光源から出射した光ビームを走査する光ビーム走査型投射装置において、複数の光ビームと、前記光ビームを反射しスクリーン等に投射する反射ミラーと、前記反射ミラーを駆動するミラー駆動手段と、前記複数の光ビームを異なる光軸で反射ミラーに入射し異なる投射領域に投影し、前記複数の画面によって一つの画像を表示させる画像表示装置の構成とする。さらに、前記複数光ビームに所定の相対角度をつけ、複数画面を互いにわずかにずらして重ね合わせることで一つの画面を構成することにより、安全規格に準拠しつつ画面の輝度を向上させた走査型投射装置を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】レーザ光源から出射した光ビームを走査する光ビーム走査型投射装置において、複数の光ビームと、前記光ビームを反射しスクリーン等に投射する反射ミラーと、前記反射ミラーを駆動するミラー駆動手段と、前記複数の光ビームを異なる光軸で反射ミラーに入射し異なる投射領域に投影し、前記複数の画面によって一つの画像を表示させる画像表示装置の構成とする。さらに、前記複数光ビームに所定の相対角度をつけ、複数画面を互いにわずかにずらして重ね合わせることで一つの画面を構成することにより、安全規格に準拠しつつ画面の輝度を向上させた走査型投射装置を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、走査型投射装置および走査型画像表示装置に関し、特に所定の光ビーム偏向手段で光ビームを2次元的に走査することにより、例えば所定の投射スクリーン面上に画像を投影表示するようにした光学装置に関するものである。
近年、所定の光源から発せられた光ビームを所定のスクリーン上に投射させ、かつ所定の偏向手段によって前記光ビームを2次元的に偏向することで前記投射スクリーン上において前記光ビームを2次元的に走査させ、その残像効果によって前記スクリーン上に2次元画像を投影表示する機能を備えた走査型投射装置または走査型画像表示装置が種々提案されている。
このような走査型画像表示装置の具体的な例としては、例えば下記特許文献1に開示された例などがある。
このような走査型画像表示装置の具体的な例としては、例えば下記特許文献1に開示された例などがある。
このような走査型画像表示装置においては高輝度化が課題とされているが、レーザを光ビームの光源とした場合、目の保護を目的とした安全規格の観点から目に入る光量の上限が規定されている。
例えば高輝度化を実現する手段として複数のレーザ光源を用いて複数の画面を形成することにより達成する方法があるが、この際には複数の光ビームが同時に目に入らない対策が必須となる。
この高輝度化を達成するための走査型投影装置の例として特許文献2−4では、複数の光ビームをMEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)ミラーなどの偏向走査素子に相対角度をつけて入射し、複数の画面を形成し並列させることによって高輝度化と安全規格の適合化を両立させる方式が提案されている。
例えば高輝度化を実現する手段として複数のレーザ光源を用いて複数の画面を形成することにより達成する方法があるが、この際には複数の光ビームが同時に目に入らない対策が必須となる。
この高輝度化を達成するための走査型投影装置の例として特許文献2−4では、複数の光ビームをMEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)ミラーなどの偏向走査素子に相対角度をつけて入射し、複数の画面を形成し並列させることによって高輝度化と安全規格の適合化を両立させる方式が提案されている。
ところで特許文献1で開示される走査型画像表示装置において、前記投射スクリーン等に投影表示される画像の明るさ(輝度)を増大させるためには、例えば前記投射スクリーン上を2次元走査する画像表示用の光ビームの出力光強度を単純に増大させる手法等が簡便な手法として考えられる。
しかしながら、このように1本の画像表示用光ビームの光強度を単純に増大させる手法は、光源に出力性能などの制約により増大できる画像の明るさ(輝度)には限界があり、明るさ(輝度)を無制限に増大させることはできない。
しかしながら、このように1本の画像表示用光ビームの光強度を単純に増大させる手法は、光源に出力性能などの制約により増大できる画像の明るさ(輝度)には限界があり、明るさ(輝度)を無制限に増大させることはできない。
また1本の画像表示用光ビームの光強度を増大させた手法は、万一その光ビームが誤って人の眼球に入射してしまった際に失明など重大な事故につながる等安全上重大な問題が生じる危険性がある。
前記公知例で開示されているような偏向走査素子に複数の光ビームを入射することによって複数の画面を形成するためには、安全規格に適合するための複数の入射光ビーム間の相対角度は、一定値以上であることが必須となる。上記特許文献2−4では、例えば4つの画面を互いにその一部を重ね合わせて約4倍の大きさの画面を構成させている。しかしながら、画面間の相対角度の増大は複数の画面間に走査歪みによる画面形状に差異を生じさせ、画面の合成が難しくなるという問題がある。また、複数の画面を一部重ねて配置しているため、輝度の向上と画面の拡大が同時に発生することになり、画面の拡大に伴う走査歪が複雑化する。
前記公知例で開示されているような偏向走査素子に複数の光ビームを入射することによって複数の画面を形成するためには、安全規格に適合するための複数の入射光ビーム間の相対角度は、一定値以上であることが必須となる。上記特許文献2−4では、例えば4つの画面を互いにその一部を重ね合わせて約4倍の大きさの画面を構成させている。しかしながら、画面間の相対角度の増大は複数の画面間に走査歪みによる画面形状に差異を生じさせ、画面の合成が難しくなるという問題がある。また、複数の画面を一部重ねて配置しているため、輝度の向上と画面の拡大が同時に発生することになり、画面の拡大に伴う走査歪が複雑化する。
ここで言う走査歪みとは反射型光ビーム偏向走査素子または装置を用いて光ビームを2次元的に走査した場合、水平方向の偏向角と垂直方向の偏向角の組み合わせにより、投影スクリーン上において理想的な走査線に対して偏差が生じ、その結果スクリーン上に投射される2次元画像に大きな画像歪みが生じる現象である。
以上のような状況に鑑み、本発明では、個々の走査光ビームの光強度を増大させることなく、さらにまた上記安全上の問題も良好に回避しつつ、前記投影画像の明るさ(輝度)を良好に増大させることができる走査型投射装置および走査型画像表示装置を提供する。また、本発明では、複数の入射光ビームの相対角度を、安全規格を準拠するために必要最低限な入射相対角度を保持した走査型投射装置および走査型画像表示装置を提供する。
以上のような状況に鑑み、本発明では、個々の走査光ビームの光強度を増大させることなく、さらにまた上記安全上の問題も良好に回避しつつ、前記投影画像の明るさ(輝度)を良好に増大させることができる走査型投射装置および走査型画像表示装置を提供する。また、本発明では、複数の入射光ビームの相対角度を、安全規格を準拠するために必要最低限な入射相対角度を保持した走査型投射装置および走査型画像表示装置を提供する。
前記目的は、特許請求の範囲に記載の発明によって達成できる。
本発明は、簡単な構成で安全規格を満足しつつ、かつ従来に比べて明るい画像が投射可能な走査型投射装置および走査型画像表示装置が提供できる。
以下、図に示す実施例に基づいて詳細に説明するが、これによりこの本発明の光学構成が限定されるものではない。
本発明の実施例1について図を用いて説明する。
図1は、本発明における実施例1の走査型投射装置100の説明図である。図中点線は、ビーム光束径である。なお、光束径とは、光ビームの光強度が光軸上の光強度に対し1/exp(2)となる径である。
図2は、図1中のRGB光源101の詳細図である。ここで言うRGB光源とは赤(Red)と緑(Green)と青(Blue)の画像表示に必要な3原色を合成する光源のことである。図中点線は、光ビームの光束径を示す。
図1は、本発明における実施例1の走査型投射装置100の説明図である。図中点線は、ビーム光束径である。なお、光束径とは、光ビームの光強度が光軸上の光強度に対し1/exp(2)となる径である。
図2は、図1中のRGB光源101の詳細図である。ここで言うRGB光源とは赤(Red)と緑(Green)と青(Blue)の画像表示に必要な3原色を合成する光源のことである。図中点線は、光ビームの光束径を示す。
レーザ光源201は例えば520nm帯の緑色光ビームを出射する半導体レーザである。レーザ光源201から出射した緑色光ビームは、コリメータレンズ202にて平行光ビームないし弱収束光ビームに変換される。なお、レーザ光源201はいわゆる第二次高調波を使用したいわゆるSHGレーザ光源でもかまわない。
レーザ光源203は例えば640nm帯の赤色光ビームを出射する半導体レーザである。レーザ光源203から出射した赤色光ビームは、コリメータレンズ204にて平行光ビームないし弱収束光ビームに変換される。
レーザ光源205は例えば455nm帯の青色光ビームを出射する半導体レーザである。レーザ光源205から出射した青色光ビームは、コリメータレンズ206にて平行光ビームないし弱収束光ビームに変換される。
レーザ光源203は例えば640nm帯の赤色光ビームを出射する半導体レーザである。レーザ光源203から出射した赤色光ビームは、コリメータレンズ204にて平行光ビームないし弱収束光ビームに変換される。
レーザ光源205は例えば455nm帯の青色光ビームを出射する半導体レーザである。レーザ光源205から出射した青色光ビームは、コリメータレンズ206にて平行光ビームないし弱収束光ビームに変換される。
光合成素子207は、緑色光ビームを透過、赤色光ビームを反射する波長選択性ミラーである。さらに、緑色光ビームと赤色光ビームの光軸が略一致するよう調整される。
光合成素子208は、緑色光ビームおよび赤色光ビームを透過、青色光ビームを反射する機能がある波長選択性ミラーである。青色光ビームと緑色および赤色光ビームの光軸が略一致するよう調整される。
RGB光源102はRGB光源101と同一構成となっている。図1においてRGB光源101,102はそれぞれが出射する光ビーム2本間の相対角度がθ0となるように配置されている。相対角度θ0の詳細については後述する。
相対角度θ0にて出射されたRGB光源101、102からの3色の光ビーム2本は全反射ミラー104を反射した後、走査素子106に入射する。
光合成素子208は、緑色光ビームおよび赤色光ビームを透過、青色光ビームを反射する機能がある波長選択性ミラーである。青色光ビームと緑色および赤色光ビームの光軸が略一致するよう調整される。
RGB光源102はRGB光源101と同一構成となっている。図1においてRGB光源101,102はそれぞれが出射する光ビーム2本間の相対角度がθ0となるように配置されている。相対角度θ0の詳細については後述する。
相対角度θ0にて出射されたRGB光源101、102からの3色の光ビーム2本は全反射ミラー104を反射した後、走査素子106に入射する。
走査素子106は、偏向ミラー105と、偏向ミラー105を駆動するための駆動電極等(図示せず)で構成される。偏向ミラー105は、水平走査軸と垂直走査軸を有し、偏向ミラー105を各走査軸のまわりに偏向駆動することで光ビームをスクリーン上に2次元走査する機能がある。偏向ミラー105は、例えばMicro Electro Mechanical Systems(以下、MEMS)ミラーや、ガルバノミラー等を用いることで実現できる。なお、走査素子106は、2枚の偏向ミラーで構成され、1枚目の偏向ミラーは垂直走査軸をもち、2枚目の偏向ミラーは水平走査軸を有してもよい。
なお、3色の光ビーム2本は偏向ミラー105上にてそのビーム光束径を一致させることが好ましい。これは偏向ミラー105が高速で駆動する性質上、その駆動部分である偏向ミラー表面で3色の光ビーム2本が反射する面積をできるだけ小さくする必要があるためである。また、走査素子106が2枚の偏向ミラーで構成されている場合は、2枚のうち偏向ミラーの反射有効範囲が狭いミラーにて、2本のビーム光束径を一致させた方がよい。
なお、3色の光ビーム2本は偏向ミラー105上にてそのビーム光束径を一致させることが好ましい。これは偏向ミラー105が高速で駆動する性質上、その駆動部分である偏向ミラー表面で3色の光ビーム2本が反射する面積をできるだけ小さくする必要があるためである。また、走査素子106が2枚の偏向ミラーで構成されている場合は、2枚のうち偏向ミラーの反射有効範囲が狭いミラーにて、2本のビーム光束径を一致させた方がよい。
相対角度θ0は、3色の光ビーム2本を偏向ミラー105上に一致させる角度に設定する。もちろん、走査素子106が2枚の偏向ミラーで構成されている場合は、2枚のうち偏向ミラーの反射有効範囲が狭いミラーに、2本のビームが一致するような角度に設定することは言うまでもない。
走査素子106を通過した3色の光ビーム2本は、走査型投射装置100の外部との境界面に設けた透明カバー107に入射する。透明カバー107は、3色の光ビームの透過率が十分に高い透明なガラスまたはプラスチックのカバー想定しており、走査型投射装置100内に入り込む粉塵等による、光学部品の透過率の劣化や走査素子106の故障などを防ぐことが可能となる。
走査素子106を通過した3色の光ビーム2本は、走査型投射装置100の外部との境界面に設けた透明カバー107に入射する。透明カバー107は、3色の光ビームの透過率が十分に高い透明なガラスまたはプラスチックのカバー想定しており、走査型投射装置100内に入り込む粉塵等による、光学部品の透過率の劣化や走査素子106の故障などを防ぐことが可能となる。
透明カバー107を通過した3色の光ビーム2本は、外部に設置されているスクリーン上にそれぞれ1個ずつ光スポット110、111を形成する。このときの2本の光ビームの相対角度はθ1である。本実施例では、相対角度θ0と相対角度θ1は一致する。しかしながら、RGB光源101、102から透明カバー107に至る光路中に屈折あるいは回折による光学素子が挿入などが配置された場合、必ずしも相対角度θ0と相対角度θ1は一致しなくても良い。いずれにしても、相対角度θ1は相対角度θ0の関数であり、相対角度θ1は相対角度θ0を設定することにより決定される角度である
相対角度θ1と2つの画面112と113の画面の走査歪みの差異は相関があるため、2つの画面の結合を考慮した場合、相対角度θ1はできるだけ最小にするのが好ましく、本発明では目の安全規格を準拠する必要最低限な角度を相対角度θ1としている。相対角度θ1の詳細については後述する。
ここで言う走査歪みとは反射型光ビーム偏向走査素子または装置を用いて光ビームを2次元的に走査した場合、水平方向の偏向角と垂直方向の偏向角の組み合わせにより、投影スクリーン上において理想的な走査線に対して偏差が生じ、その結果スクリーン上に投射される2次元画像に大きな画像歪みが生じる現象である。
相対角度θ1と2つの画面112と113の画面の走査歪みの差異は相関があるため、2つの画面の結合を考慮した場合、相対角度θ1はできるだけ最小にするのが好ましく、本発明では目の安全規格を準拠する必要最低限な角度を相対角度θ1としている。相対角度θ1の詳細については後述する。
ここで言う走査歪みとは反射型光ビーム偏向走査素子または装置を用いて光ビームを2次元的に走査した場合、水平方向の偏向角と垂直方向の偏向角の組み合わせにより、投影スクリーン上において理想的な走査線に対して偏差が生じ、その結果スクリーン上に投射される2次元画像に大きな画像歪みが生じる現象である。
スクリーン上に形成された2つの光スポット110,111は、走査素子106によって水平方向と垂直方向に走査されそれぞれの画面を形成する。形成された2つの画面112と113が重なった部分では、通常の画面の2倍程度の明るさを実現可能である。
相対角度θ1は、目の安全規格を準拠する必要最低限な角度と前述したが、以下で詳細を説明する。日本工業規格「レーザ製品の放射安全基準(JIS C6802-2005)」でレーザ光出力をクラス規定しており、日本における「消費生活用製品安全法」の規格で一般に販売するにはクラス2以下でなくてはならない。
クラス判定のためのレーザ測定条件は、レーザ走査型機器の場合、光源から100mm離れた位置で人間の瞳に相当する7mm径の領域に照射される光エネルギーが所定の値以下であることと規定されている。例えば、2本の光ビームを考えた場合、7mm径の領域に同時に2本の光ビームが入射しない条件は、2本の光ビームの相対角度がおよそ4度以上となっていればよい。発明ではこの相対角度をθ1としている。各種光学素子、2本のビームの設定精度等を考慮すると、相対角度をθ1は約5度以上であることが好ましい。
相対角度θ1は、目の安全規格を準拠する必要最低限な角度と前述したが、以下で詳細を説明する。日本工業規格「レーザ製品の放射安全基準(JIS C6802-2005)」でレーザ光出力をクラス規定しており、日本における「消費生活用製品安全法」の規格で一般に販売するにはクラス2以下でなくてはならない。
クラス判定のためのレーザ測定条件は、レーザ走査型機器の場合、光源から100mm離れた位置で人間の瞳に相当する7mm径の領域に照射される光エネルギーが所定の値以下であることと規定されている。例えば、2本の光ビームを考えた場合、7mm径の領域に同時に2本の光ビームが入射しない条件は、2本の光ビームの相対角度がおよそ4度以上となっていればよい。発明ではこの相対角度をθ1としている。各種光学素子、2本のビームの設定精度等を考慮すると、相対角度をθ1は約5度以上であることが好ましい。
一方、相対角度をθ1が大きくなると、図1の斜線で示した画像の重なり部分が減少する。画面の明るさが増大するのは画像の重なり部分であるため、できるだけ、明るさの大きな画像領域を得るためには、上記相対角度として、複数の画面がお互いに1/2以上重なる角度に設定することが好ましい。複数の画面がお互いに1/2以上重なる角度は、偏向ミラー105の走査角度、スクリーン上の画像サイズ等によって異なる。
本実施例の走査型投射装置100は、少なくともレーザ光源201とコリメータレンズ202、レーザ光源203とコリメータレンズ204、レーザ光源205とコリメータレンズ206、光合成素子207、208、走査素子106、透明カバー107にて構成されていればよく、途中に回折格子や波長板などの光学素子の追加や、例えば全反射ミラー104のように光路を折り曲げた構成であっても良い。また、透明カバー107と走査素子106の間の光路に走査素子106の走査角度を変換する機能を持つ光学素子等を追加しても構わない。
本実施例の走査型投射装置100は、少なくともレーザ光源201とコリメータレンズ202、レーザ光源203とコリメータレンズ204、レーザ光源205とコリメータレンズ206、光合成素子207、208、走査素子106、透明カバー107にて構成されていればよく、途中に回折格子や波長板などの光学素子の追加や、例えば全反射ミラー104のように光路を折り曲げた構成であっても良い。また、透明カバー107と走査素子106の間の光路に走査素子106の走査角度を変換する機能を持つ光学素子等を追加しても構わない。
なお、本実施例では、緑色、赤色、青色の3色の光ビームは、波長選択性ミラーである光合成素子207および208により光軸が合成される。しかしながら、本実施例のような走査型投射装置においては、3色の光ビームが合成する構成であればよく、2個の波長選択性ミラーの代わりに2個の波長選択性プリズムを用いる構成であってもよい。また、緑色、赤色、青色のレーザ光源の配置が異なってもよい。さらに、液晶プロジェクタ等で一般的に用いられる1個の波長選択性クロスプリズムを用いてもよい。
また、3個のコリメータレンズ202、204、206を想定しているが、1個のマイクロレンズアレイで構成してもよい。
さらに、緑色、赤色、青色光ビームを出射するレーザ光源は別々のパッケージ内にあると想定しているが、同一パッケージ内にあっても構わない。
また、3個のコリメータレンズ202、204、206を想定しているが、1個のマイクロレンズアレイで構成してもよい。
さらに、緑色、赤色、青色光ビームを出射するレーザ光源は別々のパッケージ内にあると想定しているが、同一パッケージ内にあっても構わない。
本実施例は、3個のコリメータレンズを用いて、3色の光ビームを平行光に変換後、2個の光合成素子を用いて3色の光ビームを合成する構成であるが、図3に示す走査型投射装置300のように、光合成素子301によって3色の光ビームを合成後、1個のコリメータレンズ302で平行光に変換する構成としてもよい。
図13は、図3に示す走査型投射装置300に関する他の実施例である。走査型投射装置300b、コリメータレンズ302以外に、各レーザ光源201、203、205に対してそれぞれコリメータレンズ303、304、305を配置している。この構成により、レーザ光源からコリメータレンズ302に至る開口数(NA)を同じにしたまま、レーザ光源201、202、203とコリメータレンズ302の間隔を広げることができる。結果として、レーザ光源201、202、203からコリメータレンズ302に至る系の光利用率を低下させずに、レーザ光源201、202、203とコリメータレンズ302の間隔を広げることができ、光合成素子301の配置自由度を拡大できるという効果がある。
図13は、図3に示す走査型投射装置300に関する他の実施例である。走査型投射装置300b、コリメータレンズ302以外に、各レーザ光源201、203、205に対してそれぞれコリメータレンズ303、304、305を配置している。この構成により、レーザ光源からコリメータレンズ302に至る開口数(NA)を同じにしたまま、レーザ光源201、202、203とコリメータレンズ302の間隔を広げることができる。結果として、レーザ光源201、202、203からコリメータレンズ302に至る系の光利用率を低下させずに、レーザ光源201、202、203とコリメータレンズ302の間隔を広げることができ、光合成素子301の配置自由度を拡大できるという効果がある。
図14は、光合成素子として、液晶プロジェクタ等で一般的に用いられる1個の波長選択性クロスプリズム301bを用いた実施例である。この場合も、複数のコリメータを使用して略平行光を得るため、レーザ光源とコリメータレンズ302の間隔を広げることができ、クロスプリズム301bの大きさや配置自由度が拡大するという効果がある。なお、レーザ光源201(緑色光)、203(赤色光)、205(青色光)の位置関係について図14は一例を示しており、これに限定されるものではない。
以上のように、本実施例の走査型投射装置100は、3色の光ビーム2本の光ビームに必要最低限の相対角度をつけて2画面を構成することにより、安全規格を準拠しつつ、かつ従来の2倍程度の画面の高輝度を比較的容易な構成で実現することができる。
以上のように、本実施例の走査型投射装置100は、3色の光ビーム2本の光ビームに必要最低限の相対角度をつけて2画面を構成することにより、安全規格を準拠しつつ、かつ従来の2倍程度の画面の高輝度を比較的容易な構成で実現することができる。
続いて、本発明の実施例2について図を用いて説明する。
図4は、実施例2における走査型投射装置400の説明図である。
走査型投射装置400は、実施例1における走査型投射装置100に光屈折素子103を追加したものである。
その他の光学部品は走査型投射装置100と同じものであり、同じ番号を付加する。また、詳細な説明を省略する。RGB光源101、102にて、それぞれ合成された3色の光ビーム2本は、光屈折素子103に入射する。光屈折素子103はRGB光源101、102からの光ビームを光の屈折の原理により、任意の角度に曲げることが出来る素子である。光屈折素子103によりRGB光源101、102からの光ビームは相対角度θ0にて出射可能である。
図4は、実施例2における走査型投射装置400の説明図である。
走査型投射装置400は、実施例1における走査型投射装置100に光屈折素子103を追加したものである。
その他の光学部品は走査型投射装置100と同じものであり、同じ番号を付加する。また、詳細な説明を省略する。RGB光源101、102にて、それぞれ合成された3色の光ビーム2本は、光屈折素子103に入射する。光屈折素子103はRGB光源101、102からの光ビームを光の屈折の原理により、任意の角度に曲げることが出来る素子である。光屈折素子103によりRGB光源101、102からの光ビームは相対角度θ0にて出射可能である。
図5を用いて光屈折素子103の詳細を説明する。図中一点差線は、光ビームの光軸を示し、点線は光ビームの光束径を示す。光ビームの進行方向は紙面下から上となる。光屈折素子103は、紙面と水平な方向については、光ビームの進行方向に対し、入射面側が垂直面、出射面側が傾斜面になっている。光ビームが光屈折素子103に入射するとき、入射面側が光ビームに対し垂直であるため、そのまま直進する。しかし、光ビームが光屈折素子103を出射するとき、出射面側が光ビームに対し傾斜面であるため、光ビームは屈折する。2つのビームを異なる角度の傾斜面から出射させた場合、その角度を管理することにより2つのビーム間の相対角度を制御出来る。
以下、走査型投射装置100における光屈折素子103により発生させる屈折角度θ0の計算方法について説明する。光屈折素子103の屈折率を屈折率nとする。図中一点差線で示す光屈折素子の出射面の法線と出射面に入射する光ビームとの角度を角度θα、出射面から出射する光ビームとの角度を角度θβとする。
スネルの法則より、数式1,2の関係がよく知られている。
スネルの法則より、数式1,2の関係がよく知られている。
数式1、数式2より、θα1, θα2を設定することによりθβ1、θβ2は計算される。また図5より光屈折素子103による屈折角度θ0は次式で示される。
ところでθα1、θα2は図3光屈折素子103の出射面の傾斜角と一致する。
以上より、光屈折素子103の出射面の傾斜角θα1、θα2を設定することにより、屈折角度θ0は任意に設定できる。光屈折素子103を適用することにより、より高精度かつ環境変化に対して高信頼性を併せ持つ光学系を構成できる。
以上より、光屈折素子103の出射面の傾斜角θα1、θα2を設定することにより、屈折角度θ0は任意に設定できる。光屈折素子103を適用することにより、より高精度かつ環境変化に対して高信頼性を併せ持つ光学系を構成できる。
なお、光屈折素子103の形状は、入射面が光ビームに対して垂直、出射面が光ビームに対して斜面となっているものを想定しているが、そのような形状のプリズムに限定されるものではなく、例えば、入射面および出射面が共に光ビームに対して斜面となっていてもなんら構わない。また、光屈折素子103はプリズムの色収差によって、緑色、赤色、青色光ビームでそれぞれ屈折角度が異なるため、ビーム縮小整形プリズムを出射した3色の光ビームの角度がそれぞれ異なる。この場合、ビーム縮小整形プリズムを出射した3色の光ビームの角度が一致するよう、光合成素子207、208の角度あるいは各レーザ光源及びコリメータレンズの位置を調整すればよい。
図7は、走査型投射装置100における光屈折素子の第二の実施例103bを示している。図中一点差線は、光ビームの光軸を示し、点線は光ビームの光束径を示す。光ビームの進行方向は紙面下から上となる。
光屈折素子103bは、紙面と水平な方向については、光ビームの進行方向に対し、入射面側が垂直面、出射面側が傾斜面になっているが、その傾斜面は、103が凸形状になっているのに対して103bは凹形状となっている。このような構成をとることにより、図に示すようにRGB光源101と102の間隔をより広がることができる。そのため、RGB光源101および102の配置に関する自由度が増加する。
光屈折素子103bは、紙面と水平な方向については、光ビームの進行方向に対し、入射面側が垂直面、出射面側が傾斜面になっているが、その傾斜面は、103が凸形状になっているのに対して103bは凹形状となっている。このような構成をとることにより、図に示すようにRGB光源101と102の間隔をより広がることができる。そのため、RGB光源101および102の配置に関する自由度が増加する。
図8は、走査型投射装置100における光屈折素子の第三の実施例103cを示している。図中一点差線は、光ビームの光軸を示し、点線は光ビームの光束径を示す。光ビームの進行方向は紙面下から上となる。
光屈折素子103cは、紙面と水平な方向については、光ビームの進行方向に対し、同素子への光ビーム入射面側が凸形状になっているとともに出射面側が凹形状となっている。このような構成をとることにより、図に示すようにRGB光源101と102からの光ビームを平行にして光屈折素子に入射させることができる。したがって、RGB光源101および102の配置に関する自由度が増加するとともに、両RGB光源から出射する光ビームを平行に配置できるため、RGB光源全体を小型化できるという効果がある。
なお、以上の実施例においては、合成する光ビームが2本の場合を説明しているが、3本あるいは4本であってもかまわない。その場合、光屈折素子103、103b、103cは3つあるいは4つの光ビーム出射面により凸形状あるいは凹形状が構成される。
光屈折素子103cは、紙面と水平な方向については、光ビームの進行方向に対し、同素子への光ビーム入射面側が凸形状になっているとともに出射面側が凹形状となっている。このような構成をとることにより、図に示すようにRGB光源101と102からの光ビームを平行にして光屈折素子に入射させることができる。したがって、RGB光源101および102の配置に関する自由度が増加するとともに、両RGB光源から出射する光ビームを平行に配置できるため、RGB光源全体を小型化できるという効果がある。
なお、以上の実施例においては、合成する光ビームが2本の場合を説明しているが、3本あるいは4本であってもかまわない。その場合、光屈折素子103、103b、103cは3つあるいは4つの光ビーム出射面により凸形状あるいは凹形状が構成される。
続いて、本発明の実施例3について図を用いて説明する。
図9は、実施例3における走査型投射装置500の説明図である。
走査型投射装置500は、実施例1における走査型投射装置100に光合成素子108を追加したものである。
その他の光学部品は走査型投射装置100と同じものであり、同じ番号を付加する。また、詳細な説明を省略する。RGB光源101、102にて、それぞれ合成された3色の光ビーム2本は、光合成素子108に入射する。
ここで、光合成素子108の詳細について、図10を用いて説明する。光合成素子108は、台形形状の光学素子であり、RGB光源101および102からの光ビームが、図に示すようにほぼ垂直に入射する。RGB光源101からの光ビームは、全反射面1081および1082で反射して光合成素子108から出射する。一方、RGB光源102からの光ビームは、全反射面1083および1084で反射して光合成素子108から出射する。1081面と1082面、および1083面と1084面を非平行とすることにより、光合成素子108から出射した光ビームの相対角度を所定の角度θ0に設定することができる。
なお、図10の実施例では、レーザ光源101および102から出射した光の光軸は平行になるように設定している。また、図中点線で示したように、1081面および1084面を全反射とせず、一部の光を透過させ、その先にフロントモニター607aおよび607b配置すれば、各レーザ光源から出射した光ビームの強度を検出することも可能である。
図11は、光合成素子108の他の実施形態である。光合成素子108bにおいて、レーザ光源101および102から入射する光ビームは、光合成素子108bに対して垂直に入射するが、同素子から出射する際も、端面から垂直に出射するように各反射面の角度を設定する。光合成素子108は例えばガラス等の光学材料で作製するが、同材料から空気中に光ビームが出射する際、出射端面に対して傾斜して出射すると、波長による材料の屈折率差の影響で、赤色緑色青色の各ビームの出射角がわずかにずれることになる。端面から垂直に光ビームを出射させる構成は、上記のいわゆる「色ずれ」を低減できるという効果がある。もちろん、図11の構成であっても、図10のようなフロントモニター607aおよび607b配置すれば、各レーザ光源から出射した光ビームの強度を検出することも可能である。
図12は、光合成素子108のさらに別の実施形態である。光合成素子108cにおいて、レーザ光源101および102から入射する光ビームは、光合成素子108cに対して垂直に入射するが、両光軸は非平行に設定する。一方、光合成素子108cの反射面1081面と1082面、および1083面と1084面は平行に設定する。また、光合成素子108cから出射する光ビームは素子端面から垂直に出射するように設定する。この構成の場合、図11で説明したいわゆる「色ずれ」低減の効果に加えて、反射面が平行であるために素子自体を加工し易いという効果がある。もちろん、図11の構成であっても、図10のようなフロントモニター607aおよび607b配置すれば、各レーザ光源から出射した光ビームの強度を検出することも可能である。
図6は、本発明による走査型画像表示装置への実施例を示す全体構成図である。
走査型投射装置100は、RGBの3色のレーザ光源201,203,205と、各レーザ光源から発せられた光ビームを合成する光合成部と、合成した光ビームをスクリーン112,113へ投射する投射部と、投射する光ビームをスクリーン112,113上で2次元的に走査する走査部とを有する。
表示する画像信号は、電源等を含む制御回路602を経由してビデオ信号処理回路603に入力する。ビデオ信号処理回路603では画像信号に対し各種の処理を施すとともに、RGBの3色信号に分離しレーザ光源駆動回路604に送る。レーザ光源駆動回路604では、RGBの各信号の輝度値に応じて、走査型投射装置100内の対応するレーザ光源201,203,205に対して発光用の駆動電流を供給する。その結果レーザ光源201,203,205は、表示タイミングに合わせてRGB信号の輝度値に応じた強度の光ビームを出射する。
走査型投射装置100は、RGBの3色のレーザ光源201,203,205と、各レーザ光源から発せられた光ビームを合成する光合成部と、合成した光ビームをスクリーン112,113へ投射する投射部と、投射する光ビームをスクリーン112,113上で2次元的に走査する走査部とを有する。
表示する画像信号は、電源等を含む制御回路602を経由してビデオ信号処理回路603に入力する。ビデオ信号処理回路603では画像信号に対し各種の処理を施すとともに、RGBの3色信号に分離しレーザ光源駆動回路604に送る。レーザ光源駆動回路604では、RGBの各信号の輝度値に応じて、走査型投射装置100内の対応するレーザ光源201,203,205に対して発光用の駆動電流を供給する。その結果レーザ光源201,203,205は、表示タイミングに合わせてRGB信号の輝度値に応じた強度の光ビームを出射する。
またビデオ信号処理回路603は、画像信号から同期信号を抽出して走査ミラー駆動回路605に送る。走査ミラー駆動回路605は、水平・垂直同期信号に合わせて走査型投射装置100内の偏向ミラー105に対しミラー面を2次元的に反復回転させる駆動信号を供給する。これにより偏向ミラー105は、ミラー面を所定の角度だけ周期的に反復回転して光ビームを反射させ、スクリーン112,113上に水平方向および垂直方向に光ビームを走査して画像を表示する。
フロントモニター信号検出回路606は、走査型投射装置100内のフロントモニター607からの信号を入力して、レーザ光源201,203,205から出射されるRGBそれぞれの出力レベルを検出する。検出された出力レベルは、ビデオ信号処理回路603に入力され、所定の出力になるようレーザ光源201,203,205の出力が制御される。
フロントモニター信号検出回路606は、走査型投射装置100内のフロントモニター607からの信号を入力して、レーザ光源201,203,205から出射されるRGBそれぞれの出力レベルを検出する。検出された出力レベルは、ビデオ信号処理回路603に入力され、所定の出力になるようレーザ光源201,203,205の出力が制御される。
実施例5では、先の実施例1における2ビーム合成方法の変形例を6例示す。
図15は実施例1における2ビーム合成方法の第一の変形例である。
RGB光源101および102から出射する光ビームは、略平行である。RGB光源102から出射した光ビームは、ミラー1501によって光路を曲げられ、RGB光源101から出射した光ビームと所定の相対角度θ0を有する光ビームとなって偏光ミラー105に入射する。RGB光源101および102から出射する光ビームが略平行であるため、両光源の組立て調整が容易となるという特徴がある。
図15は実施例1における2ビーム合成方法の第一の変形例である。
RGB光源101および102から出射する光ビームは、略平行である。RGB光源102から出射した光ビームは、ミラー1501によって光路を曲げられ、RGB光源101から出射した光ビームと所定の相対角度θ0を有する光ビームとなって偏光ミラー105に入射する。RGB光源101および102から出射する光ビームが略平行であるため、両光源の組立て調整が容易となるという特徴がある。
図16は実施例1における2ビーム合成方法の第二の変形例である。
RGB光源101および102から出射する光ビームは、略平行である。RGB光源102から出射した光ビームは、プリズム1601によって光路を曲げられ、RGB光源101から出射した光ビームと所定の相対角度θ0を有する光ビームとなって偏光ミラー105に入射する。この構成の場合も、RGB光源101および102から出射する光ビームが略平行であるため、両光源の組立て調整が容易となるという特徴がある。
RGB光源101および102から出射する光ビームは、略平行である。RGB光源102から出射した光ビームは、プリズム1601によって光路を曲げられ、RGB光源101から出射した光ビームと所定の相対角度θ0を有する光ビームとなって偏光ミラー105に入射する。この構成の場合も、RGB光源101および102から出射する光ビームが略平行であるため、両光源の組立て調整が容易となるという特徴がある。
図17は実施例1における2ビーム合成方法の第三の変形例である。
RGB光源101および102から出射する光ビームは、略直行に交差する。さらに、RGB光源102から出射した光ビームは、ミラー1701によって光路を曲げられ、RGB光源101から出射した光ビームと所定の相対角度θ0を有する光ビームとなって偏光ミラー105に入射する。この構成の場合、全体形状を小型化することが可能となる。また、RGB光源101と102の位置を離すことができるため、組立て設備の構成および配置に自由度が増すという特徴もある。
RGB光源101および102から出射する光ビームは、略直行に交差する。さらに、RGB光源102から出射した光ビームは、ミラー1701によって光路を曲げられ、RGB光源101から出射した光ビームと所定の相対角度θ0を有する光ビームとなって偏光ミラー105に入射する。この構成の場合、全体形状を小型化することが可能となる。また、RGB光源101と102の位置を離すことができるため、組立て設備の構成および配置に自由度が増すという特徴もある。
図18は実施例1における2ビーム合成方法の第四の変形例である。
RGB光源101および102は互いに対向配置され、両光源から出射する光ビームは、三角ミラー1801で反射して、所定の相対角度θ0を有する光ビームとなって偏光ミラー105に入射する。この構成の場合、全体形状を小型化することが可能となる。また、RGB光源101と102の位置を離すことができるため、組立て設備の構成および配置に自由度が増すという特徴もある。
RGB光源101および102は互いに対向配置され、両光源から出射する光ビームは、三角ミラー1801で反射して、所定の相対角度θ0を有する光ビームとなって偏光ミラー105に入射する。この構成の場合、全体形状を小型化することが可能となる。また、RGB光源101と102の位置を離すことができるため、組立て設備の構成および配置に自由度が増すという特徴もある。
図19は実施例1における2ビーム合成方法の第五の変形例である。
RGB光源101および102から出射する光ビームは、三角ミラー1901でRGB光源方向に反射し、所定の相対角度θ0を有する光ビームとなって偏光ミラー105に入射する。三角ミラー1901の頂角αを変化させることによって、RGB光源101と102の配置位置を変化させることができる。そのため、この構成の場合、全体形状を小型化することが可能になるとともに、組立て設備の構成および配置に自由度が増すという特徴もある。
RGB光源101および102から出射する光ビームは、三角ミラー1901でRGB光源方向に反射し、所定の相対角度θ0を有する光ビームとなって偏光ミラー105に入射する。三角ミラー1901の頂角αを変化させることによって、RGB光源101と102の配置位置を変化させることができる。そのため、この構成の場合、全体形状を小型化することが可能になるとともに、組立て設備の構成および配置に自由度が増すという特徴もある。
図20は実施例1における2ビーム合成方法の第六の変形例である。
偏光ビームスプリッタ2001に反射面2002に対して、RGB光源101の出射光はS偏光、RGB光源102の出射光はP偏光に設定する。RGB光源101および102から出射した光ビームに所定の相対角度θ0を持たせるためには、偏光ビームスプリッタF01に入射する光ビームの入射角度あるいは反射面2002と入射ビームの相対角度を所望の値に設定することによって達成できる。この構成の場合、全体形状を小型化することが可能になるという特徴がある。
偏光ビームスプリッタ2001に反射面2002に対して、RGB光源101の出射光はS偏光、RGB光源102の出射光はP偏光に設定する。RGB光源101および102から出射した光ビームに所定の相対角度θ0を持たせるためには、偏光ビームスプリッタF01に入射する光ビームの入射角度あるいは反射面2002と入射ビームの相対角度を所望の値に設定することによって達成できる。この構成の場合、全体形状を小型化することが可能になるという特徴がある。
図21は本発明における走査型投射装置および走査型画像表示装置に関する一実施例を示した概略側面図である。本実施例における走査型投射装置は、実施例1乃至実施例3と同様に、それぞれ独立した画像表示用の光ビームを生成、出射する光源ユニット101および102と、この光ビームを2次元に偏向走査する偏向ミラー装置2101と、前記光源ユニット101、102の各々から出射した画像表示用光ビーム2104および2105を合成して共に前記偏向ミラー装置2101内の反射ミラーに入射させる機能を備えた光ビーム合成素子2103を主要光学部品として構成されている。なお、RGB光源である光源ユニット101および102は、先に図2で示した光源ユニットと同様で良いので、図21では煩雑化を防ぐため、各構成要素の符号を省略している。
まず初めに、光源ユニット101および102内部の概略構成について説明する。光源ユニット101内には、互いに波長が異なる3個のレーザ光源201,203および205が配置されている。201は例えば波長520nm帯の緑色レーザ光を出射する半導体レーザ光源である。この半導体レーザ光源201を出射した緑色光ビームは、コリメータレンズ202にて略平行な光ビームに変換されたのち平板ミラー207に入射する。203は例えば波長640nm帯の赤色レーザ光を出射する半導体レーザ光源である。この半導体レーザ光源203を出射した赤色光ビームも、前記の半導体レーザ光源201から出射した緑色光ビームと同様、コリメータレンズ204にて略平行な光ビームに変換されたのち光合成素子である平板ミラー207に入射する。
平板ミラー207は、前記半導体レーザ光源201から出射した緑色光ビームを所定の透過率で透過させ、かつ前記半導体レーザ光源203から出射した赤色光ビームを所定の反射率で反射する機能を備えた第1の波長選択性ミラーであり、この平板ミラー207を透過または反射した前記各光ビームは、略同一の光路を進行して光合成素子である平板ミラー208に入射する。一方、205は例えば波長440nm帯の青色レーザ光を出射する半導体レーザ光源である。この半導体レーザ光源205を出射した青色光ビームは、コリメータレンズ206にて略平行な光ビームに変換されたのち平板ミラー208に入射する。
平板ミラー208は、前記の緑色光ビームおよび赤色光ビームを所定の透過率で透過させ、前記青色光ビームを所定の反射率で反射する機能を備えた第2の波長選択性ミラーである。
平板ミラー208は、前記の緑色光ビームおよび赤色光ビームを所定の透過率で透過させ、前記青色光ビームを所定の反射率で反射する機能を備えた第2の波長選択性ミラーである。
そして、この第2の波長選択性ミラー208をそれぞれ透過あるいは反射した前記緑色、赤色および青色の各光ビームは、各々の光束断面が互いに重なり合って略1本の光ビームとなるよう各光軸の傾きと位置が厳密に調整された状態で前記光源ユニット101を出射し、画像表示用光ビーム2104として進行する。
また光源ユニット102も本実施例においては、前記光源ユニット101と全く同様の部品構成で前記光源ユニット101を出射した画像表示用光ビーム2104と全く同様の画像表示用光ビーム2105を出射するようになっている。したがって図21においては、光源ユニット102の内部部品構成図は省略している。
また光源ユニット102も本実施例においては、前記光源ユニット101と全く同様の部品構成で前記光源ユニット101を出射した画像表示用光ビーム2104と全く同様の画像表示用光ビーム2105を出射するようになっている。したがって図21においては、光源ユニット102の内部部品構成図は省略している。
ただしこの光源ユニット101,102については、当然の事ながら前記の構成に限定されるものではなく、例えば緑、赤、青の各光源としてLED光源など半導体レーザ光源以外の光源を用いた光源ユニットでも一向に構わない。
更にいうならば、偏向走査により画像を投射表示するための光ビームを出射する機能を備えた光源ユニットならばどのような構成であっても構わない。また光源ユニット101と102でその内部部品構成が互いに異なっていても一向に構わない。
次に、前記光源ユニット101および102の各々から出射した画像表示用光ビーム2104および2105は、図21に示すように各々別方向から光ビーム合成素子2103に達する。
更にいうならば、偏向走査により画像を投射表示するための光ビームを出射する機能を備えた光源ユニットならばどのような構成であっても構わない。また光源ユニット101と102でその内部部品構成が互いに異なっていても一向に構わない。
次に、前記光源ユニット101および102の各々から出射した画像表示用光ビーム2104および2105は、図21に示すように各々別方向から光ビーム合成素子2103に達する。
まず、光源ユニット101から出射した画像表示用光ビーム2104は、図のように光ビーム合成素子2103の所定の平滑面に入射し、この面を透過して光ビーム合成素子2103の内部を進行する。
一方、光源ユニット102から出射した画像表示用光ビーム2105は、前記光ビーム2104とは別方向から同じく光ビーム合成素子2103内に入射し、素子2103内を進行したのち、光ビーム2104が入射した前記平滑面と同一の面に、光ビーム2104とは逆に素子2103の内部から外部に向かう向きに入射する。
一方、光源ユニット102から出射した画像表示用光ビーム2105は、前記光ビーム2104とは別方向から同じく光ビーム合成素子2103内に入射し、素子2103内を進行したのち、光ビーム2104が入射した前記平滑面と同一の面に、光ビーム2104とは逆に素子2103の内部から外部に向かう向きに入射する。
そしてこの平滑面を反射することで前記の光ビーム2104の光路方向とほぼ同じ光路方向に偏向され、それぞれ光ビーム2106および2107となって共にこの光ビーム合成素子2103を出射する。
なお、この光ビーム合成素子2103は本発明の主要部である。したがってその構造、機能等の詳細については後程改めて説明するので、ここでは詳細な説明は省略する。
次に、光ビーム合成素子2103を出射した光ビーム2106および2107は、共に光ビーム走査用の偏向ミラー装置2101に入射する。この時光ビーム2106と2107は、図中に示すように、垂直方向(図中のZ軸方向)すなわち紙面内上下方向に関して所定の微小な相対傾角(開き角)βをもって偏向ミラー装置2101内の反射ミラー面に入射するように設定されている。
なお、この光ビーム合成素子2103は本発明の主要部である。したがってその構造、機能等の詳細については後程改めて説明するので、ここでは詳細な説明は省略する。
次に、光ビーム合成素子2103を出射した光ビーム2106および2107は、共に光ビーム走査用の偏向ミラー装置2101に入射する。この時光ビーム2106と2107は、図中に示すように、垂直方向(図中のZ軸方向)すなわち紙面内上下方向に関して所定の微小な相対傾角(開き角)βをもって偏向ミラー装置2101内の反射ミラー面に入射するように設定されている。
ところで前記光ビーム走査用偏向ミラー装置2101は、所謂2軸1面型偏向ミラー装置と称される装置で、該装置内に配置された所定の反射ミラーに入射した光ビーム2106および2107を反射させて、その反射光ビーム2108および2109を該偏向ミラー装置2101から所定距離離れた投射スクリーン2102上に投射するとともに、該反射ミラー面自体が、例えば紙面に略垂直すなわち図中のY軸に略平行な回転軸および紙面に平行な図中のZ軸に略平行な回転軸の回りに、それぞれ所定角度だけ周期的な反復偏向駆動を高速に行う機能を備えている。
そしてこの反射ミラーの高速反復偏向駆動により、投射スクリーン2102上に投射された反射光ビーム2108および2109は、前記投射スクリーン2102面上において水平方向(図中のY軸方向)および垂直方向(図中のZ軸方向)の2次元に高速反復走査される。
そしてこの反射ミラーの高速反復偏向駆動により、投射スクリーン2102上に投射された反射光ビーム2108および2109は、前記投射スクリーン2102面上において水平方向(図中のY軸方向)および垂直方向(図中のZ軸方向)の2次元に高速反復走査される。
この際、投射スクリーン2102上を反復走査する反射光ビーム2108および2109の各瞬時照射位置に同期して、前記各光源ユニット101および102内の光源201、203および205の光出力をそれぞれに独立に変調させることで、人間の眼の残像現象を利用した2次元カラー画像を投射スクリーン2102上に表示する。
なお、従来の走査型投射装置あるいは走査型画像表示装置では、投射スクリーン上に投射される画像表示用光ビームは通常1本のみである。本実施例のように2本以上の画像表示用光ビームを投射スクリーン上に投射するような構成は、本発明の一つの主要な特徴である。
なお上記のような光ビーム走査用偏向ミラー装置2101におけるミラー駆動部の構成例としては、例えばMicro Electro Mechanical Systems(略称MEMS)や、電磁駆動のガルバノミラー等があるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、またこれら偏向ミラー装置駆動部の具体的な構成については本発明とは直接には関係しないので、その詳細な説明は省略する。
なお、従来の走査型投射装置あるいは走査型画像表示装置では、投射スクリーン上に投射される画像表示用光ビームは通常1本のみである。本実施例のように2本以上の画像表示用光ビームを投射スクリーン上に投射するような構成は、本発明の一つの主要な特徴である。
なお上記のような光ビーム走査用偏向ミラー装置2101におけるミラー駆動部の構成例としては、例えばMicro Electro Mechanical Systems(略称MEMS)や、電磁駆動のガルバノミラー等があるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、またこれら偏向ミラー装置駆動部の具体的な構成については本発明とは直接には関係しないので、その詳細な説明は省略する。
また当然の事ながら、本発明に用いられる光ビーム走査用の偏向ミラー装置は前記した2軸1面型の偏向ミラー装置に限定されるものではなく、例えばそれぞれ互いに略垂直な1つの回転軸の回りに高速反復偏向駆動する独立した2面の偏向ミラーを備え、入射した光ビームを該2面の偏向ミラーに順次反射させる構成の所謂1軸2面型の偏向ミラー装置等、光ビームを2次元に高速走査できる機能を備えた装置であればどのような装置でも一向に構わない。
ところで前記したように、画像表示用光ビーム2106および2107は、所定の微小相対傾角(開き角)βをもって偏向ミラー装置2101内の反射ミラーに入射している。このため図21の実施例のように偏向ミラー装置2101と投射スクリーン2102との間の光路中に特に特殊な光学部品または光学素子が配置されていない場合は、前記反射ミラーを反射しかつ2次元方向に高速反復走査される光ビーム2108および2109も常に角度βの相対傾角(開き角)を保持したまま投射スクリーン2102上を高速反復走査することになる。
ところで前記したように、画像表示用光ビーム2106および2107は、所定の微小相対傾角(開き角)βをもって偏向ミラー装置2101内の反射ミラーに入射している。このため図21の実施例のように偏向ミラー装置2101と投射スクリーン2102との間の光路中に特に特殊な光学部品または光学素子が配置されていない場合は、前記反射ミラーを反射しかつ2次元方向に高速反復走査される光ビーム2108および2109も常に角度βの相対傾角(開き角)を保持したまま投射スクリーン2102上を高速反復走査することになる。
その結果、例えば図21中に示すように、光ビーム2106の反射光ビーム2108が投射スクリーン2102上の任意の点O1上を通過する瞬間、光ビーム2107の反射光ビーム2109は、同じく投射スクリーン2102上で垂直方向すなわち図のZ軸方向に距離δだけ乖離した位置にある点O2上を通過する。そしてこの乖離量δは、偏向ミラー装置2101と投射スクリーン2102間の距離Lが投射スクリーン2102上に投射表示される画像の大きさより十分大きい場合、以下の式で表すことができる。
δ ≒ L・tan[β] ・・・・・(数式4)
図22は、図21に示したような走査型投射装置を用いた走査型画像表示装置によって投射スクリーン2102上に投影表示された画面の大きさと位置関係を示す概略正面図である。
今、図21に示した画像表示用光ビーム2108が投射スクリーン2102上を高速反復走査することにより表示される略長方形の画像表示エリア21021を図22中において1点鎖線で表し、同じく画像表示用光ビーム2109が投射スクリーン2102上を高速反復走査することにより表示される同じく略長方形の画像表示エリア21022を図22中において点線で表すものとする。
この時、画像表示エリア21021と21022は、前記(数式4)で表される乖離量δだけ垂直方向すなわち図のZ軸方向に乖離した位置に表示される。
δ ≒ L・tan[β] ・・・・・(数式4)
図22は、図21に示したような走査型投射装置を用いた走査型画像表示装置によって投射スクリーン2102上に投影表示された画面の大きさと位置関係を示す概略正面図である。
今、図21に示した画像表示用光ビーム2108が投射スクリーン2102上を高速反復走査することにより表示される略長方形の画像表示エリア21021を図22中において1点鎖線で表し、同じく画像表示用光ビーム2109が投射スクリーン2102上を高速反復走査することにより表示される同じく略長方形の画像表示エリア21022を図22中において点線で表すものとする。
この時、画像表示エリア21021と21022は、前記(数式4)で表される乖離量δだけ垂直方向すなわち図のZ軸方向に乖離した位置に表示される。
今、図中に示すように画像表示エリア21021と21022の垂直方向(Z軸方向)の画面高さを共にHで表すと、乖離量δがHに比べ微小量である場合、表示エリア21021と21022の中間位置に画像表示エリア21021と21022が重畳した画面高さH−δに相当する2画像重畳エリア21023が生じる。
この2画像重畳エリア21023では、光ビーム2108によって表示された画像と光ビーム2109によって表示された画像が互いに重畳されることになる。したがってこの重畳される2画像を全く同じ画像、同じ輝度にて表示すれば、前記2画像重畳エリア21023では表示画像の輝度が倍加されることになる。
ただし前記したように、画像表示エリア21021と21022は乖離量δだけ垂直方向すなわち図のZ軸方向に乖離しているため、当然のことながら、各々の画像表示エリア内で表示される画像もδだけ相対的に乖離して表示される。
この2画像重畳エリア21023では、光ビーム2108によって表示された画像と光ビーム2109によって表示された画像が互いに重畳されることになる。したがってこの重畳される2画像を全く同じ画像、同じ輝度にて表示すれば、前記2画像重畳エリア21023では表示画像の輝度が倍加されることになる。
ただし前記したように、画像表示エリア21021と21022は乖離量δだけ垂直方向すなわち図のZ軸方向に乖離しているため、当然のことながら、各々の画像表示エリア内で表示される画像もδだけ相対的に乖離して表示される。
したがって、2画像重畳エリア21023においてそれぞれの画像を完全に一致させて重畳することで輝度を倍加させるためには、重畳する2画像を相対的に垂直方向すなわち図のZ軸方向に−δだけシフトさせて表示しなければならない。
ところで、この2画像重畳エリア21023の大きさ、すなわちその画面高さは、前記したようにH−δで表される。したがって乖離量δを小さくすればするほど2画像重畳エリア21023を大きく確保することができ有利である。さらに云えば、δ=0ならば完全に元の画像表示エリア21021、21022と同じ画面高さHの2画像重畳エリア21023を確保することができる。
ところで、この2画像重畳エリア21023の大きさ、すなわちその画面高さは、前記したようにH−δで表される。したがって乖離量δを小さくすればするほど2画像重畳エリア21023を大きく確保することができ有利である。さらに云えば、δ=0ならば完全に元の画像表示エリア21021、21022と同じ画面高さHの2画像重畳エリア21023を確保することができる。
しかしながら、このように乖離量δを際限なく小さくすることは、光学装置における安全上の重大問題が生じる危険性がある。
例えば、画像表示中に人が誤って投射スクリーン2102側から高速反復走査されている画像表示用光ビーム2108および2109を覗き込んでしまった場合、2ビームの乖離量δが所定量より小さい場合、2本の前記光ビームが同時に人の眼球内に突入し網膜上に入射してしまう可能性が生じる。
もしこのような事故が起こると、当然のことながら網膜上に照射された光ビームのエネルギー(強度)は、各々の光ビームが1本当たりのエネルギーの倍のエネルギーになってしまう。したがって各光ビーム1本当たりの光エネルギー(強度)がレーザ安全上の安全基準値以下であったとしても、倍加された光エネルギー(強度)が安全基準値を超えてしまい、網膜を傷つけ最悪の場合は失明させてしまうような重大な事故に繋がる危険性が生じる。
例えば、画像表示中に人が誤って投射スクリーン2102側から高速反復走査されている画像表示用光ビーム2108および2109を覗き込んでしまった場合、2ビームの乖離量δが所定量より小さい場合、2本の前記光ビームが同時に人の眼球内に突入し網膜上に入射してしまう可能性が生じる。
もしこのような事故が起こると、当然のことながら網膜上に照射された光ビームのエネルギー(強度)は、各々の光ビームが1本当たりのエネルギーの倍のエネルギーになってしまう。したがって各光ビーム1本当たりの光エネルギー(強度)がレーザ安全上の安全基準値以下であったとしても、倍加された光エネルギー(強度)が安全基準値を超えてしまい、網膜を傷つけ最悪の場合は失明させてしまうような重大な事故に繋がる危険性が生じる。
したがって、少なくとも人が誤って光ビームを覗き込んでしまった場合でも、同時に2本以上の光ビームが眼球内に突入することがないようにすることが必須である。
今、仮に偏向ミラー装置2101から10cm(=100mm)離れた位置から人が誤って画像表示用光ビーム2108および2109を覗き込んだ場合を想定する。例えば光ビーム2108および2109の相対傾角βを4°に設定すると、前記(数式4)でL=100mm、β=4°を代入して計算することにより、眼球上における両ビームの乖離量δeは約7mmとなる。また相対傾角βを5°に設定すると眼球上での光ビーム乖離量δeは約8.8mmとなる。
今、仮に偏向ミラー装置2101から10cm(=100mm)離れた位置から人が誤って画像表示用光ビーム2108および2109を覗き込んだ場合を想定する。例えば光ビーム2108および2109の相対傾角βを4°に設定すると、前記(数式4)でL=100mm、β=4°を代入して計算することにより、眼球上における両ビームの乖離量δeは約7mmとなる。また相対傾角βを5°に設定すると眼球上での光ビーム乖離量δeは約8.8mmとなる。
人の眼球の大きさは、個人差があるもののほぼ直径7mm以下といわれている。したがって光ビーム2108および2109の相対傾角βを少なくとも4°以上、望ましくは5°以上に設定することにより、例え偏向ミラー装置2101から10cm離れた位置から人が誤って画像表示用光ビームを覗き込んだ場合においても、同時に2本以上の光ビームが眼球内に突入することを防ぐことができる。
なお光ビーム2108および2109の相対傾角βを仮に5°に設定した場合、例えばL=1m(=1000mm)離れた位置にある投射スクリーン2102上での乖離量δは約88mmとなる。
なお光ビーム2108および2109の相対傾角βを仮に5°に設定した場合、例えばL=1m(=1000mm)離れた位置にある投射スクリーン2102上での乖離量δは約88mmとなる。
今、個々の画像表示エリア21021および21022が縦横比4:3の一般的な画像表示エリアとし、この位置における表示画像のサイズを20インチ相当とすると、その垂直方向の画面高さHは約300mmである。したがって前記2画面重畳エリアの画面高さH−δは、結局212mmとなり、画面高さにして元の画像表示エリア21021および21022の約70%を2画像重畳エリアとすることができる。そしてこの2画像重畳エリアにおいて、前記したような画像重畳の手法を用いることにより、各々の画像表示用光ビームの強度を増大させることなく表示画像の輝度を倍加させることができる。
なお以上述べた内容は、本発明の最も基本的な実施例として、図21および図22に示すように2本の独立した画像表示用光ビームによって投射スクリーン2102上に表示される2つの表示画像を垂直方向に所定の乖離量δだけずらせて重畳させる実施例に関する説明であったが、当然本発明はこれに限定されるものではない。重畳される画面数は3画面以上であっても一向に構わないし、その複数画面の乖離方向も垂直方向に限定されるものではなく、水平方向であっても構わないし、そのどちらでもない任意の方向であっても一向に構わない。
次に図21の実施例において示した光ビーム合成素子2103の構成例およびその機能について、改めてその詳細を説明する。
次に図21の実施例において示した光ビーム合成素子2103の構成例およびその機能について、改めてその詳細を説明する。
図23は、図21で示した走査型投射装置中の光ビーム合成素子2103を中心とした主要部のみを抽出して示した概略側面図である。
ここでは、光ビーム合成素子2103は例えば図中に示すように3面の透明な平滑面2301,2302,2303からなる三角柱形状の光学プリズム構造になっている。
光源ユニット101を出射した画像表示用光ビーム2104は図のように光ビーム合成素子2103の平滑面2301に入射する。
ここでは、光ビーム合成素子2103は例えば図中に示すように3面の透明な平滑面2301,2302,2303からなる三角柱形状の光学プリズム構造になっている。
光源ユニット101を出射した画像表示用光ビーム2104は図のように光ビーム合成素子2103の平滑面2301に入射する。
この時、光ビーム2104の平滑面2301への入射角をθ1で表し、この平滑面2301を透過、屈折して光ビーム合成素子2103内を進行する光ビームの屈折角をθ1’で表すと、この光ビーム2104が紙面に平行な偏光方向の直線偏光(以下このような偏光をP偏光と記す。)を有する光ビームである場合、前記入射角θ1と屈折角θ1’およびこの平滑面2301での光ビーム2104の強度反射率R1の間には、一般にフレネルの式と呼ばれる以下の関係式が成り立つ。
R1={tan[θ1−θ1’]/tan[θ1+θ1’]}2 ・・・(数式5)
また、前記入射角θ1と屈折角θ1’の間には、光ビーム合成素子2103の屈折率をn、外部(空気中)の屈折率を1とすると、屈折の基本法則(Snellの法則)から以下の関係式が成り立つ。
sin[θ1’]=sin[θ1]/n ・・・・・(数式6)
この(数式5)、(数式6)を用いれば、平滑面2301に入射する光ビーム2104の強度反射率R1を入射角θ1および該光ビーム合成素子2103の屈折率nを用いて求めることができる。
R1={tan[θ1−θ1’]/tan[θ1+θ1’]}2 ・・・(数式5)
また、前記入射角θ1と屈折角θ1’の間には、光ビーム合成素子2103の屈折率をn、外部(空気中)の屈折率を1とすると、屈折の基本法則(Snellの法則)から以下の関係式が成り立つ。
sin[θ1’]=sin[θ1]/n ・・・・・(数式6)
この(数式5)、(数式6)を用いれば、平滑面2301に入射する光ビーム2104の強度反射率R1を入射角θ1および該光ビーム合成素子2103の屈折率nを用いて求めることができる。
一方、光源ユニット102を出射した画像表示用光ビーム2105は図のように一旦平滑面2302から光ビーム合成素子2103内に入射し、該合成素子2103の内部を進行して平滑面2301に達する。そしてこの平滑面2301に、前記光ビーム2104とは逆に素子内部から外部(空気中)に向かう向きに入射する。
この時、光ビーム2105の平滑面2301への入射角を図に示すようにθ2で表し、その屈折角をθ2’(図示せず。)で表すと、この光ビーム2105が前記光ビーム2104と同様のP偏光を有する光ビームである場合、入射角θ2および屈折角θ2’およびこの平滑面2301での光ビーム2105の強度反射率R2の間には、前記(数式5)と同様の関係式(フレネルの式)が成り立つ。すなわち、
R2={tan[θ2−θ2’]/tan[θ2+θ2’]}2 ・・・(数式7)
また入射角θ2と屈折角θ2’の間には、(数式6)と同様に屈折の基本法則から以下の関係式が成り立つ。なお下式右辺が前記(数式6)右辺と異なっていることに注目されたい。
sin[θ2’]=n・sin[θ2] ・・・・・(数式8)
したがって前記光ビーム2104のケースと同様、この(数式7)、(数式8)を用いれば、光ビーム合成素子2103の平滑面2301に入射する光ビーム2105の強度反射率R2を入射角θ2と光ビーム合成素子2103の屈折率nを用いて求めることができる。
この時、光ビーム2105の平滑面2301への入射角を図に示すようにθ2で表し、その屈折角をθ2’(図示せず。)で表すと、この光ビーム2105が前記光ビーム2104と同様のP偏光を有する光ビームである場合、入射角θ2および屈折角θ2’およびこの平滑面2301での光ビーム2105の強度反射率R2の間には、前記(数式5)と同様の関係式(フレネルの式)が成り立つ。すなわち、
R2={tan[θ2−θ2’]/tan[θ2+θ2’]}2 ・・・(数式7)
また入射角θ2と屈折角θ2’の間には、(数式6)と同様に屈折の基本法則から以下の関係式が成り立つ。なお下式右辺が前記(数式6)右辺と異なっていることに注目されたい。
sin[θ2’]=n・sin[θ2] ・・・・・(数式8)
したがって前記光ビーム2104のケースと同様、この(数式7)、(数式8)を用いれば、光ビーム合成素子2103の平滑面2301に入射する光ビーム2105の強度反射率R2を入射角θ2と光ビーム合成素子2103の屈折率nを用いて求めることができる。
図24は、前記(数式5)乃至(数式8)を用いて、光ビーム2104および2105それぞれの平滑面2301への入射角θ1およびθ2とそれぞれの光ビームの強度反射率R1、R2の関係をグラフ化したものである。
なおグラフ化に当たっては、光ビーム合成素子2103を構成する硝子材の一実施例として、高屈折率の光学硝子材として一般的に流通している記号N−F2(SCHOTT社光学ガラスデータシートより)で表される光学硝子材を用いるものとし、その屈折率nの値として、上記データシートに記載されている波長λ=510nm帯の緑色光に対する値1.628を用いて計算した。
なおグラフ化に当たっては、光ビーム合成素子2103を構成する硝子材の一実施例として、高屈折率の光学硝子材として一般的に流通している記号N−F2(SCHOTT社光学ガラスデータシートより)で表される光学硝子材を用いるものとし、その屈折率nの値として、上記データシートに記載されている波長λ=510nm帯の緑色光に対する値1.628を用いて計算した。
図中の一点鎖線(A)が平滑面2301に入射する光ビーム2104の強度反射率R1を示し、実線(B)が同じく平滑面2301に入射する光ビーム2105の強度反射率R2を示す。
まず図中の一点鎖線(A)に注目すると、入射角θ1が60°近傍で強度反射率R1がほぼ0%になっている。強度反射率R1がほぼ0%ということは、光ビーム2104は光ビーム合成素子2103の平滑面2301をほぼ100%の透過率で透過することを意味している。このような物理現象は以下のように説明される。
まず図中の一点鎖線(A)に注目すると、入射角θ1が60°近傍で強度反射率R1がほぼ0%になっている。強度反射率R1がほぼ0%ということは、光ビーム2104は光ビーム合成素子2103の平滑面2301をほぼ100%の透過率で透過することを意味している。このような物理現象は以下のように説明される。
今、前記(数式5)右辺の分母 tan[θ1+θ1’] に注目する。この式を分解すると、
tan[θ1+θ1’]=(tan[θ1]+tan[θ1’])
/(1−tan[θ1]・tan[θ1’])
・・・・・(数式9)
となる。ここで入射角θ1として、例えば
tan[θB]=n ・・・・・(数式10)
となるような所定角度θBを選ぶとすると、(数式6)に示す関係等を用いて導出することにより、入射角θBに対する屈折角θB‘は以下のように表される。
なお詳しい導出の過程は煩雑になるので、本明細書では省略する。
tan[θB’]=1/n ・・・・・(数式11)
この(数式10)、(数式11)の結果を前記(数式9)に代入すると、(数式9)右辺の分母が0となり、結局、
tan[θB+θB’]=∞ ・・・・・(数式12)
となる。そしてさらにこの(数式12)の結果を(数式5)右辺に代入すると、分母が∞となるので最終的に(数式5)右辺=0となる。
すなわち、入射角θ1が前記(数式10)を満たすような所定角度θBである時、光ビーム2104の強度反射率R1は理論的に0[%]、すなわち強度透過率T1=100[%]となる。
なお前記(数式10)を満たすような所定角度θBは、一般にブリュースター角と呼ばれる。例えば図24の例ように、光ビーム合成素子2103の屈折率nを1.628とした場合、そのブリュースター角θBは、約58.5°となり、このブリュースター角およびその近傍の角度では光ビーム2104をほぼ透過率100%で、すなわち入射した光ビームのエネルギー(強度)をほとんど損失することなく、光ビーム合成素子2103内に透過、進行させることができる。
tan[θ1+θ1’]=(tan[θ1]+tan[θ1’])
/(1−tan[θ1]・tan[θ1’])
・・・・・(数式9)
となる。ここで入射角θ1として、例えば
tan[θB]=n ・・・・・(数式10)
となるような所定角度θBを選ぶとすると、(数式6)に示す関係等を用いて導出することにより、入射角θBに対する屈折角θB‘は以下のように表される。
なお詳しい導出の過程は煩雑になるので、本明細書では省略する。
tan[θB’]=1/n ・・・・・(数式11)
この(数式10)、(数式11)の結果を前記(数式9)に代入すると、(数式9)右辺の分母が0となり、結局、
tan[θB+θB’]=∞ ・・・・・(数式12)
となる。そしてさらにこの(数式12)の結果を(数式5)右辺に代入すると、分母が∞となるので最終的に(数式5)右辺=0となる。
すなわち、入射角θ1が前記(数式10)を満たすような所定角度θBである時、光ビーム2104の強度反射率R1は理論的に0[%]、すなわち強度透過率T1=100[%]となる。
なお前記(数式10)を満たすような所定角度θBは、一般にブリュースター角と呼ばれる。例えば図24の例ように、光ビーム合成素子2103の屈折率nを1.628とした場合、そのブリュースター角θBは、約58.5°となり、このブリュースター角およびその近傍の角度では光ビーム2104をほぼ透過率100%で、すなわち入射した光ビームのエネルギー(強度)をほとんど損失することなく、光ビーム合成素子2103内に透過、進行させることができる。
次に図24中の実線(B)に注目する。この(B)線は前記したように、平滑面2301に光ビーム合成素子2103の内部から入射する光ビーム2105の入射角θ2と強度反射率R2の関係を示したグラフである。
このグラフによると、光ビーム2105の強度反射率R2は、入射角θ2が36°あたりまでは約10%以下程度なのに対して、θ2が36°を過ぎるあたりから急激に増大し、38°以上になるとほぼ完全に100%となっている。このような物理現象は次のように説明できる。
すなわち前記(数式8)において、入射角θ2として、
sin[θm]=1/n ・・・・・(数式13)
を満たすような所定角度θm以上の角度に設定すると、(数式8)に示す関係から
sin[θ2’]>1 ・・・・・(数式14)
となってしまい、(数式8)の関係自体が成立しなくなる。これはすなわち、透過、屈折する光ビームが物理的に全く存在し得なくなり、結果、全ての光ビームが反射する、つまり反射率が理論的に100%となることを意味している。
このグラフによると、光ビーム2105の強度反射率R2は、入射角θ2が36°あたりまでは約10%以下程度なのに対して、θ2が36°を過ぎるあたりから急激に増大し、38°以上になるとほぼ完全に100%となっている。このような物理現象は次のように説明できる。
すなわち前記(数式8)において、入射角θ2として、
sin[θm]=1/n ・・・・・(数式13)
を満たすような所定角度θm以上の角度に設定すると、(数式8)に示す関係から
sin[θ2’]>1 ・・・・・(数式14)
となってしまい、(数式8)の関係自体が成立しなくなる。これはすなわち、透過、屈折する光ビームが物理的に全く存在し得なくなり、結果、全ての光ビームが反射する、つまり反射率が理論的に100%となることを意味している。
なおこのように、前記(数式13)を満たすような所定角度θmは一般に全反射角と呼ばれる。
例えば図24の例ように、光ビーム合成素子2103の屈折率nを1.628とした場合、その全反射角θmは約38°となり、入射角θ2を38°以上に設定することにより、平滑面2301に入射した光ビーム2105を強度反射率100%、すなわち光エネルギーを全く損失することなく、反射させることができる。
すなわち、前記したブリュースター角や全反射角の関係を利用することにより、同一の透明な平滑面に互いに逆方向から入射させた光ビームを、一方はほぼ100%の透過率で透過させ、他方を100%の反射率で反射させることができるわけである。
例えば図24の例ように、光ビーム合成素子2103の屈折率nを1.628とした場合、その全反射角θmは約38°となり、入射角θ2を38°以上に設定することにより、平滑面2301に入射した光ビーム2105を強度反射率100%、すなわち光エネルギーを全く損失することなく、反射させることができる。
すなわち、前記したブリュースター角や全反射角の関係を利用することにより、同一の透明な平滑面に互いに逆方向から入射させた光ビームを、一方はほぼ100%の透過率で透過させ、他方を100%の反射率で反射させることができるわけである。
さらに云えば、前記平滑面を含む光ビーム合成素子の屈折率nやそれに対する各光ビームの入射角を、前記した理論に基づいて最適設計することで、透過、屈折した光ビームの屈折角と反射した光ビームの反射角をほぼ一致させることができ、結局、ガラスプリズム等のように単純な構成で安価な光学素子によって、極めて高い光利用効率で光ビームを合成、あるいはその光路を偏向させることができる。
例えば前記した実施例のように、記号N−F2で示される光学硝子材(屈折率n=1.628)で構成された図23に示すような三角柱形状の光学プリズムを光ビーム合成素子2103として用い、光ビーム2104を入射角θ1=65°で入射させた場合、前記(数式5)および(数式6)を用いて計算すると、その強度反射率R1=0.9[%]となる。これはすなわち、強度透過率T1=99.1[%]という極めて高い透過率で光ビーム2104が光ビーム合成素子2103内に透過、屈折、進行することを意味している。
例えば前記した実施例のように、記号N−F2で示される光学硝子材(屈折率n=1.628)で構成された図23に示すような三角柱形状の光学プリズムを光ビーム合成素子2103として用い、光ビーム2104を入射角θ1=65°で入射させた場合、前記(数式5)および(数式6)を用いて計算すると、その強度反射率R1=0.9[%]となる。これはすなわち、強度透過率T1=99.1[%]という極めて高い透過率で光ビーム2104が光ビーム合成素子2103内に透過、屈折、進行することを意味している。
またその際の屈折角θ1’は、(数式6)を用いて計算すると約34°となる。
一方、光ビーム2105の平滑面2301への入射角θ2をθ2=39°に設定すると、これは明らかに前記全反射角θm=38°以上なので、その強度反射率は理論的に100%となる。そして当然ながら、その際の反射角度は入射角度と同じく39°となる。
この結果、光ビーム合成素子2103内を進行する光ビーム2104と2105の相対傾角(開き角)βは、39°−34°=5°となり、前記したレーザ安全条件、すなわち β>4°を満足することができる。
一方、光ビーム2105の平滑面2301への入射角θ2をθ2=39°に設定すると、これは明らかに前記全反射角θm=38°以上なので、その強度反射率は理論的に100%となる。そして当然ながら、その際の反射角度は入射角度と同じく39°となる。
この結果、光ビーム合成素子2103内を進行する光ビーム2104と2105の相対傾角(開き角)βは、39°−34°=5°となり、前記したレーザ安全条件、すなわち β>4°を満足することができる。
なお光ビーム合成素子2103を出射して、それぞれ光ビーム2104および2105から光ビーム2106および2107となった2本の画像表示用光ビームは、図23に示すように光ビーム合成素子2103の第3の平滑面2303を透過する際に屈折の影響受けるため、正確にはその相対傾角(開き角)βは5°から僅かにずれるが、平滑面2303に入射する2本の光ビームが平滑面2303に対してできるだけ垂直入射に近い角度で入射するよう平滑面2303の設置角度を最適設計することで、光ビーム2106および2107の相対傾角(開き角)βが最大でも5°以上10°以下程度になるよう設計することは可能である。
なお上記実施例では、光ビーム合成素子2103の構成材料として、ごく一般的に流通している高屈折率光学硝子材として記号N−F2で示される光学硝子材(屈折率n=1.628)を用いた例を紹介したが、さらに高い屈折率の光学硝子材や光学用プラスチック材も存在し、それらを用いれば設計の自由度も拡大するのでさらに最適な設計も可能である。
なお上記実施例では、光ビーム合成素子2103の構成材料として、ごく一般的に流通している高屈折率光学硝子材として記号N−F2で示される光学硝子材(屈折率n=1.628)を用いた例を紹介したが、さらに高い屈折率の光学硝子材や光学用プラスチック材も存在し、それらを用いれば設計の自由度も拡大するのでさらに最適な設計も可能である。
また特にここで注目しなければならないのは、前記した全反射角θmの定義式(数式13)は、光ビーム2105の偏光状態には依存しないという点である。
つまり光ビーム2105は、その入射角θ2が(数式13)であらわされる全反射角θm以上でありさえすれば、その偏光状態が光ビーム2104と同一のP偏光であっても、P偏光とは異なり紙面に垂直な偏光方向の直線偏光(以下このような偏光状態をS偏光と記す。)であっても、さらに云えばP偏光でもS偏向でもない他の任意の偏光状態であっても、強度反射率を理論上100%にすることができる。
一方、光ビーム2104については、そもそも前記(数式5)で示されるフレネルの式が入射光ビームの偏光状態がP偏光であるという前提条件の基に成り立つ式であるので、P偏光で入射させるという制約がある。
つまり光ビーム2105は、その入射角θ2が(数式13)であらわされる全反射角θm以上でありさえすれば、その偏光状態が光ビーム2104と同一のP偏光であっても、P偏光とは異なり紙面に垂直な偏光方向の直線偏光(以下このような偏光状態をS偏光と記す。)であっても、さらに云えばP偏光でもS偏向でもない他の任意の偏光状態であっても、強度反射率を理論上100%にすることができる。
一方、光ビーム2104については、そもそも前記(数式5)で示されるフレネルの式が入射光ビームの偏光状態がP偏光であるという前提条件の基に成り立つ式であるので、P偏光で入射させるという制約がある。
したがって、本発明の光ビーム合成素子を用いれば、合成される光ビーム2104と2105の偏光状態をP偏光で統一することもできるし、光ビーム2104はP偏光、光ビーム2105はS偏光と互いに垂直な偏光方向状態に設定することもできる。
これは走査型投射装置および走査型画像表示装置を設計する際に、光学設計の自由度が増すことになり極めて有利である。
一方注意点としては、図21の実施例の説明の際に述べたように、光ビーム合成素子2103を出射した光ビーム2106および2107は光ビーム走査用の偏向ミラー装置2101内の反射ミラーに入射する構成になっているが、その際実際の装置では、該2本の光ビームをできるだけその偏向回転軸に近い所定の一点に入射させるような設計にすることが望ましい。
これは走査型投射装置および走査型画像表示装置を設計する際に、光学設計の自由度が増すことになり極めて有利である。
一方注意点としては、図21の実施例の説明の際に述べたように、光ビーム合成素子2103を出射した光ビーム2106および2107は光ビーム走査用の偏向ミラー装置2101内の反射ミラーに入射する構成になっているが、その際実際の装置では、該2本の光ビームをできるだけその偏向回転軸に近い所定の一点に入射させるような設計にすることが望ましい。
そしてこれを実現するためには、光ビーム2106および2107には所定の相対傾角(開き角)βがあることを考慮して、図23に示すように、光ビーム2104の平滑面2301への入射点と光ビーム2105の同平滑面2301への入射点を予め所定量だけずらしておくよう設計する必要がある。
ところで、図23および図24を用いて説明した光ビーム合成素子2103は、前記したように記号N−F2で示される高屈折光学ガラス材(屈折率n=1.628)からなる三角柱形状の光学プリズム構造になっているが、これは本発明の光ビーム合成素子の一実施例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
ところで、図23および図24を用いて説明した光ビーム合成素子2103は、前記したように記号N−F2で示される高屈折光学ガラス材(屈折率n=1.628)からなる三角柱形状の光学プリズム構造になっているが、これは本発明の光ビーム合成素子の一実施例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
すなわち光ビーム合成素子を構成する光学材料は、前記したように記号N−F2で示される高屈折光学硝子材以外の光学硝子材あるいは光学用プラスチック材などを用いても一向に構わない。
またその形状も三角柱形状に限定されるものではなく、これまで説明してきた本発明における複数光ビームの各入射角の関係を満足するような形状、構造であればどのような形状、構造であっても一向に構わない。
さらに云えば、これまで説明してきた本発明における複数光ビームの各入射角の関係を満足するような形状、構造をいくつか組み合わせることより、3本以上の画像表示用光ビームを所定の相対傾角(開き角)βを与えた状態で投射スクリーン上に投射させるような構成であっても一向に構わない。
またその形状も三角柱形状に限定されるものではなく、これまで説明してきた本発明における複数光ビームの各入射角の関係を満足するような形状、構造であればどのような形状、構造であっても一向に構わない。
さらに云えば、これまで説明してきた本発明における複数光ビームの各入射角の関係を満足するような形状、構造をいくつか組み合わせることより、3本以上の画像表示用光ビームを所定の相対傾角(開き角)βを与えた状態で投射スクリーン上に投射させるような構成であっても一向に構わない。
101,102,300,300b、300c:光学ユニット(RGB光源)、201,203,205:レーザ光源、202,204,206,302,303,304,305:コリメータレンズ、108,108b,108c,207,208:光合成素子、103,103b,103c:光屈折素子、104:全反射ミラー、106:走査素子、105:偏向ミラー、107:透明カバー、1081,1082,1083,1084・・・反射面、607,607b,607c:フロントモニター、1501,1701:ミラー、1601:プリズム、1801,1901:三角ミラー、2001:偏光ビームスプリッタ、2101:光ビーム走査用偏向ミラー装置、2102:投射スクリーン、2103:光ビーム合成素子、2104,2105,2106,2107,2108,2109:画像表示用走査光ビーム、21021,21022:表示画像エリア、21023:2画像重畳エリア。
Claims (23)
- 複数のレーザ光源と、
前記複数のレーザ光源から出射した光ビームを略平行光ないし弱収束光に変換する光学手段と、
前記略平行光ないし弱収束光に変換された複数の光ビームの光軸を一致させる光学手段と、
前記光軸を一致させた光ビームを互いに略直交した2軸方向に反復偏向駆動する光学反射および
光学偏向手段と、
を少なくとも有する走査型投射装置であって、
前記光軸を一致させた光ビームを少なくとも2つ以上有し、かつ前記光軸を一致させた光ビームが互いに所定の相対角度を有することによって投影面上に複数の画面を表示する走査型投射装置において、前記複数の画面は、互いにわずかに位置をずらして表示されていることを特徴とする走査型投射装置。 - 請求項1記載の走査型投射装置であって、前記複数光源から出射した光ビームの光軸を一致させた複数光ビームの相対角度が、4度以上であることを特徴とする走査型投射装置。
- 請求項1、2記載の走査型投射装置であって、互いにずれて配置した前記複数画面の画面ずれ量が、画面の大きさの1/2以下であることを特徴とする走査型投射装置。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の走査型投射装置であって、
前記複数光源から出射した光ビームの光軸を一致させた複数光ビームが、前記光軸を一致させた光ビームを互いに略直交した2軸方向に反復して偏向駆動する光学反射および偏向手段における反射領域で略一致していることを特徴とする走査型投射装置。 - 請求項1乃至4記載の走査型投射装置であって、
前記複数光源から出射した光ビームの光軸を一致させた複数光ビームを所定の角度で出射させる光学素子において、複数ビームが出射する面が、互いに凸形状を形成していることを特徴とする走査型投射装置。 - 請求項1乃至4記載の走査型投射装置であって、
前記複数光源から出射した光ビームの光軸を一致させた複数光ビームを所定の角度で出射させる光学素子において、複数ビームが出射する面が、互いに凹形状を形成していることを特徴とする走査型投射装置。 - 請求項1乃至4および請求項6記載の走査型投射装置であって、
前記複数光源から出射した光ビームの光軸を一致させた複数光ビームを所定の角度で出射させる光学素子において、複数ビームが出射する面が、互いに凹形状を形成しているとともに、前記複数ビームが入射する面が互いに凸形状を形成していることを特徴とする走査型投射装置。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の走査型投射装置であって、
前記複数光源から出射した光ビームの光軸を一致させた複数光ビームを所定の角度で出射させる光学素子において、同素子に入射した光ビームが複数回反射することによって、所定の角度で出射させる光学素子であることを特徴とする走査型投射装置。 - 請求項8記載の走査型投射装置であって、
前記複数光源から出射した光ビームの光軸を一致させた複数光ビームを所定の角度で出射させる光学素子において、同素子に入射する光ビームが入射端面に対してっ垂直に入射することを特徴とする走査型投射装置。 - 請求項8乃至9記載の走査型投射装置であって、
前記複数光源から出射した光ビームの光軸を一致させた複数光ビームを所定の角度で出射させる光学素子において、同素子から出謝する光ビームが出射端面に対して垂直に出社することを特徴とする走査型投射装置。 - 請求項8乃至10記載の走査型投射装置であって、
前記複数光源から出射した光ビームの光軸を一致させた複数光ビームを所定の角度で出射させる光学素子において、同素子の反射面のうち少なくとも1つの反射面は、入射光ビームの一部を透過することを特徴とする走査型投射装置。 - 走査型投射装置を備えた走査型画像表示装置であって、
請求項1乃至7のいずれかに記載の走査型投射装置と、
前記複数のレーザ光源を駆動するレーザ光源駆動回路と、
前記操作型駆動装置の偏光ミラーに対しミラー面を2次元的に反復して回転させる駆動信号を供給する走査ミラー駆動回路と、
前記レーザ光源駆動回路および走査ミラー駆動回路にRGBの各信号を送信するビデオ信号処理回路と、
を備えることを特徴とする走査型画像表示装置。 - 請求項1記載の走査型投射装置であって、複数のRGB光源から出射する光ビームが、略平行であることを特徴とする走査型投射装置。
- 請求項1記載の走査型投射装置であって、複数のRGB光源から出射する光ビームが、略直行することを特徴とする走査型投射装置。
- 請求項1記載の走査型投射装置であって、複数のRGB光源が、互いに対向して配置されていることを特徴とする走査型投射装置。
- 請求項1記載の走査型投射装置であって、光ビーム走査手段が、複数のRGB光源から光ビームが出射する方向と逆の位置に配置されていることを特徴とする走査型投射装置。
- 互いに独立した画像表示用光ビームを発する少なくとも2個以上の光源と、
互いに略直交した2方向に反復偏向駆動する機能を備えた所定の光学反射面と、
前記各光源を発した画像表示用光ビームを共に前記光学反射面に入射させる機能を備えた光ビーム合成装置または光ビーム合成素子と、を備えた走査型投射装置および走査型画像表示装置において、
前記各光源を発し前記光ビーム合成素子により前記光学反射面に入射する各画像表示用光ビームの前記光学反射面への入射角が互いに異なる角度であることを特徴とする走査型投射装置および走査型画像表示装置。 - 請求項17記載の走査型投射装置および走査型画像表示装置において、前記光学反射面に入射する前記各画像表示用光ビームのうち任意の2本の画像表示用光ビームが為す相対傾き角度あるいは開き角度[β]が、少なくとも4°以上であることを特徴とする走査型投射装置および走査型画像表示装置。
- 請求項17又は18記載の走査型投射装置および走査型画像表示装置において、
前記光ビーム合成素子は、所定の屈折率[n]を有し、かつ少なくとも1面の平滑面を備えた光学硝子もしくは光学用透明プラスチックからなり、
前記2個以上の光源のうち第1の光源を発した第1の画像表示用光ビームは、前記光ビーム合成素子の前記平滑面に対して外部から該光ビーム合成素子内部に向かう方向でかつ前記平滑面に対して下記(1)を満足する入射角[θ1]で入射するとともに、
θ1≒TAN-1〔n〕 ・・・・・(1)
第2の光源を発した第2の画像表示用光ビームは、前記光ビーム合成素子の前記平滑面に対して該光ビーム合成素子内部から素子外部に向かう方向でかつ前記平滑面に対して下記関係式(2)を満足する入射角[θ2]
θ2>SIN-1〔1/n〕 ・・・・・(2)
で入射するように配置されていることを特徴とする走査型投射装置および走査型画像表示装置。 - 請求項19記載の走査型投射装置および走査型画像表示装置において、
前記第1の画像表示用光ビームは、該第1の画像表示用光ビームの中心光軸と、前記平滑面の面法線とで形成される平面に略平行な直線偏光を有する光ビームであることを特徴とする走査型投射装置および走査型画像表示装置。 - 請求項19又は20記載の走査型投射装置および走査型画像表示装置において、
前記光ビーム合成素子は、可視光線の波長に対して1.60以上の屈折率を有する光学硝子材もしくは光学用透明プラスチック材からなることを特徴とする走査型投射装置および走査型画像表示装置。 - 請求項19又は20記載の走査型投射装置および走査型画像表示装置において、
前記光ビーム合成素子は、可視光線の波長に対して1.60乃至1.65の屈折率を有する光学硝子もしくは光学用透明プラスチックからなり、かつ前記第1の画像表示用光ビームの入射角[θ1]が角度範囲60°±10°内の所定角度に設定され、かつ前記第2の画像表示用光ビームの入射角[θ2]が角度範囲43°±5°内の所定角度に設定されていることを特徴とする走査型投射装置および走査型画像表示装置。 - 請求項17乃至21記載の走査型投射装置および走査型画像表示装置において、
前記互いに略直交した2方向に反復偏向駆動する機能を備えた所定の光学反射面は、MEMS(MicroElectro-MechanicalSystems)技術を用いたMEMSミラーデバイスであることを特徴とする走査型投射装置および走査型画像表示装置。
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