JP2013099090A - 電磁波伝搬装置および電力伝送システム - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の共鳴型電力伝送構造よりも広い周波数帯域で電力伝送効率を行うための電力伝送構造を提供する。
【解決手段】複数の共鳴体が互いに所定距離を隔てて一次元的または二次元的に配列された共鳴構造部と、共鳴体から所定の距離離間した位置で、共鳴体同士の隙間もしくは隙間に近い位置に配列された複数の追加導体を有する追加構造部と、を備える。共鳴体の共振周波数と追加導体の共振周波数とは異なるようにする。前記共鳴体および前記追加導体がともにコイルである場合には、前記共鳴体のコイル巻き数と前記追加導体のコイル巻き数が異なるようにする。
【選択図】図9A

Description

本発明は、空間電力伝送技術に関する。
具体的には、例えば、シート状に構成された電磁波伝搬装置に関する。
電磁波を用いた効率の良い空間電力伝送方法として、例えば特許文献1(米国特許7825543)には、図1に示すヘリカルコイル構造101を用いた方法が開示されている。すなわち、一方のヘリカルコイル(送電側ヘリカルコイル)を給電装置近傍に装備し、他方のヘリカルコイル(受電側ヘリカルコイル)を受電装置近傍に装備し、ヘリカルコイル間の共鳴現象の結合を利用して行う空間電力伝送を行う。これは、送電側ヘリカルコイルと受電側ヘリカルコイルとの共鳴現象が両方のヘリカルコイルを貫く磁束を通じて結合することを利用した空間電力伝送方法である。この方法はヘリカルコイルを貫く磁束が比較的長い距離まで延びているという特徴を生かしたものであり、電力輸送効率と電力輸送距離との両立を可能ならしめる方法である。
至近距離限定の空間電力伝送方法は例えば特許文献2(特開平7−322534号公報)に開示されているが、このような方法では、電力輸送効率は高くても電力輸送距離に限度がある。
また一方、長距離限定の空間電力伝送方法は例えば特許文献3(特開2008−259392号公報)に開示されているが、このような方法では電力輸送距離は長くとれても電力輸送効率に限度がある。
特許文献1(米国特許7825543)に開示の方法は、特許文献2(特開平7−322534号公報)と特許文献3(特開2008−259392号公報)との利点をバランス良く含んでおり、情報携帯端末やパソコン、自動車、産業機械への無線給電を実現するにあたって有力な方法として期待されている。
また、非特許文献1には、上記ヘリカルコイルに代えて、図2Aに示す平面スパイラル状のコイル201を用いても効率の良い空間電力伝送が可能であることが示されている。
平面スパイラル状のコイル(201)は、従来のプリント回路基板に実装できるという利点がある。すなわち、プリント基板のおもて面または裏面に201を一つ実装しておいてもよい。または、平面スパイラル状のコイルをプリント基板の両面に実装してもよい。例えば、図2Aの平面スパイラル状のコイル201をプリント基板の表側に実装するとする。そして、図2Bのコイル202をプリント基板の裏面に実装するとする。図2Bは、プリント基板の裏面に実装されるコイル202を表面側から透視したものである。
このとき、接合点203で表面側コイル201と裏面側コイル202とを導体接続することにより、両面実装として一続きのスパイラル形状を構成することができる。
ここでは表面実装と両面実装との場合を説明したが、多層基板においても各々の層のスパイラル導体と層間を接続する導体とにより、多層基板上で様々なスパイラル導体実装が可能となる。
また、図2A、図2Bでは、矩形であって矩形の各辺が直線的形状であるスパイラルコイルを例示したが、曲線のスパイラルであっても良いことは言うまでもない。
本明細書の以下の説明では、ヘリカル状のコイルとスパイラル状のコイルとを総称して、「コイル」と呼ぶことにする。
また、非特許文献2には、給電側箇所と受電側箇所との間の距離が比較的長距離である場合に、複数のヘリカルコイルを図3Aに示すように1次元状、もしくは、図3Bに示す2次元状に配列することでこの距離間で電力伝送するというアイデアが開示されている。このような構造において、コイルが平面状に配列されていることにより、隣接するコイル間で順々に電力(電磁波)が伝送される。
また、特許文献4(特開2008−66841号公報)には、コイルの代わりに単一の共振構造、具体的には図4に示すように、グランド導体プレーン403上に、矩形導体パターン402と追加矩形導体パターン401とを互い違いに配置する構造が開示されている。
つまり、図4A(a)の構造を図4A(b)の構造に重ねて、図4A(c)のように構成する。
図4Aは、矩形導体パターン402と追加矩形導体パターン401とを1次元的に互い違いに配置した図である。
図4Bは、矩形導体パターン402と追加矩形導体パターン401とを2次元的に互い違いに配置した図である。
さらに、特許文献5(特開2007−281678号公報)には、共振構造を用いずに、図5にあるようなメッシュ状のストリップ導体構造501をグランド導体502上に搭載し、ストリップ導体構造501とグランド導体502とに挟まれた空間を利用して平面的に電力を伝送する構成が開示されている。
以降、上記(図3、4、5)のように、外部の受電装置へ電力伝送できるように非シールド構造を取り、かつ、平面的に電力を伝送させる構造を、「平面電力伝送構造」と呼ぶことにする。
さらに、特許文献4(図4)、非特許文献2(図3)のように、平面電力伝送構造として、共鳴構造の繰り返し配列とするものを「共鳴型平面電力伝送構造」と呼ぶことにする。
さらに、特許文献5(図5)のように、平面電力伝送構造として、非共鳴構造を用いるものを「非共鳴型平面電力伝送構造」と呼ぶことにする。
米国特許7825543 特開平7−322534号公報 特開2008−259392号公報 特開2008−66841号公報 特開2007−281678号公報
居村岳広、岡部浩之、小柳拓也、加藤昌樹、ベーテック・チュアン、大手昌也、島本潤吉、高宮真、堀洋一「kHz〜MHz〜GHzにおける磁界共振結合によるワイヤレス電力伝送用アンテナの提案」、電子情報通信学会総合大会、2010年3月、BS−9−5、通信講演論文集1、S−24〜S−25 澤上佳希、川原圭博、浅見徹「電磁共鳴式無線電力伝送のマルチホップ性能評価」、電子情報通信学会総合大会、2010年3月、B−20−38、通信講演論文集2、pp.622
平面電力伝送構造において、非特許文献2および特許文献4のように共振構造の繰り返し構造を用いる場合、効率良く電力伝送を行うための電磁波の周波数は、共振構造の共振周波数近辺に制限される。したがって、自己共鳴周波数近辺以外の周波数で電力伝送がうまくできないという問題が生じる。
一方、特許文献5(図5)の構造は共振構造を用いていないので、広帯域な平面電力伝送が可能である。
しかし、コイルを用いている場合と比較して、外部に漏れる(取り出せる)電磁界が少なく、比較的長距離にある受電装置に効率よく電力を伝送することに課題がある。この比較的長距離にある受電装置への電力伝送効率という課題は、特許文献4(図4)の構造にも当てはまる課題である。
さらに、従来の平面電力伝送構造では、平面上の電力分布を制御する方法に関しては言及されていない。
実際には、平面全体に満遍なく給電したい場合や、受電装置の付近にだけ電磁波を集中させたい場合などがあり得る。
本発明の目的は、電力伝送構造において、従来の共鳴型電力伝送構造よりも広い周波数帯域で電力伝送効率を行うための電力伝送構造を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、上記平面伝送構造において、電磁波の分布を制御することにより受電効率を上げるための新しい平面電力伝送システムを提供することである。
本発明の電磁波伝搬装置は、
複数の共鳴体が互いに所定距離を隔てて一次元的または二次元的に配列された共鳴構造部と、
前記共鳴体から所定の距離離間した位置で、前記共鳴体同士の隙間もしくは隙間に近い位置に配列された複数の追加導体を有する追加構造部と、を備え、
前記共鳴体の共振周波数と前記追加導体の共振周波数とは異なる
ことを特徴とする。
また、本発明の電力伝送システムは、
前記電磁波伝搬装置と、
電磁波を前記電磁波伝搬装置に供給する給電装置と、
前記給電装置から発生する電磁波の周波数を制御する周波数制御装置と、を備える。
背景技術として、ヘリカルコイルの基本構造を示す図。 背景技術として、スパイラルコイルの基本構造を示す図。 背景技術として、スパイラルコイルの基本構造を示す図。 背景技術として、ヘリカルコイルを一次元配列した構造を示す図。 背景技術として、ヘリカルコイルを二次元配列した構造を示す図。 背景技術として、単一の共振構造を用いた電磁波伝搬装置を示す図。 背景技術として、単一の共振構造を用いた電磁波伝搬装置を示す図。 背景技術として、メッシュ状のストリップ導体構造を用いた電磁波伝搬装置を示す図。 本発明の基本コンセプトを説明するための図。 本発明の基本コンセプトを説明するための図。 本発明の基本コンセプトを説明するための図。 本発明の基本コンセプトを説明するための図。 本発明の基本コンセプトのバリエーションを説明するための図。 本発明の基本コンセプトのバリエーションを説明するための図。 本発明の基本コンセプトのバリエーションを説明するための図。 本発明の基本コンセプトのバリエーションの一つとして、導体プレーンを備える図。 本発明の第1実施形態を説明するための図。 本発明の第1実施形態を説明するための図。 本発明の第1実施形態を説明するための図。 本発明の第1実施形態を説明するための図。 追加導体のバリエーションを示す図。 追加導体のバリエーションを示す図。 追加導体のバリエーションを示す図。 追加導体のバリエーションを示す図。 追加導体のバリエーションを示す図。 追加導体のバリエーションを示す図。 本発明の第2実施形態を説明するための図。 追加導体のバリエーションを示す図。 第3実施形態としての電力伝送システムを示す図。 本発明の電磁波伝搬装置の等価回路を示す図。 本発明の電磁波伝搬装置の等価回路を示す図。 本発明の電磁波伝搬装置を伝搬する電磁波の分散特性を示す図。 第4実施形態を説明するための図。 電力伝送システムの変形例を示す図。
まず、本発明の基本となる概念(コンセプト)を図6A-D、図7A-C、図8を参照して説明する。
図6Aおよび図6Bは、一次元の電磁波伝搬装置600を示し、図6Aは一次元の電磁波伝搬装置600の斜視図であり、図6Bは上面図である。
電磁波伝搬装置600は、共鳴構造部610と追加構造部620とを有する。
共鳴構造部610とは、複数の共鳴体601が互いに所定距離を隔てて一次元的または二次元的に配列されたものである。
図6A、Bでは、複数の共鳴体601が一次元状に配列されている。
共鳴体601としては、例えば導体コイルが典型的であるが、導体コイルの他、例えば、誘電体共振器としてもよい。
さらに、誘電体共振器の型も限定されず、矩形や円柱形など種々様々な形状を採用できる。
なお、共鳴体601をコイルとした場合、共鳴構造部610だけであれば、背景技術で説明した図3A、図3Bに相当するものになる。
一方、追加構造部620は、複数の導体602が共鳴体601から所定の距離離間した位置で、共鳴体同士の隙間もしくは隙間に近い位置に配列されたものである。
図6A、図6Bでは、導体602は、共鳴体同士の隙間を上から覆うように配列されている。
ここで、追加構造部620を構成する個々の導体を"追加導体602"と称することとする。
追加導体602としては、典型的には導体コイルであるが、配線状導体や板状導体であってもよい。
例えば、追加導体のバリエーションの例を図10A-Dに示す。
図10Aは直線配線、図10Bは十字型配線、図10CはH型配線、図10DはH型配線をクロス状に重ねた構造、図10Eは蛇行配線、図10Fは矩形の導体である。
また、さらに、追加導体602は、配線状導体と板状導体とが繋がったような、一部が配線状導体であったり、一部が板状導体となっているような形状でもよい。
ただし、本発明においては、共鳴体601と追加導体602とを共にコイルとするような場合には共鳴体601と追加導体602とでコイルの巻き数を異ならせるようにするなど、共鳴構造部610の共振周波数と追加構造部620の共振周波数とを異なるようにしておく。
図6Aおよび図6B中において、電磁波伝搬装置を間にして給電装置604と受電装置605とが互いに離れた位置に配置されている。
給電装置604から給電された電磁波は電磁波伝搬装置600を伝搬し、伝搬した電磁波の一部が電磁波伝搬装置600から空間的に離れたところにある受電装置605へ送電されるのである。
なお、共鳴構造部610に加えて追加構造部620を設けたことによる本発明の作用効果については、後述する具体的な実施形態のなかで説明する。
図6C、図6Dは、二次元の電磁波伝搬装置600を示し、図6Cは二次元の電磁波伝搬装置600の斜視図であり、図6Dは上面図である。
二次元的であることの他は、図6A、Bで説明した1次元の構造と同じであり、電磁波伝搬装置600は、2次元配置された共鳴構造部610と、その上に2次元配置された追加構造部620と、を備えている。
次に、共鳴体601と追加導体602との配置のバリエーションを例示する。
図7A、図7B、図7Cは、共鳴体601と追加導体602との様々な位置関係を示す図である。
図7Aは、その一例の上面図である。
図6Dにおいては、上から見たときに、追加導体602が周辺にある4つの共鳴体601と重なっていた。
これに対し、図7Aでは、上から見たときに、追加導体602が2つの共鳴体601に重なっている。
図7Bは、別の一例の上面図である。
図7Bでは、上から見たときに、追加導体602と共鳴体601との間に隙間がある。
図7Cは、さらに別の一例の側面図である。
図7Cでは、追加導体602と共鳴体構造601とが同一平面上にある。
また、図8は、本発明の付加的構成の側面図を示すものであり、具体的には共鳴構造部610の下側に導体プレーン801が敷かれている。
導体プレーン801は、電磁波伝搬装置600の下側に電磁漏洩することをシールドする。
尚、図6A-Dでは、給電装置604は電磁波伝搬装置600の横脇にある構成となっているが、必ずしも横脇でなくても良い。
例えば、電磁波伝搬装置600の内部に組み込まれていても良いし、電磁波伝搬装置600の上側にあっても、下側にあっても良い。
さらに、図6A-Dでは、受電装置605は電磁波伝搬装置600の上側にある構成となっているが、必ずしも上部でなくても良く、例えば、下側にあっても良い。
次に、本発明の電磁波伝搬装置の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図9A、B、C、Dは、本発明の電磁波伝搬装置に係る第1実施形態を示す図である。
まず、図9Aおよび図9Bに示す構造を説明する。
図9A、Bは一次元の電磁波伝搬装置900を示すであり、図9Aは斜視図であり、図9Bは上面図である。
図9A、Bにおいて、背景技術の図3Aで示したヘリカルコイルが共鳴体901となっており、複数の共鳴ヘリカルコイル901が一次元に配列されている。
これにより共鳴構造部が構成されている。
さらに、この共鳴ヘリカルコイル901からなる共鳴構造部910に加えて、追加導体としての追加ヘリカルコイル902が配置されている。
追加ヘリカルコイル(追加導体)902の配列によって追加構造部920が構成されている。追加ヘリカルコイル902は、共鳴ヘリカルコイル901とは所定の距離離間した位置において、前記共鳴ヘリカルコイル901同士の間を上から覆うように配置されている。
ここで、下側の共鳴ヘリカルコイル901は5巻きとし、上側の追加ヘリカルコイル902は2.5巻きとしている。
このように、下側の共鳴ヘリカルコイルコイル901の巻き数と上側の追加ヘリカルコイル902の巻き数とを異ならせることにより、下側の共鳴ヘリカルコイルコイル901と上側の追加ヘリカルコイル902とが異なる共鳴周波数を有することになる。
すると、電磁波伝搬装置900を伝搬する電磁波のマルチバンド化が図れることになる。
この構成において、下側の共鳴ヘリカルコイルコイル901の間隙を埋めるように上側に追加ヘリカルコイル902が配置されている。
したがって、下側の共鳴ヘリカルコイル901とそのすぐ上にある追加ヘリカルコイル902とは電気的に結合しやすい位置関係となっており、この上側の追加ヘリカルコイル902を介して共鳴ヘリカルコイル同士が従来よりもさらに強く電気的に結合できる。
その結果、この電磁波伝搬装置900は、例えば図3Aに示したような従来の構造に比べ、はるかに電力伝送効率が高くなる。
さらには、共鳴ヘリカルコイル901と追加ヘリカルコイル902とで巻き数が異なっていることにより、追加ヘリカルコイル902の共鳴周波数においても効率のよい電力伝送ができるのであり、結果として、伝搬する電磁波のマルチバンド化が図れることになる。
なお、共鳴ヘリカルコイル901および追加ヘリカルコイル902の巻き数は上記の例に限定されるものではなく適宜変更可能であることはもちろんである。
また、共鳴ヘリカルコイル901の巻き数と追加ヘリカルコイル902の巻き数とをどの程度異ならせるかも適宜変更可能であり、例えば、共鳴ヘリカルコイル901の巻き数と追加ヘリカルコイル902の巻き数とで巻き数比が若干程度異なる場合は、共鳴ヘリカルコイル901の共鳴周波数と追加ヘリカルコイル902の共鳴周波数とのずれも若干となり、結果として、電磁波伝搬装置900を伝搬する電磁波の広帯域化が図れることになる。
図9A、Bでは一次元配置の場合を例示したが、図9C、Dに示すように、二次元的な平面電力伝送構造であってもよいことはもちろんである。
図9Cは、平面電力伝送構造の斜視図である。
図9Dは、平面電力伝送構造の上面図である。
このような二次元配置でも上記一次元配置と同じ作用効果を奏することは明白である。
また、図9C、Dにおいては上から見たときに、追加ヘリカルコイル902は下側の4つの共鳴ヘリカルコイル901に重なっているが、図7Aに示したように、追加ヘリカルコイル902は2つの共鳴ヘリカルコイル901と重なるようになっていてもよい。
さらに、図7(b)に示すように、共鳴構造部910と追加構造部920とを上から見たときに、追加ヘリカルコイル902が共鳴ヘリカルコイル901に重ならず、隙間があくようになっていてもよい。
さらに、図7(c)に示すように、共鳴構造部910と追加構造920とは同一平面上にあっても良い。
尚、上記において、追加導体が導体コイル形状であるとしたが、追加導体が導体コイルでなくてもよいことは図10を用いて説明した通りである。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態の基本的な概念は前記第1実施形態と同様であるが、共鳴体および追加導体をヘリカルコイルではなく、スパイラル導体にした点に特徴を有する。
具体的には、図11Aは第2実施形態の1次元配置を説明するための図であり、図11Bは第2実施形態の2次元配置を説明するための図である。
図11A(C)のように電磁波伝搬装置1100は、共鳴構造部1110と、その上に重ねられた追加構造部1120と、を有する。
ここで、図11A(a)は、追加構造部1120を示す図であり、図11(b)は共鳴構造部1110を示す図である。
共鳴構造部1110(図11A(a))は、上側のスパイラルコイル1111と下側スパイラルコイル1112とが基板に両面実装された構造を有する。共鳴構造部1110は2層のスパイラル構造であり、上側スパイラルコイル1111と下側スパイラルコイル1112とは、接続部にて導体接合されている。この点は、図2A、図2Bで説明した構成と同じである。
一方、追加構造部1120は、追加導体としてのスパイラルコイル1121が片面実装された構造を有する。そして、図11A(c)に示すように、共鳴構造部1110のスパイラルコイル1111、1112に対して追加導体(スパイラルコイル1121)が互い違いになるように、共鳴構造部1110と追加構造部1120とが重ねられている。
一方、図11Bは第2実施形態の2次元配置を説明するための図であり、図11Bの(a)、(b)、(c)は、図11Aの(a)、(b)、(c)に対応するので、対応する要素に同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
このような第2実施形態において、共鳴体および追加導体のコイルをスパイラル状とした。これにより、電力伝送構造が平面基板でできることになるので、製造が容易になるという利点がある。
また、共鳴構造部1110の共鳴周波数のみならず、追加構造部1120の共鳴周波数においても電力伝送が可能になるのは第1実施形態と同様である。
尚、上記図11B(c)において、追加構造部1120と共鳴構造部1110との配置のバリエーションは、図7A、B、Cで説明したように変形可能であり、さらに、追加導体がスパイラルコイルではなく、図10A-Fで示した種々の構成を取りうることも第1実施形態に同様である。
さらには、共鳴体を導体コイル形状とすることに代えて、例えば、矩形や円柱形の誘電体共振器としてもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態として、電力伝送システムを示す。
図12は、電力伝送システムの概要構成を示す図である。
電力電送システム1200は、平面上の電磁波伝搬装置1201と、給電装置1202と、周波数制御部1203と、を備える。
周波数制御部1201は、給電装置1202から発生する電磁波の周波数を制御できる構成となっている。
一般に、本発明の実施の形態に係る共鳴体と追加導体との繰り返し構造を伝搬する電磁波の波長は周波数に依存する。したがって周波数を制御することにより、電磁波伝搬装置1201内の電磁界分布をコントロールすることが可能となる。例えば、受電装置に近い部分の電磁界強度を高めるように周波数を制御することにより、受電装置への電力伝送効率を高めることが可能である。
以下においては、電磁波伝搬装置の電力伝送効率を高めるための設計指針の一例を示す。
上記繰り返し構造を伝搬する電磁波の波長と周波数との関係は、一般に、波数(波長の逆数に2πを乗じた値)と周波数との関係、すなわち、分散関係として表すことが可能である。
例えば、前記第1実施形態と第2実施形態で説明した一次元構成例では、隣接する共鳴コイルを覆うように、共鳴コイルとは異なる追加コイルを設けた。
この場合、図13Aに示すように、共鳴コイルは並列共振回路1301で表現できる。
また、追加導体は、隣接する並列共振回路を結合するリアクタンス素子1302として表現できる。
このとき、追加導体と共鳴コイル間のキャパシタンス、追加導体の自己インダクタンス、および、抵抗を考慮すると、リアクタンス素子1302は図13Bに示す直列共振回路1303で示される。
この場合、該当する構造を1次元方向に伝搬する電磁波の分散関係は、図14のようになる。
図14のグラフのなかで、実線1401が上記繰り返し構造中の電磁波の分散関係を示し、点線1402が真空の電磁波の波数と周波数との関係を示す。
ここで、図14中で両矢印の点線1403で示す領域は、真空の電磁波の分散関係で挟まれた領域であり、この領域に分散関係を有する電磁波は外部に必然的に漏れることが知られている。
ここで、図8で示した導体プレーン801を電磁波伝搬装置1201の下側に置くなどして、下側への電磁波の漏洩を無視できるようにした場合、両矢印の点線1403で示される領域では、分散関係の各々の点の波数に基づき、外部に漏れていく電磁波の方向を次のように算出することができる。
Figure 2013099090
ここで、θは天井方向を0、平面電力伝送構造の電磁波の進む方向を90°とした場合の角度である。
kxは平面の電磁波伝搬装置1201を伝搬する電磁波の波数である。
k0は真空の電磁波の波数である。
したがって、周波数制御部1203によって、入力する電磁波の周波数を、図14の点線四角内領域1404を満たす領域内で制御することにより、電磁波伝搬装置1201からみて特定の方向にある受電装置に電力を集中して伝送することが可能となる。
(第4実施形態)
次に、図15を参照して。本発明の第4実施形態を説明する。
第4実施形態の構成は、第3実施形態を踏襲するものであるが、電磁波伝搬装置1501は2次元方向に十分な面積を有しており、さらに、周波数制御部1203を有する給電装置1202が電磁波伝搬装置1501と同じ平面上にありながらも電磁波伝搬装置1501からある程度離れて配置されている場合を想定する。
ここで、図14のグラフに戻って、図14中における実線1405で示される範囲の周波数帯では、正方向の波数に対して周波数が負の傾きを有している。
この周波数帯域では、電磁波伝搬装置1501は、給電装置1202から進入してきた電磁波1502に対し、負の屈折角を有する。
したがって、図15の領域1503に示すように、電磁波伝搬装置1501内で電磁波が少なからず集中するスポット箇所Fが存在する。
一般に、図15における給電装置1202から電磁波伝搬装置1501への最短点までの距離lと、前記最短点から前記スポット箇所Fへの距離sとの間には、次の式が成立する。
Figure 2013099090
ここで、nLは、電磁波伝搬装置1501内の電磁波の屈折率であり、nRは給電装置1202が置かれている側の屈折率である。
特に、次の数式、
nL=-nR
が成立するとき、スポット箇所Fに集中する電磁波はさらに著しくなる。
ここで周波数制御部1203がある側の屈折率が1である場合、電磁波伝搬装置1501側の屈折率は-1となるが、屈折率が-1というのは図14の1405の領域において波数と周波数との比の絶対値が1の点に該当する。
このような原理に立脚することにより、周波数制御部1203において、周波数を1405の領域で制御することにより、電磁波伝搬装置1501の特定箇所に電磁波を集中させることが可能となり、結果としてその近傍にある受電装置への電力輸送効率を高めることが可能となる。
尚、これまでの説明では給電装置は一つ(一箇所)としたが、複数の給電装置が配置されてもよい。
例えば、図16に示すとおり、給電装置1202が複数個所に分散配置されていてもよい。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
101…ヘリカルコイル、201…表面側コイル、202…裏面側コイル、203…接合点、401、402…矩形導体パターン、403…グランド導体プレーン、501…ストリップ導体構造、502…グランド導体、600…電磁波伝搬装置、601…共鳴体、602…追加導体、604…給電装置、605…受電装置、610…共鳴構造部、620…追加構造部、801…導体プレーン、900…電磁波伝搬装置、901…共鳴ヘリカルコイル、902…追加ヘリカルコイル、910…共鳴構造部、920…追加構造部、1100…電磁波伝搬装置、1110…共鳴構造部、1111…上側スパイラルコイル、1112…下側スパイラルコイル、1120…追加構造部、1121…追加スパイラルコイル、1200…電力電送システム、1201…電磁波伝搬装置、1202…給電装置、1203…周波数制御部、1301…並列共振回路、1302…リアクタンス素子
1303…直列共振回路、1501…電磁波伝搬装置。

Claims (8)

  1. 複数の共鳴体が互いに所定距離を隔てて一次元的または二次元的に配列された共鳴構造部と、
    前記共鳴体から所定の距離離間した位置で、前記共鳴体同士の隙間もしくは隙間に近い位置に配列された複数の追加導体を有する追加構造部と、を備え、
    前記共鳴体の共振周波数と前記追加導体の共振周波数とは異なる
    ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
  2. 請求項1に記載の電磁波伝搬装置において、
    前記共鳴体は、ヘリカルコイル、スパイラルコイルおよび誘電体共振器のいずれかである
    ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電磁波伝搬装置において、
    前記追加導体は、ヘリカルコイル、スパイラルコイル、直線配線、十字型配線、H型配線、H型配線をクロス状に重ねた構造、蛇行配線、および、平板導体のいずれかである
    ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の電磁波伝搬装置において、
    前記共鳴体および前記追加導体がともにコイルであって、
    前記共鳴体のコイル巻き数と前記追加導体のコイル巻き数が異なっている
    ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の電磁波伝搬装置において、
    前記共鳴構造部は、基板の表面および裏面にスパイラルコイルが両面実装された構造であり、
    前記追加構造部は、追加導体としてのスパイラルコイルが基板に片面実装された構造であり、
    前記共鳴構造部のスパイラルコイルに対して前記追加導体が互い違いになるように、前記共鳴構造部と前記追加構造部とが重ねられている
    ことを特徴とする電磁波伝搬装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の電磁波伝搬装置と、
    電磁波を前記電磁波伝搬装置に供給する給電装置と、
    前記給電装置から発生する電磁波の周波数を制御する周波数制御装置と、を備える電力伝送システム。
  7. 請求項6に記載の電力伝送システムにおいて、
    前記周波数制御装置による周波数制御により、前記電磁波伝搬装置から放射される電磁波の強度が特定の方向で強くなるように次式に基づいて制御する
    ことを特徴とする電力伝送システム。
    Figure 2013099090
    ここで、θは、天井方向(電磁波伝搬装置が平面であれば法線方向、電磁波伝搬装置が一次元であれば電磁波伝搬装置の延在方向に垂直方向)を0°、電磁波伝搬装置内の電磁波の進む方向を90°とした場合の角度である。
    kxは電磁波伝搬装置を伝搬する電磁波の波数である。
    k0は真空の電磁波の波数である。
  8. 請求項6または請求項7に記載の電力伝送システムにおいて、
    前記給電装置から前記電磁波伝搬装置への最短点までの距離lと、前記最短点からスポット箇所Fへの距離sとの間に成立する次の式に基づいて前記スポット箇所に電磁波を集中させることを特徴とする電力伝送システム。
    Figure 2013099090
    ここで、nLは、電磁波伝搬装置内の電磁波の屈折率であり、nRは給電装置が置かれている側の屈折率である。
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