JP2013098351A - アモルファス鉄心変圧器 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁機械力などに起因するコイルの影響、変動、変位など効果的に抑制することができるアモルファス鉄心変圧器を提供する。
【解決手段】アモルファス鉄心101と、このアモルファス鉄心101が挿入される複数のコイル102と、このコイル102とアモルファス鉄心101組み付ける固定枠金具110とを具備するアモルファス鉄心変圧器100において、隣接するコイル102の間にコイル間部材106を介在させ、このコイル間部材106を位置決め部材107によって位置決め保持する。これにより、コイル102はコイル間部材106を越えて変形、変位することが無くなり、コイル102の形状を維持することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アモルファス鉄心と、このアモルファス鉄心が挿入される複数のコイルとを具備する変圧器に関し、特に、そのコイル構造に関するものである。
一般に変圧器においては、短絡時の電磁機械力によって、自身のコイルの内側のコイルとその外側のコイルが互いに反発するような振動をすることが知られている。その影響として、例えば、ボビンが内側へ座屈したり、内側のコイルと外側のコイルとの間に隙間ができたりすることがある。このようにして、変圧器においては、これらの電磁機械力によるコイルへの影響として、変動、変位などが生じることは問題とされていた。またこのコイルの振動は、三相コイルなどの場合には、コイル間で位相差(例えば、120度)があることで、振動も時間的に異なる為、影響を与えあうことが知られている。このコイル相互間での振動の時間差、位相差によって、コイルの巻線に不測の力が加わり、また、変圧器自体への不測の力が加わることの影響を考慮する必要がある。
本技術分野の背景技術としては、特開平10-340815号公報(特許文献1)がある。この文献は、アモルファス磁性薄帯を多層に巻回したアモルファス巻鉄心と複数のコイルを具備するアモルファス巻鉄心変圧器において、コイルを構成する内側巻線及び外側巻線に対する座屈強度を確保して、アモルファス巻鉄心を圧迫せず、鉄損、励磁電流を悪化させないことを課題としている。解決手段としては、コイルの少なくとも1つは、巻鉄心材幅方向に複数配置した巻枠部材からなるコイル巻枠をコイル最内周に設け、また、最外アモルファス巻鉄心は、巻鉄心を囲み、かつ、巻鉄心が挿入されるコイルの外側を押圧する補強枠を有することが開示されている。
また、特開2010-118384号公報(特許文献2)がある。この文献は、変圧器においてコイルの内側巻線の座屈強度を確保し、鉄心への圧迫を防止することを目的として、鉄損や励磁電流を悪化させない変圧器用のコイル巻枠、及びそれを用いた変圧器を提供するものである。解決手段としては、鉄心は磁性帯を多層に巻回した巻鉄心又は多層に積み重ねた積鉄心から成り、コイルが鉄心に挿入されている。コイルの最内周に配置されているコイル巻枠は、外側に弓形に成形されていて、鉄心側である内側に凹む座屈に対する強度が向上されている。したがって、内側巻線に対する座屈強度が確保され、大容量変圧器においても、鉄心を圧迫することがなく、鉄損や励磁電流を悪化させることがないと記載されている。
また、実開昭54-126015号公報(特許文献3)がある。この文献は、静止誘導電器に係り、特に変圧器又はリアクトルの鉄心、巻線締付装置に関する。解決手段としては、鉄心と、この鉄心に巻回される巻線を絶縁媒体とともにタンクに収納される静止誘導電において、巻線の相間に挿入される高強度相間絶縁部材と、この絶縁部材と鉄心継鉄部を挟む締付金に設けられた座とを締付部材を介して係合させ緊締することにより鉄心継鉄部と巻線とを併せて締付けることを特徴とする静止誘導電器の鉄心及び巻線締付装置が記載されている。
また、特開昭55-16419号公報(特許文献4)がある。この文献は、例えば、短形断面の巻線を有する内鉄形変圧器に関するものである。解決手段としては、鉄心と、鉄心に巻装された巻線と、巻線部を収納する外箱からなる内鉄形変圧器において、巻線の周囲を絶縁部を介在させて外箱により支持したことを特徴とする内鉄形変圧器が記載されている。
また、実開平3-3719号公報(特許文献5)がある。この文献は、変圧器その他の電磁誘導機器に使用する電磁誘導巻線構造に関するものである。解決手段としては、相間スペーサを介して並設された各相の巻線の外周を、絶縁性の固定バンドで一括して緊締してなる電磁誘導機器が記載されている。
また、特開平8-222458号公報(特許文献6)がある。この文献は、リアクトル・変圧器等で、騒音・振動低減と小型・軽量を図るものに関する。解決手段としては、巻鉄心と複数のコイルで構成されるリアクトル変圧器において、巻鉄心とコイルが固定されているものにさらに、コイルとコイルを固定することで、巻鉄心の振動を抑制することが記載されている。
また、実用新案登録3063645号公報(特許文献7)がある。この文献は、非結晶鉄心の損壊を減少する変圧器の中心体固定構造の提供に関する。解決手段としては、コイルの内部の上端と下端に絶縁片、絶縁板構造が設けられ、且つ絶縁板の設置は交錯状態とされて環状に非結晶鉄心の周縁を被覆し並びに比較的高く突出し、絶縁板がコイルとケースの間に挟持されることによりコイルの巻かれた非結晶鉄心も間接的にその中に位置決めされ、非結晶鉄心の固定にコイルとケースの挟持力を必要とせず、非結晶鉄心の損害を防止するようにした、変圧器の中心体固定構造が記載されている。
特開平10-340815号公報 特開2010-118384号公報 実開昭54-126015号公報 特開昭55-16419号公報 実開平3-3719号公報 特開平8-222458号公報 実用新案登録3063645号公報
変圧器は、高電圧・小電流の交流電力を低電圧・大電流の交流電力に、またその逆の変換を行う機器であり、磁気回路を構成する鉄心と電気回路を構成するコイルとを具備している。図9(A)に従来のアモルファス鉄心変圧器のコイル803の断面図を示す。アモルファス鉄心802を用いた変圧器を製作する際、アモルファス薄帯は非常に薄く成形が難しいため幅が同寸法のアモルファス薄帯を積層し巻鉄心形状とすることが一般的である。そのためアモルファス鉄心802の断面形状は略矩形状となり、それに合せて矩形状のボビン805を用いるため、巻線作業時に内コイル807と矩形状ボビン805間の直線部に隙間810が生じることとなる。それにより、コイル寸法が設計値よりも大きくなることで組立不可となったり、変圧器組立完成後の短絡試験において、短絡時に発生する電磁機械力によって内コイル807と外コイル808間に反発が生じ、内コイル807と矩形状ボビン805間の隙間810に電線が落ち込むことで内コイル807と外コイル808間に隙間811が発生し短絡インピーダンスが増大したりする(図9(B))。
また、アモルファス鉄心を圧迫し、アモルファス鉄心に負荷がかかることで無負荷損失が悪化する。これにより規格値に入らず型式試験等で不合格となる場合がある。特に、短絡時の電磁機械力が大きくなる大容量機種においては、これらの問題から製作が困難であった。尚、コイルの電磁機械力とは,短絡時に同方向の電流を流す電線は相引合い,反対方向の電流を流す電線は相反発するという法則に従い作用する力である。
従来技術では、この隙間を低減させるためにプレス工程を設け、コイルの寸法出しを行っており作業工数増加の原因となっている。また、電線を強く巻回すことで隙間を低減させる方法があるが、強く巻回すことにより矩形状ボビンの角部で電線の絶縁被膜を破壊する可能性がある。そこで、本発明は、簡単な構成により、コイルの電線とボビン間の隙間を低減したコイルを備えたアモルファス鉄心変圧器を提供するものである。
このような変圧器において、鉄心の材料としては珪素鋼板やアモルファス磁性材を使用し、鉄心の構造としては巻鉄心とする巻鉄心変圧器においては、コイルが座屈により変形して巻鉄心を圧迫することを防止する技術が既に上記特許文献により開示されている。これ等の特許文献に開示される巻鉄心変圧器は、コイル自体の座屈に対して成された対策であり、三相変圧器などのように、コイルが複数あって、コイルが短絡時の電磁機械力によって、振動などする際に相互の影響を与えることについては記載されていない。
しかし、このコイルの振動は、三相コイルなどの場合には、コイル間で位相差(例えば、120度)があることで、振動も時間的に異なる為、影響を与えあうことが知られている。このようなコイル相互間での振動の時間差、位相差によって、コイルの巻線に不測の力が加わり、また、変圧器自体への不測の力が加わることの影響を考慮する必要がある。例えば、通常は隣り合うコイルが押えとなり、コイルの外側への変位を抑制しているが、振動の時間差があることでその機能が無くなるため、内側のコイルと外側のコイルとの間に隙間ができたりすることである。これらの電磁機械力によるコイルのへの影響として、変動、変位などが生じることは問題となる。
本発明は、上記課題に着目して成されたものであり、電磁機械力などに起因するコイルの変動、変位など効果的に抑制することができる変圧器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のアモルファス鉄心変圧器は、アモルファス鉄心と、このアモルファス鉄心が挿入される複数のコイルと、前記コイルを相互に隣接させて該コイルと前記アモルファス鉄心とを組み付ける固定枠金具とを具備する変圧器において、前記コイル間に介在するコイル間部材を設け、このコイル間部材を位置決め部材により所定位置に位置決め固定したことを特徴とする。
また、本発明のアモルファス鉄心変圧器は、前記固定枠金具に前記コイル間部材を位置決めする位置決め部材を固定するために、この位置決め部材に前記コイル間部材と凹凸係合する位置決め部を形成したことを特徴とする。
また、本発明のアモルファス鉄心変圧器は、前記位置決め部材を、前記アモルファス鉄心の上下又は前後に一対配置したことを特徴とする。
また、本発明のアモルファス鉄心変圧器は、前記アモルファス鉄心と前記複数のコイルとを組み付ける前記固定枠金具は、前記コイルの両端部を両端部側から支持する一対のコイル押え金具を備えたことを特徴とする。
本発明のアモルファス鉄心変圧器は、アモルファス鉄心と、このアモルファス鉄心が挿入される略楕円形状をした複数のコイルと、前記コイルを相互に隣接させて該コイルと前記アモルファス鉄心とを組み付ける固定枠金具とを具備する変圧器において、前記コイル間に介在する中央部に凹の湾曲部を有したコイル間部材を設け、このコイル間部材を位置決め部材により所定位置に位置決め固定したことを特徴とする。
本発明によれば、隣接する複数のコイルの間に位置してコイルの隙間を埋めるコイル間部材が配置され、このコイル間部材を上下又は前後から挟みつけて位置決め保持する位置決め部材を設けたので、コイルの変位、変動を抑制することができる。すなわち、例えば三相のコイルは、短絡時の電磁機械力によって、それぞれのコイルを構成する内側コイルと、外側コイルの変位の方向が反対向きに反発するように振動することが知られている。このコイルの振動は、三相コイルなどの場合は、コイル間で位相差(例えば、120度)であることで、振動も時間的に異なるため、互いに影響を与えあっている。例えば、ある瞬間においては隣接する一方のコイルが、自身の内側コイルと、外側コイルの反発によって、外側コイルが隣接する他方のコイルの方向に変位しようと振動するが、コイル間に介在するコイル間部材によってコイルの変位、変動を抑えることができる。
本発明の実施例1を示す変圧器の概略説明図である。 同上、固定枠金具を省略して位置決め部材を分解した斜視図である。 本発明の実施例2を示す固定枠金具を省略して位置決め部材を分解した斜視図である。 本発明の実施例3を示す変圧器の概略説明図である。 本発明の実施例4を示す変圧器の概略説明図である。 本発明の各実施例におけるコイルの拡大断面図である。 (A)(B)コイルを楕円形状に近い形状で形成する別方法を示す説明図である。 (A)(B)(C)コイルを楕円形状に近い形状で形成する別方法を示す説明図である。 (A)(B)従来のアモルファス鉄心変圧器のコイル形状を示す断面図である。
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。なお、本実施例の説明において、前後左右の方向は図1乃至図5を基準として定義する。(X正方向を右、Y正方向を後、Z正方向を上と定義する。)
図1は、本発明の変圧器の構成を示す概略説明図である。図示するように本実施例の変圧器100は、アモルファス鉄心101と、このアモルファス鉄心101に鎖交するように挿入されるコイル102と、これらを固定する固定枠金具110とで構成される。また、本実施例の変圧器100は、三相のコイル102・・と、4個のアモルファス鉄心101・・(後側)を備えた三相五脚巻鉄心変圧器であり、これら三相のコイル102・・と、4個のアモルファス鉄心101・・(前側)が隣接して前記固定枠金具110に組み付けられている。
前記固定枠金具110は、アモルファス鉄心101の上部を覆う上締金具103と、コイル102を支持する下締金具104及びコイル102,102の両側を支持するコイル押え金具105とから成り、これら上締金具103, 下締金具104, コイル押え金具105を枠型に組んで前記固定枠金具110を構成している。また、隣接する複数のコイル102・・の間に位置してコイル102の隙間を埋めるコイル間部材106が配置されるとともに、このコイル間部材106を上下から挟みつけて、各コイル間部材106を位置決め保持する位置決め部材107を備えている。この位置決め部材107は各コイル102・・の上下に位置しており、それぞれ前後に分割した前記前側アモルファス鉄心101・・と後側アモルファス鉄心101・・との間に配置されている。なお、下側位置決め部材107は、図には見えていない。
図2は、図1から固定枠金具110を省略し、コイル間部材106と位置決め部材107の形状と相互の関係を分かり易く示した斜視図である。隣接するコイル102間に介在するコイル間部材106は、上辺及び下辺の一部を突出させて位置決め突部106aを形成するとともに(図では、下辺の位置決め突部106aは見えていない)、位置決め部材107には前記位置決め突部106aを所定の位置に位置決めする位置決め溝部107aを形成し、この位置決め突部106aと位置決め溝部107aを係合させることによって、コイル間部材106を上下の位置決め部材107によって位置決め保持している。
すなわち、上下の位置決め部材107は、X方向の長さが図1の上締金具103と下締金具104のX方向の長さと同じ長さに設定されており、上締金具103と下締金具104の両側に配置したコイル押え金具105によってX方向への変位が規制される。これにより、位置決め部材107によって位置決めされるコイル間部材106は、固定枠金具110内でのX方向への変位はない。このように、固定枠金具110に対して、位置決め保持したコイル間部材106を隣接するコイル102・・の間に介在させることによって、コイル102はコイル間部材106を越えて変形、変位することが無くなり(つまり、隣のコイルを変形させたり、変位させたりすることはない)、コイル102・・の形状を維持することができる。また、両側に位置するコイル102,102の両側にはコイル押え金具105が配置され、このコイル押え金具105によってX方向への変位が規制される。
また、一般にコイル102・・の軸方向(Z方向)へのずれを抑える目的と、前後に分割したアモルファス鉄心101間の隙間を埋め、アモルファス鉄心101の振れを抑える目的として各コイル102・・の上下と接するようにコイル保持用の規制板が配置されているが、本実施例においては、その規制板としての機能を位置決め部材107によって兼用している。すなわち、コイル102・・の軸方向(Z方向)へのずれを抑える目的と、前後に分割したアモルファス鉄心101間の隙間を埋め、アモルファス鉄心101の振れを抑える目的としても使用可能な位置決め部材107にコイル間部材106の位置決め突部106aを位置決めする位置決め溝部107aを形成するだけで、従来の機能を損なうことなく、コイル間部材106を固定する機能を追加することができる。
以上のように、隣接するコイル102,102間にコイル間部材106を介在させ、そのコイル間部材106の位置を位置決め部材107によって所定の位置に保持することによって、位置決め部材107によってコイル102の変位、変動を抑制することができる。
ここで、本発明の各実施例におけるコイルの拡大断面構成を説明しておく。すなわち、本発明の各実施例における三相のコイル302・・は図6(A)(B)に示すように、内側コイル308と、外側コイル309で構成され、一般に、短絡時の電磁機械力によって、コイル102を構成する内側コイル308と、外側コイル309の変位の方向が反対向きに反発するように振動することが知られている(図9(B))。このコイル102の振動は、三相コイルなどの場合は、コイル間で位相差(例えば、120度)であることで、振動も時間的に異なるため、隣り合ったコイルが互いに影響を与えあっている。例えば、ある瞬間においてはAのコイル102が、自身の内側コイル308と、外側コイル309の反発によって、外側コイル309がBのコイル102の方向に変位しようと振動するが、また次の瞬間において、Bのコイル102が、自身の内側コイル308と、外側コイル309の反発によって、外側コイル309がAのコイル102の方向に変位しようと振動する。したがって、コイル102間に介在するコイル間部材106が間隙無く強固に固定されていないと外側コイル309の振動に合わせて変位してしまう。しかし、これに対して、本発明では、コイル間部材106を位置決め部材107によって確実に位置決め保持することによって、コイル102の変位、変動を抑えるという機能を簡単な構成により発揮することができる。
なお、位置決め部材107とコイル間部材106は、短絡時の電磁機械力に耐えうる強度を有す材料である必要がある。また、絶縁性も考慮する必要があり、例えばベニア板やエポキシ板などの絶縁性を有する部材を使用するのが好ましいが、絶縁対策を確実に施せるのであれば、機械的な強度が高い鋼板等を使用することも可能であり、効果がある。また、コイル間部材106の形状は、平坦な板でも可能であるが、隣接するコイル102と接する部分を図6(A)(B)に示すように、略楕円形状のコイル102の外形と合わせて、中央部に凹の湾曲部を有したコイル間部材306を形成することにより、コイル102とコイル間部材106との接触面積を大きくすることができるため、より効果的にコイル102の変形、変動を抑えることができる。
さらに、本発明の各実施例においては、図6(A)(B)の拡大断面図に示すように、コイル102は、4個の鉄心301を配置した矩形ボビン310上に内側コイル308と外側コイル309を巻回して構成されるが、その際に、内側コイル308と矩形ボビン310間に生じる隙間の大きさを低減するために、矩形ボビン310の前後及び左右両側に4個の円弧状スペーサ311を配置するようにしている。これにより、矩形状ボビン311の角部はスペーサ311がガイドとなり、内側コイル308の1段目と矩形状ボビン310の当る部分の角度が緩くなる。また、スペーサ311の形状は円弧状に限らず、矩形ボビン310と内側コイル308のスペースを低減できる形状であれば、四角形、台形、階段状等でも可能である。また、コイル102の温度上昇を緩和するため、コイル温度上昇に応じた複数本の冷却ダクト509をコイル102の内部に設けることも可能である。このように、巻回して構成されるコイルを、矩形状ではなく楕円形状に近い形状とすることにより、コイルとボビンとの間に隙間ができるのを防ぐ効果を奏することができる。
このように、矩形ボビン310とコイル102との間にスペーサ311を介在することによって、短絡時の電磁機械力によって、内側コイル308と、外側コイル309間に働く反発力に対しても内側コイル308と矩形ボビン310間に隙間がない構造であるため、内側コイル308の落込むスペースが無く、短絡後の短絡インピーダンス変化率や無負荷損失の悪化率を低減することができる。
図6(A)(B)に示す実施例に代えて、コイル102の内部に複数の冷却ダクトを配置することによりコイル102を楕円形状に近い形状で形成することも可能である。ここでは、他の方法により、コイル102を楕円形状に近い形状で形成する方法を幾つか説明しておく。
図7(A)に示す方法は、アモルファス鉄心変圧器のコイル302断面図であって、アモルファス鉄心301の外側に円筒状のボビン310を設け、円筒状ボビン310に内コイル308、外コイル309を巻回す。円弧状スペーサ311は、矩形状アモルファス鉄心301と円筒状ボビン310の間に設け、断面形状が円形状のコイル302を形成する。
図7(B)に示す方法は、本発明によるアモルファス鉄心変圧器のコイル403断面図であって、アモルファス鉄心402の外側に矩形状のボビン405を設け、矩形状ボビン405に内コイル407、外コイル408を巻回す。円弧状スペーサ406は、一箇所につき2枚を貼り合せし、内コイル407と外コイル408の間に設け、断面形状が円形状のコイル403を形成する。
図8(A)に示す方法は、本発明によるアモルファス鉄心変圧器のコイル503断面図であって、アモルファス鉄心502の外側に矩形状のボビン505を設け、矩形状ボビン505に内コイル507、外コイル508を巻回す。通常コイル503は温度上昇を緩和するため、コイル温度上昇に応じた本数の冷却ダクト509を設けている。本実施例では、内コイル507に設けている冷却ダクト509の挿入区間を、内側に設けた冷却ダクトの区間よりも、外側に設けた冷却ダクトの区間を同等以下とし、断面形状が円形状のコイル503を形成する。または、内コイル507に設けている冷却ダクト509’の挿入区間を、内側に設けた冷却ダクトの区間よりも、外側に設けた冷却ダクトの区間を同等以上とし、断面形状が円形状のコイル503を形成する。
図8(B)に示す方法は、本発明によるアモルファス鉄心変圧器のコイル603断面図であって、アモルファス鉄心602の外側に矩形状のボビン605を設け、矩形状ボビン605に内コイル607、外コイル608を巻回す。本実施例では、内コイル607に設けている冷却ダクト609の幅を、両端に設けた冷却ダクトの幅よりも、直線部中央に設けた冷却ダクトの幅の方を同等以上とし、断面形状が円形状のコイル603を形成する。
図8(C)に示す方法は、本発明によるアモルファス鉄心変圧器のコイル703断面図であって、アモルファス鉄心702の外側に矩形状のボビン705を設け、矩形状ボビン705に内コイル707、外コイル708を巻回す。本実施例では、内コイル707に設けている冷却ダクト709を直線部中央のみに設けることにより、断面形状が円形状のコイル703を形成する。
図3は、本発明の実施例2を示す変圧器の構成を示す概略説明図である。前記実施例1では、コイル102の変形、変位を抑制するコイル間部材106を位置決め部材107で上下から挟み付けて位置決め保持した例を示したが、本実施例2では、位置決め部材411をコイル402の前後に配置している。すなわち、実施例1では、コイル102・・の軸方向(Z方向)へのずれを抑える目的と、前後に分割したアモルファス鉄心101間の隙間を埋め、アモルファス鉄心101の振れを抑える規制板を位置決め部材107として利用したが、このような規制板が無い構成の変圧器もある。このような変圧器において、コイル保持部材411をコイル402の前後に配置し、このコイル保持部材411に形成する位置決め溝411aに各コイル402の間に配置したコイル間部材406を係合させてコイル間部材106を位置決め保持している。これにより、前記実施例1と同様、位置決め部材411によってコイル402の変位、変動を抑制することができる。なお、図3において401はアモルファス鉄心である。
また、変圧器の構成として3個のコイルと、4個のアモルファス鉄心を備えた三相五脚巻鉄心変圧器に限らず、図4に示す本発明の実施例3のように3個のコイル502・・・と三個のアモルファス鉄心501・・・を備えた三相三脚巻鉄心変圧器であってもよい。また、図4に示す実施例3におけるコイル間部材の位置決め構造は、図3の実施例2と同様、コイル保持部材511をコイル502の前後に配置し、このコイル保持部材511に形成する位置決め溝511aにコイル間部材506を係合させてコイル間部材506を位置決め保持している。
また、図5に示す本発明の実施例4のように、2個のコイル602・・と1個のアモルファス鉄心601・・を備えた単相変圧器であってもよい。また、図5に示す本発明の実施例4におけるコイル間部材の位置決め構造は、図2に示す実施例1と同じ構成である。すなわち、コイル保持部材611をコイル602の上下に配置し、このコイル保持部材611に形成する位置決め溝611aにコイル間部材606に形成する位置決め突部606aを係合させてコイル間部材506を位置決め保持している。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は前記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施例1に示すスペーサや冷却ダクトを含む全て構成を備える必要はない。また、コイル間部材の位置決め部として位置決め部材にコイル間部材と嵌合する切り欠き状の位置決め溝を設けた例を示したが例えばフックなどの弾性を利用した構造や一対のレール間にコイル間部材を嵌合させる構造など適宜選定すればよい。さらに、実施例1の一部の構成を実施例2に構成に置換することも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加える、あるいは一部の構成を追加・置換・削除することも可能である。
100 変圧器
101,401, 501, 601 アモルファス鉄心
102,302,402, 502, 602 コイル
103 上締金具
104 下締金具
105 コイル押え金具
106,406,506,606 コイル間部材
106a,606a 位置決め突部
107, 411,511,611 位置決め部材
107a,411a,511a,611a 位置決め溝部(位置決め部)
110 固定枠金具
306 湾曲部
308 内側コイル
309 外側コイル
310 矩形ボビン
311 スペーサ

Claims (5)

  1. アモルファス鉄心と、このアモルファス鉄心が挿入される複数のコイルと、前記コイルを相互に隣接させて該コイルと前記アモルファス鉄心とを組み付ける固定枠金具とを具備する変圧器において、前記コイル間に介在するコイル間部材を設け、このコイル間部材を位置決め部材により所定位置に位置決め固定したことを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
  2. 前記固定枠金具に前記コイル間部材を位置決めする位置決め部材を固定するために、この位置決め部材に前記コイル間部材と凹凸係合する位置決め部を形成したことを特徴とする請求項1記載のアモルファス鉄心変圧器。
  3. 前記位置決め部材を、前記アモルファス鉄心の上下又は前後に一対配置したことを特徴とする請求項1又は2記載のアモルファス鉄心変圧器。
  4. 前記アモルファス鉄心と前記複数のコイルとを組み付ける前記固定枠金具は、前記コイルの両端部を両端部側から支持する一対のコイル押え金具を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のアモルファス鉄心変圧器。
  5. アモルファス鉄心と、このアモルファス鉄心が挿入される略楕円形状をした複数のコイルと、前記コイルを相互に隣接させて該コイルと前記アモルファス鉄心とを組み付ける固定枠金具とを具備する変圧器において、前記コイル間に介在する中央部に凹の湾曲部を有したコイル間部材を設け、このコイル間部材を位置決め部材により所定位置に位置決め固定したことを特徴とするアモルファス鉄心変圧器。
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