JP2013097306A - 微細凹凸構造体、ディスプレイ及び微細凹凸構造体の製造方法 - Google Patents
微細凹凸構造体、ディスプレイ及び微細凹凸構造体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013097306A JP2013097306A JP2011242328A JP2011242328A JP2013097306A JP 2013097306 A JP2013097306 A JP 2013097306A JP 2011242328 A JP2011242328 A JP 2011242328A JP 2011242328 A JP2011242328 A JP 2011242328A JP 2013097306 A JP2013097306 A JP 2013097306A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- monomer
- convex structure
- resin composition
- fine concavo
- meth
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
Abstract
【解決手段】露出面に微細凹凸構造15が形成された表層12を有する微細凹凸構造体10において、人工指紋液を付着させて24時間経過後における前記露出面の反射率と、前記人工指紋液を付着させる前の前記露出面の反射率との差が1.0%以下であることよりなる。前記表層12は、特定のモノマー(A)60〜83質量%、ならびにポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のモノマー(B)17〜40質量%(ただし、モノマー(A)とモノマー(B)との合計を100質量%とする)を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
加えて、微細凹凸構造体は、同じ樹脂組成物を用いて製造した平滑な表面の成形体に比べて耐擦傷性に劣るため、耐久性に問題がある。また、微細凹凸構造体は、樹脂組成物が十分に堅牢でない場合、凸部同士が寄り添って、透明性が低下して、外観が損なわれやすいものになる。このため、微細凹凸構造に付着した汚れを強い力で擦り取ることができない。
こうした問題に対し、親水性の樹脂により微細凹凸構造が形成された透明成形体の発明が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載された発明によれば、樹脂が水と馴染みやすいため、水拭き等により、凹凸構造に付着した汚れと、樹脂との間に水を浸透させて、汚れを浮かせて除去することができる。
加えて、本発明者らが親油性の樹脂を微細凹凸構造体に適用したところ、微細凹凸構造に付着させた指紋汚れは、拭き取りによって延ばされることなく、目立ったままであり、微細凹凸構造体の外観を低下させた。これは、指紋汚れが微細凹凸構造の中へ入り込んだ部分で、当初の反射防止性能が損なわれて、反射防止性能を維持している周辺部との差が際立っためである。
そこで、本発明は、付着した指紋汚れによる外観低下を防止できる微細凹凸構造体を目的とする。
前記表層は、重合性官能基を3つ以上有し、1分子中の重合性官能基数で分子量を除した値が135〜250であるモノマー(A)60〜83質量%、ならびにポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のモノマー(B)17〜40質量%(ただし、モノマー(A)とモノマー(B)との合計を100質量%とする)を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物であることが好ましく、前記露出面における水に対する接触角は45°以下であることが好ましく、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、0.44モル/100g以上の重合性官能基を有することが好ましい。
本発明の微細凹凸構造体の一実施形態について、図1を用いて説明する。
図1の微細凹凸構造体10は、基材11上に表層12が積層されたものであり、表層12の露出面(表層露出面)には、微細凹凸構造15が形成されている。微細凹凸構造15は、凸部13と凹部14とが交互に形成されたものである。
本実施形態の凸部13の形状は、頂部13aから基材11に向かい漸次拡径する略円錐状とされている。
ここで、頂部13a同士の間隔w1及び凸部13の高さd1は、電界放出形走査電子顕微鏡(JSM−7400F:日本電子株式会社製)により加速電圧3.00kVの画像における測定により得られる測定値の算術平均値を採用することができる。
基材11の形状はシート状、フィルム状等のいずれであってもよい。基材11としては、例えば、射出成形、押し出し成形、キャスト成形等、いずれの製法により製造されたものを使用してもよい。さらに、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の特性の改良を目的として、基材11の表面には、コーティングやコロナ処理が施されていてもよい。
モノマー(A)は、重合性官能基を3つ以上有し、1分子中の重合性官能基数で分子量を除した値が135〜250であるモノマーであり、表層12の機械特性、特に耐擦傷性を良好に維持すると共に、指紋汚れとよく馴染むものである。モノマー(A)を含有することにより、得られる硬化物の架橋点間分子量が小さくなり、架橋密度を高くして、表層12の弾性率や硬度を高くし、表層12を耐擦傷性に優れたものにできる。
例えば、ウレタン結合を有するような、極性の高い化合物はオレイン酸と均一に混合されないものが多い。また、カルボキシル基やエステル結合を多量に有する化合物も、オレイン酸と均一に混合されにくい。
モノマー(A)における重合性官能基としては、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基等のラジカル重合性官能基が挙げられる。
例えば、代表的な3官能モノマーであるトリメチロールプロパントリアクリレートの場合、その分子量は296であり、ラジカル重合性官能基の数は3である。従って、分子量/官能基比=98.7となる。また、例えば、分子量が800を超える4官能モノマーや分子量が1200を超える6官能モノマーは、分子量/官能基比>200となる。
これらのモノマー(A)は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
また、A・B合計量中のモノマー(A)の含有量は、モノマー(A)の分子量/官能基比を勘案して決定してもよく、例えば、モノマー(A)の分子量/官能基比が150以下の場合、A・B合計量中のモノマー(A)の含有量は、75質量%以下が好ましい。また、例えば、モノマー(A)の分子量/官能基比が150超の場合、A・B合計量中のモノマー(A)の含有量は、70質量%以上が好ましい。
微細凹凸構造15を形成する場合、凸部13が細長い形状、即ち高さd1/間隔w1で表される凸部13のアスペクト比が大きいほど、高さd1が高いほど、その形状を維持することが難しく、高硬度の樹脂組成物が要求される。例えば、突起高さが180nmを超える場合でも、A・B合計量中のモノマー(A)の含有量が、上記範囲であれば、微細凹凸構造15が良好に維持される。
モノマー(B)は、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種である。モノマー(B)を含有することで、表層12が指紋汚れ中の有機成分と馴染みやすくなり、指紋汚れを吸収しやすく、指紋汚れによる外観低下をより良好に防止できる。
樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、モノマー(A)及びモノマー(B)以外の任意成分を含有してもよい。任意成分としては、モノマー(A)及びモノマー(B)以外のモノマー(以下、モノマー(C)ということがある)、スリップ剤、活性エネルギー線重合開始剤、活性エネルギー線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、光安定剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填材、シランカップリング剤、着色剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤等が挙げられる。
また、例えば、モノマー(C)として、エトキシ化、ビスフェノールAジアクリレートのようなアルコキシ化されたもの、1,9−ノナンジオールジアクリレートのようなアルキルジアクリレート等の2官能モノマーが挙げられる。ただし、硬化物の架橋密度が高くなりすぎると、指紋汚れが吸収されるのを阻害することになるため、モノマー(C)は、分子量/官能基比200超であることが好ましい。
これらのモノマー(C)は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
スリップ剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製「SH3746FLUID」「FZ−77」、信越化学工業株式会社製「KF−355A」、「KF−6011」等が挙げられる。これらのスリップ剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
スリップ剤の含有量は、樹脂組成物中のモノマー(A)、モノマー(B)及びモノマー(C)の含有量の合計(以下、全モノマー量ということがある)100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。上記下限値以上であれば、樹脂組成物の硬化性、表層12の機械特性、特に耐擦傷性を向上させることができ、上記上限値以下であれば、残存するスリップ剤による表層12の弾性率及び耐擦傷性の低下や、表層12の着色を抑制できる。
活性エネルギー線重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン;2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。
これらの活性エネルギー線重合開始剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。特に吸収波長の異なる2種以上を併用することが好ましい。
また、必要に応じて、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物、アゾ系開始剤等の熱重合開始剤を併用してもよい。
また、微細凹凸構造15の反転構造を有するベルト状やロール状のスタンパを用いて連続的に順次硬化させる場合、25℃における回転式B型粘度計で測定される樹脂組成物粘度は、100mPa・s以上が好ましく、150mPa・s以上がより好ましく、200mPa・s以上がさらに好ましい。樹脂組成物の粘度が100mPa・s以上であれば、樹脂組成物のスタンパからの漏洩を抑制し、表層12の厚みを容易に調整できる。
樹脂組成物の粘度は、モノマー(A)〜(C)の種類や含有量を調節することで調整できる。例えば、水素結合等の分子間相互作用を有する官能基や化学構造を含むモノマーを多く用いると、樹脂組成物の粘度は高くなる。また、分子間相互作用のない低分子量のモノマーを多く用いると、樹脂組成物の粘度は低くなる。
単位官能基モル数は、モノマー(A)〜(C)の配合割合と、モノマー(A)〜(C)の分子量を各々の重合性官能基数で除した値(分子量/官能基比)とから計算できる。
例えば、モノマー(A)として、新中村化学工業株式会社製のNKエステルA−TMPT−3EO(エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、分子量/官能基比=143)70質量部、モノマー(B)として新中村化学社製NKエステルAPG−400(ポリプロピレングリコールジアクリレート、分子量/官能基比=274)30質量部の計100質量部の樹脂組成物の場合、単位官能基モル数は下記(1)式のように算出される。
70÷143+30÷274=0.60(モル/100g)・・・(1)
単位官能基モル数が0.44モル/100g以上であれば、得られる表層12は適切な弾性率、硬度、耐擦傷性を有するものとなる。また、微細凹凸構造15を形成する場合、凸部13のアスペクト比が大きいほど、その形状を維持しにくい。このため、細長く、高い形状の凸部13を形成する場合、高硬度の樹脂が要求される。単位官能基モル数が0.44モル/100g以上であれば、例えば、凸部13の高さが180nmを超える場合でも、微細凹凸構造15の形状を良好に維持し、凸部13同士が寄り添って、外観が低下するのを防止できる。
人工指紋液を付着させた直後では、人工指紋液を付着させた領域の反射率が上昇する。このため、人工指紋液が付着した部分は、指紋汚れとして容易に視認される。微細凹凸構造体10では、室温(20℃)で24時間放置すると、付着した人工指紋液が表層露出面に広がると共に、表層12内に吸収され、指紋汚れとして視認できなくなる。犯罪捜査等に適用される法科学鑑定の様々な技法によれば、完全に指紋の痕跡をなくすことは極めて難しいとされるものの、本発明においては、ディスプレイ表面等、光学機器の実用に際して問題のないレベルにまで、指紋汚れが見えなくなればよい。このため、反射率差が1.0%以下であれば、光学機器の実用に際して問題のないレベルにまで、指紋汚れを消失できる。
人工指紋液は、JIS K2246:2007の記載に準じて調製されたものである。
人工指紋液を付着させる際の押圧力は特に限定されず、例えば、100g/cm2とされる。
人工指紋液を付着させるには、人工指紋液を付着させた手指を表層露出面に押圧してもよいし、ゴム等の樹脂製のスタンプに人工指紋液を付着させ、このスタンプを表層露出面に押圧してもよい。
微細凹凸構造体10の製造方法としては、例えば、(1)微細凹凸構造15の反転構造が形成されたスタンパと基材との間に樹脂組成物を配し、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化して、スタンパの凹凸形状を転写し、その後スタンパを剥離する方法、(2)樹脂組成物にスタンパの凹凸形状を転写してからスタンパを剥離し、その後活性エネルギー線を照射して樹脂組成物を硬化する方法等が挙げられる。これらの中でも、微細凹凸構造の転写性、表面組成の自由度の点から、(1)の方法が好ましい。
(1)の方法は、連続生産が可能なベルト状やロール状のスタンパを用いる場合に特に好適であり、生産性に優れた方法である。
スタンパに微細凹凸構造15の反転構造を形成する方法は、特に限定されず、電子ビームリソグラフィー法、レーザー光干渉法等が挙げられる。例えば、適当な支持基板上に適当なフォトレジスト膜を塗布し、紫外線レーザー、電子線、X線等の光で露光し、現像して微細凹凸構造15の反転構造を形成した型を得て、この型をそのままスタンパとして使用する方法が挙げられる。また、フォトレジスト層を介して支持基板をドライエッチングにより選択的にエッチングして、レジスト層を除去することで支持基板に、微細凹凸構造15の反転構造を形成してもよい。
また、陽極酸化ポーラスアルミナを、スタンパとして用いてもよい。例えば、アルミニウムをシュウ酸、硫酸、リン酸等を電解液として所定の電圧にて陽極酸化することにより20〜200nmの細孔構造を形成し、これをスタンパとして用いてもよい。この方法によれば、高純度アルミニウムを定電圧で長時間陽極酸化した後、一旦酸化皮膜を除去し、再び陽極酸化することで非常に高規則性の細孔が自己組織化的に形成できる。さらに、二回目に陽極酸化する工程で、陽極酸化処理と孔径拡大処理を組み合わせることで、断面が矩形でなく三角形や釣鐘型である微細凹凸構造の反転構造を形成できる。また、陽極酸化処理と孔径拡大処理の時間や条件を適宜調節することで、細孔最奥部の角度を鋭くすることも可能である。
さらに、微細凹凸構造15を有する原型から電鋳法等で複製型を作製し、これをスタンパとして使用してもよい。
スタンパの形状は特に限定されず、例えば、平板状、ベルト状、ロール状のいずれでもよい。特に、ベルト状やロール状にすれば、連続的に微細凹凸構造15を転写でき、生産性をより高めることができる。
次いで、樹脂組成物に活性エネルギー線を照射し、樹脂組成物を重合して硬化させる。樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して硬化する方法としては、樹脂組成物中のモノマーの種類等を勘案して決定でき、例えば、電子線、紫外線、可視光線、プラズマ、赤外線等を照射する方法が挙げられ、中でも紫外線を照射する方法が好ましい。紫外線を照射する方法としては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、フュージョンランプを用いる方法等が挙げられる。
紫外線の照射量は、重合開始剤の吸収波長や含有量に応じて決定すればよい。通常、その積算光量は、400〜4000mJ/cm2が好ましく、400〜2000mJ/cm2がより好ましい。積算光量が400mJ/cm2以上であれば、樹脂組成物を十分硬化させて硬化不足による耐擦傷性低下を抑制することができる。また。積算光量が4000mJ/cm2以下であれば、表層12の着色や基材11の劣化を防止しやすい。
照射強度は、基材11の劣化等を招かない程度の出力に抑えることが好ましい。
樹脂組成物を硬化した後、スタンパを剥離することで、微細凹凸構造15が形成された表層12を有する微細凹凸構造体10が得られる。
樹脂組成物を半硬化させる方法としては、樹脂組成物の組成等を勘案して決定でき、例えば、加熱する方法等が挙げられる。
加えて、本実施形態の微細凹凸構造体は、上述した樹脂組成物の硬化物により表層が形成されることで、より確実に反射率差が1.0%以下となり、指紋汚れによる外観低下をより好適に防止できる。
本実施形態の微細凹凸構造体は、表層を形成する樹脂組成物が0.44モル/100g以上の重合性官能基を有することで、機械強度が高まり、凸部同士が寄り添うことに起因する外観低下を防止できる。
加えて、本実施形態の微細凹凸構造体は、例えば、光導波路、レリーフホログラム、レンズ、偏光分離素子等の光学用途や、細胞培養シートの用途にも適用できる。
本発明の微細凹凸構造体は、上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、基材の一方の面にのみ表層が設けられているが、本発明の微細凹凸構造体は、これに限定されず、例えば、基材の両面に表層が設けられ、両面に微細凹凸構造が形成されていてもよい。
(使用原料)
各例の微細凹凸構造体の製造に用いた原料は以下の通りのものであり、各モノマーの官能基数、分子量、分子量/官能基比は、表1に示すものである。
<モノマー(A)>
TMPT−3EO:エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名;NKエステルTMPT−3EO)
TMPT−6EO:エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学工業株式会社製、商品名;ライトアクリレートA−TMP−6EO)
TMPT−9EO:エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名;NKエステルTMPT−9EO)
AM30G:末端メチル化ポリエチレングリコール(繰り返し数=3)モノアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名;NKエステルAM30G)
AM90G:末端メチル化ポリエチレングリコール(繰り返し数=9)モノアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名;NKエステルAM90G)
AM130G:末端メチル化ポリエチレングリコール(繰り返し数=13)モノアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名;NKエステルAM130G)
AP400:ポリプロピレングリコール(繰り返し数=7)モノアクリレート(日油株式会社製、商品名;ブレンマーAP400)
APG−400:ポリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名;APG−400)
APG−700:ポリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名;APG−700)
ATM−4E:エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名;NKエステルATM−4E)
SA:ステアリルアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名;ブレンマーSA)
AAc:アクリル酸
INT AM121:内部離型剤(アクセルプラスチック株式会社製、商品名;モールドウィズINT AM−121)
<活性エネルギー線重合開始剤>
DAR TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド(日本チバガイギー株式会社製、商品名;DAROCURE TPO)
<反射率差の測定方法>
各例の微細凹凸構造体の裏面(基材の露出面)をサンドペーパー(GRIT No.500)で粗面化した後、微細凹凸構造体の裏面に黒色の塗料を塗工した。
直径10mmの円柱状のスタンプ(ゴム製)の一端面に、1μLの人工指紋液を付着させ、スタンプの一端面を表層露出面に100g/cm2の圧力で3秒間押し付けて、人工指紋液を表層露出面に付着させた。その後、微細凹凸構造体を23℃、50%RHの環境下で24時間保管した。分光光度計(U−4100、株式会社日立製作所製)を用いて、表層露出面に入射角5°で波長550nmの相対反射率(反射率α)を測定した。予め、人工指紋液を塗布する前の相対反射率(反射率β)を測定し、下記(2)式により反射率差を求めた。
反射率差(%)=|反射率α―反射率β| ・・・(2)
なお、人工指紋液は、精製水500mLとメタノール500mLとの混合液に、塩化ナトリウム7g、尿素1g及び乳酸4gを溶解して調製したものである。
微細凹凸構造が形成された面に5μLのイオン交換水を滴下し、自動接触角測定器(KRUSS社製)を用いて、θ/2法にて接触角を算出した。
微細凹凸構造が形成された面に、人差し指を100g/cm2の圧力で3秒間押し付けて、指紋汚れを表層露出面に付着させた。その後、拭き取り用の紙(ケイドライ、日本製紙クレシア株式会社製)で、指紋汚れを軽く拭き取り、23℃、50%RHの環境下で24時間保管した。保管後の微細凹凸構造体について、下記評価基準に従い評価した。
○:指紋汚れを視認できない。
△:視認できるが、付着直後に比べ指紋汚れが薄くかつ小さくなっており、許容できるレベルである。
×:付着直後と同等の濃さ又は同等の大きさの指紋汚れを視認できる。
微細凹凸構造が形成された面を目視で観察し、下記評価基準に従い評価した。
○:濁りがなく、透明である。
△:部分的に濁りが見られる。
×:全体に濁っている。
図3の工程図に従い、各例の微細凹凸構造体の製造に用いたスタンパ(細孔の深さ180nm)を以下のように製造した。
純度99.99%のアルミニウム板30を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
(a)工程
0.3Mシュウ酸水溶液中で直流40V、温度16℃の条件で、アルミニウム板30に30分間陽極酸化を施し、形成された酸化皮膜32に亀裂31を生じさせた(図3(a))。
(b)工程
6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液にアルミニウム板30を6時間浸漬して、酸化皮膜32を除去し、亀裂31に対応する周期的な窪み33を露出させた(図3(b))。
(c)工程
酸化皮膜32が除去されたアルミニウム板30について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒間陽極酸化を施し、酸化皮膜34を形成した。酸化皮膜34をアルミニウム板30の表面形状に沿って形成することにより、細孔35を形成した(図3(c))。
(d)工程
32℃の5質量%リン酸に酸化皮膜34が形成されたアルミニウム板30を8分間浸漬して、細孔35の径拡大処理を施した(図3(d))。
(e)工程
前記(c)工程及び(d)工程を合計で5回繰り返し(図3(e))、周期100nm、深さ180nmの略円錐形状の細孔35を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。得られた陽極酸化ポーラスアルミナを脱イオン水で洗浄し、表面の水分をエアーブローで除去し、表面防汚コーティング剤(ダイキン工業株式会社製、商品名:オプツールDSX)を固形分0.1質量%になるように希釈剤(株式会社ハーベス製、商品名:HD−ZV)で希釈した溶液に10分間浸漬し、20時間風乾してスタンパ20を得た(図3(f))。
なお、スタンパ20の細孔35の深さ及び周期は、スタンパ20の縦断面に1分間Pt蒸着して試験体とし、この試験体について電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM−7400F)により観察(加速電圧:3.00kV)して測定されたものであり、各10点の測定結果の平均である。
表2〜3の組成に従い、各原料を混合して樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を製造例1で製造したスタンパの細孔が形成された面に流し込み、その上に基材(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、三菱樹脂株式会社製、商品名:WE97A)を押し広げながら被覆した。その後、基材側からフュージョンランプを用いて積算光量1000mJ/cm2となるように紫外線を照射して、樹脂組成物を硬化させた。次いで、スタンパから基材を剥離して、図1の微細凹凸構造体10と同様の微細凹凸構造体を得た。得られた微細凹凸構造体の表面には、スタンパの微細凹凸構造が転写されており、図1に示す間隔w1が100nm、高さd1が180nmの略円錐状の凸部13が形成されていた。得られた微細凹凸構造体について、反射率差及び水との接触角を測定し、外観1及び外観2を評価し、その結果を表2〜3に示す。
なお、間隔w1及び高さd1は、微細凹凸構造体の縦断面を10分間Pt蒸着して試験体とし、この試験体についてスタンパ20の細孔35の深さ及び周期と同様にして測定されたものである。
これに対し、反射率差が1.0%超である比較例1〜9は、いずれも外観1が「×」であった。
これらの結果から、本発明を適用することで、指紋汚れによる外観低下を防止できることが判った。
実施例1〜14の内、単位官能基モル数が0.44モル/100g以上の実施例1〜10は、単位官能基モル数が0.44モル/100g未満の実施例11〜14よりも外観2に優れるものであった。これは、実施例1〜10の表層の機械強度が、実施例11〜14の表層の機械強度よりも高いため、凸部同士が寄り添うことなく、透明性を維持できたためである。
11 基材
12 表層
13、113 凸部
14 凹部
15 微細凹凸構造
20 スタンパ
35 細孔
Claims (6)
- 露出面に微細凹凸構造が形成された表層を有する微細凹凸構造体において、
人工指紋液を付着させて24時間経過後における前記露出面の反射率と、前記人工指紋液を付着させる前の前記露出面の反射率との差が1.0%以下である微細凹凸構造体。 - 前記表層は、重合性官能基を3つ以上有し、1分子中の重合性官能基数で分子量を除した値が135〜250であるモノマー(A)60〜83質量%、ならびにポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のモノマー(B)17〜40質量%(ただし、モノマー(A)とモノマー(B)との合計を100質量%とする)を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物である、請求項1に記載の微細凹凸構造体。
- 前記露出面における水に対する接触角は45°以下である、請求項1又は2に記載の微細凹凸構造体。
- 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、0.44モル/100g以上の重合性官能基を有する、請求項2に記載の微細凹凸構造体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の微細凹凸構造体を備えたディスプレイ。
- 微細凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパと基材との間に、重合性官能基を3つ以上有し1分子中の重合性官能基数で分子量を除した値が135〜250であるモノマー(A)60〜83質量%、ならびにポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のモノマー(B)17〜40質量%(ただし、モノマー(A)とモノマー(B)との合計を100質量%とする)を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を配し、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化した後、前記スタンパを剥離し、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり微細凹凸構造が形成された表層を前記基材上に設ける、微細凹凸構造体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011242328A JP5879939B2 (ja) | 2011-11-04 | 2011-11-04 | 微細凹凸構造体、ディスプレイ及び微細凹凸構造体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011242328A JP5879939B2 (ja) | 2011-11-04 | 2011-11-04 | 微細凹凸構造体、ディスプレイ及び微細凹凸構造体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013097306A true JP2013097306A (ja) | 2013-05-20 |
JP5879939B2 JP5879939B2 (ja) | 2016-03-08 |
Family
ID=48619265
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011242328A Expired - Fee Related JP5879939B2 (ja) | 2011-11-04 | 2011-11-04 | 微細凹凸構造体、ディスプレイ及び微細凹凸構造体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5879939B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014235235A (ja) * | 2013-05-31 | 2014-12-15 | 日油株式会社 | ディスプレイ用耐指紋性フィルム及びこれを備えるディスプレイ |
WO2015016679A1 (ko) * | 2013-08-02 | 2015-02-05 | 주식회사 엘지화학 | 내지문성 필름 및 전기 전자 장치 |
KR101631113B1 (ko) * | 2015-05-18 | 2016-06-16 | 주식회사 찬진 | 입체 액자 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05214045A (ja) * | 1992-02-05 | 1993-08-24 | Kuraray Co Ltd | 組成物 |
JP2011090326A (ja) * | 2007-02-09 | 2011-05-06 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 透明成形体およびこれを用いた反射防止物品 |
WO2011115162A1 (ja) * | 2010-03-17 | 2011-09-22 | 三菱レイヨン株式会社 | 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物および微細凹凸構造を表面に有する物品 |
WO2012096322A1 (ja) * | 2011-01-12 | 2012-07-19 | 三菱レイヨン株式会社 | 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、微細凹凸構造体及び微細凹凸構造体の製造方法 |
-
2011
- 2011-11-04 JP JP2011242328A patent/JP5879939B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05214045A (ja) * | 1992-02-05 | 1993-08-24 | Kuraray Co Ltd | 組成物 |
JP2011090326A (ja) * | 2007-02-09 | 2011-05-06 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 透明成形体およびこれを用いた反射防止物品 |
WO2011115162A1 (ja) * | 2010-03-17 | 2011-09-22 | 三菱レイヨン株式会社 | 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物および微細凹凸構造を表面に有する物品 |
WO2012096322A1 (ja) * | 2011-01-12 | 2012-07-19 | 三菱レイヨン株式会社 | 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、微細凹凸構造体及び微細凹凸構造体の製造方法 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014235235A (ja) * | 2013-05-31 | 2014-12-15 | 日油株式会社 | ディスプレイ用耐指紋性フィルム及びこれを備えるディスプレイ |
WO2015016679A1 (ko) * | 2013-08-02 | 2015-02-05 | 주식회사 엘지화학 | 내지문성 필름 및 전기 전자 장치 |
US10067269B2 (en) | 2013-08-02 | 2018-09-04 | Lg Chem, Ltd. | Anti-fingerprint film and electrical and electronic apparatus |
KR101631113B1 (ko) * | 2015-05-18 | 2016-06-16 | 주식회사 찬진 | 입체 액자 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5879939B2 (ja) | 2016-03-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5260790B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、微細凹凸構造体及び微細凹凸構造体の製造方法 | |
JP5958338B2 (ja) | 微細凹凸構造体、撥水性物品、モールド、及び微細凹凸構造体の製造方法 | |
JP5573836B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物および微細凹凸構造を表面に有する物品 | |
JP5954329B2 (ja) | 物品および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物 | |
JP6044544B2 (ja) | 積層体の製造方法 | |
JP5648632B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体とその製造方法、及びナノ凹凸構造体を備えた撥水性物品 | |
JP5744641B2 (ja) | ナノ凹凸構造用樹脂組成物、およびそれを用いた自動車メータカバー用透明部材とカーナビゲーション用透明部材 | |
JP2014005341A (ja) | 微細凹凸構造を表面に有する物品 | |
JP6686284B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む物品 | |
JP2013029828A (ja) | 光透過性成形体及びそれを用いた反射防止物品 | |
JP5876977B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体とその製造方法、及びナノ凹凸構造体を備えた撥水性物品 | |
JP5879939B2 (ja) | 微細凹凸構造体、ディスプレイ及び微細凹凸構造体の製造方法 | |
JP2012224709A (ja) | 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体と撥水性物品 | |
JP2016210150A (ja) | 積層体およびその製造方法と、物品 | |
JP2014076557A (ja) | 微細凹凸構造を有する物品の製造方法および微細凹凸構造を有するレプリカモールドの製造方法 | |
JP2014076556A (ja) | 微細凹凸構造を有する物品およびその製造方法 | |
WO2016158979A1 (ja) | 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び物品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140626 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150525 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150602 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150728 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160105 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160118 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5879939 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |