JP2013097044A - 2次元光偏向器及びこれを用いた画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2次元光偏向器1は、照射された光を反射するミラー部2と、ミラー部2を囲うように間隙3を有して配置されたジンバル部4と、ジンバル部4を囲うように間隙5を有して配置されたフレーム部6と、ミラー部2とジンバル部4とを接続する一対の第1トーションバー部7a,7bと、ジンバル部4とフレーム部6とを接続する一対の第2トーションバー部8a〜8d,9a,9bと、を備え、一対の第2トーションバー部8a〜8d,9a,9bは、所定の材料から構成された第3トーションバー部8a〜8dと、所定の材料よりも展延性を有する展延性材料から構成された第4トーションバー部9a,9bと、をそれぞれ有する。
【選択図】図1
Description
MEMS技術により作製された光偏向器及びこれを用いた画像表示装置の一例が特許文献1に開示されている。
また、上記の画像表示装置は、一般的にブラウン管における電子ビームの走査と同様にラスタースキャン方式により画像を表示するものであり、水平方向の走査周波数は数kHz〜数十kHzの範囲であり、垂直方向の走査周波数は数十Hzの範囲である。
一方、数十Hzの走査周波数でレーザ光を垂直方向に走査する際、垂直方向の走査はリフレッシュレートで決定され、例えば60Hz程度の走査周波数となる。さらに画像信号と同期させるためには、垂直方向の走査周波数を電気的に制御する必要があるので、共振周波数を数百Hz程度に設定して直流駆動に近い状態で駆動させることになる。
1)照射された光を反射するミラー部(2)と、前記ミラー部(2)を囲うように間隙(3)を有して配置されたジンバル部(4)と、前記ジンバル部(4)を囲うように間隙(5)を有して配置されたフレーム部(6)と、前記ミラー部(2)と前記ジンバル部(4)とを接続する一対の第1トーションバー部(7a,7b)と、前記ジンバル部(4)と前記フレーム部(6)とを接続する一対の第2トーションバー部(8a〜8d,9a,9b)と、を備え、前記一対の第2トーションバー部(8a〜8d,9a,9b)は、所定の材料から構成された第3トーションバー部(8a〜8d)と、前記所定の材料よりも展延性を有する展延性材料から構成された第4トーションバー部(9a,9b)と、をそれぞれ有して構成されていることを特徴とする2次元光偏向器(1)。
2)前記一対の第1トーションバー部(7a,7b)は、一方の第1トーションバー部と(7a)他方の第1トーションバー部(7b)とが、前記ミラー部(2)の重心(Oa)を通る第1の回転軸(Ya)方向に、前記重心(Oa)に対して互いに点対称に配置されており、前記一対の第2トーションバー部(8a〜8d,9a,9b)は、一方の第2トーションバー部(8a,8b,9a)と他方の第2トーションバー部(8c,8d,9b)とが、前記ミラー部(2)の重心(Oa)を通り、かつ、前記第1の回転軸(Ya)に直交する第2の回転軸(Xa)方向に、前記重心(Oa)に対して互いに点対称に配置されており、前記ミラー部(2)を前記第1の回転軸(Ya)回り及び前記第2の回転軸(Xa)回りにそれぞれ回転駆動させる駆動手段をさらに備えていることを特徴とする1)記載の2次元光偏向器(1)。
3)前記一対の第2トーションバー部(9a,9b,31a〜31d)は、前記第3トーションバー部(31a〜31d)がそれぞれミアンダ構造を有し、前記第4トーションバー部(9a,9b)がそれぞれ直線形状の構造を有することを特徴とする1)又は2)に記載の2次元光偏向器(30)。
4)2)又は3)に記載の2次元光偏向器と、前記2次元光偏向器のミラー部に向けて前記光(L)を射出する光源(41)と、前記駆動手段を制御する駆動制御手段(42)と、を備え、前記光(L)は、前記ミラー部(2)で反射されて、前記第1の回転軸(Y)を回転軸として水平方向に偏向されると共に、前記第2の回転軸(X)を回転軸として垂直方向に偏向されることを特徴とする画像表示装置(40)。
5)前記光源(41)は、入力される輝度変調信号に応じて射出する光(L)の光量を制御し、前記駆動制御手段(42)は、前記輝度変調信号に同期して前記駆動手段を制御することを特徴とする4)記載の画像表示装置(40)。
図1に示すように、2次元光偏向器1は、照射されたレーザ光を反射するミラー部2と、ミラー部2を囲うように間隙3を有して配置されたジンバル部4と、ジンバル部4を囲うように間隙5を有して配置されたフレーム部6と、ミラー部2とジンバル部4とを接続する一対のトーションバー部7a,7bと、ジンバル部4とフレーム部6とを接続する一対のトーションバー部8a,8b,9a、8c,8d,9bと、を備えている。
トーションバー部9aとトーションバー部9bとは、回転軸Xa方向に、重心Oaに対して点対称に配置されている。
ジンバル部4及びフレーム部6は、たわみ変形等を防止するために、ミラー部2及びトーションバー部7a,7b,8a〜8dよりも厚く形成されている。
それに対して、トーションバー部9a,9bは、展延性材料で構成されており、かつ、ジンバル部4が動作する範囲内でのひずみ変形が、その材料の弾性領域内となるように寸法や材料を設計している。トーションバー部9a,9bを構成する展延性材料として、例えばポリイミド等の高分子材料が挙げられる。このような展延性材料は脆性破壊を起こしにくい。また、ポリイミド等の高分子材料は、一般的にシリコンと比較して弾性率が極めて小さいので、トーションバー部9a,9bをより太く、及び/またはより短く設計することが可能になる。
同様に、トーションバー部9bは、例えばトーションバー部9bとその一端側に形成されたパッド部10cとその他端側に形成されたパッド部10dとが一体になった構造体を作製し、パッド部10cをジンバル部4に接着等によって固定し、パッド部10dをフレーム部6に接着等によって固定することにより、間隙5の回転軸(垂直走査軸)Xa上に配置される。
上述の駆動力は、例えばミラー部2における、レーザ光を反射する反射面とは反対側の裏面に形成された電磁コイルに電流を供給し、外部磁界によるローレンツ力を用いることによって発生させることができる。
上述の駆動力を発生させる他の方法として、ジンバル部4に電磁力、静電力、又は圧電力等の偶力の振動を与え、その振動をトーションバー部7a,7bを介してミラー部2に伝達させる方法がある。
そして、ミラー部2が水平方向に駆動している状態でミラー部2にレーザ光を照射することによって、レーザ光を水平方向に大きな偏向角を有して走査することができる。
上述の駆動力は、ジンバル部4に電磁力、静電力、又は圧電力等の偶力を印加することによって発生させることができる。
そして、ミラー部2が垂直方向に駆動している状態でミラー部2にレーザ光を照射することによって、レーザ光を垂直方向に走査することができる。
垂直方向の走査は非共振駆動させることが望ましい。そのため、ジンバル部4に大きな駆動力を印加可能な手段を用いる。また、駆動力が大きくても変位が小さい駆動では大きな偏向角が得られないので、圧電力を用いた駆動よりも電磁力を用いた駆動の方が好ましい。このような電磁力を用いた駆動は、例えばジンバル部4に形成された電磁コイルに電流を供給し、外部磁界によるローレンツ力を用いることによって行うことができる。
そして、ミラー部2が水平方向に駆動している状態でミラー部2にレーザ光を照射することによって、レーザ光を水平方向に大きな偏向角を有して走査することができる。
垂直方向の共振周波数を数百Hz程度に設定する場合、例えばシリコンからなるトーションバー部8a〜8dのみの構成で設計すると、トーションバー部8a〜8dの形状は細く、及び/または長くなるため、シリコンの脆性により、トーションバー部8a〜8dに瞬間的に大きな力が加わると、容易に破損してしまう。通常の動作のときには、シリコンのせん断応力よりも低い範囲で動作させるように設計しているので破損しにくい。しかしながら、例えば製造過程のハンドリング等で瞬間的に大きな力が加わってしまった場合には破損してしまうことがあり、製造歩留まり等を悪化させる要因となる。
例えばポリイミド等の高分子材料からなる展延性材料は脆性破壊を起こしにくいので、トーションバー部9a,9bを、例えばシリコンからなるトーションバー部8a〜8dと併用して用いることにより、垂直方向の駆動共振周波数の設計の自由度が向上する。詳しくは、例えばシリコンからなるトーションバー部8a〜8dの幅及び長さ、並びに、例えばポリイミド等の脆性破壊を起こしにくい展延性材料からなるトーションバー部9a,9bの幅及び長さをそれぞれ設定することにより、垂直方向の駆動共振周波数を設定することができる。
その結果、Xaを回転軸として垂直方向に駆動する場合のトーションバー部8a〜8dの機械的強度をトーションバー部9a,9bによって補強することができるので、トーションバー部8a〜8dに瞬間的に加わる大きな力に対しての破損を抑制することができると共に、たわみ防止についての効果を有する。
第2の実施の形態における2次元光偏向器20は、第1の実施の形態における2次元光偏向器1と比較して、ジンバル部4とフレーム部6とを接続する低弾性率のトーションバー部の構成及びその固定方法が相違し、それ以外は第1の実施の形態と同じなので、説明を分かりやすくするために第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号を付して説明する。
トーションバー部22aとトーションバー部22bとは、回転軸Xb方向に、重心Oaに対して点対称に配置されている。
ジンバル部4及びフレーム部6は、たわみ変形等を防止するために、ミラー部2及びトーションバー部7a,7b,8a〜8dよりも厚く形成されている。
それに対して、トーションバー部22a,22bは、展延性材料で構成されており、かつ、ジンバル部4が動作する範囲内でのひずみ変形が、その材料の弾性領域内となるように寸法や材料を設計している。トーションバー部22a,22bを構成する展延性材料として、例えばサスペンションワイヤー等の金属材料が挙げられる。このような展延性材料は脆性破壊を起こしにくい。なお、サスペンションワイヤー等の金属材料は、一般的にシリコンと比較して弾性率にそれほど差がないので、ばね定数としての寸法はポリイミドのような低い弾性率のトーションバー部よりも細く、及び/または長く設計する必要があるものの、延性を有しているので、瞬間的に大きな力が加わっても破損しにくい。
また、金属材料は塑性変形を起こすが、ジンバル部4の動作の範囲がそのときのトーションバー部22a,22bに加わるねじれ応力の最大値が弾性変形の範囲内になるように、トーションバー部22a,22bの寸法を設計すれば、通常の使用における塑性変形や金属疲労変形を起こしにくく、かつ、瞬間的に大きな力が加わったときに脆性破壊を起こしにくいので、第1の実施の形態と同様、シリコンで形成されたトーションバー部7a,7b,8a〜8dの破損をトーションバー部22a,22bで抑制することができる。
フレーム部6には、トーションバー部22a,22bの他端側を位置決めするための溝部21b,21dが形成されている。
また、トーションバー部22aは、その他端側が溝部21bに収容されて位置決めされ、溝部21bを埋める接着剤23によってフレーム部6に固定されている。
また、トーションバー部22bは、その他端側が溝部21dに収容されて位置決めされ、溝部21dを埋める接着剤23によってフレーム部6に固定されている。
第3の実施の形態における2次元光偏向器30は、第1の実施の形態における2次元光偏向器1におけるトーションバー部8a〜8dを折り返しのミアンダ構造にしたものであり、それ以外は第1の実施の形態と同じなので、説明を分かりやすくするために第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号を付して説明する。
トーションバー部9aとトーションバー部9bとは、回転軸Xc方向に、重心Oaに対して点対称に配置されている。
ジンバル部4及びフレーム部6は、たわみ変形等を防止するために、ミラー部2及びトーションバー部7a,7b,31a〜31dよりも厚く形成されている。
トーションバー部31a〜31dを、間隙5の空きスペースを有効利用した、折り返しのミアンダ構造とすることにより、2次元光偏向器30の外形サイズを大きくすることなく、トーションバー部31a〜31dの長さを、前述したトーションバー部8a〜8dの長さよりも長くすることができるので、その分、トーションバー部31a〜31dを太くすることができたり、設計の自由度が向上する。
そのため、水平方向の駆動共振周波数が数十kHzと高くても、水平方向駆動用のトーションバー部7a,7bと一体に形成されている垂直方向駆動用のトーションバー部31a〜31dの共振周波数を数百Hzまで下げることが容易となる。
そのため、本発明に係る実施の形態では、ミラー部(2)をジンバル部(4)と共に安定した回転軸(Xc)で回転駆動させることができる。
なお、図4では、第1の実施の形態で説明した2次元光偏向器1を示しているが、この2次元光偏向器1に替えて、第2の実施の形態で説明した2次元光偏向器20または第3の実施の形態で説明した2次元光偏向器30を用いてもよいことは言うまでもない。
なお、図4では、ラスタースキャン方式により画像が表示される様子を模式的に示している。
例えば、赤(R)色レーザ光、緑(G)色レーザ光、及び青(B)色レーザ光をそれぞれ射出する3つの光源と、各光源にそれぞれ対応する3つの2次元光偏向器と、を備えた構成とすることにより、3つの2次元光偏向器でそれぞれ走査された各色光をスクリーン上で重畳させることによって、フルカラー画像が得られる。
また、赤(R)色レーザ光、緑(G)色レーザ光、及び青(B)色レーザ光をそれぞれ射出する3つの光源と、各光源から射出されるレーザ光の射出タイミングをずらして共通の2次元光偏向器(ミラー部)で各色光を走査し、スクリーン上で重畳させることによって、フルカラー画像を得るようにしてもよい。
また、共通の光源から、赤(R)色レーザ光、緑(G)色レーザ光、及び青(B)色レーザ光を射出タイミングをずらして射出し、共通の2次元光偏向器(ミラー部)で各色光を走査し、スクリーン上で重畳させることによって、フルカラー画像を得るようにしてもよい。
Claims (5)
- 照射された光を反射するミラー部と、
前記ミラー部を囲うように間隙を有して配置されたジンバル部と、
前記ジンバル部を囲うように間隙を有して配置されたフレーム部と、
前記ミラー部と前記ジンバル部とを接続する一対の第1トーションバー部と、
前記ジンバル部と前記フレーム部とを接続する一対の第2トーションバー部と、
を備え、
前記一対の第2トーションバー部は、
所定の材料から構成された第3トーションバー部と、
前記所定の材料よりも展延性を有する展延性材料から構成された第4トーションバー部と、
をそれぞれ有して構成されていることを特徴とする2次元光偏向器。 - 前記一対の第1トーションバー部は、一方の第1トーションバー部と他方の第1トーションバー部とが、前記ミラー部の重心を通る第1の回転軸方向に、前記重心に対して互いに点対称に配置されており、
前記一対の第2トーションバー部は、一方の第2トーションバー部と他方の第2トーションバー部とが、前記ミラー部の重心を通り、かつ、前記第1の回転軸に直交する第2の回転軸方向に、前記重心に対して互いに点対称に配置されており、
前記ミラー部を前記第1の回転軸回り及び前記第2の回転軸回りにそれぞれ回転駆動させる駆動手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の2次元光偏向器。 - 前記一対の第2トーションバー部は、
前記第3トーションバー部がそれぞれミアンダ構造を有し、
前記第4トーションバー部がそれぞれ直線形状の構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の2次元光偏向器。 - 請求項2又は3に記載の2次元光偏向器と、
前記2次元光偏向器のミラー部に向けて前記光を射出する光源と、
前記駆動手段を制御する駆動制御手段と、
を備え、
前記光は、前記ミラー部で反射されて、前記第1の回転軸を回転軸として水平方向に偏向されると共に、前記第2の回転軸を回転軸として垂直方向に偏向されることを特徴とする画像表示装置。 - 前記光源は、入力される輝度変調信号に応じて射出する光の光量を制御し、
前記駆動制御手段は、前記輝度変調信号に同期して前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項4記載の画像表示装置。
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