JP2013096651A - 内面溝付伝熱管及び内面溝付伝熱管を備えた熱交換器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】細径化及び伝熱性能の向上を図った内面溝付伝熱管及び内面溝付伝熱管を備えた熱交換器を提供する。
【解決手段】伝熱管11の内面にフィン12を有し、積層された複数の板状フィン31に貫通形成された貫通孔32に挿入されると共に拡管されて取り付けられる熱交換器用の内面溝付伝熱管10において、伝熱管11の外径Doが2.8mm以上5.0mm以下、フィン12のねじれ角βが0度以上8度以下、拡管前のフィン高さHf1が0.16mm以上0.25mm以下であり、且つ、フィン12の条数Nが40以下であるものである。
【選択図】図1
【解決手段】伝熱管11の内面にフィン12を有し、積層された複数の板状フィン31に貫通形成された貫通孔32に挿入されると共に拡管されて取り付けられる熱交換器用の内面溝付伝熱管10において、伝熱管11の外径Doが2.8mm以上5.0mm以下、フィン12のねじれ角βが0度以上8度以下、拡管前のフィン高さHf1が0.16mm以上0.25mm以下であり、且つ、フィン12の条数Nが40以下であるものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、内面溝付伝熱管及び内面溝付伝熱管を備えた熱交換器及びその製造方法に関するものである。
従来、熱交換器用の伝熱管には、伝熱管の内面に螺旋状の溝を形成して熱伝達効率を向上させた内面溝付伝熱管が使用されてきた。更に熱伝達効率を向上させるために、溝のねじれ角を大きくする手段が採用されている。
しかし、高ねじれ角を採用した場合、生産速度が低下してしまう。また、伝熱管の軽量化や伝熱性能(凝縮性能及び蒸発性能)の向上が求められている。
そこで、本発明の目的は、前述のような課題を解決するためになされたものであり、細径化及び伝熱性能の向上を図った内面溝付伝熱管及び内面溝付伝熱管を備えた熱交換器及びその製造方法を提供することにある。
この目的を達成するために創案された本発明は、伝熱管の内面にフィンを有し、積層された複数の板状フィンに貫通形成された貫通孔に挿入されると共に拡管されて取り付けられる熱交換器用の内面溝付伝熱管において、前記伝熱管の外径が2.8mm以上5.0mm以下、前記フィンのねじれ角が0度以上8度以下、拡管前のフィン高さが0.16mm以上0.25mm以下であり、且つ、前記フィンの条数が40以下である内面溝付伝熱管である。
前記フィンの先端フィン幅と最大フィン幅の比が1.23以上であると良い。
また、本発明は、積層された複数の板状フィンと、伝熱管の内面にフィンを有し、前記複数の板状フィンに貫通形成された貫通孔に挿入されると共に拡管されて取り付けられた内面溝付伝熱管とを備える熱交換器において、拡管後の前記内面溝付伝熱管は、前記フィンの少なくとも60%以上が先端潰れを有する熱交換器である。
前記内面溝付伝熱管内には、5質量%以下の冷凍機油を含有する冷媒が流されると良い。
前記内面溝付伝熱管は、平面視で六角形状に配置されると良い。
前記六角形の中心に、凸部若しくは切り起こし部が形成されると良い。
また、本発明は、伝熱管の内面にフィンを有する内面溝付伝熱管を、積層された複数の板状フィンに貫通形成された貫通孔に挿入し、その後拡管する熱交換器の製造方法において、前記内面溝付伝熱管を拡管するとき、拡管前のフィン高さに対して比が0.85以下の際に想定されるマンドレル幅で拡管することを特徴とする熱交換器の製造方法である。
本発明によれば、細径化及び伝熱性能の向上を図った内面溝付伝熱管及び内面溝付伝熱管を備えた熱交換器及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の好適な実施の形態に係る内面溝付伝熱管を示す横断面図であり、図2は、その縦断面図である。
図1,2に示すように、本実施の形態に係る内面溝付伝熱管10は、伝熱管11の内面にフィン12を有し、積層された(所定の間隔で並べて配置された)複数の板状フィンに貫通形成された貫通孔に挿入されると共に拡管されて取り付けられる熱交換器用の内面溝付伝熱管であり、伝熱管11の外径Doが2.8mm以上5.0mm以下、フィン12のねじれ角βが0度以上8度以下、拡管前のフィン高さHf1が0.16mm以上0.25mm以下であり、且つ、フィン12の条数Nが40以下であることを特徴とする。
伝熱管11は、外径Do、最小内径Diの円形管であり、銅、銅合金、アルミニウム、若しくは、アルミニウム合金で形成される。伝熱管11の内面には溝13が形成されており、この溝13によりフィン12が形成される。
ねじれ角βとは、伝熱管11の内面における管軸線Oに平行な直線と溝13のなす角のことである。ねじれ角βは、好ましくは0度以上5度以下であり、より好ましくは0度以上3度以下である。溝13は、ねじれ角βが0度以外のときは螺旋溝となる。
フィン高さHf1とは、拡管前の溝13からのフィン12の高さのことであり、条数Nとは、内面溝付伝熱管10の横断面から観察したフィン12の数のことである。
更に、フィン12の最も細い箇所の幅と広い箇所の幅、即ち、先端フィン幅と最大フィン幅の比が1.23以上であることが望ましい。
以下、前述の数値限定の根拠について述べる。
(1)外径Do:2.8mm以上5.0mm以下
軽量化、サイズダウン、騒音などの観点から、熱交換器に今後求められてくる外径の要求に基づくものである。
軽量化、サイズダウン、騒音などの観点から、熱交換器に今後求められてくる外径の要求に基づくものである。
本発明では、この範囲の外径Doを用いつつ、伝熱性能、加工工数などを良好にするために、以下の数値限定とした。
(2)ねじれ角β:0度以上8度以下
前述した通り、従来の技術ではねじれ角βを高くすることで伝熱性能を向上させてきた。
前述した通り、従来の技術ではねじれ角βを高くすることで伝熱性能を向上させてきた。
しかし、本発明者らは、細径の伝熱管を用いた場合、ねじれ角βを高くすることは、必ずしも伝熱性能を向上させることにはならないことを知得した。
このため、ねじれ角βを前述の範囲に抑制する構造とした。ねじれ角βを抑えることは、圧力損失を抑えることにも寄与する。圧力損失は、小さい方が好ましい。直接的な熱伝達率が良くても、正味の性能は低下してしまうからである。
(3)拡管前のフィン高さHf1:0.16mm以上0.25mm以下
伝熱管11において、フィン高さHf1が高いほど、流体との接触面積が大きくなるため、熱伝達率が高くなる。
伝熱管11において、フィン高さHf1が高いほど、流体との接触面積が大きくなるため、熱伝達率が高くなる。
しかしながら、フィン高さHf1が高すぎると、熱伝達率の増加量よりも、圧力損失の増加量の方が大きくなってしまうため、結果として、正味の性能は低下してしまう。
そこで、フィン高さHf1は通常、熱伝達率の値と許容される圧力損失の値から決定される。即ち、伝熱管11が細径であれば、管径に対するフィン高さHf1の比が大きくなってしまい、圧力損失が増加するために、通常、フィン高さHf1を抑制すると考えられる。
詳細は後述するが、本実施の形態においては、拡管処理にてフィン12の先端を潰すことで、熱交換器として使用される際に、伝熱性能を最も高くするものとした。なお、拡管前のフィン高さをHf1とし、拡管後のフィン高さをHf2とする。
(4)フィン12の条数N:40以下
前述したフィン高さHf1とした場合には、フィン潰れが生じない場合と比較して、若干圧力損失が増加する。
前述したフィン高さHf1とした場合には、フィン潰れが生じない場合と比較して、若干圧力損失が増加する。
よって、条数Nを従来のものより少なくすることで、圧力損失の増加を抑制することができる。
(5)フィン幅比(先端フィン幅と最大フィン幅の比):1.23以上
先端フィン幅に対する最大フィン幅の比は、1.23以上とすることが望ましい。
先端フィン幅に対する最大フィン幅の比は、1.23以上とすることが望ましい。
このような構成の内面溝付伝熱管10によれば、細径化及び伝熱性能の向上を図ることができる。
次に、内面溝付伝熱管10を用いた熱交換器とその製造方法を説明する。
図3に示すように、本実施の形態に係る熱交換器30は、積層された複数の板状フィン31と、複数の板状フィン31に貫通形成された貫通孔32に挿入されると共に拡管されて取り付けられた内面溝付伝熱管10とを備えるものであり、拡管後の内面溝付伝熱管10は、フィン12の少なくとも60%以上が先端潰れを有することを特徴とする。
即ち、本実施の形態に係る熱交換器30は、前述した内面溝付伝熱管10を有するものであり、内面溝付伝熱管10を複数の板状フィン31に貫通させる形で、若しくは、複数の板状フィン31の貫通孔32中に内面溝付伝熱管10を挿入する形で形成されるものである。
図4に示すように、板状フィン31は、板材であって、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などで形成される。板状フィン31には、内面溝付伝熱管10を板状フィン31に直交する方向に貫通させ、平面視で六角形状に配置するための貫通孔32が複数形成される。この貫通孔32の内径は、内面溝付伝熱管10の外径Doよりも大きく形成される。
また、貫通孔32の中心を結んで形成される仮想六角形41の中心に、凸部42若しくは切り起こし部43が形成される。この凸部42は流体通過用の孔となり、切り起こし部43は小フィンとなる。
図5に示すように、板状フィン31としては、板状フィン端部品51と板状フィン中間部品52を組み合わせてなるものを用いると良い。
この熱交換器30を製造する際には、図6に示すように、先ず、複数の内面溝付伝熱管10を所定の曲げピッチで、ヘアピン状に曲げ加工する。その後、曲げ加工した内面溝付伝熱管10を、所定の間隔をおいて、板状フィン31に挿入する。
次いで、この内面溝付伝熱管10の内部に、拡管マンドレル(拡管用ボール)61をロッド62を用いて押し込む、若しくは拡管マンドレル61を液圧により押し込む。これにより、内面溝付伝熱管10を拡管し、各板状フィン31に内面溝付伝熱管10が固定される。
このとき、拡管前のフィン高さHf1に対して比が0.85以下の際に想定されるマンドレル幅Wmで拡管すると良い。即ち、通常、最小内径Di、拡管前のフィン高さHf1であれば、Wm=Di−2×Hf1+(拡管距離)の式をもとに、公差など、実質的な調整を加えて、マンドレル幅Wmを規定するが、本実施の形態においては、Di−2×Hf1×0.85+(拡管距離)=Wmとなるように、マンドレル幅Wmを設定する。
これにより、フィン先端潰れを生成することができる。なお、許容される圧力損失に応じてフィン潰れ量を調整することが望ましく、フィン12の少なくとも60%以上が先端潰れを有すると良い。
次に、熱交換器30の適用例を説明する。ここでは、熱交換器30を空気調和機に適用した例を説明する。
図7に示すように、熱交換器30を適用する空気調和機70は、冷媒を蒸発させ、その際の気化熱により空気又は水などを冷却する蒸発器71と、その蒸発器71から排出された冷媒を圧縮し、高温にして後段に供給する圧縮機72と、圧縮機72により供給された冷媒の熱により空気又は水などを加熱する凝縮器73と、凝縮器73から排出された冷媒を膨張させ、低温にして蒸発器71に供給する膨張弁74とが順次配管75によって接続されてなり、冷凍サイクルを形成する。
この空気調和機70は、前述した内面溝付伝熱管10が、蒸発器71及び/又は凝縮器73の熱交換部分に組み込まれたものであり、その内部には5質量%以下の冷凍機油を含有する冷媒が流される。
以上説明した本発明によれば、細径化及び伝熱性能の向上を図った内面溝付伝熱管及び内面溝付伝熱管を備えた熱交換器及びその製造方法を提供することができる。
なお、本実施の形態においては特に言及していないが、内面溝付伝熱管10の挿入、拡管後にロウ付け、その他の手段にて接着し、信頼性を向上させても良い。
前述した最適条件を求めるべく、本発明者らは、以下に述べる実験を行った。
先ず、直径φ(mm)とねじれ角β(度)を変化させ、伝熱(蒸発)性能の変化を調べた。このとき、内面溝付伝熱管内に5%未満の潤滑油を含み、直径φ及びねじれ角β以外を同条件として実験した。表1に伝熱性能の関係を平滑管比で示す。
直径φ=3.5mmのとき、ねじれ角βが3度以下であっても良好な値を示している。
比較例群A及びBに関しては、ねじれ角βが小さい場合、平滑管より性能が悪くなっている。これは、潤滑油がフィンを形成する溝を塞ぐために、平滑管の伝熱性能よりも悪化していることを示している。当然であるが、平滑管よりも性能が落ちるようであれば、コスト、時間の面から加工する必要はない。
更に、拡管後のフィン高さHf2と条数Nについて検討した。
ここでは、質量流速が平均267kg/(mm2・s)(±30kg/(mm2・s)の変動を許容)の条件で、外径φ=3mmの場合に、ねじれ角βを5度とした場合の性能へ寄与する各要素について、計測・算出した。なお、内径は略2.2mm(公差±0.3mm以内)である。また、拡管後のフィン高さHf2は、直線部分の断面内平均値をとったものである。
拡管後のフィン高さHf2が0.14mmの場合、条数Nが30個(実施例3)、40個(実施例4)のときは、熱伝達率が良好な値を保っている。しかし、条数Nが50個(比較例3)のときは、圧力損失が実施例3,4と同様に増加する一方で、熱伝達率の減少幅が大きい。なお、拡管後のフィン高さHf2が0.16mmの場合も、略同様の結果が得られた。なお、表2では圧力損失の指標として、内径d、管長さLを加味した管摩擦係数を記載した。
また、これら実施例の内面溝付伝熱管について、その断面を拡大観察し、先端がフィンの中心から0.02mm以上ずれていたフィンの数を数えた結果を表3に示す。
これらを踏まえて、フィン潰れについて検討したところ、条数Nの60%以上が0.02mm以上潰れていれば、良好な性能を示すことが分かった。フィン潰れが十分でない場合は、圧力損失は悪化しないが、熱伝達率の向上が望めないことが分かった。
作用については、フィンの根元を厚くしているのにもかかわらず(最小フィン幅に対する最大フィン幅の比が1.23以上にもかかわらず)、フィンが潰れるほど拡管していると言うことは、管外の熱伝達材料と管の密着性が向上し、熱抵抗が下がっているため、熱伝達率が向上していると考えられる。管外の熱伝達材料については前述した板状フィンなどが挙げられる。
以上より、本発明によれば、細径化及び伝熱性能の向上を図った内面溝付伝熱管が得られることが分かる。
10 内面溝付伝熱管
11 伝熱管
12 フィン
13 溝
Di 最小内径
Do 外径
Hf1 拡管前のフィン高さ
O 管軸線
β ねじれ角
11 伝熱管
12 フィン
13 溝
Di 最小内径
Do 外径
Hf1 拡管前のフィン高さ
O 管軸線
β ねじれ角
Claims (7)
- 伝熱管の内面にフィンを有し、積層された複数の板状フィンに貫通形成された貫通孔に挿入されると共に拡管されて取り付けられる熱交換器用の内面溝付伝熱管において、
前記伝熱管の外径が2.8mm以上5.0mm以下、前記フィンのねじれ角が0度以上8度以下、拡管前のフィン高さが0.16mm以上0.25mm以下であり、且つ、前記フィンの条数が40以下であることを特徴とする内面溝付伝熱管。 - 前記フィンの先端フィン幅と最大フィン幅の比が1.23以上である請求項1に記載の内面溝付伝熱管。
- 積層された複数の板状フィンと、伝熱管の内面にフィンを有し、前記複数の板状フィンに貫通形成された貫通孔に挿入されると共に拡管されて取り付けられた内面溝付伝熱管とを備える熱交換器において、
拡管後の前記内面溝付伝熱管は、前記フィンの少なくとも60%以上が先端潰れを有することを特徴とする熱交換器。 - 前記内面溝付伝熱管内には、5質量%以下の冷凍機油を含有する冷媒が流される請求項3に記載の熱交換器。
- 前記内面溝付伝熱管は、平面視で六角形状に配置される請求項3又は4に記載の熱交換器。
- 前記六角形の中心に、凸部若しくは切り起こし部が形成される請求項5に記載の熱交換器。
- 伝熱管の内面にフィンを有する内面溝付伝熱管を、積層された複数の板状フィンに貫通形成された貫通孔に挿入し、その後拡管する熱交換器の製造方法において、
前記内面溝付伝熱管を拡管するとき、拡管前のフィン高さに対して比が0.85以下の際に想定されるマンドレル幅で拡管することを特徴とする熱交換器の製造方法。
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JP2011240317A JP2013096651A (ja) | 2011-11-01 | 2011-11-01 | 内面溝付伝熱管及び内面溝付伝熱管を備えた熱交換器及びその製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015062951A (ja) * | 2013-08-29 | 2015-04-09 | 三菱アルミニウム株式会社 | アルミニウムまたはアルミニウム合金製伝熱管の拡管方法 |
CN104654884A (zh) * | 2014-12-30 | 2015-05-27 | 浙江耐乐铜业有限公司 | 一种内螺纹铜管结构 |
CN104654883A (zh) * | 2014-12-30 | 2015-05-27 | 浙江耐乐铜业有限公司 | 一种组合齿型内螺纹铜管 |
-
2011
- 2011-11-01 JP JP2011240317A patent/JP2013096651A/ja active Pending
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