JP2013094847A - 異形断面条の仕上げ圧延方法及び仕上げ圧延装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】仕上げ圧延時に厚板部と薄板部との段差を接続する斜面の押し込み不良を防止し、歩留まり悪化による製造コストの増加や納期遅延を防止することができる異形断面条の仕上げ圧延方法及び仕上げ圧延装置を提供する。
【解決手段】長手方向に沿って凸部33が形成された異形断面条32を溝が形成された圧延ロール42で仕上げ圧延する異形断面条32の仕上げ圧延方法において、曲げにより異形断面条32の凸部33の幅を調整して圧延ロール42の溝の幅に対応させた後、圧延ロール42で仕上げ圧延するものである。
【選択図】図4
【解決手段】長手方向に沿って凸部33が形成された異形断面条32を溝が形成された圧延ロール42で仕上げ圧延する異形断面条32の仕上げ圧延方法において、曲げにより異形断面条32の凸部33の幅を調整して圧延ロール42の溝の幅に対応させた後、圧延ロール42で仕上げ圧延するものである。
【選択図】図4
Description
本発明は、半導体パッケージのリードフレーム材として使用される異形断面条の仕上げ圧延方法及び仕上げ圧延装置に関するものである。
平板状条材を加工して、薄板部と厚板部とを有する段付きの異形断面を備えた異形断面条を製造する方法としては、一般に、所定の部分を研削除去する方法、溝ロールと平ロールとで交互に圧延する方法、V字状の突起部が設けられた平盤状V型ダイス(金型)を用いて圧延する方法があるが、近年、例えば特許文献1や特許文献2等によって、平盤状V型ダイスを用いた圧延による製造方法や装置が提案され、高い生産性で段付きの異形断面条を製造することが可能となってきている。
図1は、そのような平盤状V型ダイスを示す図である。
図1に示すように、平盤状V型ダイス10は、先端からV字状に末広がりの形状をなすV字状の突起部11a,11bと、そのほぼ中央部を貫通するように設けられた溝部12とが、基台13上に形成されている。
突起部11a,11bの両脇には、平坦な基面14a,14bが設けられており、この基面14a,14bと突起部11a,11bとは、斜面15a,15bで接続され、これらの面は連続的に形成されている。
この平盤状V型ダイス10は一般に、金型製作用の金属ブロック材を研削加工する工程等を含んだ製造方法によって作製される。
このような平盤状V型ダイス10の突起部11a,11bが形成された面(以下、圧延加工面という)に対して加工対象の平板状条材を配置し、その平板状条材上を移動する押圧用ロール等によって押圧力を印加することで、その平板状条材を平盤状V型ダイス10に押圧プレス加工する。図2に、平板状条材を平盤状V型ダイス10に押圧プレス加工する異形断面条製造装置の概略を示す。
図2に示すように、異形断面条製造装置20は、円周上に複数の押圧用ロールとしての遊星圧延ロール(圧延ロール)21を配置してなる遊星圧延機22の外周に、突起部11a,11bを有する圧延加工面を内側にして湾曲させた平盤状V型ダイス10を配置して構成され、その平盤状V型ダイス10と遊星圧延機22との間に平板状条材23をコイル24から供給(導入)することにより、平板状条材23を連続的に押圧プレス加工する。
そして、図3に示すように、その押圧プレス加工した後に平板状条材23を平盤状V型ダイス10の先端(V字先端)から末広がりの後方(図1〜3の白抜き矢印の方向)へと移動させる前方張力を加える。この動作を所定の長さごとに繰り返すことにより、平板状条材23のうち平盤状V型ダイス10の溝部12を通過した部分を厚板部30となし、平盤状V型ダイス10の突起部11a,11bを経由した部分(つまり、平板状条材23の左右両脇の部分)を薄板部31となして、長手方向全長に亘って略直線的に連続した異形断面形状を有する異形断面条32が形成される。
この異形断面形状の加工プロセスでは、加工対象の平板状条材23が平盤状V型ダイス10の突起部11a,11bに沿って、そのV字の先端から後方へと末広がりに圧延されていくことで、平板状条材23のうち突起部11a,11bを経由した部分は薄板部31となる。
他方、平盤状V型ダイス10の溝部12では、突起部11a,11bが設けられておらず、底面が平坦な基面14a,14bと連続した平面となっているのであるから、この溝部12を通った部分の平板状条材23は、突起部11a,11bよりも圧延量が少ないままに平盤状V型ダイス10を通過する。従って、この部分が厚板部30となる。
このようにして、厚板部30と薄板部31とが幅方向に混在し、長手方向に沿って凸部33が形成された段付きの異形断面条32が、高い生産性で製造される。
以上のような方法で製造された異形断面条32は、通常、焼鈍工程を経て加工硬化を取り除き、厚板部30と薄板部31とが均一な硬さになるように調質される。その後、形状安定化のため、圧延機で仕上げ圧延が行われ、製品幅にスリット、洗浄や歪除去の処理が行われたのち完成となり、リードフレーム材として使用される。
ここでの問題点は、仕上げ圧延を行う圧延機の圧延ロールに形成された溝(厚板成形溝)の幅に比べて、焼鈍後の凸部の幅が想定より大きく仕上がり、仕上げ圧延時、厚板部と薄板部との段差を接続する斜面の材料がメタルフローされず、圧延ロールで押し潰された結果、材料にめり込む不具合が生じ押し込み不良となることである。
そこで、本発明の目的は、仕上げ圧延時に厚板部と薄板部との段差を接続する斜面の押し込み不良を防止し、歩留まり悪化による製造コストの増加や納期遅延を防止することができる異形断面条の仕上げ圧延方法及び仕上げ圧延装置を提供することにある。
この目的を達成するために創案された本発明は、長手方向に沿って凸部が形成された異形断面条を溝が形成された圧延ロールで仕上げ圧延する異形断面条の仕上げ圧延方法において、曲げにより前記異形断面条の凸部の幅を調整して前記圧延ロールの溝の幅に対応させた後、前記圧延ロールで仕上げ圧延する異形断面条の仕上げ圧延方法である。
前記曲げを複数回行うと良い。
また本発明は、長手方向に沿って凸部が形成された異形断面条を溝が形成された圧延ロールで仕上げ圧延する異形断面条の仕上げ圧延装置において、前記圧延ロールを有する圧延機と、前記圧延機の前方に設けられ、曲げにより前記異形断面条の凸部の幅を調整する曲げユニットとを備え、前記曲げユニットにより前記異形断面条の凸部の幅を調整して前記圧延ロールの溝の幅に対応させた後、前記圧延ロールで仕上げ圧延する異形断面条の仕上げ圧延装置である。
前記曲げユニットは、前記異形断面条の進行方向に沿って配置された2本のロールと、前記2本のロール間に配置され、ロール位置の変更が可能な可変ロールとを有し、前記可変ロールのロール位置を調整することにより前記2本のロール間を進行する前記異形断面条に曲げを与えると良い。
前記凸部の高さをH(mm)としたとき、前記可変ロールのロール径をH(mm)×80(mm)以上H(mm)×100(mm)以下とすると良い。
本発明によれば、仕上げ圧延時に厚板部と薄板部との段差を接続する斜面の押し込み不良を防止し、歩留まり悪化による製造コストの増加や納期遅延を防止することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
先ず、異形断面条の製造方法に用いる平盤状V型ダイス及び異形断面条製造装置について説明する。
図1に示したように、平盤状V型ダイス10は、先端からV字状に末広がりの形状をなすV字状の突起部11a,11bと、そのほぼ中央部を貫通するように設けられた溝部12とを、基台13の平坦な上面に設けてなるものである。
突起部11a,11bの平面的な形状は、尖った先端から末広がりにV字状となっており、その中央部を貫通するように溝部12が設けられている。この突起部11a,11bのV字状の外形を構成している斜面15a,15bには、加工対象の平板状条材に対して円滑な圧延を行うことができるように、適度な傾斜角度が与えられている。
突起部11a,11bの両脇には、平坦な基面14a,14bが露出している。この基面14a,14bと溝部12の底面とは、同一の平面として連続している。換言すれば、基面14a,14bと溝部12の底面とは同じ高さとなっている。
この平盤状V型ダイス10は、例えば金型製作用の金属ブロック材を研削加工して作製される。
図2に示したように、異形断面条製造装置20は、円周上に複数の遊星圧延ロール21を配置してなる遊星圧延機22の外周に、突起部11a,11bを有する圧延加工面を内側にして湾曲させた平盤状V型ダイス10を配置して構成される。
図示していないが、平盤状V型ダイス10の圧延加工面と反対側の面は、装置ハウジングに取り付けられた寸法調整手段等で支持されている。
遊星圧延機22は、軸25を中心に回転自在に設けられたロータ26と、このロータ26と軸芯を同じくするが回転はしない車輪状レール27と、その円周上に等間隔に支持された複数(図2では、8個)の遊星圧延ロール21とからなる。
車輪状レール27の平盤状V型ダイス10と対向する部分は、その平盤状V型ダイス10とほぼ同じ長さの直線部28となっている。この直線部28は、遊星圧延機22の軸芯と対称の位置になるように設けられている。従って、平盤状V型ダイス10も遊星圧延機22の軸芯と対称の位置になるように設けられている。
遊星圧延機22の円周上に等間隔に支持された8個の遊星圧延ロール21は、その軸芯がロータ26の軸25に対してその放射方向に動き得るように弾性部材29により弾性的に支持されている。弾性部材29としては、例えば圧縮バネや引張バネ、流体圧シリンダ、ゴム等を用いる。
なお、遊星圧延ロール21の数は、8個に限定されるものではなく、所望に応じて適宜変更可能である。
次に、この異形断面条製造装置20を用いた異形断面条の製造方法を説明する。
平盤状V型ダイス10と遊星圧延機22との間に銅などからなる平板状条材23を供給(導入)することにより、平板状条材23を連続的に押圧プレス加工する。
そして、図3に示したように、その押圧プレス加工した後に平板状条材23を平盤状V型ダイス10の先端(V字先端)から末広がりの後方(図1〜3の白抜き矢印の方向)へと移動させる前方張力を加える。この動作を所定の長さごとに繰り返すことにより、平板状条材23のうち平盤状V型ダイス10の溝部12を通過した部分を厚板部30となし、平盤状V型ダイス10の突起部11a,11bを経由した部分(つまり、平板状条材23の左右両脇の部分)を薄板部31となして、長手方向全長に亘って略直線的に連続した異形断面形状を有する異形断面条32が形成される。
この異形断面形状の加工プロセスでは、加工対象の平板状条材23が平盤状V型ダイス10の突起部11a,11bに沿って、そのV字の先端から後方へと末広がりに圧延されていくことで、平板状条材23のうち突起部11a,11bを経由した部分は薄板部31となる。
他方、平盤状V型ダイス10の溝部12では、突起部11a,11bが設けられておらず、底面が平坦な基面14a,14bと連続した平面となっているのであるから、この溝部12を通った部分の平板状条材23は、突起部11a,11bよりも圧延量が少ないままに平盤状V型ダイス10を通過する。従って、この部分が厚板部30となる。
このようにして、厚板部30と薄板部31とが幅方向に混在し、長手方向に沿って凸部33が形成された段付きの異形断面条32が、高い生産性で製造される。
以上のような方法で製造された異形断面条32は、通常、焼鈍工程を経て加工硬化を取り除き、厚板部30と薄板部31とが均一な硬さになるように調質される。焼鈍工程は、バッチ式ではなく、高い生産性を有するように異形断面条32が連続的に炉内を通過することが可能な装置構造となっている。また、異形断面条32は、ライン通過中の弛みを防止するため、少なからず張力がかかった状態で保持されている。
そのため、炉内やラインを通過するとき、張力による引っ張りや、異形断面条32自体の自重などによる引っ張りなどの影響により、厚板部30の幅及び全幅の減少が生じる。予め焼鈍作業で生じる厚板部30の幅の減少量を想定しているが、装置の状態や作業条件のバラツキにより、厚板部30の幅が想定値より減少しない場合が生じる。
その場合、次工程の仕上げ圧延時、仕上げ圧延を行う圧延機の圧延ロールに形成された溝の幅に比べて、焼鈍後の凸部33の幅が想定より大きく仕上がり、厚板部30と薄板部31との段差を接続する斜面の材料がメタルフローされず、圧延ロールで押し潰された結果、材料にめり込む不具合が生じ押し込み不良となってしまう。押し込み不良となった場合には、異形断面条32からの再加工となり、歩留まり悪化による製造コストの増加や納期遅延が生じてしまう。
そこで、本発明においては、曲げにより異形断面条32の凸部33の幅を調整して圧延ロールの溝の幅に対応させた後、圧延ロールで仕上げ圧延するようにした。
具体的には、図4に示すように、異形断面条32が巻き付けられると共にこれを送り出すアンコイラ41と、溝が形成された圧延ロール42を有する圧延機(4段圧延機)43と、圧延機43の前方に設けられ、曲げにより異形断面条32の凸部33の幅を調整する曲げユニット44と、仕上げ圧延後の異形断面条32を巻き取るリコイラ45とを備えた仕上げ圧延装置40を用い、曲げにより異形断面条32の凸部33の幅を調整して圧延ロール42の溝の幅に対応させた後、圧延ロール42で仕上げ圧延する。
曲げユニット44は、図5に示すように、異形断面条32の進行方向に沿って配置された2本のロール46a,46bと、2本のロール46a,46b間に配置され、ロール位置の変更が可能な可変ロール47とを有し、可変ロール47のロール位置を調整することにより2本のロール46a,46b間を進行する異形断面条32に所定の曲げ角度θで曲げを与えるものである。
曲げにより異形断面条32の凸部33の幅を調整することができるのは、異形断面条32の凸部33が外周側になるようにして曲げを与えることで、凸部33の表面側が延伸され、その幅を減少させることができるからである(図6の破線参照)。
可変ロール47は、モータ48によって駆動するスクリュジャッキ49によってそのロール位置が調整される。ここで凸部33の高さをH(mm)としたとき、可変ロール47のロール径をH(mm)×80(mm)以上H(mm)×100(mm)以下とすることが好ましい。これにより、凸部33の顕著な幅変化が起こらず、凸部33の幅の変化量が調整しやすくなる。
なお、曲げユニット44は、テンションレベラのようにロールを多数有し、複数回曲げを行う構造であっても良い。
以上説明した異形断面条の仕上げ圧延方法及び仕上げ圧延装置によれば、曲げにより異形断面条の凸部の幅を調整して圧延ロールの溝の幅に対応させた後、圧延ロールで仕上げ圧延するため、仕上げ圧延時に厚板部と薄板部との段差を接続する斜面の押し込み不良を防止し、歩留まり悪化による製造コストの増加や納期遅延を防止することができる。
図2で説明した異形断面条製造装置20を用い、段付きの異形断面条32(材質:C1020、厚板部の厚さ:2.5mm、薄板部の厚さ:0.5mm)を製造した。その後、炉内温度800℃、ライン速度15m/min、張力9N/mm2で焼鈍による調質を行った。焼鈍後、凸部33の幅を測定すると、想定幅に対して0.06mm大きかった。その状態で仕上げ圧延を行ったところ、厚板部30と薄板部31との段差を接続する斜面の押し込み不良が発生した。
次に、図4で説明した仕上げ圧延装置40(ロール46a,46bのロール径:φ180mm、可変ロール47のロール径:φ180mm)を用い、可変ロール47のロール位置を変えて曲げ角度θが30°、45°、60°のときのサンプルを作製し、これらサンプルの凸部33の幅の変化量を比較した。その結果を図7に示す。
図7から分かるように、曲げにより異形断面条32の凸部33の幅を調整することができた。また、厚板部30と薄板部31との段差を接続する斜面の押し込み不良は発生せず、特に曲げ角度θが45°の場合には凸部33の形状が圧延ロール42の溝の形状と一致しており良好であった。
以上の結果より、本発明の効果が実証された。
32 異形断面条
33 凸部
42 圧延ロール
33 凸部
42 圧延ロール
Claims (5)
- 長手方向に沿って凸部が形成された異形断面条を溝が形成された圧延ロールで仕上げ圧延する異形断面条の仕上げ圧延方法において、
曲げにより前記異形断面条の凸部の幅を調整して前記圧延ロールの溝の幅に対応させた後、前記圧延ロールで仕上げ圧延することを特徴とする異形断面条の仕上げ圧延方法。 - 前記曲げを複数回行う請求項1に記載の異形断面条の仕上げ圧延方法。
- 長手方向に沿って凸部が形成された異形断面条を溝が形成された圧延ロールで仕上げ圧延する異形断面条の仕上げ圧延装置において、
前記圧延ロールを有する圧延機と、前記圧延機の前方に設けられ、曲げにより前記異形断面条の凸部の幅を調整する曲げユニットとを備え、前記曲げユニットにより前記異形断面条の凸部の幅を調整して前記圧延ロールの溝の幅に対応させた後、前記圧延ロールで仕上げ圧延することを特徴とする異形断面条の仕上げ圧延装置。 - 前記曲げユニットは、前記異形断面条の進行方向に沿って配置された2本のロールと、前記2本のロール間に配置され、ロール位置の変更が可能な可変ロールとを有し、前記可変ロールのロール位置を調整することにより前記2本のロール間を進行する前記異形断面条に曲げを与える請求項3に記載の異形断面条の仕上げ圧延装置。
- 前記凸部の高さをH(mm)としたとき、前記可変ロールのロール径をH(mm)×80(mm)以上H(mm)×100(mm)以下とする請求項4に記載の異形断面条の仕上げ圧延装置。
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Cited By (1)
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CN112845627A (zh) * | 2020-12-30 | 2021-05-28 | 太原重工股份有限公司 | 带钢张力装置 |
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