JP2013094621A - ドラム式洗濯機およびそのプログラム - Google Patents

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Tomoyuki Kikukawa
智之 菊川
Katsuya Wakita
克也 脇田
Toshihiko Yasui
利彦 安井
Wataru Uchiyama
亘 内山
Sunao Asami
直 朝見
Hiroto Nakama
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Abstract

【課題】洗濯物の傷みを少なく布質を検知でき、該結果に基づいて脱水工程の内容を変化させることで、省エネルギーで脱水性能に優れた洗濯機を提供すること。
【解決手段】複数孔を有する洗濯槽4と、洗濯槽4を収容する水槽3と、洗濯槽4を駆動する駆動手段6と、洗濯槽4の外面と水槽3の内面との間に形成される空間に給水する給水手段7と、水槽3内の水位を検知する水位検知手段10と、水槽3内に溜まった水が洗濯槽4の内面側に入り込み、洗濯物へ吸水される速度により洗濯物の布質を検知する布質検知手段11bと、布質検知手段11bの出力を入力し、洗い、すすぎ、脱水の各工程を逐次制御する制御手段11aを備え、制御手段11aは、布質検知手段11bで検知した布質に応じて、脱水工程における脱水回転の時間を変更するようにする。
【選択図】図3

Description

本発明は、弾性的に支持された水槽内に洗濯物を収容して回転可能な洗濯兼脱水槽を備え、洗濯兼脱水槽内で洗濯物の洗い、すすぎ、脱水を行う洗濯機に関する。
一般的に、綿と化学繊維を比較した場合、洗濯液に対する吸水能力や保水性、水へのなじみ等、衣類の特性が大きく異なるため、洗濯、つまり洗い、すすぎ、脱水を行う場合、画一的に同じ工程にする必要はなくなる。そこでこれら洗濯物が綿であるか、たとえばポリエステル主体の化学繊維であるかなど布質が判別できれば、布質をもとに運転シーケンスに反映して最適な運転を行うことで、洗い上がりの向上、節水や時短の実現が可能となる。
従来の布質検知手段として、洗い工程の給水後の水位低下量の違いから洗濯物の吸水能力を見て布質を検知するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、洗濯物を入れる洗濯槽と、洗濯槽の内底部に回転自在に配した撹拌翼と、洗濯槽を回転自在に収納する水槽と、水槽内の水位を検知する水位検知手段を備え、洗濯物が入れられた洗濯脱水槽内の所定水位にまで水が供給された後、洗濯物が所定時間撹拌される。このとき、低下する水位を検出し水位低下量に基づいて布質を検知する。
このような構成によって、洗濯物の布質、例えば化繊、木綿等によって、洗濯物の吸水能力が異なるので、給水された洗濯脱水槽内で洗濯物を撹拌すると、洗濯物の布質に応じた水量が、洗濯物に吸水されて、洗濯脱水槽内の水位がその分低下する。この低下した水位の変化量を検出することによって、洗濯物の布質を検知している。
特開平8−173683号公報
しかしながら、従来の布質検知方法では、布質検知をするために所定水量の給水後、一定時間撹拌をして洗濯物に吸水させる必要がある。このときの水位は洗濯物に吸水されるため低水位となり、低水位で撹拌することで洗濯物がこすれ、傷みが生じるという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、洗濯物の傷みを少なく布質を検知でき、該結果に基づいて脱水工程の内容を変化させることによって、衣類を構成する素材に対応して、省エネルギーで脱水性能に優れた洗濯機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の洗濯機は、洗濯物を収容して水平軸を中心に回転自在で複数孔を有する洗濯兼脱水槽と、前記洗濯兼脱水槽を収容する水槽と、前記洗濯兼脱水槽を駆動する駆動手段と、前記洗濯兼脱水槽の外面と前記水槽の内面との間に形成される空間に給水する給水手段と、前記水槽内の水位を検知する水位検知手段と、前記水槽内に溜まった水が前記洗濯兼脱水槽の内面側に入り込み、前記洗濯物へ吸水される速度により洗濯物の布質を検知する布質検知手段と、前記布質検知手段の出力を入力し、洗い、す
すぎ、脱水の各工程を逐次制御する制御装置を備え、制御装置は、前記布質検知手段で検知した布質に応じて、脱水回転の時間を変更するようにしたものである。
上記構成によれば、運転開始直後に洗濯物の重量を検知した後、洗い工程にて洗濯物の重量に応じた水量を注水し、さらにその注水過程において投入されている洗濯物の布質を判定することができる。これによって、洗濯物を傷めることなく布質の判定をすることができる。さらに、布質検知の結果に応じて、脱水工程における動作内容を変更するので、布質がどのようなものであっても、その特性に応じて、脱水に最低限必要な環境(注水量やすすぎ撹拌時間など)を設定できる。つまり、脱水効果を最大にさせることが可能となり、特定の時間内で脱水性能に優れ、節水、時短、節電など、省エネルギー性の高いすすぎを行うことが可能となる。
本発明の洗濯機は、洗濯槽内に投入された洗濯物の布質判定において傷みを少なくし、布質結果に基づいて脱水回転の時間を変化させることによって、衣類を構成する素材に対応して、最低限のすすぎ環境を揃えることですすぎ効率を最適化し、省エネルギー性能に優れ、決められた時間内において衣類の布質に応じたすすぎ性能の向上が可能となる。
本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の概略構造を示す断面図 同ドラム式洗濯機の制御ユニット11の構成を示すブロック図 同ドラム式洗濯機の給水制御を示すフローチャート 同ドラム式洗濯機の給水初期時における洗濯物の布質種別による水位遷移図 同ドラム式洗濯機のすすぎ工程の制御を示すフローチャート 同ドラム式洗濯機の脱水工程の制御を示すフローチャート
第1の発明のドラム式洗濯機は、洗濯物を収容して水平軸または前面側から背面側に向かって下向きに傾斜する回転軸を中心に回転自在で複数の透孔を有する洗濯槽と、前記洗濯槽を収容する水槽と、前記洗濯槽を駆動する駆動手段と、前記洗濯槽の外面と前記水槽の内面との間に形成される空間に給水する給水手段と、前記水槽内の水位を検知する水位検知手段と、前記水槽内に溜まった水が前記洗濯槽の内面側に入り込み、前記洗濯物へ吸水される速度により洗濯物の布質を検知する布質検知手段と、前記布質検知手段の出力を入力し、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を逐次制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記布質検知手段による布質に応じて前記脱水工程における脱水回転の時間を変更するものである。
このような構成により、運転開始直後に洗濯物の重量を検知した後、洗い工程にて洗濯物の重量に応じた水量を注水し、さらにその注水過程において投入されている洗濯物が吸水性の高い素材で構成されているものが多いのか、吸水性の低い素材で構成されているものが多いのかを判定することができる。よって、洗濯物の傷みを少なく布質判定をすることができる。さらに、布質検知の結果に応じて、脱水工程における脱水回転の時間を変更することで、布質がどのようなものであっても、その特性に応じて脱水回転の時間を設定できるため、特定の時間内での省エネルギー性に優れた条件において、脱水性能を向上させることが可能となる。
第2の発明のドラム式洗濯機は、洗濯物を収容して水平軸または前面側から背面側に向かって下向きに傾斜する回転軸を中心に回転自在で複数の透孔を有する洗濯槽と、前記洗濯槽を収容する水槽と、前記洗濯槽を駆動する駆動手段と、前記洗濯槽の外面と前記水槽の内面との間に形成される空間に給水する給水手段と、前記水槽内の水位を検知する水位
検知手段と、前記水槽内に溜まった水が前記洗濯槽の内面側に入り込み、前記洗濯物へ吸水される速度により洗濯物の布質を検知する布質検知手段と、前記布質検知手段の出力を入力し、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を逐次制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記布質検知手段による布質に応じて前記すすぎ工程における脱水回転の時間を変更するものである。
このような構成により、運転開始直後に洗濯物の重量を検知した後、洗い工程にて洗濯物の重量に応じた水量を注水し、さらにその注水過程において投入されている洗濯物が吸水性の高い素材で構成されているものが多いのか、吸水性の低い素材で構成されているものが多いのかを判定することができる。よって、洗濯物の傷みを少なく布質判定をすることができる。さらに、布質検知の結果に応じて、すすぎ工程における脱水回転の時間を変更することで、布質がどのようなものであっても、その特性に応じて脱水回転の時間を設定できるため、特定の時間内での省エネルギー性に優れた条件において、脱水性能を向上させることが可能となる。
第3の発明は、第1または第2の発明のドラム式洗濯機の前記布質検知手段は、前記洗濯物を構成する素材として吸水性の高い繊維と吸水性の低い繊維との割合を判断するものである。
このような構成によって、布質検知手段によって、投入された洗濯物が「吸水性の高い素材で構成されている割合が大きい」、あるいは「吸水性の低い素材で構成されている割合が大きい」といった判断が適切に行うことができ、その布質特性に応じたすすぎ内容を設定することですすぎ効果を最大にさせることが可能となる。
第4の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明のドラム式洗濯機の前記制御手段は、前記布質検知手段により前記洗濯槽内の前記洗濯物が吸水性の低い繊維から構成される割合が大きいと検知された場合、前記割合が大きくなるほど、脱水回転時の時間を短くするものである。
このような構成によって、布質検知手段によって、投入された洗濯物が「吸水性の高い素材で構成されている割合が大きい」、あるいは「吸水性の低い素材で構成されている割合が大きい」といった判断が決定された後に、脱水回転時の時間を調整することができる。このため、布質特性に応じた脱水時間を設定することができるので、特定の時間内で脱水性能を維持しつつ、省エネルギー性の向上した脱水運転を行うことができる。
また第5の発明は、第1から第4の発明において、少なくとも一つをコンピュータに実行させるためのプログラムを備えたものである。
この構成によれば、プログラムであるのでマイコンなどを用いて本発明の洗濯機の一部あるいは全てを容易に実現することができる。また記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布が容易にできる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の概略構造を示す断面図で、図1を用いて構成を以下に説明する。
洗濯機本体1の内部には揺動自在に水槽3が収納され、水槽3内には洗濯槽である回転ドラム4が回転軸4aを中心に回転自在に配設されている。回転ドラム4の回転軸4aは水槽3の背面外側に取り付けたモータ6が直結されており、このモータ6により回転ドラ
ム4が回転駆動される。
回転ドラム4には、その周壁4c全体に渡って複数の透孔4eが設けられ、水槽3内と回転ドラム4内とは通水および通気ができるようになっている。回転ドラム4の背面壁4dには円周方向に沿った複数の背面開口4fが形成されており、これら背面開口4fは水槽3の背面側上部に形成された導風口18に対向するように配置されている。また、回転ドラム4の周壁4c内面には複数の撹拌突起4bが設けられており、回転ドラム4の回転により回転ドラム4内の洗濯物を持ち上げるようにしている。なお、透孔4eは回転ドラム4の周壁全体に渡り設けたが、回転ドラム4の周壁に部分的に形成してもよく、要は、水槽3内と回転ドラム4内との通気性および通水性を確保でき、洗濯から乾燥に支障が出ないように設定すればよい。
また、回転ドラム4の回転軸4aは、前面側から背面側に向かって下向きになるように傾斜しており、具体的には水平方向Xから例えば角度θ=20±10度下向き傾斜させて配置されている。このように回転軸4aを傾斜させることで、水槽3前面側の開口13を上側に配置することができるようになり、大きく屈む姿勢をとることなく水槽3の開口13を介して回転ドラム4内の洗濯物が取り出せるようになる。また、回転軸4aを水平方向とした場合に比べ、水槽3内に給水された水が背面側に溜まって少ない水量でも深い貯水状態が得られる、すなわち、少ない給水量でも水槽3内に溜まった水が回転ドラム4の透孔4eから入り込み、洗濯物を濡らし吸水速度を検知することができる。
水槽3は回転ドラム4内の洗濯物に効率よく給水を行うために、回転ドラム4と同じ傾斜を持ってその近くに沿うように設けてある。回転ドラム4および水槽3を傾斜させることによって、水平に配置するよりも早くに洗濯物の外周側に水が接触し始めるので、布質検知を迅速に行うことができる。なお、吸水量を考慮しなければ、回転ドラム4は水平であってもよいし、傾斜角度θが10度未満であってもよい。
また、洗濯機本体1の前面側には水槽3の開口13を通して回転ドラム4内に通じる開口部を設け、その開口部には開閉扉5が開閉自在に設けられている。水槽3の開口13はその口縁に環状のシール材14を装着し、シール材14の前面側が開閉扉5の背面側に当接して密閉し、上下左右、前後に揺動する水槽3の開口が動いてもシール材14が変形し開閉扉5背面側へ押圧する形で密閉性を維持している。
水槽3の上部に配置された給水手段7は、給水弁7bと、給水弁7bの開閉によって給水される洗剤収容部7aと、洗剤収容部7a内の洗剤を給水とともに水槽3内面と回転ドラム4外面との間に形成された空間Yに供給する給水経路7cとを有している。このように水槽3内面と回転ドラム4外面との間に形成された空間Yに給水することにより、回転ドラム4内の洗濯物に直接水かかからず、水槽3底部に溜まった水が徐々に上昇していき、回転ドラム4の透孔4eを介して洗濯物に水が接触して洗濯物の吸水が開始されるので、布質により相違する吸水速度を検知することができる。なお、洗濯物に直接水がかからないように給水できればよいので、給水手段7は必ずしも上部に配置されている必要はなく、水槽3の背面側、側面側、底部側であってもよい。
排水手段8は、水槽3の最底部に一端を接続した排水管8aと、排水弁8bとを有し、排水弁8bの開閉によって洗い工程終了後、すすぎ工程終了時など必要なときに水槽3内の水が排水管8aを介し排水されるようになっている。さらに排水管8aの下流側には洗濯機本体1の外部から取り外し可能な排水フィルタ15を配置し、排水に含まれる糸屑類を捕集するようになっている。乾燥手段9は、水槽3および回転ドラム4から空気を出す導出口9fと、導出口9fから空気を吸引する送風機9cと、導出口9fからの空気に含まれる糸屑類を捕集し除塵するフィルタ(図示せず)と、水槽3の背面側に設けられ、回
転ドラム4内に送風機9cから吹き出される空気を入れる導入口9eと、送風機9cと導入口9eとを接続する送風経路9dと、送風経路9d内に配され、導出口9fからの高湿空気を除湿する除湿部9gと、送風経路9d内で、除湿部9gより下流側に配され、除湿後の空気を加熱して高温空気とする加熱部9hとから構成されている。なお、除湿部9gおよび加熱部9hをヒートポンプユニットで構成してもよいし、加熱部9gをヒータで構成し、除湿部9gを水冷方式もしくは空冷方式としてもよい。
洗濯機本体1の前面上部には複数の入力キー及び設定内容等を表示する表示装置を有する操作パネル21が配され、この操作パネル21は制御ユニット11と接続され、入力キーからの信号を制御ユニット11に入力し、また、制御ユニット11が表示装置の表示状態を制御するようになっている。制御ユニット11はドラム式洗濯機を構成するモータ6、排水弁8b、給水弁7bの動作を制御し、操作パネル21の入力キーにより設定した洗い、すすぎ、脱水、乾燥の運転を実施する。また、制御ユニット11は水槽3内の水位を検知する水位検知手段10からの信号を入力して給水弁7bを制御することで、水槽3内への給水量(水位)を制御している。
次に、制御ユニット11の詳細を図2により説明する。図2は本発明の実施形態1におけるドラム式洗濯機の制御ユニット11の構成を示すブロック図である。制御ユニット11は、マイクロコンピュータで構成される制御手段11aと、洗濯物の布質を検知する布質検知手段11bと、洗濯物の量を検知する布量検知手段11cとを備えている。
以下に布量検知手段11cの一例について説明する。
まず、モータ6を回転駆動する。このときの回転ドラム4の回転数は、洗濯物が回転ドラム4の内周壁に張り付く程度の回転速度、例えば100〜140r/min程度まで一旦立ち上げる。所定時間回転を維持した後、モータ6の通電をオフする。それにより、回転ドラム4の惰性回転が、逆にモータ6を回転させる状態になる。このとき、回転ドラム4の惰性回転力は摩擦トルクによりしだいに低下してやがて回転ドラム4は停止する。通電停止から回転ドラム4の停止までの時間は、洗濯物の量が多いときは長く、洗濯物の量が少ないときは短い。この停止に要する時間の違いが洗濯物の量に比例することを利用して洗濯物の量を検知する。
さらに、本実施の形態に係るドラム式洗濯機には、回転ドラム4内に給水された水量を検知する水位検知手段10が設けられている。これは回転ドラム4の最低部近傍の所定位置に配設されたエアトラップ部と圧力検知部(図示せず)をホース接続したものである。圧力検知部は、圧力によって移動するベローズ部分に一体化されたフェライトと、その外周上を囲む固定側のコイルとで構成され、そのインダクタンス変化を利用して移動ストローク距離をトラップ内圧力に変換する。この水位検知手段10は、エアトラップ部に洗濯液がこないと大気開放状態となり、出力は一定となる。この検知下限水位を下回る水位の場合は、水量および水のありなしを検知することができない。このように、水位検知手段10はエアトラップ機構によるエア内圧計測によるセンシングが一般的であり、エア内圧が安定的な大気開放圧力から変化するまでの時間を計測するのが水位センサのばらつきに影響を受けない適切な算出方法である。また水位検知手段10の出力は、回転ドラム4の回転ありなしやその回転数など、洗濯動作中の回転ドラム4の回転によって出力が変化するため、回転ドラム4の回転数に応じて周波数と水位のテーブルを複数持っている。つまり回転ドラム4が静止中でも回転中でも水位を認識することができる。
本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機は、モード設定や制御プログラムに従い、モータ6、給水弁7b、排水弁8b、乾燥手段9等を自動制御して少なくとも洗浄工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程を行う機能を有している。しかし、本発明においては
乾燥機能の有無は関係しないため、乾燥工程は省略する。
以上のように構成されたドラム式洗濯機の動作について布質を検知する工程を含めて説明する。図3は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の給水制御を示すフローチャートである。図4は本発明の実施の形態1における洗濯機の洗濯物による給水初期時の水位遷移図を示すものである。図5は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機のすすぎ工程の制御を示すフローチャートである。図6は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の脱水工程の制御を示すフローチャートである。
図3において、洗濯物が投入されて運転を開始すると給水工程にて給水を開始する。ここで給水開始前に回転ドラムを所定回転数で一方向に回転させる(S1)。回転数は、例えば60r/minなど、洗濯物が回転ドラム4の内周壁に張り付くような回転数である。回転ドラム4がこのような速度で回転しながら給水することで、洗濯物の転動を防ぎ、洗濯物の濡らし方の条件を一意に合わせることが可能となる。また、洗濯物の量が変わった場合でも、洗濯物の張り付けによって同じような条件で濡らしていけるので、布量による依存性を抑え込むことができ、布質検知を精度よく行うことができる。また、回転ドラム4の回転開始は給水開始前に限られず、同時でもよい。
次に、給水弁7bを開放して(S2)給水時間tのカウントを開始し、水槽3に所定水位Aになるまで給水を行う(S3)。所定水位Aは回転ドラム4内の洗濯物の外周側と接触できる水位である。
本発明の実施の形態1の布質検知は、所定水位になるまでの時間をもとに布質検知を行う。すなわち、所定水位Aにおいて給水時間tをもとに洗濯物の布質が高吸水性であると判定すると、高吸水性である布質に応じて、すすぎの設定内容を増やす方向に変更する。
図4に示すように、初期の吸水速度はポリエステルなどの化学繊維の方が早くに広範囲に浸透するため、綿よりも吸水が速く、つまり給水時間が長くなる。洗濯物が全て綿であれば、吸水速度が遅いので所定水位Aになる時間は速い。逆に、例えばポリエステルなどの化学繊維であれば、吸水速度が速いので所定水位Aになる時間は遅い。このような布質による吸水速度の違いを利用して、所定水位Aになる給水時間tを確認することで布質を検知することができる。具体的には、所定水位Aになった時点で(S3のYES)、給水時間tが所定時間T1より短かったかを判断し(S4)、短い場合は(S4のYES)、すすぎ工程および脱水工程における脱水時間を例えば30秒、増やして十分な脱水性能を確保する(S5)。
ここで、所定時間T1は全て綿タオルである場合に給水開始から所定水位Aになるまでの時間と、綿と化学繊維が混在している場合に所定水位Aになるまでの時間との間で設定する時間である。例えば、洗濯物の全量のうち綿が7割含まれる時に所定水位Aまで給水するのにかかる時間をT1とする。
一方で、制御手段11aは所定水位Aにおいて給水時間tをもとに洗濯物の布質が低吸水性であると判定すると、低吸水性である布質に応じてすすぎ工程および脱水工程における脱水時間を減らす方向に変更する。
具体的には、所定水位Aになった時点で給水時間tが所定時間T1より長い場合は(S4のNO)、給水時間tが所定時間T2より短かったかを判断し(S6)、短い場合は(S6のYES)、脱水回転の時間をそのまま変更しないこととする(S7)。ここで、所定時間T2は全てポリエステルなどの化学繊維である場合に給水開始から所定水位Aになるまでの時間と、綿と化学繊維が混在している場合に所定水位Aになるまでの時間との間
で設定する時間である。例えば、洗濯物の全量のうちポリエステルが7割含まれる時に所定水位Aまで給水するのにかかる時間をT2とする。
所定水位Aになった時点で給水時間tが所定時間T2より長い場合は(S6のNO)、すすぎ工程および脱水工程における脱水時間を脱水性能に影響を与えない程度、たとえば30秒減らす設定とする(S8)。
洗い工程が所定時間行われると(S9のYES)、洗い工程は終了する。
図5に示すように、洗い工程が終了すると、すすぎ工程を開始する。まず、排水弁8bを動作して、水槽3内の水を排水する(S10)。続いて、洗濯物から洗浄水や汚れを取り除くために、脱水を行う(S11)。
吸水性の高い衣類はジーンズやトレーナーのように、水を含むと固く、多めの水量でパワフルに撹拌しないと繊維内および繊維間に浸透した洗浄水を振り解くことができない。よって、脱水回転の時間を増やす方向に変更することによって、脱水性能を高める。
一方、吸水性の低い衣類は、ジャージのように、水を含んでも柔らかく、綿衣類に比べて10倍以上も繊維間が広い。このため、脱水時間を短くしても十分な脱水性能得られる。よって、吸水性が高い繊維から構成される割合が大きい場合に比べて、脱水時間を減らす方向に変更することによって、脱水性能を確保しつつ、節水や時短、節電など、省エネルギー性能を向上させる。
布質検知時に設定した、すすぎ工程における脱水時間が終了すると(S12のYES)、排水弁8bを閉じ(S13)、給水を開始する(S14)。その後、すすぎ撹拌を行う(S15)。すすぎ時間が終了すると(S16のYES)、すすぎ工程は終了する。ここで、すすぎ工程が2回以上設定されている場合には、S10〜S16が繰り返えされる。
続いて、図6に示すように、脱水工程を開始する。水槽3内の水を排水し(S20)、回転ドラム4を回転させて脱水を行う(S21)。布質検知時に設定した、脱水工程における脱水時間が終了すると(S22のYES)、脱水工程は終了する。
なお、上記において、所定時間T1、T2を決定するのに用いた洗濯物による給水初期時の水位遷移図は、同様の吸水特性を示すものであればポリエステルや綿に限られるものではない。また、本実施の形態1では綿と、化学繊維と、綿および化学繊維の混合との、3種類の吸水特性により設定水位のランク決定をしているが、これに限られるものではなく、化学繊維としてナイロンなどの他の繊維も用いてランク分けを細かくしてもよい。また、綿および化学繊維の混合において、その混合比率を1:2、1:1、2:1と変化させるなどして、ランク分けしてもよい。
また、本実施の形態ではドラム式洗濯機を例に上げ説明しているが、水槽3と洗濯槽の間に給水する構成とした場合、パルセータ撹拌式やアジテータ式など縦型洗濯機においても同様の効果が得られる。縦型式洗濯機において、水を均一に浸透させるために、洗濯槽の外側に設けられたシャワーなどを用いて洗濯物の外周側から均一に濡れていく構成にしてもよい。また、給水中に洗濯槽を回転させる場合には、パルセータと洗濯槽が一体に動くようにすることで、洗濯物を傷みにくくすることができる。
なお、本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバ等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、
磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録、もしくはインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
以上のように、本発明にかかる洗濯機は、洗濯槽内に投入された洗濯物の衣類の布質を吸水性の高いものと低いものとの比率で判断し、該結果に基づいて脱水工程の脱水回転の時間を変化させることによって、衣類を構成する素材に対応して、不要な電力を使うことなく省エネルギー性能に優れ、決められた時間内において衣類の布質に応じた脱水性能の向上が可能となる。
1 洗濯機本体
3 水槽
4 洗濯槽(回転ドラム)
6 モータ(駆動手段)
7 給水手段
7b 給水弁
8 排水手段
8b 排水弁
10 水位検知手段
11 制御ユニット
11a 制御手段
11b 布質検知手段

Claims (5)

  1. 洗濯物を収容して水平軸または前面側から背面側に向かって下向きに傾斜する回転軸を中心に回転自在で複数の透孔を有する洗濯槽と、
    前記洗濯槽を収容する水槽と、
    前記洗濯槽を駆動する駆動手段と、
    前記洗濯槽の外面と前記水槽の内面との間に形成される空間に給水する給水手段と、
    前記水槽内の水位を検知する水位検知手段と、
    前記水槽内に溜まった水が前記洗濯槽の内面側に入り込み、前記洗濯物へ吸水される速度により洗濯物の布質を検知する布質検知手段と、
    前記布質検知手段の出力を入力し、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を逐次制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記布質検知手段による布質に応じて前記脱水工程における脱水回転の時間を変更するドラム式洗濯機。
  2. 洗濯物を収容して水平軸または前面側から背面側に向かって下向きに傾斜する回転軸を中心に回転自在で複数の透孔を有する洗濯槽と、
    前記洗濯槽を収容する水槽と、
    前記洗濯槽を駆動する駆動手段と、
    前記洗濯槽の外面と前記水槽の内面との間に形成される空間に給水する給水手段と、
    前記水槽内の水位を検知する水位検知手段と、
    前記水槽内に溜まった水が前記洗濯槽の内面側に入り込み、前記洗濯物へ吸水される速度により洗濯物の布質を検知する布質検知手段と、
    前記布質検知手段の出力を入力し、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を逐次制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記布質検知手段による布質に応じて前記すすぎ工程における脱水回転の時間を変更するドラム式洗濯機。
  3. 前記布質検知手段は、前記洗濯物を構成する素材として吸水性の高い繊維と吸水性の低い繊維との割合を判断する請求項1または2に記載のドラム式洗濯機。
  4. 前記制御手段は、前記布質検知手段により前記洗濯槽内の前記洗濯物が吸水性の低い繊維から構成される割合が大きいと検知された場合、前記割合が大きくなるほど、脱水回転時の時間を短くする請求項1〜3のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗濯機にて少なくとも一つの手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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